E03061 Japan GAAP
前期
9.12兆 円
前期比
104.8%
株価
3,548 (10/10)
発行済株式数
871,924,572
EPS(実績)
51.26 円
PER(実績)
69.22 倍
前期
838.7万 円
前期比
102.8%
平均年齢(勤続年数)
49.3歳(18.0年)
従業員数
488人(連結:163,584人)
当社グループ(イオン)は、当社(純粋持株会社)及び309社の連結子会社、25社の持分法適用関連会社により構成され、小売事業を中心として、総合金融、ディベロッパー、サービス・専門店等の各事業を複合的に展開しています。
当社グループ事業にかかる位置づけ並びに報告セグメント及びその他事業セグメント等との関連は以下のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
(1) 経営成績の状況
当連結会計年度(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績は、営業収益が9兆5,535億57百万円(対前期比4.8%増)、営業利益が2,508億22百万円(対前期比19.6%増)、経常利益が2,374億79百万円(対前期比16.6%増)といずれも過去最高を更新しました。親会社株主に帰属する当期純利益についても446億92百万円(対前期比109.0%増)と大幅に増益となりました。
当連結会計年度は、世界的な政情不安、中国経済の成長鈍化や、各国政府による金融引き締め政策に伴う景気の下振れリスク等、先行きへの不透明感が継続しました。国内では、コロナ下において長く停滞していた社会経済活動の正常化が進み、雇用や所得環境の改善が見られる反面、円安等に起因する物価上昇により、日常生活における節約志向と高付加価値商品・サービスへの積極的な支出へ、個人消費の二極化が顕在化しました。
このような環境下で、営業収益についてはすべてのセグメントが増収しました。営業利益については、主力の小売事業を構成するGMS(総合スーパー)事業、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業では、プライベートブランド(以下、PB)のトップバリュを戦略の中心に据えた商品本位の改革やDXを活用した生産性向上のほか、収益構造改革を軸にしたコストコントロールに取り組み、増益となりました。また、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業では、社会経済活動の正常化で客足の回復が進んだことから、増益となりました。一方で、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業のほか、各国のマクロ経済環境悪化が顕著となっている国際事業と、コロナ対策関連商品の需要減の影響を受けたヘルス&ウエルネス事業が減益となりました。
・ 当社は、イオングループ中期経営計画(2021~2025年度)で掲げた5つの変革「デジタルシフトの加速と進化」「サプライチェーン発想での独自価値の創造」「新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化」「イオン生活圏の創造」「アジアシフトの更なる加速」を着実に推進し、「環境・グリーン」の取り組みを進めています。
・ デジタルシフトの加速と進化:
実店舗においては、GMS事業のイオンリテール㈱(以下、イオンリテール)では食品売場へのセルフレジの導入がほぼ完了しました。適切な割引価格を提示して食品ロスを削減する「AI カカク」、需要を予測して商品発注を最適化する「AI オーダー」、勤務計画を自動起案する「AI ワーク」等、AIを活用した売場と人時生産性の効率化が進んでいます。デリカから始まった食品売場でのAIオーダーの対象が日配、加工食品へと広がった結果、店舗内の働き方改革と生産性改善に加え、商品の店舗への配送の合理化が物流の2024年問題対策としても効果が期待できます。オンラインチャネルでは、買物時間短縮の必要性が高く、実店舗への来店機会も限られるお客さまに対し、オンラインスーパーのサービスを強化しています。店舗から出荷する旧来のネットスーパーにおいて、2023年度の食品の売上は2桁成長しました。顧客フルフィルメントセンター(CFC)から出荷する新たなサービス「Green Beans(グリーンビーンズ)」では、多様な品揃えや生鮮食品の鮮度保証、7時から23時まで1時間単位で商品受取を指定できる利便性にお客さまのご支持をいただき、2023年7月のグランドオープン以来の会員数は2024年3月末時点で約16万人まで伸長しました。中期経営計画の後半においては、当社グループ内各社が個別に認識している顧客IDの共通化を進め、お客さまが使用されるイオンカードや「iAEON」「WAON POINT」「AEON Pay」によってグループ内外に蓄積した販売データと購買履歴情報をもとに、旧来のマスマーケティングから1to1マーケティングへ転換することで顧客体験価値の最大化を目指します。
・ サプライチェーン発想での独自価値の創造:
