売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E02498 IFRS

売上高

7.79兆 円

前期

7.25兆 円

前期比

107.4%

時価総額

6.57兆 円

株価

3,955 (11/07)

発行済株式数

1,660,758,361

EPS(実績)

310.10 円

PER(実績)

12.75 倍

平均給与

1,708.8万 円

前期

1,654.7万 円

前期比

103.3%

平均年齢(勤続年数)

42.5歳(17.9年)

従業員数

4,304人(連結:51,834人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社及び連結子会社は、国内外のネットワークを通じて、ライフスタイル、フォレストプロダクツ、情報ソリューション、食料、アグリ事業、化学品、金属、エネルギー、電力、インフラプロジェクト、航空・船舶、金融・リース・不動産、建機・産機・モビリティ、次世代事業開発、次世代コーポレートディベロップメント、その他の広範な分野において、輸出入(外国間取引を含む)及び国内取引のほか、各種サービス業務、内外事業投資や資源開発等の事業活動を多角的に展開しております。

当社グループにおいてかかる事業を推進する連結対象会社は、連結子会社338社、関連会社等160社、合計498社から構成されております。(注)1

当連結会計年度より、「情報ソリューション」の一部を「インフラプロジェクト」に編入しております。

当社グループのオペレーティング・セグメントごとの取扱商品・サービスの内容及び主要な関係会社名は以下のとおりであります。

オペレーティング・セグメント

      (注)2,17

取扱商品・サービスの内容

主要な関係会社名

ライフスタイル

国内及び海外において、アパレル、フットウェア、生活用品、スポーツ用品、産業資材、繊維原料、タイヤ、ゴム資材等多岐にわたる商品を取り扱い、商品の企画・製造・卸売/小売販売から事業投資・運営まで様々な事業を展開しております。

子会社

 丸紅インテックス、丸紅テクノラバー、

丸紅ファッションリンク、

Viacore Holding

関連会社等

Saide Tekstil Sanayi ve Ticaret

フォレスト

プロダクツ

国内及び海外において、製紙原料・板紙・衛生紙・洋紙・バイオマス燃料等の製造・販売、植林事業への参画及び住宅資材の販売を行っております。

子会社

興亜工業、丸紅フォレストリンクス、

Musi Hutan Persada、

Tanjungenim Lestari Pulp and Paper

関連会社等

Santher - Fabrica de Papel Santa Therezinha

情報

ソリューション

国内及び海外において、ICT分野では、システムソリューション事業、モバイル事業、ネットワーク事業等、物流分野では、フォワーディング事業、物流センター運営事業等、デジタル技術を活用した多様なサービスを提供しております。

子会社

アルテリア・ネットワークス、

丸紅ロジスティクス、

丸紅I-DIGIOホールディングス、MXモバイリング

関連会社等

-

食料第一

国内及び海外において、乳製品、砂糖、加工食品・飲料及びその原料、業務用食材、農水産物等、食に係る様々な商品を取り扱っており、原料調達、高付加価値商品の生産・加工事業、流通機能を活かした卸事業と幅広い事業を展開しております。また、新分野として、フードサイエンス領域での事業構築にも取り組んでおります。

子会社

アトリオン製菓、丸紅シーフーズ(注)3、

丸紅食料、山星屋、Iguaçu de Café Solúvel、Iguacu Vietnam

関連会社等

日清オイリオグループ、Acecook Vietnam

食料第二

国内及び海外において、飼料穀物、大豆、小麦等、穀物・畜産分野に係る様々な商品を取り扱っており、穀物集荷事業から穀物サイロ事業、配合飼料製造事業、畜肉の生産・処理加工・販売事業に至る幅広い事業を展開しております。また、デジタル技術を活用した畜産営農支援、穀物取引の効率化にも取り組んでおります。

子会社

ウェルファムフーズ、日清丸紅飼料、

日本チャンキー、

パシフィックグレーンセンター、

Columbia Grain International、

Creekstone Holding

関連会社等

エスフーズ

アグリ事業

米国、欧州、南米、アジア等の地域において農業資材小売及び卸売事業を展開しております。

子会社

Helena Agri-Enterprises、

MacroSource

関連会社等

片倉コープアグリ

化学品

国内及び海外において、石油化学品等の川上から電子材料、機能化学品の川下に至るまで、多種多様な製品・サービスを提供しております。飼料添加剤や食品機能材といった人口増加に伴い持続的な成長が期待できるライフサイエンス分野での事業展開、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野での新しいビジネスモデルの構築等、これまでの化学品の枠を超えた新たなソリューション提供型ビジネスを推進しております。

子会社

丸紅ケミックス、丸紅プラックス、

Euroma Holding、Olympus Holding(注)4

関連会社等

Dampier Salt

金属

鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源の海外における開発事業、及び鉄鋼製品全般・非鉄軽金属の製造・加工・販売、鉄鋼・非鉄軽金属の原料資源やセメント関連資材の売買、並びに鉄・非鉄軽金属・EV用バッテリーのリサイクル等を行っております。

