売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02644 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

① 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、緩やかに持ち直しの動きが続きました。個人消費は、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針変更に伴う旅行や外食の拡大、インバウンド消費の回復等により、持ち直しの動きが見られました。企業の設備投資は、経済活動の正常化に伴い、好調に推移しました。特にIT投資については、製造業や金融業を中心に幅広い業種で投資意欲が高い状態にあり、好調に推移しました。

 

このような経済環境のもと、当社グループは企業の積極的なIT投資を背景としたSIサービスやITインフラサービスの売上拡大、オフィスMFPの供給回復やレンズ交換式デジタルカメラの新製品の好調な推移等に伴う売上拡大により、売上高は4,445億50百万円(前年同期比3.8%増)となりました。

利益については、売上増加に伴い売上総利益は増加したものの、広告宣伝費やIT費用等の販管費の増加により、営業利益は376億82百万円(前年同期比0.5%減)、経常利益は385億39百万円(前年同期比0.2%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は258億54百万円(前年同期比3.1%減)となりました。

 

各報告セグメントの業績は以下のとおりです。増減に関する記載は、前年同期との比較に基づいています。

 

コンスーマ

レンズ交換式デジタルカメラについては、新型コロナウイルス感染症による制約が徐々に緩和されたことによる撮影機会の増加や、2022年12月に発売した「EOS R6 MarkⅡ」、2023年3月に発売した「EOS R50」、4月に発売した「EOS R8」、6月に発売した「EOS R100」等のEOS Rシリーズの販売台数の増加により、売上は堅調に推移しました。

 

インクジェットプリンターについては、市場の縮小や、供給制約が解消された前年同期の反動により、売上は減少しました。インクカートリッジについては、プリントボリュームの減少等により、売上は減少しました。

 

ITプロダクトについては、高性能PCやPC周辺機器の販売が堅調に推移したことにより、売上は微増となりました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は937億80百万円(前年同期比0.2%減)となりました。セグメント利益については、広告宣伝費等の販管費の増加により、83億46百万円(前年同期比12.3%減)となりました。

 

 

エンタープライズ

主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターについては、前年同期にあった大型案件の剥落により、台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したものの、カラー出力比率が高まったことにより、売上は横ばいとなりました。レーザープリンターカートリッジについては、大手企業向けでプリントボリュームが減少したことにより、売上は減少しました。

 

ITソリューションについては、流通業向けや金融業向けのSI案件の売上が増加したことに加え、IT基盤に係る案件を複数獲得したこと、BPOやデータセンター2号棟の売上が順調に推移したこと等により、売上は大幅に増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,602億45百万円(前年同期比7.6%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により、143億72百万円(前年同期比11.0%増)となりました。

 

エリア

主要ビジネス機器については、製品の供給が回復したことにより、オフィスMFPの台数は増加しました。レーザープリンターについては、前年の供給回復に伴う出荷増の反動により、台数は減少しました。オフィスMFPの保守サービスについては、大都市圏を中心にテレワークが継続され、オフィスにおけるプリントボリュームが減少したことにより、売上は微減となりました。一方、レーザープリンターカートリッジについては、2月に実施した仕入価格上昇に伴う価格改定の効果等により、売上は増加しました。

 

ITソリューションについては、ビジネスPCの供給が回復したことや、複数のIT基盤構築案件を獲得したことに加え、中小企業のIT環境をトータルで支援する「まかせてIT DXシリーズ」のラインアップを拡充し受注件数が増加したことで、売上は増加しました。

 

これらの結果、当セグメントの売上高は1,749億89百万円(前年同期比4.6%増)となりました。セグメント利益については、売上増加に伴う売上総利益の増加により134億42百万円(前年同期比14.4%増)となりました。

 

プロフェッショナル

(プロダクションプリンティング)

プロダクションプリンティング事業では、主に印刷業向けに、高速連帳プリンター及び高速カット紙プリンター等を提供しております。また、小売業向けにPOP制作関連のビジネスも提供しております。

当事業の売上は、前年同期にあった高速連帳プリンターの複数案件の剥落により、減少しました。
 
(産業機器)

産業機器事業では、主に半導体メーカー向けに、製造関連装置及び検査計測装置等を提供しております。

当事業の売上は、前年同期にあった半導体製造関連装置等の複数案件の剥落により、減少しました。
 
(ヘルスケア)

