E03764 Japan GAAP
前期
809.8億 円
前期比
90.6%
株価
601 (03/28)
発行済株式数
260,582,115
EPS(実績)
7.49 円
PER(実績)
80.19 倍
前期
758.4万 円
前期比
96.1%
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(2.0年)
従業員数
175人(連結:2,747人)
当社グループは、当社、子会社27社及び関連会社15社で構成されております。
当社グループは主たる事業として、有価証券の売買及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い、私募の取扱いその他の金融商品取引業並びに金融商品取引業に関連又は付随する業務のほか、その他の金融業等を営んでおります。当社グループは、日本をはじめ、アジア、ヨーロッパ及びアメリカの金融・資本市場に拠点を設置し、顧客の資金調達、資金運用の両面において、グローバルで幅広いサービスを提供しております。
当社グループの事業系統図
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー等の状況は、以下のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は5,252億11百万円減少(前連結会計年度末比、以下(1)において同じ。)し1兆560億20百万円となりました。このうち流動資産は5,258億26百万円減少し9,798億80百万円となりました。主な要因は、トレーディング商品が2,565億23百万円減少し2,729億17百万円となり、有価証券担保貸付金が2,474億74百万円減少し3,041億8百万円となりました。また、固定資産は、投資有価証券が17億17百万円増加し459億23百万円となったことなどから6億15百万円増加し761億39百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は5,209億90百万円減少し8,746億72百万円となりました。このうち流動負債は5,003億36百万円減少し7,545億8百万円となりました。主な要因は、トレーディング商品が2,086億86百万円減少し2,359億26百万円となり、有価証券担保借入金が1,806億円減少し1,461億25百万円となりました。また、固定負債は、社債が66億6百万円減少し219億79百万円となり、長期借入金が138億円減少し935億円となったことなどから、固定負債合計は206億40百万円減少し1,194億74百万円となりました。
当連結会計年度末の利益剰余金は35億15百万円減少し1,110億64百万円となり、純資産合計は42億20百万円減少し1,813億48百万円となりました。
当連結会計年度の受入手数料の合計は12.4%減少(前連結会計年度増減率、以下(2)において同じ。)し329億29百万円を計上いたしました。
当社グループの株式委託手数料は16.9%減少し110億18百万円となりました。委託手数料全体では15.6%減少し117億58百万円を計上いたしました。
株式は29.5%減少し5億10百万円を計上いたしました。また、債券は1.3%減少し6億2百万円の計上となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では16.6%減少し11億12百万円を計上いたしました。
受益証券は、30.8%減少し68億73百万円の計上となり、募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料全体では30.6%減少し69億円を計上いたしました。
投資信託の代行手数料は8.9%減少し53億31百万円、保険手数料収入は23.2%増加し45億50百万円の計上となり、その他の受入手数料全体では6.3%増加し131億57百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の株券等トレーディング損益は15.8%減少し136億30百万円の利益の計上となり、外貨建債券や仕組債の売買を中心とした債券・為替等トレーディング損益は0.9%減少し176億56百万円の利益を計上いたしました。この結果、トレーディング損益の合計は8.0%減少し312億87百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の金融収益は2.5%減少し91億65百万円を計上いたしました。また、金融費用は38.8%増加し37億84百万円を計上し、差引の金融収支は19.4%減少し53億81百万円の利益を計上いたしました。
当連結会計年度の取引関係費は5.3%減少し124億28百万円となりました。また、人件費は4.6%減少し308億36百万円、不動産関係費は1.9%減少し75億85百万円、事務費は0.1%減少し86億35百万円となりました。この結果、販売費及び一般管理費の合計は2.8%減少し664億38百万円を計上いたしました。
当連結会計年度の営業外収益は、投資有価証券評価益21億66百万円、受取配当金11億53百万円などを計上し、営業外収益の合計は26.3%増加し42億19百万円となりました。また、営業外費用は、持分法による投資損失7億49百万円などを計上し、営業外費用の合計は323.6%増加し10億33百万円となりました。
