E04773 Japan GAAP
前期
1.05兆 円
前期比
104.9%
株価
11,035 (04/25)
発行済株式数
233,299,898
EPS(実績)
411.85 円
PER(実績)
26.79 倍
前期
594.6万 円
前期比
101.1%
平均年齢(勤続年数)
44.0歳(17.6年)
従業員数
15,923人(連結:65,087人)
当社グループは、当社、連結子会社158社および持分法適用関連会社16社で構成され、警備請負サービスを中心としたセキュリティサービス事業、総合防災サービスを中心とした防災事業、在宅医療およびシニアレジデンスの運営を柱にしたメディカルサービス事業、損害保険業を中心とした保険事業、測量・計測事業を中心とした地理空間情報サービス事業、情報セキュリティや大規模災害対策、データセンター、BPO業務を中心としたBPO・ICT事業、不動産賃貸および建築設備工事などのその他事業を主な内容とし、事業活動を展開しております。
当社グループの事業に係る位置付けおよびセグメントとの関連は、次のとおりであります。
<セキュリティサービス事業>
当社が提供しておりますセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)をはじめとする各種のセキュリティサービスは、国内の子会社ではセコム上信越株式会社、セコム北陸株式会社、セコム山梨株式会社、セコム三重株式会社、株式会社アサヒセキュリティ、株式会社セノン、セコムジャスティック株式会社および日本原子力防護システム株式会社他25社が事業を展開しております。関連会社では、東洋テック株式会社他5社がセキュリティサービスを提供しております。当社はこれらのグループ各社に対して技術指導や安全機器の売渡しを行っております。
海外子会社では、上海西科姆保安服務有限公司他12社(中国)、PT.セコムインドネシア、タイセコムセキュリティ Co., Ltd.、セコムPLC(英国)などが、また、海外の関連会社では株式会社エスワン(韓国)、タイワンセコム Co., Ltd.(英文商号)などが、セントラライズドシステムおよび常駐システムの警備請負と安全機器の販売等を行っております。
以下の各社他6社は国内のグループ各社のセキュリティサービス事業を側面から支援しております。
セコム工業株式会社はグループ各社の使用する安全機器の一部の製造および開発を行っております。
セコムアルファ株式会社は各種安全商品の販売を行っており、当社は同社から安全商品の一部を購入しております。
<防災事業>
能美防災株式会社およびニッタン株式会社が自動火災報知設備や消火設備をはじめとする各種防災システムの研究開発、設計、製造、販売、取付工事および保守業務を行っております。
<メディカルサービス事業>
セコム医療システム株式会社が在宅医療サービス、電子カルテや遠隔画像診断支援サービス、医療機関向けの不動産の賃貸事業等を行っております。また、株式会社マックが医療機器・器材の販売を、セコムフォート株式会社、セコムフォートウエスト株式会社および株式会社アライブメディケアなどがシニアレジデンスの運営を、株式会社荒井商店が医療機関向けに不動産の賃貸、セコムメディファーマ株式会社が医薬品の卸売りをそれぞれ行っております。
<保険事業>
セコム損害保険株式会社が損害保険業を、セコム保険サービス株式会社が保険会社代理店業務を行っております。
<地理空間情報サービス事業>
株式会社パスコが航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、諸外国政府機関に提供しております。
<BPO・ICT事業>
セコムトラストシステムズ株式会社が情報セキュリティサービス、大規模災害対策サービス、クラウドサービス、データセンター事業、国内グループ各社のコンピュータシステムの運営管理およびソフトウエアの開発・販売を行っております。
株式会社アット東京が情報通信システムを一括して集中管理するデータセンター事業を行っております。
株式会社TMJがコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービス事業を行っております。
<その他事業>
株式会社荒井商店が賃貸ビル・賃貸マンションの運営等を行っております。
セコムエンジニアリング株式会社が各種建築設備の設計・施工および監理を、株式会社東光クリエートが電気工事の請負を行っております。
事業の系統図は次のとおりであります。
(注) 1 上記の会社の分類は主セグメントによっております。
2 上記のうち、国内の証券市場に上場している連結子会社ならびに持分法適用関連会社と公開市場は以下のとおりであります。(2023年3月31日現在)
連結子会社
能美防災㈱ 東京証券取引所プライム市場 ㈱パスコ 東京証券取引所スタンダード市場
持分法適用関連会社
東洋テック㈱ 東京証券取引所スタンダード市場
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の日本経済は、ウィズコロナの下で、経済社会活動の正常化が進み、企業収益の改善や個人消費などで緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、不安定な国際情勢、供給面での制約や物価上昇、世界的な金融引締め等による経済の下振れリスクと金融資本市場の変動等の影響などに留意が必要な状況が続きました。
このような状況において、当社グループは、「安全・安心・快適・便利」な社会を実現する「社会システム産業」の構築をめざすなかで策定した「セコムグループ2030年ビジョン」の実現に向けて、各種取り組みを進めております。
2022年6月には、成田国際空港や大型複合施設の警備において、AI・5Gなどの最先端技術を活用して立哨・巡回、点検業務などを行うセキュリティロボット「cocobo(ココボ)」の提供を開始しました。また、7月には、常駐警備業務や機械警備業務をはじめ、航空保安業務、車両運行管理業務等の広範にわたる事業を全国的に展開する株式会社セノンを子会社化しました。さらに、2023年3月には、コミュニケーションロボットを活用してシニアの孤独解消を手助けするサービス「あのね」を4月から販売開始することを発表しました。本サービスを通じて、シニアの方にいつも誰かとつながっている安心感を感じていただきながら、孤独の解消を図り、認知機能や身体機能の低下などのリスクの低減を目指してまいります。
このように、当連結会計年度も様々な取り組みを通じて、ますます多様化・高度化するお客様の安心ニーズに対し、きめ細やかな切れ目のないサービスの提供に努めました。
