売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E37719 

売上高

137.2億 円

前期

84.2億 円

前期比

162.9%

時価総額

785.1億 円

株価

2,229 (04/25)

発行済株式数

35,220,000

EPS(実績)

22.26 円

PER(実績)

100.13 倍

平均給与

461.7万 円

前期

325.6万 円

前期比

141.8%

平均年齢(勤続年数)

38.7歳(1.9年)

従業員数

1,747人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社の事業は介護事業の単一セグメントです。当社は、介護施設の運営を中心とする事業会社であります。介護施設の運営事業において当社が提供するサービスは、介護保険法、健康保険法及び障害者総合支援法の適用を受けるため、サービス提供時には、自己負担金として1~3割を利用者に請求し、残りの7~9割の費用は国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金に請求して保険給付を受けております。そのため、当社の主な収入は、介護保険、健康保険及び障害福祉サービスによる保険報酬であります。また、介護施設の運営事業のほか、福祉用具のレンタル、販売及び住宅のリフォーム事業や加圧トレーニングジムの運営事業等を行っております。

 事業の内容は下記のとおりであります。なお、(※)を付している用語に関しましては、章末に「用語解説」として用語の解説を記載しております。

 

a.介護施設の運営事業

 当社では、老人福祉法、介護保険法、健康保険法及び障害者総合支援法に基づく必要な許認可等を取得したうえで、利用者の身体の状態や環境に合わせて以下の各種介護サービスを提供しております。当社の売上高は、主にこれらのサービスの提供によって各都道府県の国民健康保険団体連合会及び社会保険診療報酬支払基金の審査支払機関から得る介護保険、健康保険及び障害福祉サービスによる保険給付と、利用者から得る自己負担金及び保険適用外であるホテルコスト(家賃、光熱費、食事管理費、管理費)等により構成されております。

 

サービス

対象となる利用者

パーキンソン病専門ホーム

(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅)

パーキンソン病患者

医療特化型住宅

(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅)

がん等の難病患者、要介護認定(※)を受けた方、認知症患者

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)

認知症患者

通所介護(デイサービス)

介護保険認定を受けた方、認知症の方

訪問看護/介護予防訪問介護

介護保険若しくは医療保険の認定を受けた方で健康上の問題や生活上の障害のある方

訪問介護/介護予防・日常生活支援総合事業

介護保険認定を受けた方

居宅介護支援

介護を検討されている方

居宅介護/重度訪問介護

障害支援区分認定を受けた方

 

 介護施設の運営事業における主なサービスの特徴は下記のとおりです。

(1)パーキンソン病専門ホーム(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅):「PDハウス」

 当社では、高齢者向け住宅を運営し、それぞれ利用者のニーズに適した「住まい」をご提案しており、中核事業としてパーキンソン病専門の有料老人ホーム(住宅型有料老人ホーム並びにサービス付き高齢者向け住宅)として「PDハウス」(PD:Parkinson's Diseaseの略 パーキンソン病の意)を当事業年度末で20施設を展開しております。

 パーキンソン病は高齢化とともに患者数が増えている病気の一つで、脳内のドーパミン神経細胞の変性を主体とする進行性変性疾患であり、国の指定難病(※)にも指定されております。パーキンソン病の主な症状には、「手、足が震える」、「動きが遅くなる」、「筋肉がこわばる」、「倒れやすくなる」が挙げられます。その他では、自律神経症状、精神症状、認知障害、睡眠障害などの症状もあります。これらの症状が徐々に進行するのがパーキンソン病の特徴であり、症状は多岐に渡り、世界的にも根治する治療法の確立には至っておりませんが、適切な薬剤コントロールとリハビリテーションを組み合わせることで、進行を遅らせることが可能になります。ただ、通いリハビリには限度があるため入院以外では十分なリハビリテーションを受けられる場所が少ないこと、症状により病院に通うことに支障が出始めるため専門医による診察が受けにくくなること、薬の量や服薬頻度の増加に伴い適切な服薬管理が難しくなることが課題として挙げられます。さらに、症状は患者によって多種多様で、1日の中でもその症状が変化することがあり、介護をするには高度な専門知識と豊富な経験が必要となりますが、専門医が少ないため効果的な治療を受けられる施設も少ないのが現状です。

