売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04582 Japan GAAP

売上高

854.3億 円

前期

782.1億 円

前期比

109.2%

時価総額

1,314.6億 円

株価

9,432 (04/26)

発行済株式数

13,937,857

EPS(実績)

216.39 円

PER(実績)

43.59 倍

平均給与

798.0万 円

前期

773.1万 円

前期比

103.2%

平均年齢(勤続年数)

42.9歳(16.5年)

従業員数

597人(連結:1,433人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当企業グループ(当社及び当社の関係会社、以下は同じ)は、当社、連結子会社16社及び持分法適用関連会社9社により構成されており、映像関連事業、演劇事業、不動産事業、その他を主たる事業としております。

 当企業グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。なお、以下の事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

(1) 映像関連事業……主要な業務は劇場用映画の製作・売買・配給・興行、映画劇場・売店の運営、映像版権許諾、テレビ映画の制作・販売、CMの企画・製作、BS・CS・CATVのソフト製作・編集、衛星基幹放送、一般放送、ビデオソフトの製作・買付・販売、宣伝の企画・制作・代理、音楽著作権の利用開発・許諾等であります。

劇場用映画

 当社が製作・売買・配給する他、子会社㈱松竹撮影所が製作し、子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが興行を行っております。なお、当社が行う配給による収入が映画配給収入となり、子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが行う興行による収入が劇場運営収入となります。

劇場売店の運営

 子会社㈱松竹マルチプレックスシアターズが行っております。なお、劇場売店の運営による収入が劇場運営収入となります。

映像版権許諾

 当社及び子会社松竹ブロードキャスティング㈱が保有する映像コンテンツの版権許諾を行っております。なお、映像版権許諾による収入が映像版権許諾収入となります。

テレビ映画

 当社が制作・販売する他、子会社㈱松竹撮影所が制作を行っております。

映画・テレビ等のCMの企画・製作

 子会社㈱松竹撮影所が行っております。

BS・CS・CATVのソフト製作・編集

 当社が製作する他、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が製作・編集を行い、子会社㈱松竹映像センターが映像ソフトの企画・製作を行っております。

衛星基幹放送

 子会社松竹ブロードキャスティング㈱、関連会社BS松竹東急㈱及び関連会社インターローカルメディア㈱が行っております。なお、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行う有料放送による収入が、有料放送収入になります。

一般放送

 子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行っております。なお、子会社松竹ブロードキャスティング㈱が行う有料放送による収入が、有料放送収入になります。

ビデオソフトの製作・買付・販売

 当社が行っております。

宣伝の企画・制作・代理

 子会社松竹ナビ㈱が行っております。

音楽著作権の利用開発・許諾

 子会社松竹音楽出版㈱が行っております。

(2) 演劇事業……主要な業務は演劇の企画・製作・興行、俳優・タレントの斡旋、舞台衣裳の製作・売買・賃貸、演劇舞台の大道具・小道具・音響の製作・販売、劇場内イヤホンガイドサービス等であります。