子会社

 丸紅エコマテリアルズ、丸紅テツゲン、

 丸紅メタル、Marubeni Aluminium Australia、

 Marubeni Iron Ore Australia、

 Marubeni LP Holding(注)5、

 Marubeni Metals & Minerals (Canada)、

 Marubeni Resources Development

関連会社等

伊藤忠丸紅鉄鋼、パンパシフィック・カッパー、丸紅建材リース

新エネルギー

開発推進部

           (注)2

国内及び海外において、水素・燃料アンモニアの製造事業及びトレード・マーケティング、水素小売事業、SAF/e-メタン等の合成燃料製造事業及びトレード・マーケティング、CCUS事業等、新エネルギー領域において脱炭素の実現に資する事業に取り組んでおります。

子会社

 日英水素、日豪水素、日本CCUS投資

関連会社等

-

エネルギー

国内及び海外において、天然ガス事業(生産、液化、トレード)、石油・ガスの探鉱・開発・生産事業、石油・LPGのトレード・物流・マーケティング事業、原子力事業(ウラン鉱山開発、原子燃料サイクル、関連機器販売・サービス)、環境価値の開発・売買等の幅広い分野に取り組んでおります。

子会社

丸紅エネルギー、

Marubeni Oil & Gas (USA)、MIECO

関連会社等

ENEOSグローブ

電力

国内及び海外において、発電事業並びに電力サービス事業(電力小売事業、分散型電源事業、蓄電池・電力需給調整等を含むエネルギーマネジメント事業等)からなる多彩な電力事業における開発・投資・保守・運営・資産維持管理に加え、発電・送変電機器の納入及び工事請負を行っております。

子会社

丸紅新電力、丸紅洋上風力開発、三峰川電力、SmartestEnergy

関連会社等

秋田洋上風力発電、

Lion Power (2008)、Mesaieed Power

インフラ

プロジェクト

国内及び海外において、エネルギー関連インフラ、交通インフラ、社会インフラ、上下水道・海水淡水化及び脱炭素・低炭素・循環エコノミー関連分野を含む産業プラントの各分野での開発・投資・運営に加え、関連設備の納入・工事請負・運転維持管理を行っております。また、海外インフラ資産を対象としたファンド運営事業を行っております。

子会社

丸紅プロテックス、MM Capital Partners、

MM Capital Partners2号、

AGS MCUK Holdings、Aguas Decima

関連会社等

Southern Cone Water(注)6

航空・船舶

国内及び海外において、航空機・防衛宇宙関連機器等の輸出入、並びにこれら関連商材を取り扱う卸売・小売・製品開発・各種サービス等の分野への事業展開・投融資、また、貨物船・タンカー・LNG船等各種船舶の取引仲介・ファイナンス、保有・運航・管理等の事業を展開するとともに、船舶関連資材の取扱いを行っております。

子会社

スカーレットLNG輸送、丸紅エアロスペース、MMSLジャパン、

Marubeni Aviation Asset Investment、MMSL、Royal Maritime

関連会社等

スイスポートジャパン

金融・リース・

不動産

国内及び海外において、金融・リース分野では、自動車販売金融、航空機・航空機エンジンリース、商用車フリートマネジメント、貨車リース、総合リース及びノンバンク、次世代金融、フェムテック、プライベートエクイティファンド運営、国内企業投資事業等、不動産分野では、不動産開発、REIT及びファンド運営、アセットマネジメント事業等、保険分野では、保険仲介、キャプティブ事業等を行っております。

子会社

丸紅アビエーション(注)7、

丸紅セーフネット、丸紅都市開発、

丸紅リアルエステートマネジメント、

丸紅リートアドバイザーズ、
MAI Holding(注)8、MAI Holding Ⅳ(注)9

関連会社等

みずほ丸紅リース、みずほリース、

MARUBENI FUYO AUTO INVESTMENT(CANADA)

(注)10、

Marubeni SuMiT Rail Transport(注)11、

PLM Fleet

建機・産機・

モビリティ

国内及び海外において、建設機械・鉱山機械・自動車・産業機械・工作機械等の輸出入、並びにこれら多様な商材を取り扱う、卸売事業・小売事業・製品開発・各種サービス等の分野への投融資を幅広く行っております。

子会社

丸紅テクノシステム、MAIHO Ⅲ(注)12、

Marubeni Auto Investment (UK)、

MARUBENI DAGITIM VE SERVIS、

Marubeni-Komatsu

関連会社等

Hitachi Construction Machinery (Australia)

次世代事業開発

医薬品・医療機器、医療サービス、次世代産業基盤、卓越技術、DX・ITサービス、ビューティー、コンシューマーブランド、コンテンツ等、今後飛躍的な市場成長が見込まれ、これまで当社として十分な取組みができていない領域において、当社が培ってきた成功事業の“勝ち筋”を次世代事業開発の要諦として定め、実践することによって、新たなビジネスモデルの開発・事業構築を推進しております。

子会社

丸紅グローバルファーマ(注)13、

丸紅コンシューマーブランズ(注)14、

Megalopolis Manunggal Industrial Development

関連会社等

ラコステジャパン

次世代

コーポレート

ディベロップメント

成長性の高い東南アジア及び新しいビジネストレンドの発信地である米国を中心にコンシューマービジネスへの規模感のある投資を通じ、その成長性を当社グループに取り込むことを目的としたコーポレートディベロップメントの取組みを推進しております。また、革新的な技術やビジネスモデルを有する国内外のスタートアップ企業への投資を行うコーポレートベンチャーキャピタルを運営しており、これらの取組みを通じて、当社グループの中長期的な企業価値向上を目指しております。

