E02644 Japan GAAP
前期
5,881.3億 円
前期比
103.6%
株価
4,153 (04/19)
発行済株式数
131,079,972
EPS(実績)
278.40 円
PER(実績)
14.92 倍
前期
857.5万 円
前期比
97.4%
平均年齢(勤続年数)
48.8歳(25.2年)
従業員数
4,528人(連結:16,089人)
当社グループは、キヤノンマーケティングジャパン株式会社とその連結子会社14社によって構成されており、グローバルに展開するキヤノングループの一員として、日本市場におけるキヤノン製品の販売、サービス、マーケティングに加え、独自事業としてITソリューションや産業機器、ヘルスケア等のビジネスを行っております。
当社グループの各事業内容と各関係会社の当該事業に係る位置付けは、以下のとおりであります。
(コンスーマ)
主に個人のお客さま向けのデジタルカメラやインクジェットプリンター等を販売しております。
(エンタープライズ)
主に大手、準大手・中堅企業向けに、キヤノンの入出力機器の販売及び業種ごとの経営課題解決に寄与するソリューションを提供しております。
(エリア)
主に全国の中小企業向けに、キヤノンの入出力機器の販売及び顧客の経営課題解決に寄与するソリューションを提供しております。
(プロフェッショナル)
各専門領域の顧客向けに、ソリューションを提供しております。
<プロダクションプリンティング>
主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。
<産業機器>
主に半導体メーカー及びその他電子デバイスメーカー向けに、半導体製造関連装置、検査計測装置等を提供しております。
<ヘルスケア>
主に医療ヘルスケア分野向けに、ITソリューションの提供、システム開発、ネットワーク構築、ハードウエアを提供しております。
事業系統図は次のとおりであります。
当期におけるわが国の経済は、緩やかに持ち直しの動きが続きました。個人消費は、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針変更に伴う旅行や外食の拡大、インバウンド消費の回復等により、持ち直しの動きが見られました。企業の設備投資は、経済活動の正常化に伴い、好調に推移しました。特にIT投資については、製造業や金融業を中心に幅広い業種で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。
このような経済環境のもと、当社グループは企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやITインフラサービスの売上拡大、オフィスMFPの供給回復やレンズ交換式デジタルカメラの新製品の好調な推移等に伴う売上拡大により、売上高は6,094億73百万円(前期比3.6%増)となりました。
利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、営業利益は524億95百万円(前期比5.1%増)、経常利益は535億85百万円(前期比5.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は364億93百万円(前期比2.6%増)となりました。
各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前期との比較に基づいています。
コンスーマ
レンズ交換式デジタルカメラについては、新型コロナウイルス感染症による制約が徐々に緩和されたことによる撮影機会の増加や、2022年12月に発売した「EOS R6 MarkⅡ」、2023年3月に発売した「EOS R50」、4月に発売した「EOS R8」、6月に発売した「EOS R100」等のEOS Rシリーズの販売台数の増加により、売上は堅調に推移しました。
インクジェットプリンターについては、市場の縮小により、売上は減少しました。インクカートリッジについては、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。
ITプロダクトについては、高性能PCやPC周辺機器の販売が堅調に推移したことにより、売上は微増となりました。
これらの結果、当セグメントの売上高は1,347億13百万円(前期比1.4%減)となりました。セグメント利益については、売上減少に伴う売上総利益の減少により、133億55百万円(前期比4.2%減)となりました。
エンタープライズ
主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターについては、第4四半期に複数の大型案件があったことにより、台数は増加しました。オフィスMFPの保守サービスについては、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は微減となりました。レーザープリンターカートリッジについては、2023年2月に実施した仕入価格上昇に伴う価格改定の効果や、金融業向けが堅調に推移したことにより、売上は増加しました。
ITソリューションについては、金融業及び流通業向けのSI案件の売上が増加したことに加え、IT基盤に係る案件を複数獲得したことや、データセンター2号棟の売上が順調に推移したこと等により、売上は大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は2,203億26百万円(前期比8.7%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、196億50百万円(前期比15.1%増)となりました。
エリア
主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターについては、前年の供給回復に伴う出荷増の反動により、台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、大都市圏を中心にテレワークが継続され、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は微減となりました。一方、レーザープリンターカートリッジについては、2023年2月に実施した仕入価格上昇に伴う価格改定の効果等により、売上は増加しました。
