E02980 Japan GAAP
前期
163.4億 円
前期比
85.3%
株価
476 (05/01)
発行済株式数
4,536,400
EPS(実績)
-295.06 円
PER(実績)
--- 倍
前期
668.0万 円
前期比
96.7%
平均年齢(勤続年数)
38.3歳(8.9年)
従業員数
133人(連結:243人)
当社グループは、当社(株式会社アールシーコア)及び子会社5社(連結子会社3社(株式会社BESSパートナーズ、株式会社BESS札幌、株式会社BESS岐阜)、及び非連結子会社2社)で構成されており、単一事業であるBESS事業を営んでおります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次の通りであります。
日本国内においては当社がログハウスをはじめとする自然派個性住宅(BESS企画型住宅)モデルの企画、開発、設計を行っております。
また、国内販売については、顧客(エンドユーザー)向けには、当社が東京圏にて3拠点、連結子会社3社が全国11拠点を担当し、BESS単独の住宅展示場(以下「LOGWAY」(ログウェイ))を拠点としてログハウス等の新築工事請負を行っております。また、国内各地の地区販社向けには、当社がログハウス等の部材キット(注)の販売を行っております。
(注) 当社では、住宅を完成させるために必要な主要な資材一式を「部材キット」と称しており、加工済のシェル(ログ材等、建物の構造躯体をなすもの)を始め、屋根・天井・床・屋内間仕切壁等の部材、窓・ドア等の建具類、断熱材、設備機器、木材保護塗料などから構成されます。
報告セグメントにおける事業内容等は次の通りであります。なお、次の3区分は「第5 経理の状況」中、「1(1)連結財務諸表 注記事項」の(セグメント情報等)に記載の報告セグメントの区分と同一であります。
直販部門・・・BESS MAGMA及びBESS多摩、BESS藤沢を拠点とし、東京・神奈川圏の顧客向けにログハウス等の新築工事請負を行っております。
また、宅地及び分譲住宅の仲介・販売、当社所有の山中湖タイムシェア別荘(フェザント山中湖)の販売・運営管理、ログハウスや一般住宅等のメンテナンス・リフォーム工事の請負、及びその他の住宅関連事業を行っております。
販社部門・・・日本国内におけるBESS販社(以下、地区販社という。)の営業拠点(当連結会計年度末現在で35拠点(連結子会社の11拠点含む。))へ向けてログハウス等の部材キット販売等を行っております。
BP社・・・・BESS千秋、BESS熊谷、BESS水戸、BESSつくば、BESS富士、BESS浜松、BESS東愛知、BESS糸島、BESS熊本、BESS札幌、BESS岐阜を拠点とし、ログハウス等の新築工事請負等を行っております。
なお、BESS金沢は2023年2月に閉鎖いたしました。また、BESS千秋(秋田県秋田市)は、2023年6月に閉鎖を予定しております。
(注)「BESS」とは、「Bigfoot Essential Slowlife Spirit」の略称。
ビッグフット(Bigfoot)時代から変わらない、自然体の、本質的で飾らない(Essential)スローライフ(Slowlife)を楽しむ心意気(Spirit)を当社は大切にしており、その思いを込めたブランド名です。
「BP社」とは、連結子会社3社グループ(株式会社BESSパートナーズ、株式会社BESS札幌、株式会社BESS岐阜)の呼称です。
(1)主要商品
① 住宅
住宅事業では、主に新築商品を取り扱っています。ログハウスに代表される自然材(無垢材)を多用しており、当社グループでは、「自然派個性住宅」と総称しております。「自然派」とは自然材に対するこだわりを、「個性」とは工法、デザイン、テイスト(住宅の持つ雰囲気、風情)が個性的であることを表しております。空間を構成する素材として自然材、特に木材に着目し、積極的に利用しております。樹木が人間生活に様々な効果を及ぼすことは広く知られておりますが、当社グループが商品に込めるぬくもりやリラックスを具現化する上でも木材は最適の素材であり、商品群における大きな特徴になっております。
新築商品では、デザインを基に商品を分類し、その分類を「シリーズ」と称しております。デザインは外形的な違いにも表れますが、デザインによるシリーズの個性と設計に込める暮らし方の違いを明確にしております。2023年3月現在、ログハウス3シリーズ、エポックス(ログハウス以外のシリーズ総称:画期的な新時代を作っていくの意)3シリーズで構成されており、それぞれの特徴は次の通りであります。
<商品シリーズとその特徴>
|
シリーズ (略称) 『愛称』 |
工法、構造上の特徴等 |
主要部材の生産国又は 調達国、製法上の特徴等 |
デザイン、テイスト上の特徴等 |
ログハウス |
カントリーログ (C) 『1/fの自然人』 |