子会社

 丸紅ベンチャーズ、

 Marubeni Growth Capital Asia、

 Marubeni Growth Capital U.S.、

 MGCA Cafe(注)15、MGCU Holdings、

 MRGB Hold(注)16

関連会社等

-

その他

(本部・管理等)

グループファイナンス及びグループ会社向けの財務・金融業務等を行っております。

子会社

丸紅フィナンシャルサービス、

Marubeni Finance America、

Marubeni Finance Europe

(注)1. 連結子会社及び関連会社の数には、当社が直接連結経理処理を実施している会社のみ含めており、連結子会社が連結経理処理している関係会社(367社)はその数から除外しております。なお、関連会社等にはジョイント・ベンチャー(共同支配企業)、ジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含めております。

2. 「新エネルギー開発推進部」(「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」の一部を編入)は独立したオペレーティング・セグメントではなく、その損益等については、オペレーティング・セグメントの「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しております。

3. 丸紅シーフーズは、当社グループが従来保有していたベニレイが、2024年7月に商号変更したものです。

4. Olympus Holdingは、世界各国において飼料添加剤ディストリビューション事業を展開するOrffa International Holdingの持株会社であります。

5. Marubeni LP Holdingは、チリにおいて銅事業への投資を行う持株会社であります。

6. Southern Cone Waterは、チリにおいて上下水道のフルサービスを提供するAguas Nuevasの持株会社であります。

7. 丸紅アビエーションは、米国において航空機オペレーティングリース事業を展開するAircastleの持株会社であります。

8. MAI Holdingは、米国において自動車販売金融事業を展開するWestlake Services及びNowcomへの投資を行うNowlake Technologyの持株会社であります。

9. MAI Holding IVは、米国においてフリートマネジメント事業を展開するWheels Topcoへの投資を行う持株会社であります。

10. MARUBENI FUYO AUTO INVESTMENT(CANADA)は、北米において商用車レンタル・リース事業への投資を営むThe Driving Forceの持株会社であります。

11. Marubeni SuMiT Rail Transportは、北米において鉄道貨車リース事業等を営むMidwest Railcarの持株会社であります。なお、2025年5月に当社グループが保有していた同社全株式を譲渡しております。

12. MAIHO Ⅲは、米国において自動車アフターマーケット関連事業を営むXL Parts、TPH Holdings及びAutomotive Parts and Services Holdingsの持株会社であります。

13. 丸紅グローバルファーマは、中東において医薬品・医療機器販売事業を展開するLunatus Marketing & Consulting等の持株会社であります。

14. 丸紅コンシューマーブランズは、当社グループが従来保有していた丸紅フットウェアが、2024年5月に商号変更したものです。

15. MGCA Cafeは、シンガポール・マレーシア・インドネシアにおいてコーヒーチェーン事業を展開するMGCA Cafe SG等の持株会社であります。

16. MRGB Holdは、米国においてライフスタイルブランド運営事業を展開するR.G.Barryの持株会社であります。

 

17. 2025年度より、「ライフスタイル」、「フォレストプロダクツ」、「情報ソリューション」、「食料第一」、「食料第二」、「アグリ事業」、「化学品」、「金属」、「エネルギー」、「電力」、「インフラプロジェクト」、「航空・船舶」、「金融・リース・不動産」、「建機・産機・モビリティ」、「次世代事業開発」及び「次世代コーポレートディベロップメント」としていたオペレーティング・セグメントを、「ライフスタイル」、「食料・アグリ」、「金属」、「エネルギー・化学品」、「電力・インフラサービス」、「金融・リース・不動産」、「エアロスペース・モビリティ」、「情報ソリューション」、「次世代事業開発」及び「次世代コーポレートディベロップメント」に再編しております。

 

25/06/17

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 当連結会計年度における経済環境及びオペレーティング・セグメント別の事業の状況

経済環境

世界経済は、主要国・地域においてインフレ率が低下し、利下げが始まるなか、米国を中心に景気が僅かに減速するも底堅く推移しました。先進国においては、米国で底堅い個人消費が景気を下支えし、欧州はインフレ率低下を主因に緩やかな成長が続きました。日本は賃金が上昇するも、インフレ率高止まりもあり個人消費の足踏みが続くなかで景気は緩やかな回復に留まりました。新興国は、中国経済が景気刺激策等に下支えされながらも住宅市場の影響から停滞した一方、アジア諸国を中心に米国向け輸出の拡大が景気を牽引しました。

一次産品価格は、世界経済の減速により総じて需要の弱さが続く一方、地政学リスクの高まり等が一部商品価格を押し上げました。銅は中国景気見通しの持ち直し等を主因に、総じて前年度よりも高値で推移しました。

債券市場では、米国において追加関税によるインフレリスクが意識され長期金利が4%前後で推移し、日本においては利上げに伴い長期金利が1%を超えました。円相場は日米の金融政策を巡り乱高下しましたが、年度平均では円安・ドル高が進行しました。株式市場は主要国・地域で総じて前年超えが続くも、年度終盤は米国関税政策等の影響を受け軟調に推移しました。

 

オペレーティング・セグメント別の事業の状況

当連結会計年度におけるオペレーティング・セグメント別の事業の状況は、以下のとおりであります。

 

