売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03753 Japan GAAP

売上高

1.28兆 円

前期

8,660.9億 円

前期比

147.5%

時価総額

1.90兆 円

株価

1,211.5 (06/14)

発行済株式数

1,569,378,772

EPS(実績)

77.46 円

PER(実績)

15.64 倍

平均給与

1,223.1万 円

前期

1,219.9万 円

前期比

100.3%

平均年齢(勤続年数)

40.4歳(14.7年)

従業員数

606人(連結:14,731人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社及び当社の関係会社(連結子会社140社、持分法適用会社22社)の主たる事業は有価証券関連業を中核とする投資・金融サービス業であり、具体的な事業として有価証券及びデリバティブ商品の売買等及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い、有価証券の私募の取扱いその他有価証券関連業並びに銀行業その他の金融業等を営んでおります。当社及び当社の関係会社は、日本をはじめ、欧州、アジア、米州の主要な金融市場に営業拠点を設置し、グローバルに展開するネットワークにより世界中のお客様の資金調達と運用の双方のニーズに対応した幅広いサービスを提供しております。

 なお、当社は特定上場会社等であります。特定上場会社等に該当することにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

※画像省略しています。

(注) ホールセール部門=グローバル・マーケッツ+グローバル・インベストメント・バンキング

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 本項における将来に関する事項は、別段の記載がない限り、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められた企業会計の基準に基づき作成されております。また、当社は、連結財務諸表を作成するにあたり、会計方針に基づいていくつかの重要な見積りを行っており、これらの見積りは一定の条件や仮定を前提としております。そのため、条件や仮定が変化した場合には、実際の結果が見積りと異なることがあり、結果として連結財務諸表に重要な影響を与える場合があります。重要な会計方針のうち、特に重要と考える項目は、次の4項目です。

 

① トレーディング商品の評価

当社グループでは、トレーディング商品に属する有価証券及びデリバティブ取引は、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として連結損益計算書に計上しております。また、「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日)等を適用しており、トレーディング商品の時価は、時価の算定に用いたインプットの観察可能性及び重要性に応じて、3つのレベルに分類しております。これらの時価は「第5 経理の状況 (金融商品関係) 2. 金融商品の時価等及び時価のレベルごとの内訳等に関する事項」に記載しております。

 

 時価測定に用いた評価技法及びインプットの詳細は以下のとおりであります。これらは、市場参加者が商品を評価するときに考慮するであろう当社グループによる仮定及び見積りを含んでおります。

(ⅰ)商品有価証券等

 主に同一又は類似の商品に関する市場価格を用いております。また、特定の負債性金融商品及び資産担保証券については、デリバティブ取引に準じた評価技法もしくは、ディスカウント・キャッシュ・フロー・モデルにより時価を測定しております。

 

(ⅱ)デリバティブ

 上場デリバティブについては原則として市場価格を、店頭デリバティブについては、評価技法により理論価格を算定しております。

 デリバティブ取引の理論価格には、信用リスク及び流動性リスクを考慮した調整が含まれており、時価測定においては、市場で一般に用いられるリスク中立測度の仮定のもとでの期待キャッシュ・フローの現在価値を、主に数値積分法、有限差分法及びモンテカルロ法による価格算定モデルにより算定しております。

 価格算定モデルには、金利、為替レート、株価、ボラティリティ、相関係数などの様々なインプットがあります。また、市場で観察可能でないインプットとしては、相関係数、長期のボラティリティ、長期のクレジット・スプレッドなどがあります。

 価格算定モデルの選択及びその価格算定モデルに投入するインプットの決定、信用リスク及び流動性リスクにかかる評価調整には見積り及び前提を含んでおり、特に、市場で観察可能でないインプットを使用する場合には、その見積り及び前提は、トレーディング商品の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 算定に用いたインプットを含め、価格算定モデルは社内における指針に基づいて承認され、価格算定モデルの開発部署から独立した部署が、モデル内の仮定及び技法、算定に用いたインプットについて検証を行っております。また、価格算定モデルを観察可能な市場情報や代替可能なモデルとの比較分析等により、市場動向に合わせて調整する体制を構築しております。

 

 経営者は、時価測定に用いられた前提は合理的であると考えております。しかしながら、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来キャッシュ・フローや時価の下落を引き起こすような見積りの変化が、評価金額に不利に影響し、結果として、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 有価証券の評価

 当社グループでは、投資有価証券、営業投資有価証券等のトレーディング商品に属さない有価証券を保有しております。

(ⅰ)投資有価証券

 市場価格のあるものについては、市場価格が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。具体的には、当連結会計年度末における市場価格の下落率が取得原価の50%以上の場合は、著しい下落かつ回復する見込みがないものと判断して、減損処理を行っております。市場価格の下落率が取得原価の30%以上50%未満の場合は、市場価格の推移及び発行会社の財政状態等を総合的に勘案して回復する見込みを検討し、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のないものについては、実質価額が著しく低下し、かつ、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。

 

(ⅱ)営業投資有価証券

 営業投資有価証券は、投資部門における非上場株式、国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等により構成されております。

 営業投資有価証券の評価については、その評価額に基づき実質価額を見積り、その実質価額が帳簿価額を下回り、損失発生の可能性が高い場合には投資損失引当金を計上しております。さらに、実質価額が帳簿価額に比して50%以上下落し、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない場合には、減損処理を行っております。実質価額の算定の前提となる当社の財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。

 

1) 非上場株式

 株式の評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、類似取引事例との比較などにより算定しております。

 

2) 国内外の再生可能エネルギー、インフラストラクチャーへの投資等

 評価額は、投資先の事業計画等をもとにした将来キャッシュ・フロー、財政状態などにより算定しております。

 

 これらの評価額の測定には経営者が妥当と判断する見積り及び仮定を使用しており、これらの見積り及び仮定は、減損損失又は投資損失引当金の計上の要否の判断及び認識される損失金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 経営者は、実質価額の見積りに用いられた仮定は合理的であると判断しております。ただし、これらの見積りには不確実性が含まれているため、将来の予測不能な前提条件の変化などにより、これらの評価に関する見積りが変化した場合には、結果として将来において当社及び連結子会社が減損処理又は投資損失引当金の計上を行う可能性があります。

 

③ 固定資産の減損

 当社グループでは、各資産グループにおいて、収益性が著しく低下した資産については、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。なお、資産のグルーピングは、継続使用資産のうち、証券店舗等の個別性の強い資産については個別物件単位で行い、その他の事業用資産については管理会計上の区分に従って行っております。

 

