E02561 Japan GAAP
前期
1,165.2億 円
前期比
130.2%
株価
2,042 (03/28)
発行済株式数
11,103,500
EPS(実績)
160.04 円
PER(実績)
12.76 倍
前期
698.8万 円
前期比
105.9%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(16.0年)
従業員数
184人(連結:290人)
当社グループは、鉄鋼卸売業を営んでおり、鉄鋼を製造する高炉メーカー及び電炉メーカー等の「鉄鋼メーカー」、鋼板(薄板)から鋼管を製造する「造管メーカー」、鋼板(厚板)から建材用鋼材を製造する「建材メーカー」等から仕入を行い、それを当社グループ内の鋼材加工を担う子会社や外部の委託加工先にて加工、在庫し、自動車業界や建築業界を中心とした各得意先へ販売しております。当社グループは、当社、子会社5社及び関連会社1社で構成され、鉄鋼販売事業の単一セグメントであります。
当社グループが取り扱っている商品は、主に鋼板、鋼管、条鋼、ステンレス等であります。
鋼板類は、主に自動車部品や鋼製シャッター等に使用される薄板を中心に扱い、鉄鋼メーカーから購入した大型コイルを、当社の関連会社である㈱空見スチールサービスをはじめとした委託加工先で指定の幅に小割または板に剪断して、得意先へ販売しております。
鋼管類は、主に自動車部品、建築部材等に使用される小中径鋼管、建物の柱として使用される角型鋼管(コラム)を中心に扱い、造管メーカーから購入した長尺材を、主に当社の各子会社で指定の長さに切断、穴開け、曲げ等の加工を行い、得意先へ販売しております。
ステンレス類は、主に自動車のマフラー等に使用されるステンレス薄板、ステンス鋼管を鋼板、鋼管類と同様、鉄鋼メーカー及び造管メーカーから購入し、子会社や委託加工先にて加工を行い、得意先へ販売しております。
当社グループは、単なる鋼材販売にとどまらず、高炉メーカーから直接鋼材の仕入れを行うことができる一次商としての強みを活かしつつ、受注、発注、加工、品質・在庫管理、タイムリーな小口納入など、一気通貫できめ細かな供給対応を可能とする体制を構築しております。
また、当社グループは、大口顧客へ継続して安定的に納品する「紐付販売」が高い割合を占めております。「紐付販売」は、市況による販売単価と仕入単価の変動リスクの影響が相対的に小さく、安定した売上数量・金額の確保ができます。さらに当社グループでは、需要や市況を予測し、予め在庫して販売する「店売在庫販売」、あるいは受注した鋼材を他社からの仕入れ、買継ぎをする「店売販売」にも注力、展開しております。
その他の関係会社である㈱メタルワンとは鋼板、鋼管の仕入及び販売を行っております。
㈱メタルワンは鉄鋼商社であり、当社と同一の事業を営んでおりますが、鉄鋼流通業界の特徴として商社の立場からその取引商流を主体的に変更することは困難であり、同社グループと当社グループの間では商圏及び商流による棲み分けがなされております 。
事業系統図は、次のとおりであります。
※画像省略しています。
※連結子会社 ○持分法適用会社
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国は、2020年初めから猛威を振るった新型コロナウイルスの感染が夏以降ピークアウトし、ワクチン接種をはじめとした感染予防の効果もあり、社会行動の正常化に向けて動き始めました。企業活動も年後半から回復傾向が見られ始めたものの、長期に亘るグローバルサプライチェーンの目詰まり等の影響から、半導体をはじめとする部品調達難が長期化し、当社の主力顧客であるトヨタ自動車の当該年度の国内生産は278万台となり、3年連続で300万台を下回る結果となりました。数年に亘り世界主要国が大規模な財政および金融緩和策で社会を下支えしたところに、ウクライナ戦争による資源高騰が重なりました。世界的なインフレにより、欧米の中央銀行は金利引締めに舵を切り金利が急速に上昇しており、ゼロ金利を長らく続けてきたわが国の金融政策の今後の動向を注視する必要があります。当社グループを取り巻く鉄鋼業界は、業界をあげてカーボンニュートラルに向けて巨額な投資を伴う取り組みが加速しており、原材料の高騰も加わり、鋼材単価の大幅な是正が継続しました。その規模は3ケ年で約3割の上昇となりました。供給サイドの大幅値上げに対し、需要はコロナ禍の影響を引きずり依然力強さを欠いた状態が続いたため、当社グループは価格転嫁に取り組みましたが、売上高は大幅に伸びたものの売買差益は昨年度に比して縮小する結果となりました。
このような状況下、当社グループはPURPOSE(社会的存在意義)に掲げた「地域社会と地域産業の持続的成長に信頼のサプライチェーンで貢献する」を念頭に、第10次中期経営計画の着実な推進と丁寧に顧客ニーズへお応えしながら安定的な鋼材供給に努めることで収益向上に取り組んでまいりました。
その結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、鋼材価格の上昇等が寄与したことにより1,516億74百万円(前年同期比30.2%増)となりました。一方で、利益面におきましては運賃諸掛をはじめとした販売費及び一般管理費の増加に伴い、営業利益は23億61百万円(同4.9%減)、経常利益は25億67百万円(同6.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億77百万円(同5.8%減)となりました。
当社グループのセグメントの業績については、「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項」のとおり鉄鋼販売事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益の計上、仕入債務の増加、長期及び短期借入金の借入による収入等の資金増加要因が、売上債権の増加、棚卸資産の増加、有形固定資産の取得、長期借入金の返済及び社債の償還による支出、配当金の支払等の資金減少要因を上回ったことで、当連結会計年度末残高は前連結会計年度末に比べ66百万円増加し、29億53百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益25億67百万円の計上や、仕入債務の増加56億52百万円等による資金増加要因よりも、売上債権の増加98億22百万円、棚卸資産の増加47億24百万円等による資金減少要因が上回ったため、64億78百万円の資金減少(前連結会計年度は113億78百万円の資金減少)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産の取得による支出85百万円等により、92百万円の資金減少(前連結会計年度は1億69百万円の資金減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の借入による収入51億円、長期借入金の借入による収入57億22百万円、長期借入金の返済による支出18億24百万円、社債の償還による支出15億円、配当金の支払による支出8億29百万円等により、66億37百万円の資金増加(前連結会計年度は74億94百万円の資金増加)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