 「PDハウス」は、パーキンソン病患者の症状に合わせた十分なリハビリテーションを高い頻度で受けることが可能なパーキンソン病専門の有料老人ホームであり、大学病院や専門医と連携することにより、専門医監修によるパーキンソン病に特化したリハビリプログラムや最新の情報をリハビリテーションに取り入れ、入居後にアセスメント(※)を行い、入居者様お一人お一人の状態に応じたリハビリを提供し評価していきます。また、専門の医師が訪問診療を行う事で入居後も安心して専門的治療を継続できる体制を整えており、早期診断・治療が可能となります。さらに「PDハウス」の看護師・介護・リハビリ職員とのチーム医療体制を築いており、安心・安全で豊かな生活環境を目指しています。パーキンソン病は特に薬剤コントロールが重要となりますが、当施設は看護師による適切な服薬管理などを24時間体制で支援しており、細かな症状の変化や副作用の状況も適切に把握することができ、看取りまで対応可能としております。また、医療処置も施設内で提供が可能なため、脳神経内科の訪問診療医師の指導の下、安心して生活いただけます。

 「PDハウス」では、ケアの技術を特定の疾患に集中させることで、質の高いサービスを提供することが可能と考えております。また、「PDハウス」では、医療保険・障害保険のサービス対象となるパーキンソン病患者を受け入れているため、介護保険売上と賃料・食費等売上に加え、医療保険売上と障害保険売上が上乗せされることで、入居者一人当たりの単価が増加します。

 なお、当社の有料老人ホームにはサービス付き高齢者向け住宅も含みます。有料老人ホームとは老人福祉法により介護等のサービス提供を目的とした施設であり、サービス付き高齢者向け住宅とは高齢者の居住の安定確保に関する法律により介護・医療と連携し(別途契約)、高齢者が安心して暮らしていけるようなサービスを提供する賃貸住宅です。

 

(2)医療特化型住宅(有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅):「太陽のプリズム」

 医療特化型の有料老人ホームとして「太陽のプリズム」を当事業年度末で7か所にて運営しております。

 「太陽のプリズム」は、認知症、がん、難病の患者を対象に暮らしながら医師や看護師の医療ケア、生活支援を受けられる施設です。また、がん治療や難病の方のケアについては、スタッフ間での情報共有や社内外の研修受講等により、提供するケアの水準を統一し、サービス品質の向上に努めております。

 医療特化型住宅の特徴としましては、当社では看護師の配置もしくはオンコール対応により看護師の対応を24時間可能としており、末期がんや難病の方の不安定な状態をモニタリングし、緊急時には迅速に対応することが出来る体制を整備しております。また、24時間体制で看護師や介護士が医師と連携して、高いQOL(Quality of Life)(生活の質)の提供にこだわっております。さらに、在宅医との連携により的確な医療処置を提供しております。末期がんや難病の方、そのご家族の声に応えられるように、そして1日でも長く、利用者の方が病院と在宅の間の最期まで自分らしい暮らしができるよう、サービスの提供に取り組んでおります。

 

(3)認知症対応型共同生活介護(グループホーム):「太陽のプリズム窪」、「太陽のプリズム徳光」

 認知症の診断を受けた方を対象に、少人数で共同生活をしながら専門的なケアを提供する認知症対応型共同生活介護(以下、「グループホーム」と言います。)サービスを提供しております。

 グループホームでは、共同住宅の形態で、認知症の方が少人数(9人×2ユニット)で生活をしており、当事業年度末で2か所にて運営しております。家庭的な雰囲気の中、食事の支度や掃除、洗濯などの日常生活をスタッフと共同で行うことにより、認知症状が穏やかになり安定した生活を実現しております。

