西日本旅客鉄道株式会社

ブランドなど:JR西日本日本旅行JR京都伊勢丹
陸運業鉄道プライムTOPIX Large70

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04148 Japan GAAP

売上高

1.64兆 円

前期

1.40兆 円

前期比

117.2%

時価総額

1.42兆 円

株価

2,918 (07/16)

発行済株式数

488,003,200

EPS(実績)

202.38 円

PER(実績)

14.42 倍

平均給与

665.1万 円

前期

596.5万 円

前期比

111.5%

平均年齢(勤続年数)

37.7歳(14.3年)

従業員数

21,314人(連結:44,366人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3 【事業の内容】

 当社及び当社の関係会社(子会社143社及び関連会社22社)が営んでいる主要な事業内容は、次のとおりであります。

 なお、事業内容の区分については、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][注記事項]」に掲げる「[セグメント情報]」における事業区分と同一であります。

 また、当連結会計年度より、セグメント区分を変更しております。詳細は、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表][注記事項](セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(1)モビリティ業

 鉄道事業のほかに、旅客自動車運送事業及び船舶事業を展開しております。

 鉄道事業のうち、当社は、北陸、近畿、中国及び九州北部の2府16県の広いエリアを営業範囲として、新幹線、在来線の特急を中心とする都市間輸送及び京阪神都市圏や広島、岡山等の地方中核都市を中心とする地域での都市圏輸送等を行っております。

 そのほか、各種工事業、清掃整備事業等を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

鉄道事業

当社、嵯峨野観光鉄道㈱、関西高速鉄道㈱※、大阪外環状鉄道㈱※

旅客自動車運送事業

中国ジェイアールバス㈱、西日本ジェイアールバス㈱

船舶事業

JR西日本宮島フェリー㈱

貸自動車業

JR西日本レンタカー&リース㈱

車両等設備工事業

㈱JR西日本テクノス、㈱JR西日本新幹線テクノス

機械等設備工事業

㈱JR西日本テクシア

電気工事業

西日本電気テック㈱、西日本電気システム㈱、㈱てつでん

清掃整備事業

㈱JR西日本メンテック、㈱JR西日本中国メンテック、㈱JR西日本金沢メンテック

建設事業

大鉄工業㈱、㈱レールテック、㈱ジェイアール西日本ビルト、広成建設㈱※

その他

㈱ジェイアール西日本リネン、㈱JR西日本カスタマーリレーションズ、

㈱JR西日本交通サービス、㈱JR西日本中国交通サービス

 

(2)流通業

 百貨店業のほかに、主要駅における物販・飲食業等を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

百貨店業

㈱ジェイアール西日本伊勢丹

物販・飲食業

当社、㈱ジェイアール西日本デイリーサービスネット、

㈱ジェイアール西日本フードサービスネット、

㈱ジェイアールサービスネット広島、㈱ジェイアールサービスネット岡山、

㈱ジェイアールサービスネット金沢、㈱ジェイアールサービスネット福岡、

㈱ジェイアール西日本ファッショングッズ

各種物品等卸売業

ジェイアール西日本商事㈱

 

 

(3)不動産業

 保有不動産を活用した不動産販売・賃貸業のほかに、ショッピングセンター運営業、ホテル業を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

不動産販売・賃貸業

当社、JR西日本不動産開発㈱、京都駅ビル開発㈱、大阪ターミナルビル㈱、

JR西日本プロパティーズ㈱、JR西日本不動産投資顧問㈱

ショッピングセンター運営業

JR西日本SC開発㈱、JR西日本京都SC開発㈱、富山ターミナルビル㈱、

山陽SC開発㈱、金沢ターミナル開発㈱、JR西日本アーバン開発㈱、

中国SC開発㈱、㈱和歌山ステーションビルディング、

㈱新大阪ステーションストア、JR西日本大阪開発㈱、JR西日本山陰開発㈱

ホテル業

㈱ジェイアール西日本ホテル開発、㈱ホテルグランヴィア広島、

㈱ホテルグランヴィア大阪、㈱ホテルグランヴィア岡山、

和歌山ターミナルビル㈱、㈱奈良ホテル

 

(4)旅行・地域ソリューション業

 旅行・地域ソリューション業を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

旅行・地域ソリューション業

㈱日本旅行

 

(5)その他

 広告業等を展開しております。

 

