西日本旅客鉄道株式会社

ブランドなど:JR西日本日本旅行JR京都伊勢丹
陸運業鉄道プライムTOPIX Large70

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04148 Japan GAAP

売上高

1.40兆 円

前期

1.03兆 円

前期比

135.3%

時価総額

1.47兆 円

株価

3,018 (04/18)

発行済株式数

488,003,200

EPS(実績)

181.41 円

PER(実績)

16.64 倍

平均給与

596.5万 円

前期

566.7万 円

前期比

105.3%

平均年齢(勤続年数)

38.1歳(14.9年)

従業員数

21,727人(連結:44,897人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

 当社及び当社の関係会社(子会社146社及び関連会社22社)が営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。

 なお、事業内容の区分については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][注記事項]」に掲げる「[セグメント情報]」における事業区分と同一であります。

 

(1)運輸業

 鉄道事業のほかに、旅客自動車運送事業及び船舶事業を展開しております。

 鉄道事業のうち、当社は、北陸、近畿、中国及び九州北部の2府16県の広いエリアを営業範囲として、新幹線、在来線の特急を中心とする都市間輸送及び京阪神都市圏や広島、岡山等の地方中核都市を中心とする地域での都市圏輸送等を行っております。

 

事業の内容

主要な関係会社

鉄道事業

当社、嵯峨野観光鉄道㈱、関西高速鉄道㈱※、大阪外環状鉄道㈱※

旅客自動車運送事業

中国ジェイアールバス㈱、西日本ジェイアールバス㈱

船舶事業

JR西日本宮島フェリー㈱

 

(2)流通業

 百貨店業のほかに、主要駅における物販・飲食業等を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

百貨店業

㈱ジェイアール西日本伊勢丹

物販・飲食業

当社、㈱ジェイアール西日本デイリーサービスネット、

㈱ジェイアール西日本フードサービスネット、

㈱ジェイアールサービスネット広島、㈱ジェイアールサービスネット岡山、

㈱ジェイアールサービスネット金沢、㈱ジェイアールサービスネット福岡、

㈱ジェイアール西日本ファッショングッズ

各種物品等卸売業

ジェイアール西日本商事㈱

その他流通業

JR西日本山陰開発㈱

 

(3)不動産業

 保有不動産を活用した不動産販売・賃貸業のほかに、ショッピングセンター運営業を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

不動産販売・賃貸業

当社、JR西日本不動産開発㈱、京都駅ビル開発㈱、大阪ターミナルビル㈱、

JR西日本プロパティーズ㈱

ショッピングセンター運営業

JR西日本SC開発㈱、JR西日本京都SC開発㈱、富山ターミナルビル㈱、

山陽SC開発㈱、金沢ターミナル開発㈱、JR西日本アーバン開発㈱、

中国SC開発㈱、㈱和歌山ステーションビルディング、

㈱新大阪ステーションストア、JR西日本大阪開発㈱

 

(4)その他

 保有資産を活用したホテル業や広告業、鉄道事業と相乗効果の高い旅行業、建設事業等を営んでおります。

 

事業の内容

主要な関係会社

ホテル業

㈱ジェイアール西日本ホテル開発、㈱ホテルグランヴィア広島、

㈱ホテルグランヴィア大阪、㈱ホテルグランヴィア岡山、

和歌山ターミナルビル㈱、㈱奈良ホテル

旅行業

㈱日本旅行

貸自動車業

JR西日本レンタカー&リース㈱

広告業

㈱JR西日本コミュニケーションズ

車両等設備工事業

㈱JR西日本テクノス、㈱JR西日本新幹線テクノス

機械等設備工事業

㈱JR西日本テクシア

電気工事業

西日本電気テック㈱、西日本電気システム㈱、㈱てつでん

土木・建築等コンサルタント業

ジェイアール西日本コンサルタンツ㈱

空間情報コンサルタント事業

アジア航測㈱※

清掃整備事業

㈱JR西日本メンテック、㈱JR西日本中国メンテック、㈱JR西日本金沢メンテック

情報サービス業

建設事業

㈱JR西日本ITソリューションズ、鉄道情報システム㈱※

大鉄工業㈱、㈱レールテック、㈱ジェイアール西日本ビルト、広成建設㈱※

その他

㈱ジェイアール西日本リネン、㈱ジェイアール西日本総合ビルサービス、

㈱ジェイアール西日本マルニックス、JR西日本フィナンシャルマネジメント㈱、㈱JR西日本カスタマーリレーションズ、㈱JR西日本交通サービス、

㈱JR西日本中国交通サービス、㈱ジェイアール西日本ウェルネット、

㈱JR西日本イノベーションズ

 

