E00619 Japan GAAP
前期
2,288.3億 円
前期比
92.1%
株価
2,994 (12/20)
発行済株式数
27,080,043
EPS(実績)
146.60 円
PER(実績)
20.42 倍
前期
556.1万 円
前期比
103.0%
平均年齢(勤続年数)
42.1歳(17.7年)
従業員数
1,754人(連結:3,564人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(大建工業㈱)、子会社26社及び関連会社2社(2024年3月31日現在)により構成されており、木質内装建材、住宅機器、畳おもて、MDF、北米素材事業(単板、構造用LVL)等の製造販売を主たる業務としております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置づけは、次のとおりであります。
なお、次の3部門は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(1)建材事業
(木質内装建材)
当社が製造販売するほか、㈱ダイフィット、㈱ダイウッド及びセトウチ化工㈱が製造し、当社が仕入販売しております。
なお、㈱テーオーフローリングについては解散決議を行い、清算手続き中であります。
(住宅機器)
当社が製造販売するほか、富山住機㈱が製造し、当社が仕入販売しております。また、大建阿美昵体(上海)商貿有限公司は、設計及び中国市場での販売を行っております。PT.DAIKEN DHARMA INDONESIAは、インドネシア市場での製造販売を行っております。
なお、大建工業(寧波)有限公司については解散決議を行い、清算手続き中であります。
(2)素材事業
(インシュレーションボード、ダイロートン、ダイライト)
当社が製造販売しております。
(畳おもて)
㈱ダイタック及び会津大建加工㈱が製造し、当社が仕入販売しております。
(MDF)
DAIKEN NEW ZEALAND LIMITED、DAIKEN SOUTHLAND LIMITED、DAIKEN SARAWAK SDN. BHD.及びDAIKEN MIRI SDN. BHD.が製造し、当社が仕入販売しております。
(北米素材事業)
CIPA Lumber Co. Ltd.は単板を製造販売しております。また、Pacific Woodtech Corporationは構造用LVLを製造販売しております。
(素材その他)
日南大建㈱はLVL用単板加工業、エコテクノ㈱は木質廃材加工業を営んでおります。
(3)エンジニアリング事業
(内装工事)
ビル・マンション・店舗・文教施設等の内装工事をダイケンエンジニアリング㈱、鉱工産業㈱及び三恵㈱が請負っております。
(コンフォート事業)
㈱リフォームキュー及び㈱スマイルアップは、当社グループ製品を使用した住宅のリフォーム工事を行っております。また、㈱パックシステムは、当社グループ製品を使用したマンションリノベーション事業を行っております。㈱カルテル及び㈱スタッフは、システム収納家具の設計、製造販売及び施工を行っております。㈱清田工業は、空調設備工事を行っております。
(4)その他
(その他)
当社が合板等の商品の仕入販売等を行っております。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の各国の対応が落ち着きをみせるなど、経済社会活動の活性化に向けた取り組みが推進される一方で、地政学リスクを主とする情勢不安の長期化・深刻化やサプライチェーンの混乱、資源価格の高騰に加え、世界的なインフレや急激な為替の変動などにより、先行き不透明な状況が続きました。
国内住宅市場におきましては、持ち家、分譲住宅、貸家とも前年比減となり、新設住宅着工件数の弱含みの傾向が顕著となりました。一方で公共・商業建築分野においては、労務費・原材料コストの上昇による建設費の高騰が続いているものの、首都圏を中心とした各種再開発プロジェクトの進行などにより、オフィスビル等の内装工事を中心に工事需要は旺盛に推移しました。
海外市場におきましては、昨年に引き続き家具・建材需要の低迷によりMDFの市況価格は昨年下期同様に軟化傾向となりました。米国では、ストック住宅の不足から一定の住宅需要の回復が見られるものの、金利は依然高止まりしており、楽観視できない市況環境が続いています。
このような経営環境の中、当社グループは2022年度よりスタートした中期経営計画『GP25 3rd Stage』(2022-2025年度)の基本方針に基づき、サステナビリティを経営の軸に据え、「成長戦略の実行」と「経営基盤の強化」を推進しております。国内市場では、住宅のリフォーム・リノベーション市場をターゲットとした『Black+(ブラックプラス)』シリーズを展開し、インテリアトレンドを取り入れた魅力ある空間づくりを提案いたしました。また、公共・商業建築分野向け製品開発における他社との協創活動の活性化、ウェルビーイングの観点からオフィスの音環境改善を訴求する情報発信などを行い、同分野での認知度向上や新規顧客との接点獲得に向け組織体制を強化しました。
