E00692 Japan GAAP
前期
1.55兆 円
前期比
105.9%
株価
3,776 (03/28)
発行済株式数
328,706,240
EPS(実績)
185.17 円
PER(実績)
20.39 倍
前期
700.1万 円
前期比
100.8%
平均年齢(勤続年数)
43.0歳(13.7年)
従業員数
10,843人(連結:53,946人)
当社グループ(当社、連結子会社219社、持分法適用非連結子会社2社及び持分法適用関連会社30社(2023年3月31日現在)により構成)におきましては、情報コミュニケーション事業分野、生活・産業事業分野及びエレクトロニクス事業分野の3事業分野にわたり幅広い事業活動を展開しております。各事業における当社グループの主な事業内容と、各事業に係る位置付け等及びセグメントとの関連は次のとおりであります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当期におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、持ち直しの動きがみられた一方、ウクライナ侵攻の長期化に伴うサプライチェーンの混乱や資源価格の高騰、急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。
当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少の他、原材料の供給面での制約や価格高騰など厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。
このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、トッパングループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決とともに持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで社会課題の解決を目指しています。
以上の結果、当期の売上高は前期に比べ5.9%増の1兆6,388億円となりました。また、営業利益は4.3%増の766億円、経常利益は6.4%増の811億円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ投資有価証券売却益が減少したことに加え、当期に減損損失が増加したことなどにより、50.6%減の608億円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a 情報コミュニケーション事業分野
セキュア関連では、帳票類の電子化などによりビジネスフォーム関連が減少したものの、ICカード関連が増加したことなどにより、前年を上回りました。
コンテンツ・マーケティング関連では、ペーパーメディアやSP関連が減少したものの、ゲームカードや株式会社BookLiveによる電子書籍関連事業、Web広告運用などのデジタルマーケティング関連の増加により、前年を上回りました。
BPO関連は、デジタルとオペレーションを組み合わせたハイブリッドBPOの拡販に努めたものの、昨年度の大型案件の反動により、減収となりました。
DX領域の「Erhoeht-X(エルへートクロス)」事業の取り組みとしては、デジタルマーケティングの運用体制強化に向け、札幌エンゲージメントセンターの開設や、CRM領域で豊富なノウハウを持つフュージョン株式会社との資本業務提携を実施しました。また、トッパン・フォームズ株式会社(新社名:TOPPANエッジ株式会社)が提供するメッセージ配信サービス「EngagePlus」の機能拡充などにより、企業や団体の業務効率改善を推進しています。
以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前期に比べ1.8%減の8,875億円、営業利益は16.3%減の428億円となりました。
b 生活・産業事業分野
パッケージ関連では、国内は、食品向けを中心とした需要の増加やサステナブル包材の拡大により、前年を上回りました。海外は、昨年度買収した米国軟包装メーカーInterFlex社、5月に買収したタイの軟包装メーカーMajend Makcs社に加え、インドネシアを中心に販売が拡大しました。なお、国内、海外ともに原材料やエネルギー価格の高騰を受け、価格改定を進めました。
建装材関連では、国内は、高意匠・高機能化粧シートの販売が拡大し、増収となりました。海外は、欧州での急速なインフレ及び北米での住宅金利の上昇による需要減の影響があったものの、家具などのインテリア向け化粧シートの販売拡大や価格改定に加え、為替の影響もあり、前年を上回りました。
高機能関連では、昨年度連結子会社化したインド大手フィルムメーカーのToppan Speciality Films社(旧社名:Max Speciality Films社)が貢献し、増収となりました。
SX領域の取り組みでは、世界最高水準のバリア性能を持つ透明バリアフィルム「GL BARRIER」を用い、リサイクル適性の高いモノマテリアル包材や、プラスチック使用量及びCO2排出量を削減するレトルト対応の紙製パウチなど、環境配慮型包材の開発に取り組みました。
以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前期に比べ17.2%増の5,206億円、営業利益は17.6%減の235億円となりました。
c エレクトロニクス事業分野
半導体関連では、フォトマスクは、5G・AI、車載向けなどの堅調な半導体需要を背景に、増収となりました。高密度半導体パッケージ基板のFC-BGA基板は、業界最高水準の品質と技術を武器に、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターやサーバー向けなどを中心に好調に推移しました。
ディスプレイ関連では、テレビ向けなどの需要が減少した反射防止フィルム及び構造改革を進めたカラーフィルタが減少し、前年を下回りました。
新事業創出の取り組みとしては、IoTの本格普及に向け、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」を活用した、工場や施設における環境データの遠隔監視や設備保全業務を効率化するシステム「e-Platch®(イープラッチ)」を開発し、クラウドセキュリティの国際標準規格「ISO/IEC 27017認証」を取得しました。また、産業用の自律走行ロボットなどの普及を見据え、最長30mの距離を測定できる次世代ToFセンサを世界で初めて開発しました。
