売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E03784 Japan GAAP

売上高

77.3億 円

前期

43.2億 円

前期比

179.1%

時価総額

475.0億 円

株価

1,449 (12/06)

発行済株式数

32,779,000

EPS(実績)

132.43 円

PER(実績)

10.94 倍

平均給与

804.6万 円

前期

788.9万 円

前期比

102.0%

平均年齢(勤続年数)

44.2歳(16.2年)

従業員数

226人(連結:236人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社及び関係会社は、有価証券の売買等及び売買等の受託、有価証券の引受け及び売出し、有価証券の募集及び売出しの取扱い等を主たる業務としております。

 当社及び関係会社の事業内容及び位置付けは以下のとおりであります。なお、当社及び関係会社は、(1)金融商品取引業、(2)投資業、(3)不動産業、及び(4)調査・研究業を事業内容としておりますが、当社が行う事業以外において当社及び連結子会社(以下「当社グループ」という。)の連結財務諸表への影響が僅少なため、「投資・金融サービス業」という単一セグメントとみなしております。

 主な関係会社は、当社の子会社「株式会社FEインベスト(連結)、極東プロパティ株式会社(連結)、株式会社極東証券経済研究所(非連結)」の3社であります。

 

(1)金融商品取引業

① 極東証券株式会社は、国内において第一種金融商品取引業及び第二種金融商品取引業を営んでおります。

② 株式会社FEインベストは、国内において第二種金融商品取引業を営んでおり、同社が組成する投資ファンドの運営・管理を行っております。

(2)投資業

 株式会社FEインベストは、自己資金を利用して、主に長期投資による安定的収益の確保を目的とした投資業を行っております。

(3)不動産業

 極東プロパティ株式会社は、不動産業を営み、主として極東証券株式会社の本支店の店舗等を賃貸しております。

(4)調査・研究業

 株式会社極東証券経済研究所は、主として極東証券株式会社の委託に基づき、国内外における経済、金融市場の調査・研究業を営んでおります。

〔当社及び関係会社の事業系統図〕

 

※画像省略しています。

 (注)1.上記、株式会社極東証券経済研究所は持分法非適用会社であります。

 2.上記以外に非連結子会社として投資事業有限責任組合が1組合あり、当該組合は持分法非適用会社であります。

24/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当期における当社グループの経営成績等の状況の概要は以下のとおりであります。

① 経営成績の状況

当期の国内外の経済は、金融政策に大きな変化が見られました。日本銀行は、春闘での前年を上回る賃上げ回答を踏まえ、3月にマイナス金利政策を解除しました。一方、日本を除く主要各国はインフレ対策による政策金利引上げの累積効果を見極める動きに転じました。米連邦準備制度理事会(FRB)は7月の利上げを最後に、政策金利を据え置きました。また、新興国の中には利下げに転じる国も見られました。

株式市場では、日経平均株価は日本銀行の金融緩和策の維持や海外投資家の日本株買いを受けて6月にかけて急伸しました。その後、米国の政策金利の先行き不透明感や世界景気の先行きに対する強弱観が交錯しボックス相場となり、年明け以降は、脱デフレの期待が高まる中、円安の動きも追い風に日経平均株価は一段高となりました。東京証券取引所の要請を機に資本コストや株価を意識した企業経営の実現に向けた改革や株主還元策の公表が活発化したほか、2024年から始まった新NISA制度への期待も高まり、日経平均株価は1989年に付けた史上最高値(38,915円)を2月22日に更新しました。その後、3月4日には40,000円の大台に乗せ、2023年3月末比44%高の40,369円で当期を終えました。

米国株式市場では、NYダウ平均株価は景気への楽観とともに7月にかけて上伸した後は、長期金利の急上昇が嫌気され、10月にかけて調整局面となりました。しかし、インフレ鈍化による早期利下げシナリオの台頭と長期金利の低下を受けて急反発に転じ、年明け以降はAIブームの再燃の追い風もあって一段高となり、NYダウ平均株価は39,807ドルで終えました。