・D型断面に機械成型したログを使用。外壁は穏やかな曲面でログハウスならではの印象を持ち、内壁はフラットな面で家具等の配置にも不便がない。 |
・国産材。 ・原材の調達から強制乾燥(注1)、成型まで一貫した生産プロセス。 |
・本質・本物志向でこだわりが強い「ディープカントリー」。 ・長折れ屋根と深いカラーリングが特徴。
|
G-LOG (ジーログ) (G) 『なつ』 |
・角型に機械成型したログを使用。 |
・国産材。 ・原材の調達から強制乾燥(注1)、成型まで一貫した生産プロセス。 |
・木に親しんだ日本人の感性でつくり、世界に発信する新世代ログハウス。 ・「超ベランダ空間:NIDO」が特徴。 |
|
栖ログ (すみかログ) (S) |
・角型に機械成型したログを使用。 |
・国産材。 ・原材の調達から強制乾燥(注1)、成型まで一貫した生産プロセス。
|
・「小屋」と「平屋」を掛け合わせた「平小屋」という新しいカテゴリーの暮らしを提案するログハウス。 ・ログだけど軽やか、小ぶりだけど大きな存在感を示す小屋サイズの平屋。 |
|
エポックス |
ワンダーデバイス (W)
|
・接合補強金物を使用した木造軸組工法。 ・事前に構造部材を工場でカットし、接合部に金物を先付けすることで現場組上げを簡略化し施工を合理化。 |
・国内調達材を使用。 ・設計モジュールは910mmとし、間口6、7、8スパンの3モデルを展開。 |
・「家は暮らしに楽しい価値を生み出す装置」というコンセプトから生まれた都市型スローライフ住宅。 ・3つの個性的なモデルと暮らしを楽しむデバイスが特徴。 |
程々の家 (Y)
|
・接合補強金物を使用した木造軸組工法。 ・事前に構造部材を工場でカットし、接合部に金物を先付けすることで現場組上げを簡略化し施工を合理化。 |
・国内調達材を使用。 ・設計モジュールは910mmとし、間口7、8、10スパンの3モデルを展開。 |
・造り過ぎず、飾り過ぎず、どちらに偏ることのない絶妙の「程々」。日本の感性が生きる、懐の深い暮らしが息づく木の家。 |
|
BESSドーム (D) 『エイリアンズ』 |
・「ジオデシックドーム理論(注2)」に基づく建築。三角形105個を組み合わせ、ユニークなドーム型の建物を構成。 ・3サイズ(直径8.2m、9.5m、11m)のバリエーション。 |
・国内調達材を使用。 ・木造マルチドーム構法(注3)。住宅、非住宅のマルチに対応。部材パッケージ販売が基本。複雑な角度で構成される部材を予め加工することで作業を効率化。 |
・丸く高い天井、梁のないスペース、三角のスカイライト。次々と楽しさを発見できる独創的な空間。 |
(注)1 乾燥炉に原木を入れ、人工的に木材を乾燥させること。木材は繊維飽和状態(木に含まれる自由水が完全になくなった状態)から更に乾燥させると構造的強度が向上するという特性を持つ。乾燥によって建築材料としての性能が増すことに加え、経年変化(歪みや収縮等)を抑えることができる。
2 R.バックミンスター・フラー博士(米)が完成させた理論。「最強の構造体である三角形から球体構造を作り上げる」というもので、合理性・効率性を追求した理想の建物を生み出すことを目指した建築理論。
3 フレーム(ドーム型の骨組みとなる木材)とコネクター(フレーム同士を接合する金属部品、特許取得済)でドームの構造部分を構築。構造評定を取得し、抜群の構造強度を実現。
② ログ小屋
ログ小屋とは住宅用途よりも小さな空間の小屋を当社の住宅の特徴であるログを使用して組み立てた商品です。2016年8月にログ小屋商品である「第3のトコロ」IMAGOを発売して以来、住宅事業とは異なる暮らしの要望に応えてきました。顧客が建築できるセルフビルドが可能なキットでの販売に加えて全国のLOGWAY拠点での施工請負も行っております。2023年3月までの累計売上棟数は775棟となりました。
2021年10月には、ログ小屋を車体に載せた「可動式のログ小屋」IMAGOを発表し、これまでの固定式ログ小屋から可動式ログ小屋へと、自由に様々な場所に設置でき楽しめる商品を発売しました。コロナ禍によりプライベートな空間で過ごす時間が増え、ワークスペースを含めた自宅環境の見直しや自然豊かな環境への移住や移動の関心が高まっており、そのような中、固定式・可動式IMAGOで自然材を多用した新たな空間を提案しています。
③ 分譲地
自然や外とつながる、おおらかな暮らし「梺(ふもと)ぐらし」を楽しめる用地を開発し、「FuMoTo事業」として販売しています。利便性を追求する地方の都市化とは一線を画した、暮らしの環境づくりのための取り組みで、そのコミュニティが自然と地元に受け入れられ、地方の活発化につながることを目指します。
④ タイムシェア
別荘タイムシェアの販売及び運営管理を行う事業として、タイムシェア事業を直販部門において展開しております。「フェザント別荘メンバー制度」は、BESSの自然派個性住宅を希望の1週間単位で購入することにより、手頃な価格で別荘ライフを楽しめる新しい別荘所有のシステムで、10年、15年、20年の3タイプの商品を販売しております。