以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前期に比べ15.3%増の2,553億円、営業利益は60.6%増の482億円となりました。
財政状態の状況は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ493億円減少し2兆2,388億円となりました。これは有価証券が464億円、建設仮勘定が104億円、商品及び製品が89億円、無形固定資産のその他に含まれるソフトウェア仮勘定が69億円、土地が52億円、それぞれ増加したものの、投資有価証券が1,319億円減少したことなどによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ643億円減少し7,866億円となりました。これは流動負債のその他に含まれる契約負債が160億円、短期借入金が118億円、それぞれ増加したものの、繰延税金負債が411億円、1年内償還予定の社債が400億円、未払法人税等が166億円、それぞれ減少したことなどによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ149億円増加し1兆4,521億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が843億円減少したものの、非支配株主持分が558億円、利益剰余金が468億円、それぞれ増加したことなどによるものです。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ333億円増加し4,476億円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1,095億円に減価償却費等の非資金項目、営業活動に係る債権・債務の加減算を行った結果、1,060億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入があった一方、設備投資などを行ったことから、314億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の売却などを行った一方、社債の償還や自己株式の取得、配当金の支払などを行ったことから、501億円の支出となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記金額は、販売価額によっており、セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引につきましては相殺消去しております。
2 相手先別販売実績につきましては、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先はないため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループ(当社及び連結子会社)の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(2) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ、5.9%増の1兆6,388億円となりました。
売上原価は前期比5.3%増の1兆2,766億円、売上原価率は0.5ポイント低下して77.9%となりました。この結果、売上総利益は、前期比8.2%増の3,621億円となりました。総合的なコスト削減策が奏功し、売上原価率は2020年3月期に80%を切った後、さらに3期連続で低減しています。引き続き、組織のスリム化や生産の効率化、原材料調達の見直しなどに取り組んでまいります。
販売費及び一般管理費は、前期比9.3%増の2,855億円となりました。対売上高比率は17.4%で、前期の16.9%から0.5ポイント上昇しました。当社グループでは現在、収益力強化に向けた事業構造改革を進めており、最適な人員配置による外部委託費の低減、総労務費圧縮などを引き続き推進していく方針です。
営業利益は前期比4.3%増の766億円となり、売上高営業利益率は4.7%で、前期並みとなりました。当社グループは、本業の収益力を測る指標として営業利益を重視し、今後もその拡大に向けた施策を積極的に講じる方針です。
税金等調整前当期純利益は前期比39.5%減の1,095億円となりました。これは、当社の進めている保有資産価値見直し施策において、株安の影響もあり投資有価証券売却益が減少したこと、また世界的なインフレ・消費停滞等を受けて、北米の軟包材コンバーティング事業や国内紙器事業で減損損失を計上したことなどによるものです。
以上の結果、非支配株主に帰属する当期純利益を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比50.6%減の608億円となり、1株当たり当期純利益は前期の365円21銭から185円7銭に減少しました。
利益率は、総資産当期純利益率(ROA)が前期の5.3%から2.7%へ、自己資本当期純利益率(ROE)が前期の9.2%から4.5%へ、それぞれ低下しました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
情報コミュニケーション事業分野の総資産は10億円(0.1%)増加し、8,413億円となりました。生活・産業事業分野の総資産は193億円(3.8%)増加し、5,248億円となりました。エレクトロニクス事業分野の総資産は822億円(36.6%)増加し、3,072億円となりました。
なお、セグメント別の経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金は主に製品製造に使用する原材料や部品の調達に費やされており、製造費や販売費及び一般管理経費に計上される財・サービスに対しても同様に費消されております。また、設備投資資金は、生産設備取得等生産体制の構築、情報システムの整備等に支出されております。
これらの必要資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローから創出し、必要に応じて柔軟的かつ機動的に借入や社債発行等により調達しており、資産効率の向上と今後の持続的な成長を実現させるため、M&Aなどの事業投資を含む成長投資や構造改革等の投資財源へ充当してまいります。
また、当社グループは手元流動性残高から有利子負債を控除したネットキャッシュの水準を重視した資金管理を実施しており、必要な流動性資金は充分に確保しております。これらの資金をグループ内ファイナンスで有効に活用することにより、効率的な資金運用を図っております。
これらの方針により、持続的成長に向けた投資の強化、構造改革の推進及び安定的な株主還元のバランスをとり、財務健全性との両立を重視した運営を堅持してまいります。