E03118 Japan GAAP
前期
3,048.2億 円
前期比
247.8%
株価
1,852 (12/05)
発行済株式数
86,856,954
EPS(実績)
104.00 円
PER(実績)
17.81 倍
前期
481.8万 円
前期比
167.7%
平均年齢(勤続年数)
53.4歳(8.0年)
従業員数
12人(連結:8,638人)
当企業集団は、株式会社フジ(当社)及び子会社27社、関連会社3社で構成され、総合小売業を中心に生活提案型の事業活動を展開しています。
当企業集団の事業の内容の位置付けは、次のとおりです。
事業の系統図は、次のとおりです。
(1)経営成績の概況
当連結会計年度(2022年3月1日~2023年2月28日)におけるわが国の経済は、歴史的な円安、天然資源や穀物価格の上昇による食料品やエネルギー価格の高騰などの影響を受けつつも、消費・輸出の増加などにより10-12月期の実質GDP成長率が前期比年率0.1%増(前期比0.02%増)となるなど、回復基調となりました。個人消費は、感染「第8波」や物価高により抑制されることもありましたが、政府による行動制限がなかったことや、全国旅行支援や給付金などの経済対策、自動車の供給制約の緩和などにより前期比0.3%増となりました。また、訪日外客(インバウンド)消費の急増がサービス輸出を押し上げるなど、輸出も前期比1.5%増となりました。
このような環境下において、当社は、「お客さまと従業員の『圧倒的な安心とワクワク』を実現する」を経営ビジョンに掲げ、「現場主義」「従業員満足」「シナジー創出」を経営方針とし、最も地域に貢献する企業集団を目指しています。コロナ禍で深刻な影響を受けた事業や業態の多くが回復基調となったものの、人口減少による市場の縮小、消費の成熟化、業種や業態の垣根を越えた競争環境、Z世代を始めとする新たなライフスタイルへの対応など従前からの課題に加え、内食・巣籠需要の減退など変化する消費者の購買行動への速やかな対応や、原材料価格や光熱費の上昇と高止まりによるコスト増などの新たな課題に直面しています。そのような認識のもと、引き続きお客さま及び従業員の安全・安心の確保に注力し、防疫と経済活動が両立する社会への対応を推し進めると同時に、お客さま視点で購買行動を分析し最新ニーズへの対応に注力するとともに、ロスやコストの削減に取り組みました。
株式会社フジ・リテイリングは、地域との繋がりを大切にし、お客さまと地域のくらしを支え、「この街に、あってよかった。」と思っていただける店舗づくりを目指すとともに、お客さま視点で考え行動できる企業文化の構築を進めています。また、株式会社フジが創業55周年を迎えたことで、事業を承継した株式会社フジ・リテイリングにおいては、記念販促、記念商品の開発、地域のくらしに密着する活動、お客さまと従業員満足度の向上に資する活動など様々な記念事業を実施しました。新規出店では、「最新基準の店舗づくり」を掲げ、愛媛県と広島県を重点エリアと定める出店計画を進め、8月にラクア緑井(みどりい)(広島市安佐南区)をファーストオープン(同店は2023年3月17日グランドオープン)、11月にフジ古川椿(ふるかわつばき)店(愛媛県松山市)、2023年2月にフジ宇和島南(うわじまみなみ)店(愛媛県宇和島市)をオープンしました。既存店では、安全と安心が確保された快適な買物環境の追求、デジタル化の推進、多様化ニーズへの対応など店頭の利便性と競争力向上を目指し、3店舗において改装による活性化を進めました。
食料品は、競争力を向上すべく安さへの対応を継続しました。また、3年ぶりとなる行動制限のない年末年始における帰省など、回復基調が続く外出・旅行需要などへ対応すべく、行楽商材、ごちそうメニュー、手土産などの販売に注力しました。加えて、エネルギー価格上昇などを背景とした需要の高まりに備え加工度の高い調理品や半調理品の品ぞろえを拡充するなどの需要変化への対応や、「北海道うまいもの味めぐり」「ハロウィン」「冬ギフト」「バレンタイン」など催事企画の商品改廃や拡充も推し進めました。
さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、14店舗で新たにサービスを開始し、合計41店舗を拠点に73台219ルートでサービスを提供しています。
コロナ禍で市場が縮小した衣料品と住居関連品は、変化するライフスタイルやニーズへ対応すべく、「安さ」「健康と美」「環境配慮」などをテーマに商品構成の見直しを行うとともに、レイアウト変更などによる既存店の活性化に取り組みました。コロナ禍により需要が大幅に縮小していた季節商品や外出関連商品の回復に加え、全国旅行支援の後押しを受けた旅行関連品の堅調な推移もあり、売上高は緩やかな回復基調を維持しました。加えて、テナント売上高も、飲食やアパレルを中心に回復基調です。
