E04110 Japan GAAP
前期
4,946.4億 円
前期比
83.2%
株価
2,503.5 (07/12)
発行済株式数
79,360,186
EPS(実績)
311.53 円
PER(実績)
8.04 倍
前期
574.9万 円
前期比
106.3%
平均年齢(勤続年数)
46.4歳(18.6年)
従業員数
4,502人(連結:18,687人)
当社グループは、当社、子会社79社及び関連会社43社で構成され、その営んでいる主な事業内容は次のとおりです。
(注) 1 上記事業部門ごとの会社数には当社が重複して表示され、それぞれを1社として取り扱っています。
2 上記の会社はすべて当社の連結子会社です。
3 当社を中心とした西鉄グループにおいて、グループ経営を推進するため、定期的に西鉄グループ経営戦略会議を開催しています。
4 当連結会計年度に、グループ経営の更なる効率化を図るため、「不動産業」の西鉄ビルマネージメント㈱は「その他」の西鉄電設工業㈱を吸収合併しました。この組織再編に伴い、従来西鉄電設工業㈱が行っていた事業は「その他」から「不動産業」へ変更しています。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
(1) 経営成績
(連結経営成績)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行等によって社会・経済活動の正常化が進み、雇用・所得環境の改善の下、緩やかな回復基調の中で推移しました。一方で、為替相場の変動や原材料・エネルギー価格の高騰、物価上昇など、先行き不透明な状況が続いています。
このような情勢のなか、当社グループでは、長期ビジョン「まち夢ビジョン2035」の実現に向けた第1ステップである第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)の目標達成に向け、各施策に取り組みました。
この結果、当社グループにおける当連結会計年度の営業収益は、運輸業やレジャー・サービス業で需要が回復したこと等により増収となった一方、物流業における国際物流事業で輸送需要の低迷による輸出入取扱高の減少等により4,116億4千9百万円(前期比 16.8%減)となり、営業利益は258億7千7百万円(前期比 1.0%減)となりました。
経常利益は、持分法による投資損失の増加等により245億3千8百万円(前期比 12.1%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、不動産流動化による信託受益権や西新パレスの売却等による固定資産売却益の計上などにより247億2千3百万円(前期比 34.6%増)となりました。
その結果、当連結会計年度の経営成績は以下のとおりとなりました。
なお、連結損益計算書の主要項目ごとの前連結会計年度との主な増減要因等は、次のとおりです。
① 営業収益及び営業利益
当連結会計年度の営業収益は、運輸業やレジャー・サービス業で需要が回復したことなどにより増収となった一方、物流業における国際物流事業で輸送需要の低迷による輸出入取扱高の減少等により、前連結会計年度から829億9千3百万円減少し、4,116億4千9百万円(前期比 16.8%減)となりました。
営業利益は、前連結会計年度から2億7千3百万円減少し、258億7千7百万円(前期比 1.0%減)となりました。
セグメントごとの営業収益及び営業利益は、次のとおりです。
当連結会計年度に、吸収合併を伴う連結子会社の組織再編を実施し、一部連結子会社において、セグメントの区分を変更しています。
なお、前連結会計年度のセグメント情報については、当該変更後の区分に基づき作成したものを開示しています。
② 営業外損益及び経常利益
営業外収益は、為替差益の減少等により、前連結会計年度から1億3千3百万円減少し、45億1千2百万円となりました。
営業外費用は、持分法による投資損失の増加等により前連結会計年度から29億5千6百万円増加し、58億5千1百万円となりました。
この結果、経常利益は、前連結会計年度から33億6千3百万円減少し、245億3千8百万円(前期比 12.1%減)となりました。
③ 特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は、不動産流動化による信託受益権や西新パレスの売却等による固定資産売却益の増加があった一方、鉄道事業における天神大牟田線連続立体交差事業の一部完了に伴う受託工事金受入額の減少などもあり、前連結会計年度から525億3千1百万円減少し、250億7千2百万円となりました。
特別損失は、鉄道事業における天神大牟田線連続立体交差事業の一部完了に伴う固定資産圧縮損の減少などもあり、前連結会計年度から676億7千6百万円減少し、101億8千2百万円となりました。
この結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度から117億8千2百万円増加し、394億2千8百万円(前期比 42.6%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度から63億5千5百万円増加し、247億2千3百万円(前期比 34.6%増)となりました。
