E02572 Japan GAAP
前期
968.9億 円
前期比
111.4%
株価
2,168 (04/26)
発行済株式数
19,493,907
EPS(実績)
188.11 円
PER(実績)
11.53 倍
前期
693.7万 円
前期比
107.8%
平均年齢(勤続年数)
42.1歳(15.5年)
従業員数
503人(連結:736人)
当企業グループは、当社及び子会社18社で構成され、その主な事業内容と、各社の当企業グループの事業に係る位置付け及び報告セグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、下記の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」に掲げるセグメントの関連情報「1 製品及びサービスごとの情報」として記載しているものと同一であります。
当社は、機械部品の販売(動伝事業)、搬送設備等の自動化・省力化・環境対応化商品やその付帯サービスの販売(設備装置事業)、各種不織布及びその加工品や製造機械の販売(産業資材事業)を主な事業としております。一方、報告セグメントは、当企業グループの営業拠点所在地を中心とした販売エリアで区分しており、販売エリアを国内3エリア(地区)に区分し、東・西・中日本本部セグメントとして管理をしております。さらに、海外エリア全体については開発戦略事業と位置付け、産業資材事業及び新商品開発部門を加えた包括的な戦略事業として開発戦略本部セグメントとしております。
各子会社の主たるセグメントに係る位置付けは下記の通りであり、該当箇所に〇印を付しております。
<事業系統図>
事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当企業グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状況、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における世界経済は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の継続や原油をはじめとする資源価格の高騰に加え、各国の政策金利上昇による金融不安まで発生したことなどにより不安定な状況が継続いたしました。国内においても、為替相場の急激な円安による資源・エネルギー価格の高騰が続く中、新型コロナウイルス感染症も完全には終息せず、いずれも企業経済活動に引き続き影響を及ぼしました。
このような状況下にあって、当企業グループでは、お取引に関わる全ての皆様の安全・健康を第一に考え、新型コロナウイルス感染症の感染防止に努めながら企業活動を拡大してまいりました。また、発生した仕入商品不足や納期遅延、商品価格値上げの影響などにも出来る限りの対応努力をしてまいりました。特に、中国における大口案件を含む工事案件については原価管理や進捗管理を慎重にしながら受注残高を消化してまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、売上高は3期ぶりに1,000億円を超え過去最高となり、コロナ前の水準に戻りました。利益面では、売上高が増加したことに加え、経費使用を必要最小限にとどめた結果もあり、前年同期に比べ大幅に増加いたしました。また、受注高につきましても引き続き高水準を維持しており、受注残高は年度末残高として過去最高となりました。
(単位:百万円)
受注高は、前連結会計年度に比べ1.0%減少し、1,148億37百万円となりました。当連結会計年度についても新型コロナウイルス感染症の影響下、将来の売上高につながる受注獲得に特に注力いたしました。この結果、比較的好調な業種、即ち、半導体製造設備メーカー、食品・物流業界、環境関連設備業界向けの受注を中心に獲得することができました。
売上高は、前連結会計年度に比べ11.4%増収の1,079億63百万円となりました。営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益は、それぞれ51億2百万円(前期比116.1%)、54億34百万円(前期比114.1%)、36億67百万円(前期比115.4%)となり、前連結会計年度に比べ増収増益となりました。
この経営成績の主な要因は、比較的好調な業種に対して受注活動に注力した結果として、売上高もそれにつれ増加したものであります。また、中国における大口受注設備も、工事の進捗に応じその一部を売上計上しておりますので売上高に積み増しすることができました。一方、売上高増額の結果に加え交通費を中心とした経費削減を徹底して行いました結果、利益額も増加いたしました。
海外市場におきましては、新型コロナウイルス感染症からいち早く回復した中国を中心に、順次売上高が回復基調となりました。
経営指標による連結経営成績の状況は、上記の状況の結果、受注高の前期比成長率が△1.0%、売上高の前期比成長率が11.4%、営業利益の前期比成長率が16.1%、経常利益の前期比成長率が14.1%、親会社株主に帰属する当期純利益の前期比成長率が15.4%となりました。売上高経常利益率は5.0%、総資産経常利益率が6.7%、ROEが11.4%となり、前連結会計年度に比べ受注高以外の全ての指標において増加いたしました。これは、売上高増収に伴う利益額の増加が最大の要因でありますが、比較的利益率の高い設備装置部門や国内子会社の売上高の増加、経費削減効果が、営業利益率の増加となって現れております。また、かねてより10%維持を目標としているROEは11.4%となっており、収益力維持に努めている結果が反映していると考えております。
今後の当企業グループの企業活動は、コロナ前の水準へ戻りつつあり、受注高・売上高の拡大並びに収益力を堅持し、客先をはじめとするステークホルダーへの貢献や、喫緊の課題である環境問題への対処などの社会的責任について事業を通じて果たしていきたいと考えております。
報告セグメントの業績は次のとおりであります。
(単位:百万円)
北海道・東北・甲信越・関東地区が担当エリアであり、全体の売上高の約34%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、362億80百万円(前期比104.0%)となりました。当年度は、動伝部品は半導体製造装置関連を中心に売上高が回復したものの、設備装置関連の売上高は、新型コロナウイルス感染症による活動制限の影響や納入機器の納期遅れ等が発生し、年度末近くの納期案件の売上時期が想定より遅れ気味となったことから伸び悩みました。この結果、営業利益は、17億5百万円(対前期2億49百万円減)となりました。受注高につきましては401億40百万円(前期比106.7%)と、前期に比べ大幅増額となりました。この結果、受注残高も着実に増加していることから、来年度の売上高に反映できるものと考えております。