演劇の企画・製作・興行、俳優・タレントの斡旋

 当社の他、子会社松竹芸能㈱、㈱松竹エンタテインメントが行っております。なお、当社が行う演劇の企画・製作・興行による収入が、劇場運営収入になります。

舞台衣裳の製作・売買・賃貸

 子会社松竹衣裳㈱、日本演劇衣裳㈱が行っております。

演劇舞台の大道具・小道具・音響の製作・販売

 子会社歌舞伎座舞台㈱、㈱関西美術、松竹ショウビズスタジオ㈱が行っております。

映画配給

 当社が演劇に関する映像コンテンツの配給を行っております。なお、配給による収入が映画配給収入となります。

映像版権許諾

 当社が演劇に関する映像コンテンツの版権許諾を行っております。なお、映像版権許諾による収入が映像版権許諾収入となります。

劇場内イヤホンガイドサービス

 関連会社㈱イヤホンガイドが行っております。

(3) 不動産事業……主要な業務は所有不動産の賃貸、不動産の管理・清掃等であります。

所有不動産の賃貸、不動産の管理・清掃

 当社の他、子会社松竹衣裳㈱、㈱松竹サービスネットワーク、関連会社㈱歌舞伎座、㈱サンシャイン劇場、新橋演舞場㈱が行っております。

(4) その他……主要な業務は、プログラムの製作・販売、キャラクター商品の企画・販売、配信コンテンツの企画・制作、新規事業開発、飲食サービス等であります。

プログラムの製作・販売、キャラクター商品の企画・販売、配信コンテンツの企画・制作、新規事業開発等

 当社が行っております。

コンテンツ制作

 子会社ミエクル㈱が行っております。

※画像省略しています。

(注)㈱歌舞伎座は東京証券取引所スタンダード市場に上場しております。

23/05/24

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 (1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当企業グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ①経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、感染症という。)の影響が長期化する中、感染対策と経済活動の両立が進み、景気に持ち直しの動きが見られたものの、原材料価格の高騰や物価の上昇により、依然として先行きの不透明な状況が続きました。

 映画業界は2022年の興行収入が 2,131億1,100万円(前年比131.6%)となりコロナ禍で落ち込んでいた観客動員数がコロナ禍前の水準にあと一歩のところまで回復してきております邦画・洋画の 構成比は邦画が68.8%洋画が31.2%となり洋画のシェアは前年の20.7%からは10.5%増となりましたが邦画のシェアが高い状況が続いています入場人員は1億5,200万人(前年比132.4%)と興行収入同様に前年を大きく上回りましたまた全国のスクリーン数は前年より14スクリーン減り3,634スクリーンとなりました

 演劇業界は引き続き感染防止策のガイドラインを遵守し段階的に収容率を上げつつ日程や上演時間等を工夫しながら興行を執り行って参りましたその中で松竹直営劇場の演劇公演ではお客様の安全安心を第一と考え上演形態に合わせできる限りの感染防止策を実施する中でお客様をお迎えいたしました

 不動産業界では業績を改善させる企業が多く不動産売買が活発化しましたまた経済活動再開の動きも本格化し低迷していたホテルや商業施設の需要も回復しつつあります一方オフィス賃貸市場は停滞傾向が続き資材高騰による建設コストの増加が事業採算性を悪化させるなど業界の先行きに不透明感が増してきており中長期での継続的な注視が必要です

 このような状況下、当企業グループは、より一層の効率化を図るとともに、本格的な事業再開に向けた環境整備に努めて参りました。

 以上の結果、当連結会計年度は、売上高78,212百万円(前連結会計年度比8.9%増)、営業損失776百万円(前年同期は営業損失4,005百万円)、経常利益1,359百万円(前年同期は経常損失2,801百万円)となり、特別利益7,333百万円及び特別損失1,421百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は5,484百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,762百万円)となりました。

 なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」)等を適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 

売上高

(百万円)

営業損失(△)

(百万円)

経常利益又は経常損失(△)

(百万円)

親会社株主に帰属する当期純利益又は親会社株主に帰属する当期純損失(△)

(百万円)

1株当たり当期純利益又は1株当たり当期純損失(△)

(円)

当連結会計年度

78,212

△776

1,359

5,484

399.30

前連結会計年度

71,835

△4,005

△2,801

△1,762

△128.33

増減率(%)

8.9

 

 ②財政状態の状況

 当連結会計年度末における財政状態の状況については、次のとおりであります。

 

資産合計

(百万円)

負債合計

(百万円)

純資産合計

(百万円)

自己資本比率

(%)

1株当たり純資産

(円)

当連結会計年度末

178,803

92,320

86,482

48.3

6,289.19

前連結会計年度末

188,781

107,947

80,833

42.4

5,827.78

増減率(%)

△5.3

△14.5

7.0

7.9

 