④ 繰延税金資産の状況

(ⅰ)繰延税金資産の算入根拠

 当社グループでは、会計基準に従い、税務上の繰越欠損金や企業会計上の資産・負債と税務上の資産・負債との差額である一時差異について税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産の回収可能性については、将来の合理的な見積可能期間における課税所得の見積額を限度として、当該期間における一時差異等のスケジューリングの結果に基づき判断しております。

 

(ⅱ)過去5年間の課税所得(繰越欠損金使用前の各年度の実績値)

 

 

 

(単位:百万円)

回次

第81期

第82期

第83期

第84期

第85期

決算年月

2018年3月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

通算グループの課税所得

97,467

74,613

60,907

92,842

106,263

(注) 提出会社を通算親法人とする通算グループの所得を記載しております。また、記載した課税所得は法人税確定申告書上の繰越欠損金控除前の数値であり、その後の変動は反映されておりません。

 

 なお、当連結会計年度末に係る連結貸借対照表上の繰延税金資産78億円のうち、提出会社を通算親法人とする通算グループの計上額合計は54億円であります。

 

(ⅲ)見積りの前提とした税引前当期純利益の見込額

 提出会社を通算親法人とする通算グループの課税所得見積期間を3年とし、同期間の税引前当期純利益を1,654億円と見積もっております。

 

(ⅳ)繰延税金資産・負債の主な発生原因

 「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 税効果会計関係 1」に記載のとおりであります。

 

 なお、ロシア・ウクライナ情勢に起因した資源価格の高騰、米国長期金利の上昇や米国の金融機関破綻に伴う経済情勢や相場環境の悪化は、現時点においてはこれらの見積りに重大な影響を及ぼしておりませんが、今後、入手可能となる情報等によりこれらの市場、経済または地政学リスクが顕在化した場合には、会計上の見積りに用いられた前提条件に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループにおきましては、投資事業における保有資産の評価に関する見積りの変化による減損又は評価損の計上、不動産アセットマネジメント事業における資産の稼働率低下による財務内容悪化懸念などの可能性があります。

 

(2)当連結会計年度の財政状態の分析

<資産の部>

 当連結会計年度末の総資産は前年度末比1兆1,178億円(4.1%)減少の26兆4,132億円となりました。内訳は流動資産が同1兆1,367億円(4.4%)減少の24兆8,728億円であり、このうち現金・預金が同7,255億円(15.8%)減少の3兆8,668億円、トレーディング商品が同3,792億円(4.7%)減少の7兆6,257億円、営業貸付金が同812億円(4.2%)増加の2兆150億円となっております。固定資産は同189億円(1.2%)増加の1兆5,403億円となっております。

 

<負債の部・純資産の部>

 負債合計は前年度末比1兆1,534億円(4.5%)減少の24兆7,377億円となりました。内訳は流動負債が同1兆3,639億円(5.9%)減少の21兆5,812億円であり、このうちトレーディング商品が同4,966億円(10.0%)増加の5兆4,425億円、約定見返勘定が同6,074億円(110.8%)増加の1兆1,558億円、有価証券担保借入金が同1兆5,340億円(16.2%)減少の7兆9,296億円、銀行業における預金が同2,563億円(6.1%)減少の3兆9,327億円、短期借入金が同8,629億円(40.0%)減少の1兆2,928億円、コマーシャル・ペーパーが同1,453億円(125.3%)増加の2,613億円となっております。固定負債は同2,099億円(7.1%)増加の3兆1,521億円であり、このうち社債が同2,590億円(16.6%)減少の1兆3,045億円、長期借入金が同4,699億円(38.0%)増加の1兆7,069億円となっております。

 

 純資産合計は同356億円(2.2%)増加の1兆6,754億円となりました。資本金及び資本剰余金の合計は4,776億円となりました。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益を638億円計上したほか、自己株式の消却を806億円、配当金399億円の支払いを行ったこと等により、同566億円(6.0%)減少の8,861億円となっております。自己株式の控除額は自己株式の消却等を行った結果、同626億円(46.7%)減少の715億円、その他有価証券評価差額金は同48億円(16.5%)減少の247億円、為替換算調整勘定は同274億円(58.1%)増加の747億円、非支配株主持分は同13億円(0.5%)増加の2,588億円となっております。

 

(3)当連結会計年度の経営成績の分析

① 事業全体の状況

 当連結会計年度の営業収益は前年度比39.8%増の8,660億円、純営業収益は同7.5%減の4,642億円となりました。

 受入手数料は2,799億円と、同10.8%の減収となりました。委託手数料は、市場環境の悪化により顧客フローが減少したことにより、同15.3%減の642億円となりました。引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、エクイティや債券の引受案件が減少し、同28.2%減の281億円となりました。

 トレーディング損益は、エクイティ収益が減少したこと等により、同30.8%減の702億円となりました。

 金融収支は、レポ取引の拡大等の影響により、同104.9%増の640億円となりました。

 販売費・一般管理費は同2.9%増の3,979億円となりました。取引関係費は投信販売会社への支払手数料や旅費・運送費・交通費等の増加により同14.3%増の715億円、人件費は国内の賞与が減少した一方で海外の人件費が増加したことにより同0.5%増の1,997億円、不動産関係費は主にシステムにかかる器具備品賃借料、保守保険料の増加により同2.8%増の387億円となっております。

 以上より、経常利益は同36.0%減の869億円となりました。

 また、固定資産売却益等により特別利益が181億円(前年度90億円)、固定資産除売却損や投資有価証券売却損等により特別損失が83億円(前年度31億円)となり、法人税等及び非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年度比32.7%減の638億円となりました。

② セグメント情報に記載された区分ごとの状況

 純営業収益及び経常利益をセグメント別に分析した状況は次のとおりであります。

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

純営業収益

経常利益又は経常損失(△)

 

 

2022年

3月期

2023年

3月期

対前年同期

増減率

構成比率

2022年

3月期

2023年

3月期

対前年同期

増減率

構成比率

リテール部門

188,879

164,336

△13.0%

35.4%

41,807

25,886

△38.1%

29.8%

ホールセール部門

195,863

160,891

△17.9%

34.7%

50,951

2,822

△94.5%

3.2%

 

グローバル・マーケッツ

134,353

102,850

△23.4%

22.2%

38,301

△3,130

グローバル・インベストメント・バンキング

61,510

58,041

△5.6%

12.5%

10,693

4,738

△55.7%

アセット・マネジメント部門

71,052

70,394

△0.9%

15.2%

45,253

44,526

△1.6%

51.3%

 

証券アセット・マネジメント

45,351

42,882

△5.4%

9.3%

21,995

18,076

△17.8%

20.8%

 

