売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04147 Japan GAAP

売上高

2.73兆 円

前期

2.41兆 円

前期比

113.5%

時価総額

3.07兆 円

株価

2,702 (07/12)

発行済株式数

1,134,412,200

EPS(実績)

173.17 円

PER(実績)

15.60 倍

平均給与

725.2万 円

前期

676.5万 円

前期比

107.2%

平均年齢(勤続年数)

38.6歳(16.0年)

従業員数

39,843人(連結:68,769人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

 当社および当社の関係会社(子会社134社および関連会社70社(2024年3月31日現在)においては、運輸事業、流通・サービス事業、不動産・ホテル事業、その他の事業を行っております。各事業における当社および当社の関係会社の位置づけ等は次のとおりであります。

 なお、次の区分は「第5 経理の状況 1 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。

 

(1)運輸事業

 鉄道事業を中心とした旅客運送事業のほか、旅行業、清掃整備業、駅業務運営業、建設・設備工事業、鉄道車両製造事業および鉄道車両メンテナンス事業等を展開しております。当社の鉄道事業の営業エリアは、主として関東および東北地方の1都16県にわたり、駅数は1,629駅、営業キロは在来線が6,108.0km、新幹線が1,194.2km、総合計は7,302.2kmとなっております。当社の路線図は「第1 企業の概況 3 事業の内容」末尾に表示しております。

主な関係会社:当社(鉄道旅客運送事業等)

(自動車・鉄道旅客運輸サービス)◎ジェイアールバス関東㈱、◎東京モノレール㈱

(旅行業)           ◎㈱JR東日本びゅうツーリズム&セールス、○㈱JTB

(清掃整備業)         ◎㈱JR東日本環境アクセス

(駅業務運営業)        ◎㈱JR東日本ステーションサービス

(建設・設備工事業)      ◎JR東日本ビルテック㈱、○東鉄工業㈱、

○第一建設工業㈱、○日本電設工業㈱、

○日本リーテック㈱、○鉄建建設㈱

(鉄道車両製造事業)      ◎㈱総合車両製作所

(鉄道車両メンテナンス事業)  ◎JR東日本テクノロジー㈱

 

(2)流通・サービス事業

 小売・飲食業、卸売業、貨物自動車運送事業および広告代理業等の生活サービス事業を展開しております。

主な関係会社:当社(駅スペースの創出等)

(小売・飲食業)    ◎㈱JR東日本クロスステーション、◎JR東日本東北総合サービス㈱

(卸売業)       ◎㈱JR東日本商事

(貨物自動車運送事業) ◎㈱ジェイアール東日本物流

(広告代理業)     ◎㈱ジェイアール東日本企画

 

(3)不動産・ホテル事業

 ショッピングセンターの運営事業、オフィスビル等の貸付業、ホテル業およびこれらを展開する不動産の開発・販売事業等の生活サービス事業を展開しております。

主な関係会社:当社(ショッピングセンター・オフィスビル等の開発、ホテル業、不動産販売事業)

(ショッピングセンター運営事業) ◎㈱ルミネ、◎㈱アトレ、◎㈱ジェイアール東日本都市開発

(オフィスビル等貸付業)     ◎㈱JR東日本ビルディング

(ホテル業)           ◎日本ホテル㈱、◎仙台ターミナルビル㈱

 

(4)その他

 クレジットカード事業等のIT・Suica事業および情報処理業等を展開しております。

主な関係会社:当社(IT・Suica事業、その他)

(IT・Suica事業) ◎㈱ビューカード、◎JR東日本メカトロニクス㈱

(情報処理業)      ◎㈱JR東日本情報システム

(発電事業)       ◎JR東日本エネルギー開発㈱

(その他)        ○UQコミュニケーションズ㈱、○セントラル警備保障㈱

 

(注) ◎は連結子会社、○は持分法適用関連会社を示しております。なお、会社名は主たる事業において記載しております。

 

 以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

(注)1 ◎は連結子会社、○は持分法適用関連会社を示しております。なお、会社名は主たる事業において記載しております。

2 矢印は主な取引・サービスの提供を示しております。

 

 

路線図

 

※画像省略しています。

 

24/06/20

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、足元では足踏みもみられるものの、緩やかな回復が続きました。

 このような状況の中、当社グループは、「安全」を経営のトッププライオリティに位置づけ、「収益力向上」、「経営体質の抜本的強化」、「成長の基盤となる戦略の推進」および「ESG経営の実践」に取り組み、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けた歩みを加速してまいりました。