 ③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、次のとおりであります。

 

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

投資活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

財務活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

現金及び現金同等物

の期末残高

(百万円)

当連結会計年度

6,061

9,706

△13,507

16,013

前連結会計年度

4,806

△1,668

△4,977

16,531

 

 ④生産、受注及び販売の実績

 当企業グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であるため単価を特定できるものではなく、また受注生産形態をとるものも少ないため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績については「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ①経営成績の分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①経営成績の分析

 セグメントの業績は次のとおりであります。

 

売上高

セグメント利益又はセグメント損失(△)

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減率

(%)

映像関連事業

40,648

41,284

1.6

△1,890

△1,371

演劇事業

15,728

22,668

44.1

△4,068

△1,059

不動産事業

11,992

12,026

0.3

5,038

5,107

1.4

その他

3,465

2,233

△35.6

△197

△529

全社・消去

△2,888

△2,924

連結計

71,835

78,212

8.9

△4,005

△776

 

(映像関連事業)

 配給は邦画14作品、洋画3作品、アニメ11作品、シネマ歌舞伎、METライブビューイング、松竹ブロードウェイシネマ等の作品を公開し、「月の満ち欠け」「HiGH&LOW THE WORST X」「かがみの孤城」「劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVEスターリッシュツアーズ」「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「映画『ゆるキャン△』」「『劇場版 Free!-the Final Stroke-』後編」の7作品が興行収入10億円を超えるヒットとなりました。11月公開の「ある男」は第46回日本アカデミー賞で作品賞を含む最多8部門にて最優秀賞を受賞する等、高い評価を受けました。

 興行は㈱松竹マルチプレックスシアターズでは、前連結会計年度に引き続き、感染拡大予防ガイドラインに従い、空調設備を適切に稼働させ、お客様の体表面温度の非接触測定やアルコール消毒液の設置等、万全な感染防止策を行っております。興行では、邦画で興行収入100億円を超えた作品が、「ONE PIECE FILM RED」「劇場版 呪術廻戦0」「すずめの戸締まり」「THE FIRST SLAM DUNK」の4本で、いずれもアニメ作品となりました。洋画では「トップガン マーヴェリック」が大ヒットし、年間興行収入の回復に貢献しました。

 テレビ制作は、地上波にて、時代劇「必殺仕事人」、2時間ドラマ「再雇用警察官4」、連続ドラマ「全力!クリーナーズ」、BS放送にて、「続 遙かなる山の呼び声」、BS時代劇「まんぞくまんぞく」、「池波正太郎原作 武士とその妻」、時代劇スペシャル「無用庵隠居修行6」、連続ドラマ「シネコンへ行こう!」、CS放送にて、「池波正太郎から学ぶ『生きる作法』」等を制作いたしました。番組販売では、BS松竹東急㈱に大人気時代劇シリーズ「必殺仕事人」(全84話)他4作品を販売して好調に推移しました。

 映像版権は、DVD・ブルーレイディスク販売にて「CUBE 一度入ったら、最後」、「テーラー 人生の仕立て屋」「あまんちゅ!シリーズBlu-ray BOX(数量限定生産)」「銀河英雄伝説 Die Neue These」「ウェディング・ハイ」「モエカレはオレンジ色」などの新作やアニメーションを販売し、好調に推移しました。

 配信は、定額制動画配信では、dTVにて「ハニーレモンソーダ」、Amazon Prime Videoにて「大怪獣のあとしまつ」「東西ジャニーズJr. ぼくらのサバイバルウォーズ」、Netflixにて「モエカレはオレンジ色」の独占配信をスタートさせ、大きな話題となりました。都度課金型動画配信では、「峠 最後のサムライ」「MUNTO」「REVENGER」等の話題作を配信しました。