鉄道事業では、雑餉隈〜下大利駅間連続立体交差事業を推進し、雑餉隈駅〜春日原駅間に新駅「桜並木駅」を開業しました。また、天神大牟田線においてダイヤ改正を実施し、春日原駅を特急停車駅としたほか、平日朝ラッシュ時間帯の混雑率の平準化を図るため、同時間帯の急行列車の一部を西鉄平尾駅・高宮駅に停車するなど、利用実態やニーズに見合ったダイヤとしました。観光列車「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」においては、ダイヤ改正とあわせて太宰府と柳川・大牟田を巡るコースを設定するなど、運行コースの見直しを行い、観光需要の創出と収益力の強化に努めました。また、より安全・あんしんな輸送サービスを提供していくため、福岡(天神)駅のホームドア整備、西鉄久留米駅、高宮駅周辺の耐震補強工事を進めました。そのほか、天神大牟田線の駅集中管理方式の対象駅を拡大するなど、駅運営体制の見直しを行い、駅業務の省力化を推進しました。
バス事業では、持続可能な公共交通ネットワークを提供するため、当社および西鉄バス北九州㈱、西鉄バス二日市㈱、西鉄バス宗像㈱、北九西鉄タクシー㈱において運賃改定を実施しました。また、本運賃改定に合わせ、75歳以上を対象とした「グランドパス75」、年齢や時間帯、曜日等の制限なく、福岡都市圏の路線バスが全線乗り放題となる定期券「ふくとくパス」等、新商品の発売を開始するなど、収益力の強化に努めました。さらに、深刻化する乗務員不足の解消を図るため、祝金等一時金制度の導入や老朽化した営業所施設の建替え等乗務員の待遇改善を推進しました。そのほか、カーボンニュートラルの実現に向けて、レトロフィット電気バスの製作・導入を進めたほか、次世代バイオディーゼル燃料を使用した路線バスの実証運行を実施しました。
経営成績については、鉄道事業及びバス事業で、需要の回復による旅客人員の増加に加え、鉄道事業における鉄道駅バリアフリー料金制度を適用したことや、バス事業における運賃改定(2024年1月実施)の効果などにより増収となりました。その結果、運輸業の営業収益は777億2千1百万円(前期比 7.8%増)、営業利益は37億6千6百万円(前期は営業利益7千6百万円)となりました。
※バス事業の内部取引を除くと8.5%の増となります。
賃貸事業では、福ビル街区建替プロジェクトにおいて、新ビルの名称を「ONE FUKUOKA BLDG.(ワン・フクオカ・ビルディング)」に決定し、オフィス・商業のテナントの誘致や、開業に向けた運営計画の構築等の準備に取り組んだほか、CIC(ケンブリッジ・イノベーション・センター)とともに新たなビジネスやイノベーションの創出を促す「CIC Fukuoka(シーアイシー・フクオカ)」の開設を決定しました。また、天神のまちづくりを推し進めるとともに、雑餉隈〜下大利駅間連続立体交差事業に伴う駅周辺開発および店舗開発を進めるなど、沿線の活性化と収益の拡大を図りました。
住宅事業では、「つくばグランヴィラ」、「グランド・サンリヤン甲子園三番町」等、首都圏、関西圏でのマンションの供給・販売に努めました。また、アメリカ、フィリピン等において現地デベロッパーと共同で住宅開発を行うなど、海外における不動産事業の拡大を図りました。
経営成績については、賃貸事業で、ホテル事業の経営体制変更に伴うグループ内賃貸収入(セグメント間取引)の増加や商業施設の賃貸収入が回復したことなどにより増収となりました。また、住宅事業で、分譲マンション「つくばグランヴィラ」等の販売や、前期に比べ販売単価の上昇等もあり増収となりました。これらの結果、不動産業の営業収益は859億4千5百万円(前期比 10.0%増)、営業利益は111億5千8百万円(前期比 35.1%増)となりました。
イ 業種別営業成績
ロ 分譲販売区画数
ストア事業では、西鉄久留米駅構内において「レガネット久留米タミー」、「やりうどん久留米店」等をリニューアルオープンするなど、収益力の強化に努めました。
生活雑貨販売業では、「雑貨館インキューブイオンモール直方店」(2024年4月26日開業)の出店準備を進めるなど、収益の拡大を図りました。
経営成績については、ストア事業で、前期に開業した新規店舗の寄与や仕入価格高騰による販売価格への転嫁が進んだことなどにより増収となりました。その結果、流通業の営業収益は709億8百万円(前期比2.8%増)、営業利益は9億6千5百万円(前期は営業利益8千7百万円)となりました。
業種別営業成績
④ 物流業
国際物流事業では、インドネシア、ベトナム、アメリカに新たな拠点を展開するなど海外ネットワークの拡充を進めたほか、半導体産業の集積が進む熊本地区において、阿蘇くまもと空港発着の輸出入貨物の取り扱いを開始するなど、収益の拡大を図りました。また、機動的な入札対応およびプロキュアメント戦略(集中購買による原価低減)を推進するなど、収益力の強化を図りました。さらに、サステナブル経営の基本方針に基づき「NNRグローバル・ロジスティクスサステナビリティレポート」を開示したほか、国際物流事業本部ホームページ上にCO2排出量の算出ツール「NNR CO2 Calculator」を公開するなど、脱炭素化実現につながる取り組みを実施しました。
経営成績については、国際物流事業で、輸送需要の低迷による輸出入取扱高の減少等により減収となりました。その結果、物流業の営業収益は1,288億1千8百万円(前期比 44.4%減)、営業利益は45億2千8百万円(前期比 73.5%減)となりました。
イ 業種別営業成績
ロ 国際貨物取扱高
※TEU:20フィートの海上輸送コンテナを1単位とした換算個数
ホテル事業では、経営主体を当社から㈱西鉄ホテルズに移行し、経営および事業運営を一体化するなど、構造改革の取り組みを進めました。また、「西鉄ホテルクルーム博多祇園櫛田神社前」、「ソラリア西鉄ホテル台北西門」を開業したほか、「西鉄ホテルクルームバンコクシーロム」の開業準備を進めました。さらに、新たに6店舗に自動チェックイン機を導入し、業務効率化を進めました。
娯楽事業では、水族館「マリンワールド海の中道」において当施設の開業35周年に合わせ、「アイランドステージ」「ペンギンビーチ」の2つの新エリアを開設するなど、収益力の強化に努めました。
