E03763 Japan GAAP
前期
127.5億 円
前期比
148.9%
株価
1,874 (12/05)
発行済株式数
47,525,649
EPS(実績)
62.60 円
PER(実績)
29.94 倍
前期
646.0万 円
前期比
108.1%
平均年齢(勤続年数)
45.0歳(15.0年)
従業員数
55人(連結:742人)
当社グループは、証券事業、投資事業、運用事業、金融商品仲介事業、ベトナム証券事業等の各事業を柱とする連結子会社8社を中心にした事業グループを構成しております。
(注)前連結会計年度において非連結子会社であったライフデザインパートナーズ株式会社及びJapan Securities Co.,Ltd.は、重要性が増したことにより当連結会計年度より連結の範囲に含めております。
当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)において、日米等先進国を中心に株式市場が活況に推移しました。米国ではインフレ懸念から政策金利の引上げ局面が2023年7月まで続き、10月下旬まで株式市場は低調に推移しました。11月以降は生成AIブームを受けた大型ハイテク株の好決算や2024年夏場以降と予想される金利引下げへの期待等を背景に強い上昇基調を描きました。
国内株式市場は、為替市場で主要先進国がインフレ抑制のために金融引き締め政策を採用するなかで、日本は主要先進国で唯一、金融緩和を継続する国となったことから、主要通貨に対して円安が進行しました。円安による企業業績の改善期待と東京証券取引所による資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応要請等によって企業統治改革が本格化するとの見方が強まり、グローバル市場で日本株が選好される動きとなりました。2024年1月からは年間投資上限額等が拡大された新NISAがスタートし、日経平均株価は3月22日には史上最高値となる40,888円43銭(終値ベース)をつけ、3月末の終値は40,369円44銭となりました。
アジア株式市場は、中国の不動産需要低迷を背景に大手デベロッパーの資金繰りが悪化し、国内消費への影響も懸念されたことから、上海総合指数と香港ハンセン指数は両方とも軟調に推移しました。ASEAN諸国は米国の金利高止まりを背景に通貨安が進行したものの、インフレ率が低下したことで国内消費の回復や銀行の収益改善に対する期待が高まり、内需依存国であるインドネシアとフィリピンの株価指数が堅調に推移しました。ベトナムでは2023年後半から鉱工業生産や輸出等主要経済指標の改善が見られ、株式市場に資金が流入した結果、VN指数は大幅に反発しました。
このような状況の中、当社グループは「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念の下、2022年度からスタートした中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」に基づき、徹底的なお客様目線での業務運営をはじめ、ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへのシフトやプラットフォームビジネスの拡大、グループ連携の強化(総合金融サービスグループ化)、サステナブルな未来の実現を目指すという5つの基本方針を掲げ、各種取組みを進めております。
当社グループは、証券事業を主軸とし、投資事業、運用事業、金融商品仲介事業、ベトナム証券事業を展開しております。各事業における取組みは以下のとおりです。
[証券事業]
証券事業を営むアイザワ証券株式会社では、ブローカレッジビジネスから資産形成ビジネスへのシフトに向け、投資信託や投資一任運用サービス(ラップ)等のストック商品を拡充しています。2023年8月にはゴールベースアプローチ型ラップサービス(愛称:スマイルゴール)の販売を開始し、お客様一人ひとりの人生に寄り添ったサービスの提供に尽力しています。政府が掲げる資産所得倍増プランにも呼応し、2024年からスタートした新NISAを積極的に活用できる体制を整備し、地域に根差した店舗ネットワークにおける対面でのコミュニケーションを通じて、投資経験者から資産形成層、投資初心者まで幅広い層のお客様に満足いただけるよう努めております。
プラットフォームビジネスにおいては、地域金融機関との連携強化や契約する金融商品仲介業者数の拡大に努め、契約金融商品仲介業者数119社、預り資産2,458億円、口座数52,232口座(2024年3月末時点)まで増加しています。株式会社佐賀共栄銀行や来店型保険ショップを運営する株式会社アイリックコーポレーションと金融商品仲介業に関する業務委託契約を締結したことにより、アイザワ証券は各社のお客様へ金融商品のご案内が可能となりました。こうした地域金融機関や金融商品仲介業者との協働は、資産形成層のお客様へアプローチする重要なチャネルであるため、今後も強化してまいります。