当社のPBは、1974年のカップ麺「ジェーカップ」の発売からまもなく50年を迎えます。現在では、お客さまの消費動向が付加価値を伴うものと一定の品質を有する低価格品に二極化していることに応じ、国内外約1万7千店舗のスケールとグループの有するインフラを活用しながらお客さまの声を取り入れたPBの開発を進め、トップバリュ(付加価値型)、トップバリュ ベストプライス(価格訴求型)、トップバリュ グリーンアイ(環境配慮型)の3ブランドを中心に展開しています。トップバリュの3ブランドでは、まずは2025年にPB全体で売上2兆円を達成すべく、「もっとワクワクする“次世代のプライベートブランド”」として、MZ世代への販売を強化しています。当社は、グループのスケールを活かした原材料や商品の調達、工場の稼働率向上や物流の効率化に取り組むことで、インフレ下でも合理的なコスト削減を実現し、手ごろな価格帯の商品の供給にも注力していきます。さらに、社会課題の解決の観点から、2025年までにトップバリュのすべての商品をReduce(リデュース=削減化)、Reuse(リユース=再使用化)、Recycle(リサイクル=再資源化)のいずれか、あるいは複数に対応して開発された環境配慮3R商品に切り替えるべくサプライヤーと協働します。お客さまが毎日のお買物で「環境配慮3Rマーク」のあるトップバリュ商品を選ぶことで3R活動に参加でき、社会的課題の解決を考慮した消費活動につながる仕組みづくりを進めていきます。
また、当社グループは2018年10月に「スーパーマーケット改革」を公表以降、国内各地においてドミナント出店と収益力の強化を進めてきました。2024年3月1日に中国・四国・兵庫エリアでSM事業を展開する㈱フジ(以下、フジ)が㈱フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本㈱を吸収合併し、また、同日にDS事業を展開するイオンビッグ㈱(以下、イオンビッグ)がマックスバリュ南東北㈱を吸収合併し、それぞれ新生フジ、新生イオンビッグとして経営資源の共有化によるさらなる成長を目指します。
・ 新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化:
医療格差、健康格差及び地域間格差の拡大が大きな社会問題となる中、ドラッグストア業界においては、出店余地の減少、薬価の引き下げ、価格競争の激化等、事業環境の厳しさが増しています。このような環境下において、2024年2月、日本のみならずアセアンをはじめとするグローバル規模で地域生活者のより高次なヘルス&ウエルネスの実現を目的として、当社と㈱ツルハホールディングス、ウエルシアホールディングス㈱(以下、ウエルシアホールディングス)は経営統合の協議を開始することに合意し、資本業務提携契約を締結しました。調剤の強化と、食品や家庭雑貨まで商品カテゴリーの拡張が進んだ日本最大のドラッグストア連合体を創成し、競争力を強化します。アジアで最大規模の約3兆円の売上を実現するグローバル企業へと成長しながら、そこで働く従業員の限りない成長機会を創出することを目指します。
・ イオン生活圏の創造:
当社が掲げるイオン生活圏の創造は、中期経営計画で掲げている「5つの変革」が層をなすことで実現されます。各地域のニーズに応じてこれらの要素が重なり合い、複層的に地域を包むことで豊かな生活圏になることを目指しています。国内では、「関東における1兆円のSM構想」のもとで㈱いなげや(以下、いなげや)を連結子会社とし、首都圏エリアにおいては、Green Beansのサービスを浸透させるほか、都市型小型食品スーパーのまいばすけっとの出店を加速し、実店舗網を強化しています。地方では、買物の利便性の低い地域において移動スーパーの取り組みに注力すると同時に、地域の中核となっているイオンモールでは地方公共団体とも連携しながら、コミュニティ構築や環境保全活動を進めています。さらに、アジアにおいては、個人の所得や信用力の違いに起因する利便性の差を埋める金融包摂のニーズが大きいため、スマートフォンアプリをはじめとするデジタルチャネルを通じて、暮らしに溶け込んだ金融サービスを展開していきます。当社グループのデジタルシフトの加速と進化の過程で、国内外のお客さまのライフスタイルやライフステージを可視化しながら、より価値の高い商品・サービスを提案し、日々の生活を充実させる一翼を担います。
・ アジアシフトの更なる加速:
アセアンにおいて、当社は1984年にマハティール首相(当時)の要請を受けてマレーシアに初出店して以来、40年にわたって事業基盤を構築してきました。現中期経営計画では、人口ボーナス期で消費性向の高いベトナムを最重要国として位置づけ、小売業に対する国際協力銀行からの初の融資を受けて、南部エリア、北部エリアに続き、第3経済圏である中部エリアでのドミナント出店を加速します。中国においては、中部地域では市場拡大が見込まれることから、2023年11月の湖北省武漢市4号店「イオンモール武漢江夏」に加え、2024年に湖南省長沙市に1号店「イオンモール長沙星沙」を開業し、2025年に2号店「イオンモール長沙湘江新区」を竣工する予定です。また、現中期経営計画の3つ目の柱であるヘルス&ウエルネスの進化について、公的保険制度が整っていないアジアでは、民間企業のサービスに大きな成長が期待されます。グループの既存のインフラも活用しながら、地域生活者のより高いレベルの「ヘルス&ウエルネス」の実現に向けて、積極的に事業を展開していきます。
・ 環境・グリーン:
当社は2023年8月、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献することを目的に、CO2排出量、使い捨てプラスチック使用量、食品廃棄物発生量の削減目標を掲げたサステナビリティ・リンク・ボンドにて資金調達しました。続く12月に国内事業所における再生可能エネルギー調達量が国内の店舗で使用する電力の約55%に達し、「イオン 脱炭素ビジョン」で掲げた2030年までの中間目標を7年前倒しで達成しました。当社の取り組みは国際的な環境調査と情報開示を行う非営利団体CDPにより、気候変動対策において最高評価のAリストに5年連続で選出され、同じくサプライヤー・エンゲージメント評価(SER)においても最高評価を獲得し、「サプライヤー・エンゲージメント・リーダー」に選定されました。今後も、「イオン サステナビリティ基本方針」のもと、2040年までにグループで排出するCO2の総量ゼロ等の環境目標の達成や、持続可能な成長のための取り組みを推進します。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、200ページ「セグメント情報等」の「(報告セグメントの変更に関する事項)」をご覧ください。