・ライフスタイル

ライフスタイル事業では、丸紅ファッションリンクにてカジュアルブランド「ナイジェル・ケーボン」を保有するOuter Limitsを買収する等、ブランド/リテール事業の拡大に注力しています。環境配慮型事業では、タイのGreen Rubber Energyに出資し、廃タイヤをタイヤ原料に再利用するリサイクルサプライチェーンの構築に取り組んでいます。コンベヤソリューション事業では、Viacore Holdingにて北米地域における拠点拡充を推進しています。カーメンテナンス事業では、タイ・インドネシア・メキシコで小売店舗網を拡大し、全世界で約360店舗を展開しています。

 

・フォレストプロダクツ

インドネシアでのパルプ製造や豪州でのチップ製造等海外における製造販売事業を展開しており、その原料である木材を生産する植林事業経営を通じて培った知見を活かして新たに環境植林事業実施に向けた施策にも着手する等、脱炭素社会の実現に資する一層の取組みを進めています。パッケージ分野では、従来の国内段ボール原紙製造販売事業に加え、段ボールユーザー向けのDX/GXを活用した新たな取組みも推進しています。衛生紙分野では、ブラジルのSanther - Fabrica de Papel Santa Therezinhaを通じ衛生紙の製造販売事業を展開しており、プレミアム商品の拡販及び販売チャネルの拡充等によって、更なる事業価値向上に注力するとともに、消費者の安心・快適な生活の実現に貢献していきます。

 

・情報ソリューション

デジタル技術進展に伴うDX需要拡大を受け、ICTサービスを一気通貫で顧客に価値提供する戦略プラットフォームを拡張しています。IT子会社4社を統合した丸紅I-DIGIOホールディングスでは、業務資本提携によりサイバーセキュリティやデジタルエンジニアリング機能の強化等最先端のIT技術・サービスを拡充しました。戦略、新規事業、ITマネジメント等の広範なコンサルティングサービスを展開するドルビックスコンサルティングでは人材基盤を拡充し、コンサルティングからソリューション提供・運用までのワンストップサービス強化に取り組んでいます。

 

・食料第一

食を通じて健康で豊かな生活を提供することを目指し、食品製造・加工事業領域での機能拡充とスペシャリティ商品のマーケティングの強化に注力しています。菓子分野では「ヨーグレット」「ハイレモン」等のブランドを展開するアトリオン製菓において消費者ニーズを捉えた新たな商品の開発・マーケティングを進めています。食品素材分野では、Gemsa Enterprisesを子会社化し、米国にて食用スペシャリティ油脂加工・販売事業に参入しました。引き続き、コーヒーの産地支援や陸上養殖サーモン事業等の環境・社会問題に配慮したサステナブルな取組みも推進するとともに、消費者にとって魅力ある商品を提供していきます。

 

・食料第二

穀物、搾油原料、動物性タンパク質、及び家畜の肥育に必要な飼料の安定供給を通じて、持続可能な農業・飼料製造販売業・畜産業への貢献とトータルソリューション提供に取り組んでいます。穀物分野では、最大の生産拠点である北米・南米に保有する穀物集荷・輸出設備から、日本国内の輸入ターミナル・飼料工場へ繋がるサプライチェーンの収益基盤強化を推進します。また、持続可能性に配慮した飼料開発等の取組み等新たな価値の創出にも取り組んでいます。畜産分野では、高品質なプレミアム牛肉処理加工販売を行うCreekstone Holdingを中心として、食に不可欠な動物性タンパク質の安定供給と事業基盤の拡大に努めていきます。

 

・アグリ事業

農業資材リテール事業では、ITを駆使した精密農業による顧客向けソリューション能力の更なる向上と、Helena Agri-Enterprisesをはじめとしたグループ会社にて蓄積してきたノウハウの活用を通じ、米国・ブラジル・欧州・アジアにおける農業の発展に貢献すべく更なる事業拡大を目指しています。また、肥料ホールセール事業では、MacroSourceが、北米を中心に南米、アフリカ等、広域にわたり事業を展開しており、当社グループの肥料供給能力の強化を行っています。環境負荷に配慮した農業資材を取り扱う等、環境への影響も意識しながら、農業資材の供給を通して食料生産に貢献してまいります。

 

・化学品

業界トップクラスのシェアを持つ石油化学品トレードでの需給調整機能の高度化、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス分野のトレードに加え、太陽光発電資産売買や系統用蓄電池事業のソリューション提供型ビジネスの深化を国内外で推し進めています。食品機能材等のライフサイエンス分野では、2023年に100%子会社化した欧州の大手香辛料・調味料メーカーのEuroma Holdingの業容拡大を推進しました。これらに加え、環境に配慮した素材、バイオ燃料等のサステナブルな社会に向けた新しい顧客ニーズへの対応等、これまでの化学品の枠を超えた新しい商品や仕組み作りにも取り組んでいます。

 

