E04094 Japan GAAP
前期
5,060.2億 円
前期比
121.5%
株価
3,188 (04/19)
発行済株式数
209,815,421
EPS(実績)
139.07 円
PER(実績)
22.92 倍
前期
633.8万 円
前期比
102.9%
平均年齢(勤続年数)
47.5歳(26.6年)
従業員数
3,346人(連結:18,599人)
当社グループは、当社、子会社73社及び関連会社10社で構成され、主要な事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
なお、当社グループでは、「事業構造改革と事業推進体制の見直し」の一環として、グループ会社の機能強化と効率化を目的に連結子会社を再編したことに伴い、当連結会計年度よりセグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
(1) 運輸事業(31社)
(2) レジャー事業(26社)
(3) 不動産事業(4社)
(4) 流通事業(9社)
(5) その他事業(16社)
企業集団の状況について事業系統図を示すと次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限措置が緩和される中、感染拡大防止をはかりながら社会経済活動が進められ、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、緊迫する海外情勢の長期化や為替の急激な変動のほか、資源価格や物価の上昇、製品供給の制約は続いております。
当社グループにおきましては、「中期的な事業計画」を策定のうえ、事業構造改革等を通じて、強靭な経営体質の構築を進めました。また、感染症対策を継続しながら需要回復を積極的に取り込む施策を実施するとともに、グループ共通ポイント「TOBU POINT(略称“トブポ”)」をはじめとしたデジタル技術を活用したグループ収益の拡大策を強化いたしました。
2022年度の連結業績は、以下のとおりであります。
不動産事業における賃貸借契約見直しや分譲マンションの販売戸数減による減収はあるものの、旅行業におけるソーシャルイノベーション事業の拡大のほか、運輸事業における行楽や通勤利用の回復、レジャー事業における国内旅行需要や外国人旅行客の回復及び前年に営業制限があった百貨店業の回復等により増収となり、営業収益は614,751百万円(前期比21.5%増)となりました。
資源価格高騰による動力費や水道光熱費の増加のほか、前年までに抑制していた修繕費の増加はあるものの、運輸事業、レジャー事業及び流通事業の増収により、営業利益は56,688百万円(前期比129.2%増)となりました。
営業外収益については、雇用調整助成金等の助成金収入や前年計上した旅行業における受取補償金の減少等により、5,323百万円(前期比55.3%減)となりました。
営業外費用については、前年計上した旅行業における支払補償費や有利子負債返済による支払利息の減少等により7,196百万円(前期比22.0%減)となり、経常利益は54,815百万円(前期比100.0%増)となりました。
特別利益については、工事負担金等受入額の増加等により、8,735百万円(前期比189.5%増)となりました。
特別損失については、収益性が悪化した物件の減損損失や固定資産圧縮損の増加等により18,391百万円(前期比181.9%増)となりました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は45,159百万円(前期比88.9%増)を計上し、法人税等を控除した当期純利益は29,148百万円(前期比116.1%増)となりました。また、ここから非支配株主に帰属する当期純損失を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は29,179百万円(前期比116.9%増)となりました。
セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループでは、「事業構造改革と事業推進体制の見直し」の一環として、グループ会社の機能強化と効率化を目的に連結子会社を再編したことに伴い、当連結会計年度より、セグメントの区分を変更しております。これにより、前期比較については、変更後の区分にもとづいて記載しております。
各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。
(運輸事業)
鉄道業におきまして、当社では、安全・安心で暮らしやすく、そして選ばれる沿線を目指して、様々な取組みを進めております。
安全面では、竹ノ塚駅付近、清水公園~梅郷間、とうきょうスカイツリー駅付近及び春日部駅付近において高架化工事を推進したほか、大山駅付近の高架化工事着手に向けて東京都と施行協定を締結いたしました。また、ホーム上の安全対策として、竹ノ塚駅、獨協大学前<草加松原>駅及び越谷駅2・3番ホームにおいてホームドアの使用を開始いたしました。さらに、駅設備のバリアフリー化を促進するため、鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始いたしました。また、災害対策として、車両避難訓練及び異常時総合訓練、代行バス輸送訓練等を実施したほか、車内傷害事件等のテロ等不審者・不審物対応訓練を警察・消防と連携し取り組みました。
営業面では、特急スペーシアの新型車両「SPACIA X(スペーシア エックス)」について運行開始に向けたプロモーションを推進いたしました。また、相鉄新横浜線・東急新横浜線開業に合わせ、東上線から日吉駅・新横浜駅を経由して海老名駅・湘南台駅までの直通運転を開始いたしました。これにより、東海道新幹線の新横浜駅へのダイレクトアクセスが可能となり、利便性が向上いたしました。
さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で行事等が相次ぎ休止となった高校3年生を対象に、新成人としての旅立ちにエールを込めて、当社線全線に無料乗車、東京スカイツリー等3施設に無料入場できる「#みらいエールきっぷ」を贈呈したほか、冬の日光・鬼怒川エリアの魅力発信と誘客を目的とした「日光・鬼怒川エリア週末フリーデー」を実施するなど、「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指した取組みを進めました。
一方、厳しい事業環境下においても安定した利益を確保できる体制を構築すべく、これまでに策定した事業構造改革を着実に実施し、固定費の削減を行いました。