 「究極の安全」を実現するため、「グループ安全計画2023」の最終年度として、一人ひとりの「安全行動」および「安全マネジメント」の進化と変革に、グループ一体で取り組みました。安全設備では新幹線早期地震検知システムの改良や2021年・2022年の福島県沖地震を踏まえた新幹線耐震補強計画の見直し、鉄道駅バリアフリー料金制度を活用したホームドアなどの整備を着実に進めました。

 「収益力向上(成長・イノベーション戦略の再構築)」では、「ポストコロナ」と「インバウンド」をキーワードに、平日限定のおトクな商品「旅せよ平日!JR東日本たびキュン早割パス」の販売、インバウンド施策のさらなる拡充や訪日外国人旅行者向け鉄道パスの価格改定など、JR東日本エリアにおけるお客さまの流動促進と収益の拡大に取り組みました。また、㈱JR東日本スマートロジスティクスの設立、不動産事業の戦略的展開など、生活ソリューションにつながる事業のさらなる成長によるビジネスポートフォリオの変革に向けた施策を推進しました。

 「経営体質の抜本的強化(構造改革)」では、オフピーク定期券の浸透、メンテナンス業務におけるAIの活用をはじめとするDXの加速など、柔軟なコスト構造の実現をめざした取組みを実施しました。また、お客さまに近い場所でスピーディーに価値創造・課題解決に取り組むとともに、より柔軟な働き方を実現するため、統括センターや営業統括センターの設置を進め、系統間や現業機関と企画部門における融合と連携をさらに推進しました。

「成長の基盤となる戦略の推進」では、多様なデジタル人材の育成に向けて、DXリテラシーを牽引する専任担当であるDXプロを新たに配置するとともに、アジャイル開発の推進や生成AIなどへのガバナンス問題の対応を担う本社内組織「Digital&Dataイノベーションセンター」を新設しました。また、新卒初任給の引上げや子育て等に関する支援の拡充など、社員の意欲と多様な働き方に応える柔軟な制度・環境の整備を進めました。

 「ESG経営の実践」では、環境について、生物多様性・自然資本の保全に向けて土地固有の樹木を植えて森を再生する「ふるさとの森づくり」の取組みや、信濃川水力発電所周辺での魚道の整備などの取組みを継続してきました。また、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)が2023年9月に公表した開示提言に賛同を表明し、提言を採用する「TNFD Adopter」として2024年3月に鉄道会社として初めて登録されました。地方創生の実現に向けて、「東北の宝ものプロジェクト」や「東北復興ツーリズム推進ネットワーク」の設立、「沿線まるごとホテルプロジェクト」などを推進しました。

  今後も、グループ経営ビジョン「変革 2027」の実現に向けてグループ一体で取り組みます。

 当連結会計年度の決算については、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ホテル、ショッピングセンターの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、営業収益は前期比13.5%増の2兆7,301億円となりました。また、これに伴って営業利益は前期比145.4%増の3,451億円、経常利益は前期比167.4%増の2,966億円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比98.0%増の1,964億円となりました。

 

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

a 運輸事業

 運輸事業では、安全・安定輸送およびサービス品質の確保にグループの総力を挙げて取り組みました。

 この結果、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどにより、売上高は前期比14.1%増の1兆9,180億円となり、営業利益は1,707億円(前期は営業損失240億円)となりました。

 

b 流通・サービス事業

 流通・サービス事業では、駅を交通の拠点からヒト・モノ・コトがつながる暮らしのプラットフォームへと転換する「Beyond Stations構想」などを推進しました。

 この結果、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比14.3%増の4,156億円となり、営業利益は前期比53.1%増の540億円となりました。

 

c 不動産・ホテル事業

 不動産・ホテル事業では、大規模ターミナル駅開発や沿線開発など「くらしづくり(まちづくり)」を推進し、地域とともにまちの魅力を高めました。

 この結果、お客さまのご利用増に伴い、ホテルやショッピングセンターの売上が増加したことなどにより、売上高は前期比6.2%増の4,349億円となりましたが、不動産販売の利益が減少したことなどにより、営業利益は前期比10.2%減の1,001億円となりました。

 

d その他

 その他の事業では、Suicaの利用シーンのさらなる拡大と、シームレスでストレスフリーな移動を実現する「MaaSプラットフォーム」の拡充などに取り組みました。

 この結果、ICカード事業の売上が増加したことなどにより、売上高は前期比13.9%増の2,540億円となり、営業利益は前期比27.2%増の219億円となりました。

 

