E03762
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期累計期間のわが国経済は、堅調ながらも物価の継続的な上昇による影響が徐々に波及する状況となりました。雇用環境は、求人数の増加傾向もあり月次の有効求人倍率が拡大傾向となり、企業業績も2022年4~6月期以降は増収増益と順調に推移しましたが、全国消費者物価指数(生鮮食品・エネルギーを除く総合)が4月に上昇へ転ずると11月まで上昇率は拡大基調となり、勤労者の可処分所得(実質)は4月以降11月まで減少傾向となりました。また、国内総生産(GDP)は2022年7~9月期に名目・実質ともマイナス成長に沈み、景気動向指数のCIも2022年7月と10月に先行・一致・遅行の全てが基準の100を割り込むなど停滞を示唆する格好となりました。
米国経済は、実質国内総生産(GDP)が2四半期連続のマイナス成長から2022年7~9月期はプラス成長に回復しました。堅調な雇用や上昇傾向の平均時給などインフレへの警戒が続くなか、消費者物価(コア指数)の上昇率は6月をピークに鈍化傾向と、利上げの効果も窺える状況となりました。
当第3四半期累計期間の国内株式市場は、主要国の金融政策に大きく影響される格好となりました。先進国は勿論、新興国でもインフレ抑制のため継続的な金融引き締めが行われる状況のなか、米国においてインフレ率の低下や利上げペースの鈍化への期待が高まったことを背景に、東京株式市場は10月下旬~11月にかけて堅調な推移となりました。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のタカ派姿勢の継続や日銀の大規模緩和策の修正を受け、株価は年末にかけて大きく調整し、当第3四半期累計期間の日経平均株価は2022年3月末と比べ6.2%安い26,094円50銭で終了しました。
このような環境下、当第3四半期累計期間の業績は、営業収益が83億86百万円(前第3四半期累計期間比 76.7%)と減少し、営業収益より金融費用42百万円(同 105.7%)を控除した純営業収益は、83億43百万円(同 76.6%)と減少しました。また、販売費・一般管理費は85億65百万円(同 93.0%)となり、その結果、営業損失は2億21百万円(前第3四半期累計期間実績 営業利益16億88百万円)、経常利益は2億9百万円(前第3四半期累計期間比 10.1%)となりました。特別利益が7億38百万円(前第3四半期累計期間実績 -百万円)、特別損失が1億99百万円(同 5百万円)、税金費用が1億27百万円(前第3四半期累計期間比 20.6%)となったことから、四半期純利益は6億21百万円(同 42.9%)となりました。
主な比較・分析は以下のとおりであります。
① 流動資産
当第3四半期会計期間の「流動資産」は、前事業年度に比べ52億19百万円増加し、539億85百万円となりました。これは、「預託金」が17億15百万円、「信用取引資産」が10億90百万円、「募集等払込金」が6億37百万円減少する一方、「現金・預金」が52億80百万円、「有価証券」が投資有価証券からの振替えにより20億12百万円、「トレーディング商品」が10億85百万円、「短期差入保証金」が2億89百万円増加したことなどによるものです。
② 固定資産
当第3四半期会計期間の「固定資産」は、前事業年度に比べ26億90百万円減少し、130億54百万円となりました。これは、「有形固定資産」が5億93百万円増加する一方、「投資有価証券」が30億57百万円、「長期差入保証金」が1億78百万円減少したことなどによるものです。
③ 流動負債
当第3四半期会計期間の「流動負債」は、前事業年度に比べ39億96百万円増加し、243億86百万円となりました。これは、「賞与引当金」が3億28百万円、「受入保証金」が2億89百万円、「従業員株式給付引当金」が2億84百万円減少する一方、「有価証券担保借入金」が22億53百万円、「預り金」が17億62百万円、「短期借入金」が長期借入金からの振替えにより8億円増加したことなどによるものです。
④ 固定負債及び特別法上の準備金
当第3四半期会計期間の「固定負債」及び「特別法上の準備金」は、前事業年度に比べ11億86百万円減少し、38億63百万円となりました。これは、「従業員株式給付引当金」が65百万円増加する一方、「長期借入金」が短期借入金への振替えにより8億円、「繰延税金負債」が3億75百万円減少したことなどによるものです。
⑤ 純資産
当第3四半期会計期間の「純資産」は、前事業年度に比べ2億81百万円減少し、387億90百万円となりました。これは、「四半期純利益」で6億21百万円、第五次中期経営計画の終了を機に従業員株式給付制度に基づいて全従業員へ自己株式を給付したことなどにより「自己株式の処分」で2億62百万円増加する一方、「その他有価証券評価差額金」で5億75百万円、「剰余金の配当」で5億20百万円、「自己株式の取得」で69百万円減少したことによるものです。
⑥ 受入手数料
当第3四半期累計期間の「受入手数料」の合計は、72億16百万円(前第3四半期累計期間比 74.6%)となりました。
(委託手数料)
「委託手数料」は、28億47百万円(同 62.9%)となりました。これは、主に株券委託売買金額が5,409億円(同 74.4%)と減少したことにより、株券の委託手数料が28億13百万円(同 62.6%)となったことによるものです。また、受益証券の委託手数料は34百万円(同 93.7%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、22百万円(同 34.6%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料、その他の受入手数料)