事業の内容

主要な関係会社

広告業

㈱JR西日本コミュニケーションズ

土木・建築等コンサルタント業

ジェイアール西日本コンサルタンツ㈱

空間情報コンサルタント事業

アジア航測㈱※

情報サービス業

㈱JR西日本ITソリューションズ、鉄道情報システム㈱※

その他

㈱ジェイアール西日本総合ビルサービス、㈱ジェイアール西日本マルニックス、

JR西日本フィナンシャルマネジメント㈱、㈱ジェイアール西日本ウェルネット、

㈱JR西日本イノベーションズ

 

(注)※ 持分法適用関連会社であります。

 

 以上に述べた事項の概要図は、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

(注)1 ※ 持分法適用関連会社であります。

2 各事業の区分ごとの会社名は主たる事業内容により記載しております。

 

※画像省略しています。

 

24/06/20

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の概要

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響の縮小に伴い、お客様のご利用や個人消費が回復するとともに、インバウンド需要も好調に推移しました。

 その結果、営業収益は前期比17.2%増の1兆6,350億円、営業利益は同114.1%増の1,797億円、経常利益は同127.4%増の1,673億円、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は、前年度の事業適応計画に基づく税制特例の反動があったものの同11.6%増の987億円となりました。

 今後とも、「長期ビジョン」、「中期経営計画2025」に基づき、鉄道の安全性向上を最優先に、外部環境の変化を捉えた需要喚起策を講じるとともに、事業構造改革を着実に推進していきます。また、北陸新幹線金沢・敦賀間の開業効果を最大化するとともに、令和6年能登半島地震の被災地の復旧・復興が加速するよう、引き続き地域の皆様と連携して取り組んでいきます。

 

 これをセグメント別に示すと次のとおりとなります。

 なお、当連結会計年度より、セグメント区分及びその集計方法の一部を変更しており、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後のセグメント区分に基づき作成したものを記載しております。

 

① モビリティ業

 当社グループは、2005年4月25日に福知山線列車事故を発生させたことを踏まえ、引き続き、被害に遭われた方々へ真摯に対応してまいります。また、昨年4月にスタートした「安全考動計画2027」に基づき、「お客様を想い、ご期待にお応えする」ことを強く意識して安全性の向上に取り組むよう、安全に対する向きあい方を深め、組織風土として醸成すること等に取り組んでいます。

 当連結会計年度においても、ホームの安全対策として、在来線のご利用の多い駅等におけるホーム柵の整備等を引き続き進め、三ノ宮駅、西明石駅の一部ホームでホーム柵の使用を開始しました。また、京橋駅の一部ホームでホームと車両の段差や隙間を縮小する整備を実施し、芦屋駅、新大阪駅等ではホーム安全スクリーンの使用を開始しました。加えて、さらなる安全性の維持、向上のため、車両側面カメラの映像から列車に接近するお客様を自動で検知し、運転士に通知するシステムの検証を開始しています。

 激甚化する自然災害への対策としては、斜面防災対策や降雨時運転規制へのレーダー雨量活用をはじめとした豪雨対策を引き続き実施しました。山陽新幹線における地震対策については、耐震補強対策及び逸脱防止対策を全線に拡大すべく、主要な対策は2027年度末までの完了をめざし、着実に整備を進めました。在来線における建物・高架橋等の耐震補強等についても、計画に基づき着実に整備を進めました。

 さらに、環境負荷軽減のため鉄道運行への再生可能エネルギー導入によるCO2排出量削減の取り組みを進めるとともに、水素利活用(駅等の鉄道アセットを活用した総合水素ステーションの設置、線路敷を活用したパイプラインによる水素輸送等)の検討を開始しました。

 当連結会計年度における、需要創出及び新たな価値創造へ向けた主な具体的取り組みは以下のとおりです。

 

・コワーキングスペース等の予約プラットフォーム「+PLACE」のサービス開始(4月)

・「サイコロきっぷ」の発売(5月、8月及び12月)

・「Apple PayのICOCA」のサービス開始(6月)

・兵庫デスティネーションキャンペーンにおけるデジタルパスの発売(6月)

・自動運転・隊列走行BRT開発プロジェクトの専用テストコースでの実証実験完了(7月)、公道実証実験の実施(11月~2月)

・国内初の鉄道事業者連携による広域型MaaSアプリ「KANSAI MaaS」のリリース(9月)