GMS事業は、営業収益3兆3,893億50百万円(対前期比103.7%)、営業利益283億59百万円(前期より142億62百万円の増益)となりました。
イオンリテールは、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、様々なコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく「収益構造改革」を加速した結果、当連結会計年度は増収、すべての段階利益において増益及び損益改善となりました。人流が回復し、集う機会が増加したことで、寿司・オードブル等のごちそうメニューや、帰省の手土産品等が好調に推移した一方で、節約志向のベストプライスを中心としたPBも好調に推移し、消費の二極化が顕著に示されました。荒利益額の最大化に向けては、成長カテゴリーの売場拡大を進め、特に食品・H&BC(ヘルス&ビューティケア)が牽引しました。衣料においても、商品そのもの、ビジュアルマーチャンダイジング(VMD)を活用した売場環境、オペレーションを包括的に刷新して接客を強化する「専門店モデル」により荒利益率が上昇しており、SPA(製造小売業)のビジネスモデル確立でさらなる改善を進めます。住居余暇においては、秋口に時代や価値観の変化に合わせてPBのHOME COORDYを一新しました。今後は、ナチュラルで明るいカラーや柄に商品のテイストを統一してお客さまのトータルコーディネート志向に応えられる商品を打ち出すとともに、お買物しやすい売場へ変革しながら接客も強化して収益性を高めます。ショッピングセンターにおいても、集客策、空床の削減、テナントの一時利用の拡大等に注力したことでテナントからの家賃収入が改善しました。デジタル売上拡大においては、ネットスーパーの規模拡大や、ECのイオンショップやイオンスタイルオンラインにて実店舗と連動した「イオン ブラックフライデー」「BUZZTTO SALE(バズっとセール)」等の施策強化に取り組み、過去最高の売上高を達成しました。収益構造改革においては、店舗・本社の経費削減とデジタルを活用した生産性改善の両輪で推進しています。
イオン北海道㈱では、経営ビジョンである「北海道のヘルス&ウエルネスを支える企業」の実現に向けて中期5カ年経営計画の3年目となる当事業年度を事業モデル確立の年度と位置づけて「商品と店舗の付加価値向上」「顧客化の推進」「収益構造の改革」「地域との連携」に取り組み、売上高、営業利益、経常利益が過去最高となりました。文化芸術活動の場の提供や、ブラックフライデー、初売りセールが奏功して客数が増加し、「イオン北海道 本気!のザンギ」等同社ならではのオリジナル商品約760品目の開発・リニューアルや、外出や行事の再開を捉えた衣料品、化粧品が増収に貢献しました。トップバリュでは、イオングループ一丸となってのスケールメリットを活用した値下げ・増量商品が好調に推移し、売上高前期比は110.5%となりました。デジタルの活用については、AEON Pay機能の充実やクーポン企画の強化によりiAEONの会員数は当連結会計年度において前期末の約1.7倍に増加、電子棚札の導入店舗は35店舗、セルフレジ導入店舗は117店舗となりました。さらに、地域との連携においては「フードドライブ」の取り組みを35店舗で実施したほか、学校法人酪農学園と食品廃棄物の有効活用と肥育肉牛の販売による経済循環を推進、2023年8月には現時点では道内最大規模のオフサイトPPAとなる太陽光発電契約を締結し、2024年1月に電力供給を開始しました。
イオン九州㈱では、2023年5月に「私たちの『たからもの』 九州をもっと―」をパーパスとして制定し、特定した6つのマテリアリティ(重要課題)とともに同社のWebサイトにて公表しています。中期経営計画に掲げた「食の強化」「非食品分野の専門化」「DX推進」「環境・地域社会への貢献」の取り組みを推進し、単体における当事業年度の業績は営業収益、各段階利益とも過去最高を更新しました。「イオン九州アプリ」は6月にiAEONに移行、同社店舗をお気に入り登録されている会員数は当期末時点で約57万人まで増加し、ECサイト「イオン九州オンライン」では、限定セール「ビッグバザール」や企画商品の「予約販売会」、ご当地商品の品揃え拡大等の取り組みにより、売上高が前期比146.9%へと伸長しました。実店舗では、SMとドラッグストアが融合した新フォーマット「ウエルシアプラス」5店舗や都市部でのシェア拡大を目指したコンパクトSM「マックスバリュエクスプレス」を含む14店舗を新規出店し、日常使いの衣料品を中心に展開する「インナー&カジュアル」をSM併設型売場として導入する等、15店舗をリニューアルしました。「Uber Eats」「Wolt」を利用した商品配達サービスや「イオンの移動販売」で顧客接点を創出しながら、オーガニック商品をはじめ環境とからだに優しい商品を集めた同社独自の新規ショップ「b!olala(ビオララ)」を導入する等、専門店化の新たな取り組みも進めています。食品の寄付活動フードドライブの実施は全店舗338店舗のうち278店舗に拡大、当期において7店舗にPPAモデルを導入する等環境・地域社会への貢献にも注力しています。