北陸・関西・中国・四国・九州地区が担当エリアであり、全体の売上高の約37%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、399億69百万円(前期比120.6%)となりました。当年度は、食品・物流業界向けの設備装置関連を中心に売上高の増加傾向が強く、一般産業・重工業向け等の動伝部品販売も堅調に推移いたしました。また、中国における大口案件の工事進捗も順調に推移し、来年度分には若干額の売上を残すのみとなりました。営業利益は、31億89百万円(対前期8億37百万円増)となりました。これは、上記の大口設備装置分の利益計上に加え、部品需要の売上増による増益の影響であります。受注高につきましては390億1百万円(前期比83.1%)となりました。受注高及び受注残高につきましては、中国の大口案件の影響により減額しているものの、それを除いた金額では前年同期を大幅に上回りました。
東海地区が担当エリアであり、全体の売上高の約12%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、132億70百万円(前期比106.2%)となりました。当年度は、設備装置関連については、前半に新型コロナウイルス感染症拡大により営業活動が制約されたため、自動車関連業界へのアプローチ不足となり、当年度を通じた売上高は前年同期に届かなかったものの、後半には受注活動が本格活動可能となったため、受注高や受注残高は、年度全体として前年同期を上回る増加となりました。一方、重工業向けや一般機械部品を中心とした動伝部品の売上高は前年同期に比べ増加いたしました。営業利益は、6億31百万円(対前期1億15百万円増)となりました。受注高につきましては157億17百万円(前期比109.6%)と増額いたしました。
当企業グループ全体の海外ビジネスやマテリアルビジネスを担当し、それらビジネスの拡大や、制御・センシングビジネスに向けた新商品の開発にも取組んでいる部門で、その売上高は全体の約17%を占めております。
当連結会計年度の売上高は、184億42百万円(前期比112.6%)となりました。当年度は、海外子会社については、中国において国内経済が回復傾向となった影響で、売上高が増加いたしました。その他のアジア各国は、年度前半に新型コロナウイルス感染症拡大により営業活動が制限されたものの、後半にかけ売上高は回復傾向となりました。また、マテリアルビジネスについては、海外展開している紅茶包装機等について、欧米顧客に向けた営業活動が新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢により制限され、売上高が伸び悩んだものの、介護・衛生関連商品にかかる不織布や一般消費財等を中心に売上高が増加したため、全体として前年度に比べ増収となりました。新規事業であるセンシング・画像処理ビジネスは、新規受注も前年同期に比べ着実に増加し、子会社を通じた売上高も増加しております。この結果、営業利益は8億75百万円(対前期2億1百万円増)となりました。受注高については、海外子会社の活動拡大や介護・衛生関連商品にかかる不織布等の引合いが好調であったこと、また、新規事業であるセンシング・画像処理ビジネスも確実に受注額が拡大していることから、受注高については199億76百万円(前期比116.7%)と増額いたしました。受注残高も前期に比べ増加しておりますので、これが今後の売上増加に寄与していくものと考えております。
当連結会計年度における報告セグメントの業績を一覧表として示すと以下のとおりであります。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(3) 財政状態の分析
(単位:百万円)
当連結会計年度末の資産合計は844億74百万円であり、前連結会計年度末の767億73百万円に比べ、77億1百万円増加いたしました。このうち流動資産は、前連結会計年度末に比べ、67億32百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が53億23百万円、商品及び製品と仕掛品が合計で8億67百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ、9億68百万円増加いたしました。主な要因は、投資有価証券の時価が上昇したことにより前連結会計年度末に比べ5億55百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の負債合計は504億34百万円であり、前連結会計年度末の460億10百万円に比べ、44億23百万円増加いたしました。このうち流動負債は、前連結会計年度末に比べ、42億95百万円増加いたしました。主な要因は、支払手形及び買掛金と電子記録債務が合計で48億30百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ、1億28百万円増加いたしました。主な要因は、繰延税金負債が1億38百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度末の純資産合計は340億39百万円であり、前連結会計年度末の307億62百万円に比べ、32億77百万円増加いたしました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を36億67百万円計上した一方で、配当金の支払い9億48百万円を実施したこと等によるものであります。この結果、自己資本比率は40.0%となり、財務安全性指標として維持する目標の30%を大きく超え、前連結会計年度に引き続き財務安全性を確保することができました。