 畑で野菜や花を育てたり、出来る家事を行ったり、好きな趣味を楽しんだりと、利用者の方の能力を最大限に発揮できるような環境を提供し、楽しみや潤いのある日常の生活を送ることができるように支援しております。

 

(4)通所介護(デイサービス):民家型デイサービス「太陽のひだまり」、リハビリ型デイサービス「太陽のリゾート」

 日常生活機能の向上を目的として、利用者の方が日帰りで通いながら入浴や食事の生活支援、個別リハビリ、機能訓練レクリエーションの他、癒しや娯楽などのサービスを受けられる通所介護(デイサービス)サービスを提供しております。また、認知症患者に対応した施設もあります。

 当社のデイサービスは民家型及びリハビリ型の2種類があります。民家型デイサービス「太陽のひだまり」は“家”をコンセプトにしており、当事業年度末で3か所にて運営しております。施設ではなく、“我が家”で過ごす1日をコンセプトとしてサービスを提供しており、それぞれの事業所に異なる特徴があります。「太陽のひだまり窪」はエステサービス、「太陽のひだまり木津」はお泊りデイサービス、「太陽のひだまり徳光」は認知症の方を専門としております。リハビリ型デイサービス「太陽のリゾート」では、作業療法士・理学療法士・言語聴覚士が利用者のお体の状態にあったリハビリプログラムを提供しており、当事業年度末で3か所にて運営しております。専用ツールを使った全身ストレッチや、コンピュータ管理の機能訓練マシン等を活用し、リハビリの効果を実感していただけるよう取り組んでおります。

 

(5)訪問看護/介護予防訪問介護

 利用者に対する訪問看護サービスを提供し、このことに対して、国民健康保険団体連合会等の審査支払機関から得た報酬(医療保険制度による場合は診療報酬、介護保険制度による場合は介護報酬)を主に売上として計上します。(一部利用者の自己負担(1~3割)あり、以下各報酬に対する売上について同じ)

 訪問看護は、老人福祉法の改正(1992年)により創設された老人訪問介護制度に基づき事業化されたもので、何らかの病気や障害のある方が、自宅で療養生活を送ることを希望した際に、主治医から交付される訪問看護指示書に基づき、療養上の世話及び診療の補助を実施していくものであります。

 当社では、国家資格又は都道府県知事資格免許をもった看護師、准看護師、保健師、理学療法士、作業療法士等が訪問し、住み慣れた地域やご家庭で、その人らしい療養生活を送れるよう支援するサービスを提供しております。具体的には日々の健康管理、医師の指示による医療処置、人工呼吸器等の医療機器の管理、在宅リハビリテーション、ご家族等への介護相談及びアドバイス等を実施しております。

 当社では、「PDハウス」及び医療特化型住宅の同一敷地内に訪問看護事業所を併設し、入居者に対し、訪問看護サービスを提供しております。

 

(6)訪問介護/介護予防・日常生活支援総合事業

 利用者に対する訪問介護サービス等を提供し(5)同様、国民健康保険団体連合会等の審査支払機関から得た報酬を主に売上として計上します。

 訪問介護員(ホームヘルパー)(※)や介護福祉士(※)が要介護者の自宅を訪問し、食事、入浴、排泄など直接身体に触れる身体介助、及び掃除、洗濯、調理などの家事面における生活等に関する相談、助言(生活援助)を受けることができます。

 当社では、「PDハウス」及び医療特化型住宅の同一敷地内に訪問介護事業所を併設し、入居者に対し、訪問介護サービスを提供しております。訪問介護サービスは介護支援専門員(ケアマネージャー)(※)作成のケアプランに基づき提供しております。

 当社が提供したサービスの対価は、原則として、サービス利用料の1〜3割を利用者に請求し、残り7〜9割を国民健康保険団体連合会等の審査支払機関に請求します。

 