・金属

鉱山開発から原料・製品の取扱い、リサイクルまで金属サプライチェーン全領域でビジネスを推進しています。銅鉱山、鉄鉱山、原料炭炭鉱の中核鉱山事業では、生産の最適化や先進技術の導入、再エネ利用や水資源保全等グリーン化を推進し、持続可能な操業を行っています。チリ・センチネラ銅鉱山拡張プロジェクトは2027年の生産開始に向け順調に開発を進めており、また、ベトナムアルミ再生地金事業や英国廃電池リサイクル事業への出資参画等を実現しました。既存事業の拡張や持分追加取得により中核事業の価値向上に取り組むとともに、環境に配慮した資源・素材の責任ある供給を通じ、脱炭素社会の実現に貢献します。

 

・新エネルギー開発推進部(*1)

水素・アンモニア、SAF(*2)・合成燃料(e-メタン等)、CCUS(*3)等の新エネルギー事業を推進し、脱炭素社会実現に向けて取り組んでいます。SAF分野では、マレーシアにおいてバイオマス資源を原料とするSAF製造案件の検討を開始するとともに、石油由来原料とバイオ原料の同時処理を行うコプロセッシング製法により製造されたSAFの日本市場への供給を開始し、製造案件開発とトレード拡充の両輪で事業を推進しています。CCUS分野では、米国テキサス州においてオゾナ社とCCS(*4)案件の共同開発を開始しています。本事業を通じて獲得するCCS事業の開発ノウハウを活かし、北米のみならず欧州、豪州、アジア等に事業を展開していきます。

(*1)「新エネルギー開発推進部」は独立したオペレーティング・セグメントではなく、その損益等については、オペレーティング・セグメントの「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しております。

(*2)SAF:Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)

(*3)CCUS:Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage(CO2回収・貯留・有効利用)

(*4)CCS:Carbon dioxide Capture and Storage(CO2回収・貯留)

 

・エネルギー

相対的に低炭素であり、エネルギー転換期においてその重要性を増す天然ガス・LNG事業分野では、安定操業や資産価値向上に資する取組みを着実に進めています。また、当社の強みである石油、天然ガス・LNG、ウラン等のトレーディング&マーケティング分野においても、収益拡大に向けた取組みを着実に推進しています。2024年7月には、京都フュージョニアリング株式会社への出資を発表し、同出資を通じてフュージョンエネルギー実現に向けた研究・開発を支援しています。引き続き、エネルギーや原料の安定供給への貢献、バイオ燃料取引の拡充や環境価値取引の強化、脱炭素化への取組みを両立しながら、事業基盤を強化・発展させてまいります。

 

・電力

電力サービス事業分野では、電力卸売・小売事業にてSmartestEnergy・丸紅新電力を通じた戦略プラットフォーム型事業を強化しており、特に再エネ電力取扱いと環境証書取引を拡大しました。国内では、丸紅新電力が運用を担う三峰川伊那蓄電所が運転開始し、電力系統への調整力供給に貢献しています。またベトナムにおける蓄電池システム実証事業の開始等社会・環境課題の解決と持続可能な成長に寄与する取組みを推進しています。発電事業分野では、サウジアラビア王国におけるアルガット及びワードアルシャマル風力発電案件の受注、山形県遊佐町沖における洋上風力発電事業者への選定等脱炭素社会の実現に向けた取組みを強化しています。

 

・インフラプロジェクト

水分野では、チリにおいて複数の大型鉱山に効率的に給水する初めての大型共用インフラ事業となる国営銅公社コデルコ向けの海水淡水化・送水プロジェクトに参画し、建設を進めています。交通インフラ分野では、京成電鉄株式会社が運行するスカイライナーにおいて、AI顔認証技術を活用した新しい乗車システムの運用を開始しました。循環経済ビジネス分野では、英国におけるバイオメタン生産及び販売事業の商業運転を開始し、当社グループの電力卸売・小売事業会社であるSmartestEnergyへの販売を開始しています。インフラファンド分野では、海外インフラ資産を対象とした2号ファンドにおける投資家の募集と資産積上げを進めています。

 

・航空・船舶

航空分野では、世界的な旅客数の回復を背景に、航空部品トレード機能及び周辺事業、航空アセットマネジメント機能、ビジネスジェット販売代理店及び運航・整備サービス事業並びに空港ビジネスの強化・拡大等に注力しました。また、大阪・関西万博における空飛ぶクルマのデモ飛行や宇宙ビジネスに向けた取組みを推進しました。船舶分野では、保有資産の入替・優良化により安定的な収益基盤の強化を進めたほか、新規分野としてノルウェーの船会社ソルバン社との合弁会社の設立を通じてアンモニア輸送船を共同保有することで、クリーンエネルギーとして需要拡大が見込まれるアンモニアの海上輸送事業に参画しました。

 

・金融・リース・不動産

フリートマネジメント事業では、米国のアセットマネジメント会社アポロ社の運営するファンドが保有する米国最大のフリートマネジメントカンパニーであるWheels Topcoに、北米最大の自動車ディーラーグループであるリシア社とともに出資参画しました。パートナーのアポロ社・リシア社と戦略を共有しながらWheels Topcoの持続的成長を支援しています。また、アポロ社とはアセットファイナンス事業での協業も推進しています。総合リース事業では、資本業務提携により国内リース業界大手のみずほリースを持分法適用関連会社化しました。不動産事業では、第一生命ホールディングス株式会社と国内不動産事業の統合に関する事業統合契約及び株主間契約を締結しました。

 