以上の取り組みにより、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前期比3.3%増、衣料品同5.3%増、住居関連品同0.3%減、移動スーパー事業同34.4%増、テナント事業同6.7%増)。
あらゆるコストが上昇するなか、特に電気料金を中心とする光熱費の高騰が業績に与える影響は大きく、全社を挙げて電気使用量の削減に積極的に取り組むとともに、業務の効率化と省力化による生産性向上や広告費の見直しなどを行いましたが、販売費及び一般管理費は前年を上回りました(販売費及び一般管理費前期比5.8%増、全社電気使用量同1.0%減、電気料金同49.6%増)。
また、同社は、循環型社会の実現に向け、お客さまとともにマイバッグ・マイバスケット持参によるレジ袋の削減や、食品トレーや牛乳パック、ペットボトルなどを店頭で回収することによるリサイクル推進に取り組んでいます。お客さまにお渡しするカトラリー類(スプーン、フォーク、ストローなど)を、プラスチック製から紙製や木製の環境配慮型素材へ切替えるなど、一層の使い捨てプラスチックの削減を進めました。さらに、ご家庭等の余剰食料品を持ち寄っていただき福祉団体・施設に寄贈するフードドライブ活動に31店舗で取り組んでいます。加えて、自家消費型太陽光パネルの設置を進め現在までに37店舗への設置が完了したことで、年間約4,000tのCO2排出量削減を見込んでおり、引き続き設置店舗を増加させる計画です。あわせて、店舗屋上広告塔の常時消灯や店内照明の照度調整、日々の気温を考慮した空調温度の設定など省エネ対策を強化するなど、脱炭素社会の実現に向け、さらなる省エネ・再エネの推進と環境負荷の低減に取り組みました。
株式会社フジ・リテイリング子会社のスーパーマーケット事業会社について、株式会社フジマートは、商品・サービスのさらなる充実と利便性向上を図るべく4月にピュアークック中通(なかどおり)店(広島県呉市)、9月にピュアークック東雲(しののめ)店(広島市南区)において改装による活性化を進めました。また、株式会社フジマート四国では、株式会社サニーTSUBAKIから譲り受けた2店舗を、スーパーABC桑原(くわばら)店(愛媛県松山市)、スーパーABC道後樋又(どうごひまた)店(愛媛県松山市)として改装を加え3月から営業を開始、7月には、一時閉店し建替工事を進めていたスーパーABC平井(ひらい)店(愛媛県松山市)をリニューアルオープンしました。
コロナ禍で受けた影響からの回復を目指す飲食業は、好調なファストフードが牽引するとともに、レストランやフードコードには客足が戻りつつあるなど業績は回復基調です(営業収益前期比11.5%増)。また、総合フィットネスクラブ事業は、オンラインスタジオ「FIT NET」サービスの内容拡充、パーソナルトレーニングやペアストレッチなどの有料サービスの拡大などに取り組んでおり、業績は緩やかに回復しています(営業収益前期比2.0%増)。さらに、一般旅行業は、国内を中心に旅行需要が前期を上回ったことに加え新規事業が貢献し、コロナ禍以前の水準には至らないものの、収益は回復しています(営業収益前期比337.8%増)。
マックスバリュ西日本株式会社は、「旬・鮮度」「豊富さ」「お求めやすい価格」「クリンリネス」「笑顔の接客」の徹底を基本とし、「地域密着」「生鮮強化」を軸にサプライチェーン改革を行い、お客さまが安全に安心して楽しく買物ができる店舗づくりに取り組んでいます。兵庫県西部、岡山市、広島市、山口県、香川県及び山陰エリアを中心とする出店計画と既存店の活性化に加え、移動スーパーやEコマースをはじめとするノンストア事業の確立に向けた取り組みを進めています。加えて、感染症予防に起因する需要と消費スタイルの変化、アフターコロナを見据え活発化しつつある外出需要などへの対応を推進しました。
商品では、外出自粛が緩和され外食やレジャーが活発化し内食需要が落ち着いたことによって、水産や畜産などの生鮮素材が影響を受けるなかで、さらなる生鮮強化に注力するとともに、地場や旬の商品を圧倒的に販売する「数を売る商品」の展開、バイヤーが厳選しておすすめする「バイヤー三ツ星」を重点商品として全店で展開、地元生鮮素材を使った季節弁当など独自商品の開発などの取り組みを進めました。また、価格訴求や均一商品の展開など買上点数アップに向けた火曜市の深耕や、夕刻以降の加工数量増加や出来立て商品の品ぞろえ拡充などデリカの夕刻強化などに取り組んだこともあり、売上高は堅調に推移しました(食料品売上高前期比0.3%増、衣料品同1.2%減、住居関連品同1.1%増)。
店舗運営では、電気料金単価の急上昇に伴い光熱費が大幅に増加しましたが、節電を徹底するとともに、9月から稼働を始めた岡山総合プロセスセンターの供給拡大による店舗作業の軽減で省力化を進めました(販売費及び一般管理費前期比0.1%減、全社電気使用量同2.9%減、電気料金同36.7%増)。
