売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E03863 Japan GAAP

売上高

1,130.5億 円

前期

570.6億 円

前期比

198.1%

時価総額

5,020.5億 円

株価

5,390 (04/25)

発行済株式数

93,145,400

EPS(実績)

-41.88 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

710.8万 円

前期

651.8万 円

前期比

109.1%

平均年齢(勤続年数)

39.0歳(12.0年)

従業員数

272人(連結:2,499人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(日本空港ビルデング株式会社)及び子会社24社、関連会社14

社から構成されており、羽田空港における旅客ターミナルの管理運営及び国内線、国際線利用者に対するサービスの提供を主たる事業とする施設管理運営業をはじめ、物品販売業及び飲食業等を営んでおります。また、成田空港、関西空港、中部空港等において物品販売業等を営んでおります。

 当社グループ各社の位置づけと事業内容との関連は次のとおりであります。

 

施設管理運営業 …  当社及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社は、旅客ターミナルの施設管理運営業を行っており、主に航空会社を中心とする航空関連企業への施設の賃貸や、整備運営事業を行っております。

 これに付随して、子会社である日本空港テクノ株式会社ほか3社及び関連会社6社は、旅客ターミナル施設等の保守・営繕、運営、警備、清掃、旅客輸送及びグランドハンドリング事業を行っております。子会社である株式会社ビッグウイングほか3社は、旅客ターミナルにおける広告代理業及び旅客サービス等の役務の提供を行っております。

 また、子会社である株式会社羽田未来総合研究所ほか1社及び関連会社4社は主として国内外の空港運営コンサルティング事業等を行っております。

 

物 品 販 売 業 …  当社及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社ほか11社及び関連会社3社は、物品販売業を行っており、主として羽田空港国内線、国際線及び成田空港並びに関西空港を中心に航空旅客等への商品販売及び中部空港をはじめ空港会社等に対する商品卸売等を行っております。

 これに付随して、子会社である株式会社日本空港ロジテムは、商品の運送、倉庫管理等を行っております。

 

飲  食  業 …  当社及び子会社である東京国際空港ターミナル株式会社ほか4社は、主に羽田空港国内線、国際線及び成田空港の利用者等に対する飲食サービスの提供を行っております。

 また、子会社であるコスモ企業株式会社及び関連会社1社は、羽田空港及び成田空港において主として国際線航空会社に対する機内食の製造・販売及び冷凍食品製造・販売を行っております。


     以上に述べた事項を事業系統図によって示しますと、次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)業績等の概要

①経営成績等の業績の概要

当連結会計年度における我が国経済は、一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直しています。先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっています。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

このような経済情勢のもと、航空業界においては国内での行動制限の撤廃や水際対策の段階的な緩和により、着実な需要回復が続いております。当連結会計年度における羽田空港の旅客数は、国内線は前期比で約1.8倍、コロナ影響前の2019年(暦年)比で約8割の水準、国際線は前期比で約8倍、2019年比で約4割の水準となりました。特に当第4四半期の国際線は2019年1月~3月比で約7割の水準と、昨年10月の入国規制の大幅な緩和以降、急速に回復しております。

このような中、当社グループが昨年5月に発表した中期経営計画は訪日外客数6000万人の達成等の政府目標が掲げられる2030年に目指す姿からバックキャストした2025年までの計画としており、その経営目標達成に向け各施策を実行しております。また、戦略推進の中核と位置付けるサステナビリティについては、昨年7月に推進体制を整え、本年5月にサステナビリティ中期計画を発表しました。当社グループが経営戦略を推進するうえでのマテリアリティ(重要課題)を特定したうえで、KPI(重要業績評価指標)を設定し、サステナビリティ経営に向けた取り組みの実効性を強化することで、自社の持続的成長と持続可能な社会の実現への貢献を目指します。

当連結会計年度において、施設面では、各ターミナル保安エリアにリモートワークに適した個室型ワークボックスを設置し、国内線エスコートサービスを開始するなど、多様なニーズに対応したサービスを提供しているほか、大規模災害に備えた改修工事や、聴覚障がい者向けの非常用フラッシュライトの設置などのユニバーサルデザイン対応を順次行っております。また、夏場や冬場の電力需給ひっ迫期にはターミナル内の照明の一部消灯や空調の運転制御を実施することで経済産業省の節電要請に協力しました。加えて、第2ターミナル北側サテライトと本館との接続工事に着手し、将来へ向けた投資計画を着実に推進する一方で、羽田空港における空港車両のEV化の検討や水素エネルギーの潜在的な需要調査など、カーボンニュートラル社会の実現に向けた取り組みも進めております。