・建機・産機・モビリティ

建機・産機・モビリティ領域では、バリューチェーン全体での収益最大化を目指し、周辺領域への拡張を進めています。建機分野では、既存代理店事業の強化とレンタル分野への進出を推進しています。モビリティ分野では、北米でのアフターマーケット向け自動車部品販売事業と新規参入したフリートマネジメント事業のシナジー実現を目指します。加えて、国内外で商用EV向けフリートマネジメント事業や、オンデマンド交通・自動運転事業の実現に注力しています。産機分野では、インドで工作機械販売会社を設立し、加えて、半導体を含む電子部品事業や半導体製造装置市場に参入しました。将来は当該事業を戦略プラットフォームとし、高付加価値事業へと進化させていきます。

 

・次世代事業開発

2030年に向けた成長領域にて、過去の成功事業からの当社の勝ち筋より次世代事業開発の要諦を定め、事業開発・投資を行っています。卓越技術、次世代産業基盤、DX・ITサービス、医薬品・医療サービス、コンシューマーブランド、IPコンテンツ等の領域で事業開発・投資を積極的に実施しています。例えば、世の中の健康志向や生活習慣の変化によるニーズ拡大を背景に、医薬品事業をグローバルで展開・拡充し、タイ・日本でのコスメ事業にも参画しています。卓越技術では、エストニア・ドイツにおける次世代蓄電池事業に参画しています。時代の変化を敏感に捉えるべく新たな成長領域・テーマの発掘・探索も積極的に推進しています。

 

・次世代コーポレートディベロップメント

コーポレートディベロップメント事業では、高成長が見込まれる消費者向けビジネス領域において、今後の成長のプラットフォームとなる案件への投資を進めています。2024年6月に米国ルームシューズ市場でトップシェアを誇るディアフォームズ等を展開するR.G.Barryへ出資し、ライフスタイルブランド運営事業の中核となるプラットフォームを獲得しました。また、ベトナム最大手の食品原料・機能性食品素材サプライヤーであるAIG Asia Ingredientsへ追加出資を行い、同社の成長戦略へのコミットメントを強化しました。スタートアップ事業では、コーポレートベンチャーキャピタルを通じて、世界の革新的なビジネスモデルの取り込みを推進しています。

 

② 当連結会計年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」に記載のとおりであります。

 

③ 仕入、成約及び販売の実績

(a)仕入の実績

仕入と販売との差異は僅少であるため、仕入高の記載は省略しております。

(b)成約の実績

成約と販売との差異は僅少であるため、成約高の記載は省略しております。

(c)販売の実績

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記4 セグメント情報」に記載のとおりであります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

① 当連結会計年度の経営成績の分析

 

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

 

増減

収益

72,505

77,902

 

5,397

売上総利益

10,658

11,466

 

808

営業利益

2,763

2,723

 

△40

持分法による投資損益

3,114

2,929

 

△185

親会社の所有者に帰属する

当期利益

4,714

5,030

 

316

(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。

 

収益は前連結会計年度比(以下「前年度比」という。)5,397億円(7.4%)増収の7兆7,902億円となりました。オペレーティング・セグメント別には、主に電力、金属、エネルギーで増収となりました。

 

売上総利益は前年度比808億円(7.6%)増益の1兆1,466億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。

 

電力

233億円増益

電力卸売・小売事業の増益及び前年度に計上した台湾発電所EPC(建設請負)案件に係る工事損失引当金の反動

 

アグリ事業

227億円増益

Helena社、ブラジル農業資材販売事業及び米国肥料卸売事業の増益

 

次世代コーポレートディベロップメント

147億円増益

米国ライフスタイルブランド運営会社の子会社化による増益

 

営業利益は、販売費及び一般管理費の増加により、前年度比40億円(1.5%)減益の2,723億円となりました。

 

持分法による投資損益は前年度比185億円(5.9%)減益の2,929億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。

 

金属

343億円減益

商品価格の下落に伴う豪州鉄鉱石事業及び豪州原料炭事業の減益並びに鉄鋼製品事業の減益

 

インフラプロジェクト

247億円減益

米国石油・ガス開発関連事業投資の減損損失

 

金融・リース・不動産

320億円増益

みずほリース社の関連会社化に伴う増益及び航空機リース事業の増益

 

上記に加えて、エネルギーにおいてカタールLNG事業終了に伴う為替換算調整勘定の実現益457億円(税後)を認識しております。

 

以上の結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年度比316億円(6.7%)増益の5,030億円となりました。

 

当連結会計年度のオペレーティング・セグメント別の業績(親会社の所有者に帰属する当期利益)は以下のとおりであります。

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結

会計年度

当連結

会計年度

 

増減

主な増減内容

ライフスタイル

99

84

 

△15

・タイヤ関連事業、ゴム・産業資材事業及び衣料品等の企画・製造・販売事業の減益

フォレストプロダクツ

△142

152

 

294

・前年度に計上したベトナム段ボール原紙の製造・販売及び包装資材の販売事業における固定資産の減損損失の反動

・パルプ市況・製造原価改善及び販売数量増等に伴うムシパルプ事業の増益

情報ソリューション

78

91

 

14

・国内携帯電話販売事業の増益

食料第一

170

139

 

△31

・コーヒー生豆取引での減益

食料第二

180

99

 

△81

・米国牛肉事業の減益

・中国鶏肉事業投資の減損損失

アグリ事業

415

457

 

