売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02362 IFRS

売上高

4,514.1億 円

前期

4,082.0億 円

前期比

110.6%

時価総額

6,102.2億 円

株価

3,258 (04/25)

発行済株式数

187,300,000

EPS(実績)

203.83 円

PER(実績)

15.98 倍

平均給与

872.1万 円

前期

860.4万 円

前期比

101.4%

平均年齢(勤続年数)

44.0歳(19.0年)

従業員数

2,385人(連結:20,027人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社63社及び関連会社4社で構成され、楽器事業、音響機器事業及びその他の事業の3つのセグメントで、グローバルに事業を展開しております。音・音楽を中心にした事業を通じて磨いてきた感性と多彩な技術を融合し、それぞれの事業領域で、当社グループならではの価値を生み出しております。

 

(1) 楽器事業

 楽器の製造・販売、音楽教室等の運営、音楽・映像ソフトの制作・販売など多彩な事業を展開しております。初心者からプロフェッショナルまで幅広いユーザーに評価されるこれらの製品・サービスは、アーティストとの対話により進める研究開発やグローバルに展開するきめ細かな営業・サービス活動に支えられております。

 

(2) 音響機器事業

 「音・音楽」をコアとして培ったデジタルとアコースティックの技術を生かし、業務用からコンシューマー向けまで多彩なソリューションを提供しております。業務用音響機器、音楽制作機器・ソフトウェア、ホームオーディオ機器、音声コミュニケーション機器、ネットワーク機器、防音室まで幅広い製品で構成されております。

 

(3) その他の事業

 電子デバイス、自動車用内装部品、FA(Factory Automation)機器からなる部品・装置事業と、ゴルフ用品事業及びリゾート事業でも、楽器の製造・販売を通じて蓄積した技術・ノウハウを生かして、お客様に満足いただける製品とサービスを提供しております。

 

各事業における主要製品及びサービスとその概要は、以下のとおりであります。

事業

主要製品及びサービス

概要

楽器

鍵盤楽器

130年を超える歴史と実績によって培われた熟練技能に裏付けられたアコースティックピアノから、先進のデジタル技術を駆使した電子楽器、そして、これらの技術の融合により生まれたハイブリッドピアノまで豊富なラインアップを提供しています。

 

管楽器

50年以上にわたる管楽器製造で培った匠の技と、木材・金属を精密に加工する生産技術力を結集して、最高の音色、響きと吹奏感を生み出しています。

 

弦楽器

アコースティック、エレクトリックに加え、ヤマハ独自のサイレントシリーズまでカバーする弦楽器は、多くの人に演奏する楽しみを提供しています。

 

打楽器

世界中のトップアーティストとともに追求してきた音・打感、そして高い信頼を得てきた操作性・堅牢性により、プレイヤーのパフォーマンスを最大限に引き出します。

 

教育楽器

リコーダーやピアニカなどの教育楽器の提供を通じて、子どもたちに音楽の楽しさ、演奏する喜びを伝えています。

 

音楽教室・英語教室

世界の40以上の国と地域で幼児から大人までを対象に音楽教室を展開し、楽器演奏人口の拡大と音楽文化の普及に貢献しています。英語教室は、歌やリズムで楽しく生きた英語が身につくヤマハならではのレッスンを行っています。

 

メディア・

エンタテインメント

楽譜出版、音楽及び楽譜の配信、アーティストマネジメント、音楽出版(著作権等の管理)、レコードレーベル等、エンタテインメント関連の事業を幅広く展開しています。

 

 

 

事業

主要製品及びサービス

概要

音響機器

業務用音響機器

オーディオネットワーク技術を生かした業務用音響機器は、世界の著名なホール、劇場、コンサート会場などに導入されているだけでなく、店舗、会議場などの商業空間に向けた音のトータルソリューションも提案しています。

 

音楽制作機器・

ソフトウェア

ソフトウェア技術とシームレスに融合した音楽制作機器は、音楽をつくる楽しみを身近にし、より表現豊かな音楽制作を可能にしています。

 

ホームオーディオ

機器

イヤホン・ヘッドホンから、サウンドバー、そして本格的なホームシアターやHiFiオーディオまで、多彩な音楽の楽しみ方を提案しています。音楽の感動を知り尽くしたヤマハが、目の前でアーティストが演奏しているかのような本物の音体験―True Sound-を届けます。