債券市場では、日米ともに秋にかけて金利が上昇しました。日本ではマイナス金利政策の早期解除の思惑と米金利の上昇を背景に10年国債利回りは11月に0.97%まで急騰しました。その後は金融政策の早期正常化の見方が後退し0.55%まで低下しました。日本銀行は、3月にマイナス金利政策を解除しイールドカーブコントロールも撤廃しましたが、金利の急騰を抑える方針を明確にしたことから、10年国債利回りは0.725%で当期を終えました。米国では、10年国債利回りはインフレ抑制のために高金利政策が長引くとの見方から10月には5.00%まで上昇しました。しかし、インフレ鈍化などを受けて2024年の早い段階で利下げが始まるとの見方に転じて3.78%まで急低下したものの、過度な利下げシナリオの後退を受けて4.20%で当期を終えました。

外国為替市場では、金融政策スタンスの相違やこれに基づく日米金利差を背景にドル円相場は大きく変動しました。ドル円相場は11月に1ドル=151.94円まで円安が進んだ後に反転し、年末には1ドル=140.25円を付けましたが、期末にかけては再び円安ドル高圧力がかかり、当期は1ドル=151.32円で終えました。

こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。

当期の業績につきましては、営業収益77億30百万円(前期比179.1%)、純営業収益76億76百万円(同180.2%)、営業利益29億51百万円(前期は営業損失3億12百万円)、経常利益37億6百万円(前期比754.5%)、親会社株主に帰属する当期純利益43億41百万円(同371.5%)となりました。

② 財政状態の状況

当期末の資産合計は、トレーディング商品や投資有価証券の増加等により、835億34百万円と前期末に比べ126億31百万円増加いたしました。

当期末の負債合計は、預り金や未払法人税等の増加等により、298億58百万円と前期末に比べ62億57百万円増加いたしました。

当期末の純資産合計は、その他有価証券評価差額金や利益剰余金の増加等により、536億75百万円と前期末に比べ63億74百万円増加いたしました。

③ キャッシュ・フローの状況

キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報」に記載しております。

 

④ トレーディング業務の状況

トレーディング商品:連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。

商品有価証券等(売買目的有価証券)

種類

2023年3月31日現在

2024年3月31日現在

資産(百万円)

負債(百万円)

資産(百万円)

負債(百万円)

株式

374

8

債券

11,628

16,418

受益証券

1,032

1,132

その他

 

デリバティブ取引の契約額等及び時価

種類

2023年3月31日現在

2024年3月31日現在

契約額

(百万円)

契約額の

うち1年超

(百万円)

時価

(百万円)

評価損益

(百万円)

契約額

(百万円)

契約額の

うち1年超

(百万円)

時価

(百万円)

評価損益

(百万円)

株価指数先物取引

 

 

 

 

 

 

 

 

売建

810

2

2

買建

為替予約取引

 

 

 

 

 

 

 

 

売建

1,465

△3

△3

2,112

△19

△19

買建

市場リスクについては、取締役会が半期ごとにポジション・リスク限度額を各トレーディング部門に配分し、各トレーディング部門は、その範囲内で運用することとしております。リスク管理体制としては、各部門が、日々のポジション・リスク額及び損益の状況をチェックのうえ、経営陣に報告しております。更に、総合的な牽制機能として、リスク管理部が、適正な自己資本規制比率維持の観点から、全社的なリスクの状況を把握し、日々、取締役、執行役員及び監査役に報告するほか、毎月末の自己資本規制比率及びその詳細を取締役会に報告しております。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当期末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績の分析)

当社グループの収益の中心は、証券市場における仲介業者として得られる手数料収入等でありますが、これらは市場環境の変化の影響を大きく受けやすいものとなっております。そのため、当社グループは、健全な財務基盤のもと自己資本による積極的な投資も行うことで、持続的な成長を図ることを目指しております。

当期における経営成績は、株式市場における売買代金が増加したことや投資信託の販売が好調であったことから受入手数料が増加するとともに、お客さま向け外国債券販売が好調であったことや自己保有債券の時価が上昇したことなどから債券トレーディング損益が増加いたしました。これらの結果、前期に比べ増収増益となりました。それらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。