不動産アセット・マネジメント

25,701

27,512

7.0%

5.9%

23,258

26,450

13.7%

30.5%

投資部門

11,055

16,446

48.8%

3.5%

7,192

13,068

81.7%

15.0%

その他・調整等

35,242

52,157

11.2%

△9,382

626

0.7%

連結 計

502,093

464,226

△7.5%

100.0%

135,821

86,930

△36.0%

100.0%

(注)経常利益又は経常損失(△)の構成比率は、当連結会計年度において経常利益であったセグメントの経常利益合計に占める、各セグメントの経常利益の割合としております。

 

[リテール部門]

 リテール部門の主な収益源は、国内の個人投資家及び未上場会社のお客様の資産管理・運用に関する商品・サービスの手数料であり、経営成績に重要な影響を与える要因には、お客様動向を左右する国内外の金融市場及び経済環境の状況に加え、お客様のニーズに合った商品の開発状況や引受け状況及び販売戦略が挙げられます。

 当連結会計年度においては、以下の事業計画に沿って活動を行いました。

1.資産管理型ビジネスモデルの実現

2.お客様ニーズを捉えた商品・サービスの提供、総資産アプローチによるソリューションビジネスの拡大

3.外部チャネルとの業務提携を活用したニュービジネス展開と収益化

4.マスマーケティング及びお客様対応のデジタルシフト、サステナビリティへの取り組み

 各項目の実績は以下のとおりです。

1.ゴールベース・アプローチツールの高度化や、残高ベース収益に寄与する商品の開発など、資産管理型ビジネスモデルの実現に向けた取り組みを進めました。ファンドラップや投信フレックスプランなどのストック関連資産残高拡大による残高ベース収益の拡大に取り組みました。

2.お客様の声を起点とする商品・サービスの向上を目的に、「お客様満足度協議会」を半期毎に開催し、お客様向け書類の電子交付化等をはじめとした事務手続きの簡便化を行い、お客様の利便性向上に向け取り組みました。また、オルタナティブ資産への新たな投資機会を提供する「ダイワ・WiL3号ベンチャーキャピタル・ファンド」や、資産運用に加え相続・事業承継等富裕層のお客様の多様なニーズにお応えする「プラチナウェルスラップサービス」の取扱いを開始するなどお客様のあらゆるニーズに応える商品・サービスの提供に努めました。

3.お客様基盤の拡大や資産形成分野における商品・サービス提供を目的として、株式会社ゆうちょ銀行において「ゆうちょファンドラップ」の取扱いを開始しました。また、信金中央金庫と連携し開発した「しんきんファンドラップ」の取扱いを多摩信用金庫で開始しました。上記に加え、株式会社四国銀行との包括的業務提携において、2023年4月の業務開始に向け準備を進めました。

4.お客様の利便性の向上を目的として、オンライントレードのリニューアルの実施やお客様の多様なニーズに合わせたメールサービスコンテンツの拡充に取り組みました。

 当連結会計年度においては、昨年度に引き続き資産管理型ビジネスモデルへの移行とコスト構造改革などに取り組みました。市場環境の不透明感により個人投資家のアクティビティが低調となり、エクイティ収益・投信募集手数料等が減少しました。一方で、ラップ口座サービスは契約額・純増額がともに増加したことにより契約資産残高は過去最高の3兆954億円となり、ラップ関連収益である投資顧問・取引等管理料も増加しました。

 当連結会計年度のリテール部門における純営業収益は前年度比13.0%減の1,643億円、経常利益は同38.1%減の258億円となりました。リテール部門の当連結会計年度の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ35.4%及び29.8%でした。

[ホールセール部門]

ホールセール部門は、機関投資家等を対象に有価証券のセールス及びトレーディングを行うグローバル・マーケッツと、事業法人、金融法人等が発行する有価証券の引受けやM&Aのアドバイザリー業務を行うグローバル・インベストメント・バンキングによって構成されます。グローバル・マーケッツの主な収益源は、機関投資家に対する有価証券の売買に伴って得る顧客フロー収益及びトレーディング収益です。グローバル・インベストメント・バンキングの主な収益源は、引受業務やM&Aアドバイザリー業務によって得る引受け・売出し手数料とM&A手数料です。グローバル・マーケッツにおいては、地政学リスクや国際的な経済状況等で変化する市場の動向や、それに伴う顧客フローの変化が、経営成績に重要な影響を与える要因となります。グローバル・インベストメント・バンキングにおいては、顧客企業の資金調達手段の決定やM&Aの需要を左右する国内外の経済環境等に加え、当社が企業の需要を捉え、案件を獲得できるかどうかが経営成績に重要な影響を与える要因となります。

ホールセール部門として以下の事業計画を実行しました。

1.お客様ニーズを捉えた多様なプロダクト・高度なソリューションの提供

2.高く評価されたリサーチ力を活かしたブローカービジネス基盤拡大

3.SDGs関連ファイナンスの促進による企業のサステナビリティ支援

4.デジタル人材拡充とデータ駆動型ビジネスの推進

各項目の実績は、以下のとおりです。

1.M&Aビジネスへの取組みとして、業界再編やグループ内再編などの案件獲得に努め、グローバルネットワークの拡大・強化に取り組みました。IPOビジネスへの取組みとしてはDaiwa Innovation Networkなどを介してスタートアップ企業の成長支援を推進しました。その他、大型ファイナンス案件獲得に取り組みました。

2.アナリストによる高品質なリサーチを国内外の幅広い投資家に提供し、ブローカービジネスの拡大に努めました。

3.市場拡大するグリーンファイナンス/トランジション・ファイナンスの促進に関する取組みの強化に努めました。

4.デジタルIT活用力育成プログラムを通じたデジタル人材の育成とともに、データ分析の高度化に取り組みました。

グローバル・マーケッツのエクイティ収益は、市場環境の不透明感を背景に顧客フローが減少し、また、ボラティリティの高い相場展開となる中、ポジション運営にも苦戦したことから、減収となりました。フィクスト・インカム収益は国内においてクレジットスプレッドの拡大を受け、クレジットのポジション運営に苦戦したことから、減収となりました。その結果、当連結会計年度の純営業収益は前年度比23.4%減の1,028億円、経常損失は31億円となりました。