セグメントごとの業績につきましては、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業では、事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)を中心に、常駐警備や現金護送のサービスを提供するとともに、安全商品を販売しております。
事業所向けでは、防犯や防災をはじめ、従業員の就業管理などによる事業効率化に至るまで、企業の事業運営に有益な機能をオールインワンで提供するシステムセキュリティ「AZ」(注1)を提供しております。当連結会計年度は、「AZ」の優れた安全性と多彩な機能を、より多くの施設でご利用いただくために開発した、中小規模の店舗・オフィス向けシステムセキュリティ「AZ-Air」の販売を開始し、「AZ」とともに拡販に努めました。
家庭向けでは、防犯・防火ニーズに加え、お客様の生活スタイルに柔軟に対応でき、様々な機器と接続することでサービスを拡張できる「セコム・ホームセキュリティNEO」を提供しております。当連結会計年度は、「Apple Watch」や「iPhone」を使ってより快適に、より楽しく「セコム・ホームセキュリティ」を使用できる「SECOM カンタービレ」アプリにより、利便性の向上したホームセキュリティシステムを積極的に拡販しました。
海外では、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特長とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めるとともに、最先端技術を取り込みながら機械警備のデジタルトランスフォーメーションを推進し、現地市場に適応したシステムの開発・導入を推進しました。
当連結会計年度は新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与や、主に海外で大型のセキュリティシステムの販売が増加したことなどにより、売上高は5,833億円(前期比4.5%増加)となり、営業利益は前連結会計年度に比較的採算性の良い案件があったことや、将来の成長に向けた投資などによる販売費及び一般管理費の増加により、1,115億円(前期比4.0%減少)となりました。
(注1) システムセキュリティ:事業所向けオンライン・セキュリティシステム
防災事業では、オフィスビル、プラント、トンネル、文化財、船舶、住宅といった様々な施設に対し、お客様のご要望に応えた高品質な自動火災報知設備や消火設備などの各種防災システムを提供しております。当連結会計年度も、国内防災業界大手2社である能美防災株式会社およびニッタン株式会社が、それぞれの営業基盤や商品開発力などを活かした防災システムの受注に努めました。
当連結会計年度は前連結会計年度に大型案件があったことなどにより、売上高は1,456億円(前期比2.1%減少)となり、営業利益は前連結会計年度に比較的採算性の良い案件が集中したことなどにより、114億円(前期比22.3%減少)となりました。
メディカルサービス事業では、訪問看護サービスや薬剤提供サービスなどの在宅医療サービスを中心として、シニアレジデンスの運営、電子カルテの提供、医療機器・医薬品等の販売、介護サービス、医療機関向け不動産賃貸等様々なメディカルサービスを提供しております。
当連結会計年度はインドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収および医療機器の販売が好調となったことなどにより、売上高は776億円(前期比4.1%増加)となり、営業利益は58億円(前期比3.7%増加)となりました。
保険事業では、当連結会計年度もセキュリティシステム導入によるリスク軽減を保険料に反映した事業所向けの「火災保険セキュリティ割引」や家庭総合保険「セコム安心マイホーム保険」、ガン治療費の実額を補償する「自由診療保険メディコム」、セコムの緊急対処員が要請に応じて事故現場に急行するサービスを付帯した自動車総合保険「セコム安心マイカー保険」など、当社グループならではの保険の販売を推進しました。
当連結会計年度は運用収益の増収およびセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」の販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は555億円(前期比5.4%増加)となり、営業利益は10億円(前期比2.9%増加)となりました。
地理空間情報サービス事業では、航空機や車両、人工衛星などを利用した測量や計測で地理情報を集積し、加工・処理・解析した空間情報サービスを、国および地方自治体などの公共機関や民間企業、さらには新興国や発展途上国を含めた諸外国政府機関に提供しております。
当連結会計年度は国内公共部門および海外部門の増収により、売上高は620億円(前期比10.1%増加)となり、営業利益は国内公共部門の原価率の改善などにより、67億円(前期比66.0%増加)となりました。
BPO・ICT事業では、データセンターを中核に、セコムならではのBCP(事業継続計画)支援やテレワーク支援、情報セキュリティ、クラウドサービスの提供に加えて、コンタクトセンター業務を含む様々なBPO業務の受託・運営を行っています。
当連結会計年度はコンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,280億円(前期比10.7%増加)となり、営業利益はデータセンター事業における燃料費調整単価等の上昇などによる原価の増加により、116億円(前期比11.7%減少)となりました。
その他事業には、不動産賃貸および建築設備工事などが含まれます。
当連結会計年度は売上高は489億円(前期比12.2%増加)となり、営業利益は66億円(前期比11.6%増加)となりました。
これらの結果、当連結会計年度における連結売上高は7月より新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与もあり、1兆1,013億円(前期比4.9%増加)となりました。営業利益はセキュリティサービス事業、防災事業およびBPO・ICT事業の減益の影響もあり、1,367億円(前期比4.7%減少)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益で46億円増加したことなどにより、1,561億円(前期比1.9%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は960億円(前期比1.9%増加)となりました。
なお、当連結会計年度の売上高、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は過去最高を達成することができました。
