E04101 Japan GAAP
前期
4,909.2億 円
前期比
112.3%
株価
2,056 (04/25)
発行済株式数
196,700,692
EPS(実績)
95.83 円
PER(実績)
21.45 倍
前期
576.2万 円
前期比
103.0%
平均年齢(勤続年数)
44.7歳(24.1年)
従業員数
4,987人(連結:28,216人)
当社グループは、当社、子会社115社及び関連会社21社で構成され、大別して交通事業を中心に下記の7つの事業によって構成されております。
当社グループの営んでいる事業内容は、原則として「セグメント情報」のセグメント単位区分と一致しておりますが、個別企業が2以上の異なる種類の事業を営んでいる場合には、当該セグメントに区分して表示しております。
(注)1 ※1連結子会社
2 ※2持分法適用関連会社
3 ※3㈱名鉄レストランは、2023年4月1日付で連結子会社である㈱メイフーズに全事業を譲渡しており、㈱メイフーズは、同日付で商号を㈱名鉄ミライートに変更しております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止と経済社会活動の両立が進む中で、個人消費等が改善するなど、緩やかな持ち直しの動きが続きました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や円安の進行等を背景に、エネルギー価格の高騰や物価の上昇が続いており、先行きには不透明な要素もみられます。
このような状況のもと、当社グループでは、安全を最優先にした事業運営の継続と収支改善等に努めました。その結果、営業収益は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されたことに伴い、レジャー・サービス事業や交通事業を中心に需要が回復したことに加え、不動産事業における分譲マンション販売の引渡戸数の増加などにより、551,504百万円(前期比12.3%増)となりました。営業利益は、人件費や燃料費等が増加したものの、増収により22,731百万円(前期比675.1%増)となりました。経常利益は、雇用調整助成金の減少などにより営業外損益が悪化したものの、営業増益により26,362百万円(前期比100.7%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の減少などにより特別損益が悪化したものの、経常増益により18,850百万円(前期比101.2%増)となりました。
セグメント別の主な取組み及び経営成績は、次のとおりであります。
(交通事業)
〔主な取組み〕
鉄軌道事業では、当社は、都市計画事業の一環として、若林駅付近など4ヵ所で高架化工事を進め、知立駅付近では、名古屋本線上り線の高架への切替えが完了しました。このほか、印場駅や聚楽園駅等でバリアフリー化工事を実施するなど、引続き安全面の強化やお客さまサービスの向上に努めました。輸送面では、新型コロナウイルス感染症をきっかけとした生活様式の変容に対応するため、ダイヤ改正を行い、輸送体制の効率化を図りました。このほか、中部国際空港の利用増加の見込み等を踏まえ、2年ぶりに全てのミュースカイの運転を再開しました。
営業施策面では、大河ドラマ「どうする家康」の放送にあわせ、自治体とタイアップした各種企画乗車券を発売するなど、鉄道利用の促進を図りました。
このほか、導入を進めている新型券売機の機能を拡充し、新たに通勤定期乗車券(継続manaca定期券)を購入可能にするなど、お客さまサービスの向上に取組みました。
エリア版MaaSアプリ「CentX(セントエックス)」においては、地域の様々なパートナーとの連携を進め、デジタルチケットの取扱商品を拡充するなど、公共交通の利用促進並びに地域の活性化に努めました。
バス事業では、中間持株会社「名鉄グループバスホールディングス㈱」を設立し、事業全体の経営の効率化と競争力の強化を図りました。また、名鉄バス㈱は、ジブリパークの開園にあわせ、直行バスの運行を開始し、来園者の移動需要の取り込みに努めました。
〔経営成績〕
交通事業の営業収益は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い、各事業の輸送人員が回復し132,483百万円(前期比14.5%増)となり、営業損益は、燃料費の増加があったものの、増収により前期に比べ9,574百万円収支改善し4,614百万円の利益となりました。
(業種別営業成績表)
(提出会社の運輸営業成績表)
鉄軌道事業
2 鉄道と軌道との乗車人員は重複しておりません。
〔主な取組み〕
