E03762 Japan GAAP
前期
145.5億 円
前期比
96.1%
株価
566 (06/20)
発行済株式数
65,689,033
EPS(実績)
36.84 円
PER(実績)
15.36 倍
前期
648.0万 円
前期比
104.6%
平均年齢(勤続年数)
42.3歳(17.4年)
従業員数
740人
当社は、金融商品取引業を営んでおり、有価証券の売買、売買の取次ぎ、引受・売出し・募集及び売出しの取扱い等において幅広いサービスを提供しております。
事業系統図は、次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度のわが国経済は、堅調に推移しました。国内総生産(GDP)は名目・実質ともに2024年1~3月期のマイナス成長を最後に同10~12月期まで3四半期連続でプラス成長となりました。こうした中、消費者物価指数は安定した上昇ペースとなり、日本銀行は2024年3月にマイナス金利政策を解除した後、3度の利上げを実施しました。一方、低水準の失業率や主要企業を中心とした近年の積極的な賃上げの動きにもかかわらず、消費動向調査の「暮らし向き」では、悪化すると考える世帯が増加しました。年明け以降は、米トランプ政権による関税政策への警戒感が強まる状況となりました。
米国経済も堅調に推移しました。実質GDPは順調な成長を示し、また失業率は低水準で推移し、消費者物価指数の上昇率は概ね落ち着いた水準となりました。しかし、トランプ政権の政策の不確実性が高まり、米国経済への悪影響が懸念される状況となりました。
当事業年度の国内株式市場は、2024年7月まで概ね堅調に推移した後、8月に半導体領域での米中対立激化や米景気悪化への懸念、日本銀行の利上げ観測などから大きく調整する動きとなりました。その後、2025年1月まで米国の大幅利下げによる米経済のソフトランディング(軟着陸)期待や米大統領選でのトランプ候補の勝利を受けた政策関連銘柄への期待、衆議院選挙での与党の苦戦による国内政治の不安定化懸念、与党敗北を受けた経済政策への期待、米連邦準備制度理事会(FRB)の緩やかな2025年利下げ見通し、日本銀行の早期利上げ観測など好悪材料を織り込むボックス圏での推移となりました。しかし、2月以降はトランプ政権による関税政策が世界経済や企業業績を圧迫するとの警戒感が強まり、株価は大きく調整する動きとなりました。この結果、当事業年度末の日経平均株価は2024年3月末と比べ11.8%安い35,617円56銭で取引を終了しました。
このような状況の中、当事業年度の業績は、営業収益が139億83百万円(前期比 3.9%減)と減少し、営業収益より金融費用53百万円(同 2.7%増)を控除した純営業収益は、139億30百万円(同 3.9%減)と減少しました。また、販売費・一般管理費は120億72百万円(同 0.3%減)となり、その結果、営業利益は18億58百万円(同 22.3%減)、経常利益は23億28百万円(同 17.0%減)となりました。特別利益が8億57百万円(前事業年度実績 6億35百万円)、税金費用が7億65百万円(前期比30.2%減)となったことから、当期純利益は24億20百万円(同 3.6%増)と増加しました。
主な概況は以下のとおりであります。
イ 受入手数料
当事業年度の「受入手数料」の合計は、127億14百万円(前期比 0.5%減)となりました。
a 委託手数料
「委託手数料」は、49億81百万円(同 12.7%減)となりました。これは、主に株券委託売買金額が1兆56億円(同 7.5%減)と減少したことにより、株式の委託手数料が49億47百万円(同 12.9%減)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は34百万円(同 37.8%増)となりました。
b 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、81百万円(同 160.5%増)となりました。
c 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料
主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、25億71百万円(同 13.4%減)となりました。これは、米国を中心に世界の優良企業へ投資を行う投資信託や米国の持続的な成長企業に投資をする投資信託の販売に注力しましたが、株式市場が8月に急落するなど不安定な状況となったことを受け、販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、投資信託の代行手数料やファンドラップ報酬の増加等により50億79百万円(同 24.8%増)となりました。
ロ トレーディング損益
当事業年度の「トレーディング損益」は、株券等が7億95百万円(前期比 39.5%減)、債券・為替等が1億13百万円(同 27.7%減)となり、合計で9億8百万円(同 38.2%減)となりました。
ハ 金融収支
当事業年度の「金融収益」は、受取利息の増加等により3億34百万円(前期比 18.4%増)、「金融費用」は有価証券貸借取引費用の増加等により53百万円(同 2.7%増)で差引収支は2億81百万円(同 21.9%増)の利益となりました。
ニ 販売費・一般管理費
当事業年度の「販売費・一般管理費」は、「不動産関係費」や「取引関係費」が増加する一方、「人件費」等が減少したことから、120億72百万円(前期比 0.3%減)となりました。
ホ 特別損益
当事業年度の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が8億57百万円(前事業年度実績 6億28百万円)となりました。
イ 流動資産
当事業年度の「流動資産」は、前事業年度に比べ79億46百万円減少し、465億円となりました。これは、「立替金」が4億8百万円、「未収収益」が74百万円増加する一方、「現金・預金」が32億19百万円、「預託金」が32億19百万円、「トレーディング商品」が17億18百万円、「募集等払込金」が2億44百万円減少したことなどによるものです。
ロ 固定資産
当事業年度の「固定資産」は、前事業年度に比べ26億6百万円減少し、169億80百万円となりました。これは、「投資有価証券」が23億48百万円、「有形固定資産」が1億50百万円、「長期差入保証金」が61百万円、「無形固定資産」が46百万円減少したことなどによるものです。
ハ 流動負債
当事業年度の「流動負債」は、前事業年度に比べ64億98百万円減少し、193億63百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が固定負債からの振替えにより4億99百万円増加する一方、「預り金」が47億10百万円、「未払法人税等」が9億76百万円、「信用取引負債」が4億24百万円、「未払金」が3億87百万円、「有価証券担保借入金」が3億54百万円、「賞与引当金」が71百万円減少したことなどによるものです。
