売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E04583 Japan GAAP

売上高

2,833.5億 円

前期

2,443.0億 円

前期比

116.0%

時価総額

1.00兆 円

株価

5,375 (04/23)

発行済株式数

186,490,633

EPS(実績)

242.82 円

PER(実績)

22.14 倍

平均給与

897.8万 円

前期

880.5万 円

前期比

102.0%

平均年齢(勤続年数)

39.3歳(14.3年)

従業員数

357人(連結:3,297人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社の企業集団は、当社、子会社45社、関連会社9社(うち連結子会社35社、持分法適用関連会社2社)で構成され、映画事業、演劇事業、不動産事業及びその他の事業に携わっております。

各々の事業内容と、当社及び当社の関係会社の、当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。

なお、当社の企業集団が営んでいる事業内容と、セグメントにおける事業区分は同一であります。

 

映画事業

当社、子会社20社(うち連結子会社15社)、関連会社6社(うち持分法適用関連会社1社)で構成されております。

事業の内容は、①映画営業事業と②映画興行事業及び③映像事業であります。

①映画営業事業

当社、子会社6社(東宝東和㈱等)、関連会社1社で構成され、当社は、製作した映画の他、国内の製作会社から配給業務を委託された映画を、東宝東和㈱は海外の映画を、当企業集団を始めとする国内の興行会社に配給しております。また、共同製作した劇場用映画の映像配信権の許諾を行っております。

②映画興行事業

子会社2社(TOHOシネマズ㈱等)、関連会社1社で構成され、これらが経営する映画館等で、当社及び東宝東和㈱並びに当企業集団以外の配給会社が配給する映画を上映しております。

③映像事業

当社、子会社12社(㈱東宝映像美術、東宝舞台㈱等)、関連会社4社で構成され、共同製作したテレビアニメ作品に関する映像配信権・商品化権の許諾、映像パッケージソフト等の企画・制作・販売等、映画などの美術セット等の製作、各種イベント、広告等の企画・製作から販売に至る各分野に携わっております。

演劇事業

当社、子会社2社(うち連結子会社2社)、関連会社1社で構成されております。

演劇の製作及び興行は主に当社が行っており、㈱東宝エージェンシーは当社が公演する演劇の入場券販売を、東宝芸能㈱は芸能プロダクションの経営を行っております。

不動産事業

当社、子会社20社(うち連結子会社16社)、関連会社2社(うち持分法適用関連会社1社)で構成されております。

事業の内容は、①不動産賃貸事業と②道路事業及び③不動産保守・管理事業であります。

①不動産賃貸事業

当社、子会社1社、関連会社1社で構成され、保有不動産の賃貸を主体とする不動産業に携わっております。

②道路事業

子会社16社で構成され、スバル興業㈱とスバル興業㈱の企業集団が、道路の維持管理・清掃等を主たる事業としております。

③不動産保守・管理事業

子会社3社、関連会社1社で構成され、東宝ファシリティーズ㈱及び東宝ビル管理㈱はビルの管理・清掃・警備等に携わっております。

その他事業

子会社3社(うち連結子会社2社)で構成され、東宝共榮企業㈱はスポーツ施設等の経営に、TOHOリテール㈱は物販業に携わっております。その他で㈱東宝ビジネスサポートが会計業務のコンサルティング及び指導等に携わっております。

 

以上に述べた事項の、当社を中心とした概要図は次のとおりであります。

 

 

※画像省略しています。

 

セグメントごとの非連結子会社及び関連会社の会社数と会社名は次のとおりであります。

(連結子会社については、第1 企業の概況 4 関係会社の状況を参照。)

 

セグメント

主要な事業内容

非連結子会社(10社)

関連会社(9社)

会社数

会社名

会社数

会社名

映画事業

映画の製作・配給

2社

東寶影業(香港)有限公司

1社

マイシアターD.D.㈱

東和ピクチャーズ㈱

映画の興行

 

 