(注)※ 持分法適用関連会社であります。

 

 以上に述べた事項の概要図は、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

(注)1 ※ 持分法適用関連会社であります。

2 各事業の区分ごとの会社名は主たる事業内容により記載しております。

 

※画像省略しています。

 

23/06/26

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

 当連結会計年度においては、想定以上に長引いた新型コロナウイルス感染症の影響の縮小に伴い、お客様のご利用や個人消費が回復するとともに、コスト節減等の構造改革や需要喚起策を実施しました。

 その結果、「中期経営計画2022」見直しで掲げた数値目標には達しなかったものの、営業収益は前期比35.3%増の1兆3,955億円、営業利益は839億円、経常利益は736億円となり、加えて、昨年4月に認定された事業適応計画に基づく税制特例により繰越欠損金に係る繰延税金資産の未計上額435億円を計上したことに伴い、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は885億円となりました。

 これをセグメント別に示すと次のとおりとなります。

 

① 運輸業

 当社グループは、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き被害に遭われた方々への真摯な対応、安全性向上への弛まぬ努力を積み重ねるとともに、このような重大な事故を二度と発生させないとの決意のもと、最終年度となる「JR西日本グループ鉄道安全考動計画2022」(以下、「安全考動計画2022」)に基づき、ハード、ソフト両面における安全性向上の取り組みや、安全マネジメントの仕組みづくりを進めてきました。

 こうした中、「安全考動計画2022」の振り返りと、1月に発生させた降積雪に伴う大規模輸送障害における安全マネジメント上の課題等を踏まえ、より一層の安全性向上の取り組みを実践する「安全考動計画2027」を3月に策定しました。「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識して安全性向上に取り組むよう、安全に対する向きあい方を深め、「お客様から安心、信頼していただける鉄道」を築きあげていきます。

 当連結会計年度においても、ホームの安全対策として、在来線のご利用の多い駅等におけるホーム柵の整備等を引き続き進め、京都駅、三ノ宮駅の一部ホームでホーム柵の使用を開始しました。また、3月に開業した大阪駅(うめきたエリア)では世界初のフルスクリーンホームドアの使用を開始しました。さらに、茨木駅の一部ホーム、放出駅及び福島駅の全てのホームでホーム安全スクリーンの使用を開始しました。

 激甚化する自然災害への対策としては、引き続き斜面防災対策や、降雨時運転規制へのレーダー雨量活用をはじめとした豪雨対策を実施しました。山陽新幹線における地震対策については、耐震補強対策及び逸脱防止対策を全線に拡大することを決定し、そのうち、主要な対策は2027年度末までの完了をめざし、着実に整備を進めました。在来線における建物・高架橋等の耐震補強等についても、計画に基づき着実に整備を進めました。

 加えて、新型コロナウイルス感染症の拡大防止については、お客様の安全を最優先に、より安心してご利用いただくためのさまざまな取り組みを行いました。今後も安全・安心に十分留意しつつ、各エリアの状況に応じた需要回復策、行動様式やお客様の意識の変化を捉えた新たな施策の展開に取り組んでいきます。

 

(需要回復に向けた主な具体的取り組み)

・「サイコロきっぷ」の発売(昨年7月、9月及び1月)

・「西日本グリーンきっぷ(特別版)」の発売(1月)

・「西日本どこまで4DAYS(在来線乗り放題)」の発売(2月)

・「大阪駅(うめきたエリア)開業記念きっぷ」の発売(2月)

 

(新たな価値創造へ向けた主な具体的取り組み)

・岡山県新見市におけるICOCAを活用した地域ポイント事業の開始(昨年10月)

・グループ共通の新たなポイントサービス「WESTERポイント」の開始(3月)

・大阪駅(うめきたエリア)における「顔認証改札機」の実証実験開始、AIによる自動応対機能を搭載した「みどりの券売機プラス+AI」の導入(3月)