グローバル・インベストメント・バンキングでは、株式会社ゆうちょ銀行の売出し及びスカイマーク株式会社の新規上場においてグローバル・コーディネーター(注)1を務めたほか、富士フイルムホールディングス株式会社によるソーシャルボンド(注)2、国立大学法人東京工業大学によるサステナビリティボンド(注)3などの発行において事務主幹事及びStructuring Agent(注)4を務めました。当連結会計年度の引受け・売出し手数料は、前年度比28.2%減の281億円となりました。M&Aアドバイザリー業務では、株式会社ニトリホールディングスと株式会社エディオンの資本業務提携やJX金属株式会社によるタツタ電線株式会社の完全子会社化をはじめとする業界再編・グループ再編案件などの国内案件に加えて、様々な国・地域で多様な業種の案件に関与しました。これらの結果、グローバル・インベストメント・バンキングの当連結会計年度の純営業収益は前年度比5.6%減の580億円となりました。経常利益は同55.7%減の47億円となりました。

 当連結会計年度のホールセール部門における純営業収益は前年度比17.9%減の1,608億円、経常利益は同94.5%減の28億円となりました。ホールセール部門の当連結会計年度の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ34.7%及び3.2%でした。

 

(注)1 グローバル・コーディネーター:株式の公募・売出しを国内外に対して実施するときに、全体の業務を統括する主幹事証券会社。

(注)2 ソーシャルボンド:特定の社会的課題への対処やその軽減、あるいは、ポジティブな社会的成果の達成を目指す新規又は既存のプロジェクトに必要な資金を調達するために発行する債券。

(注)3 サステナビリティボンド:企業や地方自治体などが、国内外のグリーンプロジェクト及びソーシャルプロジェクト双方に要する資金を調達するために発行する債券。

(注)4 Structuring Agent:SDGs債などの発行にあたって、フレームワークの策定やセカンドオピニオン取得に関する助言などを通じて、SDGs債などの発行支援を行う者。

[アセット・マネジメント部門]

 アセット・マネジメント部門の収益は、主に当社連結子会社の大和アセットマネジメントにおける投資信託の組成と運用に関する報酬と、連結子会社の大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人及びサムティ・レジデンシャル投資法人の不動産運用収益によって構成されます。また、当社持分法適用関連会社である三井住友DSアセットマネジメントの投資信託の組成と運用及び投資顧問業務に関する報酬からの利益、並びに同じく持分法適用関連会社であるサムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の不動産運用収益からの利益は、それぞれ当社の持分割合に従って経常利益に計上されます。経営成績に重要な影響を与える要因としては、マーケット環境によって変動するお客様の投資信託及び投資顧問サービスへの需要と、マーケット環境に対するファンドの運用パフォーマンスや、お客様の関心を捉えたテーマ性のある商品開発等による商品自体の訴求性が挙げられます。大和リアル・エステート・アセット・マネジメント、大和証券オフィス投資法人、サムティ・レジデンシャル投資法人、サムティ株式会社及び大和証券リビング投資法人の経営成績は、国内の不動産市場・オフィス需要の動向の影響を受けます。

 当連結会計年度において、アセット・マネジメント部門は以下の事業計画を実行しました。

1.運用力・発掘力・商品アレンジ力強化による既存事業の拡大

2.オルタナティブ資産を投資対象とした商品の開発等、新ビジネスの研究開発・事業化

3.不動産アセット・マネジメント事業における資産運用力強化及び事業基盤の確立

4.グループ内連携による不動産小口化商品事業拡大など不動産ビジネスの推進

 各項目の実績は以下のとおりです。

1.大和アセットマネジメントではお客様ニーズを的確にとらえた商品開発及び投資家利益を重視したファンド運営に加え、継続的なパフォーマンス向上により運用資産残高が拡大しました。

2.リテール部門のお客様への提供に向け、米国企業に直接融資をするプライベート・クレジットへの投資をはじめとしたオルタナティブファンドの組成に取り組みました。

3.大和リアル・エステート・アセット・マネジメントでは大和証券リビング投資法人、大和証券レジデンシャル・プライベート投資法人及び大和証券ロジスティクス・プライベート投資法人の運用残高拡大によって運用資産残高が増加しました。

4.大和証券リアルティでは、信託受益権スキームを活用した不動産小口化商品を開発し、リテール部門のお客様への提供を行いました。

 大和アセットマネジメントにおける公募株式投信及び公募公社債投信の運用資産残高は、資金純増を確保するも、時価の下落により、前年度末比0.1兆円減の21.5兆円となりました。大和アセットマネジメントの営業収益は前年度比6.1%減の704億円、経常利益は同18.1%減の156億円となりました。

 不動産アセット・マネジメントでは、新規物件の取得や資産の入替を行い、大和リアル・エステート・アセット・マネジメント及びサムティ・レジデンシャル投資法人の2社を合わせた運用資産残高は前年度末比902億円増の1兆3,692億円となり、収益も増加しました。

 その結果、当連結会計年度のアセット・マネジメント部門の純営業収益は前年度比0.9%減の703億円、経常利益は同1.6%減の445億円となりました。アセット・マネジメント部門の当連結会計年度の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び連結経常利益に占める割合は、それぞれ15.2%及び51.3%でした。

 

[投資部門]

 投資部門は主に、連結子会社である大和企業投資、大和PIパートナーズ及び大和エナジー・インフラで構成されます。投資部門の主な収益源は、投資先の新規上場(IPO)・M&A等による売却益や、投資事業組合への出資を通じたキャピタルゲインのほか、契約に基づきファンドから受領する、管理運営に対する管理報酬や投資成果に応じた成功報酬、株式への配当、売電収入などのインカムゲインです。

 投資部門では以下の事業計画を実行しました。

1.優良な投資機会の発掘、投資先のバリューアップ及びモニタリング体制の強化

2.エネルギー分野でのキャピタル・リサイクリングモデルの推進

3.継続的なVCファンド運用ビジネスの確立

4.SDGsを意識した社会的意義のある投資対象の開拓

 

 各項目の実績は以下のとおりです。

1.大和PIパートナーズでは、アジアで活動する投資家のハブとなっているシンガポールにおいて同社の現地法人が営業を開始し、東南アジアにおける投資活動を強化しました。

2.大和エナジー・インフラでは、太陽光事業に特化した私募ファンドへの運用資産の拠出により、資本を有効活用するキャピタル・リサイクリングを推進しました。

3.大和企業投資では、国内外の成長企業へ着実に投資を実行したほか、投資先の上場などを通じた既存投資案件の回収を進めました。

4.大和PIパートナーズでは、アジア地域の経済成長や産業・技術革新の基盤づくりに貢献する企業への投資を実行しました。大和エナジー・インフラでは、国内太陽光発電を中心とした再生可能エネルギー事業やインフラ事業に対する投資を実行しました。