1社

オーエス㈱ ※1

映像の製作・販売

3社

㈱東和ミュージック

4社

㈱アイ・エス・シー

㈱ケイエッチケイアート

㈱ニュージャパンフィルム

「単騎、千里を走る」任意組合※2

㈱映像衣裳サービス

 

㈱渋谷ステージセンター

演劇事業

演劇の製作・興行

 

 

1社

㈱シアター・コミュニケーション・システムズ

不動産事業

不動産の賃貸等

 

 

1社

㈱東京楽天地 ※1

道路の維持管理・清掃等

4社

㈱環境清美

 

 

㈱名古屋道路サービス

 

㈱水質研究所

 

スバルケミコ㈱

 

不動産の保守・管理

 

 

1社

有楽町センタービル管理㈱

その他事業

会計業務コンサルティング業

1社

㈱東宝ビジネスサポート

 

 

 

 

(注) ※1持分法適用会社

※2「投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の適用に関する実務上の取扱い」(平成18年9月8日 企業会計基準委員会実務対応報告第20号)の適用により、非連結子会社に含めております。

23/05/25

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(経営成績の概況)

当連結会計年度におけるわが国の経済は、持ち直しの動きがみられるもののウクライナ情勢の長期化などが懸念される中で、物価上昇の影響など先行き不透明な状況が続いております。

映画業界におきましては、2022年の興行収入は2131億1千1百万円と、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年以来3年ぶりの2000億円超えとなり、前年比31.6%の増加となりました。

このような情勢下にあって当社グループでは、新型コロナウイルス感染拡大防止に努めながら、各事業において柔軟かつ機動的な営業活動をおこない、主力の映画事業においては、定番のアニメーション作品他、話題作を配給しました。これらの結果、営業収入は2442億9千5百万円(前年度は2283億6千7百万円)、営業利益は448億8千万円(前年度は399億4千8百万円)、経常利益は478億1千5百万円(前年度は427億9千万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は334億3千万円(前年度は295億6千8百万円)となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う大規模施設に対する協力金等を「助成金収入」として特別利益に計上しております。

なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を適用しております。そのため、当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっていることから、対前期増減額及び対前期増減率は記載しておりません。

また、創立100周年に向けた「長期ビジョン 2032」と3カ年の具体的な施策である「中期経営計画 2025」とから構成される「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」を2022年4月に策定し、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に取り組んでおります。

セグメントごとの経営成績は以下のとおりです。

 

映画事業

映画営業事業のうち製作部門では、東宝㈱において「すずめの戸締まり」「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」「キングダム2 遥かなる大地へ」「シン・ウルトラマン」等の19本を共同製作いたしました。

映画営業事業のうち配給部門では、当連結会計年度の封切作品として、東宝㈱において上記作品の他、「ワールドツアー上映『鬼滅の刃』上弦集結、そして刀鍛冶の里へ」「沈黙のパレード」を含む25本を、東宝東和㈱等において「トップガン マーヴェリック」「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」「ミニオンズ フィーバー」「SING/シング:ネクストステージ」等の18本を配給いたしました。また、収益認識会計基準等の適用により映画配給のうち一部の洋画配給取引で当社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更いたしました。これらの結果、映画営業事業の営業収入は40,903百万円(前年度は40,439百万円)、営業利益は13,532百万円(前年度は11,507百万円)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が26,815百万円、劇場用映画の国内配信が3,341百万円となりました。

映画興行事業では、TOHOシネマズ㈱等において、上記配給作品のヒットや「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」等の話題作の上映、また前連結会計年度に比べ劇場の休館等の制約期間が短くなったこともあり、当連結会計年度における映画館入場者数は39,263千人と前年度比30.8%の増加となりました。また、収益認識会計基準等の適用により劇場内売店での一部のパンフレット・グッズ販売取引など、当社グループの役割が代理人に該当する取引については、収益を総額で認識せず、関連する費用を控除した純額を収益として認識することに変更いたしました。これらの結果、映画興行事業の営業収入は71,054百万円(前年度は57,673百万円)、営業利益は7,394百万円(前年度は1,678百万円)となりました。なお、当連結会計年度中の劇場の異動につきましては、TOHOシネマズ㈱が4月25日に福岡市博多区「TOHOシネマズ ららぽーと福岡」(9スクリーン)をオープンいたしました。これにより、当企業集団の経営するスクリーン数は全国で9スクリーン増の721スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっております。