<商品の特徴>
建物ラインナップ |
利用できる期間 |
権利形態 |
シーズンランク |
ログハウス4タイプ、 ドームハウス、 ジャパネスクハウス で展開。 |
金曜日から翌金曜日の7泊8日(年末年始のみ日にち固定)+「別荘レンタル制度」によりその他の期間も有料で利用可能。 |
施設利用権 (10年、15年、20年) |
年間50週に対して、休日の連続性等から3段階のシーズンランクを設定。シーズンランクと建物により初期費用が変動。 |
(2)事業の特徴
① BESS・住宅事業
イ ブランド価値の創造
当社グループは、ブランド名称「BESS」を使用し事業展開を行っており、ブランドの認知度・イメージの向上を図ることで、「オンリー・ワン」ブランドとしてユーザーに支持されることを目指しております。BESSブランドは、『「住む」より「楽しむ」』というスローガンの下「こころを遊ばせる暮らしを求めるユーザー」に対して、その道具としての家「自然派個性住宅」を提供するビジネスであり、それをマーケットに啓蒙する広報宣伝活動、LOGWAYを展開してBESSに関心を持つ人に対して「BESS」ブランドの持つ世界観〔コンセプト〕並びに商品そのものを伝える演出、各種販促物でのイメージ表現、及び接客スタッフによる対応等を特に重視しております。
ロ 営業展開
当社は、LOGWAYを拠点として直接ユーザーに営業活動を展開する「直販部門」と、地区販社を通じてユーザーに商品を提供する「販社部門」により全国展開を行っております。
地区販社はそれぞれ独自にLOGWAYを開設し、そのLOGWAYを拠点として営業活動を行っております。2023年3月末現在、地区販社として全国で21社(連結子会社3社を含む。)、拠点は35拠点(連結子会社3社の11拠点を含む。)を擁しております。この制度はフランチャイズシステムの形態を採っているため、本部(当社)にとっては小資本による効率的な全国展開、加盟店(地区販社)側にとってはブランド力の活用、本部指導による支援等により、新規事業への取り組みを容易にすることができます。
ハ 単独展示場の存在
LOGWAYは、建物の規模、種類、配置、インテリア・エクステリアを含めた全体演出により、訪れる人の感性に訴えることに主眼を置いております。自然材の長所はもちろん、一般に短所と目されることの多い経年収縮による割れや隙間等についても、実際にユーザーご自身の目で確認をしていただくという意図もあります。また、地区販社に対しても、フランチャイズ契約に通常含まれる入会時の加盟料や保証金等の負担を敢えて求めず、その代わりに自社単独でのLOGWAY開設を新規販社契約締結の条件としております。
ニ 顧客管理
当社グループは、LOGWAYへの来場又は資料請求等のお問合せをいただいた方を「ストック顧客」と称し、情報管理を行っております。BESSの顧客の中には、LOGWAYに来場される時には、住宅の購入を検討されていなかった方もおられるため、ストック顧客に対して定期的に情報発信を行うとともに、ストック顧客からの接触について履歴管理を行っております。このような活動を通じて当社グループの理念・方針である「潜在マーケットの顕在化」を推進しています。
ホ LOGWAY戦略
当社グループは、すでにBESSでの暮らしを楽しんでいるユーザーの方に「LOGWAYコーチャー」(登録2,000組超)としてBESSの暮らしを来場者に伝えるイベント等に参画していただいております。また、ストック顧客のうち、建設時期は未定でも、いつかはBESSの家で暮らしたいという意思表明された方を対象とする、会費制BESSファンクラブ「LOGWAYクラブ」を運営しております。LOGWAYクラブ会員には、よりLOGWAYを満喫してもらえるプログラムやBESSの暮らし実現のために様々な会員サポートを用意しています。
ヘ 商品の標準化
当社グループは、商品設計において標準化を推進しております。商品カタログにおいて「モデルプラン」と称する標準モデルを設定していますが、これは単にカタログに記載するためだけの見本ではなく、実際にユーザーに選んでいただくためのラインナップとして位置付けております。これまでの20,000棟を上回る契約(受注)実績を背景に、用途や使い勝手等を練り上げてきたプランであり、ユーザーの多様な暮らし方に対応できるよう改良を重ねてきたものであります。「モデルプラン」による商品の標準化により、販売、生産及び物流における効率の向上等が可能となり、売上の拡大、コストや経費の削減に寄与しております。
ト 独立した研究開発部門
当社グループは、研究開発を行う商品本部を擁しており、不断の研究開発活動を通じ、その事業領域の拡大を推進しており、BESSとしての「個性」を強く発揮させるため、デザイン(外観デザイン、空間特徴、各仕上げ仕様)の強化に力を入れております。当社グループの主力商品であるログハウスは、その内外に木材の露出が多くなるため、一般的なプレハブ住宅に比べ、建築基準法及び防火規制等、法的制約が厳しくなっております。このため、ログハウス以外のエポックス(ワンダーデバイス、程々の家及びBESSドーム)の開発にも注力しております。
