売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03763 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日から12月31日まで)において、世界株式市場は、多くの不透明材料が残っているものの、年末にかけて先進国株高が鮮明になってきました。特に米国ナスダック総合指数の2023年の年間騰落率は43.4%と世界の株式市場の牽引役になりました。第4四半期(2024年1月-3月)以降は、2024年に多くの国で実施される選挙が、世界株式市場にとっての不確定要素となるものと思われます。

国内株式市場は、第3四半期(2023年10月-12月)の日経平均株価で、10月には31,000円を下回る局面がありましたが、11月、12月に 33,800円台をつけるなど、ボラティリティの大きい値動きとなりました。為替も11月13日の高値151円91銭から12月28日の安値140円25銭まで円高ドル安が進み株式市場と同様、ボラティリティの大きい展開となりました。NISAの浸透、2024年1月からの新NISA開始などによって投資家層が拡充、株式市場の下支えにつながっています。

米国株式市場は、第3四半期に、米国長期金利の見通しの変化に合わせて大きく変動しました。米国のインフレ・金利水準が高水準で維持されるとの見方から、10月下旬に10年債金利が一時5%台に達し、株式市場ではハイテクや地方銀行の株式が軟調に推移しました。一方、11月、12月には、FOMCが利上げを見送り2024年中の利下げが予想される展開となり、上記の業種が急反発、年末にかけて高値を更新する展開となりました。

アジア株式市場は、米国の長期金利上昇を受けて10月にドル高とアジア通貨安・株安が進行しましたが、11月から米国の利下げ期待が高まったことを背景に主要国の株価が持ち直しました。その中で、中国は不動産市況の悪化が景気の重石となっており、12月に開催された中央経済工作会議で大規模な景気刺激策が発表されなかったことから、上海総合指数と香港ハンセン指数は年初来安値を更新しました。一方、東南アジアは通貨安圧力とインフレ圧力が和らぎ、内需依存国であるインドネシアとフィリピンの株価指数が堅調に推移しました。ベトナムは10月にドン安や当局が金融市場から流動性資金を吸収したことが嫌気され株価が一時低迷したものの、その後輸出総額や鉱工業生産などの経済指標が改善したことで株価は戻り基調となっています。

 

このような状況の中、当社グループは「より多くの人に証券投資を通じ より豊かな生活を提供する」という経営理念のもと、資産形成ビジネスの確立に向けて取り組んでおります。今期で2期目となる中期経営計画「Define Next 100~もっとお客様のために~」は、資産形成層の方々を生活の不安から解放することをミッションとしており、2023年8月からゴールベースアプローチ型ラップサービス(愛称:スマイルゴール)の販売を始めるなど、お客様一人ひとりの人生に寄り添ったサービスの提案に尽力しています。

 

当社グループの子会社においては、証券事業を営むアイザワ証券株式会社が10月に一般社団法人保険健全化推進機構 結心会と顧客紹介契約を締結しました。保険代理店のネットワーク機構である結心会と顧客紹介契約を締結することで、今まであまり接点がなかった結心会会員各社のお客様に国内外の株式、債券、投資信託などの幅広い金融商品のご案内を行うことができるようになりました。また、11月には一般社団法人 日本金融ジェロントロジー協会に法人正会員として入会しました。「金融ジェロントロジー」とは、長寿が経済活動や社会経済に与える影響を、医学や経済学、心理学などから多面的に研究する学問のことであり、本協会への入会により、本協会が実施する研修の受講および認定試験の受験・資格取得の推奨を通じて、より一層「金融ジェロントロジー」に関する理解を深め、高齢のお客様に対する適切な金融サービスを提供するための幅広い知見と倫理観を持つ社員の育成に努めてまいります。

 

なお、2023年9月19日から2024年1月22日(受渡日ベース)の期間で自己株式40万株の取得を実施しました。

 

 

これからも当社グループは、各グループ子会社がそれぞれの強みを発揮し、連携した活動により総合金融サービスグループを目指してまいります。

 

当第3四半期連結累計期間における業績の内訳は次のとおりです。

 

 ①経営成績の状況

(受入手数料)

 株式委託取引の増加等により、受入手数料は93億47百万円(前年同期比40.7%増)となりました。

(トレーディング損益)

 外国株式国内店頭取引の増加等により、トレーディング損益は31億85百万円(同82.2%増)となりました。

(金融収支)

 金融収益は4億54百万円(同39.8%増)、金融費用は59百万円(同11.5%増)となり、差引金融収支は3億95百万円(同45.3%増)となりました。

(その他の営業収益・その他の営業費用)

営業投資有価証券売上高の減少等により、その他の営業収益は4億85百万円(同22.8%減)となりました。

営業投資有価証券売上原価の増加等により、その他の営業費用は4億99百万円(同63.6%増)となりました。

(販売費・一般管理費)

 取引関係費及び人件費の増加等により、販売費・一般管理費は123億99百万円(同10.8%増)となりました。

(営業外損益)

 営業外収益は受取配当金4億23百万円等により6億37百万円、営業外費用は支払利息29百万円等により42百万円となりました。これにより営業外損益は5億95百万円(同20.0%増)の利益となりました。

(特別損益)

 特別利益は投資有価証券売却益5億27百万円等により5億58百万円、特別損失は固定資産除却損15百万円等により30百万円となりました。これにより特別損益は5億28百万円の利益となりました。

 

 以上により、当第3四半期連結累計期間の営業収益は134億73百万円(同44.1%増)、営業利益は5億14百万円、経常利益は11億9百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は11億35百万円となりました。

 

②セグメントごとの経営成績の状況

(証券事業)

当第3四半期連結累計期間における証券事業は株式委託取引及び外国株国内店頭取引の増加等により、受入手数料及びトレーディング損益が増加し、営業収益は128億27百万円(前年同期比49.7%増)、セグメント利益は8億85百万円となりました。

(運用事業)

当第3四半期連結累計期間における運用事業は運用報酬の減少等により、営業収益は1億78百万円(同13.4%減)、セグメント損失は1億74百万円となりました。

(投資事業)

当第3四半期連結累計期間における投資事業は営業投資有価証券売上高の減少等により、営業収益は5億1百万円(同17.9%減)、セグメント損失は2億29百万円となりました。

 

なお、上記のセグメント別営業収益には、セグメント間の内部営業収益又は振替高が含まれております。

 

 

 ③財政状態の状況

(資産の状況)

当第3四半期連結会計期間末の資産合計は1,179億34百万円と、前連結会計年度末に比べ190億98百万円の増加となりました。主な要因は、現金・預金81億54百万円の増加、預託金34億72百万円の増加、営業投資有価証券9億80百万円の増加、約定見返勘定12億34百万円の増加、投資有価証券18億47百万円の増加によるものです。

(負債の状況)

当第3四半期連結会計期間末の負債合計は619億94百万円と、前連結会計年度末に比べ171億89百万円の増加となりました。主な要因は、信用取引負債17億83百万円の増加、預り金135億33百万円の増加、長期借入金8億44百万円の増加によるものです。

(純資産の状況)

当第3四半期連結会計期間末の純資産合計は559億40百万円と前連結会計年度末に比べ19億9百万円の増加となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金14億74百万円の増加、為替換算調整勘定5億76百万円の増加によるものです。

 

(2) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し

当社グループの中核事業が金融商品取引業であることから、営業収益は国内外の金融商品取引市場の変動に大きく影響を受けます。このため、当社グループの経営成績は金融商品取引市場の環境により大きく変動する可能性があります。