主に投資信託の販売手数料で構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、17億38百万円(同 76.3%)となりました。これは、世界の米ドル建株式・債券等に投資をする投資信託や、米国の持続的な成長企業の株式に投資をする投資信託、世界のサイバーセキュリティ関連企業の株式に投資をする投資信託などの販売に注力しましたが、投資環境が悪化し販売額が減少したことによるものです。また、「その他の受入手数料」は、ファンドラップ報酬や投資信託の代行手数料の減少等により26億7百万円(同 93.1%)となりました。
⑦ トレーディング損益
当第3四半期累計期間の「トレーディング損益」は、株券等が米国株式の売買代金の減少により7億71百万円(前第3四半期累計期間比 93.3%)、債券・為替等は2億31百万円(同 90.1%)となり、合計で10億3百万円(同 92.6%)となりました。
⑧ 金融収支
当第3四半期累計期間の「金融収益」は、信用取引収益の減少等により1億46百万円(前第3四半期累計期間比 92.0%)、「金融費用」は信用取引費用の増加等により42百万円(同 105.7%)で差引収支は1億4百万円(同 87.3%)の利益となりました。
⑨ 販売費・一般管理費
当第3四半期累計期間の「販売費・一般管理費」は、本社移転(2022年11月)に向けて、前事業年度に移転後利用見込みのない固定資産について耐用年数を短縮し、原状回復工事に係る資産除去債務につき見積りを変更したことにより「減価償却費」が増加する一方、営業収益の減少により賞与などの「人件費」が減少したことから、85億65百万円(前第3四半期累計期間比 93.0%)となりました。
⑩ 特別損益
当第3四半期累計期間の「特別利益」は、「投資有価証券売却益」が7億38百万円(前第3四半期累計期間実績 -百万円)となりました。「特別損失」は、「本社移転費用」が1億99百万円(同 -百万円)、「金融商品取引責任準備金繰入れ」が0百万円(同 -百万円)となり、差引5億39百万円の利益(同 5百万円の損失)となりました。
(2) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当第3四半期累計期間において、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定に重要な変更はありません。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期累計期間において、経営方針等について重要な変更又は新たに定めたものはありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更又は新たに生じたものはありません。
(5) 財務及び事業方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
該当事項はありません。
(6) 研究開発活動
該当事項はありません。
(7) 従業員数
当第3四半期累計期間において、従業員数の著しい変動はありません。
(8) 主要な設備
当第3四半期累計期間において、主要な設備の著しい変動及び主要な設備の前事業年度末における計画の著しい変更はありません。
(9) 経営成績に重要な影響を与える要因についての分析
当社は対面及びインターネットの二つのチャネルを展開しており、対面ではフロー収益として、株式委託手数料、投資信託の販売手数料、外国株式・外国債券のトレーディング収益、またストック収益として、投資信託の代行手数料、ファンドラップ報酬を主な収益源としております。株式委託手数料及び外国株式のトレーディング収益は、日本及び米国の株式市況に大きく影響を受けます。また、外国株式は為替の影響も受け、円安になると円ベースの価格が上昇いたします。投資信託は運用する資産や手法により様々な要因で基準価額が上下しますが、基準価額が上昇すると販売が伸びる傾向があるとともに、預り残高が増加することで代行手数料も増加いたします。また、ファンドラップは8種類のファンドとMRFを組み合わせ、国際分散投資をしていることから、運用成績や為替の動向で、残高に対する報酬が増減いたしますが、販売は運用成績にあまり影響を受けず、残高は順調に伸びております。なお、インターネット取引については、開設口座数が少数であるため、収益全体に占める割合は僅かであります。
費用面では、販売費・一般管理費は固定的な費用が大部分を占めておりますが、「人件費」に含まれる賞与は経営成績によって増減いたします。
(10) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当第3四半期会計期間の現金・預金残高は280億3百万円となっており、日常の運転資金としては十分な額を有しております。また、当社は日本銀行に当座預金を開設する金融機関として、万一の場合でも資金決済が滞ることのないよう、非常時に備えた資金を有しておくことが必要であると考えております。さらに、非常時に備え「資金流動性危機対応マニュアル」を策定している他、定期的に資金流動性のストレスチェックテストを実施し、経営会議に報告しております。
現在、信用取引借入金及び有価証券貸借取引受入金を除く借入金は27億50百万円あり、自己資金で返済することは可能ですが、安定的な資金調達を図るため銀行等との関係を重視し、借入を継続しております。また現在借入実績のない銀行等に対しても借入枠を確保するよう努めております。
当社の現金・預金残高の主な変動要因は信用取引貸付金であります。市況が良い時には信用取引が増加するため、貸付金増加に対応するための資金を確保しておく必要があります。また、お客さまの利便性向上や業務の効率化等のためのシステム投資を行っており、こうした成長投資を継続して実施するための資金を必要としております。株主還元実施後も結果として内部留保が増加する場合においては、信用取引貸付金の原資や成長投資のための資金として有効に活用いたします。