海外市場では、MDFの収益性改善に向けた生産性向上、構造改革を推進しました。また、中国事業においても同様に収益改善に着手し、大幅な合理化を実行しました。北米事業につきましては、カナダにて単板の製造販売を行う当社連結子会社「CIPA Lumber Co. Ltd.」(以下、CIPA社)において合理化・コストダウンを進めるとともに、事業買収によりLVLの生産規模を大きく拡大させた持分法適用関連会社「Pacific Woodtech Corporation」(以下、PWT社)との連携強化を図りました。
この結果、当連結会計年度の業績は、次のとおりとなりました。
(連結業績) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
228,826 |
210,642 |
△18,183 |
△7.9% |
営業利益 |
9,856 |
5,938 |
△3,918 |
△39.8% |
経常利益 |
13,008 |
9,314 |
△3,694 |
△28.4% |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
10,325 |
3,970 |
△6,355 |
△61.5% |
売上高につきましては、オフィスビル等の内装工事の需要、及びマンションリノベーション市場が好調に推移したものの、世界的な木質素材の需要減少などにより、減収となりました。
営業利益、経常利益につきましては、価格改定を実施したことで適正な価格で販売が出来たことに加え、オフィス等の内装工事需要が好調であったことを受け、国内事業の収益性は回復したものの、MDFの売上減などに加え、2022年8月1日以降のPWT社連結除外に伴う影響により、減益となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益、経常利益の減少に加え、ニュージーランドの連結子会社2社において同国の税制改正に伴う一過性の税費用が発生したこと、また、前年度にPWT社に対する持分の変動に伴う特別利益を計上した影響もあり、減益となりました。
なお、当社は株式併合及び一連の手続きにより、2023年12月に伊藤忠商事㈱の完全子会社への移行を完了し、当社株式は上場廃止となりました。
セグメントごとの業績は、次のとおりであります。
(素材事業) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
97,681 |
73,290 |
△24,391 |
△25.0% |
営業利益 |
11,764 |
1,795 |
△9,969 |
△84.7% |
素材事業につきましては、世界的なMDFの需要減少や、米国の住宅市況の低迷による木材製品の需要減少などに加え、2022年8月1日以降のPWT社連結除外に伴う影響により減収となりました。
利益につきましては、上記の減収による影響に加え、MDFの需給軟化に伴う販売価格の低迷や、北米市場における木材相場が低調であったことなどの影響により、減益となりました。
(建材事業) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
93,000 |
97,227 |
4,227 |
4.5% |
営業利益 |
178 |
5,756 |
5,578 |
3,128.2% |
建材事業につきましては、売上高はドアの納期遅延や一部床材の受注制限により販売が減少した前年からの反動増や、カタログ価格の改定による販売価格の上昇などにより、増収となりました。
利益につきましては、上記の増収による影響に加え、合理化やコストダウン施策などにより増益となりました。
(エンジニアリング事業) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
増減率 |
売上高 |
24,756 |
29,246 |
4,489 |
18.1% |
営業利益 |
912 |
1,824 |
911 |
99.9% |
エンジニアリング事業につきましては、オフィスビル等の内装工事の需要、およびマンションリノベーション市場が好調に推移したことにより、増収・増益となりました。
b.財政状態
当連結会計年度の財政状態は以下のとおりとなりました。
(連結財政状態) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減額 |
|
資産 |
185,797 |
198,424 |
12,627 |
|
負債 |
93,478 |
94,753 |
1,274 |
|
|
有利子負債 |
29,700 |
29,495 |
△205 |
純資産 |
92,318 |
103,671 |
11,352 |
資産につきましては、決済条件の見直し及び年度末日の休日要因による電子記録債権の増加等により、前連結会計年度末比126億27百万円増の1,984億24百万円となりました。
