売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00692 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 経営成績の分析

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年12月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費やインバウンドなどの持ち直しがみられました。一方で、世界的な金融引き締めによる景気の下押しリスクに加え、物価上昇や急激な為替変動など、先行き不透明な状況が続きました。

当社グループを取り巻く環境におきましては、情報媒体のデジタルシフトによるペーパーメディアの需要減少など、厳しい経営環境が続きましたが、生活様式の変化に伴うデジタル需要の増加や地球環境に対する意識の高まりなど、新たな需要が見込まれています。

このような環境の中で当社グループは、「Digital & Sustainable Transformation」をキーコンセプトに、社会やお客さま、TOPPANグループのビジネスを、デジタルを起点として変革させる「DX(Digital Transformation)」と、事業を通じた社会的課題の解決と持続可能性を重視した経営を目指す「SX(Sustainable Transformation)」を柱に、ワールドワイドで事業を展開しています。なお、当社はグループシナジーの最大化を図るとともに、経営資源の最適配分及び迅速な意思決定を可能とするため、2023年10月1日付で「TOPPAN株式会社」及び「TOPPANデジタル株式会社」に当社が有する権利義務の一部を承継させ、持株会社体制へと移行するとともに、商号を「TOPPANホールディングス株式会社」へ変更しました。

なお、各セグメントの内訳について、当期よりスタートしている新中期経営計画に基づく成長戦略に沿って名称及び区分定義を見直しております。報告セグメントの取扱いに変更はありません。

報告セグメント

前期の区分

当期の区分

情報コミュニケーション事業分野

セキュア

コンテンツ・マーケティング

BPO

デジタルビジネス

BPO

セキュアメディア

コミュニケーションメディア

生活・産業事業分野

パッケージ

建装材

高機能

パッケージ

建装材

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ0.2%増1兆2,158億円となりました。また、営業利益は20.2%減397億円となり、経常利益は20.4%減461億円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は11.3%減577億円となりました。

当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の状況は以下のとおりです。

 

①情報コミュニケーション事業分野

デジタルビジネス関連では、デジタルギフトや金融系WEBシステム開発などのデジタルセキュアや、欧州や中東を中心としたグローバルセキュアが増加し、増収となりました。メタバースの取り組みとしては、グローバル市場での展開を目指し、世界各国に事業を展開するベトナム最大手のシステムインテグレーターであるFPTグループと、技術提携によるソリューション開発や東南アジアにおける事業開発などにおいて、協業を開始しました。

BPO関連では、昨年度の一過性案件の反動により、減収となりました。当事業では、金融・行政を中心とするハイブリッドBPOの拡大に注力しており、当期においては、住民サービスの向上を目的に全国の自治体との協定締結を進めるなど、行政分野での案件創出に向けた取り組みを推進しました。

 

セキュアメディア関連では、ICカード関連が増加し、増収となりました。

コミュニケーションメディア関連では、ゲームカードが増加したものの、商業印刷やSP関連が減少し、減収となりました。

以上の結果、情報コミュニケーション事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ1.2%減6,421億円、営業利益は19.1%減195億円となりました。

 

②生活・産業事業分野

パッケージ関連では、海外は、欧州市況悪化の影響を受けた事に加え、インドでは豪雨による工場浸水被害に、需給バランス悪化に伴う市場価格下落の影響が重なり、減収となりました。国内は、レンジ活用や脱アルミなどのニーズに対応した、世界最高水準のバリア性能を持つ「GL BARRIER」を用いたSXパッケージが拡大し、当事業全体では増収となりました。グローバルパッケージ事業の拡大に向けては、フィルム製造も行う英国のコンバーターであるSkymark Packaging International社を買収し、幅広い用途で需要の高まるSXパッケージの供給体制を強化しました。また、国内の取り組みとしては、製品のライフサイクルにおけるCO₂排出量削減に向け、パッケージとともに建装材、出版・商業印刷物の3品目において、CO₂排出量算定システムの第三者認証を取得しました。

建装材関連では、海外は、欧米でのインフレによる住宅金利の上昇や中国経済の減速の影響を受けましたが、新興国市場の開拓を進めたほか、国内は、高意匠・高機能建材とソリューションサービスを組み合わせた空間演出ブランド「expace(エクスペース)」を拡販し、当事業全体で前年並みとなりました。

以上の結果、生活・産業事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ0.8%増3,945億円、営業利益は6.3%増196億円となりました。

 

③エレクトロニクス事業分野

半導体関連では、半導体市況の回復が遅れる中、フォトマスクは、アジア向けの需要を取り込み堅調に推移したことに加え、高密度半導体パッケージのFC-BGA基板は、大型・高多層の高付加価値品が、データセンターのサーバー向けを中心に拡大し、当事業全体で増収となりました。

ディスプレイ関連では、全般的な市況は弱含みに推移する中、反射防止フィルムは、ノートPCやモニター向けの高付加価値品の需要を取り込み増加しましたが、TFT液晶パネルは、車載向けなどの需要が減少し、当事業全体では減収となりました。

新事業の創出に向けては、次世代ディスプレイを支える商材の1つとして、スイッチ1つで透明と不透明を瞬時に切り替えられる液晶調光フィルム「LC MAGIC™」の拡販に取り組み、世界初の車載用調光サイドウィンドウガラスに採用されました。また、IoTの本格普及に向け、次世代LPWA(低消費電力広域ネットワーク)通信規格「ZETA」を活用した、工場や施設における環境データの遠隔監視や設備保全業務を効率化するシステム「e-Platch®(イープラッチ)」の拡販に取り組みました。

以上の結果、エレクトロニクス事業分野の売上高は前年同四半期連結累計期間に比べ3.6%増1,967億円、営業利益は1.8%増359億円となりました。

 

(2) 財政状態の分析

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,084億円増加し、2兆3,473億円となりました。これは受取手形、売掛金及び契約資産が172億円減少したものの、投資有価証券が509億円、現金及び預金が307億円、建設仮勘定が104億円、仕掛品が69億円、投資その他の資産のその他に含まれる繰延税金資産が61億円、それぞれ増加したことなどによるものです。

負債は、前連結会計年度末に比べ318億円増加し、8,184億円となりました。これは固定負債のその他に含まれる繰延税金負債が206億円、流動負債のその他に含まれる契約負債が160億円、それぞれ増加したことなどによるものです。

純資産は、前連結会計年度末に比べ766億円増加し、1兆5,288億円となりました。これはその他有価証券評価差額金が399億円、為替換算調整勘定が162億円、非支配株主持分が124億円、それぞれ増加したことなどによるものです。

 

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び連結子会社)が優先的に対処すべき課題について、重要な変更はありません。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループ(当社及び連結子会社)全体の研究開発費は20,189百万円であります。

 

(5) 従業員数

①連結会社の状況

当第3四半期連結累計期間において、連結会社の従業員数に著しい増減はありません。

 

②提出会社の状況

当第3四半期累計期間において、当社の従業員数は前事業年度末から9,126名減少し、1,717名となっております(2023年12月31日現在)。これは、2023年10月1日付で会社分割を行い、持株会社体制へ移行したことによるものです。

なお、従業員数は、当社から他社への出向者を除き、他社から当社への出向者を含む就業人員数であります。