(7)居宅介護支援

 介護サービスを利用する際に必要な要介護認定(※)の取得を含む介護保険申請及び介護支援専門員(ケアマネージャー)(※)による介護計画(ケアプラン)の作成の支援を行っております。

 当社では、「太陽のプリズム才覚寺」、「PDハウス白山」、「太陽のプリズム河原」、「太陽のプリズム戸板」に居宅介護支援事業所を併設しておりますが、当社の利用者は外部の居宅介護支援事業所のサービスを受けることが可能であり、その選択は自由であります。また、当社の介護支援専門員(ケアマネージャー)(※)が、当社の利用者以外の利用者への外部提供も行っております。

 当社の介護支援専門員(ケアマネージャー)(※)がケアプランを作成するなど、要介護認定者の介護保険サービス利用を支援した場合、介護保険での報酬を請求し、これを売上として計上いたします。報酬額はサービス利用者の介護度に応じて設定されており、居宅介護支援サービスについては、利用者の負担はなく全額が介護保険から給付されます。

 

(8)居宅介護/重度訪問介護

 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、障害のある方が住み慣れた地域で生活するため、日常生活や社会生活の総合的な支援を目的とした居宅介護サービス及び重度訪問介護サービスの提供を行うものです。

 重度訪問介護とは、重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方(2014年4月より対象者が重度の知的障害者・精神障害者に拡大)に自宅で、入浴、排泄、食事の介護、外出時における移動支援などを総合的に行うものであります。

 これらのサービスは、個々の方の障害程度や勘案すべき事項(社会活動や介護者、居住等の状況)を踏まえ、個別に報酬の支給決定が行われます。当社ではこれらのサービスの提供に基づく報酬を売上として計上します。

 

b.福祉用具のレンタル、販売及び住宅のリフォーム事業(福祉用具事業)

 当社では、介護に関連する事業として、車いす、歩行器、ベッド等の福祉用具のレンタル・販売事業及びバリアフリー工事の提案・施工を行う住宅のリフォーム事業を展開しております。福祉用具のレンタル・販売事業では、当社の福祉用具専門相談員の資格を持つ専任スタッフが、利用者に最適な福祉用具のご提案やアフターメンテナンスを行っております。また、住宅のリフォーム事業では、利用者の状態に合わせて、ご自宅に手すりを取り付けたり、段差を解消したりといったバリアフリー工事を行っております。

 

c.加圧トレーニングジムの運営事業(加圧トレーニング事業)

 上記のほか、当社では加圧トレーニングジムを運営しております。加圧トレーニングとは、腕と脚のつけ根を専用のベルトで締め、血流を制限した状態で行うトレーニングです。各店舗には無料の貸出アメニティ(ウエア・タオル等)を揃えており、何も用意せずに来店してもトレーニングを受けることができます。

 

 なお、当社の報告セグメントは、上記のとおり介護事業の単一セグメントですが、サービス別では①パーキンソン病専門ホーム(PDハウス)、②医療特化型住宅、③認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、④通所介護(デイサービス)、⑤居宅介護支援、⑥福祉用具事業、⑦加圧トレーニング事業となり、各サービスと売上内容は、以下のとおりです。

 

(介護・医療等)保険売上

食事提供売上

不動産売上

その他収入売上

福祉用具売上

加圧売上

① PDハウス

② 医療特化型住宅

③ グループホーム

④ デイサービス

⑤ 居宅介護支援

⑥ 福祉用具事業

⑦ 加圧トレーニング事業

 (注)1.(介護・医療等)保険売上は、主に介護保険報酬、医療保険報酬となります。

2.食事提供売上は、主に利用者の食事代で利用者の自己負担となります。

3.不動産売上は、主に利用者の施設家賃代、光熱費負担代等で利用者の自己負担となります。

4.その他収入売上は、主に利用者のおむつ等の消耗品代で利用者の自己負担となります。

5.⑤居宅介護支援の売上高は、拠点となる①PDハウス、②医療特化型住宅の売上高に計上しております。

 