 大和PIパートナーズでは、プライベート・エクイティ投資による収益を確保したほか、大和エナジー・インフラは再生可能エネルギー投資からの収益が拡大し、インカムゲインに加えキャピタルゲインを計上しました。当連結会計年度における投資部門の純営業収益は前年度比48.8%増の164億円、経常利益は同81.7%増の130億円となりました。投資部門の純営業収益及び経常利益のグループ全体の連結純営業収益及び経常利益に占める割合は、それぞれ3.5%及び15.0%でした。

 

[その他]

 その他の事業には、主に大和総研によるリサーチ・コンサルティング業務及びシステム業務のほか、大和ネクスト銀行による銀行業務などが含まれます。

 当連結会計年度において大和総研グループは以下の事業計画を実行しました。

1.ITサービスのプラットフォーム化やAI・データサイエンスによる新たな価値の創出

2.高品質で安定的なサービスを低コストで提供することで、大和証券グループのコストダウンへ貢献

3.顧客特性に応じた営業体制、ビジネスアナリスト等による顧客ニーズを踏まえた高付加価値の提案活動、データサイエンスや新技術の活用を含むシステムソリューションによる顧客基盤の拡大、新たな事業展開

4.情報発信と情報収集・意見交換との好循環を起こしてリサーチクオリティを向上する

 

 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。

1.当社グループを含む金融機関をはじめとするお客様に対してAI・データサイエンスを活用した各種サービスの提供を着実に実行しました。また、複数のクラウドサービスの特徴を活かしたマルチクラウドによるソリューション提供を可能とするインフラ基盤の拡充、健康保険組合向けBPOサービスの受託体制の拡充を推進しました。加えて、AI・データサイエンスなど先端技術に特化した、新ソリューション創出の礎となる情報を提供するサイト「WORLD」をコーポレートサイトに開設しました。

2.設計開発部門における開発単価・開発工数の低減や、運用保守部門における当社グループ内外のシステム運用・保守業務の統合等により、当社グループのITコスト低減及び生産性向上に貢献しました。

3.顧客特性に応じた営業体制のもとで、より付加価値の高い提案を実施するとともに、他社サービスとの連携・活用を戦略的に推進し、お客様ニーズを的確に捉えた提案等を通じた関係性の深化による顧客の獲得や取引の大口化により顧客基盤を拡大しました。また、コンサルティング部門の営業体制を強化しシステム部門との連携促進を図るなど、組織体制の整備を行いました。

4.シンクタンクとして、金融庁等に対してNISAの抜本的拡充に関する政策提言活動を実施するとともに、経済・社会の時流を踏まえたテーマに関してタイムリーな情報発信を実施し、プレゼンス向上に寄与しました。

 

 

当連結会計年度において大和ネクスト銀行は以下の事業計画を実行しました。

1.競争力ある金利の提供と魅力ある新商品・新サービスの提供

2.グループ内連携の更なる強化、融資ビジネスにおける案件の積み上げ

3.証券化商品を中心とした運用残高の拡大、マーケット動向を踏まえたポートフォリオの見直し

4.応援定期預金の残高拡大やESG投融資の促進等への取り組み

 

 各項目の当連結会計年度における実績は以下のとおりです。

1.外貨預金について、業界トップ水準の金利を維持するとともに、キャンペーンを実施して新規の預金を取り込みました。

2~3.市況環境の変化に応じたポートフォリオの見直しと、投融資残高の拡大に向け取組みました。

4.サステナビリティKPIの一つである応援定期預金の残高拡大に向けた取り組みを行いました。また、マネー・ローンダリング/テロ資金供与対策の強化に向けた態勢整備を継続し、リスク管理のさらなる改善を行いました。

 

 大和ネクスト銀行の当連結会計年度末の預金残高(譲渡性預金含む)は前年度末比6.1%減の3.9兆円、銀行口座数は前年度比5.9%増の166万口座となりました。当連結会計年度の業績は、運用収益が大幅な増収となった結果、増収増益となりました。

 その結果、その他・調整等に係る純営業収益は521億円(前年度352億円)、経常利益は6億円(前年度経常損失93億円)となりました。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況等

 当社グループでは、2021年度から2023年度にかけての中期経営計画~“Passion for the Best”2023~を公表し、業績KPIとして自己資本利益率(ROE)及び経常利益、財務基盤KPIとして連結総自己資本規制比率を数値目標として掲げました。また、お客様本位のクオリティNo.1を追求する指標として、大和証券預り資産残高とともにリテール部門残高ベース収益比率(注)1、新規ビジネス領域への拡大を進めるハイブリッド戦略進捗の指標として、ハイブリッド関連経常利益・ハイブリッド関連経常利益比率(注)2をKPIとして設定しました。

 中期経営計画2年目となる当連結会計年度においては、業績KPIはROE10%以上目標に対し4.6%、連結経常利益2,000億円以上目標に対し869億円となりました。財務基盤KPIの連結総自己資本規制比率は21.27%(注)3と、目標の18%以上を上回って推移しています。クオリティNo.1のKPIである大和証券預り資産は、90兆円以上目標に対して74.7兆円、リテール部門残高ベース収益は50%以上目標に対して50.8%となりました。また、ハイブリッドKPIのハイブリッド関連経常利益は450億円、ハイブリッド経常利益率は52%となりました。

 2022年度は、長引くコロナ禍における様々な制約や地政学リスク、インフレの進行や金融政策の見直しなどの不透明感が増す相場環境となりましたが、ハイブリッド戦略の進捗により付加価値の高い商品・サービスの創出や収益構造の多様化が進展し業績を支えるとともに、中期経営計画の柱である資産管理型ビジネスモデルへの転換が着実に進捗した一年となりました。また、中長期的な経営指針となる「2030Vision」の根底に取り入れたサステナビリティへの取組み推進においても、サステナブルファイナンスへの社会的ニーズの一層の高まりを受けてSDGs債の引受け実績を積み上げ、着実な進捗があったと評価しています。また、幅広い国民の金融リテラシー向上に貢献するべく、金融経済教育への取組みを強化する観点から、新たに金融経済教育担当役員を設置しました。

 

(注)1 残高ベース収益:投信代理事務手数料、投資顧問料・取引等管理料、銀行代理店報酬、投信フレックスプラン残高手数料など

(注)2 ハイブリッド関連経常利益:不動産アセットマネジメント、大和エナジー・インフラ、大和ネクスト銀行など、ハイブリッド事業から生じる利益

(注)3 連結総自己資本規制比率は有価証券報告書提出日における速報値を記載しており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。

 

 

