日販グループホールディングス株式会社

卸売業出版

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02536 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1)経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国の経済は、海外経済の回復の鈍化の影響を受けつつも、企業収益は高水準で推移しており、業況感は緩やかに改善しております。個人消費は物価高の影響を受けつつも、緩やかなペースで着実に増加しています。一方でリスク要因をみると、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高い状況にあります。

当社グループにおきましては、出版物等販売事業が想定以上の市況悪化で減収減益・経常損失となり、その他の成長事業が増収増益となるも、全体では経常損失、特別損益等を加味した最終利益段階でも親会社株主に帰属する中間純損失を計上しました。

当中間連結会計期間の売上高は2,048億円(前年同期比6.8%減)となり、149億円の減収となりました。

営業利益は、グループ全体で経常経費の削減に取り組んだものの、運賃単価の上昇影響などもあり13億円の赤字、経常利益でも12億円の赤字となりました。

固定資産除却損、事業構造改革費用などの特別損益、及び法人税等を加減した親会社株主に帰属する中間純利益は11億円の赤字となりました。

 

セグメント別の経営成績を示すと、次のとおりであります。

 

  a.出版物等販売事業

当セグメントの売上高は2,011億円(前年同期比6.8%減)、営業損失は24億円(前年同期は11億円)となりました。

本業である卸売関連については、中核事業会社である日本出版販売㈱は、取引書店の既存店売上減少、閉店に加え、他社への取引変更が影響し、大幅減収となりました。人件費・ITコスト等の一般管理費削減に努めるも、運賃の固定化で販売費は微減に留まり、赤字決算となりました。小売関連については、文具、雑貨、トレカなどが好調も、BOOKの落ち込みをカバーしきれず、減収となりました。ポストレンタルに向けた取り組みとして、新規事業への積極投資を行い、駿河屋やネイルサロン事業が成長しました。減収により売上総利益は減少するも、販管費を削減し、赤字を縮小しました。さらに、2023年10月1日付で事業再編(会社合併)を実施し、経営基盤の強化と本部機能整理によるコスト削減を図ります。

 

  b.不動産事業

当セグメントの売上高は13億円(前年同期比2.0%減)、営業利益は4億円(前年同期比32.9%減)となりました。不動産事業は減収減益も、堅調な利益でグループを下支えしました。新お茶の水ビルディングは、前期末にテナントの退去があり家賃収入が減少となるも、今期中の満床が確定しています。他のオフィスビル3棟(堂島・名古屋・仙台)は満床で推移しております。

 

  c.コンテンツ事業

当セグメントの売上高は17億円(前年同期比13.8%減)、営業利益は2億円(前年同期比22.1%減)となりました。売上拡大が続いていた海外コミックの国内配信事業「Rush!」が失速。描き下ろし作品はアダルトジャンルの売上が減少しているものの、一般ジャンルが成長しています。編集人員増により販管費は増加傾向も、プロモーション費を抑制し、減益ながらも不動産事業に次ぐ大幅黒字となりました。

 

  d.その他事業

 その他事業は、売上高は35億円(前年同期比4.8%減)、営業損失は36百万円(前年同期は営業利益92百万円)となりました。日販テクシード㈱は、クラウド型の新出版社システム「CONTEO(コンテオ)」の受注促進等で売上が拡大しました。日本緑化企画㈱は、オフィスの緑化ニーズの高まりからグリーンレンタル事業が伸長、㈱ASHIKARIが運営する「箱根本箱」は、インバウンド観光客の宿泊が増加し、稼働率が向上、客単価も高水準で推移しました。

 

 ②生産、受注及び販売の実績

  当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

  至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

出版物等販売事業(百万円)

201,158

93.2

不動産事業(百万円)

1,148

96.6

コンテンツ事業(百万円)

1,680

86.7

報告セグメント計(百万円)

203,987

93.2

その他事業(百万円)

911

110.1

合計(百万円)

204,899

93.2

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 ①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この中間連結財務諸表の作成にあたり見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、これらの見積りは不確実性を伴うため、実際の結果と異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表 注記事項(中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は322億円と前連結会計年度末に比べ48億円減少しました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、使用した資金は24億円(前年同期は69億円の使用)となりました。

 これは主に、税金等調整前中間純損失13億円に売上債権の減少による資金の増加分と仕入債務の減少による資金減少分を加減した結果であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は14億円(前年同期は15億円の使用)となりました。

 これは主に、投資有価証券の取得による支出及び有形固定資産の取得による支出によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は9億円(前年同期は11億円の使用)となりました。

 これは主に、借入金の減少による支出及び配当金の支払によるものです。

 

 ③資金需要

 当社グループの事業活動において運転資金需要の主なものは、出版物等販売事業における商品仕入代金のほか、輸配送等に係る営業販売費や、各事業における一般管理費等であります。
 また、設備資金需要としては、新規事業投資、物流拠点の維持管理や新規出店のための有形固定資産投資ほか、業務効率化のためのシステム投資等であります。

 

 ④財務政策

 当社グループの主要業務である出版物等販売事業に係る商品仕入代金や輸配送に係る支払資金に関しては、自己

資金または、金融機関からの借入を資金の流動性の源泉としております。
 また、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの事業活動に必要な運転、設備資金の調達は今後

も十分可能であると考えております。