 権利販売は、国内では、BSテレビ東京にて「男はつらいよ」シリーズ4Kデジタル修復版を8月まで、「釣りバカ日誌」シリーズを9月から放送するなど旧作を中心に好調に推移しました。海外では、フランスのパリ日本文化会館にて「男はつらいよ」50作品が1年間かけて上映され、海外では初めての全作一挙公開となりました。

 CS放送は、松竹ブロードキャスティング㈱は、競合となるインターネット動画配信サービスにより、多チャンネル市場は厳しい状況が続いておりますが、視聴料収入の減少を広告収入で補い、またコスト削減を行うことで、利益の確保に努めました。

 BS放送は、BS松竹東急㈱は、BS260chにて日本全国無料放送を行う放送局として、2023年3月に開局1周年を迎えます。映画・演劇・ドラマをはじめ、多彩な番組を視聴者の皆様にお届けしました。

 この結果、売上高は41,284百万円(前年同期比1.6%増)、セグメント損失は1,371百万円(前年同期はセグメント損失1,890百万円)となりました。

 なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べ、当連結会計年度の売上高が3,736百万円減少し、セグメント損失は125百万円縮小いたしました。

(演劇事業)

 新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐため、感染予防を徹底し、お客様の安全、安心に配慮した興行を行ってまいりました。しかしながら、7月から8月にかけてオミクロン株の流行に伴う感染者数の増加に伴い、一部の公演が中止となりました。

 歌舞伎座は、感染防止策のガイドラインを遵守して興行を執り行い、収益の改善に努めましたが、舞台関係者の感染症罹患に伴い、「七月大歌舞伎」「八月納涼歌舞伎」の一部公演を中止しました。11月と12月には「十三代目市川團十郎白猿襲名披露 八代目市川新之助初舞台」の公演が行われ、両月とも大盛況となり収益に大きく貢献しました。また、8月以降段階的に収容率を上げ、上演中を除き黙食による客席・ロビーでの飲食を再開しました。

 新橋演舞場は、3月の「毒薬と老嬢」、4月と5月の「滝沢歌舞伎ZERO 2022」、8月の「流星の音色」、9月と10月の「少年たち あの空を見上げて」、11月と12月の「薔薇とサムライ2 -海賊女王の帰還-」、1月の「SANEMORI」、2月の「喜劇 老後の資金がありません」等が大成功を収めました。また、6月の「熱海五郎一座」、一部中止公演のあった7月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」も収益に貢献しました。加えて、新橋演舞場初登場となった8月と9月の「超歌舞伎2022 Powered by NTT」は新規顧客層の獲得に繋がりました。

 大阪松竹座は、3月の「正門良規 Solo Live SHOW with 関西ジャニーズJr.」、4月の「毒薬と老嬢」、5月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」、7月の「七月大歌舞伎」、8月の「関西ジャニーズJr. Space Journey!~僕たちの軌跡~」、10月の「日本怪談歌舞伎(Jホラー歌舞伎)」、「サラリーマンナイトフィーバー」、1月の「坂東玉三郎×鼓童 初春特別公演『幽玄』」等の公演を実施し、一年を通して多彩な演目を上演しました。

 南座は、3月の「三月花形歌舞伎」や「陰陽師 生成り姫」、7月と8月の「坂東玉三郎 特別舞踊公演」「坂東玉三郎 特別公演」、8月の「流星の音色」、9月の「超歌舞伎2022 Powered by NTT」、10月の「藤山寛美三十三回忌追善 喜劇特別公演」、文化庁芸術祭大賞を受賞した10月と11月の「女の一生」等はいずれも好評を博しました。12月の「吉例顔見世興行」は3部制にて開催し、客席制限も大幅緩和となり収益の改善に繋がりました。

 その他の公演は、演劇公演では、9月の日生劇場「夏の夜の夢」等が収益に貢献しました。歌舞伎公演では、10月と11月に浅草寺境内での平成中村座公演を、1月には新春浅草歌舞伎を3年振りに上演し、好評を博しました。全国歌舞伎巡業公演は3年振りに再開しました。