ニ 固定負債及び特別法上の準備金
当事業年度の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ13億24百万円減少し、40億20百万円となりました。これは、「資産除去債務」が11百万円増加する一方、「繰延税金負債」が6億78百万円、「従業員株式給付引当金」が流動負債への振替えにより3億73百万円、「退職給付引当金」が2億25百万円、「その他の固定負債」が48百万円減少したことなどによるものです。
ホ 純資産
当事業年度の「純資産」は、前事業年度に比べ27億29百万円減少し、400億97百万円となりました。これは、「当期純利益」で24億20百万円、「自己株式の処分」で20百万円増加する一方、「剰余金の配当」で18億75百万円、「自己株式の取得」で18億9百万円、「その他有価証券評価差額金」で14億86百万円減少したことによるものです。
当事業年度における「現金及び現金同等物の期末残高」は、前事業年度に比べ32億19百万円減少し、247億91百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「営業活動によるキャッシュ・フロー」は4億67百万円の減少となりました。これは、「顧客分別金信託の増減額」で32億96百万円、「税引前当期純利益」で31億85百万円、「トレーディング商品の増減額」で17億19百万円増加する一方、「預り金及び受入保証金の増減額」で47億74百万円、「法人税等の支払額」で17億75百万円、「投資有価証券売却損益」で8億57百万円、「その他の資産・負債の増減額」で4億67百万円、「信用取引資産及び信用取引負債の増減額」で4億58百万円、「立替金の増減額」で4億8百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」69億20百万円の増加と比較すると73億87百万円の減少となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「投資活動によるキャッシュ・フロー」は9億63百万円の増加となりました。これは、「有形固定資産の取得による支出」で1億4百万円、「投資有価証券の取得による支出」で53百万円減少する一方、「投資有価証券の売却による収入」で9億42百万円、「投資有価証券の償還による収入」で1億94百万円増加したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「投資活動によるキャッシュ・フロー」10億41百万円の増加と比較すると78百万円の減少となっております。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における「財務活動によるキャッシュ・フロー」は36億91百万円の減少となりました。これは、「配当金の支払額」で18億71百万円、「自己株式の取得による支出」で18億9百万円減少したことなどが要因であります。なおこれは、前事業年度の「財務活動によるキャッシュ・フロー」19億55百万円の減少と比較すると17億36百万円の減少となっております。
当社は金融商品取引業を営んでいるため、「生産、受注及び販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要①~③」に含めて記載しております。
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績の分析
当事業年度は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(1)対処すべき課題」に記載のとおり、数値目標の達成及び施策に取り組んでまいりました。
数値目標に対する当事業年度の実績は以下のとおりです。
イ ROEについては、日米株式市場の調整もあり、株式委託手数料や投資信託の募集手数料が減少した一方、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬が増加したこと、投資有価証券売却益を計上したことなどから、5.0%の目標に対し、5.8%の実績となりました。
ロ 販管費カバー率については、従業員株式給付引当金繰入や賞与引当金繰入などの人件費の減少により販売費・一般管理費が減少した一方、投資信託とファンドラップの残高の増加に伴い、投資信託の代行手数料が28億57百万円(前期比27.9%増)、ファンドラップ報酬が21億85百万円(同21.5%増)となったことから、33%以上の目標に対し、41.8%の実績となりました。
当社は、第七次中期経営計画の重点戦略の下、お客さま一人ひとりのライフプランに応じた金融サービスの提供(ふやす・まもる・つなぐ)と主体的な人材の育成・自律的な組織運営の推進により経営基盤の一層の強化を図り、投資信託・ファンドラップを軸としたストック収入の拡大による安定収益基盤の構築に取り組んでまいります。
② 経営成績に重要な影響を与える要因の分析
当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式等のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安(円高)になると円ベースの価格が上昇(下落)いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは値動きの異なる複数のファンドを効果的に組み合わせた国際分散投資を行い、ポートフォリオ全体のリスク低減と安定したリターンの追求を図っていますが、為替の影響を受けやすく、円安(円高)になると時価評価額が上昇(下落)する傾向があります。そのため、時価評価額に応じて算出するファンドラップ報酬は増減しますが、お客さまの国際分散投資ニーズの高まりを受け、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は少額であります。
費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度末の現金・預金残高は247億91百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。
現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また、現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。
当社が保有する現預金については、事業運営、成長投資及び株主還元等を使途として、当社の財務の安全性及び企業価値の向上の観点から適切に配分してまいります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。