(単位:百万円)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、資金)は、229億27百万円となり、前連結会計年度末より53億23百万円増加いたしました。当年度は、中国における大口の設備装置売上にかかる仕入代金の決済が次年度となったことから、現金及び現金同等物が一時的に大幅な増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ1億45百万円多い67億16百万円となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益は54億34百万円、仕入債務の増加額48億7百万円等による資金の増加があった一方、法人税等の支払額19億32百万円、棚卸資産の増加額8億83百万円等の資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べ3億8百万円多い4億61百万円となりました。
これは主に、当年度には固定資産の取得が増加し、3億65百万円の支出があったため資金の使用が増加したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によって使用した資金は、前連結会計年度に比べ1億62百万円多い9億71百万円となりました。
これは主に、配当金の支払額9億48百万円等の資金の減少によるものであります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
当企業グループは、強固な財務体質と資本効率を両立しつつ、企業価値向上のために戦略的に経営資源を配分することを財務戦略の基本方針としております。当連結会計年度末の自己資本比率は40.0%でありました。また、短期・長期借入金は必要最小限となるよう資金繰りを徹底し、増加運転資金には手元資金を効率的に運用することで対応しており、加えて、万一に備えての資金調達が行えるよう金融機関と貸出コミットメント契約を締結しております。一方、適切な情報開示・IR活動を通じて株主資本コストを低減できる様に努めております。
②経営資源の配分に関する考え方
当企業グループでは、適正な手元現預金の水準について目安を持っており、時期によっては、大口取引案件にかかる残高の上下があるものの、概ね年間売上高の1~2か月分が安定的な経営に必要な手元資金水準と考えております。この水準を大きく超えることが継続すると予想されるものについては、企業価値向上に資する経営資源として適正に配分できるように努めております。
③資金需要及び資金調達
資金需要につきましては、売上原価又は棚卸資産に該当する仕入高、並びに販売費及び一般管理費の営業費用が、当企業グループの運転資金として要する主なものであります。販売費及び一般管理費の主なものは、人件費、出張旅費を主体とする旅費交通費、及び事務所家賃を主体とする地代家賃であります。
また今後、当企業グループの新たな収益の源泉となり、企業価値向上に貢献していくとの判断から、新規事業や海外事業について子会社の新設やM&Aも含めた投資の検討を行ってまいります。
資金調達につきましては、手元資金を効率的に運用することで対応しており、加えて、万一に備えての資金調達が行えるよう金融機関と貸出コミットメント契約を締結しております。
当企業グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」の項目に記載の通りであります。重要な見積りについては、財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り・予測・判断が必要となり、当企業グループでは過去の実績値や状況に応じ合理的と判断される入手可能な情報に基づき、継続的に見積り・予測・判断を行っております。しかしながら、見積り特有の不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
当企業グループにおける重要な見積りとして、以下の事項が考えられます。
(進捗度に基づく売上高の計上)
進捗度に基づく売上高の計上は、工事ごとの管理体制を整備した上で、受注時に工事内容が特定され、その見積原価が反映していること、また受注後に工事内容に変化があった場合には、速やかに見積原価の変更を行うなど進捗管理を厳正に管理することで進捗率を合理的に見積り、それに見合った売上高を算定しております。
これらの見積りに対し、将来発生する様々な要因に伴い追加原価及び工期遅延が発生する可能性があるため、実際に生じた金額が見積りと異なる可能性があります。
なお、詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」として記載しております。
(7)その他
当企業グループにおいて、重要な取引先として株式会社椿本チエイン及びそのグループ会社があります。その取引内容につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 関連当事者情報」の事項に記載の通りでありますが、株式会社椿本チエイングループの製品は当企業グループの事業戦略展開上の重要なコアの一つであり、従来から販売面のみならず、商品開発面及び相互間の業務処理の効率化といった面から継続的な協力・協働を進めてきております。同グループ製品群に係る市場でのコスト面、品質面での競争は激化しており、製・販一体となった更なる販売力・商品力の強化が求められております。
このような状況を踏まえ、当企業グループは、株式会社椿本チエイングループと共に統一した営業戦略の下での協力・協働関係を更に強化することとし、ターゲットとした事業領域・商品領域については、両者によるワーキングチームの編成等、一歩進めた共同営業の展開により同グループ製品の販売拡大を図って行くと共に、IT化により、相互間の事業処理面でも効率化を更に進めていくこととしております。
当連結会計年度につきましてはROEは11.4%となり、株主資本コストを上回る資本収益性は達成できていると認識しております。しかしながら、以下の通り、PBR(株価純資産倍率)は1倍を割れている状況であり、十分な市場評価を得られておりません。このため、株主資本コストや資本収益性を十分に意識し、ROE10%を毎期継続して達成することを中期経営計画にも反映しております。更には、ROE向上のための資本政策や利益計画を策定し、投資家をはじめとするステークホルダーの期待に応えながら、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を図ってまいります。
(注)1 上記の連結会計年度末株価終値は、東京証券取引所におけるものであります。
2 PBRは、各年度末の株価終値を1株当たり純資産額で割って算出しております。