ヘルスケア事業では、主に病院・診療所・調剤薬局・健診施設向けに、電子カルテを中心とした医療情報システム等を提供しております。

当事業の売上は、キヤノンメディカルシステムズ(株)からの事業移管及び診療所向けオンライン資格確認システム案件や調剤薬局向け電子処方箋案件が増加したことにより、大幅に増加しました。

 

 

これらの結果、当セグメントの売上高は304億74百万円(前年同期比8.4%減)となりました。セグメント利益については、売上減少に伴う売上総利益の減少により、34億5百万円(前年同期比34.2%減)となりました。

 

(注)各セグメント別の売上高は、外部顧客への売上高にセグメント間の内部売上高又は振替高を加算したものであります。詳細は、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

 

 ② 財政状態の状況

(資産)

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末と比べ83億92百万円減少し、5,353億48百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ105億15百万円減少しました。受取手形、売掛金及び契約資産の減少134億19百万円、短期貸付金の減少100億2百万円、現金及び預金の減少63億59百万円、商品及び製品の増加61億23百万円等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末と比べ21億23百万円増加しました。保有上場株式の時価評価等による投資有価証券の増加27億80百万円等によるものであります。

 

(負債)

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は、前連結会計年度末と比べ224億55百万円減少し、1,209億12百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ31億3百万円減少しました。支払手形及び買掛金の減少36億94百万円、未払費用の減少32億48百万円、未払法人税等の減少29億88百万円、賞与引当金の増加90億27百万円等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末と比べ193億52百万円減少しました。退職給付信託の拠出等による退職給付に係る負債の減少193億54百万円等によるものであります。

 

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は、前連結会計年度末と比べ140億63百万円増加し、4,144億35百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益による増加258億54百万円、その他有価証券評価差額金の増加15億58百万円、配当金の支払129億67百万円等によるものであります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ53億59百万円減少し、792億73百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローの資金の増加は184億39百万円となりました。税金等調整前四半期純利益380億34百万円、売上債権の減少134億52百万円等による資金の増加と、退職給付信託の拠出180億円、法人税等の支払145億68百万円、棚卸資産の増加58億21百万円、仕入債務の減少37億25百万円等による資金の減少によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は108億6百万円となりました。連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出103億49百万円、有形固定資産の取得による支出67億71百万円等による資金の減少と、短期貸付金の純増減額100億2百万円等による資金の増加によるものであります。

 

これらの結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計した、当第3四半期連結累計期間のフリー・キャッシュ・フローの資金の増加は76億32百万円となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローの資金の減少は132億54百万円となりました。配当金の支払129億56百万円等によるものであります。

 

(3) 経営方針・経営戦略等

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、「2021-2025 長期経営構想」及び「2022-2025 中期経営計画」を策定いたしました。長期経営構想については、当社グループの企業理念である「共生※」の考え方に基づき、事業活動を通じ社会課題を解決することが、社会と当社グループ双方の持続的な発展、いわゆるサステナビリティ経営そのものであるとした上で、策定しております。

中期経営計画については、長期経営構想における基本戦略に基づき、2025年ビジョン及び経営指標の実現に向けた実行計画として推進いたします。

 

※「共生」は1988年にキヤノングループが、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすとし、掲げた企業理念です。

 

(2025年ビジョン)

社会・お客さまの課題をICTと人の力で解決するプロフェッショナルな企業グループ

 

(基本戦略)

1.事業を通じた社会課題解決による、持続的な企業価値の向上

2.高収益企業グループの実現

・ITソリューション事業を成長の中核とした事業変革

・顧客基盤を活かした顧客層別営業体制の強化

・キヤノン製品事業の付加価値向上と更なる高収益化

3.経営資本強化による、好循環の創出

・人材の高度化・エンゲージメント向上による事業成長の加速

・戦略的事業投資による事業成長の加速

 

(2025年の経営指標)

売上     6,500億円(内、ITソリューション売上 3,000億円)

営業利益    580億円

ROE           9.0%

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(5) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億22百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。

 

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローによっております。また、当社と連結子会社間におけるグループファイナンスの実施により、グループ内資金の有効活用を図っております。

運転資金、設備資金等、通常の資金需要につきましては、原則として営業活動によるキャッシュ・フローによる自己資金で充当することとしております。