 当社の事業系統図は下記のとおりです。

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

※福祉用具のレンタル、販売及び住宅のリフォーム事業と加圧トレーニングジムの運営事業については、売上金額が僅少であるため、事業系統図に記載しておりません。

 

(用語解説)

用語

解説

要介護認定

要介護認定とは、介護保険サービスを受けるときに必要となる調査のことで、介護保険制度では、65歳以上の人は介護保険の被保険者として介護サービスが利用できるようになりますが、無条件に誰もが利用できるわけではなく、利用するにあたって最初に審査を受けなければなりません。要介護認定を申請し、「介護の必要度はどの程度か」「どのようなサービスが必要か」などの認定調査を経て、その判定結果に基づいて介護保険サービスが受けられるようになります。

指定難病

難病の患者に対する医療等に関する法律において、①発病の機構が明らかでなく②治療方法が確立していない③希少な疾患であって④長期の療養を必要とする疾患、と定義されております。さらに、この4つの要件に加え患者数が本邦において一定の人数(人口の約0.1%程度、およそ12万人強)に達しないこと、客観的な診断基準(またはそれに準ずるもの)が成立していることの2要件を満たす疾患を「指定難病」とし、この指定難病を医療費助成の対象とする、と規定されました。

アセスメント

アセスメント(assessment)とは、一般的に「評価・査定」の意味を持つ言葉ですが、介護におけるアセスメントは、利用者の状態や生活環境等の情報を収集、総合的に分析し、利用者が抱えている課題を明確にすることです。

訪問介護員

(ホームヘルパー)

利用者の家庭を訪問し、介護、家事、関係機関との連絡、介護に関する相談、助言を行うものであります。介護保険法に基づく訪問介護をするには介護職員初任者研修以上の研修が条件となります。

介護福祉士

高齢者及び心身障害者のお世話又は相談ができる国家資格で、介護保険法に基づく訪問介護もできます。

介護支援専門員

(ケアマネージャー)

要介護認定申請の代行及び認定調査やケアプランの作成、各サービス事業者との連絡調整を行うために必要となる専門資格です。

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

① 財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末における資産合計は19,211百万円となり、前事業年度末から10,196百万円増加しました。これは主に、新規施設の開設等によりリース資産が5,314百万円、現金及び預金が1,795百万円、売掛金が1,060百万円増加したことによるものです。

(負債)

 当事業年度末における負債合計は13,840百万円となり、前事業年度末から5,690百万円増加しました。これは主に、新規施設の開設等によりのリース債務が5,471百万円増加したことによるものです。

(純資産)

 当事業年度末における純資産合計は5,370百万円となり、前事業年度末から4,506百万円増加しました。これは主に、公募及び第三者割当による自己株式の処分により資本剰余金が3,921百万円増加したことによるものです。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化したものの、2023年5月より5類感染症に移行する方針が決定されるなど、社会経済活動を維持しながら感染拡大に対応する段階へと移り始めました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の深刻化や急激な為替相場の変動による世界的なエネルギー・原材料価格の高騰などが相次いだことにより、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社の関連する介護及び医療環境につきましては、団塊の世代が全て75歳以上の高齢者となる2025年に向けて、高齢者が要介護状態になっても、住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会の実現(地域包括ケアシステムの構築)への取り組みが進められています。地域に関わらず適切な医療・介護が受けられる体制が求められ、質の高い在宅医療・訪問看護の確保が重要となってきています。さらに指定難病においてはその専門性を有することから、専門病院や専門介護のニーズが今後ますます高まっていくものと考えております。