④ 経営成績の前提となる2022年度のマクロ経済環境

<海外の状況>

 世界経済は、総じて2020年前半の新型コロナウイルスの感染拡大による落ち込みからの拡大基調が続いていますが、その改善ペースは鈍化しつつあります。IMF(国際通貨基金)が2023年4月に公表した世界経済見通しによれば、2020年の大幅な落ち込みからの反動もあり、2021年の世界経済成長率は+6.3%と、IMFが成長率を公表する1980年以降で最も高い成長となりました。一方、2022年の世界経済成長率は+3.4%へと低下したと見込まれています。世界的にコロナ禍で落ち込んだサービス活動の回復が継続する一方、歴史的に高いインフレ率や、それに対応するための当局による金融引き締めが、景気拡大ペースを抑制する要因となっています。また、2022年初に始まったロシアによるウクライナへの侵攻を契機とした地政学的リスクの高まりや、それに伴うエネルギー不足への懸念、更には米国を中心とした金融不安の拡大などが、世界経済における新たなリスクとなっています。

 米国経済は、緩やかな回復傾向が続いています。2022年4-6月期の実質GDP成長率は、前期比年率△0.6%と2四半期連続のマイナス成長となりました。中国・上海市でのロックダウンなどを背景とした供給制約によって生産が停滞し、在庫投資が大幅に減少したことに加え、金利上昇を背景に住宅投資が減少したことでGDPが押し下げられました。他方、労働市場が改善基調を維持する中、経済正常化によるサービス消費の回復もあり、個人消費は増加が続きました。7-9月期に入ってからも労働市場の改善は続いており、個人消費の増加を主因に7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+3.2%と3四半期ぶりの上昇に転じました。しかし、10-12月期にはFRB(連邦準備制度理事会)による利上げの影響によって、住宅投資が減少したほか、設備投資の増加ペースが鈍化したことにより、実質GDP成長率は前期比年率+2.6%と、前四半期から減速しました。2023年1-3月期に入ってもタイトな金融環境が継続していることを背景に、設備投資や住宅投資に弱さが見られた結果、2023年1-3月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.3%となり、減速が続いています。高いインフレ率が引き続き家計の重荷になっていることに加え、銀行の連鎖破綻などにより、米国経済の先行きの不透明感は増しています。

 金融面では、FRBは歴史的な高インフレを鎮静化するため、金融引き締めを強化しています。インフレ率がFRBの目標である2%を大幅に上回っていることを背景に、2022年3月のFOMC(連邦公開市場委員会)では政策金利が0.25%pt引き上げられ、2020年3月以降続いてきた実質的なゼロ金利政策が終了しました。続く5月のFOMCでは、0.50%ptの利上げに加えて、6月からFRBのバランスシートの縮小を開始することが決定されました。6月のFOMCでは利上げ幅がさらに拡大され、0.75%ptの利上げが行われました。その後、7月、9月、11月のFOMCでもそれぞれ0.75%ptの利上げが実施されましたが、12月のFOMCでは利上げ幅が0.50%ptへと縮小され、2023年2月のFOMCでは0.25%ptへと更に縮小されました。3月に入ると金融システム不安が強まったことを受け、FRBはBank Term Funding Programと呼ばれる危機対応策を打ち出した一方、FOMCでは0.25%ptの利上げを決定しました。金融不安の拡大に伴ってリスクオフの動きが強まったことや、利上げペースの鈍化が織り込まれたことで、3月初には4%超まで上昇していた米国の10年債利回りは、3月末には3.5%程度へと低下しました。

 欧州経済(ユーロ圏経済)は、緩やかな回復基調が続いたものの、2022年後半以降は停滞感が強まっています。2022年4-6月期の実質GDP成長率は、行動制限の緩和などによる個人消費の持ち直しなどから、前期比年率+3.4%と堅調な結果となりました。しかし、2月下旬に開始したロシアによるウクライナ侵攻の長期化やインフレ率の高進などから、個人や企業の景況感は大幅な悪化が続いています。また、インフレ率の高進を背景に、ECB(欧州中央銀行)が金融引き締めに転じたことによる借り入れコストの上昇も、投資や消費を下押しする要因となり、7-9月期の実質GDP成長率は前期比年率+1.5%と減速しました。さらに、10-12月期には実質GDP成長率は前期比年率△0.5%と、マイナス成長に転じました。2023年1-3月期の実質GDP成長率は個人消費の減少などにより、前期比年率△0.4%と2四半期連続のマイナス成長となり、力強さに欠く内容となっています。

 金融面では、ECBはコロナ禍以降の金融緩和を終了し、引き締めへと転じています。インフレが加速する中、2022年3月のECB理事会では、コロナ禍以前から実施されてきた資産買入プログラムの終了を前倒しする方針が示され、6月の理事会では、7月1日付で同プログラムを終了することが決定されました。続く7月の理事会では、0.50%ptの利上げに踏み切り、2014年に導入されたマイナス金利が8年ぶりに解除されました。さらに、9月と10月の理事会では0.75%ptと過去最大の利上げ幅での利上げを実施しましたが、12月の理事会では利上げ幅を0.50%ptに縮小しました。2023年に入ると、欧州の金融システムに対する不安が広まったものの、2月と3月の理事会において、それぞれ0.50%ptの利上げを決定しました。

 新興国経済は、2020年後半以降、総じて持ち直しの動きが続いています。IMFによれば、2021年の新興国の実質GDP成長率は、前年の落ち込みの反動から+6.9%と高い成長となりました。また、2022年の実質GDP成長率は+4.0%となりました。

 新興国のうち、世界第2位の経済規模を持つ中国では、政府が掲げていたゼロコロナ政策の下、上海市などの多くの都市でロックダウンが実施されたため、2022年4-6月期の実質GDP成長率は前年比+0.4%の低成長にとどまりました。しかし、ロックダウンが順次解除されたことに加えて、財政・金融政策による下支えもあり、7-9月期の中国の実質GDP成長率は前年比+3.9%となり、前期から伸びが加速しました。10-12月期には、感染者数が急増した結果、経済活動が停滞した影響で実質GDP成長率は前年比+2.9%にとどまりました。2023年1-3月期には感染者数が急速に減少した結果、個人消費が顕著に回復したこともあり、実質GDP成長率は前年比+4.5%へと加速しました。

 中国以外の新興国は、総じて見れば持ち直しの動きが続きました。欧米を中心とした主要国経済の回復による外需の拡大が新興国経済を下支えしたことに加え、一部の資源国では、とりわけ2022年前半には資源価格の上昇が経済を押し上げる要因となりました。一方、高インフレや、欧米での金融引き締め・金利上昇に伴う資金流出抑制のため、多くの国が利上げを余儀なくされており、新興国でも景気の減速感は強まりつつあります。

 