 

音声コミュニ

ケーション機器

遠隔会議用スピーカーフォンを中心に、自宅や企業、学校などさまざまな場所で「まるで遠くの人がそばにいるような」快適な遠隔コミュニケーションを実現します。

 

ネットワーク機器

業種を問わず、中小規模の企業拠点や店舗などに広く採用されており、ルーターや無線LANアクセスポイント、セキュリティ機器などで安定したネットワークを提供しています。

 

防音室

楽器の演奏はもちろん、動画配信用のプライベートスタジオや在宅勤務などにも幅広く使える防音室は、室内の音が心地よく聞こえるよう調音されており、用途を問わず最適な音環境を作り出します。

その他

部品・装置

事業

電子

デバイス

電子楽器や音響機器の開発で培った技術力をベースに、画像・音源・DSP・アンプなどのLSI製品をさまざまな市場に提供しています。最近では、音に関する課題を解決するソリューションとして、高音質な車載オーディオや車載ハンズフリー通話モジュールを自動車メーカーに提供するなど、事業領域を拡大しています。

 

自動車用

内装部品

ピアノ製造で培われた木材加工や塗装の技術と精密成形技術、デザイン力を融合し、高級車向けに内装部品を提供しています。

 

FA機器

ヤマハの生産技術とシステムエンジニアリングで差別化を図り、信頼性の高い機器を製造しています。

 

ゴルフ用品事業

ヤマハが持つ技術力と契約プロゴルファーからのフィードバックを生かし、機能と感性を両立させた魅力あるゴルフクラブを開発しています。

 

リゾート事業

豊かな自然の中で非日常の空間と高品質なサービスを提供し、ヤマハにしかできない豊かな時間を創り出しています。

 

 

事業の系統図及び各事業に携わる主要な関係会社の名称は以下のとおりであります。

※画像省略しています。
23/06/30

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、退職後給付の勤務期間への帰属についての会計方針の変更を行っており、遡及処理の内容を反映させた数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針選択の判断と適用を前提とし、決算においては資産・負債の残高、報告期間における収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについて、経営者は、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、その性質上、実際の結果と異なる可能性があります。

重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。

 

(2) 経営成績等の状況の概要並びに経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営成績

当連結会計年度における経営環境を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症による行動制限の解除等社会活動が再開される中、世界経済は、徐々に持ち直してきてはいるものの、エネルギー・原材料価格の高騰による世界的な物価上昇とこれを抑制するための各国の金融引き締めによる景気の下押しなど、依然として先行きが不透明な状況が続いています。

このような環境の中で当社グループは、中期経営計画「Make Waves 2.0」を「世界中の人々のこころ豊かなくらし」の実現に向け、ポストコロナの新たな社会で持続的な成長力を高める3年間と位置づけ、3つの方針「事業基盤をより強くする」、「サステナビリティを価値の源泉に」、「ともに働く仲間の活力最大化」を掲げて各施策を進めてきました。

《事業基盤をより強くする》

“顧客ともっと繫がる”では、ヤマハが展開する様々なウェブサービスやソフトウェアサービスを一つのログインIDで利用可能にするYamaha Music IDの導入や、ブランドショップでのショールーム機能の拡充など、お客様との直接の接点が拡大しました。また、人気アニメとのコラボレーション企画等、新たな顧客層へ楽器演奏を始めるきっかけとなる様々なアプローチも展開しています。“新たな価値を創出する”では、憧れのピアニストとの連弾ができるAIピアノによる合奏技術や、リアルタイムで有名歌手の歌声になれるAI歌声変換技術などヤマハの先進的な技術と豊かな感性でお客様に新しい体験を多数提供することができました。また、ユーザーの音楽ライフをより愉しく、創造的なものにしていくためのサービス事業の構想として取り組んでいる「Yamaha Music Connect」については、ヤマハが持っている様々な技術、コンテンツ、アプリケーションを結集するとともに、社外のリソースやサービスも取り込んだエコシステムの構築に向け、取り組んでいます。“柔軟さと強靭さを備え持つ”では、製造拠点のエリア統括体制の整備、調達先・部品種類の戦略的な見直し、同一商品群の複数拠点生産など、調達・生産における柔軟性とリスク対応力を向上させています。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

※画像省略しています。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ

 

 

