売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E03788 Japan GAAP

売上高

196.9億 円

前期

207.1億 円

前期比

95.1%

時価総額

559.0億 円

株価

2,235 (04/24)

発行済株式数

25,012,800

EPS(実績)

142.49 円

PER(実績)

15.69 倍

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは、当社並びに子会社である岩井コスモ証券株式会社及び岩井コスモビジネスサービス株式会社にて構成されており、主として、金融商品取引業を中心とした事業活動を営んでおります。

具体的な事業としては、有価証券の売買等及び売買等の委託の媒介、有価証券の引受け及び売出し等の金融商品取引業及び金融商品取引業に関連又は付随する事業、その他関連ビジネスを行い、顧客に対して幅広いサービスを提供しております。

なお、当社グループは「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの記載の区分と同一であります。

また、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

[当社グループの事業系統図]

 

  岩井コスモホールディングス株式会社

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  岩井コスモ証券株式会社

 金融商品取引業及びそれに付随する業務等

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  岩井コスモビジネスサービス株式会社

 証券等バックオフィス事業

 

 

 

 

 

 

 

 

 

23/06/23

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、景気回復の兆しが見られたものの、世界的な金融引き締めによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押すリスクとなり、依然として先行き不透明な状況が続きました。

 また、海外経済においては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に起因したエネルギー価格、原材料価格の高騰や金利上昇により、企業の設備投資や個人消費が抑制されるなど、引き続き厳しい状況で推移しました。

 こうした経済環境のもと、国内株式市場は、米国株式の下落や、中国が新型コロナウイルス感染症対策としてロックダウン(都市封鎖)を行ったことを受け世界経済の先行き不透明感が強まり、期初より下落基調で始まりました。しかしながら、8月に入ると米国CPI(消費者物価指数)の伸び率鈍化により、一時的にインフレ懸念が和らいだことで株価は上昇基調となり、8月中旬の日経平均株価(終値)は、およそ7ヶ月ぶりに29,000円を回復しました。その後、12月には、日本銀行による金融政策の一部見直しが突如発表されたことから下落する局面も見られましたが、2月に入り、円安進行に伴う国内企業の業績改善期待が高まったことに加え、東京証券取引所がプライム市場、スタンダード市場の上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営を求める方針を示したことで、割安株中心に取引が活発化し、株価は回復基調を辿り取引を終了しました。なお、3月末の日経平均株価(終値)は、前期末を0.8%上回る28,041円48銭となりました。

 一方、米国株式市場は、インフレ抑制に向けたFRB(米国連邦準備制度理事会)による金融引き締め加速懸念やロシア・ウクライナ情勢が長期化の様相を呈していることから景気後退懸念が強まり、下落基調で推移しました。さらに、9月には、FRBが3会合連続となる0.75%の利上げを発表し、景気後退リスクが高まったことから、株価は下落基調を辿り、9月末のダウ工業株30種平均(終値)は約2年ぶりに29,000ドルを下回りました。11月に入り、FRBによる利上げペースの鈍化観測を背景に上昇する局面も見られましたが、3月には、米国中堅銀行の経営破綻を受けリスク回避姿勢が強まったことから株価は下落しました。その後、米国金融当局が破綻した中堅銀行の預金全額保護などの救済策を迅速に示したことで金融不安が和らぎ、期末にかけて株価は戻り歩調となり取引を終了しました(3月31日:33,274ドル15セント、前期末比4.0%下落)。

 

(当社グループの経営成績)

 当社グループの営業収益は前期比4.9%減少の196億91百万円、純営業収益は同5.3%減少の194億28百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、同3.1%減少の146億58百万円となり、経常利益は同10.9%減少の51億65百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.1%減少の35億64百万円となりました。

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

岩井コスモホールディングス株式会社

 岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営戦略の策定及びその推進に取り組んでおります。営業収益は、子会社からの配当収入等の減少により前期比29.0%減少の19億60百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、当社グループの基幹業務システム移行に係る内部統制対応費用の減少を主因として同1.7%減少の1億44百万円となりました。営業外損益は、投資有価証券の配当金の増加を主因として同5.2%増加の2億78百万円の利益となり、以上の結果、経常利益は同27.2%減少の20億94百万円となりました。

 