<日本の状況>

 日本経済は、2022年度に入り緩やかな回復が続いています。2022年3月21日にまん延防止等重点措置が解除され、経済活動の正常化が進んだことで、2022年4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+5.6%と成長ペースが大きく加速しました。しかし、7-9月期には輸入の急増を主因に実質GDP成長率は前期比年率△1.5%のマイナス成長となりました。10-12月期には前期比年率+0.4%と2四半期ぶりのプラス成長となりましたが、回復ペースは鈍く、2022年後半において停滞感が強まりました。しかし、2023年1-3月期に入ると、個人消費や設備投資の増加を主因に実質GDP成長率は前期比年率+2.7%と増加に転じました。

 需要項目ごとに見ると、個人消費は持ち直しの動きが続いています。まん延防止等重点措置が2022年3月21日を期限に全面解除されたことで、2022年4-6月期はサービス消費を中心に個人消費は持ち直しましたが、7-9月期には再び新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、個人消費は小幅の増加にとどまりました。10-12月期以降は堅調な自動車販売などにけん引される形で個人消費は緩やかながらも増加基調を維持しています。家計による需要のうち住宅投資については、資材価格上昇を背景とした価格上昇などにより、2021年後半以降停滞感が強まっています。

 企業部門の需要である設備投資は均して見ると増加基調を維持しています。2022年4-6月期に入って新型コロナウイルスの感染者数が減少し、国内の経済活動が再開される中、設備投資にも再び増加の兆しが見られました。また、7-9月期には、それまで設備投資を抑制する要因となっていた、中国でのロックダウンなどによるサプライチェーンの混乱が解消に向かったこともあり、設備投資の回復が続きました。10-12月期には年度前半の回復の反動もあり、小幅の減少に転じていますが、2022年度を通してみれば設備投資は増加基調を維持しています。新型コロナウイルス感染症拡大の影響などから2021年度に見送られた設備投資の一部は2022年度に先送りされているとみられ、日銀短観(2023年3月調査)によれば、2022年度の設備投資計画(含む土地投資額)は、前年比+11.4%と非常に高い伸びが見込まれています。

 金融面では、短期金利に加えて長期金利も操作対象とする日本銀行の金融緩和措置が継続しています。ただし、日本経済がコロナ禍による落ち込みから持ち直す中、日本銀行は、2021年12月の金融政策決定会合で、コロナ禍への対応として導入された社債などの買い入れ増額の一部について2022年3月で終了することを決定しました。日本銀行による緩和的な金融政策が続くものの、2022年に入って米国長期金利が上昇する中、日本の10年債利回りでも上昇圧力が強まっており、2022年度に入ってからは、日本銀行が政策目標とする範囲の上限である0.25%近傍で推移していました。こうした状況の中、12月の金融政策決定会合において、日本銀行は10年債利回りの変動幅を±0.5%へと拡大することを決定し、これを受けて10年債利回りは一時0.5%を上回る水準へと上昇しました。しかし、3月に入ると、米国での金融システム不安の影響で米国長期金利が低下したことに連動して、日本の10年債利回りは3月末時点で0.389%へと低下しています。

 為替市場をみると、2022年度に入り円安が急速に進みましたが、11月以降は円高への揺り戻しがみられました。米国では高インフレを抑制するためにFRBが利上げを続ける姿勢を示し、金利の上昇が続いた一方、日本では日本銀行による低金利政策が維持されたことで、日米金利差が拡大し、対ドルレートは非常に速いペースで円安が進みました。年初時点で115円台だった対ドルレートは、10月には一時150円台とおよそ32年ぶりの円安水準となりました。しかし、その後、FRBによる利上げのペースが鈍化する公算が高まるなか、日本銀行による10年債利回りの変動幅拡大もあり、12月には一時131円台まで急速に円高が進み、2023年3月末時点では1ドル133.13円となっています。

 株式市場では、海外市場の動向に大きく左右される形で、株価が一進一退の推移を続けています。4-6月期は、米国での金融引き締めや、景気減速懸念によって米国の株価が一進一退となる中、日経平均株価も上昇・下落を繰り返す不安定な相場展開となりました。7-9月期に入ると、米国での景気減速懸念が強まったことに加えてインフレ率に鈍化の兆候が見られたことで、米国長期金利の低下が進み、8月中旬まで米国株価は上昇しました。日経平均株価もそうした米国株価の動きに追随して上昇し、8月半ばには一時29,000円台を回復しました。しかし、8月後半に入ると米国のインフレ懸念が再び高まり、これに対してFRBがタカ派的な姿勢を強めたため、9月末にかけて日米ともに株価は下落基調となりました。10月以降には、FRBによる利上げペースが鈍化するとの見方が広まったことなどもあり株価は上昇したものの、12月に入ると日本銀行による10年債利回りの変動幅拡大を受けて再度下落に転じました。2023年に入って金融システム不安が顕在化したものの、政策当局の迅速な対応によって市場が落ち着きを取り戻したことで株価は上昇しました。

 2023年3月末の日経平均株価は28,041円48銭(2022年3月末比220円5銭高)、10年債利回りは0.389%(同0.171%ptの上昇)、為替は1ドル133円13銭(同11円49銭の円安)となりました。

 

(4)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況の分析

① 営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フロー並びに現金及び現金同等物

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

 

(単位:百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

△353,467

△183,745

投資活動によるキャッシュ・フロー

△218,534

7,457

財務活動によるキャッシュ・フロー

377,090

△565,878

現金及び現金同等物に係る換算差額

25,760

23,349

現金及び現金同等物の増減額(△は減少)

△169,150

△718,816

現金及び現金同等物の期首残高

4,723,526

4,554,375

現金及び現金同等物の期末残高

4,554,375

3,835,559

 

 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、トレーディング商品の増減、有価証券担保貸付金及び有価証券担保借入金の増減、銀行業における預金の増減などにより、△1,837億円(前年度は△3,534億円)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の売却及び償還による収入などにより、74億円(同△2,185億円)となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の純増減などにより、△5,658億円(同3,770億円)となりました。これらに為替変動の影響等を加えた結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前年度末比7,188億円減少の3兆8,355億円となりました。

 

② 資本の財源及び流動性に係る情報

(ⅰ)流動性の管理

<財務の効率性と安定性の両立>

 当社グループは、多くの資産及び負債を用いる有価証券関連業務や、投融資業務を行っており、これらのビジネスを継続する上で十分な流動性を効率的かつ安定的に確保することを資金調達の基本方針としております。