・新たなEXサービスの導入(「EX旅先予約」、「EX旅パック」、新幹線の1年前予約)(10月)

・着座サービスの拡充(大和路線・おおさか東線における「快速 うれしート」の導入(10月)、通勤特急「らくラクやまと」の運行開始(3月))

・年末年始期間の東海道・山陽新幹線「のぞみ」号全席指定席化(12月~1月)

・令和6年能登半島地震を踏まえた北陸を応援する取り組み(「北陸おでかけtabiwaパス」の利用条件緩和・特別価格での発売(2月)、北陸駅ナカキャンペーンの実施(3月~))

・定期券WEB申込サービス「マイ・テイキ」の開始(3月)

 

 上記のほか、当社グループの技術、ノウハウをベースにしたビジネスの拡大にも取り組んできました。

 

 モビリティ業セグメントでは、鉄道需要の回復によりご利用が増加したことに加え、インバウンド需要が好調に推移したこと等から、営業収益は前期比18.3%増の9,864億円、営業利益は同244.3%増の1,144億円となりました。

 

② 流通業

 流通業セグメントでは、スターバックス コーヒー ジャパン㈱とのライセンス契約1号店「スターバックス コーヒー JR京都駅 西口店」を10月にオープンしました。また、11月には大阪・関西万博オフィシャルストアを「エキマルシェ新大阪」内にオープンしました。3月には、北陸新幹線金沢・敦賀間開業に合わせ、新たに整備された小松駅から敦賀駅までの6駅において駅ナカ店舗を開業しました。

 流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」については、9月に「ヴィアインプライム札幌大通<鈴蘭の湯>」を開業しました。

 流通業セグメントでは、コンビニエンスストアや土産店、「ヴィアイン」のご利用が好調であったことや、構造改革の進捗等により、営業収益は前期比18.7%増の1,970億円、営業利益は同138.1%増の130億円となりました。

 

③ 不動産業

 不動産業セグメントのうちショッピングセンター運営業では、「ルクア大阪」や「京都ポルタ」、「天王寺ミオ」等の商業施設において、店揃えやコンテンツを強化するリニューアルを行いました。また、3月には、北陸新幹線金沢・敦賀間開業に合わせ福井駅に商業施設「くるふ福井駅」を開業したほか、大阪駅(うめきたエリア)地上部施設名称を「うめきたグリーンプレイス」に決定し、2025年春の開業に向け準備を進めています。

 不動産販売・賃貸業では、不動産アセットマネジメント分野の強化のため、9月にJR西日本プライベートリート投資法人の運用を開始しました。また、10月には、不動産管理運営の強化のためJR西日本不動産マネジメント㈱を設立しました。さらに、収益用不動産の取得、販売や海外不動産事業の強化等にも努めました。

 ホテル業では、「大阪ステーションホテル、オートグラフ コレクション」の開業準備を推進するとともに、新しい広島駅ビルに開業するホテルの名称を「ホテルグランヴィア広島サウスゲート」に決定しました。

 不動産業セグメントでは、ショッピングセンター運営業、ホテル業においてご利用が堅調に推移したこと等により、営業収益は前期比6.2%増の2,177億円、営業利益は同17.5%増の406億円となりました。

 

④ 旅行・地域ソリューション業

 旅行・地域ソリューション業セグメントのうちツーリズム事業では、楽天グループ㈱が運営する「楽天トラベル」と提携し、1月に「JR楽パック赤い風船」の販売を開始しました。ソリューション事業では、地域の社会課題の解決への取り組みの一環として、㈱トータルブレインケアと生涯現役社会の実現に向けた資本業務提携契約を締結しました。

 旅行・地域ソリューション業セグメントでは、旅行需要の回復、各地域の誘客事業等の受託等により、営業収益は前期比26.4%増の2,060億円、営業利益は同29.1%増の78億円となりました。

 

 モビリティ業のうち、当社の鉄道事業の営業成績は以下のとおりであります。

ア.輸送実績

 

区分

単位

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

前事業年度比

営業日数

366

キロ程

新幹線

キロ

937.7

812.6

 

在来線

キロ

(28.0)

3,959.8

(28.0)

4,090.5

 

キロ

(28.0)

4,897.5

(28.0)

4,903.1

 