42

・米国肥料卸売事業の増益

化学品

70

136

 

66

・前年度に計上した飼料添加剤販売事業におけるのれんの減損損失の反動

・豪州塩田事業における増益(資産売却益)

金属

1,635

1,235

 

△400

・商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業及び豪州鉄鉱石事業の減益

・鉄鋼製品事業の減益

エネルギー

392

693

 

301

・カタールLNG事業終了に伴う為替換算調整勘定の実現益

・石油・ガス開発事業(米国メキシコ湾)の減損損失

・トレーディング事業及びLNG事業の減益

電力

473

660

 

187

・海外電力IPP事業投資の売却益等

・前年度に計上した台湾発電所EPC(建設請負)案件に係る工事損失引当金の反動

インフラプロジェクト

169

△23

 

△193

・米国石油・ガス開発関連事業投資の減損損失

航空・船舶

264

396

 

132

・航空関連事業の増益

金融・リース・不動産

439

591

 

152

・みずほリース社の関連会社化に伴う増益

・航空機リース事業の増益

・保有方針を変更した事業投資に係る税引当

建機・産機・モビリティ

271

161

 

△111

・自動車関連事業、建設機械事業及び産業設備事業の減益

次世代事業開発

3

7

 

3

・ヘルスケア事業における一過性利益

次世代コーポレートディベロップメント

△31

△22

 

9

・米国ライフスタイルブランド運営会社の子会社化による増益

その他

227

173

 

△55

・金利収支の悪化

全社合計

4,714

5,030

 

316

 

(注)1. 当連結会計年度より、「情報ソリューション」の一部を「インフラプロジェクト」に編入しております。この変更に伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。

2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。

3. 「その他」には、特定のオペレーティング・セグメントに配賦されない本部経費等の損益、セグメント間の内部取引消去等が含まれております。

 

② 当連結会計年度のキャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性

(a)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)629億円増加の5,691億円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業資金負担等の増加があったものの、営業収入及び配当収入により、5,979億円の収入となりました。前年度比では1,555億円の収入の増加であります。

 

基礎営業キャッシュ・フロー

営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、6,066億円となりました。その内訳は以下のとおりであります。

 

(収入:+、支出:△)

調整後営業利益

(売上総利益+販売費及び一般管理費)

+2,836億円

減価償却費等

+1,993億円

利息の受取額及び支払額

△585億円

配当金の受取額

+2,478億円

法人所得税の支払額

△657億円

基礎営業キャッシュ・フロー

+6,066億円

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

持分法適用会社の株式取得や海外事業における資本的支出等により、3,953億円の支出となりました。前年度比では609億円の支出の増加であります。

 

回収

当連結会計年度における投資の回収等(*1)による収入は、1,593億円となりました。

(*1)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額

 

新規投資・CAPEX(資本的支出)

当連結会計年度における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、5,546億円となりました。

(*2)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額

 

ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりであります。

 

セールス&マーケティング事業

・スペシャリティ油脂の加工・販売事業(米国 Gemsa Enterprises)

・電子部品卸売事業(シンガポール DTDS Technology)

・ライフスタイルブランド運営事業(米国 R.G.Barry)

・食品原料・機能性食品素材の製造・販売事業(ベトナム AIG Asia Ingredients)

 

ファイナンス事業

・フリートマネジメント事業(米国 Wheels Topco)

・みずほリース株式追加取得(日本 みずほリース)

・航空機リース事業(米国 Aircastle)

 

安定収益型事業

・再生可能エネルギー等発電事業

 

資源投資

・チリ・センチネラ銅鉱山の拡張プロジェクト

 

以上により、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、2,026億円の収入となりました。前年度比では946億円の収入の増加であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

配当金の支払及び自己株式の取得を行った結果、1,220億円の支出となりました。前年度比では1,321億円の支出の減少であります。

 

(b)財政状態の状況

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結

会計年度末

当連結

会計年度末

 

増減

総資産

89,236

92,020

 

2,784

ネット有利子負債

19,024

19,655

 

631

親会社の所有者に帰属する持分合計

34,597

36,292

 

1,696

ネットDEレシオ

0.55

0.54

 

△0.01

ポイント

(注)ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。

 

当連結会計年度末における総資産は、持分法で会計処理される投資の増加により、前年度末比2,784億円増加の9兆2,020億円となりました。ネット有利子負債は、フリーキャッシュ・フローでの収入があったものの、支払配当や自己株式の取得等があったことにより、前年度末比631億円増加の1兆9,655億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は、円高等による在外営業活動体の換算差額の減少があったものの、純利益の積上げによる利益剰余金の増加により、前年度末比1,696億円増加の3兆6,292億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.54倍となりました。

 

(c)資本政策及び資本コストに関する考え方

当社は、中長期的な企業価値の向上を追求するため、稼ぐ力の継続強化、ROEの維持・向上、株主資本コストの低減を目指しております。現中期経営戦略「GC2027」では、既存事業からの基礎営業キャッシュ・フローの最大化と投資の回収促進によりキャッシュ創出力を強化します。創出したキャッシュは優良な成長投資へ優先配分し、更なる企業価値向上を実現する方針を掲げています。また、収益力の向上を踏まえ株主還元を更に強化するとともに、GC2027期間の3ヵ年累計で株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金の増減等を除く)の黒字を維持します。