岩井コスモ証券株式会社

 岩井コスモ証券株式会社は、引き続き、Web会議システム「Zoom」によるWebセミナーの開催に加え、SNSやYouTubeを活用した情報配信など、デジタルを駆使した金融情報サービスの提供に注力しました。

 この様な取り組みのほか、対面取引・コールセンター取引では、業績や高配当に加え、今後の成長が期待できる銘柄などを中心に選別し、日本株及び米国株の提案による営業強化に努めました。投資信託の営業活動においては、基準価額が下落した商品のフォローに加え、成長・配当・割安に注目し持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」や、日本を含む世界のCB(転換社債)に投資を行う「ニッセイ/シュローダー好利回りCBファンド」に加え、「人生100年時代」など高齢化社会における資産形成に向けて、中長期に安定した収益が期待できる債券型ファンド「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」の販売にも継続的に取り組み、投資信託残高の増大に注力しました。

 一方、インターネット取引では、「コスモ・ネットレ」の更なる利便性向上を図るべく、4月に信用取引の日計り決済を行う「信用・デイトレ」サービスの改定を実施致しました。また、10月に米国株式のリアルタイム取引が可能な「米国株式リアルタイムトレードシステム」を導入したほか、1月にはお客様に代わって資産運用を行うゴールベース型資産運用サービス「岩井コスモ・ゴールナビ」の提供を開始致しました。加えて、YouTubeの「コスモ・ネットレ」チャンネルを通じて、当社アナリストによる特別セミナーの開催など、お客様にご満足頂ける商品やサービスの紹介及び情報の発信に努めました。

 また、人への投資という考えのもと、昨今、光熱費や食料品等の価格高騰が相次ぐ中、主に若手社員の生活を支援することに加え、仕事にも尚一層意欲的に取り組むことができるよう、2023年7月に予定している4%を超える賃上げの一部を前倒しして2023年1月より実施致しました。その他、3月には長崎市に対面営業の小規模店舗(長崎プラザ)を出店しカバーエリアの拡充を図ったほか、証券営業ビジネスの更なる拡大に向けキャリア採用を強化するなど、社員の士気向上及び優秀な人材の確保に取り組みました。

 この結果、営業収益は前期比4.9%減少の197億1百万円、純営業収益は同5.3%減少の194億38百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、業績に連動する賞与等の変動費の減少を主因として同3.0%減少の146億59百万円となり、投資有価証券の配当金などによる営業外損益1億17百万円の利益(対前期比23.4%減少)を加えた経常利益は、同12.0%減少の48億97百万円となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

①連結会計年度の財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は1,835億9百万円となり、前連結会計年度末に比べて10億33百万円増加しました。主な要因としては、現金・預金が65億65百万円、預託金が75億85百万円、それぞれ減少したものの、信用取引資産が168億51百万円増加したことが挙げられます。

 一方、負債合計は1,259億52百万円となり、前連結会計年度末に比べて27百万円減少しました。主な要因としては、信用取引負債が32億1百万円、有価証券担保借入金が9億62百万円、未払法人税等が8億70百万円、それぞれ増加したものの、預り金が57億14百万円減少したことが挙げられます。

 純資産合計は575億57百万円となり、前連結会計年度末に比べて10億60百万円の増加となりました。

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高は47億31百万円と前連結会計年度末に比べて91億45百万円の減少となりました。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、57億97百万円の減少となりました。主な要因としては、顧客分別金信託の減少による収入(115億円)や信用取引負債の増加による収入(32億1百万円)があったものの、信用取引資産の増加による支出(△168億51百万円)、預り金の減少による支出(△57億14百万円)が挙げられます。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、23億94百万円の減少となりました。主な要因としては、定期預金の払戻による収入(36億69百万円)があったものの、定期預金の預入による支出(△60億31百万円)が挙げられます。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、17億28百万円の減少となりました。主な要因としては、配当金の支払額(△18億79百万円)が挙げられます。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて入手可能な情報を基に合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

繰延税金資産

 当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金について「税効果会計に係る会計基準」に基づき、繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の計上に際しては、回収可能性の判断において、将来の一時差異解消時期及び課税所得の発生見込額を合理的に見積っております。

 当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動などによって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期及び金額が見積りと異なった場合、翌事業年度の連結財務諸表において、繰延税金資産の計上額に重要な影響を与える可能性があります。