(財政状態の状況)
当連結会計年度末の総資産は、前期末比813億円(4.3%)増加の1兆9,890億円となりました。
流動資産は、受取手形、売掛金及び契約資産が75億円(5.1%)増加の1,574億円、原材料及び貯蔵品が45億円(32.7%)増加の184億円、未収契約料が40億円(10.2%)増加の435億円となり、流動資産合計は前期末比213億円(2.2%)増加の1兆75億円となりました。
固定資産は、投資有価証券が221億円(8.0%)増加の2,983億円、無形固定資産が175億円(15.2%)増加の1,327億円、有形固定資産が133億円(3.4%)増加の4,038億円となり、固定資産合計は前期末比599億円(6.5%)増加の9,815億円となりました。
当連結会計年度末の負債は、前期末比212億円(3.3%)増加の6,730億円となりました。
流動負債は、設備未払金等の増加によりその他が134億円(78.9%)増加の304億円となり、流動負債合計は前期末比157億円(4.3%)増加の3,774億円となりました。
固定負債は、繰延税金負債が40億円(59.0%)増加の109億円、退職給付に係る負債が20億円(9.3%)増加の239億円となり、固定負債合計は前期末比55億円(1.9%)増加の2,955億円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が570億円(5.5%)の増加、自己株式が297億円(37.5%)の減少、為替換算調整勘定が161億円の増加、非支配株主持分が181億円(13.6%)の増加となり、純資産合計は前期末比600億円(4.8%)増加の1兆3,160億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の58.8%から58.5%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の5,147.30円から5,427.63円となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の状況は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で1,464億円の資金の増加(前連結会計年度は1,649億円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益1,533億円、減価償却費625億円であります。また、主な資金の減少要因は、法人税等の支払額475億円、棚卸資産の増加額91億円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で704億円の資金の減少(前連結会計年度は553億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出497億円、投資有価証券の取得による支出486億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得189億円であります。また、主な資金の増加要因は、投資有価証券の売却及び償還による収入533億円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で778億円の資金の減少(前連結会計年度は873億円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、配当金の支払額390億円、自己株式の増加額297億円、リース債務の返済による支出49億円であります。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ3億円減少して5,135億円となりました。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。
経営成績の分析
(概要)
当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理空間情報サービス、BPO・ICT、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。
当連結会計年度における連結売上高は7月より新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与もあり、1兆1,013億円(前期比4.9%増加)となりました。営業利益はセキュリティサービス事業、防災事業およびBPO・ICT事業の減益の影響もあり、1,367億円(前期比4.7%減少)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益で46億円増加したことなどにより、1,561億円(前期比1.9%増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は960億円(前期比1.9%増加)となりました。
(売上高)
7月より新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与もあり、売上高は前期比4.9%増加の1兆1,013億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が53.0%、防災事業が13.2%、メディカルサービス事業が7.0%、保険事業が5.0%、地理空間情報サービス事業が5.6%、BPO・ICT事業が11.6%、その他事業が4.6%となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
当連結会計年度の売上原価は、前期比6.6%増加の7,588億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の67.8%から68.9%になりました。
販売費及び一般管理費は、前期比6.0%増加の2,057億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の18.5%から18.7%になりました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,367億円(前期比4.7%減少)となりました。
(経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用益の増加などにより、営業外収益が前期比83億円(55.7%)増加となり、営業外費用が前期比13億円(26.2%)減少したことにより、経常利益は1,561億円(前期比1.9%増加)となりました。