 受託製作の歌舞伎公演は、公演期間や規模を縮小して実施いたしました。御園座では4月の「陽春花形歌舞伎」、10月の「坂東玉三郎 特別公演」、博多座では6月の「六月博多座大歌舞伎」、2月の「二月花形歌舞伎」の公演を行い、それぞれに彩りがあり好評を博しました。

 シネマ歌舞伎は、片岡仁左衛門・坂東玉三郎の共演が大きな話題となった公演「桜姫東文章 上の巻・下の巻」をシネマ歌舞伎として4月に連続公開し好評を得ました。「月イチ歌舞伎」シリーズも継続し、古典の名舞台から「スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース」「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ 前編・後編」などの新作歌舞伎まで幅広いラインナップを上映しました。

 METライブビューイングは、2021-22シーズンの7演目や恒例のアンコール上映のほか、2022-23新シーズンでは若手スターを起用した演目を含む3演目を上映しました。新生METの意欲的な舞台が好評を博し、新しい顧客の開拓につながりました。

 配信は、歌舞伎の公演では、歌舞伎座の7月興行「風の谷のナウシカ」の千穐楽を同時生配信する予定でしたが、公演の中止に伴い、急遽収録していた素材での配信に切り替えて実施しました。また、團十郎襲名興行においては、11月初日の「口上」、千穐楽の「外郎売」、12月千穐楽の「助六由縁江戸桜」の三つの演目を同時生配信しました。「歌舞伎オンデマンド」では、毎月の歌舞伎座の公演を千穐楽の数日後に配信するサービスを継続したほか、海外配信を9つの国と地域でスタートしました。歌舞伎俳優によるオンライントークショー「歌舞伎家話」「紀尾井町家話」は高稼働し、「紀尾井町家話」は2月に第100夜を迎え、初めてお客様を入れたイベントを行い、同時生配信しました。歌舞伎以外でも、同時生配信ではありませんが、「毒薬と老嬢」「アンタッチャブルビューティー」「サラリーマンナイトフィーバー」などの演劇作品を、収録した上で後日配信する試みを行いました。

 この結果、売上高は22,668百万円(前年同期比44.1%増)、セグメント損失は1,059百万円(前年同期はセグメント損失4,068百万円)となりました。

(不動産事業)

 不動産賃貸事業では、既存テナントとの良好な関係構築や空室の戦略的リーシング活動に努めることで、歌舞伎座タワーや銀座松竹スクエアなどの主要物件が高稼働し、計画通りの収益確保に貢献しました。また、中長期の事業戦略として、資産効率向上を目的に保有物件の見直しを行い、新木場倉庫の譲渡を行いました。

 将来の街づくりの一環となる東銀座のエリアマネジメント活動においては、当社が発起人となって4月に一般社団法人とまちづくり推進協議会を設立しました。組織を構成する東銀座周辺の企業・団体や町内会・小中学校など地域との連携強化を図り、賑わいを創出して街の価値を高めるべく各種イベントなどを開催しました。また、SDGsの取り組みとして、月1回の定期清掃活動など地域貢献にも注力しました。

 この結果、売上高は12,026百万円(前年同期比0.3%増)、セグメント利益は5,107百万円(同1.4%増)となりました。

(その他)

 ウィズコロナの社会状況を見据え、各事業におけるオンラインによる販売、配信の強化をはかりつつ、人気シリーズ作品やコア層向けの商品開発・販売を主軸に展開しました。

 プログラム・キャラクター商品は、実写作品では、「モエカレはオレンジ色」「月の満ち欠け」「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」等、アニメ作品では「機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島」「映画『ゆるキャン△』」等の作品を中心に収益に貢献しました。