商品開発の活動は、設計等の自由度向上、建物の機能向上及び建設可能地域の拡大へとつながり、併せて「自然派個性住宅」にマッチした外構等関連商品の開発も進めており、ユーザーの「こころを遊ばせる暮らし」への価値創造に貢献しております。
② BESS・タイムシェア事業
タイムシェア事業は、「こころを遊ばせる暮らしを求めるユーザー」に対して、別荘ライフを手軽に楽しめる「別荘タイムシェアの販売及びその運営管理」を提供するビジネスであります。従来と一線を画す所有システムにより、新しい「別荘マーケット」を創造しております。これまで別荘所有には「土地、建物価格の高さ」、「手間(メンテナンス)の多さ」、「休暇はあれど、取り難い環境」などの問題がありましたが、このシステムでは1棟所有ではなく1週間単位の所有であり、手間がかかるメンテナンスも、「メンテナンス・リフォームプログラム」により対応していることから快適な別荘ライフを手軽にお楽しみいただけるシステムであります。建物は、本格的なログハウスをはじめとするBESSの自然派個性住宅を用いたタイムシェア型戸建別荘です。
販売形態は、利用権方式による「メンバー制度」。会員サービスの一環として、希望時期に合わせたフレキシブルな利用を可能とした「交換利用券制度」も導入しております。
(3)事業系統図
当社グループにおける事業の系統図は、次の通りであります。
※画像省略しています。
※BP社とは、株式会社BESSパートナーズ、株式会社BESS札幌、株式会社BESS岐阜の3社グループの呼称です。
※上記以外に非連結子会社が2社あります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は、以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の概要
当連結会計年度における世界経済は、ウィズコロナの下、社会経済活動が正常化していくなか、緩やかに持ち直してきましたが、世界的な金融引き締めや不安定な国際情勢により依然不透明な状況にあります。わが国経済においても消費と設備投資が前期比プラスで推移するなど、緩やかに持ち直しは見られるものの、ウクライナ情勢や円安に起因した物価上昇が、家計・企業の活動に影響を与えています。国内の住宅市場は、新設住宅着工数は前期比0.6%減、うち新設戸建持家木造住宅着工数は同12.0%減となり弱含みで推移しました。
このような状況の下、当社は、中期経営3か年計画”曲がり真直ぐ、BESSの道”を掲げ、2020年4月から取り組みを開始し、最終年度に当たる当連結会計年度に連結売上高200億円、営業利益率5%の達成を目指してきました。しかし、その間、コロナ禍やウッドショック等の外部要因に加え、社内経営管理体制における不備もあり、3期連続の赤字計上を余儀なくされました。
経営の先行指標となるLOGWAYの新規来場数は、SNS等の広告施策により前期並みの1万3千件まで持ち直しましたが、ウッドショックに起因する値上げの影響から当社の主力商品の販売価格帯と従来の顧客層との予算面でのミスマッチが生じたことなどから、受注件数が大幅に減少する事態となりました。顧客との契約においては、契約からの工期短縮や業務効率を高めるための契約精度向上に取り組むとともに、改めて既存の未着工物件の確認やそれに係る契約の見直しも行ったことから、顧客事情等により着工が直ちに見込めない物件についてのキャンセルが増加しました。結果、契約(受注)棟数は343棟(前年同期比55.8%減)、連結契約(受注)高は、10,020百万円となり、期末契約(受注)残高は、8,659百万円となりました。
このような厳しい事態を踏まえ、2022年11月に策定した経営基盤強化策を実行に移し、創業来初の希望退職者募集による社員21名減員、本社の移転、連結子会社BESSパートナーズ(以下、BP社)における不採算拠点の閉鎖(金沢、千秋)等による固定費削減(年換算7億円減)を行いました。更に、保有不動産(東京・代官山BESS MAGMA用地・建物)の売却により譲渡益42億円を確保し、財務体質の大幅な改善を果たしました。なお、金融機関との間で締結している金銭消費貸借契約の財務制限条項の抵触については、本不動産の売却後の借入金の返済により、解消されております。これらに併せて、経営責任を明確にし、立直しを図るべく経営管理体制のスリム化及びフラット化(役位降格)を実施しました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は13,940百万円(前年同期比14.7%減)となりました。上期の受注の減少が下期の売上に大きく影響するため、通期での減収を免れませんでした。利益面は、減収の影響により、営業損失は881百万円(前年同期は336百万円の損失)、経常損失は886百万円(同362百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、経営基盤強化策実行に係る費用及び保有する展示場資産と本社資産の減損による特別損失919百万円の計上等の影響もあり、1,338百万円(同436百万円の損失)となりました。