《サステナビリティを価値の源泉に》

“地球と社会の未来を支えるバリューチェーンを築く”では、気候変動への対応について、各拠点での省エネ活動の推進や太陽光発電パネルの増設、再生可能エネルギーへの切り替えなど、2050年カーボンニュートラルを目指して着実に取り組みが進んでいます。また、持続可能性に配慮した木材の利用については、認証木材の拡大や北海道・タンザニアなどでの「おとの森活動」を通じて楽器の材料となる希少樹種の育成・保全活動を継続推進しています。“快適なくらしへの貢献でブランド・競争力を向上する”では、「だれでもピアノ」の研究開発など、音のバリアフリーを目指して様々な商品でユニバーサルデザインへの取り組みを積極的に行っています。“音楽文化の普及・発展により市場を拡大する”では、インドでの「初等教育への日本型器楽教育導入事業」が、文部科学省による「令和4年度第2回EDU-Portニッポン応援プロジェクト」の一つに選ばれるなど、器楽教育の普及に貢献しています。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

※画像省略しています。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ

 

《ともに働く仲間の活力最大化》

“働きがいを高める”では、社員が自律的にキャリアを描くための支援や副業など柔軟な働き方を実現するための各種制度・仕組みを充実させました。“人権尊重とDE&Iを推進する”では、人権デューディリジェンスや人権教育を充実させるとともに、グローバル人材や女性などの活躍推進を図り、多様な人材がより活躍できるための環境を整備しています。“風通しがよく、皆が挑戦する組織風土を醸成する”では、心理的安全性を高めるために、各部門で様々な創意工夫を凝らした対話の機会を増やしています。また、誰もが生き生きと仕事ができる環境として、2024年春竣工に向け、2つの拠点を整備しています。一つは営業部門・スタッフ部門を集結し、隣接する3つの建物とともに各機能の人材交流の促進をコンセプトに、本社棟の建設を行っています。もう一つは、首都圏の営業拠点を統合することに加え、ブランド発信やR&D機能を有したオープンイノベーションを促進する新拠点となる「横浜シンフォステージ」です。今後もヤマハに集う多様な人材一人ひとりにとって働きやすさと働きがいを感じられる職場づくりに、引き続き取り組んでいきます。中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標とその進捗は以下の通りです。

※画像省略しています。

◎:計画を上回る 〇:ほぼ計画通り △:施策は進むも計画から遅れ

 

中期経営計画「Make Waves 2.0」における2025年3月期の経営目標「売上成長率 20%」「事業利益率 14%」「ROE 10%以上」「ROIC 10%以上」は、当連結会計年度においてそれぞれ10.6%、10.2%、8.8%、7.8%となりました。

 

 

(イ)セグメントごとの売上収益の状況

当連結会計年度の売上収益は、半導体調達難、エントリーモデルの需要減、および中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受けたものの、対USドルの為替レートが大幅な円安になったこともあり、前期に対し432億12百万円(10.6%)増加の4,514億10百万円となりました。

 

楽器事業は、エントリーモデルの需要減が続き、中国では新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受けたものの、為替の影響により、前期に対し264億99百万円(9.6%)増加の3,026億53百万円となりました。

商品別では、ピアノは、主力の中国市場で新型コロナウイルス感染症による影響で販売が低迷し減収となりました。電子楽器は、楽器演奏環境の正常化が進み、中高級モデルの需要が堅調に推移したものの、エントリーモデルの需要が減少し減収となりました。管楽器は、各地で学校での吹奏楽活動が再開し、北米では米国政府による小中学校向け財政支援も寄与して大幅な増収となりました。ギターは、エントリーモデルの需要減少でアコースティックギターが苦戦したものの、エレキギターやギターアンプなどが好調であり増収となりました

 地域別では、日本は、学校での吹奏楽活動が再開され需要が回復した管弦打楽器、アニメの効果により需要が高まったギターが増収となったものの、物価高による消費意欲の低下がみられるピアノや電子楽器により、全体では減収となりました。北米及び欧州は、インフレによる生活コストの上昇から消費者の生活防衛姿勢が強く、エントリーモデルの需要に弱さが見られるものの、中高級品の需要が堅調であり、為替の影響もあり増収となりました。中国は、新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け、販売が低迷し減収となりました。その他の地域では、新型コロナウイルス感染症の影響から脱却し、各地で経済の正常化が進み、地域全体として増収となりました。

 