営業収益

 当期の株式市場では、日経平均株価は日本銀行の金融緩和策の維持や海外投資家の日本株買いを受けて6月にかけて急伸しました。その後、米国の政策金利の先行き不透明感や世界景気の先行きに対する強弱観が交錯しボックス相場となり、年明け以降は、脱デフレの期待が高まる中、円安の動きも追い風に日経平均株価は一段高となりました。東京証券取引所の要請を機に資本コストや株価を意識した企業経営の実現に向けた改革や株主還元策の公表が活発化したほか、2024年から始まった新NISA制度への期待も高まり、日経平均株価は1989年に付けた史上最高値(38,915円)を2月22日に更新しました。その後、3月4日には40,000円の大台に乗せ、2023年3月末比44%高の40,369円で当期を終えました。これらに伴い、株式市場における売買取引も活況となりました。あわせて、投資信託の顧客販売についても年間を通して好調でありました。その結果、「受入手数料」は、28億22百万円(前期比153.9%、9億88百万円増加)となりました。その内訳は以下のとおりであります。

 「株券委託手数料」は、株式市場における売買代金が増加したことにより、15億12百万円(同155.5%、5億39百万円増加)となり、「受益証券(上場投資信託)委託手数料」を加えた「委託手数料」は、15億34百万円(同153.1%、5億32百万円増加)となりました。

 主にアンダーライティング(引受)業務に係る手数料で構成される「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、当社が参入したIPO件数は増加しましたが、大型案件が減少したことから、15百万円(同91.6%、1百万円減少)となりました。

 投資信託受益証券の募集・売出しの取扱手数料などによって構成される「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の販売の増加により、8億73百万円(同163.1%、3億37百万円増加)となりました。

 主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、3億99百万円(同142.6%、1億19百万円増加)となりました。

 「トレーディング損益」につきましては、「債券等トレーディング損益」が増加したことから、34億2百万円の利益(同335.0%、23億87百万円増加)となりました。内訳は以下のとおりであります。

 「株券等トレーディング損益」は、投資信託の評価益を中心に39百万円の利益(前期は1億54百万円の損失)となりました。

 「債券等トレーディング損益」は、「多様な商品によるマーケット変化を捉えた機動的な運用提案」を行うことで、お客さまからの信頼を獲得するとともに、お客さまの投資パフォーマンスの向上を目指した結果、お客さま向け外国債券販売が好調であったこと、その他、自己保有債券の時価が上昇したことなどから、37億16百万円の利益(前期比237.3%、21億50百万円増加)となりました。

 外貨建債券の為替ヘッジ目的で行っている為替デリバティブ取引を中心とした「その他のトレーディング損益」は3億52百万円の損失(前期は3億95百万円の損失)となりました。

 「金融収益」につきましては、主にトレーディング商品として保有する債券等から得られる受取債券利子や収益分配金で構成されます。「金融収益」は14億85百万円(前期比102.8%、40百万円増加)となりました。

 「その他の営業収入」は、19百万円(同99.1%、0百万円減少)となりました。

 以上の結果、「営業収益」は、77億30百万円(同179.1%、34億15百万円増加)となりました。

純営業収益

 「金融費用」は信用取引費用が減少したことにより、53百万円(同95.9%、2百万円減少)となりました。「営業収益」からこの「金融費用」を差し引いた「純営業収益」は76億76百万円(同180.2%、34億17百万円増加)となりました。

営業損益

 「販売費・一般管理費」は、取引関係費、人件費、事務費、租税公課等の増加等により、47億25百万円(同103.4%、1億53百万円増加)となりました。

 「純営業収益」から「販売費・一般管理費」を控除した「営業損益」は、29億51百万円の利益(前期は営業損失3億12百万円)となりました。

経常損益

 「営業外収益」は、受取配当金等合計で11億56百万円(同114.2%、1億43百万円増加)、「営業外費用」は、為替差損等合計で4億1百万円(同192.3%、1億92百万円増加)を計上いたしました。

 この結果、「営業外損益」は、7億55百万円の利益(同93.9%、49百万円減少)となりました。

 「営業利益」に当該利益を加味した「経常損益」は、37億6百万円の利益(同754.5%、32億15百万円増加)となりました。

税金等調整前当期純損益

 「特別利益」は、投資有価証券売却益で27億79百万円(同211.7%、14億66百万円増加)、「特別損失」は、投資有価証券売却損等合計で2億36百万円(同224.8%、1億31百万円増加)を計上いたしました。

 この結果、「特別損益」は、25億43百万円の利益(同210.5%、13億35百万円増加)となりました。

 「経常利益」に当該利益を加味した「税金等調整前当期純損益」は、62億50百万円の利益(同367.8%、45億50百万円増加)となりました。

親会社株主に帰属する当期純損益

 「法人税等合計」は、法人税、住民税及び事業税の増加により、19億8百万円(同359.7%、13億77百万円増加)となりました。

 この結果、「親会社株主に帰属する当期純損益」は、43億41百万円の利益(同371.5%、31億72百万円増加)となりました。

(財政状態の分析)