当連結会計年度の特別損益は、特別利益として1億77百万円を計上し、特別損失として4億23百万円を計上いたしました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は9.4%減少し733億83百万円、純営業収益は11.1%減少し695億98百万円となり、営業利益は68.0%減少し31億59百万円、経常利益は51.1%減少し63億46百万円を計上し、法人税等を差し引いた親会社株主に帰属する当期純利益は85.1%減少し19億53百万円を計上いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは1,073億7百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益が60億99百万円の黒字となり、トレーディング商品(資産)が2,565億23百万円減少し、有価証券担保貸付金が2,474億74百万円減少し、それぞれ収入となる一方で、トレーディング商品(負債)が2,086億86百万円減少し、有価証券担保借入金が1,806億円減少し、それぞれ支出となったことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは186億20百万円の支出となりました。これは、短期貸付けによる支出248億47百万円、無形固定資産の取得による支出25億77百万円、投資有価証券の取得による支出24億91百万円、短期貸付金の回収による収入94億39百万円などによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは575億93百万円の支出となりました。これは短期借入金の純増減額が△438億33百万円、配当金の支払による支出54億55百万円などによるものです。
以上の結果、現金及び現金同等物は319億33百万円増加し、当連結会計年度末の残高は1,304億23百万円となりました。
トレーディング商品の残高は次のとおりです。
トレーディング業務のリスク管理の状況については「第5 経理の状況」の「1 連結財務諸表等」の注記事項(金融商品関係)に記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)のわが国経済は内需主導での回復が継続しましたが、そのペースは緩やかなものとなりました。政府支援策(総合景気対策、全国旅行支援策、水際対策の緩和等)や金融緩和継続などが下支えとなった一方、海外経済の減速や物価高による家計の購買力低下等が逆風となりました。
海外経済については、欧米を中心に物価抑制のための金融引き締めが継続、景気減速が続きました。そうした中、インフレが限定的だったアジアでは、利上げ幅が小幅に留まった結果、景気減速は限定的となっています。
日本株市場では、4月に27,600円台で始まった日経平均が1年を通して概ね26,000円から28,500円のレンジ内で推移するなど、上値の重い展開となりました。景気正常化や低金利環境の継続等がプラス材料となる一方、世界的な利上げや景気後退懸念、年末の日銀による緩和策修正等が上値を抑えました。期末の3月にはレンジ上限に迫ったものの、欧米での金融不安を受け反落した結果、日経平均は28,000円台で3月の取引を終えました。
米株市場では、4月に34,700ドル台で始まったダウ平均が、利上げを背景に6月には30,000ドルを割り込みました。その後8月には一時34,000ドル台を回復しましたが、楽観の剥落とともに9月末には29,000ドルを下回りました。一方、利上げ幅縮小期待から上昇に転じた株価は、年明け後も概ね底堅く推移しました。しかし、3月には複数の米銀破綻を受けて波乱の展開となり、最終的にダウ平均は33,200ドル台で3月の取引を終えました。
日本の長期金利(10年物国債利回り)は4月に0.19%で始まった後、概ね0.20%から0.25%内でのレンジ取引が続きました。日銀が12月の金融政策決定会合で長期金利の上限を0.50%程度に変更したため、1月には一時0.57%まで急伸しましたが、植田日銀総裁候補の緩和継続示唆を受けて0.35%で3月の取引を終えました。
一方、米国の長期金利は4月に期中最低の2.34%で始まり、6月には3.49%まで上昇しましたが、米景気後退懸念やインフレピークアウト観測から、8月には2.51%まで低下しました。しかし、FRBが引き締め姿勢を強めると、10月には年度中最高の4.33%まで急伸する流れとなり、債券価格が大幅に下落する厳しい投資環境となりました。その後は米インフレ減速や米地銀破綻で米国債需要が高まり、3.46%で3月の取引を終えました。
為替市場ではドル円が4月に期中最安値の1ドル121円台で始まった後、米積極利上げから10月には年度中最高値を151円台まで更新し、円安方向では過去に経験のない急激な動きとなりました。しかし、米インフレ減速や日銀の緩和修正観測が高まると、1月には127円台まで急反落するボラタイルな展開となりました。3月には一旦137円台まで反発しましたが、金融不安を受けたドル安進行により、132円台で3月の取引を終えました。
中期経営計画(以下「本計画」)初年度にあたる当連結会計年度において、グループKGIである自己資本利益率(ROE)は1.1%、預り金融資産は8.6兆円、重要なKPIである経常利益は63億円となりました。
本計画における主な課題として認識している事項、及びそれに対する取組みは以下のとおりであります。
※2023年においても「DX銘柄」に選定され、3年連続での選定となりました。
なお、仕組債販売につきましては、現在、お客様の運用目的、リスク許容度、及び運用商品の適切性・適合性等を十分に確認し、真のお客様ニーズを踏まえた販売を徹底しております。