(注) 当社は、「セグメント情報等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第17号 平成22年6月30日)および「セグメント情報等の開示に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第20号 平成20年3月21日)におけるセグメント利益又は損失について、各セグメントの営業利益又は営業損失としております。

 

(参考)

当社の鉄道事業の営業実績

 当社の鉄道事業の最近の営業実績は次のとおりであります。

 

輸送実績

 

区分

単位

第36期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第37期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

営業日数

365

366

営業キロ

新幹線

キロ

1,194.2

1,194.2

在来線

6,108.0

6,108.0

7,302.2

7,302.2

客車走行キロ

新幹線

千キロ

493,528

532,998

在来線

1,717,560

1,714,971

2,211,088

2,247,969

輸送人員

定期

千人

3,184,088

3,331,650

定期外

2,139,530

2,365,793

5,323,619

5,697,444

新幹線

定期

千人キロ

1,563,002

1,670,516

定期外

14,931,346

19,560,252

16,494,348

21,230,768

在来線

関東圏

定期

54,766,761

57,474,481

定期外

31,590,035

35,912,814

86,356,796

93,387,296

その他

定期

2,697,719

2,763,384

定期外

1,929,024

2,319,661

4,626,743

5,083,046

定期

57,464,480

60,237,865

定期外

33,519,059

38,232,476

90,983,540

98,470,342

合計

定期

59,027,482

61,908,382

定期外

48,450,406

57,792,728

107,477,888

119,701,111

乗車効率

新幹線

48.1

57.7

在来線

37.8

40.9

39.1

43.2

(注)1 乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率=

輸送人キロ

×100

客車走行キロ×客車平均定員

2 「関東圏」とは、当社首都圏本部、横浜支社、八王子支社、大宮支社、高崎支社、水戸支社および千葉支社管内の範囲であります。

 

収入実績

 

区分

単位

第36期

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

第37期

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

新幹線

定期

百万円

21,207

22,551

定期外

400,721

514,875

421,929

537,427

在来線

関東圏

定期

354,175

378,800

定期外

602,127

698,784

956,302

1,077,584

その他

定期

16,141

16,513

定期外

37,389

45,054

53,530

61,568

定期

370,316

395,314

定期外

639,517

743,838

1,009,833

1,139,153

合計

定期

391,524

417,865

定期外

1,040,238

1,258,714

1,431,762

1,676,580

荷物収入

4

2

合計

1,431,767

1,676,582

鉄道線路使用料収入

5,663

5,389

運輸雑収

170,944

166,143

収入合計

1,608,376

1,848,115

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローについては、税金等調整前当期純利益の増加などにより、流入額は前連結会計年度に比べ1,063億円増の6,881億円となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローについては、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、流出額は前連結会計年度に比べ1,251億円増の6,906億円となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローについては、流入額は前連結会計年度に比べ392億円増の661億円となりました。

 なお、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ658億円増の2,808億円となりました。

 また、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆5,874億円となりました。なお、「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社および当社の連結子会社の大多数は、受注生産形態をとらない業態であります。

 なお、販売の実績については、「(1)経営成績等の状況の概要」におけるセグメントの業績に関連づけて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績

○ 営業収益

 当連結会計年度の営業収益は、鉄道の利用増やエキナカ店舗、ホテル、ショッピングセンターの売上増に伴い、すべてのセグメントで増収となったことなどにより、前期比13.5%増の2兆7,301億円(対1月業績予想181億円増)となりました。

 

 運輸事業の外部顧客への売上高は、前期比14.5%増の1兆8,536億円(対1月業績予想46億円増)となりました。

 これは、鉄道の利用増に伴い、鉄道運輸収入が増加したことなどによるものであります。

 新幹線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比28.7%増の212億人キロとなりました。定期収入は前期比6.3%増の225億円、定期外収入は前期比28.5%増の5,148億円となり、全体では前期比27.4%増の5,374億円となりました。

 関東圏の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比8.1%増の933億人キロとなりました。定期収入は前期比7.0%増の3,788億円、定期外収入は前期比16.1%増の6,987億円となり、全体では前期比12.7%増の1兆775億円となりました。

 関東圏以外の在来線に関しては、鉄道の利用増に伴い、輸送人キロは前期比9.9%増の50億人キロとなりました。定期収入は前期比2.3%増の165億円、定期外収入は前期20.5%増の450億円となり、全体では前期比15.0%増の615億円となりました。

 