負債につきましては、年度末日の休日要因による電子記録債務の増加等により、前連結会計年度末比12億74百万円増の947億53百万円となりました。なお、有利子負債は、前連結会計年度末比2億5百万円減の294億95百万円となりました。
純資産につきましては、円安の進行による為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末比113億52百万円増の1,036億71百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ51億5百万円減少し108億30百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(連結キャッシュ・フロー) (単位:百万円)
|
2023年3月期 |
2024年3月期 |
増減率 |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
△107 |
6,504 |
-% |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
575 |
△8,415 |
-% |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
247 |
△3,856 |
-% |
営業活動の結果得られた資金は、65億4百万円(前年同期は1億7百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益の計上等によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は、84億15百万円(前年同期は5億75百万円の収入)となりました。これは、主に有形固定資産の取得等によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、38億56百万円(前年同期は2億47百万円の収入)となりました。これは、主に配当金の支払等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
建材事業 |
57,896 |
0.7 |
素材事業 |
84,050 |
△24.8 |
エンジニアリング事業 |
29,246 |
18.1 |
報告セグメント計 |
171,192 |
△11.8 |
その他 |
- |
- |
合計 |
171,192 |
△11.8 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
建材事業及び素材事業については見込み生産を行っているため、該当事項はありません。また、エンジニアリング事業については、受注高及び受注残高に金額的重要性がないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
建材事業 |
97,227 |
4.5 |
素材事業 |
73,290 |
△25.0 |
エンジニアリング事業 |
29,246 |
18.1 |
報告セグメント計 |
199,764 |
△7.3 |
その他 |
10,878 |
△18.7 |
合計 |
210,642 |
△7.9 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 経営成績及び財政状態等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.当連結会計年度の経営成績と経営上の目標の達成状況
中期経営計画『GP25 3rd Stage』(2022-2025年度)の2年目となる2024年3月期は、売上高につきましては、オフィスビル等の内装工事の需要継続、およびマンションリノベーション市場が好調に推移したものの、世界的なMDFの需要減少、国内新設住宅着工数の減少などにより、前年同期比7.9%の減収となりました。
営業利益につきましては、価格改定を実施したことで適正な価格で販売ができたものの、MDFの売上減などに加え、2022年8月1日以降のPWT社連結除外に伴う影響により、前年同期比39.8%の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、営業利益、経常利益の減少に加え、前年度にPWT社に対する持分の変動に伴う特別利益を計上した影響もあり、前年同期比61.5%の減益となりました。
中期経営計画『GP25 3rd Stage』の経営目標に対する実績は次のとおりであります。
※画像省略しています。
b.当連結会計年度の財政状態と目指すバランスシート
中期経営計画『GP25 3rd Stage』(2022-2025年度)では「成長戦略の実行」と「サステナビリティを軸とした経営基盤の強化」を基本方針に掲げ、長期ビジョン『GP25』実現に向けた成長のため、リスクとリターン、資本コストを考慮した積極的な投資スタンスの継続及び成長戦略・基盤強化のための積極投資、財務の健全性、株主還元の充実の最適化を図るキャッシュアロケーションの実施を当該計画の投資に関する目標としております。また、政策保有株式縮減の取り組みについても政策保有株式(みなし保有株式を含む)を純資産の10%以下に縮減する目標を掲げております。