(営業活動の状況)
①商品面の取り組み
・2022年8月にBESSの平小屋「栖ログ」を発売しました。小屋×平屋×ログハウスで、暮らしの新たなジャンルを提案する「栖ログ」は新シリーズです。住宅市場では平屋住宅はこの10年で1.8倍に伸びており、従来の住宅取得の価値観と異なる層が増えてきています。リモートワークを交えた働き方の変容や、50代以上の層では二人暮らしサイズへの住み替えや二拠点居住など、身軽さや自由を求める新たな発想が動き始めています。そんな市場の胎動に向けたBESSの新提案が「BESSの平小屋」です。栖とは鳥の巣を意味し、余計なモノは持たず、余計な部屋もつくらない、土に近く自然に近い平屋の暮らし。外とのつながりが自由を生む小屋のような軽やかな暮らしを提案します。大きさによりS、M、Lの3タイプです。
・2022年11月にG-LOGの特別モデル「コルリ」を定番モデルより価格を抑えた特別価格で発売しました。G-LOGらしい伸びやかな暮らしに自分好みの工夫をいろいろと加えていける特別モデルです。自分好みを楽しむおおらかな暮らしの提案です。
②営業面の取り組み
・LOGWAYの来場数の減少もあり、BESS本来の営業方針にズレが出てきた状況から、BESS独自の営業システムである、具体的な計画を持たない潜在顧客にLOGWAYでの体感等を通してBESSファンになっていただき、BESSの暮らしへとナビゲートする「農耕型営業」への原点回帰に舵を切りました。
・営業システムの原点回帰を促進するため、ホームナビゲーターを中心とするLOGWAYスタッフへの研修会・勉強会及び定例会議等を見直しました。
・集客においては、SNSの活用を広げるとともにLOGWAYでのイベント等の開催を通して認知拡大及び集客に努めました。またLOGWAYコーチャーによるLOGWAYでの活動を引き続き推進しました。
・2022年4月より特建事業室を新設し、木造の施設・店舗建築等を対象としたBtoB事業をスタートさせました。また2023年2月にCLT(直交集成板)ログの準耐火認定を取得しております。幼稚園の多目的棟やスポーツ施設のクラブハウスなど、既に複数のCLTログハウスを受注しております。更に2021年10月に発売した“可動式のログ小屋”IMAGOについてもキャンプ場の宿泊ロッジや店舗利用などの活用が進んでおり、独自性の高い商品で今後発展を目指します。
(業績先行指標の状況)
先行指標となる全国LOGWAYへの新規来場者数は昨年並みの前年同期比0.2%増となりましたが、これまでの来場数の低迷からLOGWAYクラブの新規入会数は前年同期比で36.9%減、連結契約(受注)高は前年同期比33.5%減の10,020百万円、期末契約(受注)残高は8,659百万円(同28.7%減)となりした。
LOGWAY展開については、BESS南愛知がBESS北愛知に統合したこと及び、BESS金沢の閉鎖により、現在の稼働拠点数は直営拠点を含めて38拠点となりました。
営業体制は、BESS事業全体(販社含む)の専任営業員数(BESS専任の営業として在籍する営業員数)は、110名と前期末より34名減少いたしました。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(連結経営成績に関する分析)
当社グループの当連結会計年度における連結売上高は、上期の受注の減少が下期の売上に大きく影響し、前年同期比14.7%減の13,940百万円となりました。一方、利益面は、減収の影響により、営業損失は881百万円(前年同期は336百万円の損失)、経常損失は886百万円(同362百万円の損失)となり、親会社株主に帰属する当期純損失は、経営基盤強化策実行に係る費用及び保有する展示場資産と本社資産の減損による特別損失919百万円の計上等の影響もあり、1,338百万円(同436百万円の損失)となりました。
(連結財政状態に関する分析)
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末比で826百万円減少の11,195百万円、負債は同484百万円増加の10,313百万円、純資産は同1,311百万円減少の881百万円となりました。それぞれの主な増減要因につきましては、次の通りであります。
総資産につきましては、「繰延税金資産」が前連結会計年度末比で439百万円増加した一方、「売掛金及び完成工事未収入金」が同519百万円、「仕掛販売不動産」が同140百万円、「有形固定資産」が同585百万円減少したこと等によります。