映像事業では、TOHO animationにおいて、「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」「BLUE GIANT」等に製作出資し、国内外の配信・商品化権収入に加え、製作出資いたしました作品の各種配分金収入がありました。パッケージ事業ではアニメ「劇場版 呪術廻戦 0」が好調なセールスとなりました。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて映画「すずめの戸締まり」「シン・ウルトラマン」「劇場版 呪術廻戦 0」「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」をはじめとする当社配給作品や、洋画「トップガン マーヴェリック」の販売が伸長いたしました。ODS事業ではアニメ三部作「特『刀剣乱舞-花丸-』~雪月華~」「BLUE GIANT」等を提供いたしました。TOHOスタジオ㈱では、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、順調に稼働しました。㈱東宝映像美術及び東宝舞台㈱では、映画やTV・CM等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務に関して一時期の厳しい状況から改善しつつあります。これらの結果、映像事業の営業収入は46,058百万円(前年度は46,667百万円)、営業利益は8,148百万円(前年度は11,708百万円)となりました。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が17,530百万円、パッケージの販売が5,597百万円、映像作品等に係る美術製作が8,561百万円となりました。

以上の結果、映画事業全体では、営業収入は158,015百万円(前年度は144,781百万円)、営業利益は29,075百万円(前年度は24,894百万円)となりました。

なお、当連結会計年度において、㈱TOHO animation STUDIO及び㈱エイド・ディーシーシーが連結子会社となりました。また、㈱エイド・ディーシーシーを子会社化したことにより発生したのれん1,111百万円を一括償却しております。

 

演劇事業

演劇事業では、東宝創立90周年記念作品として「千と千尋の神隠し」初の舞台化を帝国劇場にて実現し全席完売となりました。その後、全国各地での公演やライブ配信等、様々な取り組みを展開いたしました。帝国劇場におきまして「Endless SHOCK -Eternal-」「ガイズ&ドールズ」「ミス・サイゴン」「DREAM BOYS」「エリザベート」「ABC座 10th ANNIVERSARY ジャニーズ伝説 2022」「JOHNNYS' World Next Stage」「キングダム」を上演し盛況に推移しました。シアタークリエにおきましては「ピアフ」「ネクスト・トゥ・ノーマル」「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」「Only 1, NOT No.1」「ダディ・ロング・レッグズ」「モダン・ミリー」「アルキメデスの大戦」「The Fantasticks」「SHOW-ism XI『BERBER RENDEZVOUS』」「海宝直人コンサート『ATTENTION PLEASE!』」「CLUB SEVEN 20th Anniversary」等を上演しました。日生劇場では「四月は君の嘘」「ジャージー・ボーイズ」「ザ・ビューティフル・ゲーム」等を上演しました。東急シアターオーブでは「天使にラブ・ソングを~シスター・アクト~」等を上演しました。東京建物 Brillia HALLでは「ヘアスプレー」が大入りとなりました。しかしながら前年に引き続き、新型コロナウイルス感染拡大により一部の作品が公演中止となり業績に影響がありました。東宝芸能㈱では、所属俳優がCM出演等で堅調に推移しました。

以上の結果、演劇事業の営業収入は18,202百万円(前年度は15,157百万円)、営業利益は2,774百万円(前年度は2,472百万円)となりました。

 

 

不動産事業

不動産賃貸事業では、オフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にありましたが、保有物件の有効活用に努めつつ、テナントに対するきめ細かな対応により、賃貸用不動産の空室率は、当連結会計年度末において1.0%となりました。これらの結果、不動産賃貸事業の営業収入は28,022百万円(前年度は27,155百万円)、営業利益は11,554百万円(前年度は11,733百万円)となりました。なお、2023年2月に「東宝日比谷プロムナードビル」が竣工いたしました。