営業面においては、国内線では、アップサイクル商品を展開する、第2ターミナルの「GOOD NEWS TOKYO」をオープンし、第1ターミナルの「サマンサタバサ」をリニューアルしました。また、羽田空港限定品等を集めた「羽田空港セレクション」、「HANEDA CHOCOLATE JOURNEY」、全国各地の物産&観光フェア等の催事イベントを積極的に開催したほか、「HANEDA Sports」内に、サッカーのワールドカップや野球のWBCの開催に合わせて期間限定ストアを展開しました。国際線では、需要回復に合わせて免税店舗の営業を再開し、営業時間を随時、見直しているほか、「ルイ・ヴィトン」、「ディオール」などの免税店舗や「セブン-イレブン」を保安検査通過後の出発ゲートラウンジにオープンするなど、店舗の再配置を進めております。EC事業では、公式通販サイト「HANEDA Shopping」の機能強化を行い、認知度向上を図るとともに、通販サイトで予約した商品を羽田空港店舗で受け取れるなどECサイトと実店舗とを連携させた「クリック・アンド・コレクト」の取り組みを進めております。

羽田空港以外では、成田空港第1ターミナルに北海道産の食品を販売する「北海道食賓館」をオープンしたほか、羽田空港での導入実績や運用ノウハウを活かした販売代理店事業として、放射冷却素材「Radi-Cool」の他空港への展開や、案内や清掃などのロボットの導入実績を増やしております。また、当社が運営に参画するパラオ国際空港は昨年5月に、阿蘇くまもと国際空港は本年3月に、それぞれ新旅客ターミナルの供用を開始しました。

組織・ガバナンスの面では、当社は昨年6月に監査等委員会設置会社へ移行し取締役会の構成においては3分の1を独立役員として指定したほか、経営の透明性の向上と意思決定及び執行のさらなる迅速化を図っています。また、「自ら考え挑戦する人財」の活躍・多様な人財が互いを高め合う企業風土を目指し、産産連携・産学連携プロジェクトへの参画、障がい者採用の拡充・環境整備等、採用・育成・制度の面から組織力の強化に努めております。

羽田空港旅客ターミナルは、英国SKYTRAX社が実監査を行う“Global Airport Rating”において、昨年11月に世界最高水準である「5スターエアポート」を9年連続で獲得しました。また、本年3月には一般旅客のインターネット投票により決定する“WORLD AIRPORT AWARDS 2023”において、国際空港の総合評価である「World's Best Airports」部門で世界第3位、さらに「World's Cleanest Airports」部門(8年連続)、「World's Best Domestic Airports」部門(11年連続)、「World's Best PRM / Accessible Facilities」部門(5年連続)で世界第1位の評価をいただきました。

 

以上の結果、当連結会計年度の業績については、旅客数の回復に伴いすべてのセグメントで売上高が前年度より増加し、営業収益は1,130億5千万円(前年比98.1%増)となりました。また、資源価格の高騰により水道光熱費が増加したものの、売上の回復とコスト削減の堅持により赤字幅が前年度より縮小し、営業損失は
105億7千9百万円(前年は営業損失 412億5千5百万円)、経常損失は 120億6千4百万円(前年は経常損失 438億6千1百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は 39億1百万円(前年は親会社株主に帰属する当期純損失 252億1千7百万円)となりました。

 

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

前年比
増減率
(%)

営 業 収 益

57,057

113,050

98.1

 

(施設管理運営業)

40,029

63,280

58.1

 

(物品販売業)

13,174

41,317

213.6

 

(飲食業)

3,852

8,452

119.4

営 業 損 失

△ 41,255

△ 10,579

経 常 損 失

△ 43,861

△ 12,064

親会社株主に帰属する
当期純損失

△ 25,217

△  3,901

 