当期末の財政状態は、前期末に比べ資産、負債及び純資産が増加いたしました。これらの内訳及び要因は、以下のとおりであります。

資産

 「流動資産」は、482億62百万円となり、前期末に比べ6億88百万円増加いたしました。これは主に現金・預金が63億94百万円減少(当期末143億89百万円)した一方で、トレーディング商品が45億17百万円増加(当期末175億53百万円)、顧客預り金の分別保管を主な目的とする預託金が30億58百万円増加(当期末130億14百万円)したことによるものであります。

 「固定資産」は、352億71百万円となり、前期末に比べ119億43百万円増加いたしました。これは主に長期純投資のために保有する投資有価証券が116億35百万円増加(当期末316億49百万円)したことによるものであります。

 この結果、「資産合計」は、835億34百万円となり、前期末に比べ126億31百万円増加いたしました。

負債

 「流動負債」は、267億5百万円となり、前期末に比べ51億17百万円増加いたしました。これは主にコールマネー等の短期借入金が10億20百万円減少(当期末95億80百万円)した一方、お客さまからの現金の預りを中心とした預り金が49億89百万円増加(当期末143億20百万円)したこと及び法人税、住民税及び事業税の増加により未払法人税等が15億75百万円増加(当期末16億77百万円)したことによるものであります。

 「固定負債」は、31億34百万円となり、前期末に比べ11億34百万円増加いたしました。これは主に長期借入金が5億円減少(当期末5億円)した一方で、繰延税金負債が16億15百万円増加(当期末21億8百万円)したことによるものであります。

 この結果、「負債合計」は、298億58百万円となり、前期末に比べ62億57百万円増加いたしました。

純資産

 「純資産」は、投資有価証券の時価が上昇したことにより、「その他有価証券評価差額金」が34億67百万円増加(当期末42億25百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により、「利益剰余金」が29億5百万円増加(当期末402億76百万円)いたしました。

 この結果、「純資産合計」は、536億75百万円となり、前期末に比べ63億74百万円増加いたしました。

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境及び中期事業計画、対処すべき課題 ②経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フローの状況)

 当期における営業活動によるキャッシュ・フローは、26百万円の使用(前期は29百万円の獲得)となりました。主な要因としましては、税金等調整前当期純利益(62億50百万円)から投資有価証券売却益(25億51百万円)及び投資事業組合運用益(3億46百万円)を控除した利益(33億51百万円の獲得)に加えて、預り金の増加(49億89百万円の獲得)となった一方で、トレーディング商品の純増(44億93百万円の使用)、預託金の増加(30億58百万円の使用)、受入保証金の減少(2億95百万円の使用)及び法人税等の支払い(3億66百万円の使用)があったこと等によるものであります。

 当期における投資活動によるキャッシュ・フローは、40億21百万円の使用(前期は12億89百万円の使用)となりました。主な要因としましては、純投資目的で保有している投資有価証券の売買等に伴いネットで減少(37億20百万円の使用)及び外貨建投資有価証券の為替ヘッジ目的で行っている為替予約の決済に伴う損失の発生(3億20百万円の使用)があったこと等によるものであります。

 当期における財務活動によるキャッシュ・フローは、29億55百万円の使用(前期は1億33百万円の獲得)となりました。主な要因としましては、配当金の支払い(14億35百万円の使用)、短期借入金の返済(10億20百万円の使用)及び長期借入金の返済(5億円の使用)によるものであります。

 これらの結果、当期末における現金及び現金同等物は、前期末に比べ65億29百万円減少し、121億18百万円となりました。

 

(財務戦略の基本的な考え方)

 当社グループの財務戦略の基本的な考え方は、自己資本を充実させることにより強固な財務基盤を構築するとともに、自己資本を効率的に運用することによって収益性を高め、企業価値の向上を目指すものであります。