道路事業では、公共投資が堅調に推移しましたが、慢性的な人手不足や受注競争の激化、労務費や資機材・燃料価格の上昇傾向が継続する等、依然として予断を許さない状況が続きました。スバル興業㈱と同社の連結子会社は、継続的な受注確保とともに、業務の効率化やコストの削減に努めました。その結果、道路事業の営業収入は28,907百万円(前年度は28,977百万円)、営業利益は5,092百万円(前年度は4,207百万円)となりました。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等26,421百万円であり、またその他の収益802百万円が含まれております。

不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理㈱及び東宝ファシリティーズ㈱において、新規受注獲得の取り組みに努めました。その結果、営業収入は9,983百万円(前年度は9,699百万円)、営業利益は926百万円(前年度は715百万円)となりました。

以上の結果、不動産事業全体では、営業収入は66,913百万円(前年度は65,832百万円)、営業利益は17,572百万円(前年度は16,657百万円)となりました。

 

その他事業

東宝共榮企業㈱の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテール㈱の劇場売店等において、様々な営業施策等を展開し、かつ採算性を勘案して営業活動を行いました。なお、TOHOリテール㈱は、2021年8月をもって直営飲食事業から撤退しました。その結果、その他事業の営業収入は1,163百万円(前年度は2,596百万円)、営業利益は130百万円(前年度は90百万円の営業損失)となりました。

 

 

(財政状態の概況)

当連結会計年度末における財政状態は、前連結会計年度末と比較して、総資産は31,564百万円増加し、534,097百万円となりました。これは主に、投資有価証券で13,392百万円の減少がありましたが、現金及び預金で6,508百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末の受取手形及び売掛金と比べ10,069百万円、現先短期貸付金で10,999百万円、建物及び構築物(純額)で5,384百万円、土地で5,036百万円の増加があったこと等によるものです。

負債では前連結会計年度末から17,054百万円増加し、110,405百万円となりました。これは主に、買掛金で11,467百万円、未払金で2,187百万円の増加があったこと等によるものです。

純資産は前連結会計年度末と比較して14,510百万円増加し、423,691百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益33,430百万円の計上及び剰余金の配当8,385百万円等による利益剰余金23,794百万円の増加の他に、自己株式で10,153百万円の増加があったこと等によるものです。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ19,780百万円増加し、112,121百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における営業活動による資金は、税金等調整前当期純利益が50,490百万円、減価償却費が9,514百万円、仕入債務の増加が11,421百万円ありましたが、売上債権及び契約資産の増加が9,929百万円、法人税等の支払額が16,620百万円あったこと等により、45,404百万円の資金の増加(前年度比8,055百万円の減少)となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における投資活動による資金は、有価証券の売却による収入が71,200百万円、金銭の信託の解約による収入が4,900百万円ありましたが、有価証券の取得による支出が62,395百万円、有形固定資産の取得による支出が16,922百万円、投資有価証券の取得による支出が6,425百万円あったこと等により、9,175百万円の資金の減少(前年度比26,854百万円の増加)となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)
  当連結会計年度における財務活動による資金は、自己株式の取得による支出が10,192百万円、配当金の支払額が8,383百万円あったこと等により、19,125百万円の資金の減少(前年度比6,642百万円の減少)となりました。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当企業集団の事業について生産実績を定義することが困難なため「生産の状況」は記載しておりません。

また、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、受注実績及び販売実績の当連結会計年度に係る各数値については、当該会計基準等を適用した後の金額となっていることから、前年同期比率は記載しておりません。

 

a. 受注実績

 

セグメントの名称

受注高
(百万円)

前年同期比
(%)

受注残高
(百万円)

前年同期比
(%)

映画事業

2,292

299

演劇事業

不動産事業

24,252

4,347

その他事業

合計

26,544

4,646

 

(注) 映画事業に含まれる映像事業の内テーマパーク関連事業及び不動産事業に含まれる道路事業における受注実績

を記載しております。

 

 

b. 販売実績

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

(百万円)