該当事項はありません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注状況は、次のとおりであります。
(単位:千円) |
セグメントの名称 |
受注高 |
受注残高 |
||
|
前年同期比(%) |
|
前年同期比(%) |
|
鉄鋼販売事業 |
157,808,439 |
126.4 |
44,265,695 |
116.1 |
(注)当社グループは、鉄鋼販売事業の単一セグメントとなっております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
(単位:千円) |
セグメントの名称 |
金額 |
||
|
品種 |
|
前年同期比(%) |
鉄鋼販売事業 |
鋼板 |
93,130,362 |
135.2 |
鋼管 |
25,480,208 |
113.7 |
|
条鋼 |
3,022,674 |
116.3 |
|
ステンレス等 |
29,392,778 |
133.7 |
|
その他 |
648,361 |
104.7 |
|
合計 |
151,674,383 |
130.2 |
(注)1.当社グループは、鉄鋼販売事業の単一セグメントとなっております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
フタバ産業㈱ |
14,324,968 |
12.3 |
19,810,057 |
13.1 |
㈱三五 |
9,986,549 |
8.6 |
13,198,610 |
8.7 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は755億33百万円となり、前連結会計年度末に比べ138億83百万円増加しました。これは主に売上債権(受取手形、電子記録債権、売掛金)の増加98億22百万円、商品の増加46億38百万円であります。固定資産は129億79百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億34百万円減少しました。これは主に減価償却費の計上3億23百万円によるものであります。
この結果、総資産は885億41百万円となり、前連結会計年度末に比べ134億44百万円増加しました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は518億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ86億28百万円増加しました。これは主に仕入債務(支払手形及び買掛金、電子記録債務)の増加56億52百万円、短期借入金の増加51億円、1年内償還予定の社債の減少15億円によるものであります。また、固定負債は102億22百万円となり、前連結会計年度末に比べ40億82百万円増加しました。これは主に長期借入金の増加41億74百万円によるものであります。
この結果、負債は620億38百万円となり、前連結会計年度末に比べ127億11百万円増加しました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は265億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ7億33百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上17億77百万円、配当金の支払8億31百万円によるものであります。
この結果、自己資本比率は29.9%(前連結会計年度末は34.3%)となりました。
当連結会計年度末においては、自己資本比率が前連結会計年度と比較して4.4ポイント低下して29.9%となりましたが、依然、財務体質に問題はございません。1株当たり純資産額におきましては、前連結会計年度末に比べ74円98銭の増加となりました。今後も成長戦略に基づく投資を通じて安定的な収益確保を推進し、それを株主還元及び財務基盤の強化へつなげていくことが当社グループにおける課題であります。
②経営成績の分析
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、鋼材価格の上昇等が寄与したことにより、売上高は、前連結会計年度と比較し351億53百万円増加の1,516億74百万円となりました。一方で、主に売上高増加に伴う運賃諸掛の増加により、販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較し3億55百万円増加の51億67百万円となり、これを控除した営業利益は、前連結会計年度と比較して1億21百万円減少し23億61百万円となりました。営業外損益は、2億6百万円の収益(純額)となり、経常利益は、前連結会計年度と比較して1億63百万円減少の25億67百万円となりました。
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症との共存により社会経済活動の正常化が徐々に進む一方で、ウクライナ情勢の長期化や急速な為替相場の変動影響による資源価格や原材料価格の上昇がみられるなど、経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。鋼材価格の大幅な上昇が続いておりますが、市中在庫は依然として高い水準にあり、今後の価格動向は不透明な状況にあります。
このような状況下、当社グループはPURPOSE(社会的存在意義)に掲げた「地域社会と地域産業の持続的成長に信頼のサプライチェーンで貢献する」を念頭に、第10次中期経営計画の着実な推進と丁寧に顧客ニーズへお応えしながら安定的な鋼材供給に努めることで収益向上に取り組んでまいりました。社会全体が大きな変革期にある中で、「カノークス第二の創業~持続的成長に向けて再起動~」をテーマに、グループ一丸となって取り組んでまいります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの増減分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、現時点で資金は十分な水準で推移しており、資金繰りに問題はないと判断しております。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
ウクライナ情勢の長期化や為替変動が資源価格、原材料価格に与える影響、日銀の金利政策の動向など不透明な状況が継続すると想定されるものの、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類引き下げによる経済活動正常化への期待と、当社主力の販売先となる自動車分野における生産回復の兆しがみられます。
依然として不確実な経営環境下ではありますが、当社グループは足元の受注状況及び当社グループと関連性の高い業界団体の予測値等を参考にした上で、2023年度の日本経済は概ね安定的に推移すると仮定しております。
この連結財務諸表の作成にあたっては、以上の前提を基に繰延税金資産の回収可能性の評価、固定資産の減損損失の有無等の会計上の見積りを検証しておりますが、提出日現在では連結財務諸表に与える重大な影響金額を計上する発生可能性は低いと認識しております。