SM事業は、営業収益2兆7,821億71百万円(対前期比105.3%)、営業利益419億11百万円(前期より190億67百万円の増益)となりました。
ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス㈱(以下、U.S.M.H)は当連結会計年度、商品と店舗変革による店舗収益の拡大、OMO(Online Merges with Offline)による店舗外収益の拡大、保有する知的財産を活用したビジネス領域の拡大を柱とする、3カ年の中期経営計画に着手しました。サプライチェーン改革においては、物流の2024年問題を見据えて自動化・省人省力化に寄与する設備やマテハン機器を導入した共同物流センター「U.S.M.H 八千代グロサリーセンター」を2023年9月より本格稼働しました。また化粧品会社であるオルビス㈱と協働でSPA方式を実践した「INNER COLOR DELI(インナーカラーデリ)」をサステナブル商品のブランド「Green Growers(グリーングロワーズ)」のシリーズとして2023年10月に販売を開始しました。デジタル施策においては、ITサービスを中心に事業を展開するベトナムのVTI Joint Stock Companyとの12月の業務提携契約から「ignica(イグニカ)」をはじめとする各種プロダクト・サービスの開発を加速し、顧客価値の向上と製品展開事業の拡大を目指しています。同社連結子会社の㈱マルエツでは「オンラインデリバリー」の取り扱いを44店舗、「Uber Eats」を利用したサービスを119店舗に拡大しました。生産性向上においては、電子棚札は107店舗、需要予測型発注を全店で実施しています。地域社会に貢献するフードドライブ活動も77店舗まで拡大しました。同じく㈱カスミでは2023年7月に導入した「Scan&Go カード」に連動する顧客体験の浸透に時間を要したことで当連結会計年度は減収減益となりましたが、足元の営業収益や荒利益高は回復しています。同じくマックスバリュ関東㈱では行政と協業して買物困難地域にて移動スーパーを開始したほか、店舗従業員一人一人の声を活かした店舗活性化を実施する等、事業会社ごとに地域の特性やニーズに合わせた取り組みを進めています。
フジは、多様化するお客さまニーズに応え、より豊かなくらしの実現と、中国・四国・兵庫での共創の一翼を担い得る企業集団へと進化することを目的とした2024年3月の3社合併前から食品の共同開発を行う等シナジーの創出に取り組み、トップバリュについては食品500品目、衣料・住居関連品320品目の計820品目の導入を予定しています。移動スーパーやECをはじめとするノンストア事業においては、8県81店舗を拠点に127台の専用車両を展開、「Wolt」等によるデリバリーサービスも27店舗で対応しながら、お客さまの不便を解消する新しいサービスの提供に注力しています。2024年1月に発表した3カ年中期経営計画は「企業文化の確立」「既存事業の改革」「事業インフラの統合とシナジー創出」を3つの基本戦略とし、統合した2社の強みを活用できるより良い企業風土のもと、商品政策の統合、マーケティングの高度化、インフラの最適化等、合併シナジーを確実に創出していきます。加えて、「ESG 経営の推進」にも取り組み、変化するお客さまの行動に対して柔軟かつ迅速に対応する最も地域に貢献する企業集団を目指します。
マックスバリュ東海㈱では、ブランドメッセージである「想いを形に、『おいしい』でつながる。」を具現化すべく、地域に根差した店舗づくりや商品・サービスの提供に取り組んでいます。商品においては、生産者を応援し地域に親しまれる「じもの」商品の品揃えの拡充や、食事バランスを考慮した商品を通じて健康的な食生活を提案する「ちゃんとごはん」を進める等、体にやさしい商品の開発にも注力しました。節約志向の高まりに対しては、得意日の販促やトップバリュの展開強化のほか、食べきり・使いきりに適した小分け商品の品揃えを促進しています。また、累計230店舗へのキャッシュレスセルフレジの導入や、気象予測データを活用した生鮮食品の自動発注支援システムの全店舗農産部門への導入で、お客さまの利便性と生産性の向上をはかりました。さらに、iAEONでのクーポン配信、計17台の移動スーパーの運行、ネットスーパー拠点数の26拠点までの拡大、無人店舗「Max マート」の展開地域拡大、「Uber Eats」を利用した商品配達サービスの計60拠点までの拡大等、顧客接点の創出に注力しています。また、「しずおか富士山WAON」等計9種類のご当地WAONご利用金額の0.1%を寄付、サポートが必要とされるお客さまがゆっくり会計できる「おもいやりレジ」の設置店舗拡大等、地域社会との共生をはじめとする環境保全・社会貢献活動にも積極的に取り組んでいます。
いなげやは、「まずはお客様ありき」の精神のもと、東京、神奈川、埼玉、千葉の首都圏エリアにおいて地域のお役立ち業を掲げて事業展開を行っています。2023年11月に当社の連結子会社となり、トップバリュやAEON Payを早期に導入して競合との差別化をはかっています。移動スーパー「とくし丸」の提携スーパーとして23台を展開、従来の年始3日間の休業から一部店舗は元日、2日からは全店営業に方針を切り替える等、地域のお客さまの利便性向上にも取り組んでいます。