ITソリューションについては、ビジネスPCの供給が回復したことや、複数のIT基盤構築案件を獲得したことに加え、中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」のラインアップを拡充し受注件数が増加したことにより、売上は増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は2,339億13百万円(前期比3.2%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、182億49百万円(前期比17.3%増)となりました。
プロフェッショナル
(プロダクションプリンティング)
プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しております。
当事業の売上は、前期にあった高速連帳プリンターの複数案件の剥落により、減少しました。
(産業機器)
産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに、製造関連装置及び検査計測装置等を提供しております。
当事業の売上は、前期にあった半導体製造関連装置等の複数案件の剥落により、減少しました。
(ヘルスケア)
ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテを中心とした医療情報システム等を提供しております。
当事業の売上は、キヤノンメディカルシステムズ株式会社からの事業移管及び診療所向けオンライン資格確認システム案件や調剤薬局向け電子処方箋案件が増加したことにより、大幅に増加しました。
これらの結果、当セグメントの売上高は402億2百万円(前期比3.5%減)となりました。セグメント利益については、売上減少に伴う売上総利益の減少により、36億12百万円(前期比31.1%減)となりました。
(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は、281億82百万円(前連結会計年度は377億25百万円の増加)、投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は、100億11百万円(前連結会計年度は101億7百万円の減少)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は、132億60百万円(前連結会計年度は112億59百万円の減少)となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ50億58百万円増加して、896億90百万円となりました。
当社グループの事業形態は主に国内外から仕入を行い、国内での販売を主要業務としているため、生産実績及び受注実績に代えて仕入実績を記載しております。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.総販売実績に対して10%以上に該当する販売先はありません。
3.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断しております。
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択と適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となりますが、その判断及び見積りに関しては連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りのうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(流動資産)
当社グループにおける実質的資金である現金及び預金、有価証券、短期貸付金の合計額の減少49億49百万円、商品及び製品の増加12億52百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加12億17百万円等により、前連結会計年度末より10億96百万円減少し、4,186億11百万円となりました。
なお、売掛債権の保有日数は、前連結会計年度末と比べて2日短くなり、66日となっております。
また、在庫回転日数は、前連結会計年度末と比べて横ばいの、24日となっております。
(固定資産)
子会社株式取得等によるのれんの増加45億40百万円及び顧客関連資産の増加34億8百万円、保有上場株式の時価評価等による投資有価証券の増加30億2百万円、退職給付に係る資産の増加105億94百万円、繰延税金資産の減少69億87百万円等により、前連結会計年度末より147億22百万円増加し、1,387億55百万円となりました。
なお、有形固定資産は、新規取得による増加74億60百万円、減価償却による減少80億30百万円等により、前連結会計年度末より2億51百万円減少し、850億24百万円となりました。
また、無形固定資産は、新規取得による増加19億62百万円、子会社株式取得等による増加86億2百万円、減価償却による減少22億10百万円等により、前連結会計年度末より81億86百万円増加し、141億81百万円となりました。
(流動負債)
未払消費税等の増加12億86百万円、その他に含まれる契約負債の増加16億38百万円等により、前連結会計年度末より25億28百万円増加し、1,105億90百万円となりました。
(固定負債)
退職給付に係る負債の減少243億81百万円等により、前連結会計年度末より240億39百万円減少し、112億66百万円となりました。
(純資産)
親会社株主に帰属する当期純利益による増加364億93百万円、配当金の支払129億67百万円、退職給付に係る調整累計額の増加99億42百万円、その他有価証券評価差額金の増加16億57百万円等により、前連結会計年度末より351億37百万円増加し、4,355億9百万円となりました。
これらの結果、総資産は前連結会計年度末より136億25百万円増加し、5,573億66百万円となりました。
(売上高)