負債につきましては、「短期借入金」が同1,094百万円、「一年以内返済予定長期借入金」が同695百万円、「仮受金」が同705百万円、前連結会計年度末比でそれぞれ増加した一方、「買掛金及び工事未払金」が同718百万円、「長期借入金」が同1,541百万円減少したこと等によります。
純資産につきましては、親会社株主に帰属する当期純損失1,338百万円を計上したこと等によります。
その結果、自己資本比率は7.9%となりました。
なお、2024年3月期については、2023年4月に代官山資産売却及びそれに伴う借入金返済を行うことにより自己資本比率は回復する見込みです。
(個別業績の概要)
当事業年度における売上高は、上期の受注の減少が下期の売上に大きく影響し、前年同期比13.9%減の10,862百万円となりました。また、利益面においては、上記連結経営成績に記載の状況により、営業損失1,052百万円(前年同期は347百万円の損失)、経常損失1,055百万円(同365百万円の損失)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、経営基盤強化策実行に係る費用及び保有する展示場資産と本社資産の減損による特別損失867百万円の計上等の影響もあり、1,382百万円(同440百万円の損失)となりました。
(報告セグメントの業績概要)
当社グループの単一事業であるBESS事業は、暮らしのブランド『BESS』の下、『「住む」より「楽しむ」』をスローガンに、個性的で楽しい暮らし方のデザインにまで踏み込んで開発した企画型住宅(=ログハウス等の自然派個性住宅)の提供を行っております。住宅引渡時点での顧客満足以上に、暮らしをスタートしてからの「“ユーザー・ハピネス”の実現」を使命としています。
その業績概要については、以下の3つの報告セグメントに区分されます。
イ 直販部門
連結売上高の34.9%(外部顧客売上高ベース)を占める直販部門は、東京都・代官山の「BESS MAGMA」、東京都・昭島の「BESS多摩」及び神奈川県の「BESS藤沢」の直営3拠点で、東京・神奈川圏を中心とする顧客との直接の工事元請契約によるBESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。なお、「BESS MAGMA」は、経営基盤強化策の一環として売却しましたが、2025年4月まで引き続きBESSブランドの発信拠点として営業いたします。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高は、4,873百万円(前年同期比11.6%減)、減収によりセグメント利益は332百万円(同44.9%減)となりました。
業績の先行指標となる受注状況は、セグメント契約高が3,633百万円(同25.6%減)となりました。
ロ 販社部門
連結売上高の29.2%を占める販社部門は、全国18社の地区販社(パートナーズ社・株式会社BESS札幌・株式会社BESS岐阜を除く)の24拠点に対して、BESSブランドと販売システム等を提供するとともに、BESS企画型住宅の部材キット等を供給する事業を行っております。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高5,991百万円(前年同期比15.6%減)、セグメント損失207百万円(前年同期はセグメント利益192百万円)となりました。
また、セグメント契約高は2,768百万円(同29.3%減)となりました。
ハ BP社
連結売上高の35.9%を占めるBP社は、千秋(秋田県)、熊谷(埼玉県)、水戸、つくば(茨城県)、富士、浜松(静岡県)、東愛知(愛知県)、糸島(福岡県)、熊本(熊本県)及びその連結子会社である株式会社BESS札幌が担う札幌(北海道)、同じく株式会社BESS岐阜が担う岐阜(岐阜県)による合計11拠点のLOGWAYを営業拠点として、顧客との直接の工事元請契約によるBESS企画型住宅等の提供を主要事業としております。なお、金沢(石川県)におきましては、2023年2月、経営基盤強化策の一環として、閉鎖をいたしました。新規営業活動は停止いたしますが、引き続き既存ユーザーへのメンテナンス事業は継続しております。また、千秋につきましても、同様に2023年6月をもって閉鎖する予定です。
当連結会計年度の業績は、セグメント売上高は5,256百万円(前年同期比19.1%減)となり、セグメント損失は112百万円(前年同期はセグメント利益166百万円)となりました。
また、セグメント契約(受注)高は3,618百万円(同42.4%減)となりました。
②受注及び販売の実績
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) (単位:百万円)
セグメント 区分 |
品目名称 |
前連結会計年度繰越高 |
当連結会計年度契約高 |
計 |
当連結会計年度売上高 |