前年同期比(%)

映画事業

158,015

演劇事業

18,202

不動産事業

66,913

その他事業

1,163

合計

244,295

 

(注) 当企業集団の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、重要性のある

相手先がないため記載を省略しております。

映画事業、演劇事業及びその他事業の販売の相手先は主に不特定の個人であり、不動産事業についても総販売

実績の100分の10以上を占める相手先はありません。

 

 

(2) 経営者の視点による当該経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
1)  経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの経営成績は、主力の映画事業において、新海誠監督最新作「すずめの戸締まり」や「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」が大ヒット、洋画においても「トップガン マーヴェリック」がロングラン大ヒットを記録するなど配給作品が好調な成績となりました。また、前連結会計年度に比べ劇場の休館等の制約期間が短くなったことに加え、上記作品ほか「ONE PIECE FILM RED」「THE FIRST SLAM DUNK」等、豊富なアニメ話題作が興行を牽引しました。TOHO animationレーベルでは「僕のヒーローアカデミア」「SPY×FAMILY」等の国内外の配信・商品化権収入等が伸長いたしました。演劇事業では、前年に引き続き、新型コロナウイルスの役者やスタッフへの感染により一部の作品が公演中止になりましたが、東宝創立90周年作品として初の舞台化となった「千と千尋の神隠し」が全席完売になったほか、各公演が好評を博しました。不動産事業ではオフィス市況の変化など引き続き厳しい状況下にありましたが、商業施設やホテルへの利用客の回帰に伴い賃料も正常化し、全国に保有する不動産物件は堅調に稼働いたしました。当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ15,927百万円増収の244,295百万円、営業利益は、前連結会計年度と比べ4,931百万円増益の44,880百万円となり、コロナ禍からの着実な回復が見られる結果となりました。

 

(a) 営業収入

当連結会計年度の営業収入は、前連結会計年度と比べ15,927百万円増収の244,295百万円となりました。

(b) 営業原価、販売費及び一般管理費

当連結会計年度の営業原価は、前連結会計年度と比べ2,142百万円増加の135,669百万円となりました。

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べ8,853百万円増加の63,745百万円となりました。これは広告宣伝費が1,803百万円、借地借家料が1,124百万円、人件費が980百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

(c) 営業利益

当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ4,931百万円増加の44,880百万円となりました。その内訳は、「映画事業」で前連結会計年度と比べ4,181百万円増益の29,075百万円、「演劇事業」で前連結会計年度と比べ302百万円増益の2,774百万円、「不動産事業」で前連結会計年度と比べ915百万円増益の17,572百万円、「その他事業」では前連結会計年度と比べ221百万円増益の130百万円でした。

 

なお、上記事項を含む報告セグメントごとの詳細については、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。

 

(d) 営業外収益、営業外費用及び経常利益

当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度と比べ45百万円増加の2,957百万円となりました。これは主として、為替差益が前連結会計年度に比べ436百万円減少しましたが、前連結会計年度と比べ受取配当金が239百万円、持分法による投資利益が150百万円、受取利息が107百万円それぞれ増加したこと等によるものであります。

また、営業外費用は、前連結会計年度と比べ47百万円減少の22百万円となりました。これは主として、前連結会計年度と比べ自己株式取得費用が22百万円、支払利息が16百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。

この結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度と比べ5,024百万円増加の47,815百万円となりました。

 

(e) 特別利益、特別損失

当連結会計年度の特別利益は、前連結会計年度と比べて1,121百万円増加の4,997百万円となりました。これは主として、助成金収入が前連結会計年度と比べ1,140百万円減少しましたが、当連結会計年度に投資有価証券売却益を1,745百万円計上したこと等によるものであります。

特別損失は、前連結会計年度と比べ137百万円増加の2,322百万円となりました。これは主として、固定資産解体費用が前連結会計年度と比べ916百万円減少しましたが、当連結会計年度に割増退職金を812百万円計上したことや、減損損失が前連結会計年度と比べ785百万円増加したこと等によるものであります。

 

