売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03788 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)財政状態及び経営成績の状況

 当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しました。

 また、海外の経済情勢は、米国においては緩やかな景気回復傾向にありますが、中国の景気減速に加え、中東情勢の緊迫化等のリスク要因を抱えて、先行き不透明な状況が続きました。

 

 こうした経済環境のもと、国内株式市場は、米国著名投資家が日本株への追加投資を表明したことに加え、日本銀行が金融緩和策の維持を決定したことが好感され、上昇基調で始まり、6月中旬の日経平均株価(終値)は約33年ぶりに33,000円台を回復しました。その後、9月に入り、欧米の金融引き締め長期化懸念から株価は軟調に推移したものの、11月に入ると、米国のCPI(消費者物価指数)の伸び率は市場予想を下回り、追加利上げ懸念が後退したことが好感され、株価は戻り歩調で推移しました。なお、12月末の日経平均株価(終値)は33,464円17銭(前期末比19.3%上昇)で取引を終了しました。

 一方、米国株式市場は、主要企業の堅調な決算内容を好感して、期初より上昇基調で始まり、7月には、景気の大幅な減速は避けられるとする「ソフトランディング」の期待が高まり、ダウ工業株30種平均は約36年ぶりに13営業日連続で上昇しました。10月に入ると、米国の金融引き締め長期化懸念から長期金利が上昇したことに加え、中東情勢の緊迫化による地政学リスクの高まりを背景に株価は下落しました。その後、12月に入り、FRB(米国連邦準備制度理事会)が政策金利を3会合連続で据え置き、2024年における3回程度の利下げを示唆したことが好感され、ダウ工業株30種平均は上昇基調となり、12月下旬には史上最高値を更新しました。なお、12月末のダウ工業株30種平均の終値は、37,689ドル54セントとなり、前期末を13.3%上回りました。

 

(経営成績の状況)

 当社グループの営業収益は173億13百万円(対前年同期比18.1%増加)、純営業収益は171億21百万円(同18.3%増加)となりました。また、販売費・一般管理費は、テレビCM放映料などの一時的な費用に加え、賞与などの変動費の増加を主因として119億9百万円(同8.5%増加)となり、経常利益は55億73百万円(同43.5%増加)、親会社株主に帰属する四半期純利益は39億8百万円(同45.3%増加)と、それぞれ前年同期実績を大幅に上回るとともに、前年通期実績も上回る利益水準となりました。

 

 セグメント別の経営成績は、以下のとおりであります。

 

岩井コスモホールディングス株式会社

 岩井コスモホールディングス株式会社は、グループの経営戦略の策定及びその推進に取り組んでおります。営業収益は、子会社からの配当収入を主として、前年同期と同額の19億40百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、前年同期比0.6%減少の1億12百万円となりました。営業外損益は、投資有価証券の配当金の減少を主因として同5.3%減少の2億63百万円の利益となり、以上の結果、経常利益は同0.7%減少の20億91百万円となりました。

 

岩井コスモ証券株式会社

 岩井コスモ証券株式会社は、資産形成や新NISA制度などをテーマとしたWebセミナーの開催に加え、ホームページやSNS、YouTubeを積極的に活用した情報配信など、引き続き、デジタルを駆使した金融サービスの提供に注力しました。このような取り組みに加え、一定期間お取引がない顧客へのフォローアップとアプローチを強化し、顧客満足度の向上及び口座の再稼働化に取り組みました。また、投資信託の営業活動においては、成長・配当・割安に注目し、持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」や中長期的な資産形成を目的とした「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」の販売に継続的に取り組みました。加えて、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展により、今後も成長が期待される半導体関連企業へ投資する「世界半導体フォーカスファンド」の取り扱いを開始するなど、幅広いテーマからお選び頂けるよう商品の拡充を図るとともに、投資信託残高の増大に注力しました。

 一方、インターネット取引では、「コスモ・ネットレ」の更なる利便性の向上を目的として、2023年7月末より米国株式リアルタイムトレードにおいて「外貨決済サービス」を開始しました。また、退職後のゆとりある老後生活実現に向けた資産形成ニーズの高まりを受け、投資初心者の方はもちろん、60歳以上のシニア世代へのサポートを強化するとともに、各種キャンペーンを積極的に展開し、取引促進及び新規口座獲得に注力しました。

 これらの取り組みに加え、企業知名度とサービス認知度の向上を目的としてテレビCM制作に取り組み、お客様の資産形成をサポートする当社アナリストの投資情報の活用を訴求した「対面取引篇」と、インターネット取引「コスモ・ネットレ」の米国株式取引サービスを紹介した「ネット取引(眠らない世界経済)篇」の放映を開始しました。

 また、今後、当社が持続的に発展していくためには、常に進化し続けることが重要な課題であると認識し、ビジネスにおいて更なる効率化と革新を追求する「生成AI」など、将来において高い可能性を秘めた新たな技術の導入に積極的に取り組んで参ります。その第一歩として、2024年1月に「DX推進部」を新設し、当社のデジタルトランスフォーメーション(DX)を更に強力に推し進めて参ります。

 このように、顧客サービスの向上と収益拡大に向けた施策に注力した結果、営業収益は前年同期比18.0%増加の173億19百万円、純営業収益は同18.2%増加の171億28百万円となりました。一方、販売費・一般管理費は、テレビCM放映料などの一時的な費用に加え、業績に連動する賞与等の変動費の増加を主因として同8.5%増加の119億7百万円となり、受取配当金などによる営業外損益97百万円の利益(対前年同期比8.2%減少)を加えた経常利益は前年同期比47.0%増加の53億19百万円となりました。