次期繰越高 |
当連結会計年度施工高 |
|
契約残高 |
うち施工高 |
|||||||
直販部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
69 |
362 |
432 |
260 |
171 |
- |
- |
ログハウス等工事 |
4,980 |
4,494 |
9,475 |
5,050 |
4,425 |
122 |
5,006 |
|
その他 |
- |
28 |
28 |
197 |
0 |
- |
- |
|
(小計) |
5,050 |
4,885 |
9,936 |
5,508 |
4,597 |
122 |
5,006 |
|
販社部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
2,690 |
3,913 |
6,603 |
4,032 |
2,570 |
- |
- |
その他 |
- |
- |
- |
574 |
- |
- |
- |
|
(小計) |
2,690 |
3,913 |
6,603 |
4,607 |
2,570 |
- |
- |
|
BP社 |
ログハウス等 部材キット販売 |
- |
69 |
69 |
54 |
15 |
- |
- |
ログハウス等工事 |
4,908 |
6,208 |
11,117 |
6,161 |
4,956 |
30 |
6,178 |
|
その他 |
- |
- |
- |
10 |
- |
- |
- |
|
(小計) |
4,908 |
6,277 |
11,186 |
6,225 |
4,971 |
30 |
6,178 |
|
合計 |
|
12,649 |
15,076 |
27,726 |
16,341 |
12,139 |
153 |
11,184 |
(注)1 前連結会計年度以前に契約したもので、契約の更改等により金額に変更のあるものについては、当期契約高に含めております。
2 次期繰越高のうち施工高については、未成工事支出金により手持工事の施工高を推定したものであります。
3 「ログハウス等工事」の施工高は(売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
4 各部門の「その他」(販促物販売収入等)は、契約高の繰越管理を行っておりませんので、「前期繰越高」「当期契約高」及び「次期繰越高」の欄の記載は行っておりません。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) (単位:百万円)
セグメント 区分 |
品目名称 |
前連結会計年度繰越高 |
当連結会計年度契約高 |
計 |
当連結会計年度売上高 |
次期繰越高 |
当連結会計年度施工高 |
|
契約残高 |
うち施工高 |
|||||||
直販部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
171 |
406 |
578 |
467 |
110 |
- |
- |
ログハウス等工事 |
4,425 |
3,203 |
7,629 |
4,194 |
3,434 |
183 |
4,276 |
|
その他 |
0 |
22 |
23 |
209 |
0 |
- |
- |
|
(小計) |
4,597 |
3,633 |
8,230 |
4,870 |
3,546 |
183 |
4,276 |
|
販社部門 |
ログハウス等 部材キット販売 |
2,570 |
2,768 |
5,339 |
3,793 |
1,546 |
- |
- |
その他 |
- |
- |
- |
277 |
- |
- |
- |
|
(小計) |
2,570 |
2,768 |
5,339 |
4,070 |
1,546 |
- |
- |
|
BP社 |
ログハウス等 部材キット販売 |
15 |
28 |
44 |
41 |
2 |
- |
- |
ログハウス等工事 |
4,956 |
3,589 |
8,545 |
4,981 |
3,564 |
32 |
4,982 |
|
その他 |
- |
- |
- |
△24 |
- |
- |
- |
|
(小計) |
4,971 |
3,618 |
8,589 |
4,998 |
3,567 |
32 |
4,982 |
|
合計 |
|
12,139 |
10,020 |
22,159 |
13,940 |
8,659 |
216 |
9,259 |
(注)1 前連結会計年度以前に契約したもので、契約の更改等により金額に変更のあるものについては、当期契約高に含めております。
2 次期繰越高のうち施工高については、未成工事支出金により手持工事の施工高を推定したものであります。
3 「ログハウス等工事」の施工高は(売上高+次期繰越施工高-前期繰越施工高)に一致しております。