 当社グループの資金調達手段には、社債、ミディアム・ターム・ノート、金融機関借入、コマーシャル・ペーパー、コールマネー、預金受入等の無担保調達、現先取引、レポ取引等の有担保調達があり、これらの多様な調達手段を適切に組み合わせることにより、効率的かつ安定的な資金調達の実現を図っております。

 財務の安定性という観点では、環境が大きく変動した場合においても、業務の継続に支障をきたすことのないよう、平時から安定的に資金を確保するよう努めると同時に、危機発生等により、新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、調達資金の償還期限及び調達先の分散を図っております。

 当社は、「金融商品取引法第五十七条の十七第一項の規定に基づき、最終指定親会社が当該最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性を判断するための基準として定める最終指定親会社及びその子法人等の経営の健全性のうち流動性に係る健全性の状況を表示する基準」(平成26年金融庁告示第61号)により連結流動性カバレッジ比率(以下、「LCR」という。)及び連結安定調達比率(以下、「NSFR」という。)を所定の比率(それぞれ100%)以上に維持することが求められており、当第4四半期日次平均のLCRは135.9%です。また、当第4四半期末のNSFRは有価証券報告書提出日における速報値で137.5%となっており、確定値は算出完了次第、当社ホームページにて公表する予定です。また、当社は、上記金融庁告示による規制上のLCR及びNSFRのほかに、独自の流動性管理指標を用いた流動性管理態勢を構築しております。即ち、一定期間内に期日が到来する無担保調達資金及び同期間にストレスが発生した場合の資金流出見込額に対し、様々なストレスシナリオを想定したうえで、それらをカバーする流動性ポートフォリオが保持されていることを日次で確認しており、1年間無担保資金調達が行えない場合でも業務の継続が可能となるように取り組んでおります。

 当第4四半期日次平均のLCRの状況は次のとおりです。

 

 

 

(単位:億円)

 

 

 

 日次平均

(自 2023年1月

  至 2023年3月)

適格流動資産

(A)

29,025

資金流出額

(B)

39,185

資金流入額

(C)

17,832

連結流動性カバレッジ比率(LCR)

 

 

 

算入可能適格流動資産の合計額

(D)

29,025

 

純資金流出額

(E)

21,353

 

連結流動性カバレッジ比率

(D)/(E)

135.9%

 

<グループ全体の資金管理>

 当社グループでは、グループ全体での適正な流動性確保という基本方針の下、当社が一元的に資金の流動性の管理・モニタリングを行っております。当社は、当社グループ固有のストレス又は市場全体のストレスの発生により新規の資金調達及び既存資金の再調達が困難となる場合も想定し、短期の無担保調達資金について、当社グループの流動性ポートフォリオが十分に確保されているかをモニタリングしております。また、当社は、必要に応じて当社からグループ各社に対し、機動的な資金の配分・供給を行うと共に、グループ内で資金融通を可能とする態勢を整えることで、効率性に基づく一体的な資金調達及び資金管理を行っております。

 

<コンティンジェンシー・ファンディング・プラン>

 当社グループは、流動性リスクへの対応の一環として、コンティンジェンシー・ファンディング・プランを策定しております。同プランは、信用力の低下等の内生的要因や金融市場の混乱等の外生的要因によるストレスの逼迫度に応じた報告体制や資金調達手段の確保などの方針を定めており、これにより当社グループは機動的な対応により流動性を確保する態勢を整備しております。

 当社グループのコンティンジェンシー・ファンディング・プランは、グループ全体のストレスを踏まえて策定しており、変動する金融環境に機動的に対応するため、定期的な見直しを行っております。

 また、金融市場の変動の影響が大きく、その流動性確保の重要性の高い大和証券株式会社、株式会社大和ネクスト銀行及び一部の海外証券子会社においては、更に個別のコンティンジェンシー・ファンディング・プランも策定し、同様に定期的な見直しを行っております。

 なお、当社は、子会社のコンティンジェンシー・ファンディング・プランの整備状況について定期的にモニタリングしており、必要に応じて想定すべき危機シナリオを考慮して子会社の資金調達プランやコンティンジェンシー・ファンディング・プランそのものの見直しを行い、更には流動性の積み増しを実行すると同時に資産圧縮を図るといった事前の対策を講じることとしております。

 

(ⅱ)株主資本

 当社グループが株式や債券、デリバティブ等のトレーディング取引、貸借取引、引受業務、ストラクチャード・ファイナンス、M&A、プリンシパル・インベストメント、証券担保ローン等の有価証券関連業を中心とした幅広い金融サービスを展開し、ハイブリッド型総合証券グループとしての新たな価値の提供に資する投融資を行うためには、十分な資本を確保する必要があります。また、当社グループは、日本のみならず、海外においても有価証券関連業務を行っており、それぞれの地域において法規制上必要な資本を維持しなければなりません。

 当連結会計年度末の株主資本は、前連結会計年度末比58億円増加し、1兆2,923億円となりました。また、資本金及び資本剰余金の合計は4,776億円となっております。利益剰余金は親会社株主に帰属する当期純利益638億円を計上したほか、自己株式の消却を806億円、配当金399億円の支払いを行った結果、同566億円減少し8,861億円となりました。自己株式の控除額は同626億円減少し、715億円となっております。

 

③ 財務戦略

 当社グループの財務戦略の基本は、成長投資、資本効率性、財務健全性及び株主還元の最適なバランスを図り、健全な利益の確保を通じた持続的成長を実現することです。

 持続的な成長の実現に際しては、規制並びに制度対応と適正な自己資本水準を維持することを重視しております。強固な財務基盤を堅持するため、財務基盤KPIとして連結総自己資本規制比率を採用しております。同比率については、今後のバーゼル規制の最終化による影響と過去の金融危機時のストレス・シナリオにも耐えうる資本のバッファーを加味し、18%を最低水準と設定しております。2019年度には規制上その他Tier1資本に係る基礎項目として取り扱われる、当社として初めての無担保永久社債(債務免除特約および劣後特約付)を2本立てで計1,500億円発行し、財務基盤の拡充を図りました。

 成長投資に関しましては、当連結会計年度も既存事業の競争力強化のための投資や事業ポートフォリオ多様化のための出資などを数多く実行いたしました。その結果、財務基盤KPIとして設定している連結総自己資本規制比率は速報ベースで18%を上回っており、今後も継続的な成長投資を行うための十分な資本余力を有しております。このため、証券ビジネスの顧客基盤拡大に向けた投資やハイブリッド型総合証券グループとしてコアビジネスと親和性のある周辺領域への投資は今後も常に検討してまいります。

 株主還元策については「第4提出会社の状況 3配当政策」に記載のとおりです。

 当社の資金調達の方法については、「② 資本の財源及び流動性に係る情報」に記載しております。