トラック事業では、名鉄運輸㈱は、資本業務提携先である日本通運㈱との協業を進め、長野県内や佐賀県内において、輸送ネットワークや施設の共同利用をグループ会社とともに開始しました。また、名鉄観光サービス㈱の国際貨物事業を分社化した名鉄ワールドトランスポート㈱は、昭和島(東京都)に新たな倉庫拠点を開設し、戦略的物流拠点の構築を図りました。
〔経営成績〕
運送事業の営業収益は、海運事業における旅客需要の回復などにより136,998百万円(前期比1.7%増)となり、営業利益は、トラック事業で人件費や燃料費の増加などにより減益となったものの、海運事業の増収により3,398百万円(前期比10.1%増)となりました。
(業種別営業成績表)
〔主な取組み〕
不動産事業では、当社の不動産事業を名鉄不動産㈱と統合し、名鉄都市開発㈱として新たに事業を開始したほか、商業施設運営機能を名鉄プロパティマネジメント㈱に集約するなど、グループの不動産事業の再編を行いました。
不動産賃貸業では、所有する物件の稼働率の向上に努めたほか、当社は、東岡崎駅前再開発計画の一環として、同駅南口において商業施設の建設に着手しました。
また、不動産分譲業では、名鉄都市開発㈱は、「メイツ中小田井 エアリーテラス」や「メイツ上新庄 SHIN-CITY」(大阪府)の販売を行うなど、沿線内外における分譲マンション開発に取組みました。
〔経営成績〕
不動産事業の営業収益は、分譲マンション販売の引渡戸数の増加に加え、不動産ファンドからの配当収入の計上もあり96,696百万円(前期比8.1%増)となり、営業利益は、増収により13,830百万円(前期比24.8%増)となりました。
(業種別営業成績表)
〔主な取組み〕
ホテル業では、中間持株会社「㈱名鉄ホテルホールディングス」を中心に、各ホテルの収益力と付加価値の向上に努めました。
観光施設事業では、当社と奥飛観光開発㈱は、新穂高ロープウェイのリニューアルを実施しており、その第一弾として、山頂エリアに「頂の森」Ⅰ期エリアをオープンし、展望デッキ等を新設しました。また、中央アルプス観光㈱は、ホテル千畳敷をリニューアルし、レストラン部分をプレオープンしました。
旅行業では、全国旅行支援の実施等を受け、回復傾向にある国内観光需要の取り込みに努めました。
〔経営成績〕
レジャー・サービス事業の営業収益は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴う観光需要の回復に加え、全国旅行支援の効果もあり81,049百万円(前期比70.4%増)となり、営業損失は、増収により前期に比べ8,010百万円収支改善し375百万円となりました。
(業種別営業成績表)
〔主な取組み〕
当社は、サービスレベルの向上や独自の小売ブランド創設のため、グループの小売事業を㈱名鉄生活創研に集約する再編を行ったほか、雑貨店運営会社「㈱オンセブンデイズ」を子会社化し、小売事業の運営ノウハウの取り込みを図りました。
また、㈱名鉄生活創研は、名古屋市千種区の商業施設内に「星が丘ロフト」を開業するなど、収益力の向上に努めました。
〔経営成績〕
流通事業の営業収益は、百貨店業の増収に加え、㈱オンセブンデイズの連結加入による収益寄与もあり66,263百万円(前期比2.5%増)となり、営業損失は、百貨店業では収支改善したものの、輸入車販売業の減益などにより前期に比べ420百万円収支悪化し2,475百万円となりました。
(業種別営業成績表)
〔経営成績〕
航空関連サービス事業の営業収益は、航空整備事業の受注増加や機内食事業における需要回復により25,578百万円(前期比9.5%増)となり、営業利益は、増収であったものの、人件費や減価償却費の増加などにより1,346百万円(前期比7.4%減)となりました。
(業種別営業成績表)
〔経営成績〕
その他の事業の営業収益は、設備工事やシステム関連の受注増加などにより50,070百万円(前期比7.5%増)となり、営業利益は、増収により2,619百万円(前期比32.9%増)となりました。
(業種別営業成績表)
<財政状態>
当期末における総資産は、設備投資等による有形固定資産の増加や、資金調達により現金及び預金が増加したことなどにより、前期末に比べ44,481百万円増加し1,231,378百万円となりました。
負債は、鉄道高架化工事等に関する工事負担金の前受金や有利子負債の増加などにより、前期末に比べ26,524百万円増加し802,289百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前期末に比べ17,956百万円増加し429,089百万円となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物の残高は、前期末に比べ4,448百万円増加し54,879百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、仕入債務の増減額の増加などにより、前期に比べ21,896百万円増加し61,217百万円となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、20,345百万円減少し△59,372百万円となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出が減少したことなどにより、5,948百万円増加し2,608百万円となりました。