 運輸事業以外の事業の外部顧客への売上高については、以下のとおりであります。

 流通・サービス事業では、お客さまのご利用増に伴い、エキナカ店舗の売上が増加したことなどにより、前期比15.8%増の3,796億円(対1月業績予想46億円増)となりました。

 不動産・ホテル事業では、お客さまのご利用増に伴い、ホテルやショッピングセンターの売上が増加したことなどにより、前期比6.2%増の4,058億円(対1月業績予想88億円増)となりました。

 その他の事業では、ICカード事業の売上が増加したことなどにより、前期比18.4%増の910億円(対1月業績予想0億円増)となりました。

 

○ 営業費用

 営業費用は、前期比5.3%増の2兆3,849億円となりました。営業収益に対する営業費用の比率は、前連結会計年度の94.2%に対し、当連結会計年度は87.4%となりました。

 運輸業等営業費及び売上原価は、前期比4.6%増の1兆7,656億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。

 販売費及び一般管理費は、前期比7.3%増の6,193億円となりました。これは、物件費が増加したことなどによるものであります。

 

○ 営業利益

 営業利益は、前期比145.4%増の3,451億円(対1月業績予想351億円改善)となりました。営業収益に対する営業利益の比率は、前連結会計年度の5.8%に対し、当連結会計年度は12.6%となりました。

 

○ 営業外損益

 営業外収益は、前期比30.6%減の291億円となりました。これは、持分法による投資利益が減少したことなどによるものであります。

 営業外費用は、前期比8.2%増の777億円となりました。これは、支払利息が増加したことなどによるものであります。

 

○ 経常利益

 経常利益は、前期比167.4%増の2,966億円(対1月業績予想446億円改善)となりました。営業収益に対する経常利益の比率は、前連結会計年度の4.6%に対し、当連結会計年度は10.9%となりました。

 

○ 特別損益

 特別利益は、前期比56.4%減の406億円となりました。これは、受取補償金や工事負担金等受入額が減少したことなどによるものであります。

 特別損失は、前期比16.6%減の631億円となりました。これは、工事負担金等圧縮額が減少したことなどによるものであります。

 

○ 税金等調整前当期純利益

 税金等調整前当期純利益は、前期比113.5%増の2,740億円となりました。営業収益に対する税金等調整前当期純利益の比率は、前連結会計年度の5.3%に対し、当連結会計年度は10.0%となりました。

 

○ 親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、税金等調整前当期純利益の増加などにより、前期比98.0%増の1,964億円(対1月業績予想314億円改善)となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の87.79円に対し、当連結会計年度は173.82円となりました。また、当連結会計年度の営業収益に対する親会社株主に帰属する当期純利益の比率は、前連結会計年度の4.1%に対し、当連結会計年度は7.2%となりました。

 

b 財政状態

 当連結会計年度末の資産残高は前連結会計年度末に比べ4,195億円増の9兆7,714億円、負債残高は前連結会計年度末に比べ1,780億円増の7兆322億円、純資産残高は前連結会計年度末に比べ2,415億円増の2兆7,392億円となりました。

 運輸事業においては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央快速線等グリーン車導入に伴う工事などに4,366億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は7兆2,549億円となりました。

 流通・サービス事業においては、仙台駅北部高架下開発など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などに225億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は3,903億円となりました。

 不動産・ホテル事業においては、TAKANAWA GATEWAY CITYや大井町駅周辺広町地区開発(仮称)、JR青森駅東口ビルなど、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などに2,256億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆9,820億円となりました。

 その他の事業においては、システム開発などに288億円の投資を行ったことなどにより、当連結会計年度末の資産残高は1兆1,741億円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a キャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,063億円増加し、6,881億円の流入となりました。これは、税金等調整前当期純利益の増加などによるものであります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より1,251億円増加し、6,906億円の流出となりました。これは、有形及び無形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものであります。

 なお、設備投資の概要は以下のとおりです。

 運輸事業に関しては、大規模地震対策やホームドア整備、車両新造、中央快速線等グリーン車導入などの設備投資を実施しました。流通・サービス事業に関しては、仙台駅北部高架下開発など、新規店舗の展開や既存店舗の改良などを行いました。不動産・ホテル事業に関しては、TAKANAWA GATEWAY CITYや大井町駅周辺広町地区開発(仮称)、JR青森駅東口ビルなど、ショッピングセンターやオフィスビル、ホテルの建設などの設備投資を実施しました。その他の事業においては、システム開発などの設備投資を実施しました。

 また、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度より187億円減少し、25億円の流出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度より392億円増加し、661億円の流入となりました。