新規出店は、4月にマルナカ山川(やまかわ)店(徳島県吉野川市)、6月にマックスバリュJU米子髙島屋(よなごたかしまや)店(鳥取県米子市)、7月にマルナカ青山(あおやま)店(兵庫県姫路市)、9月にマックスバリュ今市(いまいち)店(島根県出雲市)、10月にマルナカまんのう公文(くもん)店(香川県仲多度郡まんのう町)、ザ・ビッグ淀江(よどえ)店(鳥取県米子市)をオープンしています。既存店では、13店舗において改装による活性化を進めました。一方、12月にマルナカ中村一条(なかむらいちじょう)店(高知県四万十市)、マルナカ三島(みしま)店(愛媛県四国中央市)、2023年2月にマルナカ香西(こうざい)店(香川県高松市)の3店舗を閉店しました。
移動スーパーでは、9店舗において新たにサービスを開始し、これまで9県22店舗を拠点に37台の専用車両で展開しており、日常のお買物が困難な山間部や島しょ部の地域を中心に事業を拡大しています。11月には、かねてより移動スーパーを行っていた広島県廿日市市の中山間部にある浅原地区の浅原交流会館に無人店舗を出店しました。生鮮品を届ける移動スーパーと、主に日用品を品揃えする無人店舗を組み合わせることによって幅広いお買物が楽しめるものとして、地域に根差す新たな取り組みを開始しています。今後も移動スーパーや無人店舗の展開を進め、お客さまの不便の解消と新たなニーズに対応し、便利で新しいサービスを提案してまいります。
同社は、地域を支援する目的でひろしま神楽後継者育成事業などに寄附金を贈呈しています。また、「姫路城WAON」「おかやま・子ども元気WAON」「Hiroshima平和祈念WAON」「広島県・子育てイクちゃんWAON」「にぎわい徳島WAON」など、それぞれの地域において電子マネーの利用金額の一部を寄付金として贈呈しています。さらに、持続可能な社会の実現に向けた取り組みとしては、一層の使い捨てプラスチックの削減を目指し、4月よりお客さまにお渡しするカトラリー類(スプーン、フォーク、ストローなど)を、プラスチック製から紙製や木製の環境配慮型素材へ切替えました。2023年1月に、広島県呉市にて小型電気商用車(EV車)を使用した移動スーパーの実証運用を開始し、地域のニーズに対応すると同時にCO2排出量の削減に取り組んでいます。また、食品廃棄・フードロスの削減と、食料品を必要とする世帯や団体を支援する取り組みとして、フードドライブ活動に加え、賞味期限や包材不良などにより販売できなくなった食料品を福祉団体・施設に寄贈するフードバンク活動も積極的に推進し、当期末時点でフードドライブの常設コーナーを58店舗に設置し、また、266店舗でフードバンク活動に取り組んでいます。
当社は、2022年3月1日付「マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制への移行完了及び当社子会社の商号変更に関するお知らせ」のとおり、マックスバリュ西日本株式会社との経営統合に伴う持株会社体制へ移行しました。現在は、2024年3月の合併新会社発足を見据えシナジーを創出すべく株式会社フジ・リテイリング及びマックスバリュ西日本株式会社と事業課題やその問題解決について議論を進めています。
当連結会計年度においては、営業収益は堅調に推移しました。しかしながら、仕入価格や原材料価格の上昇による荒利益率の低下に加え、あらゆるコストの高まりが利益を押し下げました。特に電気料金は、当社グループ各社合計で前年より約69億円増加しており、節電の徹底とともに販売費や設備活動費など積極的なコストの節減に加え、ロスの削減などによる荒利益率の改善にも取り組みましたが、光熱費の増加分を吸収するには至りませんでした。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は7,849億67百万円(前期比144.6%増)、営業利益は113億20百万円(前期比53.5%増)、経常利益は133億59百万円(前期比34.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億33百万円(前期比129.4%増)となりました。
(売上及び仕入れの状況)
(注) 1 当社は単一セグメントであります。
2 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。
3 当期の総合小売事業は㈱フジ・リテイリングとマックスバリュ西日本㈱であり、前期は㈱フジです。
(注) 上記金額は、事業会社間の取引を消去しています。
(2)財政状態の状況の分析
当連結会計年度における資産の残高は、前連結会計年度末から2,563億46百万円増加し、4,313億19百万円となりました。増加の主な原因は、現金及び預金が193億円、商品が228億16百万円、有形固定資産が1,497億13百万円、無形固定資産に含まれるのれんが256億17百万円それぞれ増加したことによるものです。