・「モバイルICOCA for Android™」のサービス開始(3月)

 

 運輸業セグメントでは、鉄道需要の回復によりご利用が増加したことから、営業収益は前期比37.9%増の7,503億円、営業利益は244億円となりました。

 

② 流通業

 流通業については、各業界団体において作成されたガイドライン(以下、「ガイドライン」)を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めてきました。

 昨年7月には、大阪駅の駅ナカ商業施設「エキマルシェ大阪」をグランドオープンしました。また、1月には、㈱ジェイアール西日本フードサービスネットがスターバックス コーヒー ジャパン㈱とのライセンス契約を締結しました。

 流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」については、昨年11月に「ヴィアインプライム」ブランドを立ち上げ、「ヴィアインプライム赤坂<茜音の湯>」を開業しました。

 流通業セグメントでは、感染状況の一定程度の落ち着き等による鉄道需要の回復に伴いコンビニエンスストアや百貨店等の売上が増加したこと、全国旅行支援による旅行需要の押し上げ効果等により流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」や土産店において売上が増加したこと等により、営業収益は前期比36.4%増の1,694億円、営業利益は56億円となりました。

 

③ 不動産業

 不動産業についても、流通業と同様に、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めてきました。

 ショッピングセンター運営業では、「ルクア大阪」や「天王寺ミオ」、「マリエとやま」等の商業施設において、変化する消費者の利用シーンに対応する店揃えやコンテンツを強化し、リニューアルを行いました。

 不動産販売・賃貸業では、販売事業の拡大、「JR金沢駅西第四NKビル」(昨年8月)や「VIERRA蒔田」(横浜市、同10月)の開業等、賃貸事業の強化を進めるとともに、私募リート事業の参画に向けアセットマネジメント業務を行うJR西日本不動産投資顧問㈱を設立しました(同7月)。

 不動産業セグメントでは、不動産販売・賃貸業において、投資家向け販売が増加したこと等により、営業収益は前期比12.5%増の1,700億円、営業利益は同22.2%増の367億円となりました。

 

④ その他

 ホテル業及び旅行業についても、「ガイドライン」を踏まえ、感染症対策を十分に実施し、安心してご利用いただけるように努めてきました。

 旅行業において、非旅行部門の「ソリューション事業」として、国や自治体よりワクチン接種関連事業等を受託するとともに、ツーリズム事業のデジタル化に向け、㈱野村総合研究所とのアライアンス契約を締結しました(2月)。

 その他セグメントでは、全国旅行支援による旅行需要の押し上げ効果や、旅行業において国内旅行収入やワクチン接種関連事業受託等の附帯事業収入が増加したこと等により、営業収益は前期比44.5%増の3,056億円、営業利益は同480.8%増の172億円となりました。

 

 

 運輸業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。

ア.輸送実績

 

区分

単位

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

前事業年度比

営業日数

365

キロ程

新幹線

キロ

812.6

812.6

 

在来線

キロ

(28.0)

4,090.5

(28.0)

4,090.5

 

キロ

(28.0)

4,903.1

(28.0)

4,903.1

 

客車走行キロ

新幹線

千キロ

529,327

102.1

在来線

千キロ

746,695

101.3

 

千キロ

1,276,022

101.6

 

輸送人員

定期

千人

1,043,937

103.2

 

定期外

千人

597,301

129.9

 

千人

1,641,238

111.6

 

新幹線

定期

千人キロ

869,067

105.4

 

定期外

千人キロ

15,424,692

172.9

 

千人キロ

16,293,759

167.2

 

定期

千人キロ

16,259,468

104.1

 

定期外

千人キロ

8,539,545

136.1

 

千人キロ

24,799,014

113.3

 

定期

千人キロ

3,503,288

102.0

 

定期外

千人キロ

3,296,060

147.4

 

千人キロ

6,799,348

119.9

 

定期

千人キロ

19,762,757

103.8

 

定期外

千人キロ

11,835,606

139.0

 

千人キロ

31,598,363

114.7

 

合計

定期

千人キロ

20,631,824

103.8

 

定期外

千人キロ

27,260,298

156.4

 

千人キロ

47,892,123

128.4

 

乗車効率

新幹線

39.4

24.0

 

在来線

33.8

29.9

 

35.5

28.1

 