その他の取組みとしまして、地域金融機関や教育機関、地方自治体と連携し、地方創生、地域活性化、金融リテラシー教育を推進しています。教育機関としては2023年4月に青森山田高等学校、2023年7月に御殿場西高等学校、地方自治体としては2023年9月に静岡県小山町、2024年1月に静岡県長泉町と包括連携協定を締結しました。
また、アイザワ証券では持続的な成長と中長期的な企業価値向上のため、自発的に行動し変化に対応できる人材の育成や従業員エンゲージメントの向上を重点課題としており、人的資本への投資を拡大しております。これらの取組みの一環として、2024年4月に初任給を含む給与水準の引き上げを実施しました。
ベトナム証券事業におきましては、現地証券会社であるJapan Securities Co., Ltd.がベトナム株式のリアルタイム取引の提供や投資情報の充実により、ベトナム株式の取引拡大を推進しています。
[投資事業]
投資事業を営むアイザワ・インベストメンツ株式会社は、国内外の上場投資有価証券やベンチャー企業、外部ファンド、収益不動産を中心に投資を行い、それぞれのアセットクラスにおいて投資資産残高及び投資収益の拡大を図っております。
国内外の成長企業や、配当金を含め安定的な期待収益が見込める上場企業等、中長期投資を基本に上場投資有価証券への投資を行っており、当期は株式市場が堅調に推移したことを受けて含み益が増加しました。また、保有投資有価証券の一部を売却し、特別利益を計上しました。
他方、有望なベンチャー企業へ投資し、将来的な上場へ向けてサポートを行っているほか、国内外のベンチャーファンドやバイアウトファンド、プライベートデットファンド、メザニンファンド、ヘッジファンド、不動産開発型ファンド等への投資を行っています。国内不動産に対する直接投資も行い、主に首都圏においてレジデンスを中心に物件を保有し、賃料収入による収益を獲得しています。
[運用事業]
運用事業を営むあいざわアセットマネジメント株式会社は、「日本で最も投資家に求められるオルタナティブ資産運用会社」になることを目標に掲げ、日本では担い手の少ない「プライベートエクイティセカンダリー投資ファンド」の運用を行っております。2022年4月に自社としては3本目となるセカンダリー投資ファンド「Ariake Secondary Fund Ⅲ LP」を設定し、2024年3月にファイナル・クロージングを迎えました。
[金融商品仲介事業]
金融商品仲介事業・保険代理事業を営むライフデザインパートナーズ株式会社は、アイザワ証券株式会社とともに、MS&ADインシュアランス グループのあいおいニッセイ同和損害保険株式会社、三井住友海上あいおい生命保険株式会社と金融ワンストップサービスの提供による顧客提供価値向上に向けた協業を2023年6月より開始しました。アイザワ証券の証券総合口座保有者向けに生命保険・損害保険の案内を行い、証券のみならず保険も活用した資産形成を提案することで、より一層の顧客提供価値向上を目指しています。
なお、当社は2024年2月1日から2024年6月30日の期間で取得総数630万株(上限)、取得総額11,000百万円(上限)の自己株式取得を実施しております。
これからも当社グループは、各グループ子会社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループを目指してまいります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度末の資産合計は1,241億19百万円と、前連結会計年度末に比べ252億83百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の負債合計は654億62百万円と、前連結会計年度末に比べ206億57百万円の増加となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は586億57百万円と前連結会計年度末に比べ46億26百万円の増加となりました。
当連結会計年度の経営成績は、営業収益は189億80百万円(前年度比48.8%増)、営業利益は11億59百万円、経常利益は19億41百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は29億75百万円となりました。
c.セグメント毎の経営成績
証券事業の営業収益は179億46百万円(前連結会計年度比55.8%増)、セグメント利益は15億21百万円となりました。
運用事業の営業収益は2億72百万円(同8.6%減)、セグメント損失は2億14百万円となりました。
投資事業の営業収益は8億22百万円(同16.1%減)、セグメント損失は2億21百万円となりました。
上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれており、セグメント利益は連結財務諸表の営業利益と調整を行っております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ89億75百万円増加し、227億9百万円となりました。当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動の結果獲得した資金は84億47百万円となりました。これは主に顧客分別金信託の増加、預り金の増加、信用取引負債の増加によるものです。