(f) 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、法人税、住民税及び事業税16,556百万円、法人税等調整額△935百万円、非支配株主に帰属する当期純利益1,438百万円を計上し、前連結会計年度と比べ3,862百万円増加の33,430百万円となりました。1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の167.24円から190.37円に増加しました。

 
2)  財政状態の分析
(a) 資産

当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ31,564百万円増加して534,097百万円となりました。

流動資産は、前連結会計年度末と比べ36,841百万円増加して224,708百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ現先短期貸付金は10,999百万円増加し64,999百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が前期末の受取手形及び売掛金と比べ10,069百万円増加し32,921百万円となりました。

有形固定資産は、前連結会計年度末と比べ7,585百万円増加の177,451百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べ、建物及び構築物(純額)は5,384百万円増加し85,434百万円、土地が5,036百万円増加し80,475百万円となりました。

無形固定資産は、前連結会計年度末と比べ433百万円減少の4,953百万円となりました。

投資その他の資産は、前連結会計年度末と比べ12,429百万円減少し126,984百万円となりました。これは主に、投資有価証券が前連結会計年度末と比べ13,392百万円減少し108,499百万円となったこと等によるものであります。

(b) 負債

当連結会計年度末の流動負債及び固定負債合計額は、前連結会計年度末と比ベ17,054百万円増加の110,405百万円となりました。

流動負債は、前連結会計年度末と比べ18,231百万円増加の65,762百万円となりました。このうち、前連結会計年度末と比べて、買掛金が11,467百万円増加して30,773百万円、未払金が2,187百万円増加して5,311百万円となりました。

固定負債は、前連結会計年度末と比べて1,176百万円減少して44,643百万円となりました。これは主に、繰延税金負債が1,205百万円減少して10,428百万円となったこと等によるものであります。

(c) 純資産

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて14,510百万円増加し、423,691百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純利益33,430百万円の計上及び剰余金の配当8,385百万円等により前連結会計年度末と比べて利益剰余金が23,794百万円増加、取締役会決議に基づく自己株式の取得等によって自己株式が10,153百万円増加したこと等によるものであります。なお、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末と比べ2.1ポイント減少し、76.6%となりました。

 

 

キャッシュ・フローの状況の分析・資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しているとおりであります。

(財務戦略の基本的な考え方)

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な運転資金、設備投資等の資金は、自己資金を原則としており、不確実性が高い事業を運営するため、十分な手許資金が必要であると考えております。そのためグループ内の資金効率を向上させるべく、当社は、資金余剰が生じている子会社から借り入れる一方、資金需要のある子会社に対しては、貸付を行うことがあります。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の期末残高112,121百万円に対し、有利子負債(リース債務含む)残高は2,558百万円と、自己資金での投資余力を高いレベルで維持しております。

(資金需要の内容及び経営資源の配分)

当社グループの資金需要は、2022年に策定した「TOHO VISION 2032 東宝グループ 経営戦略」内の「中期経営計画2025」にて成長投資を掲げており、主な内容はコンテンツ関連投資(映画・アニメ・演劇製作・新規IP創出・人材獲得)として500億円、不動産関連投資(保有物件再開発・新規物件取得)として500億円、新規シネコン出店として50億円、海外展開・DX関連ほかに50億円の計1,100億円程度の投資額を2025年までの3カ年で見込んでおります(大型M&Aに要する投資は別枠)。また、年間40円の配当をベースに配当性向30%以上かつ機動的な自己株式取得の実施により株主還元の充実に努めることとしております。

(資金調達)

短期的・中長期的な投資資金については、自己資金で賄うことを前提としており、大型M&Aに要する資金、中長期的な投資資金については、事業機会に即した資金調達の安定性向上に努めており、財務健全性や資金調達手段の多様化を考慮し、高い信用格付の維持向上を目指して、㈱格付投資情報センターより「AA-」の格付を取得しております。

 

重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表][注記事項](重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

経営成績に重要な影響を与える要因

「第2[事業の状況]2[事業等のリスク]」に記載のとおりであります。