このような環境のもと、当社は、パーキンソン病専門施設である「PDハウス」を中核事業として、全国展開を加速させてきました。パーキンソン病患者の方のニーズに応えるべく、2022年5月にPDハウス足立(東京都足立区)、2022年6月にPDハウス船橋(千葉県船橋市)、2022年7月にPDハウス東大阪(大阪府東大阪市)、2022年9月にPDハウス八尾(大阪府八尾市)、2022年10月にPDハウス秋吉(富山県富山市)およびPDハウス西東京(東京都西東京市)、2022年12年にPDハウス南与野(埼玉県さいたま市)、2023年1月にPDハウス月寒(北海道札幌市)を新規開設し、当事業年度末における「PDハウス」施設数は20施設となりました。既存施設を含めた各施設の稼働率はいずれも順調に推移しており、新型コロナウイルス感染拡大による影響は、限定的となっております。なお、当事業年度に新規開設した施設のうち、7施設はファイナンス・リース取引に該当しております。これが主な要因となって、当事業年度の支払利息は372百万円(前年同期比231.6%)となっております。

これらの結果、当事業年度の売上高は13,716百万円(前年同期比162.9%)、営業利益は1,434百万円(同292.5%)、経常利益は1,140百万円(同327.0%)、当期純利益は784百万円(同306.6%)となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、2,610百万円となり、前事業年度末に比べて1,795百万円増加しました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは1,140百万円の資金増加(前事業年度は378百万円の資金増加)となりました。これは主に、売上債権の増加額1,060百万円があったものの、税引前当期純利益1,134百万円の計上、減価償却費493百万円の計上及び賞与引当金の増加額232百万円等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは2,041百万円の資金減少(前事業年度は633百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出1,881百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは2,696百万円の資金増加(前事業年度は573百万円の資金増加)となりました。これは主に、短期借入金の純減額840百万円、長期借入金の返済による支出615百万円及び配当金の支払額214百万円があったものの、自己株式の処分による収入3,933百万円及び長期借入れによる収入610百万円等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注に該当する事項がないため、受注実績に関する記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

 なお、当社は介護事業の単一セグメントであるため、サービス区分別の販売実績を記載しております。

サービス区分の名称

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

PDハウス           (千円)

10,113,888

201.6

医療特化型住宅         (千円)

2,570,862

108.6

グループホーム         (千円)

162,447

100.4

デイサービス          (千円)

378,680

96.5

福祉用具事業          (千円)

453,596

103.5

加圧トレーニング事業      (千円)

37,408

84.8

合計(千円)

13,716,884

162.9

 (注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

石川県国民健康保険団体連合会

3,020,764

35.9

3,261,130

23.8

大阪府国民健康保険団体連合会

1,905,865

13.9

福岡県国民健康保険団体連合会

1,123,156

13.3

1,433,419

10.5

2.前事業年度における大阪府国民健康保険団体連合会に対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額、開示期間の収益・費用の金額及び開示情報に影響を与えます。ただし、これらの見積り、判断並びに仮定は、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果とは異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社は「自らが輝き、人を元気にする」を経営理念に掲げております。わが国は2007年に超高齢社会(公益財団法人長寿科学振興財団の定義)へと突入し、2025年に団塊の世代がすべて75歳以上(国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)となることを契機に、高齢化の様相は今後一層強くなり、介護・医療の需要はさらに高まるとされています。一方で、介護・医療の制度を経済的に、また人的に支える労働人口の減少が予測されており、今後の高齢化の進展に対応し得る介護・医療の持続可能な制度設計がわが国の根本的、かつ緊要な課題のひとつであることは論をまちません。

 当社では、この課題に対して、指定難病であるパーキンソン病患者を対象とした「PDハウス」とこれに関連するサービスの提供を通じて、地域の介護・医療資源を効果的かつ効率的に利用できる仕組みづくりを行うことで応えてまいります。地域では、病床削減とこれに伴って療養の場を病院から在宅(自宅や施設等)へ移すとする政策を受けて、特に慢性期や終末期における介護・医療の需要が高まっております。パーキンソン病患者は慢性期が長期化する傾向があることから、当社にとって有利な事業環境であり、引き続き事業を積極的に展開していく背景となっております。