投資活動の結果獲得した資金は14億78百万円となりました。これは主に投資有価証券の取得、投資有価証券の売却によるものです。
財務活動の結果支出した資金は15億19百万円となりました。これは主に長期借入金の借入れ、自己株式の取得、配当金の支払によるものです。
トレーディング商品:当連結会計年度末のトレーディング商品の残高は以下のとおりです。
トレーディングのリスク管理:
トレーディング業務は、市況の変化に影響を受けやすく、取引商品の多様化並びにマーケットリスクが複雑化しておりますので、リスク管理は極めて重要と認識しております。当社グループのリスク管理の基本は、財務状況に合せたリスクを適切にコントロールすることであります。このため当社の連結子会社であるアイザワ証券株式会社では「自己計算による売買取引の実施権限に関する規程」を定め、ポジション枠、ロスカットルール、与信枠等の設定をしております。また、リスク管理は、商品部門、営業部門から独立したコンプライアンス部が掌握し、トレーディングポジションの状況は経営者に毎日報告されており、損益と合わせて報告書が月例取締役会に提出され分析・検討が行われております。
また、自己売買に関するポジション管理を目的とした、リスク管理委員会において、多様な取引手法やポジション枠の増加につきリスクをより正確に把握、監視する体制としております。
当社グループは、金融商品取引業を営む会社を中核とする企業集団であるため、「生産、受注及び販売の実績」に該当する事項はありません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
(資産合計)
当連結会計年度末の資産合計は1,241億19百万円と、前連結会計年度末に比べ252億83百万円の増加となりました。
主な要因は、現金・預金98億49百万円の増加、預託金67億24百万円の増加、信用取引資産15億17百万円の増加、投資有価証券26億26百万円の増加によるものです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は654億62百万円と、前連結会計年度末に比べ206億57百万円の増加となりました。
主な要因は、信用取引負債57億96百万円の増加、預り金120億47百万円の増加によるものです。
(純資産合計)
当連結会計年度末の純資産合計は586億57百万円と前連結会計年度末に比べ46億26百万円の増加となりました。
主な要因は、利益剰余金20億36百万円の増加、その他有価証券評価差額金27億57百万円の増加によるものです。
(営業収益)
当連結会計年度の営業収益は189億80百万円(前年度比48.8%増)となりました。営業収益のおもな内訳は次のとおりです。
1)受入手数料
当連結会計年度の受入手数料は、132億24百万円(同47.4%増)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)委託手数料
委託手数料は株式委託取引の増加により、67億35百万円(同46.2%増)となりました。
ⅱ)引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料
引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料は、国内株式の引受額の減少により10百万円(同74.8%減)となりました。
ⅲ)募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料
募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料は、投資信託の販売の増加により26億36百万円(同39.1%増)となりました。
ⅳ)その他の受入手数料
その他の受入手数料は、ファンドラップの投資顧問報酬の増加等により、38億42百万円(同58.3%増)となりました。
2)トレーディング損益
当連結会計年度のトレーディング損益は、42億87百万円(同85.0%増)となりました。科目別の概況は以下のとおりです。
ⅰ)株券
外国株国内店頭取引売買代金の増加により、36億78百万円(同123.4%増)となりました。
ⅱ)債券
外国債券の取扱いの増加により、2億3百万円(同68.4%増)となりました。
ⅲ)その他
外国為替取引から生じる損益の減少等により、4億6百万円(同26.2%減)となりました。
3)金融収益
金融収益は受取利息の増加等により6億77百万円(同46.4%増)となりました。
金融費用は信用取引費用の増加等により84百万円(同5.6%増)となりました。これにより、金融収支は5億93百万円(同54.9%増)となりました。
4)その他の営業収益
その他の営業収益は営業投資有価証券売上高の減少等により7億90百万円(同20.9%減)となりました。