経営成績については、ホテル事業で、需要の回復による稼働率及び客室単価の上昇や「西鉄ホテルクルーム博多祇園櫛田神社前」の開業(2023年4月)などにより増収となりました。その結果、レジャー・サービス業の営業収益は450億4千7百万円(前期比 37.7%増)、営業利益は46億3千2百万円(前期は営業利益8千4百万円)となりました。
業種別営業成績
※ホテル事業の内部取引を除くと61.9%の増となります。
ICカード事業では、インバウンド旅客の増加に伴い、福岡空港や博多港でICカードnimocaの販売強化に努めたほか、建設関連事業では、設計事務所、既存顧客、建設会社等へ新規工事受注に向けて積極的な営業を行うとともに、公共工事への入札にも参加し、「アイランドシティ地区小学校プール棟新築工事」を受注するなど、収益の拡大に努めました。
経営成績については、車両整備関連事業で受注が増加したことなどにより、その他の営業収益は303億9千1百万円(前期比 1.0%増)、営業利益は17億8千5百万円(前期比 60.6%増)となりました。
業種別営業成績
(2) 財政状態
(注)有利子負債は、借入金 + 社債により算出しています。
資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が減少した一方、有形固定資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ412億7百万円増加し、7,270億2百万円となりました。
負債は、有利子負債が減少した一方、支払手形及び買掛金の増加等により、前連結会計年度末に比べ72億4千9百万円増加し、4,911億6千3百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等による利益剰余金やその他有価証券評価差額金の増加等により、前連結会計年度末に比べ339億5千7百万円増加し、2,358億3千9百万円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ38億1千4百万円減少し、687億4千5百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益394億2千8百万円、減価償却費183億6百万円、売上債権の減少額(収入)132億1千9百万円等により622億1千3百万円の収入となり、前連結会計年度に比べ184億3千7百万円の収入増となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出560億4千8百万円、貸付けによる支出42億7千8百万円等により、420億2千8百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ174億2千8百万円の支出増となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の純減による支出221億5百万円、配当金の支払額29億5千8百万円等により、259億5千9百万円の支出となり、前連結会計年度に比べ67億9千5百万円の支出増となりました。
当社グループの資金調達については、鉄道事業における設備投資に対する㈱日本政策投資銀行からの借入金のほか、社債および民間金融機関からの借入金等、市場環境や金利動向等を総合的に勘案しながら行っています。
なお、当社グループでは資金効率向上のため、キャッシュマネジメントシステム(CMS)を導入しています。
資金の流動性については、当社グループは、運輸業や流通業を中心に日々の収入金があることから、必要な流動性資金は十分に確保しており、これらの資金をCMSにより集中管理することでグループ内において有効に活用しています。
資金の配分方針については、手許現金及び現金同等物は、売上高の約1ヶ月分程度を安定的な経営のための適正な水準としています。
成長投資については、2023年度は「第16次中期経営計画(2023年度~2025年度)」に沿って、ONE FUKUOKA BLDG.新築工事やにしてつ関東ロジスティックスセンター新設等を進めました。2024年度は「第16次中期経営計画2024年度計画」に沿って、ONE FUKUOKA BLDG.新築工事や(仮称)台東区柳橋1丁目計画新築工事等について着実に進めてまいります。投資計画の詳細については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」をご参照ください。
株主還元については、経営における重要課題の一つと考えており、当社は、株主の皆様への安定した利益還元を重視し、適切な内部留保の確保による財務体質及び経営基盤の強化を図りながら、安定的・継続的な配当を実施することを利益配分についての方針としています。当社の配当政策については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご確認ください。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。
この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当社グループの各事業において提供するサービスや製品は多種多様であり、同じセグメント内のサービスや製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではないため、生産、受注及び販売の実績について、セグメントごとに生産規模あるいは数量で示すことはしていません。
そのため、生産、受注及び販売の状況については、「(1) 経営成績」における各セグメント業績に関連付けて示しています。