売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03762 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期累計期間のわが国経済は、総じて堅調に推移しました。2023年7~9月期の実質国内総生産(GDP)は4四半期ぶりにマイナス成長となったものの、景気動向指数のCI(一致指数)は同期間及びその後も堅調に推移しました。勤労者世帯の実質可処分所得は2023年10月まで13カ月連続で前年割れとなりましたが、全国消費者物価指数(生鮮食品・エネルギーを除く総合)は上昇率が徐々に鈍化してきており、消費環境も改善しつつある状況となりました。また、日銀短観の業況判断DIでも、大企業の製造業・非製造業とも12月調査の短観まで改善傾向となりました。米国経済においては、実質GDPが7~9月期まで5四半期連続で成長し、7~9月期の成長率は2021年10~12月期以来の高さとなりました。また、消費者物価指数の上昇ペースは鈍化しており、ソフトランディングへの期待が高まる状況となりました。欧州においては、7~9月期の実質GDPが僅かながら前四半期比でマイナス成長に転落し、マネーサプライのM3も7~9月において前年割れとなり、景気の先行きが懸念される状況となりました。中国においては、物価の下落基調が継続しており、消費者物価指数は10月、11月とマイナス成長となり、11月の前年比の下落率は2020年11月以来の大きさとなるなど、デフレ圧力が高まりました。

当第3四半期累計期間の国内株式市場は6月中旬まで上昇基調となりましたが、その後はボックス圏で推移しました。中国景気の先行き懸念や日銀が7月下旬の金融政策決定会合で長短金利操作の運用柔軟化を決めたこと、植田日銀総裁の発言による金融政策の早期正常化観測が高まったこと、年末にかけての円高などが重荷となった一方、東京証券取引所による低PBR(株価純資産倍率)企業に対する改善要請や長期の割安株投資で知られる米著名投資家が日本株への追加投資を検討したこと、2024年の米利下げ転換期待による米国株高などが追い風となり、当第3四半期累計期間の日経平均株価は2023年3月末と比べ19.3%高い33,464円17銭で終了しました。

このような環境下、当第3四半期累計期間の業績は、営業収益が101億81百万円(前第3四半期累計期間比 121.4%)と増加し、営業収益より金融費用39百万円(同 92.9%)を控除した純営業収益は、101億41百万円(同 121.5%)と増加しました。また、販売費・一般管理費は88億28百万円(同 103.1%)となり、その結果、営業利益は13億13百万円(前第3四半期累計期間実績 営業損失2億21百万円)、経常利益は16億87百万円(前第3四半期累計期間比 806.5%)となりました。特別利益が2億40百万円(前第3四半期累計期間実績 7億38百万円)、特別損失が6百万円(同 1億99百万円)、税金費用が6億円(前第3四半期累計期間比 472.9%)となったことから、四半期純利益は13億20百万円(同 212.4%)となりました。

 

 

主な比較・分析は以下のとおりであります。

 

① 流動資産

当第3四半期会計期間の「流動資産」は、前事業年度に比べ88億1百万円増加し、572億25百万円となりました。これは、「有価証券」が20億10百万円、「トレーディング商品」が16億27百万円、「信用取引資産」が4億72百万円減少する一方、「現金・預金」が100億92百万円、「預託金」が29億13百万円増加したことなどによるものです。

 

② 固定資産

当第3四半期会計期間の「固定資産」は、前事業年度に比べ18億98百万円増加し、150億38百万円となりました。これは、「有形固定資産」が1億56百万円、「無形固定資産」が63百万円減少する一方、「投資有価証券」が21億17百万円増加したことなどによるものです。

 

③ 流動負債

当第3四半期会計期間の「流動負債」は、前事業年度に比べ88億49百万円増加し、275億60百万円となりました。これは、「有価証券担保借入金」が5億50百万円減少する一方、「預り金」が85億96百万円、「未払法人税等」が4億80百万円増加したことなどによるものです。

 

④ 固定負債及び特別法上の準備金

当第3四半期会計期間の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ8億92百万円増加し、47億21百万円となりました。これは、「退職給付引当金」が1億15百万円減少する一方、「繰延税金負債」が8億26百万円、「従業員株式給付引当金」が1億64百万円増加したことなどによるものです。

 

⑤ 純資産

当第3四半期会計期間の「純資産」は、前事業年度に比べ9億58百万円増加し、399億82百万円となりました。これは、「剰余金の配当」で19億53百万円減少する一方、「その他有価証券評価差額金」で15億90百万円、「四半期純利益」で13億20百万円増加したことなどによるものです。

 

⑥ 受入手数料

当第3四半期累計期間の「受入手数料」の合計は、89億14百万円(前第3四半期累計期間比 123.5%)となりました。

 

(委託手数料)      

「委託手数料」は、38億57百万円(同 135.5%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が7,330億円(同 135.5%)と増加したことにより、株券の委託手数料が38億39百万円(同 136.5%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は17百万円(同 52.0%)となりました。

 

(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)

「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、11百万円(同 50.8%)となりました。

 

 

(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料)

主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、21億20百万円(同 122.0%)となりました。これは、インドの取引所に上場している中型株式等に投資する投資信託や、米国の持続的な成長企業の株式に投資をする投資信託、わが国の予想配当利回りの高い株式を対象に投資信託財産の成長を図ることを目標に積極的な運用を行う投資信託の販売が好調だったことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ手数料や投資信託の代行手数料の増加等により29億25百万円(同 112.2%)となりました。

 

⑦ トレーディング損益

当第3四半期累計期間の「トレーディング損益」は、株券等が米国株式の売買代金の増加により9億43百万円(前第3四半期累計期間比 122.3%)、債券・為替等は95百万円(同 41.2%)となり、合計で10億39百万円(同 103.6%)となりました。

 

⑧ 金融収支

当第3四半期累計期間の「金融収益」は、受取利息の増加等により2億7百万円(前第3四半期累計期間比 141.6%)、「金融費用」は信用取引費用の減少等により39百万円(同 92.9%)で差引収支は1億68百万円(同 161.4%)の利益となりました。

 

⑨ 販売費・一般管理費

当第3四半期累計期間の「販売費・一般管理費」は、「不動産費」が減少する一方、営業収益の増加により賞与などの「人件費」が増加したことから、88億28百万円(前第3四半期累計期間比 103.1%)となりました。

 

⑩ 特別損益

当第3四半期累計期間の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が2億24百万円(前第3四半期累計期間実績 7億38百万円)、「金融商品取引責任準備金戻入」が16百万円(同 -百万円)となりました。「特別損失」は「減損損失」が6百万円(同 -百万円)となり、差引2億33百万円の利益(同 5億39百万円)となりました。

 

(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当第3四半期累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。

 

(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当第3四半期累計期間において、経営方針等について重要な変更又は新たに定めたものはありません。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更又は新たに生じたものはありません。

 

(5) 財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針

該当事項はありません。

 

(6) 研究開発活動

該当事項はありません。

 

(7) 従業員数

当第3四半期累計期間において、従業員数の著しい変動はありません。

 

(8) 主要な設備

当第3四半期累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前事業年度末における計画の著しい変更はありません。

 

(9) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は僅かであります。

費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。

 

(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第3四半期会計期間の現金・預金残高は320億50百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。

現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。

当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。