なお、その他の営業費用は営業投資有価証券売上原価の増加等により7億4百万円(同52.0%増)となりました。
(販売費・一般管理費)
販売費・一般管理費は、取引関係費及び人件費の増加等により、170億31百万円(同13.6%増)となりました。
(営業外損益)
営業外収益は受取配当金4億45百万円、収益分配金1億78百万円等により8億55百万円となりました。営業外費用は支払利息41百万円、為替差損16百万円等により73百万円となりました。これにより営業外損益は7億82百万円の利益となりました。
(特別損益)
特別利益は投資有価証券売却益25億32百万円等により25億65百万円となりました。特別損失は投資有価証券償還損62百万円、減損損失76百万円等により1億81百万円となりました。これにより特別損益は23億83百万円の利益となりました。
現在、当社グループの収益は主に、株式・投資信託等の約定に伴う受入手数料及び米国株式国内店頭取引、外国債券の販売、主にアジア株式取引の際に発生する外国為替取引等のトレーディング損益に依存しております。そのため、株式・債券相場が下落又は低迷すると、流通市場の市場参加者が減少し、売買高が縮小することから当社グループの受入手数料及びトレーディング損益が減少する可能性があります。また、自己勘定で市場リスクを内包するトレーディングを行っておりますので、株価・債券価格・金利・為替その他市場価格等の変動によりトレーディング損益に影響を及ぼす可能性があります。
証券会社は経済情勢及び市況環境の変動による影響を受けやすく、その中でも当社グループは営業収益に占める株式関連収益の割合が高いことから、株式市況の影響を大きく受けております。この状況に対応するため、預り資産の増加及び安定収益(ストック収益)の増加を当社の課題としており、持続的な高収益体制の構築のため、投資一任運用サービス「アイザワSMAスーパーブルーラップ」、「アイザワ ファンドラップ」、投資信託の販売及び残高の純増を強化しております。
c. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年4月に策定した中期経営計画に基づき「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、資産形成を通じて、中間層(資産形成層)の方々を生活の不安から解放し、希望にあふれるこの国の未来を彼らが創造するための後押しをすることをミッションとしています。
具体的には、2025年3月末までに、ROE(自己資本利益率)目標を8%以上、証券事業において、固定費カバー率を50%以上、預り資産を2兆円以上とする目標を掲げております。
今後、資産形成ビジネスの確立に向け、アジア株営業の強化や地域金融機関との販売連携、IFAビジネスによるプラットフォームビジネスの構築等、他社との差別化を明確にして取り組むとともに、持株会社体制による当社グループ各社が連携し、それぞれの強みを生かすことで、早期の達成を目指してまいります。
d.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
証券事業は株式委託取引及び外国株式国内店頭取引の増加等により受入手数料及びトレーディング損益が増加し、営業収益は179億46百万円(前連結会計年度比55.8%増)、セグメント利益は15億21百万円となりました。
運用事業は運用報酬の減少に伴い、営業収益は2億72百万円(同8.6%減)、セグメント損失は2億14百万円となりました。
投資事業は営業投資有価証券売上高の減少に伴い、営業収益は8億22百万円(同16.1%減)、セグメント損失は2億21百万円となりました。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、信用取引買付代金の顧客への貸付であります。信用取引買付代金は株式市況の変動の影響を受けますが、当社グループは主に日本証券金融株式会社の貸借取引により調達しております。また、不測の事態に備え、安定的かつ機動的な財務運営を行うため、三井住友信託銀行株式会社と総額7億50百万円のコミットメントラインを設定しております。
なお、当連結会計年度における当社グループの借入金の総額は188億97百万円です。借入の内訳は金融機関等からの短期借入金60億45百万円、証券金融会社からの信用取引借入金65億5百万円、金融機関からの長期借入金63億47百万円です。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に固定資産の減損会計、税効果会計、貸倒引当金、賞与引当金、役員賞与引当金、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び法人税等であり、継続して評価を行っております。当社グループの採用した重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しております。
なお、見積り及び判断・評価については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。