 過去(3年)及び当期において、臨時的な原因により生じたものを除いた課税所得は、市場動向に左右される業界特有の収益構造にあるものの、安定的に課税所得を計上しております。市場環境の見通しについては、世界経済は、欧米の利上げや物価上昇が次第に落ち着き、市況も徐々に回復すると思われます。一方、国内経済は期前半に、急激な物価上昇等による景気後退懸念から、先行き不透明な状況が見込まれるものの、海外からのインバウンド需要による経済効果への期待などを反映して、年後半には、世界経済と同様、景気悪化の底打ち後に、本格的に回復することが見込まれます。こうした状況を反映して、日経平均が当期と同水準で推移することを仮定し、経営環境に大きな変化が生じないことを踏まえ、当社グループの課税所得は、当期と同等の水準を維持するものと見込んでおります。

 

④当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の営業収益は、前期比4.9%減少の196億91百万円、純営業収益は同5.3%減少の194億28百万円となり、経常利益は同10.9%減少の51億65百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は同5.1%減少の35億64百万円となりました。主な要因は、海外経済が先行き不透明な環境であることから、日本株の提案営業を強化したことで受入手数料が増加(93億55百万円→121億23百万円 +27億67百万円 +29.6%)したものの、世界的な金融引き締めによる海外景気の下振れに加え、ロシア・ウクライナ情勢の長期化が地政学リスクを高めるなど、世界経済は引き続き厳しい状況で推移したことから、米国株式の店頭取引を主とするトレーディング損益が減少(92億55百万円→54億43百万円 △38億11百万円 △41.2%)したことが挙げられます。なお、経営上の重要指標と位置付けるROE(自己資本利益率)は6.2%となり、比較する主要な証券会社16社(ネット専業証券会社を除く)の平均値(0.8%)を上回るとともに、当社を含む17社中で最も高い数値となりました。今後も、業界平均を上回るROEの維持や経営課題の一つに掲げる安定収益拡大の取り組みとして、投資信託及び信用取引残高の増加に注力し、更なる強固な経営基盤の構築に努めて参ります。

 

 なお、主な収益と費用の内訳は、以下のとおりであります。

 

(受入手数料)

受入手数料は前期比29.6%増加の121億23百万円となりました。内訳は以下のとおりであります。

 

①委託手数料

 委託手数料は前期比73.9%増加の84億5百万円となりました。同要因としては、業績や高配当に加え、今後の成長が期待できる銘柄などの提案営業を強化したことが挙げられます。

 

②引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

 引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、株券の手数料が前期比21.9%減少の57百万円、債券の手数料は前期取り扱いのソフトバンクグループ社債が減少要因となり同65.3%減少の82百万円、同手数料全体では同55.1%減少の1億39百万円となりました。

 

③募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売減少を主因として前期比23.9%減少の11億83百万円となりました。投資信託の主な販売動向として、成長・配当・割安に注目し持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」や、日本を含む世界のCB(転換社債)に投資を行う「ニッセイ/シュローダー好利回りCBファンド」などが挙げられます。

 

④その他の受入手数料

 その他の受入手数料は、投資信託の信託報酬手数料の減少を主因として前期比9.8%減少の23億93百万円となりました。

 

(トレーディング損益)

 米国株式の国内店頭取引を中心とする株券等のトレーディング損益は、先行き不透明なマーケット環境を背景として、前期比44.8%減少の46億28百万円の利益となりました。一方、債券等のトレーディング損益は同5.0%減少の8億59百万円の利益となり、その他のトレーディング損益43百万円の損失(前期は37百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計は前期比41.2%減少の54億43百万円の利益となりました。

 

(金融収支)

 金融収益は、信用取引収益の増加を主因として前期比1.3%増加の21億24百万円となりました。一方、金融費用は同34.4%増加の2億62百万円となり、差し引き金融収支は同2.1%減少の18億61百万円となりました。

 

(販売費・一般管理費)

 販売費・一般管理費は、業績に連動する賞与等の変動費項目の減少を主因として前期比3.1%減少の146億58百万円となりました。

 

(営業外損益)

 営業外損益は、受取配当金を中心に3億95百万円の利益(前期比5.4%減少)となりました。

 

(特別損益)

 特別損益は、金融商品取引責任準備金繰入れの計上により1百万円の損失となりました(前期は基幹業務システム移行に伴う費用の計上を主因として2億45百万円の損失)。