(注)1 キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前事業年度比は、前事業年度末の数値を記載しております。

2 客車走行キロ数には、試運転、営業回送を含めておりません。

3 輸送人キロ欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。

4 乗車効率欄の前事業年度比は、前事業年度の数値を記載しております。

なお、乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率 =

輸送人キロ

客車走行キロ × 客車平均定員(標準定員)

 

イ.収入実績

 

区分

単位

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

前事業年度比

新幹線

定期

百万円

11,186

105.2

定期外

百万円

340,492

169.4

 

百万円

351,679

166.2

 

定期

百万円

101,512

103.7

 

定期外

百万円

155,268

137.6

 

百万円

256,781

121.9

 

定期

百万円

21,672

102.0

 

定期外

百万円

64,407

146.2

 

百万円

86,080

131.8

 

定期

百万円

123,185

103.4

 

定期外

百万円

219,676

140.0

 

百万円

342,862

124.2

 

合計

定期

百万円

134,372

103.5

 

定期外

百万円

560,169

156.5

 

百万円

694,541

142.4

 

荷物収入

百万円

1

88.5

 

合計

百万円

694,543

142.4

 

鉄道線路使用料収入

百万円

4,578

98.2

 

運輸雑収

百万円

65,102

110.4

 

収入合計

百万円

764,223

138.6

 

(注) 旅客収入欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。

 

(2) 資産、負債及び純資産の状況

 当連結会計年度末の総資産額は、3兆7,355億円となり、前連結会計年度末と比較し330億円増加しました。これは主に、繰延税金資産の増加によるものです。

 負債総額は、2兆5,911億円となり、前連結会計年度末と比較し370億円減少しました。これは主に、借入金の減少によるものです。

 純資産総額は、1兆1,443億円となり、前連結会計年度末と比較し700億円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ297億円減の2,898億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益が増加したこと等から、営業活動において得た資金は2,739億円(前連結会計年度は864億円の支出)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 固定資産の売却による収入が減少したこと等から、投資活動において支出した資金は2,149億円(前連結会計年度は1,887億円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 借入金の返済を行ったこと等から、財務活動において支出した資金は887億円(前連結会計年度は3,846億円の収入)となりました。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

 当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」という。)の大多数は、受注生産形態を取らない業態であります。このため、生産、受注及び販売の状況については、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]」における各事業のセグメント別経営成績に関連付けて示しております。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1) [連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かしたさまざまな施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてきました。

 当連結会計年度においては、想定以上に長引いた新型コロナウイルス感染症の影響の縮小に伴い、お客様のご利用や個人消費が回復するとともに、コスト節減等の構造改革や需要喚起策を実施したことにより営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加しました。

ア.営業収益

 営業収益は、前連結会計年度に比べ35.3%、3,644億円増加の1兆3,955億円となりました。

 運輸業セグメントについては、当社の運輸収入が、鉄道需要の回復に伴い増加したこと等により、営業収益は前連結会計年度に比べ37.9%、2,061億円増加の7,503億円となりました。

 このうち、新幹線については、前連結会計年度に比べ66.2%、1,400億円増加の3,516億円となりました。

 在来線については、前連結会計年度に比べ24.2%、668億円増加の3,428億円となりました。

 流通業セグメントについては、鉄道需要の回復に伴い、コンビニエンスストアや百貨店等の売上が増加したこと、全国旅行支援による旅行需要の押し上げ効果等により、前連結会計年度に比べ36.4%、452億円増加の1,694億円となりました。

 不動産業セグメントについては、不動産販売・賃貸業において、投資家向け販売が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ12.5%、188億円増加の1,700億円となりました。

 その他セグメントについては、全国旅行支援による旅行需要の押し上げ効果や、旅行業において国内旅行収入やワクチン接種関連事業受託等の附帯事業収入が増加したこと等により、前連結会計年度に比べ44.5%、941億円増加の3,056億円となりました。

 

 

 