今後の対応につきましては、7月に施行される予定の日本証券業協会のガイドラインの改正内容を踏まえ、さらに商品内容の検証、商品特性等の表示、及び販売時の適合性基準など、経営者を交えた十分な社内検討を重ね、お客様本位を重視して対応してまいります。
当社グループの主たる業務である金融商品取引業は、その業務の性質上、自己の計算により株式及び債券等の有価証券を保有するのに多額の資金を必要とするため、十分かつ安定的な流動性を確保しております。
主な資金調達手段としては現先取引等の有担保調達、市中銀行等の金融機関借入、MTN及び短期社債の発行、コールマネー等の方法があり、資金繰り状況に応じた適切な組合せにより資金調達を行っております。
なお、東海東京証券株式会社においては、有事の際の資金調達手段として市中銀行と総額430億円のコミットメントライン契約を確保しております。また、リスク管理では関連規程に基づいて日次、週次、月次で資金繰り管理を行っている他、コンティンジェンシー・プランについても4段階の想定シナリオに基づいたリスク管理を実施しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、経営者は会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを行わなければなりません。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や状況に応じ合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループは、トレーディング商品に属する商品有価証券等及びデリバティブ取引については、時価をもって連結貸借対照表価額とし、評価損益はトレーディング損益として計上しております。商品有価証券等及びデリバティブ取引については、取引所等の市場価格により時価を算定しております。ただし、市場価格がない商品有価証券等及びデリバティブ取引については、主に金利、配当利回り、原証券価格、ボラティリティ、契約期間等を基に将来のキャッシュフローの現在価値を見積もることにより時価を算定しており、異なる前提条件等を採用した場合には当該時価が変動する可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係維持のため、特定の取引先の株式を所有しております。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、「金融商品に関する会計基準」に基づき減損処理を行っております。市場価格のある株式については、株式の時価が一定期間継続して取得原価を30%以上下回り続けたとき等、下落が一時的ではないと判断します。市場価格のない株式については、1株当たり純資産額が取得原価の50%以下となった場合等、実質価額が著しく下落し回復可能性がないと判断した場合に減損処理を行います。
また、連結貸借対照表には、持分法適用関連会社に関するのれんが含まれております。当該のれんについても減損処理の必要性を検討する必要があり、投資時に予想した収益性が低下した結果、投資額の回収が見込めないと判断した場合に減損処理を行います。
将来の市況悪化又は投資先の業績不振により、現在の簿価に反映されていない損失又は簿価の回収不能が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった固定資産については、一定の条件の下で回収可能性を反映させるように、減損処理を行っております。資産又は資産グループの回収可能価額は、時価から処分費用見込額を控除した正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定される使用価値のいずれか高い金額であることから、固定資産の減損損失の金額は合理的な仮定及び予測に基づく将来キャッシュ・フローの見積りに依存しております。従って、固定資産の使用方法を変更した場合、不動産取引相場等が変動した場合及びのれんが認識された取引において取得した事業の状況に変動が生じた場合には、新たに減損損失が発生する可能性があります。
従業員(執行役員を除く。)に係る退職給付費用及び債務は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には割引率、退職率、昇給率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の期待収益率等が含まれております。当社グループの退職年金制度においては、割引率は期末における安全性の高い長期の債券の利回りにより、退職率は直近3年間の実績に基づいております。退職給付債務の算定にあたっては、退職給付見込額の期間帰属方法を給付算定式基準とし、割引率の設定はイールドカーブ等価アプローチによる方法により算出しております。実際の結果が前提条件と異なる場合又は前提条件が変更された場合には、将来の退職給付費用及び退職給付債務が変動する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について回収可能性が高いと考えられる金額へ減額するために評価性引当金を計上しております。評価性引当金の必要性を評価するにあたっては、将来の課税所得の発生及び税務計画を検討いたします。当社グループの主たる事業である金融商品取引業は、業績変動の幅が大きく、長期にわたる課税所得の発生を予測することが困難でありますが、策定した経営計画の期間以内の一定期間を、将来の課税所得の見積り期間としておりますので、翌事業年度以降の課税所得の発生見積りによって、評価性引当金が増減し、繰延税金資産の調整額が発生する可能性があります。