DS事業は、営業収益4,004億28百万円(対前期比104.4%)、営業利益84億89百万円(前期より48億6百万円の増益)となりました。多くの生活必需の値上げが続き、家計の負担が増加していく中、EDLP(Everyday Low Price)戦略による定番商品やDS専用PBでは、単位当たりの安さを追求したケース販売や、大容量商品の訴求により、客単価が上昇しています。店舗作業の削減と省力化による投入人時の削減に取り組む等、ローコストオペレーションを確立したDSフォーマットの構築にも力を入れるほか、iAEONやAEON Payの活用で、お客さまの利便性向上にも取り組みました。
ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益1兆2,351億15百万円(対前期比107.4%)、営業利益426億円(前期より22億27百万円の減益)となりました。
ウエルシアホールディングス及び同社連結子会社は、当連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症対策関連商品や検査キットに対する需要が減少した一方で、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要には回復が見られました。物販部門においては総合感冒薬等の医薬品や、外出需要の増加を背景に化粧品の売上が増加し、オリジナルPB「からだ Welcia」「くらし Welcia」開発やトップバリュも含めての拡販に注力しました。調剤部門においては、調剤併設店舗数が増加(当連結会計年度末現在国内外計2,159店舗)や医療機関受診頻度の回復により、処方箋受付枚数が増加しました。またWAON POINTサービスを全国の店舗に導入した結果、同社のポイント会員であるウエルシアメンバーが当連結会計年度末で1,072万人まで増加し、ポイントカード・アプリの利用率向上を通じた集客施策強化を継続していきます。「だれひとり取り残さないまち」の実現を目指して地域社会へ安心・安全を提供するインフラ機能を担う移動販売車「うえたん号」の稼働は当連結会計年度末で17台まで増加し、2024年1月の能登半島地震被災地域でも臨時運行しました。
総合金融事業は、営業収益4,835億2百万円(対前期比106.3%)、営業利益512億31百万円(前期より78億14百万円の減益)となりました。
イオンフィナンシャルサービス㈱は国内及び海外において、グループ共通ポイントを活用した利便性の向上、モバイルサービスの拡充、新規事業の創出等、中長期的な成長に向けた投資及び基盤整備を進めるとともに、デジタル金融包摂の進展に取り組んでいます。
国内では、イオン生活圏を金融サービスでつなぎ、お客さまニーズに即した商品・サービスをシームレスに提供するため、総合金融窓口としてスマホアプリ「イオンウォレット」のリニューアルや、AEON Payの機能拡充及び利用可能場所の増加に取り組みました。㈱イオン銀行の預金口座数は858万口座(期首差30万口座増)、国内カード有効会員数は3,149万名(期首差67万名増)、カードショッピング取扱高は7兆814億82百万円(前期比108.5%)と堅調に推移しました。株高を受けてニーズが高まる資産形成サービスでは、2024年1月にマネックス証券㈱との金融商品仲介業務における包括的業務提携に基づいて投資信託口座を移管、システム管理及びバックオフィス業務も委託して、運用相談等の顧客サービスの充実に努めます。
海外では、2023年10月にベトナムで個人向けローンを提供するPost and Telecommunication Finance Company Limited(以下、PTF)を完全子会社とすることを決定するとともに、マレーシアでは新たな銀行の業態であるデジタルバンク事業を営むAEON BANK(M) BERHADの2024年度開業に向けた準備を進める等、アジア各国で金融包摂の考えのもとお客さまの資金ニーズへの対応や金融サービスへのアクセシビリティの向上に取り組みました。中華圏では、香港の現地法人AEON CREDIT SERVICE (ASIA)CO.,LTD.が銀聯国際(UnionPay International)のコード決済「銀聯QR」をスマートフォンアプリへ搭載して中国本土とシームレスな決済を可能とし、NFC(Near Field Communication)決済も導入して利便性を高め、新たなスコアリングモデルの導入等による与信精度の向上に加え、債権回収体制の強化に努めた結果、営業収益、営業利益ともに過去最高となりました。メコン圏では、EC需要やスマホ決済ニーズの高まりに合わせ、現地法人のAEON THANA SINSAP(THAILAND)PCL.のスマホアプリ上にて完全カードレスで発行するデジタルクレジット「Next Gen」及びコード決済「Scan to pay」サービスを新たに開始しました。ベトナムでは、従来の自社割賦販売に加え、PTFの子会社化により個人ローンでも事業拡大を目指します。マレーシアを中心としたマレー圏では、AEON CO.(M)BHD.(以下、イオンマレーシア)との共同利用施策やEVバイクを対象としたバイクローンの開始により、カードショッピング、個品割賦とも取扱高が前期比で2桁の増加となりました。インドネシアでは、現地法人PT.AEON CREDIT SERVICE INDONESIAが新たなBNPL(Buy Now Pay Later)の決済サービス「QRIS PayLater」を10月に開始する等、各展開国におけるお客さまのニーズに対応した金融サービスの導入を強化しています。
ディベロッパー事業は、営業収益4,683億42百万円(対前期比105.6%)、営業利益473億48百万円(前期より21億6百万円の増益)となりました。