 音響機器事業は、エントリーモデルの販売不振による影響を受けたものの、半導体調達難の一部改善により、前期に対し107億17百円(11.1%)増加の1,076億41百万円となりました。

 商品別では、オーディオ機器は、半導体調達難の影響に加え、低価格サウンドバーの販売不振などもあり、減収となりました。業務用音響機器は、ライブ市場や設備市場が堅調で、下期には半導体調達難の改善もあり、増収となりました。ICT機器は、企業のDX推進やサイバーセキュリティ対策強化を背景に、ネットワーク投資が拡大し、増収となりました。

 

その他の事業の売上収益は前期に対し59億96百万円(17.1%)増加の411億15百万円となりました。

部品・装置事業では、電子デバイスは、中国自動車メーカー向けのヤマハブランドオーディオが販売を伸ばし、増収となりました。自動車用内装部品、FA機器は、半導体調達難による顧客企業の減産や、投資案件の延期や減少の影響を受け、減収となりました。ゴルフ事業では、韓国で大きく販売を伸ばし、増収となりました。

 

(ロ)売上原価と販売費及び一般管理費

売上原価は前期に対し268億9百万円(10.6%)増加の2,802億70百万円となりました。売上原価率は、前期と同様62.1%となりました。

売上総利益は前期に対し、164億3百万円(10.6%)増加の1,711億39百万円となりました。売上総利益率は、前期と同様37.9%となりました。

また、販売費及び一般管理費は、前期に比べ135億65百万円(12.1%)増加し、1,252億72百万円となりました。売上収益販売管理費比率は、前期から0.4ポイント上昇し27.8%となりました。

 

 

(ハ)事業利益

事業利益は、前期に対し28億37百万円(6.6%)増加の458億67百万円となりました。
 報告セグメントごとの事業利益では、楽器事業は、為替のプラス影響70億円があったものの、前期に対し11億31百万円(3.0%)減少の362億円となりました。音響機器事業は、為替のマイナス影響19億円があったものの、前期に対し19億27百万円(125.3%)増加の34億66百万円となりました。その他の事業は、為替のプラス影響13億円を含め、前期に対し20億41百万円(49.1%)増加の62億円となりました。
 要因別には、販売管理費の増加(50億円)や、エネルギー・調達コストの上昇(60億円)等の減益要因があったものの、増収・増産、モデルミックス及び価格適正化(87億円)や為替影響(65億円)等の増益要因により、前期に比べ増益となりました。

(注)事業利益とは、売上総利益から販売費及び一般管理費を控除して算出した日本基準の営業利益に相当するものです。

 

(ニ)その他の収益及びその他の費用

その他の収益は、固定資産売却益47億円を計上した前期に対し55億52百万円(73.5%)減少の20億6百万円となりました。その他の費用は、前期に対し1億38百万円(11.1%)増加の13億89百万円となりました。

 

(ホ)金融収益及び金融費用

金融収益は、前期に対し12億82百万円(22.1%)減少の45億9百万円となりました。金融費用は、前期に対し16億60百万円(79%)減少の4億41百万円となりました

 

(ヘ)税引前当期利益

税引前当期利益は、前期に対し24億75百万円(4.7%)減少し505億52百万円となりました。売上収益税引前当期利益率は、前期から1.8ポイント下落し11.2%となりました

 

(ト)法人所得税費用

法人所得税費用は、主として繰延税金費用の減少により、前期に対し32億91百万円(21%)減少の123億75百万円となりました。

 

(チ)親会社の所有者に帰属する当期利益

 親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期に対し9億15百万円(2.5%)増加の381億83百万円となりました。基本的1株当たり当期利益は、前期の214円87銭から222円64銭となりました

 

(リ)為替変動とリスクヘッジ

海外子会社の売上収益は、期中平均レートで換算しております。当連結会計年度の米ドルの期中平均レートは前期に対し約23円円安の135円となり、前期に対し約235億円の増収影響となりました。また、ユーロの期中平均レートは前期に対し約10円円安の141円となり、前期に対し約62億円の増収影響となりました。また、人民元など、米ドル、ユーロ以外の通貨は、前年同期に対し約144億円の増収影響となり、売上収益全体では、前期に対し約440億円の増収影響となりました。