売上高は、企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやITインフラサービスの売上拡大、オフィスMFPの供給回復やレンズ交換式デジタルカメラの新製品の好調な推移等に伴う売上拡大により、前連結会計年度と比べて3.6%増加し、6,094億73百万円となりました。
詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(売上原価)
売上原価は、開発部門及びサービス部門の人件費が含まれます。前連結会計年度と比べて4.2%増加し、4,049億80百万円となりました。
(売上総利益)
売上総利益は、前連結会計年度と比べて2.6%増加し、2,044億92百万円となりました。
また、売上総利益率は、前連結会計年度と比べて0.3ポイント減少し、33.6%となりました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は、広告宣伝費の増加等により、前連結会計年度と比べて1.8%増加し、1,519億97百万円となりました。
(営業利益)
営業利益は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴い効果的な販促活動を積極的に行ったことで販管費は増加しましたが、キヤノン製品の供給回復に加え、好調なITソリューション事業の売上拡大に伴う売上総利益の増加等により、前連結会計年度と比べて5.1%増加し、524億95百万円となりました。
また、営業利益率は、前連結会計年度と比べて0.1ポイント上昇し、8.6%となりました。
詳細は「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
(営業外損益)
営業外損益は、前連結会計年度の10億44百万円の利益から、10億90百万円の利益となりました。
(経常利益)
経常利益は、前連結会計年度と比べて5.1%増加し、535億85百万円となりました。
(特別損益)
特別損益は、前連結会計年度の5億31百万円の利益から、5億27百万円の損失となりました。主に、投資有価証券売却益を1億13百万円、固定資産除売却損を4億79百万円、関係会社株式売却損を1億59百万円計上したことによるものであります。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度と比べて3.0%増加し、530億57百万円となりました。また、売上高に対する比率は、前連結会計年度と比べて0.1ポイント減少し、8.7%となりました。
(法人税等)
法人税等は、前連結会計年度の158億96百万円から、当連結会計年度は164億73百万円となりました。なお、実効税率は、31.0%でした。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比べて2.6%増加し、364億93百万円となりました。
また、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度より7円25銭増加し、281円41銭となりました。株主資本利益率(ROE)は、前連結会計年度と比べて0.5ポイント減少し、8.7%となりました。
なお、セグメント別業績の分析については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.経営成績等の状況の概要」に記載のとおりです。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ50億58百万円増加して、896億90百万円となりました。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は281億82百万円(前連結会計年度は377億25百万円の増加)となりました。税金等調整前当期純利益530億57百万円等による資金の増加と、退職給付信託の拠出180億円、法人税等の支払148億9百万円、仕入債務の減少25億3百万円、棚卸資産の増加6億91百万円、売上債権の増加61百万円等による資金の減少によるものであります。
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は100億11百万円(前連結会計年度は101億7百万円の減少)となりました。有形固定資産の取得による支出83億43百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出76億18百万円、無形固定資産の取得による支出19億60百万円等による資金の減少と、短期貸付金の純増減額100億12百万円等による資金の増加によるものであります。
これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当連結会計年度のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は、181億71百万円(前連結会計年度は276億18百万円の増加)となりました。
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は132億60百万円(前連結会計年度は112億59百万円の減少)となりました。配当金の支払129億61百万円等によるものであります。
当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。
運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。
当社グループは、「中期経営計画(2022年~2025年)」を策定し、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として下記の項目を掲げております。
当連結会計年度の計画に対しては、市場の縮小に伴うインクジェットプリンターの売上減少や、プリントボリュームの減少に伴うインクカートリッジの売上減少等の影響により、売上は目標未達となりましたが、仕入価格上昇に伴う価格改定の効果等により、営業利益、親会社株主に帰属する当期純利益において当初の目標を達成いたしました。