客車走行キロ

新幹線

千キロ

553,348

104.5

在来線

千キロ

763,251

102.2

 

千キロ

1,316,599

103.2

 

輸送人員

定期

千人

1,063,247

101.8

 

定期外

千人

668,488

111.9

 

千人

1,731,736

105.5

 

新幹線

定期

千人キロ

917,691

105.6

 

定期外

千人キロ

19,175,193

124.3

 

千人キロ

20,092,884

123.3

 

定期

千人キロ

16,574,683

101.9

 

定期外

千人キロ

10,066,940

117.9

 

千人キロ

26,641,623

107.4

 

定期

千人キロ

3,504,664

100.0

 

定期外

千人キロ

3,796,928

115.2

 

千人キロ

7,301,592

107.4

 

定期

千人キロ

20,079,347

101.6

 

定期外

千人キロ

13,863,868

117.1

 

千人キロ

33,943,216

107.4

 

合計

定期

千人キロ

20,997,039

101.8

 

定期外

千人キロ

33,039,062

121.2

 

千人キロ

54,036,101

112.8

 

乗車効率

新幹線

46.5

39.4

 

在来線

35.5

33.8

 

38.9

35.5

 

(注)1 キロ程欄の上段括弧書は、外数で第三種鉄道事業のキロ程であり、それ以外は第一種鉄道事業及び第二種鉄道事業のキロ程であります。また、前事業年度比は、前事業年度末の数値を記載しております。

2 客車走行キロ数には、試運転、営業回送を含めておりません。

3 輸送人キロ欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。

4 乗車効率欄の前事業年度比は、前事業年度の数値を記載しております。

なお、乗車効率は次の方法により算出しております。

乗車効率 =

輸送人キロ

客車走行キロ × 客車平均定員(標準定員)

 

イ.収入実績

 

区分

単位

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

 

前事業年度比

新幹線

定期

百万円

11,703

104.6

定期外

百万円

436,039

128.1

 

百万円

447,743

127.3

 

定期

百万円

105,875

104.3

 

定期外

百万円

188,393

121.3

 

百万円

294,268

114.6

 

定期

百万円

21,928

101.2

 

定期外

百万円

76,654

119.0

 

百万円

98,582

114.5

 

定期

百万円

127,803

103.7

 

定期外

百万円

265,047

120.7

 

百万円

392,851

114.6

 

合計

定期

百万円

139,507

103.8

 

定期外

百万円

701,087

125.2

 

百万円

840,595

121.0

 

荷物収入

百万円

1

80.5

 

合計

百万円

840,596

121.0

 

鉄道線路使用料収入

百万円

4,713

102.9

 

運輸雑収

百万円

70,491

108.3

 

収入合計

百万円

915,801

119.8

 

(注) 旅客収入欄の近畿圏は、京都府(南部)、大阪府(一部を除く)、兵庫県(南部)、滋賀県、奈良県(一部を除く)及び三重県(一部)について記載しております。

 

(2) 資産、負債及び純資産の状況

 当連結会計年度末の総資産額は、3兆7,779億円となり、前連結会計年度末と比較し424億円増加しました。これは主に、固定資産の増加によるものです。

 負債総額は、2兆5,529億円となり、前連結会計年度末と比較し382億円減少しました。これは主に、社債の減少によるものです。

 純資産総額は、1兆2,249億円となり、前連結会計年度末と比較し806億円増加しました。これは主に、利益剰余金の増加によるものです。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ566億円減の2,332億円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 税金等調整前当期純利益が増加したこと等から、営業活動において得た資金は3,183億円(前連結会計年度は2,739億円の収入)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 固定資産の取得による支出が増加したこと等から、投資活動において支出した資金は2,436億円(前連結会計年度は2,149億円の支出)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 社債の償還を行ったこと等から、財務活動において支出した資金は1,316億円(前連結会計年度は887億円の支出)となりました。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

 当社及びその連結子会社(以下「当社グループ」という。)の大多数は、受注生産形態を取らない業態であります。このため、生産、受注及び販売の状況については、「4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析]」における各事業のセグメント別経営成績に関連付けて示しております。

 

(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、基幹事業である鉄道事業において安全性の向上に全力で取り組むとともに、その他のグループ事業においては、各事業の特性を活かしたさまざまな施策の展開及び保有資産の有効活用等に努めてきました。