法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比9億円(2.1%)増加の472億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の30.4%から30.8%に上昇しました。
また、非支配株主に帰属する当期純利益が前期比14億円(12.5%)減少の100億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は960億円(前期比1.9%増加)となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の9.0%から8.7%になりました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の431.27円から445.02円、ROEは前連結会計年度の8.6%から8.4%となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
セキュリティサービス事業は、新たに連結子会社となった株式会社セノンの寄与や、主に海外で大型のセキュリティシステムの販売が増加したことなどにより、売上高は5,833億円(前期比4.5%増加)となり、営業利益は前連結会計年度に比較的採算性の良い案件があったことや、将来の成長に向けた投資などによる販売費及び一般管理費の増加により、1,115億円(前期比4.0%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の20.4%から18.7%になりました。
資産は、長期貸付金などが減少しましたが、無形固定資産、退職給付に係る資産、有形固定資産などの増加により、1兆94億円(前期比1.5%増加)となりました。
防災事業は、前連結会計年度に大型案件があったことなどにより、売上高は1,456億円(前期比2.1%減少)となり、営業利益は前連結会計年度に比較的採算性の良い案件が集中したことなどにより、114億円(前期比22.3%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の9.7%から7.7%になりました。
資産は、現金及び預金などが減少しましたが、原材料及び貯蔵品、商品及び製品などの増加により、1,867億円(前期比1.3%増加)となりました。
メディカルサービス事業は、インドにおける総合病院事業会社タクシャシーラ ホスピタルズ オペレーティング Pvt.Ltd.の増収および医療機器の販売が好調となったことなどにより、売上高は776億円(前期比4.1%増加)となり、営業利益は58億円(前期比3.7%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.6%から7.5%になりました。
資産は、現金及び預金などの増加により、1,362億円(前期比3.5%増加)となりました。
保険事業は、運用収益の増収およびセコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」の販売が堅調に推移したことなどにより、売上高は555億円(前期比5.4%増加)となり、営業利益は10億円(前期比2.9%増加)となり、売上高営業利益率は前連結会計年度と同率の1.8%になりました。
資産は、有価証券などが減少しましたが、現金及び預金、投資有価証券などの増加により、2,389億円(前期比0.5%増加)となりました。
地理空間情報サービス事業は、国内公共部門および海外部門の増収により、売上高は620億円(前期比10.1%増加)となり、営業利益は国内公共部門の原価率の改善などにより、67億円(前期比66.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.2%から10.9%になりました。
資産は、受取手形、売掛金及び契約資産などの増加により、700億円(前期比1.2%増加)となりました。
BPO・ICT事業は、コンタクトセンター業務やバックオフィス業務全般のBPOサービスを提供する株式会社TMJの増収およびデータセンター事業の増収などにより、売上高は1,280億円(前期比10.7%増加)となり、営業利益はデータセンター事業における燃料費調整単価等の上昇などによる原価の増加により、116億円(前期比11.7%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の10.6%から8.4%になりました。
資産は、有形固定資産などの増加により、1,627億円(前期比9.5%増加)となりました。
その他事業は、売上高は489億円(前期比12.2%増加)となり、営業利益は66億円(前期比11.6%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の13.3%から13.2%になりました。
資産は、現金及び預金、短期貸付金などが減少しましたが、無形固定資産、販売用不動産などの増加により、1,480億円(前期比0.4%増加)となりました。
なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。
財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が475億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,533億円、減価償却費が625億円となったことなどにより、全体では1,464億円の資金の増加となりました。
前連結会計年度との比較では、売上債権及び契約資産の増加額が32億円減少となりましたが、リース債権及びリース投資資産の増減額が前連結会計年度の45億円の減少に対し36億円の増加、法人税等の支払額が48億円増加、保険契約準備金の増加額が43億円減少、棚卸資産の増加額が38億円増加となったことなどにより、営業活動から得た資金は前期比184億円(11.2%)の減少となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が533億円となりましたが、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が497億円、投資有価証券の取得による支出が486億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得が189億円となったことなどにより、全体では704億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、投資有価証券の売却及び償還による収入が200億円増加となりましたが、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得189億円を計上、投資有価証券の取得による支出が169億円増加となったことなどにより、投資活動に使用した資金は前期比150億円(27.3%)の増加となりました。
