E02536 Japan GAAP
前期
4,440.0億 円
前期比
90.6%
当社及び関係会社(子会社38社及び関連会社6社)は、出版物等販売事業、不動産事業等を展開しております。
主な事業の内容及び主要な関係会社は、次のとおりであります。
(1)出版物等販売事業
子会社32社、関連会社6社により構成されており、週刊誌、月刊誌、単行本から専門学術書、教科書、洋書等の出版物及び学校教材用品、視聴覚機器、事務機器、映像及び音声ソフト等を取り扱い、国内及び国外の取引先、一般顧客に供給しております。また、出版物等の輸送、保管及び仕分等も行っております。
(主要な会社)
日本出版販売㈱、カルチュア・エクスペリエンス㈱
(2)不動産事業
当社により構成されており、主として保有不動産の賃貸及び管理を行っております。
(主要な会社)
日販グループホールディングス㈱
(3)コンテンツ事業
子会社2社により構成されており、デジタルコンテンツ等の企画、制作を行っております。
(主要な会社)
㈱ファンギルド
(4)その他事業
子会社4社により構成されており、グループの管理部門業務のシェアードサービス等を行っております。
(主要な会社)
日販ビジネスパートナーズ㈱、日販テクシード㈱
事業の系統図は次のとおりであります。
※画像省略しています。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が解除され、経済活動が正常化されたことを背景に、緩やかに景気回復傾向がみられました。しかし、円安の進行やウクライナ情勢の長期化等に伴う原材料価格、エネルギー価格の高止まり等は継続しており、依然として先行不透明な状況が続いております。
出版市場は、2023年は前年比98%となり2022年に続き減少となりました。電子書籍は同107%と伸長を続ける一方、紙の出版物の販売額は、書籍は同95%、雑誌は同92%、合計同94%、と減少に歯止めがかからない状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは、「人と文化のつながりを大切にして、すべての人の心に豊かさを届ける。」の経営理念に基づきESGを重視した経営を推進するとともに、グループ各事業で定めた中期の事業成長計画の達成に向け、挑戦を続けてまいりました。
当連結会計年度の売上高は4,021億円(前年同期比9.4%減)、418億円の減収となりました。売上原価は3,426億円(前年同期比10.9%減)、420億円減少し、売上総利益は595億円(前年同期比0.4%増)、2億円の増益という結果となりました。
販売費及び一般管理費は、612億円(前年同期比2.5%増)となりました。
この結果、営業損失は16億円(前年同期は営業損失4億円)、経常損失は11億円(前年同期は経常損失1億円)となりました。特別損益については、事業構造改善費用19億円、減損損失6億円等を計上しております。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純損失は49億円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失2億円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
a.出版物等販売事業
当セグメントの売上高は3,943億円(前年同期比9.5%減)、営業損失は38億円(前年同期は27億円)となりました。
卸売関連については、中核事業会社である日本出版販売㈱は、取引書店の売上減少・閉店に加え、取引変更が影響し、大幅な減収となりました。コスト削減に努め、販売費及び一般管理費は前年同期比6%減と抑制するも、売上総利益の減少をカバーしきれず39億円の経常損失(日販単体)となりました。カルチュア・エクスペリエンス㈱(旧㈱MPD)は2023年10月1日にカルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱よりTSUTAYA FC事業を統合し再始動、統合効果もあり黒字で着地しました。
小売関連は、売上構成比の高いBOOK、レンタルが前年差△33億円と大幅に売上減少したことが影響し減収となりました。駿河屋は新たに5店舗出店し、全体で売上が17億円(前年差+9億円)と伸長しました。また、2023年10月1日付で事業再編(会社合併)を実施し、経営基盤強化を図ると共に、本部機能の集約や整理によるコスト削減を進め黒字転換しました。
b.不動産事業
当セグメントの売上高は27億円(前年同期比2.6%減)、営業利益は11億円(前年同期比1.6%減)となりました。
新お茶の水ビルディングの賃料収入減少が影響し減収となりましたが、設備維持費用を抑制したことで増益となりました。また、新お茶の水ビルディングを含むオフィスビル4棟の空室率は引き続き1%を切る水準で堅調に推移しました。
c.コンテンツ事業
当セグメントの売上高は34億円(前年同期比14.8%減)、営業利益は5億円(前年同期比18.0%減)となりました。
売上拡大が続いていた海外コミックの国内配信事業「Rush!」の減少が影響し減収となりました。描き下ろし作品は、編集人員および制作数を増加した一般ジャンルが、前年同期比135%と成長しました。また、縦読みフルカラーコミックレーベル「JAMTOON」からリリースした「ビジネス婚―好きになったら離婚します―」は実写ドラマ化が決定しました(2024年5月23日より放映開始)。
d.その他事業
その他事業は、売上高73億円(前年同期比0.3%減)、営業損失は11百万円(前年同期は営業利益1億円)となりました。
グループ内外のIT事業を担う日販テクシード㈱は、医療などの新規顧客開拓が進んだ外販事業の売上拡大により増収となりました。22年度にリリースした「CONTEO」が順調に導入社数を拡大し、出版業界外にもサービス提供開始しました。日本緑化企画㈱では、基盤となるレンタル事業は前年同期比102%と6期連続伸長しました。㈱ASHIKARIが運営する「箱根本箱」は、空調工事による休業期間があり減収となりましたが、同期間を除くと稼働率は向上しました。インバウンド客の増加もあり、平均客単価は過去最高を記録しました。
(2)生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
出版物等販売事業(百万円) |
394,377 |
90.5 |
不動産事業(百万円) |
2,325 |
95.6 |
コンテンツ事業(百万円) |
3,382 |
85.7 |
報告セグメント計(百万円) |
400,085 |
90.5 |
その他事業(百万円) |
2,086 |
111.9 |
合計(百万円) |
402,171 |
90.6 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)財政状態
流動資産は前年より115億円減少し、1,784億円となりました。これは主に現金及び預金の増加及び売掛債権・返品資産の減少によるものです。
固定資産は前年より17億円増加し、867億円となりました。これは主に建物の減少及びリース資産・ソフトウェア仮勘定・のれんの増加によるものです。
流動負債は前年より73億円減少し、1,882億円となりました。これは主に買掛債務・返金負債の減少によるものです。
固定負債は前年より18億円増加し、229億円となりました。これは主にリース債務の増加によるものです。
純資産は利益剰余金の減少等により、43億円減少の540億円となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は391億円となり、前連結会計年度末に比べて21億円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は47億円(前年同期は38億円の使用)となりました。
これは、税金等調整前当期純損失37億円に売上債権の減少等による資金の増加分と仕入債務の減少等による資金の減少分を加減した結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は24億円(前年同期は26億円の使用)となりました。
これは、有形固定資産の取得や無形固定資産の取得による資金の減少等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1億円(前年同期は10億円の使用)となりました。
これは、配当金の支払等による資金の減少分と借入金の増加等による資金の増加分を加減した結果であります。
(5)資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動において運転資金需要の主なものは、出版物等販売事業における商品仕入代金の他、輸
配送等に係る営業販売費や、各事業における一般管理費等であります。
また、設備資金需要としては、新規事業投資、物流拠点の維持管理や新規出店のための有形固定資産投資他、業
務効率化のためのシステム投資等であります。
財務政策
当社グループの主要業務である出版物等販売事業に係る商品仕入代金や輸配送に係る支払資金に関しては、自己資金または、金融機関からの借入を資金の流動性の源泉としております。
また、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの事業活動に必要な運転、設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。
(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
詳細につきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。