足元においては、羽田空港の旅客数は引き続き回復傾向を示しております。国内線では、全国旅行支援が4月以降も継続され、観光旅行需要の下支えが期待されます。国際線では、3月末開始の夏ダイヤから便数はコロナ前の水準に回復しております。5月には新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが季節性インフルエンザなどと同じ「5類」に移行したこともあり、今後も更なる需要回復が期待されます。

このような中、現在、航空業界全体では、航空機の運航を支援するグランドハンドリング業務や航空保安検査業務等の人手不足が大きな問題となっておりますが、当社グループはこの課題解決に向けて国や航空会社等と連携して積極的に取り組んでまいります。また、当社グループとしても合同会社説明会を実施し、採用活動を強化するなど、急速に回復する旅客需要に対応するために必要な人員確保に努めております。

当社グループは引き続きコロナ禍での学びをターミナル運営に活かしながら、羽田空港旅客ターミナルの利便性、快適性、機能性の向上に取り組み、すべてのお客さまの安全で円滑な出入国や移動を実現することで、日本及び首都圏の空の玄関口である羽田空港の価値向上に取り組んでまいります。

 

 

セグメント別の概況

セグメント別の業績は次のとおりです。なお、各事業における売上高はセグメント間の内部売上高を含み、営業利益(損失)はセグメント利益(損失)に該当します。

 

(施設管理運営業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

40,029

63,280

58.1

 

家賃収入

18,543

19,852

7.1

 

施設利用料収入

10,539

29,325

178.2

 

その他の収入

10,946

14,102

28.8

セグメント間の内部売上高

1,982

2,391

20.6

売上高 合計

42,012

65,672

56.3

セグメント損失

△ 24,863

△ 3,133

 

家賃収入については、賃料減免の縮小や歩合賃料収入の増加等により、前年を上回りました。

施設利用料収入については、旅客数の回復及び料金の改定に伴う旅客取扱施設利用料収入の増加等により、前年を上回りました。

その他の収入については、請負工事収入が減少したものの、駐車場収入やラウンジ収入の増加等により、前年を上回りました。

その結果、施設管理運営業の営業収益は 656億7千2百万円(前年比56.3%増)となり、営業損失は
31億3千3百万円(前年は営業損失 248億6千3百万円)となりました。

 

(物 品 販 売 業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

13,174

41,317

213.6

 

国内線売店売上

5,166

10,372

100.8

 

国際線売店売上

4,242

19,476

359.1

 

その他の売上

3,765

11,469

204.6

セグメント間の内部売上高

769

892

16.1

売上高 合計

13,944

42,210

202.7

セグメント損益

△ 6,134

1,640

 

国内線売店売上については、国内線旅客数の回復に伴い前年を上回りました。

国際線売店売上については、羽田空港や成田空港等での国際線旅客数の増加により、前年を上回りました。特に羽田空港においては、下期にオープンしたブランド店の売上好調もあり、免税店の購買単価が大きく上昇しました。

その他の売上については、主に地方空港国際線向けの卸売売上が増加し、前年を上回りました。

その結果、物品販売業の営業収益は 422億1千万円(前年比202.7%増)となり、営業利益は 16億4千万円(前年は営業損失 61億3千4百万円)となりました。

 

(飲  食  業)

                                                 (単位:百万円)

区 分

前連結会計年度
(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

前年比

増減率

(%)

外部顧客への売上高

3,852

8,452

119.4

 

飲食店舗売上

2,790

5,489

96.7

 

機内食売上

730

2,487

240.7

 

その他の売上

332

475

43.1

セグメント間の内部売上高

796

953

19.7

売上高 合計

4,649

9,405

102.3

セグメント損失

△ 3,091

△ 1,365

 

飲食店舗売上については、主に国内線旅客数の回復により、前年を上回りました。

機内食売上については、羽田、成田における外国航空会社の旅客数の回復により、前年を上回りました。

その結果、飲食業の営業収益は 94億5百万円(前年比102.3%増)となり、営業損失は 13億6千5百万円(前年は営業損失 30億9千1百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ 68億8千7百万円減少し、
902億4千1百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 256億3千1百万円増加
(前連結会計年度は 93億5百万円の支出)し、163億2千6百万円の収入となりました。

これは主に、税金等調整前当期純損失が減少したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 

投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 57億1百万円支出が増加
(前年比115.7%増)し、106億2千7百万円の支出となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 