 

 当事業年度において、当社では新たに8施設(東京都足立区「PDハウス足立」、千葉県船橋市「PDハウス船橋」、大阪府東大阪市「PDハウス東大阪」、大阪府八尾市「PDハウス八尾」、富山県富山市「PDハウス秋吉」、東京都西東京市「PDハウス西東京」、埼玉県さいたま市「PDハウス南与野」、北海道札幌市「PDハウス月寒」)を開設いたしました。当社は、介護事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

(売上高)

 当事業年度の売上高は13,716百万円となり、前事業年度より5,296百万円の増加となりました。これは主に、既存施設及びサービスの利用率が向上し、また新規に「PDハウス」を開設(8施設)、サービス提供が開始されたことにより医療保険及び介護保険収入が生じたことなどによります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当事業年度の売上原価は9,971百万円となり、前事業年度より3,656百万円の増加となりました。これは主に、新規に「PDハウス」を開設したことに伴い採用した施設従業員の人件費が生じたことなどによります。この結果、売上総利益は3,745百万円(前年同期比177.9%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当事業年度の販売費及び一般管理費は2,311百万円となり、前事業年度より696百万円の増加となりました。これは主に、業務の規模拡大に伴い採用した本社従業員の採用費及び人件費が生じたことなどによります。この結果、営業利益は1,434百万円(前年同期比292.5%)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

 当事業年度の営業外収益は110百万円となり、前事業年度より84百万円の増加となりました。これは主に、新型コロナウイルスの感染拡大防止及び物価高騰対策支援に関する補助金等が増加したことなどによります。また、当事業年度の営業外費用は403百万円となり、前事業年度より236百万円の増加となりました。これは主に、新規出店によりリース債務の支払利息が増加したことなどによります。この結果、経常利益は1,140百万円(前年同期比327.0%)となりました。

 

(特別利益、特別損失)

 当事業年度の特別損失は6百万円となりました。これは主に、福岡支社閉鎖に伴う固定資産除却損を計上したことなどによります。

 

(当期純利益)

 当事業年度の法人税等合計は350百万円となり、この結果、当期純利益は784百万円(前年同期比306.6%)となりました。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 当社の資金需要のうち主なものは、新規施設開設のための資金、運転資金等となっております。当社の資金調達については、自己資金及び金融機関からの借入れ等で実施しております。なお、これらの資金調達方法については、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行い、決定しております。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努めてまいります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社は介護サービスの提供を行っておりますが、現在運営している施設については、稼働率も順調に推移しているほか、医療保険制度や介護保険制度において報酬が決まっていること等により売上高を増加させることは難しいため、今後はコスト削減及び運営の効率化等により利益率を向上させ、強固な収益基盤を構築したいと考えております。

 成長戦略としましては、北陸エリアで2019年3月期に第1号施設を開設し、2020年3月期に全国展開を開始後、当事業年度末において全国20か所で運営を行っているパーキンソン病患者専門の有料老人ホーム「PDハウス」が、高い稼働を維持していることから、「PDハウス」の新規開設を積極的に推進してまいります。これまでパーキンソン病患者専門の有料老人ホームが無かったことに加え、高齢化社会の進行により同疾患患者数が増加しており、需要が高まっていることを受け、各都道府県における患者数等を勘案し、施設の開設を進めてまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社の経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社が今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、「PDハウス」による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。

 

⑦ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)目標とする経営指標」に記載のとおり、売上高及び経常利益率を重要な経営指標としております。

 「PDハウス」の事業拡大により、売上高については、当事業年度は13,716百万円と前年同期比で162.9%となっております。これは、現時点において予定どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。一方で、経常利益率については、当事業年度は8.3%と前年同期比で4.2ポイント増加しております。これは、施設の出店数増加に伴うスケールメリットにより、売上原価率及び売上高販管費率が減少したことによるもので、高収益企業へのさらなる成長に向けた基盤固めが進んでいるものと認識しております。