イオンモール㈱は、2023年5月に策定した2030年ビジョン「イオンモールは、地域共創業へ。」に基づき「つながる」を創出し、広げ、深め、持続可能な地域の未来につながる営みを共創する企業を目指しています。当連結会計年度は、成長施策として「海外成長マーケットにおける事業機会の発掘と事業化」「国内におけるビジネスモデル改革の推進」「既存事業の枠組みにとらわれない新たなビジネスモデルの創出」を掲げ、「サステナブル視点での財務基盤強化と組織体制構築」を推進する3カ年の中期経営計画の初年度としての取り組みを進めました。
国内では、当連結会計年度に新規4モールをオープン、お客さまの「安らぎ」や「心地よさ」といった五感を満たす快適な空間の提供に注力する等、出店エリアの立地特性に応じてモールの新たな価値向上をはかりました。また既存モールでは、各モールでの集客イベントや、アプリやWAON POINT施策との連動等、マーケティングデータに基づくお客さまの購買意欲を喚起する取り組みと合わせて、モールのアセットを活用しながら時節の集客と売上の拡大をはかり、当連結会計年度の既存モール専門店売上高は前期比105.6%となりました。事業創出の観点では、コーポレート・ベンチャー・キャピタル「Life Design Fund」の設立や専門店テナント企業に対する共同配送サービス等を実施しました。ESG経営の実現に向けては、従来の「イオンモール まちの発電所」の拡大に加え、お客さま参加型のEV充電「V2AEON MALL」サービスやカーポート型太陽光発電設備、営農型太陽光発電等脱炭素社会の実現に向けた新たな取り組みを進めています。また、生物多様性の保全に向けては、「生物多様性のための30by30アライアンス」に参画し、ネイチャーポジティブの実現に向けた取り組みを推進するとともに、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)フォーラムの提言するLEAPアプローチを用いた分析を通じて、情報開示の拡充もはかっていきます。
海外においては、最重点出店エリアであるベトナムでは、ホーチミン市を中心とした南部、ハノイ市を中心とした北部の両エリアに加えて、ベトナム第3経済圏である中部エリアの周辺都市においてもドミナント出店を推進します。中国では、成長性の高い内陸部の湖北省・湖南省を重点エリアと位置づけ、11月の武漢江夏(湖北省武漢市)に続き、経済成長の著しい湖南省省都の長沙市に2024年、2025年に大型モールの出店を計画しています。インドネシアでは、2024年3月にイオンモール デルタマス(ブカシ県)をオープンします。カンボジアでは、シハヌークビル港に隣接する経済特区に開設したシハヌークビルFTZロジスティクスセンターが、通関及び倉庫業務すべてを自社運営する新たな物流事業の拠点として2023年7月より稼働しています。モール単一フォーマットによる事業展開から、各国及び各地域が抱える課題を深掘りし、商業施設の枠組みにとらわれない新たな事業機会を探索していくことで、地域ごとの特性に合わせた新たな価値創造モデルで事業展開をはかっていきます。
サービス・専門店事業は、営業収益7,974億91百万円(対前期比104.2%)、営業利益172億84百万円(前期より70億13百万円の増益)となりました。
イオンディライト㈱の当連結会計年度は全7事業で増収となり、中でも、省エネ関連工事や改装・修繕工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大した資材関連事業が2桁成長となりました。アカウント営業の強化に加え、これまでに様々な施設にサービスを提供してきた実績やノウハウが評価され、新たに多種多様な施設でサービスの提供を開始しました。また、複数の施設を効率的に管理する「エリア管理」の展開、デジタルデバイスを活用した定型業務の自動化や使用電力の見える化等、持続可能な事業モデル構築に向けたDXを推進しました。加えて、中国やアセアンといった海外事業を拡大する等、中期経営計画で掲げた「お客さま起点の経営」「DXの推進」「グループ経営」の3つの基本方針に則った各種施策に取り組みました。
㈱イオンファンタジーは、当連結会計年度末の店舗数は国内703店舗、海外464店舗、合計1,167店舗となりました。国内事業は好調が続き、戦略的小型店「TOYS SPOT PALO(カプセルトイ専門店)」と「PRIZE SPOT PALO(プライズ専門店)」計106店舗の出店やメダル部門における3年ぶりの新規機械投資により、当期の売上高は過去最高となりました。子どもと地球の未来を育む、遊んで学べるプレイグラウンド「ちきゅうのにわ」2店舗や、エンターテインメント型グランピング施設「ミューの森」も好評を得ています。海外においても、マレーシア、フィリピンが引き続き牽引したアセアン事業において、売上高、営業利益ともに過去最高となりました。
㈱キャンドゥは、当社グループとの協業によるシナジーを最大限に発揮するため、「販路の拡大」「商品・ブランドの差別化」「企業価値の向上」を掲げ、お客さま満足の向上をはかる取り組みを強化しています。販路の拡大では、当社グループを中心に出店を加速させてきた当連結会計年度末における店舗数は、退店の影響で当初計画を下回る1,258店舗となりました。商品・ブランドの差別化では、お客さまから支持される商品を追求しています。生活防衛意識にフィットした100円商品と、付加価値を提供する他価格帯商品のMD(マーチャンダイジング)を構築し、「ライフスタイル提案型ショップ(New Can★Do)」を中心にオリジナルディズニーグッズ等趣味嗜好品の品揃えをさらに拡充して、本部主導で店舗間の陳列の格差を生じさせないことに注力してきました。また、企業価値の向上では、利便性向上、コスト低減、先行投資をテーマに本部主導のオペレーション導入やセルフレジ導入により生産性の向上をはかってまいりました。また、什器・備品等を当社グループと共同仕入れすることにより出店コストや設備管理コストを抑制し、IT・デジタル化による収益性向上をはかっています。