 金融商品取引業者は、その業務の性格上、自己勘定に基づいて有価証券等の保有や売買取引を行う場合があります。それら保有有価証券の価格変動リスクなどの各種リスクを十分にカバーできる「固定化されていない自己資本の額」を維持し、財務の健全性を表す「自己資本規制比率」を一定の水準以上に維持することが法令等により義務付けられております。当社は、「自己資本規制比率」を高水準に維持することを経営の基本方針といたしますが、上記のとおり、自己資本を効率的に活用して、収益性を高めるために一定のリスク(主に市場リスク)をとる必要もあると考えております。このため、これらリスク額及び自己資本規制比率につきましては、適切なリスク管理体制の下で監視しております。

 当社は、財務体質や収益性を測る指標として「信用格付け」を取得しております。当社グループとして、近い将来に新株式や債券の発行による資金調達を行うことは想定しておりませんが、運転資金の安定的な調達を可能とするため、「信用格付け」の水準を安定的に維持することに努めることといたします。

(手許流動性)

 当社は、半期ごとに実施する流動性コンティンジェンシープランの検証過程において、緊急事態発生時に、借入金等の返済やお客さまへの預り金の返還などを円滑に行うために当初必要と考えられる手許現預金の水準を決定しております。また、その後必要となる現金需要を賄うために、短期間で現金化が可能となる市場性のある有価証券の保有に努めております。

 また、当社グループはお客さま向け販売や自己勘定での取引を目的として、外貨建て有価証券を取り扱っております。これら外貨建て有価証券取引の清算決済においては、期限までに当該外貨を遅滞なく支払う必要があります。しかしながら、外国為替市場の動向によっては決済のための外貨調達が困難になることも想定されます。このような外貨調達リスクを避けるため、市場の状況や取引高を勘案しながら、必要と思われる外貨の種別及び金額をその都度検証し、十分な金額を手許に維持するよう心がけております。

(成長分野への投資活動)

 上記目的で必要とされる手許流動性の水準を超える現預金については成長分野や有望市場への投資活動に振り向けることが可能な資金と位置付け、積極的に投資活動を行ってまいります。これによって、新たな収益源の開拓や収益性が向上し、企業価値向上につながると考えております。

 

(株主還元-利益配分に関する基本方針及び当期の配当)

 当社は、株主価値向上の一環として、株主の皆さまに対し積極的な利益還元を図ることを経営の重要な政策の一つとしており、株主価値向上のために、2024年3月期より株主還元の更なる充実を図ることとしました。配当金額は、連結配当性向70%及び連結純資産配当率(DOE)2%の両基準で算出した数値のいずれか高い金額を基準とし、当社の自己資本の水準及び中長期的な業績動向並びに株価等を総合的に判断し、決定する旨を基本方針としております。

 当期の期末配当につきましては、上記の連結配当性向基準で算出した金額に基づき総合的に判断し、1株当たり80円の普通配当(年間110円)を支払うことといたしました。なお、配当原資は利益剰余金であります。

 配当政策につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

(資金需要と資金調達)

 当社グループの資金需要につきまして、営業活動に係る資金利用といたしましては、お客さま向け販売商品等のトレーディング商品の買付け、信用取引に係るお客さま向けの融資、証券取引サービスを提供するためのインフラ維持に係る費用、人件費などがあります。また、投資活動に係る資金利用といたしましては、投資有価証券の買付け、お客さま向けサービスの向上と取引の安全性を確保するために必要なシステム投資、金融商品取引業者として法令遵守のために必要な制度整備やシステム投資などがあります。

 一方、当社グループの運転資金につきましては、自己資金の利用又は借入による資金調達によって賄っております。自己勘定によるトレーディング商品や投資有価証券の買付けにつきましては、原則として自己資金を利用することとしております。借入による資金調達に関しましては、短期借入金及び長期借入金で調達しております。短期借入金については、銀行借入に加えて、コールマネーの調達も行っております。また、当社は運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行を含む合計8行との間で、総額46億円のシンジケート方式によるコミットメントライン契約を締結しております。この契約に基づく当期末の借入実行残高は20億円であります。

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において、一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、有価証券の評価、固定資産の減損、繰延税金資産の計上、減価償却資産の償却、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付等の会計処理については、会計関連諸法規をベースに、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる基準により見積り及び判断を行っております。会計処理については、真実性の原則は勿論のこと、特に健全性と継続性の原則に配慮しております。しかしながら、実際の結果は、見積り作成時点での不確実性があることから、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。

 一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動します。したがって、当社グループの連結経営成績についても、証券市場に係るこれらの要因が多大な影響を及ぼす可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。