財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ 36億5百万円支出が増加
(前年比39.9%増)し、126億4千1百万円の支出となりました。

これは主に、長期借入金の返済による支出であります。

 

③生産、受注及び販売の状況

当社グループの事業は、「第1 企業の概況 3.事業の内容」において記載したとおりの業種、業態により、生産実績等について、セグメントごとの生産規模及び受注規模を記載することは困難であります。

このため、生産、受注及び販売の状況については、「業績等の概要」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。

なお、当連結会計年度の営業収益実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

施設管理運営業(百万円)

40,029

63,280

58.1

 

家賃収入(百万円)

18,543

19,852

7.1

 

施設利用料収入(百万円)

10,539

29,325

178.2

 

その他の収入(百万円)

10,946

14,102

28.8

物品販売業(百万円)

13,174

41,317

213.6

 

国内線売店売上(百万円)

5,166

10,372

100.8

 

国際線売店売上(百万円)

4,242

19,476

359.1

 

その他の売上(百万円)

3,765

11,469

204.6

飲食業(百万円)

3,852

8,452

119.4

 

飲食店舗売上(百万円)

2,790

5,489

96.7

 

機内食売上(百万円)

730

2,487

240.7

 

その他の売上(百万円)

332

475

43.1

 

合計(百万円)

57,057

113,050

98.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.施設管理運営業の家賃収入における貸付状況は、次のとおりであります。

区      分

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

 

比率(%)

 

比率(%)

所有総面積 (㎡)

970,497

 

970,497

 

貸付可能面積(㎡)

332,653

100.0

332,856

100.0

貸付面積  (㎡)

324,069

97.4

323,718

97.3

 

航空会社    (㎡)

158,238

47.6

158,328

47.6

 

一般テナント  (㎡)

63,106

19.0

62,422

18.8

 

当社グループ使用(㎡)

102,724

30.9

102,966

30.9

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。

①財政状態の分析

(資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ 11億1千9百万円増加し、1,149億8千8百万円となりました。これは主に、旅客数の回復に伴い旅客取扱施設利用料収入等の売掛金が増加したことによるものです。固定資産は、前連結会計年度末に比べ 180億4千2百万円減少し、3,319億6千7百万円となりました。これは主に、減価償却に伴う減少によるものです。

この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ 169億2千3百万円減少し、4,469億5千5百万円となりました。

 

(負債)

負債合計は、前連結会計年度末に比べ 18億6千5百万円減少し、3,060億4百万円となりました。

これは主に、商品仕入が増加したことにより買掛金が増加したものの、当社及び東京国際空港ターミナル株式会社(TIAT)の長期借入金が約定返済により減少したことによるものです。

 

(純資産)

純資産合計は前連結会計年度末に比べ 150億5千8百万円減少し、1,409億5千1百万円となりました。これは主に、当期純損失の計上により利益剰余金及び非支配株主持分が減少したことによるものです。

この結果、自己資本比率は、33.6%(前連結会計年度末は 33.2%)となりました。

 

②経営成績の分析

当社グループの当連結会計年度の経営成績及びセグメント別の売上につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ①経営成績等の業績の概要」に記載しております。

当社グループは、2022年度から2025年度の中期経営計画において、指標及び2025年度(最終年度)の目標値を以下のとおり定めております。

 

分類

指標

2025年度目標値

収益性(総合)

連結当期純利益

160億円以上

収益性

コスト削減策

25億円
(前中計の営業利益目標250億円の10%相当)

効率性

ROA(EBITDA)

12%以上

安定性

自己資本比率

40%台への回復を目指す

株主還元

配当性向

30%以上

空港評価

SKYTRAX評価順位

World's Best Airports TOP3

詳細は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載しております。

 

2022年度の各指標の進捗状況は次の通りです。

[連結当期純利益][コスト削減策][配当性向]

当連結会計年度においては、旅客数の回復に伴い売上高は全てのセグメントで増収となり、損益は前期より大きく改善しましたが、連結業績は三期連続で赤字となりました。このような中、旅客回復に応じた柔軟なターミナル運営を行うことで、コスト削減を堅持しております。また、足元の事業環境、業績動向並びに当社の配当方針等を踏まえ、総合的に検討を重ねた結果、1株当たり16円の配当を行うことといたしました。

[ROA(EBITDA)]

