E04123 Japan GAAP
前期
274.0億 円
前期比
100.2%
株価
757 (04/25)
発行済株式数
30,445,500
EPS(実績)
30.97 円
PER(実績)
24.44 倍
前期
509.5万 円
前期比
103.2%
平均年齢(勤続年数)
48.0歳(17.7年)
従業員数
1,577人(連結:2,165人)
当社の企業集団は、当社、子会社15社及び関連会社3社で構成されております。セグメントごとの主な事業内容と当社及び主要な関係会社の当該事業における位置付け等は、次のとおりであります。
(1) 運輸部門
(2) 流通部門
(3) 不動産部門
(4) 建設部門
(5) レジャー・サービス部門
(注) 1 ※1 連結子会社
2 ※2 持分法適用の関連会社
3 上記部門の会社数には、当社及び㈱広電宮島ガーデンが重複して含まれております。
以上に記載した事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(注) 1 ※1 連結子会社
2 ※2 持分法適用の関連会社
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染防止のための行動制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが加速し、全国旅行支援策によるサービス消費や、水際対策緩和によるインバウンド需要が増加しました。一方で、資源価格の高騰や物価上昇に加え、主要各国における金利上昇等による世界経済の停滞リスクに対し注視が必要な状況が続きました。
当社グループにおきましては、2022年5月に見直しを行った中期経営計画「広電グループ経営総合3ヵ年計画2022」に基づき、変革と挑戦を推進し、持続的な成長に向けた取り組みを行いました。
2022年11月には、当社グループを含めた交通事業者7社が提出した共同経営計画の認定に伴い、広島市内中心部のデルタ市街地内における電車とバスの運賃体系を整備しました。
また、広島県と廿日市市が事業主体である宮島口整備事業につきましては、宮島への観光客を迎える玄関口である宮島口地区における周辺道路の渋滞緩和やフェリーに乗り換える際の利便性向上を図るため、2022年7月に広電宮島口駅の新駅の供用を開始するとともに、駅周辺整備の工事を継続しております。
広島市が事業主体である広島駅南口広場の再整備事業では、路面電車を高架で広島駅に乗り入れることにより、JRと路面電車との乗り継ぎ時間の短縮、市内中心部への定時性及びアクセス時間を改善し、陸の玄関口にふさわしいまちづくりの実現に向け、広島市、JR西日本と連携しながら2025年春の広島駅乗り入れを目指して事業を推進しております。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して0.2%、55百万円増加して、27,450百万円となりました。利益につきましては、営業損益は、前連結会計年度の営業損失4,523百万円に対し、3,212百万円の営業損失となりました。経常損益は、前連結会計年度の経常損失4,447百万円に対し、3,027百万円の経常損失となりました。特別損益につきましては、「新型コロナウイルス感染症に係る助成金」や、自動車事業にかかる「運行補助金」が減少したものの、広電三井住友海上ビルの売却による「固定資産売却益」を計上した他、退職給付信託設定株式の返還による「退職給付信託返還益」の計上、確定拠出年金制度移行に伴う「退職給付制度改定益」を計上したことにより改善し、前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失1,053百万円に対し、943百万円の親会社株主に帰属する当期純利益となりました。
各セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(運輸業)
運輸業においては、社会経済活動に回復の兆しが見られたことにより、昨年と比べ増収となりました。
鉄軌道事業および自動車事業では、2022年11月に広島市内中心部のデルタ市街地内の路面電車、路線バス運賃を共に220円均一としてわかりやすい運賃体系の整備を図った他、利便増進施策として路面電車と路線バスの相互利用が可能な共通定期券「広島シティパス」、「広島シティパスワイド」や、平日昼間時間帯や土日祝日を対象に路面電車と路線バスを相互利用できるデジタルフリー乗車券「デジタルシティパス」を新たに発売し、お客様の負担軽減や移動の利便性向上に向けた取り組みを実施しました。
海上運送業および索道業では、3年半に及んだ厳島神社大鳥居の改修工事が2022年12月に完了して以降、大幅に観光客が増加し、2023年2月および3月は過去最高の来島者数を記録するまでに回復したことで、旅客収入も増加しました。燃料費等の増加は継続しているものの、それを上回る増収により収支が改善しました。