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の影響の縮小に伴い、お客様のご利用や個人消費が回復するとともに、インバウンド需要も好調に推移したことにより営業収益、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益のいずれも増加しました。

ア.営業収益

 営業収益は、前連結会計年度に比べ17.2%、2,394億円増加の1兆6,350億円となりました。

 モビリティ業セグメントについては、当社の運輸収入が、鉄道需要の回復に伴い増加したこと等により、営業収益は前連結会計年度に比べ18.3%、1,526億円増加の9,864億円となりました。

 このうち、新幹線については、前連結会計年度に比べ27.3%、960億円増加の4,477億円となりました。

 在来線については、前連結会計年度に比べ14.6%、499億円増加の3,928億円となりました。

 流通業セグメントについては、コンビニエンスストアや土産店、流通業セグメントに区分される宿泊特化型ホテル「ヴィアイン」のご利用が好調であったことに加え、構造改革の進捗等により、前連結会計年度に比べ18.7%、310億円増加の1,970億円となりました。

 不動産業セグメントについては、ショッピングセンター運営業、ホテル業においてご利用が堅調に推移したこと等により、前連結会計年度に比べ6.2%、128億円増加の2,177億円となりました。

 旅行・地域ソリューション業セグメントについては、旅行需要の回復、各地域の誘客事業等の受託等により、前連結会計年度に比べ26.4%、430億円増加の2,060億円となりました。

イ.営業費

 WESTER関連経費や発売手数料等の業務費の増加等により、前連結会計年度に比べ11.0%、1,437億円増加の1兆4,552億円となりました。

ウ.営業利益

 営業利益は、前連結会計年度に比べ114.1%、957億円増加の1,797億円となりました。

エ.営業外損益

 営業外損益については、雇用調整助成金の受入の減少等により、前連結会計年度に比べ20億円減少し、123億円の損失となりました。

 

オ.経常利益

 経常利益は、前連結会計年度に比べ127.4%、937億円増加の1,673億円となりました。

カ.特別損益

 特別損益については、線区整理損失引当金の繰入等により、前連結会計年度に比べ214億円減少し、222億円の損失となりました。

キ.親会社株主に帰属する当期純利益

 親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ11.6%、102億円増加の987億円となりました。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因

ア.収益に影響する要因

[モビリティ業]

 モビリティ業セグメントは鉄道運輸収入が大宗を占めております。鉄道運輸収入は、主に鉄道利用者数により左右され、航空機を含めた他の輸送モード、同業他社との競争や、経済情勢、少子高齢化等、多くの要因により影響を受けます。また、鉄道利用者は、安全性、信頼性をベースに、所要時間・ネットワーク性・運賃・快適性を基準として選択を行うと考えております。

 新幹線の収入は、主として、ビジネスや観光旅行客の数に左右され、経済環境や航空機との競争、訪日観光客の動向等に影響を受けます。

 近畿圏の収入は通勤・通学客が多いことから、経済情勢の影響を受けにくいと考えておりますが、少子高齢化や都市化等の人口推移による影響を受けると考えております。

 その他在来線のうち、都市間輸送の収入は経済情勢や高速バス、自家用車との競争による影響を受けます。また、ローカル線の収入は自家用車との競争や地域の経済情勢及び人口の推移による影響を受けます。

[流通業]

 流通業セグメントの収入は、主に百貨店業、物品販売業及び飲食業からの収入で構成されております。当セグメントの収入は、経済情勢及び他の百貨店、物販店舗、レストランとの競争に左右されます。当セグメントの事業の多くが駅やその周辺で行われているため、鉄道輸送量も影響を受ける要因です。しかし、駅は比較的安定したご利用があるため、当セグメントの収益は同業他社に比べ、これらの影響は少ないと考えております。また、新規店舗の開発や既存店舗の廃止によっても左右されます。

[不動産業]

 不動産業セグメントの収入は、主に駅やその周辺施設の賃貸収入、沿線におけるマンションの分譲販売、ホテル業により得られます。当セグメントは、経済情勢の影響を受けることや、マンション分譲事業の販売数の増減により業績が変動するほか、ホテル業の収益は、宿泊料金や他ホテルとの競争、訪日観光客の動向に影響されるものの、賃貸事業において、駅は比較的安定したご利用があり、テナントは立地の利便性から駅構内及びその周辺オフィスを好むことから、同業他社に比べ、経済情勢による影響は少ないと考えております。