 イベント事業/オンライン配信は、4月に幕張メッセにて開催した超歌舞伎の新作「永遠花誉功」では、有観客での上演に加えて同時生配信も実施するハイブリッド公演を行いました。8月から9月にかけて全国4都市開催となった「超歌舞伎2022 Powered by NTT」公演では、安心安全に配慮した有観客上演を行い、最終上演地の京都南座では国内同時生配信を行ったほか、海外に向けた英語字幕付きアーカイブ配信を実施しました。また、ファミリー層に向けた体験型展示アトラクション「恐竜島の大冒険」を7月から8月にかけて実施しました。2次元アイドルキャラクターと「文通」ができる世界初の総合アイドルプロジェクト「フロムアイドル」は、ミュージックビデオ等の配信を開始して好評を博し、当社発のアイドルキャラクターとして配信イベントを実施しております。

 この結果、売上高は2,233百万円(前年同期比35.6%減)、セグメント損失は529百万円(前年同期はセグメント損失197百万円)となりました。

 なお、収益認識会計基準等の適用により、従来の方法に比べ、当連結会計年度の売上高が386百万円減少いたしました。

 

(売上高)

 売上高は78,212百万円(前年同期比8.9%増)となりました。前連結会計年度は緊急事態宣言等に伴う公演の中止や映画館の休業等一部影響を受けましたが、当連結会計年度は下期以降、感染症の影響も縮小し売上高は増加しています。

(売上原価)

 売上原価は46,295百万円(前年同期比0.2%減)となりました。これは主に配分金、仕込費等が減少したためであります。

(販売費及び一般管理費)

 販売費及び一般管理費は32,693百万円(前年同期比11.1%増)となりました。これは主に広告宣伝費、人件費、手数料等が増加したためであります。

(営業損失)

 売上高は増加したものの、上期においてオミクロン株の流行に伴う感染者数の増加に伴い、一部の公演が中止となった影響もあり、営業損失は776百万円(前年同期は営業損失4,005百万円)となりました。

(経常利益)

 営業外収益は3,934百万円(前年同期比31.7%増)となりました。これは主に補助金の増加によるものです。また、主に持分法による投資損失が増加したことにより営業外費用は1,798百万円(同0.9%増)となりました。その結果、営業外損益計上後の経常利益は1,359百万円(前年同期は経常損失2,801百万円)となりました。

(特別利益及び特別損失)

 特別利益は固定資産売却益6,996百万円、持分変動利益321百万円等合計7,333百万円を計上しました。また、特別損失については、減損損失852百万円、棚卸資産処分損288百万円、公演中止損失205百万円等合計1,421百万円を計上しました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 親会社株主に帰属する当期純利益は5,484百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,762百万円)となり、1株当たり当期純利益は399円30銭となりました。

 

②財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ9,978百万円減少し、178,803百万円となりました。これは主に投資有価証券が増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産、有形固定資産が減少したこと等によるものであります。

 負債は、前連結会計年度末に比べ15,626百万円減少し、92,320百万円となりました。これは主に借入金が減少したこと等によるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ5,648百万円増加し、86,482百万円となりました。これは主に利益剰余金が増加したこと等によるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下資金という)は連結除外に伴う現金及び現金同等物の減少額2,784百万円と合わせて前連結会計年度末に比べ517百万円の減少し16,013百万円となりました

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります

(イ)営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は6,061百万円(前年同期に得られた資金は4,806百万円)となりましたこれは主として税金等調整前当期純利益7,271百万円の計上等によるものであります

(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果得られた資金は9,706百万円(前年同期に使用した資金は1,668百万円)となりましたこれは主として有形固定資産の売却による収入10,296百万円等によるものであります

(ハ)財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は13,507百万円(前年同期に使用した資金は4,977百万円)となりましたこれは主として長期借入金の返済による支出14,435百万円等によるものであります

(ニ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当企業グループの主な資金需要は運転資金及び設備投資資金であり、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金によって充当しております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は16,013百万円となっております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤経営成績等に重要な影響を与える要因について

 経営成績等に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2.事業等のリスク」に記載のとおりであります。