この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、759億円の資金の増加(前連結会計年度は1,095億円の資金の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額390億円、自己株式の増加額297億円、リース債務の返済による支出49億円となったことなどにより、全体では778億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、自己株式の増加額が185億円増加となりましたが、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出が285億円減少となったことなどにより、財務活動に使用した資金は前期比95億円(10.9%)の減少となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比3億円(0.1%)減少の5,135億円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源および資金の流動性については、以下のとおりであります。
当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、「社会システム産業」の構築に向けて、営業活動から得た資金や、市場調達および金融機関からの借入等により調達した資金で、積極的に事業投資活動を行っております。
当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債残高は645億円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は5,135億円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者は、会計方針の適用ならびに資産、負債、収益および費用の報告金額に影響を与える判断、見積りの設定を行うことが必要となります。これらの見積りは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される入手可能な情報により継続的に検証し、意思決定を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性を伴うため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a. 有形固定資産
当社グループでは、有形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。事業用資産においては管理会計上の区分で資産グルーピングを行い、賃貸不動産および遊休資産などは個別物件単位で区分を行い、当連結会計年度で収益性が著しく低下した場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しております。なお、資産グループの回収可能価額の見積りは、処分価額、不動産鑑定評価額などで算出する正味売却価額、将来キャッシュ・フロー、割引率などで算出する使用価値などにより測定しております。正味売却価額上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資産グループの使用期間中および使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
b. のれん及びその他無形資産
当社グループでは、のれん及びその他の無形固定資産の評価において、減損損失の兆候がある場合には、減損の判定を行っています。のれん及びその他の無形固定資産の回収可能価額の見積りや減損判定に当たっては、必要に応じて外部専門家などによる評価を活用しております。なお、回収可能価額の測定で使用する、将来キャッシュ・フロー、割引率などの仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。
c. 貸倒引当金
当社グループでは、売上債権、貸付金等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については、過去の実績、将来の見通し等を総合的に勘案して見積もられた回収不能見込額を、貸倒引当金として計上しております。回収不能見込額の見積りにおいて使用される仮定は、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、回収不能見込額が増減し、貸倒引当金を増額または減額する可能性があります。
d. 繰延税金資産
当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、将来の課税所得の見積りにあたっては、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されていますが、見積りは、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化などにより、影響を受ける可能性があり、また、税制改正により実効税率が変更された場合には、繰延税金資産の取崩しまたは追加計上により利益が変動する可能性があります。
e. 退職給付費用及び退職給付に係る負債
当社および当社と同一の退職給付制度を有する国内連結子会社においては、退職金制度と確定拠出型年金制度を採用しております。退職給付費用及び退職給付に係る負債について、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、金利変動の市場動向等、入手可能なあらゆる情報を総合的に判断して決定した割引率、予想昇給率、退職率、統計数値に基づいて算出される死亡率および年金資産の長期期待運用収益率などが含まれております。これら年金数理計算の前提条件には将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって影響を受ける可能性があるため、前提条件と実際の結果が異なる場合、または前提条件の変更がある場合には、その影響は将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼす可能性があります。