[旅行・地域ソリューション業]

 旅行・地域ソリューション業セグメントの収入は、主に他旅行業者との競争、経済情勢やテロ等旅行を妨げる状況により影響を受けます。

 

イ.費用に影響する要因

[人件費]

 当社は、構造改革を推進しつつ、新規採用等により事業運営に必要な社員数を確保してきております。当事業年度の人件費は2,044億円となっております。

 人財確保については、新卒採用だけでなく、近年の雇用の流動性の高まりが今後も継続することを念頭に、社会人採用の拡充やカムバック採用の導入等、幅広いチャネルを設定することで、さらに多様性のある人財ポートフォリオへの転換を図ります。当事業年度においては新卒採用及び社会人採用等合計約1,100名の採用を行いました。

 また、年齢構成により退職者数が多い中で、一層円滑な技術継承を図ること等の観点から、従来の定年退職後の再雇用制度に加え、2023年度から新たに65歳以上の再雇用制度も実施しております。

[物件費]

 当社は、鉄道事業の特徴である、(ⅰ)多くの設備を有し、安全の確保のために必要なメンテナンスに係るコストの比重が大きい、(ⅱ)収益に連動しない「固定費用」の割合が高いなどの事情から、安全性の確保を大前提として、メンテナンスが容易な車両及び設備の導入、機械化、既存のインフラの改良等により、これらの経費を構造的に削減する取り組みを行っております。

 しかしながら、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、当分の間、安全性の向上に必要となる費用の増加が想定されます。

 また、対抗輸送機関との競争力向上のため、サービスレベルの向上、販売促進のためのIT化、効率化に寄与する外注化等による費用の増加も想定されます。

 さらに、電気料金の値上げによる費用の増加が想定されます。

[線路使用料等]

 当社は、JR東西線を関西高速鉄道株式会社から借り受けており、2004年度以降の線路使用料の年額については、3年度毎に協議し、金利変動等を勘案して決定することとなっております。また、2021年度以降の線路使用料については減額を行い、当事業年度の費用は105億円となっております。

[支払利息]

 営業外費用のうち、重要なものとして支払利息があります。当社グループとしては、経営の安定性を保つために長期債務残高や支払利息の水準を注視しております。当連結会計年度の当社グループの支払利息については201億円となり、前連結会計年度に比べ7億円減少しております。

 

③ 流動性と資本の源泉

ア.キャッシュ・フロー

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「第2[事業の状況] 4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析] (3) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

イ.資本需要と設備投資

 当社グループは、当連結会計年度において総額2,611億円の設備投資を実施し、そのうちモビリティ業では1,699億円、流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業及びその他では、26億円、856億円、7億円及び21億円をそれぞれ実施しました。モビリティ業に関する設備投資においては、安全性の向上を中心とした鉄道インフラの整備や、老朽車両の更新等を目的とした新型車両の購入を行っております。流通業、不動産業、旅行・地域ソリューション業及びその他における当社グループの設備投資においては、新設備の建設や老朽設備の改築等を行っております。

 さらに、福知山線列車事故の責任とその重大性を重く受け止め、安全で安心・信頼していただける鉄道を築き上げるために全力で取り組んでいるところであり、安全をより一層高めるために必要な運転保安設備の整備等ハード対策を盛り込むとともに、今後もさまざまな検討を行うこととしております。

 

ウ.資金調達

 資金調達については、既存債務の返済資金や設備投資資金等のうち当社グループのフリー・キャッシュ・フローで賄いきれない分の調達を主としており、その調達手段は社債及び銀行等からの長期借入金等、市場動向や金利動向等を総合的に勘案しながら決定しております。

 また、短期的に資金を必要とする場合には、主として短期社債やコミットメントライン等で賄うことを基本としております。

 なお、コミットメントラインについては、地震が発生した場合でも、あらかじめ定めた条件によって資金調達が可能な契約内容となっております。

 

エ.流動性

 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、早め厚めの資金調達を行ってきたことに加え、当連結会計年度においては経営状況が改善したことにより日々の収入金も確保していることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。

 一方で、資金効率向上は企業経営にとって極めて重要と認識しており、その一環として、2002年10月からキャッシュ・マネジメント・サービス(CMS)を導入し、グループ内資金の有効活用を図っております。