イ.営業費

 資源価格高騰の影響に伴う動力費の増加や発売手数料等の業務費の増加等により、前連結会計年度に比べ14.0%、1,613億円増加の1兆3,115億円となりました。

ウ.営業損益

 営業損益は、前連結会計年度に比べ2,030億円改善し、839億円の利益となりました。

エ.営業外損益

 営業外損益については、雇用調整助成金の受入の減少等により、前連結会計年度に比べ83億円減少し、103億円の損失となりました。

オ.経常損益

 経常損益は、前連結会計年度に比べ1,946億円改善し、736億円の利益となりました。

カ.特別損益

 特別損益については、固定資産売却益の減少等により、前連結会計年度に比べ162億円悪化し、7億円の損失となりました。

キ.親会社株主に帰属する当期純損益

 親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ2,017億円改善し、885億円の利益となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

ア.収益に影響する要因

[運輸業]

 運輸業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。

 新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向等に影響を受けます。

 近畿圏の収入は通勤・通学客が多いことから、経済情勢の影響を受けにくいと考えておりますが、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。

 その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。

[流通業]

 流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。しかし、駅は比較的安定したご利用があるため、当セグメントの収益は同業他社に比べ、これらの影響は少ないと考えております。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。

[不動産業]

 不動産業セグメントの収入は、主に駅やその周辺施設の賃貸収入、沿線におけるマンションの分譲販売により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響を受けることや、マンション分譲事業の販売数の増減により業績が変動するものの、賃貸事業において、駅は比較的安定したご利用があり、テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺オフィスを好むことから、同業他社に比べ、経済情勢による影響は少ないと考えております。

 

[その他]

 その他セグメントの収入は、主としてホテル業及び旅行業によるものです。ホテル業の収益は、経済情勢や宿泊料金、他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されます。また、旅行業による収入は主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロ等旅行を妨げる状況により影響を受けます。

 その他セグメントには、ホテル業、旅行業のほか、建設事業、広告業等がありますが、そのほとんどが基幹事業である鉄道事業の顧客基盤、駅及びその他の施設の強化を目的としたものであります。

 

イ.費用に影響する要因

[人件費]

 当社は、構造改革を推進しつつ、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は1,866億円となっております。

 人財確保については、新卒採用に加えて、近年の雇用の流動性の高まりが今後も継続することを念頭に、さまざまな経験を有する社会人の方の採用を行い、さらに多様性のある企業グループの構築を図っております。当事業年度においては新卒採用及び社会人採用等合計約300名の採用を行いました。

 また、年齢構成により退職者数が多い中で、高年齢層の人財を確保し、一層円滑な技術継承を図ること及び高年齢者雇用安定法への対応の観点から、定年後の再雇用制度を設定しております。

[物件費]

 当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良等により、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。

 しかしながら、福知山線列車事故の責任とその重大性及び新幹線重大インシデントを重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、当分の間、安全性の向上に必要となる費用の増加が想定されます。

 また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化等による費用の増加も想定されます。

 さらに、電気料金の値上げによる費用の増加が想定されます。

[線路使用料等]

 当社は、JR東西線を関西高速鉄道株式会社から借り受けており、2004年度以降の線路使用料の年額については、3年度毎に協議し、金利変動等を勘案して決定することとなっております。また、2021年度以降の線路使用料については減額を行い、当事業年度の費用は105億円となっております。

[支払利息]

 営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために長期債務残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については208億円となり、前連結会計年度に比べ6億円減少しております。

 

④ 流動性と資本の源泉

ア.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

イ.資本需要と設備投資

 当社グループは、当連結会計年度において総額2,382億円の設備投資を実施し、そのうち運輸業では1,735億円、流通業、不動産業及びその他では、38億円、587億円及び20億円をそれぞれ実施しました。運輸業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。

 さらに、福知山線列車事故の責任とその重大性及び新幹線重大インシデントを重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、安全をより一層高めるために必要な運転保安設備の整備等ハード対策を盛り込むとともに、今後もさまざまな検討を行うこととしております。

 

ウ.資金調達

 資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金等のうち当社グループのフリー・キャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金等、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。

 また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債やコミットメントライン等で賄うことを基本としております。

 なお、コミットメントラインの一部については、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能な契約内容となっております。

 

エ.流動性

 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、前連結会計年度まで早め厚めの資金調達を行い、また、当連結会計年度においては経営状況が改善したことにより鉄道事業を中心に日々の収入金も確保していることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。

 一方で、資金効率向上は企業経営にとって極めて重要と認識しており、その一環として、2002年10月からキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を導入し、グループ内資金の有効活用を図っております。