4 各部門の「その他」(販促物販売収入等)は、契約高の繰越管理を行っておりませんので、「前期繰越高」「当期契約高」及び「次期繰越高」の欄の記載は行っておりません。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、3,199百万円となり、前連結会計年度末3,129百万円に対し70百万円の増加となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により539百万円の資金減少(前年同期は568百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前当期純損失1,761百万円(同359百万円の損失)、仕入債務の減少額718百万円(同568百万円の増加)等による資金減少要因が、売上債権の減少額523百万円(同353百万円の増加)、棚卸資産の減少額162百万円(同596百万円の増加)及び減損損失673百万円等による資金増加要因を上回ったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により増加した資金は359百万円(前年同期は361百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産売却による収入595百万円(前年同期は16百万円)、固定資産取得による支出159百万円(同330百万円)及び保証金の差入れによる支出89百万円(同7百万円)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により増加した資金は239百万円(前年同期は1,111百万円の減少)となりました。これは、短期借入金1,094百万円(同1,500百万円の減少)の増加等の資金増加要因が、長期借入金846百万円(同1,211百万円)の返済等の資金減少要因を上回ったことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金の主要な需要は営業費用であります。具体的には、ログハウス等部材キットに係る部材等の調達費、施工に要する外注費等の「売上原価」と、人件費、広告宣伝販促費、研究開発費等の「販売費及び一般管理費」であります。
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、内部資金のほか金融機関からの借入により資金調達することとしております。そのうち、運転資金は複数の金融機関との間で締結しているシンジケーション方式によるコミットメントライン契約(総額2,000百万円、うち借入実行残高2,000百万円)をはじめとする短期借入金を中心に、設備投資などの長期性資金については、長期借入金(2023年3月末残高2,305百万円)を中心にそれぞれ調達しています。なお、これら借入金の大半となる4,291百万円は、2023年3月30日付の代官山資産の売却に係る不動産売買契約に基づく売却代金等の精算が行われたことにより2023年4月25日をもって返済いたしましたので、当面の運転資金及び設備資金は内部資金によるものとなります。
資金の流動性につきましては、顧客契約から売上計上及び代金の回収までのサイクルが長い(直販部門では元請工事の一般的な工期が約1年)ことなどを勘案して、借入金による調達実行の活用を含め、常に不測の事態に備えて厚めの残高(月商の3ヵ月を目安)を維持するよう努めております。
(財務政策)
当社は、株主の皆様に当社株式を長期的に保有いただくために、連結純資産配当率(DOE)を重視した「長期的な視点での安定的配当」を利益還元の柱とするとともに、将来の事業成長と経営体質の強化のために 必要な内部留保の確保にも配慮していくことを基本方針としております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産、負債の報告数値、並びに報告期間における収入、費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。当社の経営陣は連結財務諸表作成の基礎となる見積り、判断及び過程を過去の実績や状況に応じ、合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っております。しかしながら、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。これらの見積りと実際の結果が異なった際は、当社グループの連結財務諸表及びセグメントの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、重要な会計上の見積りに係る計上基準については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4 会計方針に関する事項(3)重要な引当金の計上基準」に記載の通りであります。