また、事業利益につきましては、米ドルは充当(マリー)効果により、決済レートの変動による為替影響は概ねヘッジできているものの、海外子会社の事業利益の換算等により、約25億円の増益影響となりました。ユーロの決済レートは、前期に対し約5円円安の136円となり、約20億円の増益影響となりました。また、他の通貨を含めた全体では前期に対し約65億円の増益影響となりました。 

 

 

(ヌ)生産、受注及び販売の状況

(a) 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

255,890

111.2

音響機器

119,056

127.4

その他

41,422

129.1

合計

416,368

117.1

 

(注) 金額は平均販売価格によっており、セグメント間の内部振替後の数値によっております。

 

(b) 受注実績

当社グループは、製品の性質上、原則として見込生産を行っております。

 

(c) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

前年同期比(%)

楽器

302,653

109.6

音響機器

107,641

111.1

その他

41,115

117.1

合計

451,410

110.6

 

(注) 金額は外部顧客に対する売上収益であります。

 

② 財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末の5,806億62百万円から135億84百万円(2.3%)増加し、5,942億46百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末から161億31百万円(4.4%)減少し、3,465億45百万円となり、非流動資産は、297億15百万円(13.6%)増加し、2,477億1百万円となりました。流動資産では、為替変動の影響に加え、半導体調達難等に起因する一部製品の生産遅れやエントリーモデルの需要減、中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け棚卸資産が増加しました。また、棚卸資産の増加、グループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済及び前連結会計年度の投資有価証券の売却に伴い増加した未払法人所得税の支払いにより現金及び現金同等物が減少しました。非流動資産では保有有価証券の時価上昇により金融資産が増加し、設備投資により有形固定資産が増加しました。また、Cordoba Music Group, LLCの持分取得により、のれんが増加しました。

 

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末の1,637億94百万円から274億91百万円(16.8%)減少し、1,363億2百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末から309億74百万円(24.6%)減少し、951億40百万円となり、非流動負債は、前連結会計年度末から34億82百万円(9.2%)増加し、411億62百万円となりました。流動負債では、グループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済により有利子負債が減少し、前連結会計年度の投資有価証券の売却に伴う法人所得税の支払いにより未払法人所得税が減少しました。

 

 

当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末の4,168億67百万円から410億76百万円(9.9%)増加し、4,579億44百万円となりました。自己株式の取得及び配当金の支払いによる株主還元を行ったものの、当期利益により利益剰余金が増加したことに加え、為替変動の影響及び保有有価証券の時価上昇によりその他の資本の構成要素が増加したことで、全体では増加となりました。

 

③ キャッシュ・フロー

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ686億8百万円減少(前期は431億50百万円増加)し、期末残高は1,038億86百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、主として税引前当期利益に対し、半導体調達難等に起因する一部製品の生産遅れやエントリーモデルの需要減、中国での新型コロナウイルス感染症による混乱などの影響を受け棚卸資産が増加したことに加え、前連結会計年度の投資有価証券の売却による法人所得税の支払いもあり、148億41百万円の支出(前年同期は360億16百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、主として有形固定資産の取得およびCordoba Music Group, LLCの持分取得により、215億63百万円の支出(前年同期は主として投資有価証券の売却により、437億7百万円の収入)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、主としてグループファイナンス拡大に伴う短期借入金の返済や配当金の支払い、自己株式の取得等により、352億87百万円の支出(前年同期は主として自己株式の取得により、444億26百万円の支出)となりました。

 

(イ)資金需要

当社グループにおける主な資金需要は、製品製造のための材料、部品等の購入、労務費など製造費用と、商品の仕入、販売費及び一般管理費等、営業費用の運転資金及び設備投資資金、並びにM&Aや資本提携を目的とした投資資金であります。

当連結会計年度の設備投資額は、前期の148億35百万円から57億5百万円(38.5%)増加し、205億41百万円となりました。新オフィスの建設、設備の更新改修を中心として減価償却費(130億94百万円)を超える設備投資を行いました。

研究開発費は、前期の240億32百万円から10億25百万円(4.3%)増加し、250億57百万円となりました。売上収益研究開発費比率は前期の5.9%から0.3ポイント減少し、5.6%となりました。

 

(ロ)資金調達

運転資金及び設備投資資金について、当社及び国内子会社、一部の海外子会社においてグループ内資金を有効活用するためグループファイナンスを運用しています。また、一部の子会社においては、借入金額・期間・金利等の条件を総合的に勘案し、金融機関から借入を行っております。