バス・タクシー業におきまして、東武バスセントラル㈱では、お客様への最適なサービスの提供と安定的なバス事業の運営のため、花畑営業所を事業区域が重なる足立営業事務所に統合し、経営資源の集約をはかりました。
運輸事業全体としては、行動制限がないことによる行楽利用の回復や、引き続き固定費の削減に努めたこと等により、営業収益は189,189百万円(前期比9.1%増)、営業利益は19,381百万円(前期比64.7%増)となりました。
(営業成績)
(提出会社の鉄道業成績)
(注) 1 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100
乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。
2 定期外旅客収入は、特急料金及び座席指定料金を含んでおります。
スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、従前の事前販売に加えて、当日WEB予約券(当日販売する時間指定券)を販売し、また、繁忙日の展望台の営業時間を拡大することで入場時の混雑緩和につなげ、入場者数の増加とお客様サービスの向上に努めました。さらに、イベント割や全国旅行支援等、政府施策の活用や人気コンテンツとのコラボレーションイベントの開催等により誘客をはかりました。
ホテル業におきまして、各ホテルでは、インバウンドの入国制限緩和や全国的な新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きに伴い、急激に回復した需要を確実に取り込みました。また、需要と供給の最適化をはかりながら、客室単価の引き上げにも注力いたしました。
旅行業におきまして、東武トップツアーズ㈱では、旅行需要の完全回復には至っていない中、旅行業で培ってきた予約管理等の後方業務のほか、会場の設営、運営力等を活かしたソリューションビジネスを推進し、自治体等の各種感染防止対策事業や認証事業を受託するなど、旅行販売以外の事業拡大により増収に努めました。
遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、人気アニメとのコラボレーション企画の開催のほか、「水上木製コースターレジーナⅡ(ドゥーエ)」をリニューアルオープンさせるとともに、「東武ワールドスクウェア」では、園内展示物等をライトアップさせたナイトミュージアム「世界の夜あそび」を開催し、誘客に努めました。
レジャー事業全体としては、前期の落込みからの回復や旅行業における収益の拡大により、営業収益は188,354百万円(前期比83.6%増)、営業利益は19,470百万円(前期は1,072百万円の営業損失)となりました。
(営業成績)
(不動産事業)
スカイツリータウン業におきまして、「東京スカイツリータウン®」では、年間を通じ開業10周年として誘客策を実施し、冬季ではイルミネーションをリニューアルしたほか、クリスマスマーケットや、4年ぶりとなるプロジェクションマッピングを実施いたしました。また、「東京ソラマチ®」では、開業以来初のフロア全面リニューアルを実施し、5階に「みんなの遊び場 ソラフルパーク」を開業させるなどさらなる誘客に努めました。さらに、「東京ミズマチ®」を一部拡大しラケットスポーツの専用施設「パデル東京ミズマチ」を誘致するなど、浅草~東京スカイツリータウンエリアの賑わいの創出をはかりました。
不動産賃貸業におきまして、当社では、居室内ワークスペースの導入等在宅ワークのニーズに対応した新築賃貸マンション「ソライエアイル越谷蒲生」を完成させ、都内に勤務する単身世帯を中心に沿線外からの流入をはかりました。また、新柏駅高架下にて、東武アーバンパークライン初の「EQUiA(エキア)」ブランドとなる商業施設「EQUiA新柏」を開業させたほか、獨協大学前エリアにて、新たな商業施設「TOBU icourt/トーブ イコート」を開業させるなど増収をはかりました。また、サテライトオフィス「Solaie +Work(ソライエプラスワーク)」においてTOBU POINTサービスとの連携によりお客様の利便性向上に努めました。
不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、分譲マンション「ソライエグラン流山おおたかの森(シーズンスクエア)」(流山市)及び「ソライエテラス(イースト)」(草加市)の販売を開始したほか、産官学連携による次世代まちづくり推進プロジェクト「BRIDGE LIFE Platform 南栗橋」(久喜市)において分譲戸建「BLP南栗橋スマートヴィラ」の販売を開始いたしました。
不動産事業全体としては、マンションの販売戸数の縮小等により、営業収益は60,915百万円(前期比2.6%減)となり、電気料金の単価増等により、営業利益は13,681百万円(前期比12.3%減)となりました。
(営業成績)
(流通事業)
百貨店業におきまして、㈱東武百貨店では、次世代のお客様にも来店いただけるように、池袋店において、百貨店初となる「DAISO」等の3ブランド複合ショップを誘致いたしました。
ストア業におきまして、㈱東武ストアでは、再開発が進む湾岸エリアに2店舗目となる晴海三丁目店を新たにオープンいたしました。また、TOBU POINTアプリの提示によるポイント付与・利用を開始し、ポイント会員の新規開拓による日常利用会員の基盤強化をはかりました。
さらに、事業構造改革の一環として、リテール事業及び商社機能を統合するグループ事業の再編を行い、競争力の強化や新事業展開による事業拡大に向けた体制を整えました。
流通事業全体としては、百貨店業における前期の臨時休業による落込みからの回復等により、営業収益は163,438百万円(前期比6.0%増)、営業利益は2,602百万円(前期は4,022百万円の営業損失)となりました。
(営業成績)
(その他事業)
建設業におきまして、東武建設㈱では、宇都宮市においてLRT軌道工事を、東武谷内田建設㈱では、墨田区において介護事業所の全階内装改修工事を、東武緑地㈱では、三郷市において商店街区の環境整備工事をそれぞれ完了させました。
そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、日光市において医療施設の清掃、警備及び設備管理業務を受注するなど増収に努めました。
その他事業全体としては、営業収益は81,902百万円(前期比4.4%増)となったものの、資材価格の高騰等により営業利益は2,646百万円(前期比22.7%減)となりました。
(営業成績)