当社グループの事業は、交通事業のほか運送事業、不動産事業、流通事業等の広範囲かつ多種多様なサービス業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどでありますので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて記載しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社経営陣は、決算日における資産・負債及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わなければなりません。これらのうち主なものは以下のとおりでありますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(固定資産の減損)
当社グループは、事業の特性上、多額の固定資産を保有しており、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して将来の課税所得や税務計画を合理的に見積っております。従って、将来の課税所得の見積額や税務計画が変更された場合には、繰延税金資産が増額又は減額される可能性があります。
(退職給付債務及び費用の計算)
当社グループは、従業員退職給付債務及び費用の計算について、割引率や年金資産の期待運用収益率等の前提条件に基づき行っております。従って、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付債務及び退職給付費用に影響を及ぼす可能性があります。
(財政状態の分析)
(経営成績の分析)
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入により資金調達することとしております。このうち、借入による資金調達に関しましては、運転資金については短期借入金で、設備投資などの長期資金については、社債及び長期借入金での調達を基本としております。また、当社グループにおいて、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入することにより、各社における余剰資金を集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
なお、重要な設備投資の計画につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1) 重要な設備の新設等」に記載しております。
(経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
当社グループは、前連結会計年度を初年度とする3ヵ年計画、グループ中期経営計画「Turn-Over2023 ~反転攻勢に向けて~」の中で、最終年度である2023年度の連結経営数値目標として、「営業利益350億円」を設定し、取組んでおります。また、参考指標として、「ROE(純利益/自己資本)」、「ROA(営業利益/総資産)」、「純有利子負債/EBITDA倍率」及び「株主資本比率」も設定しております。
当連結会計年度における各指標は、以下のとおりであります。
(注)※EBITDA:営業利益+減価償却費
純有利子負債:有利子負債-現預金・短期有価証券
同計画の2年目である当連結会計年度は、鉄軌道事業の構造改革やバス事業の再編などの「事業構造改革」、不動産事業・運送事業における他社との協業や、雑貨店運営会社の子会社化などの「成長基盤構築」の両面から取組みを進めました。
前連結会計年度よりも新型コロナウイルス感染症の影響が一段と縮小したことにより、交通事業やレジャー・サービス事業の収支が大幅に改善したため、2期連続の営業黒字となりましたが、利益水準はコロナ前と比較し低い水準に留まりました。
今後も、沿線・地域の活性化や、不動産事業や運送事業をはじめとした成長が見込まれる分野の収益力強化など「成長基盤構築」のための取組みにも注力し、次の成長に繋がる基盤を構築してまいります。また、将来にわたり安定的に事業を継続するため、引き続き鉄軌道事業の構造改革に取組み、需要に応じたコストの適正化・省力化と収益力の向上を図ってまいります。