負債の残高は、前連結会計年度末から1,422億94百万円増加し、2,219億30百万円となりました。増加の主な原因は、支払手形及び買掛金が384億61百万円、1年内含む長期借入金が543億90百万円それぞれ増加したことによるものです。
純資産の残高は、資本剰余金が1,223億22百万円増加したことなどにより2,093億88百万円となり、前連結会計年度末から1,140億52百万円増加しました。
なお、収益認識会計基準等の影響の詳細について、収益認識会計基準等の適用が財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」を参照ください。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、税金等調整前当期純利益128億16百万円に含まれる非資金項目の減価償却費167億64百万円、減損損失48億70百万円の調整、また法人税等の支払が31億44百万円あったこと等により、241億61百万円の収入(前期は86億31百万円の収入)となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、有形及び無形固定資産の取得(設備関係支払手形決済等を含む)による支出が210億79百万円、また投資有価証券の売却収入が54億57百万円あったこと等により145億23百万円の支出(前期は64億78百万円の支出)となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」につきましては、長期借入金の返済による支出が282億83百万円、配当金の支払額が37億23百万円、また長期借入金による収入が280億円あったこと等により54億5百万円の支出(前期は27億12百万円の支出)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は318億円となりました。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 1 各指標の算出方法は以下のとおりです。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。
3 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4 有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象
としています。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金の源泉は、主に自己資金と営業活動によるキャッシュ・フローであり、主要な運転資金需要は、商品仕入代金や人件費等の販売費及び一般管理費です。また、投資を目的とした資金需要は、店舗の新規出店、既存店の改装、システム入替や新規導入等に伴うものであり、自己資金や営業活動によるキャッシュ・フローで不足した資金については、計画に基づき金融機関からの長期借入金により調達しています。
(5)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼすと考えています。
(固定資産の減損処理)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候のある資産または資産グループについては、当該資産または資産グループ(店舗を基本単位とする)から得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失額として計上しています。減損処理に使用する将来キャッシュ・フローの見積り額については、当該店舗等に係る需要予測、競争環境の変化、施策方針の変更、人員配置の見直し等による販売費及び一般管理費の改善策を織り込み算定しています。なお、減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討していますが、事業計画の変更や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、見積り額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価については、決算時点で入手可能な情報やタックス・プランニングに基づき合理的に判断していますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しているため、その見積り額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。