また、株主資本コストを十分に意識した経営を実施すべく、財務レバレッジの適正化のみならず、投資規律の徹底や投資の精度向上、資産の優良化といった業績ボラティリティの低減に向けた取組みを行っています。更に、前中期経営戦略「GC2024」期間に引き続き、現中期経営戦略「GC2027」においても株主還元方針として累進配当を導入しております。配当の安定は、株主資本コストの低減にも資すると考えています。加えて、コーポレート・ガバナンスや気候変動対策を含むサステナビリティへの取組み、人財戦略等、非財務面での施策も推進することで、中長期的な企業価値向上に向けた株主資本コストの低減に取り組んでいます。

 

当連結会計年度における資本配分の状況は以下のとおりであります。

当連結会計年度における基礎営業キャッシュ・フローは6,066億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入と合わせた収入合計額は7,658億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は5,546億円となり、更に親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金1,975億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金増減等を除く)(※)は、138億円の収入となっております。また、当社の資本配分方針、株主還元方針は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第4 提出会社の状況」における「3 配当政策」に記載のとおりであります。

(※)基礎営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金を控除したもの。

 

(d)資金調達の方針及び手段

当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。

銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年にわたり金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。

また、財務基盤の強化に資する調達として、ハイブリッド社債(劣後特約付)750億円、ハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)250億円を有しています。

 

連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。

 

格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody's)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。

当連結会計年度末現在の長期格付は、Moody'sがBaa1(見通し「安定的」)、S&PがBBB+(見通し「ポジティブ」)、R&IがAA-(見通し「安定的」)、JCRがAA(見通し「安定的」)となっております。

 

(e)流動性の状況

当社及び連結子会社では、基礎営業キャッシュ・フロー等の収入や手元流動性(現金及び現金同等物並びに定期預金の保有)の確保に加え、コミットメントラインの設定により、営業資金や新規投資・CAPEX(資本的支出)といった資金需要、並びに1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務に対する流動性を準備しております。

当連結会計年度末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は5,695億円となっております。

設定しているコミットメントラインは以下のとおりであります。

 

・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)

・欧米主要銀行を主としたシンジケート団及び大手邦銀による1,350百万米ドル(長期)

 

③ 重要性がある会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しており、連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に特に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下のとおりであります。

 

有形固定資産及び無形資産の減損

当社及び連結子会社は、各報告期間の期末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判定しております。資産が減損している可能性を示す兆候の内容は、主に、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。

有形固定資産及び耐用年数を確定できる無形資産については、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。

資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。公正価値は独立の第三者による評価結果を使用する等市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。使用価値の算定にあたって使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された事業計画や、それが入手できない場合は、直近の資産状況を反映した事業計画によって見積っております。石油・原油等の資源事業に係る開発設備及び鉱業権においては、将来油価・ガス価、鉱区ごとの開発コスト及び埋蔵量等を主要な仮定としております。使用価値の評価にあたり、見積られた将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した割引率を用いて現在価値まで割り引いております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、各報告期間の期末日において、過去に認識した減損損失がもはや存在しないか、又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合は、資産の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額が資産の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。戻入れ後の帳簿価額は、過去において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の帳簿価額(減価償却累計額控除後又は償却累計額控除後)を超えない範囲で認識しております。減損損失の戻入額は純損益として認識しております。

なお、のれんについて認識した減損損失を戻入れることはしておりません。

 

関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損

当社及び連結子会社が保有している関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に関して、各報告期間の期末日に総合的に判断を行い、減損の客観的証拠がある場合には、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額は減損損失として純損益で認識しております。減損の客観的証拠の内容は、主に、市場性のある投資の市場価格の下落、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。また、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。公正価値は主に、売却予定価格等に基づき算定しており、使用価値は主に、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。

減損損失認識後は、認識した減損損失がもはや存在しない、又は減少している可能性を示す兆候の有無に関して、各報告期間の期末日に判定しております。このような兆候が存在する場合は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額がその投資の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入額は、その投資の回収可能価額が減損損失認識後に増加した範囲で認識しており、過去に認識した減損損失の金額を上限として純損益として認識しております。

 

偶発負債及び引当金

引当金は、当社及び連結子会社が過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。

訴訟案件に関する重要な引当金や偶発負債の見積りにあたっては、見積時点における訴訟プロセスの状況、訴訟戦略上の様々な選択肢や想定される将来の訴訟の趨勢も考慮のうえ、関連する事実関係や法律関係について、社外専門家を起用のうえ、当社の主張する法的立場の客観的な分析及び評価を実施しております。訴訟において当社が最終的に損失を被る可能性が高い状況であると考えられる場合に、信頼性をもって見積ることができる金額の引当金を計上しております。

 

当社の経営陣は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。

その他、重要性がある会計方針についての詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。

 

④ 経営戦略の現状と今後の見通し

当社グループは、中期経営戦略「GC2021」(2019年度-2021年度)、「GC2024」(2022年度-2024年度)期間を通じて、収益基盤を確立させてきました。2030年へ向けた長期的な経営戦略の第3段階として、次なる高みへ向け成長を加速させるべく、中期経営戦略「GC2027」を策定し、2025年度よりスタートしております。

詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)会社の経営の基本方針」に記載のとおりであります。