航空運送代理業では、2023年1月から国際線の運航が一部再開されたことに加え、航空機需要の回復に備えて業務体制を維持すべく、人材採用活動等を積極的に推進するともに、諸経費の節減に努めました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して17.2%、2,618百万円増加して17,847百万円となり、営業損益は前連結会計年度と比較して2,450百万円改善したものの3,971百万円の営業損失となりました。なお、運行補助金を含めた損益は、前連結会計年度の4,177百万円の損失に対し、1,834百万円の損失となりました。
提出会社の運輸成績表
(鉄軌道事業)
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ/延定員走行キロ×100
(自動車事業)
(注) 乗車効率の算出方法
乗車効率=延人キロ/延定員走行キロ×100
業種別営業成績
(流通業)
流通業においては、前連結会計年度末で山陽自動車道の下松サービスエリア店舗から撤退した影響により減収となりました。宮島サービスエリア店舗におきましては、交通量の増加に伴い、売上も緩やかに回復してきましたが、仕入れ価格の上昇により原材料の見直しや価格改定を余儀なくされました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して21.0%、261百万円減少して980百万円となり、営業損益は前連結会計年度と比較して51百万円改善したものの3百万円の営業損失となりました。
業種別営業成績
(不動産業)
不動産賃貸業においては、広島市佐伯区の「ファミリータウン広電楽々園ナイスディ棟」の賃貸契約終了や、2022年5月に広島市中区の賃貸ビル「広電三井住友海上ビル」の自社所有分を共同所有先へ売却した影響により、減収となりました。不動産販売業においては、「hitoto広島 The Tower」が全戸販売完了したものの、前年に広島県安芸郡府中町の分譲マンション「ザ・府中レジデンス」の全戸販売完了によって売上を大きく伸ばした反動等により減収となりました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して52.5%、3,577百万円減少して3,231百万円となり、営業利益は前連結会計年度の営業利益1,895百万円に対し、71.6%、1,357百万円減少し、537百万円となりました。
業種別営業成績
(建設業)
建設業においては、広島市大塚中央土地区画整理事業の工事の進行により増収となったものの、砂防堰堤工事などの公共工事の減少や建設資材価格の高騰によって減益となりました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して8.3%、451百万円増加して5,890百万円となり、営業利益は前連結会計年度の営業利益203百万円に対し、10.7%、21百万円減少し、181百万円となりました。
業種別営業成績
(レジャー・サービス業)
レジャー・サービス業においては、広島県三原市の「グリーンバーズゴルフ倶楽部」では、コース整備を継続しつつ、特別オープンコンペの毎月開催やお得なプランを複数企画することにより、入場者数が増加しました。また、積極的な営業活動により新規会員を獲得することで、入会金収入やプレー収入等が増加しました。
広島市東区のゴルフ練習場「広電ゴルフ」では、弾道計測器システム「トップトレーサー・レンジ」を全打席に導入し、サービス向上と新たなお客様の獲得に努めました。
広島市中区のボウリング場「広電ボウル」では、団体利用者の予約に回復の兆しが見られたものの、本格的な回復に至らないまま推移いたしました。
この結果、当連結会計年度における営業収益は、前連結会計年度と比較して6.8%、55百万円増加して、869百万円となり、営業利益は前連結会計年度の営業利益1百万円に対し、878.0%、17百万円増加し、19百万円となりました。
業種別営業成績
② 生産、受注及び販売の実績
当社グループが扱うサービス・商品は多種、多様にわたり、その内容が一様でないため、生産能力の画一的表示が困難であり、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
そのため生産、受注及び販売の状況については、「(1)① 経営成績の状況」における各セグメントごとに業績に関連付けて示しております。
③財政状態の状況
当連結会計年度末の財政状態は、総資産は、広電三井住友海上ビルの自社所有分売却などにより「有形固定資産」が減少しましたが、広島市大塚中央土地区画整理事業の工事の進捗に伴い「受取手形、売掛金及び契約資産」が増加したほか、広島駅南口広場の再整備受託工事の未収金が増加した影響などにより流動資産「その他」が増加した結果、前連結会計年度末と比較して1,602百万円の増加となりました。負債は、宮島口整備事業の収用補償金に係る前受金が減少した影響で流動負債「その他」が減少しておりますが、広島駅南口広場の再整備受託工事に係る「未払金」が増加し、借入金・社債を含めた有利子負債が増加した影響により、前連結会計年度末と比較して1,078百万円の増加となりました。純資産は、前連結会計年度末と比較して524百万円増加したものの、自己資本比率は、0.1ポイント減少の40.8%となりました。
④キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度の「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、広島市大塚中央土地区画整理事業の工事の進捗に伴い完成工事未収金が増加しておりますが、税金等調整前当期純損失を計上した前連結会計年度に比べ、税金等調整前当期純利益を計上したことにより、前連結会計年度の1,121百万円の資金支出に対し、449百万円の資金収入となりました。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、前連結会計年度に引き続き、宮島口整備事業に係る広電宮島口駅移設工事などの設備投資を行ったものの、広電三井住友海上ビルの自社所有分売却などにより、前連結会計年度の3,559百万円の資金支出に対し、2,150百万円の資金支出となりました。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、前連結会計年度の4,664百万円の資金収入に対し、有利子負債の増加を抑え、894百万円の資金収入となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して、806百万円減少の4,387百万円となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(財政状態の分析)
当連結会計年度の財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③財政状態の状況」に記載しております。
(経営成績の分析)
当連結会計年度の経営状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載しております。
(キャッシュ・フローの分析)
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ④キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループが運輸業を中心とする公共性の高い業種であることに鑑みて、安全性の確保を最優先としながら、経営基盤の充実と収益の確保を行っていく方針を数値目標として表現するために、2025年度の展望を見据えた連結経営数値目標として「営業収益」、「営業利益」、「親会社株主に帰属する当期純利益」、「有利子負債/EBITDA倍率」を設定しております。
※1 有利子負債:借入金と社債の合計額
※2 EBITDA:営業利益に減価償却費と自動車事業に係る運行補助金を加えて算出
2022年度の実績につきましては、新型コロナウイルス感染症第7波の到来による影響を受け、運輸業を中心に売上高が想定を下回る時期もあり、有利子負債/EBITDA倍率につきましては2022年5月に公表した計画と比較して4.5ポイントの未達となりました。目標値には未達となりましたが、広電宮島口移設工事を始めとした、今後の事業展開に向けた積極的な取り組みを継続したなかでの差異であり、移動需要も計画・目標見直し時の想定に沿った回復を見せているため、概ね計画通りに推移したものと判断しております。
主力である運輸業においては、2025年春の供用開始を予定する広島駅前大橋ルート整備工事や、PASPYシステムに代わる「新乗車券システム」の開発によって、便利で使いやすい新たな公共交通への進化に向け取り組んでまいります。また、ICTを活用した運行管理の高度化などによる生産性向上を進めることで、事業構造の強化を図ってまいります。また、不動産業をはじめとした運輸業以外への投資を強化して新たな事業機会への挑戦に取り組み、企業としての持続的な成長の実現を目指してまいります。
経営指標につきましては、2025年度には新型コロナウイルス感染拡大前の 2019 年度実績に近いレベルまで各種数値を改善することを目指し、当社グループの持続的な成長に向けた様々な取り組みを実施することによって、グループ全体の収益性を高めてまいります。また、有利子負債/EBITDA倍率の改善に向けて、今後はグループ内 CMS(キャッシュ・マネジメント・システム) に「ターゲットバランス」を導入するなど、グループの資金管理、資金効率の向上に向けた取り組みを行ってまいります。
②重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり経営者は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5章 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主要な資金需要は、運輸業を中心とする車両や各種施設に対する設備投資、改修及び安定した人材確保のための労務費、また、沿線地域の活性化を目的とした収益不動産物件への投資であります。手許の運転資金については、2015年度より当社及び連結子会社においてCMSを導入し、各社における余剰資金を当社へ集中させ、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っております。また、突発的な資金需要に対しては、迅速かつ確実に資金を調達できるように当座貸越契約を締結し、流動性リスクに備えております。