 なお、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末の2,150億円から658億円増加し、2,808億円となりました。

 

b 財務政策

 グループ経営ビジョン「変革 2027」の早期実現に向けて、設備投資に関して、成長投資においては、収益力向上や生産性向上に資する投資を積極的に実施します。維持更新投資においては、大規模地震対策やホームドア整備など安全のレベルアップに資する投資を引き続き着実に進めるとともに、安全の確保を大前提とした投資の選択と集中を徹底します。さらに、「脱炭素社会」実現などの社会的課題の解決、地域社会など多様なステークホルダーへの貢献、長期的視点での生産性向上や業務変革をめざし、地方創生やDXなどの設備投資を厳選して実施します。2023年度から2027年度まで総額3兆8,900億円の投資を計画しています。また、株主還元については、中長期的に総還元性向40%を目標とし、配当性向は30%をめざすこととしております。このために必要な資金については、営業キャッシュ・フローによるほか、社債の発行や金融機関からの借入等による資金調達を行っており、連結有利子負債残高は、連結営業収益、利益に応じた水準とすることを中長期的な考え方としております。具体的には、ネット有利子負債/EBITDAを中期的に5倍程度、長期的に3.5倍程度とすることをめざしております。

 「ネット有利子負債」とは、連結有利子負債残高から連結現金及び現金同等物の期末残高を差し引いた数値であり、当連結会計年度末のネット有利子負債残高は4兆5,874億円となりました(なお、当連結会計年度末の有利子負債残高は4兆8,682億円であります)。また、「EBITDA」とは、連結営業利益に連結減価償却費を加えた数値であり、当連結会計年度のEBITDAは7,373億円となりました。

 当社グループはキャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行い、連結ベースでの資金効率の向上に努めております。また、グループ間決済の相殺やグループ内の支払業務を集約する支払代行制度などの資金管理手法を採用しております。

 当社は、健全な財務体質の維持・向上および十分な手元流動性の確保を基本方針に置き、社債の発行や金融機関からの借入等により資金調達を行っております。また、金利上昇リスクの抑制を目的とし、支払金利の固定化や、調達年限の長期化による支払金利の長期固定化を行っております。さらに、年度ごとの債務償還額の抑制および平準化に資する年限選択を行うことで、将来の借換リスク抑制を図っております。

 当社は、当連結会計年度に国内において償還期限を2033年から2073年の間とする11本の無担保普通社債を総額1,480億円発行いたしました。これらの社債については、㈱格付投資情報センターよりAA+の格付けを取得しております。また、海外において償還期限を2032年および2043年とする2本の無担保普通社債を総額13億ユーロ(2,060億円)発行いたしました。これらの社債は、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン㈱よりA+、ムーディーズ・ジャパン㈱よりA1の長期債格付けを取得しております。その他、金融機関から1,083億円の長期資金を借り入れました。

 新幹線鉄道施設に関連する鉄道施設購入長期未払金は、元利均等半年賦支払であり、年利6.55%の固定利率により2051年9月30日までに支払われる3,107億円であります。

 このほか、当連結会計年度末現在、東京モノレール㈱が2億円の鉄道施設購入長期未払金を有しております。

 

 短期資金の需要に対応するため、当連結会計年度末現在、主要な銀行に総額3,600億円の当座借越枠を設定しております。また、コマーシャル・ペーパーについては、当連結会計年度末現在、㈱格付投資情報センターよりa-1+、㈱日本格付研究所よりJ-1+の短期債(CP)格付けを取得しております。なお、当連結会計年度末における当座借越残高およびコマーシャル・ペーパーの発行残高はありません。さらに、当連結会計年度末現在、銀行からのコミットメント・ライン(一定の条件のもと契約内での借入れが自由にできる融資枠)を600億円設定しておりますが、当連結会計年度末におけるコミットメント・ラインの使用残高はありません。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成に当たっては、連結決算日における資産・負債および当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、財政状態および経営成績に重要な影響を与える可能性がある項目は以下のとおりです。

 

a 繰延税金資産の回収可能性

 繰延税金資産の回収可能性に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

b 固定資産の減損

 固定資産の減損に関する仮定に関しては、「第5 経理の状況 1 (1) 連結財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。

 

c 退職給付債務の見積り

 従業員の退職給付債務は、割引率、昇給率、退職率、死亡率等の数理計算上の前提条件を用いて見積りを行っております。数理計算上の前提条件と実績が異なる場合または前提条件の変更があった場合は、翌連結会計年度の退職給付債務の見積りに影響を与える可能性があります。