 

(財政状態の状況)

 当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1,978億8百万円となり、前連結会計年度末に比べて142億98百万円増加しました。主な要因としては、信用取引資産が54億95百万円減少したものの、預託金が184億68百万円増加したことが挙げられます。

 一方、負債合計は1,358億45百万円となり、前連結会計年度末に比べて98億93百万円増加しました。主な要因としては、信用取引負債が76億34百万円減少したものの、預り金が161億26百万円増加したことが挙げられます。

 純資産合計は619億62百万円となり、前連結会計年度末に比べて44億5百万円の増加となりました。

 

 なお、当第3四半期末における岩井コスモ証券株式会社の自己資本規制比率の状況は、以下のとおりであります。

(単位:百万円)

 

 

 

 

前第3四半期末

(2022年12月31日)

当第3四半期末

(2023年12月31日)

前事業年度末

(2023年3月31日)

基本的項目

 

 

(A)

48,231

50,938

47,705

補完的項目

 

 

(B)

893

954

889

 

その他有価証券評価差額金(評価益)

448

529

443

 

金融商品取引責任準備金

438

419

439

一般貸倒引当金

6

5

6

控除資産

 

 

(C)

8,000

5,857

7,855

固定化されていない自己資本  (A)+(B)-(C)

(D)

41,124

46,035

40,738

リスク相当額

 

 

(E)

5,583

5,376

5,499

 

市 場リスク相当額

570

403

562

 

取引先リスク相当額

1,474

1,308

1,438

基礎的リスク相当額

3,538

3,664

3,498

自己資本規制比率 (%)

(D) / (E)×100

736.5

856.2

740.8

 

(経営成績の状況)

(受入手数料)

 受入手数料は78億1百万円(対前年同期比13.8%減少)となりました。主な内容は次のとおりです。

 

前第3四半期連結累計期間(自 2022年4月1日 至 2022年12月31日)

(単位:百万円)

区分

株券

債券

受益証券

その他

合計

委託手数料

5,635

0

597

3

6,236

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

39

78

117

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

0

876

876

その他の受入手数料

75

6

1,652

84

1,818

合計

5,750

85

3,126

87

9,049

 

 

当第3四半期連結累計期間(自 2023年4月1日 至 2023年12月31日)

(単位:百万円)

区分

株券

債券

受益証券

その他

合計

委託手数料

5,165

108

0

5,274

引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

38

9

48

募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

0

600

601

その他の受入手数料

67

2

1,760

46

1,877

合計

5,271

13

2,469

46

7,801

 

①委託手数料

 委託手数料は、株式委託手数料が前年同期比8.3%減少の51億65百万円、ETFによる受益証券委託手数料が同81.9%減少の1億8百万円となり、委託手数料全体では同15.4%減少の52億74百万円となりました。

 

②引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料

 株券の手数料は前年同期比1.1%減少の38百万円となりました。また、債券の手数料は、社債の取り扱いを中心に同87.7%減少の9百万円となり、引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料全体では同58.9%減少の48百万円となりました。

 

③募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料

 募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、前年同期比31.4%減少の6億1百万円となりました。投資信託の主な販売動向では、成長・配当・割安に注目し持続的成長が期待できる優良企業に投資する「インベスコ・世界厳選株式オープン」のほか、中長期に安定した収益が期待できる債券型ファンド「野村PIMCO・世界インカム戦略ファンド」に加え、高い配当利回りが期待できる株式へ投資する「日本好配当リバランスオープン」が販売の上位となりました。

 

④その他の受入手数料

 その他の受入手数料は、投資信託の信託報酬手数料の増加を主因として、前年同期比3.2%増加の18億77百万円となりました。

 

(トレーディング損益)

(単位:百万円)

 

前第3四半期連結累計期間

(自2022年4月1日

  至2022年12月31日)

当第3四半期連結累計期間

(自2023年4月1日

  至2023年12月31日)

株   券   等

3,264

7,432

債   券   等

816

182

そ   の   他

△28

△43

合       計

4,052

7,572

 

 米国株式の国内店頭取引を中心とする株券等トレーディング損益は、景気の大幅な減速は避けられるとする「ソフトランディング」の期待が高まり、12月下旬にはダウ工業株30種平均が史上最高値を更新するなど、良好な市場環境を背景に取引が活発化し、前年同期比127.7%増加の74億32百万円の利益となりました。一方、債券等トレーディング損益は、同77.7%減少の1億82百万円の利益となり、その他のトレーディング損益43百万円の損失(前年同期は28百万円の損失)を含めたトレーディング損益の合計では、前年同期比86.9%増加の75億72百万円の利益となりました。

(金融収支)

 金融収益は、信用取引収益の増加を主因として、前年同期比24.0%増加の19億39百万円となりました。一方、金融費用は同1.5%増加の1億91百万円となり、差し引き金融収支は同27.1%増加の17億48百万円となりました。

 

(販売費・一般管理費)

 販売費・一般管理費は、テレビCM放映料など一時的な費用に加え、業績に連動する賞与等の変動費の増加を主因として、前年同期比8.5%増加の119億9百万円となりました。

 

(営業外損益)

 営業外損益は、受取配当金を中心に前年同期比6.2%減少の3億60百万円の利益となりました。

 

(特別損益)

 特別損益は、投資有価証券売却益等の計上により60百万円の利益(前年同期は0百万円の損失)となりました。

 

(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(3)経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。