㈱コックスは、「ブランド力強化・MD改革による荒利率の改善」「EC運営改善・DtoC(Direct to Consumer)強化によるEC売上の拡大」「売り方改革・売場改革による店舗売上の回復」を重点施策に掲げています。当連結会計年度は正価商品販売ピーク時期に雑誌タイアップ販促企画を5回(3月・4月・5月・10月・11月)実施した結果、既存店売上高が前期比102.2%となりました。正価販売の徹底と丁寧な割引販売に加え、為替リスク対策を講じながら中国・アセアン地域から商品調達を拡大して原価低減に努めた結果、荒利益率が前期比で4.9ポイント改善しています。ブランドのリニューアルについては、ikkaのアパレル・服飾雑貨とLBCの生活雑貨が融合したファミリー向けファッション・ライフスタイルセレクトショップ「ikka THE BEAUTIFUL LIFE GREEN STORE」へのリニューアル完了店舗が63店舗となりました。さらに、店頭での会員獲得を強化した公式EC「TOKYO DESIGN CHANNEL」ではインフルエンサーとのコラボ商品を拡販し、EC全体の売上高が前期比106.2%へ伸長しました。
国際事業は、営業収益5,087億41百万円(対前期比102.3%)、営業利益103億72百万円(前期より24億86百万円の減益)となりました。
アセアン諸国ではウクライナ・ロシア情勢や米中経済摩擦等が年間を通じて影響した結果、各国のGDP成長率は当初想定から大きく下落し、タイでは3年ぶりにCPIがマイナスとなりました。各国政府は、補助金の交付、必需品の支給、減税、観光客へのビザ免除等の景気刺激策を講じており、2019年水準までの回復は楽観視できないものの、2024年度の業況は2023年度実績からは上向く見通しです。そのような環境下で、イオンマレーシアはお客さまの生活ニーズ対応に注力した結果として食品の荒利益高が昨年より改善、またテナント入居率改善によりショッピングセンター収入に対する営業利益率も改善しました。AEON VIETNAM CO.,LTD.でも、生活必需品のトップバリュ商品を年間で230品目追加したことで食品売上高が大きく伸長し、SPA化を進める非食品においては衣料品ではPBのMY CLOSET、住居余暇でも同じくHOME COORDYの各店舗への拡大をはかり、輸入に頼らずに商品の開発、生産双方の現地化による事業拡大を進めます。
中国においては、厳格なゼロコロナ政策下の2022年からの反動が期待されたものの、消費の低迷や不動産不況といった困難な環境が続き、2023年の実質GDP成長率は前年比2ポイント増の5.2%にとどまりました。移動制限の撤廃に伴い観光消費や外食が伸びた一方で、物販消費は緩やかな縮小傾向にあります。そのような中でも、湖北エリアのAEON(HUBEI)CO.,LTD.は、同エリアに2023年11月にオープンした武漢江夏店とともに好調を維持しています。コロナ前後で変化したお客さまの消費スタイルを的確に捉えて売上を拡大しながら、PBにおける新規開発や東南アジア生産商品の販売、出店加速、店舗へのデジタルツールの導入等、利益改善策を全土で継続していきます。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) SM事業の営業収益には、コンビニエンスストアの加盟店の売上高(当連結会計年度261,274百万円)は含んでおりません。
当連結会計年度末の総資産は、前期末より5,993億46百万円増加し、12兆9,408億69百万円(前期比104.9%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、銀行業における貸出金が2,007億76百万円、有価証券が1,600億48百万円、有形固定資産が1,135億43百万円、受取手形及び売掛金が796億65百万円、営業貸付金が570億9百万円、投資有価証券が389億56百万円増加した一方で、現金及び預金が1,441億89百万円減少したこと等によるものです。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
負債は、前期末より4,823億77百万円増加し、10兆8,536億67百万円(前期比104.7%)となりました。前期末からの増加の主な要因は、銀行業における預金が1,410億28百万円、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)が882億91百万円、コマーシャル・ペーパーが500億円、社債が451億6百万円増加した一方で、契約負債が158億55百万円減少したこと等によるものです。