そのようななか、当該計画の2年目である当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比126億27百万円増の1,984億24百万円となりました。この主な増加要因は決済条件の見直し及び年度末日の休日要因による電子記録債権の増加等によるものです。なお、当連結会計年度での政策保有株式の売却は1銘柄となり、資産圧縮に寄与しております。
また、当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末比12億74百万円増の947億53百万円となりました。この主な増加要因は年度末日の休日要因による電子記録債務の増加等によるものであります。有利子負債につきましては、前連結会計年度末比2億5百万円減の294億95百万円となりました。この主な減少要因は伊藤忠商事㈱による完全子会社化に伴う伊藤忠グループ金融への移行により、金融機関への借入金返済を進め、借入金などが減少した為です。
これらの結果、ROEは4.5%、自己資本比率は47.1%、D/Eレシオは0.32倍(ネットD/Eレシオは0.15倍)となり、資本効率性の指標である投下資本利益率(ROIC)は3.1%となりました。なお、ネットD/Eレシオの算出においては、ネット有利子負債を有利子負債から現金及び預金(預入期間が3か月を超える定期預金を含む)を控除した金額として定義し、これを自己資本で除した比率としております。
当該計画の最終年度である2026年3月期において目指すバランスシートでは、総資産2,100億円、有利子負債300億円、自己資本1,000億円としております。当該計画で掲げる業績目標の達成は元より、資産圧縮等の施策を確実に実行することでROE10%以上、ROIC8%以上、自己資本比率40%以上、D/Eレシオ0.5倍以下の達成を目指してまいります。
中期経営計画『GP25 3rd Stage』で目指すバランスシート |
|
(単位:億円) |
※画像省略しています。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資金の流動性に係る情報
※画像省略しています。
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当該計画では4年間累計で営業キャッシュ・フロー700億円を目標としており、これに手元資金及び金融機関等からの外部資金、政策保有株式売却により得た資金を活用し、戦略投資として400億円(海外、国内、新規事業等)、通常投資として維持更新等に200億円(年間50億円)を投資する計画としております。
これに対し、2年間累計の営業キャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の計上等により64億円のキャッシュ・インとなりました。これに対して投資キャッシユ・フローは設備投資や新規連結に伴う株式取得等により78億円のキャッシュ・アウトとなった結果、フリー・キャッシュ・フローは赤字となりました。また、戦略投資を含めた投資の総額は昨年度こそ上回ったものの累計で105億円に留まり、当該計画に対する進捗状況は低調な結果となりました。この主な要因は資源価格の高騰や世界的なインフレなどの不確実性の高まりなどの影響により投資計画の見直し及び実行の遅れが生じたことによるものであります。また、財務キャッシユ・フローは配当金の支払(非支配株主への支払も含む)126億円があったものの、有形固定資産の売却11億円、政策保有株式の売却31億円などの資産圧縮を行った結果、有利子負債の増加を10億円に留め、財務基盤の維持に努めた結果となりました。
株主還元につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載のとおりであります。
b.資金の流動性に係る情報及び資金調達
手元資金につきましては、伊藤忠商事㈱による完全子会社化に伴い、当社国内グループ会社は原則伊藤忠グループ金融に加入し、CMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を活用することでグループ全体の効率的な資金管理を行っています。
当社グループの資金調達につきましては、主に国内金融機関との間で、資金調達手段の多様化と資本効率の向上を企図し、借入や社債及びコマーシャルペーパーの発行等により資金調達を行ってまいりましたが、これらの返済、償還を進め、伊藤忠グループ金融からの調達に移管しております。また、財務の健全性向上につきましては、当該計画で掲げる自己資本比率40%以上及びD/Eレシオ0.5倍以下の目標を継続し、2024年3月期実績では自己資本比率47.1%、D/Eレシオ0.32倍となりいずれも当該計画の目標数値を達成した水準となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。