なお、当社グループのサービス、生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
当連結会計年度末の総資産は、売掛金の増加等により1,738,195百万円となり、前連結会計年度末と比べ48,339百万円(前期比2.9%増)の増加となりました。
負債は、有利子負債は減少したものの買掛金の増加等により1,257,620百万円となり、前連結会計年度末と比べ26,984百万円(前期比2.2%増)の増加となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により480,575百万円となり、前連結会計年度末と比べ21,355百万円(前期比4.7%増)の増加となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、69,074百万円となり、前連結会計年度末に比べて23,188百万円増加しました。
当連結会計年度末に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益45,159百万円に、減価償却費53,354百万円等を加減算した結果、101,115百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益が増加したこと等により34,264百万円の資金収入の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、52,711百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて工事負担金等受入による収入が減少したこと等により21,746百万円の資金支出の増加となりました
財務活動によるキャッシュ・フローは、25,285百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて長期借入金の借入による収入が増加したこと等により9,720百万円の資金支出の減少となりました。
当社グループの資金需要は、営業取引に係る運転資金、設備投資等に係る資金、有利子負債の返済並びに配当等の資金を主としております。
設備投資につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。
短期的な運転資金は、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、取引銀行との総額90,000百万円の貸出コミットメント契約やコマーシャル・ペーパーの発行並びに、当社グループではキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しております。
また、運輸事業や流通事業を中心に日々の収入金があり、必要な流動性は確保しているとともに、十分な水準の資金を保有しております。
設備投資等の長期的な必要資金については、営業活動で得た資金に加え、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、長期安定的な資金調達を行うために、借入金のほか、社債の発行及びシンジケート・ローンの組成、リース等の多様な選択肢の中から最適な調達方法を採用しております。
同時に、年度別償還額の集中を避けることで、将来の借り換えリスクの低減に努めているとともに、金利上昇リスクに備え、固定金利と変動金利のそれぞれの負債残高のバランスを考慮しております。
また、2022年6月には、環境課題解決に資する事業の資金調達手段として、当社初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進及び沿線地域社会の持続的発展を実現していくことを目的に、調達した資金は、新型の鉄道車両及び太陽光発電システムに係る設備投資資金並びにリファイナンスに充当いたしました。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にもとづき作成されております。その作成にあたり経営者は、資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
① 株式等の投資
当社グループが保有する株式等の有価証券及びのれんについては、将来の株式市況の悪化または投資対象会社の業績不振等により時価の著しい下落が生じた際には、損失の計上が必要となる場合があります。
② 販売用不動産の評価
当社グループが保有する販売用不動産については、地価の下落や市況悪化等により時価の下落が生じた場合には、損失の計上が必要となる場合があります。
当社グループが保有する固定資産のうち、減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境に変化が生じ当初想定した収益が見込めないなど、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた仮定に変更があった場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。
④ 退職給付費用及び債務
当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率にもとづいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 繰延税金資産
当社グループは、将来の課税所得の計画にもとづき慎重にかつ実現(回収)可能な範囲において繰延税金資産を計上しておりますが、将来において既に計上している繰延税金資産の全部または一部を実現(回収)できないと判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できないと判断した繰延税金資産を取崩すとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額に加算し、当期純利益を減少させる場合があります。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない項目について、将来においてその全部または一部を実現(回収)できると判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できると判断した金額を繰延税金資産として計上するとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額から控除し、当期純利益を増加させる場合があります。