純資産は、前期末より1,169億68百万円増加し、2兆872億1百万円(前期比105.9%)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末より1,503億68百万円減少し、1兆640億93百万円(前期比87.6%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は3,684億87百万円(前期比85.0%)となりました。前期に比べ652億22百万円収入が減少した主な要因は、銀行業における貸出金の増減額が1,452億70百万円増加、銀行業における預金の増減額が777億30百万円減少した一方で、売上債権の増減額が1,253億74百万円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は5,088億76百万円(前期比151.8%)となりました。前期に比べ1,737億53百万円支出が増加した主な要因は、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入が1,774億91百万円減少、固定資産の取得による支出が253億88百万円増加した一方で、銀行業における有価証券の取得による支出が221億3百万円減少したこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は158億67百万円となりました。前期に比べ177億20百万円支出が増加した主な要因は、長期借入れによる収入が398億34百万円減少、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が251 億66百万円増加した一方で、社債の発行による収入が469億27百万円増加したこと等によるものです。
(資金需要)
当社グループの資金需要の主なものは、商品の仕入のほか、人件費、地代家賃等の販売費及び一般管理費の営業費用であります。また、設備投資に係る資金需要の主なものは、新規出店に伴う有形固定資産の取得等であります。
(財務政策)
当社グループの事業活動に必要な資金については、営業キャッシュ・フローによることを基本とし、金融機関からの借入れ、社債やコマーシャル・ペーパーの発行等、資金調達の多様化をはかっております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。その作成にあたり重要となる会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者の判断のもと、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす一定の前提条件に基づく見積り及び仮定を用いております。これらの見積り及び仮定に基づく数値は、過去の実績、現在の状況、今後の見通し等を総合的に勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果と異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、見積り特有の不確実性により、翌連結会計年度の財政状態及び経営成績に重要な影響が及ぶ可能性があるものとして、以下の項目を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
(繰延税金資産の回収可能性)
(貸倒引当金)
その他の会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(退職給付)
退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付費用の計上にあたっては、確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用について、簡便法を適用している一部子会社を除き、数理計算上で設定される仮定に基づき退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率、年金資産の長期期待運用収益率、退職率、死亡率、予想昇給率、一時金選択率等の計算基礎が含まれます。特に重要な仮定のひとつである割引率については、主として優良社債の利回りをもとに、退職給付の支払見込期間及び支払見込期間ごとの金額を反映した単一の加重平均割引率を使用して算出しております。
これらの主要な見積り及び仮定について、実際の結果と異なる場合、前提条件に大きな変更が生じた場合、あるいは退職給付制度に変更があった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る資産及び退職給付に係る負債、退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当社グループの退職給付制度の概要や主要な数理計算上の計算基礎については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (退職給付関係)」に記載のとおりであります。
(資産除去債務)
資産除去債務の計上にあたっては、不動産賃借契約に付されている土地の更地返還義務及び建物原状回復義務に基づき、借地物件における自社建物の解体費用、建物賃借物件における原状回復費用等を一定の仮定をおいて見積り、割り引くことにより算定しております。将来の除去費用の見積りについては、主として過去の実績、施工業者による見積りを基礎とし、個別の契約内容等を考慮して算定しております。
これらの主要な見積り及び仮定について、実際の除去費用が見積り金額と異なる場合、新たな事実の発生により使用見込期間や原状回復費用の見積り額等に影響を与えることとなった場合、資産除去債務の金額に影響を与える可能性があります。
なお、資産除去債務の概要や金額の算定方法については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (資産除去債務関係)」に記載のとおりであります。
なお、当社の個別財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。