当連結会計年度のROA(EBITDA)は4.0%となっております。

[自己資本比率]

当連結会計年度末時点の自己資本比率は33.6%となっております。

[SKYTRAX評価順位]

本年3月の“WORLD AIRPORT AWARDS 2023”において、羽田空港旅客ターミナルは「World's Best Airports」部門で世界第3位となりました。

2023年度につきましては、国際線旅客数の回復に伴い黒字化し、連結当期純利益は90億円を予想しております。資源価格の高騰やそれに伴う物価上昇は中期経営計画策定時の想定を上回って推移しておりますが、計画に掲げた各施策を着実に進めることにより、2025年度の目標達成を目指してまいります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)業績等の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

当社グループの資本政策につきましては、財務の健全性や資本効率など当社にとって最適な資本構成を追求しながら、平素より旅客ターミナルビル等への大規模設備投資に備えて内部留保の充実と株主への利益還元との最適なバランスを考え実施していくことを基本としております。

運転資金は自己資金を基本としておりますが、不測の事態に対応したコミット期間付タームローン及びコミットメントライン契約を合計90億円の極度額で設定しております。さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大による資金不足リスク回避のため、複数行との間で設定した200億円の短期借入枠を継続しており、当面の資金繰りに支障が生じることがないと考えております。

旅客ターミナルビル等の大規模設備投資資金については、自己資金、金融機関からの長期借入及び社債等による調達を基本としております。さらに、シングルAプラス以上の格付(日本の格付機関)を維持することで資金調達の多様化、安定化及び資金調達コストの低減を図るとともに、設備投資に対応する借入の一部については、過度に金利変動リスクにさらされないよう金利スワップなどの手段を活用しております。連結子会社のうち、PFI事業である東京国際空港ターミナル株式会社につきましては、事業の安定性及び継続性が第一に求められており、旅客ターミナルビル等の大規模設備投資はプロジェクトファイナンスの手法を用いて長期借入金等による調達を実施しております。

また、当社グループは資金の効率的な活用と金融費用の削減を目的として、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入し、グループ内の資金調達・管理の一元化を行っております。

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は902億4千1百万円、借入金等を含む有利子負債残高は2,443億4百万円となりました。

 

④重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表及び財務諸表は、わが国における一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。これらの財務諸表の作成の基礎となる取引は会計記録に適切に記録しており、棚卸資産評価損については滞留品に対して評価損率を乗じて計算し、計上しております。

なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5.経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

⑤今後の見通し

次期においては、社会経済活動が正常化する中、航空業界においても国内線・国際線ともに更なる需要回復が見込まれます。

羽田空港においても、国内線は観光需要がけん引し、コロナ前の2019年に近い水準まで回復すると見込んでおります。また、国際線は水際対策の終了により、中国人を含む訪日外国人を中心に急速に需要が回復し、通期では2019年とほぼ同じ水準に回復する見込みです。

この中で当社は、回復する旅客需要を取り込むべく、店舗の営業時間を拡大するとともに、地方と連携した産直事業の展開やEC事業のさらなる強化に取り組んでまいります。一方で、資源価格高騰に伴う原材料費・水道光熱費・物流費の上昇や人件費等の上昇を踏まえ、引き続きコストリバウンドの抑制に努めてまいります。また、コロナ禍で休止していた第2ターミナル国際線施設の再開に向けて、国や航空会社等の関係者間で協議を進めております。一方で、将来の旅客増への対応や更なる旅客利便性向上を見据え、第2ターミナル本館-サテライト接続工事を着実に推進し、第1ターミナル北サテライト新設工事に着手する予定です。

セグメント別の収益は以下のとおり見込んでおります。

施設管理運営業については、旅客数の回復に伴う施設利用料収入の増加等により、前年を大幅に上回る予想です。物品販売業及び飲食業については、主に羽田国内線及び国際線の旅客数回復による商品売上や飲食店舗売上の増加等により、前年を大幅に上回る予想です。

以上により、次期の連結業績見通しについては、営業収益は 1,957億円(前年比73.1%増)、損益面では4年ぶりに黒字に転換し、営業利益 154億円(前年は営業損失 105億7千9百万円)、経常利益 131億円(前年は経常損失 120億6千4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益 90億円(前年は親会社株主に帰属する当期純損失 39億1百万円)を予想しております。