E02537 Japan GAAP
前期
268.8億 円
前期比
104.3%
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社(株式会社日教販)、関連会社1社、子会社1社で構成されております。主たる業務は、各種教科書、書籍、雑誌、教材、教育用機器、情報機器及びこれら機器のソフトウェア等の取次販売とこれらに関連する配送業務の他、電子商取引、グローバル人材の育成に関する運営業務、不動産の賃貸等の事業を営んでおります。
子会社の株式会社図書流通につきましては営業を停止し、休眠しております。また、株式会社ブックモールジャパンは持分法適用関連会社であります。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメント情報の区分と同一であります。
区分 |
主要商品 |
主要な会社 |
|
出版物等取次販売事業 |
教科書 |
検定教科書 |
当社 |
書籍 |
辞典、学習参考書、 |
当社、㈱図書流通 |
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一般書、専門書、教材等 |
㈱ブックモールジャパン |
||
情報機器 |
各種ソフトウェア、 |
当社、㈱ブックモールジャパン |
|
電子辞書・時計・玩具 |
|||
配送業務 |
検定教科書、学習参考書 |
当社 |
|
教材等 |
|||
その他 |
電子商取引、グローバル人材の育成に関する運営業務等 |
当社 |
|
不動産賃貸事業 |
本社ビル等 |
当社 |
以上の事業を系統図によって示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(注)※1 連結子会社である株式会社図書流通は、2017年3月に休眠会社となりました。
※2 株式会社ブックモールジャパンは、2017年9月に持分法適用関連会社となりました。
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナ5類移行を受けた経済活動の正常化や、賃金上昇による継続的な消費回復が期待される一方、海外景気の減速や長引く物価高による消費の下押し圧力、金融資本市場の変動等による影響も懸念され、依然として先行きが見通せない状況が続いています。出版業界においては、電子書籍などで一部伸長はあるものの、紙出版物の販売は、店頭を中心に依然として厳しい状況にあります。教育業界では、政府のGIGAスクール構想により、小・中学校へのICT機器の導入が急速に推し進められる中、2022年の出生数が統計史上初めて80万人を割り込むなど少子化が加速しております。今後、学校現場の教育事情が大きく変化する可能性もあり、当社を取り巻く環境は、不透明な状況が続くと予想されます。
こうした状況下、当社の業績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ378,596千円増加し、10,385,050千円となりました。主な要因は売掛金の増加、ソフトウェア仮勘定の増加、投資有価証券の時価評価額上昇によるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ110,627千円増加し、7,645,212千円となりました。主な要因は買掛金の増加、長期預り保証金の増加のほか、長期借入金の返済によるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ267,970千円増加し、2,739,838千円となりました。
b.経営成績
出版物等取次販売事業の売上高は27,483,647千円(前年同期比4.5%増)となりました。
学習参考書、辞書・事典の分野において高校副教材の伸長により売上が増加したほか、教科書部門においても高校教科書改訂に伴う定価アップを主因に売上が増加、デジタル事業の分野においてもデジタル教材アプリが伸長し、全体として増収となりました。
不動産賃貸事業におきましては、前期から続く一部空室の影響により売上高542,988千円(前年同期比6.4%減)となりました。
経費関係では、物流効率化推進により運賃・外注費の増加抑制に努めましたが、人件費の増加や電気代高騰により、販売費及び一般管理費合計で2,464,097千円(前年同期比1.5%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度のグループ経営成績は売上高28,026,636千円(前年同期比4.3%増)、経常利益320,978千円(前年同期比16.7%減)、税金等調整前当期純利益は320,038千円(前年同期比19.9%減)を計上、その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は219,401千円(前年同期比23.2%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における、現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、システム投資や借入金返済に対応するため定期預金の取り崩しを行ったほか、当連結会計年度末が金融機関の休日であったことに伴う入金額及び支払額の減少やビルテナントの新規契約に伴う敷金の入金があった結果、前連結会計年度に比べ108,665千円増加し、当連結会計年度末における資金の残高は876,493千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、利益減に対し、販売や返品時期の変化による債権債務の回収・支払時期のずれの影響、ビルテナントの契約獲得による預り保証金の増加により299,325千円(前連結会計年度343,027千円)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、固定資産の投資による使用に対し定期預金の取り崩しによる資金増加があったことなどにより△90,349千円(前連結会計年度△204,297千円)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、主に長期借入金の返済及び配当金の支払いによるものであり、長期借入金の返済額が減少したことなどにより△100,310千円(前連結会計年度△131,745千円)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
(1)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
出版物等取次販売事業(千円) |
27,483,647 |
104.5 |
不動産賃貸事業(千円) |
542,988 |
93.6 |
合計(千円) |
28,026,636 |
104.3 |
(注)前年同期比は、前連結会計年度の販売実績に対する当連結会計年度の販売実績の比率を記載しております。
(2)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
出版物等取次販売事業(千円) |
24,970,233 |
104.4 |
合計(千円) |
24,970,233 |
104.4 |
(注)前年同期比は、前連結会計年度の仕入実績に対する当連結会計年度の仕入実績の比率を記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り及び当該見積り
当社グループの連結財務諸表の作成につきましては、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態、経営成績について以下の分析を行っております。
当社グループの経営陣は過去の実績や現在の状況を踏まえ以下の会計方針について合理的な見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は当初の見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
棚卸資産においては、その多くが返品条件を元とした取引条件にて管理しておりますが、当社グループ買切り商品及び、当社責任における返品不能商品において市場状況において陳腐化したと判断されるもの又はその商品寿命に応じて評価減を計上しておりますが、市場悪化などによる影響によっては追加計上を行う可能性があります。
賞与引当金及び退職給付引当金、役員退職慰労引当金においては将来の支給に備えるため、それぞれ内規に基づく負担すべき支給見込額、期末要支給額を計上しております。
固定資産については遊休資産の発生かつ価値の下落がある場合において減損損失を計上しております。
取引先との円滑な関係維持のために保持している投資有価証券株式においては、市場価格があるものについてはその評価価値が帳簿価額を50%以上下回る場合に、市場価格の無いものはその会社の1株当たり純資産額が取得価額を50%以上下回る場合について評価損を計上しております。
②経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当社グループの連結売上高は28,026,636千円となりました。セグメント別に分析しますと、学習参考書、辞書・事典の分野において高校副教材伸長により売上高の増加となったほか、教科書部門においても高校教科書改訂に伴う定価アップを主因に売上が増加、デジタル事業の分野においてもデジタル教材アプリが伸長し、出版物等取次販売事業の売上は増加しました。不動産賃貸事業については、前期から続く一部空室の影響により売上は減少となりました。
経費面では、物流効率化推進により運賃・外注費の増加抑制に努めましたが、人件費の増加や電気代高騰により、販売費及び一般管理費が増加し、営業利益は335,240千円と前年同期比14.4%減となりました。営業外損益は雑収入の減少により、経常利益は320,978千円と前年同期比16.7%減となりました。税金等調整前当期純利益は320,038千円と前年同期比19.9%減となり、親会社株主に帰属する当期純利益は219,401千円と前年同期比23.2%減となりました。
③資本の財源及び資金の流動性について
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については「第2事業の状況、4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、経営成績等の状況の概要、②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資金の流動性に係る情報」をご参照下さい。
当社グループの資金需要は、運転資金の利用としては主に商品の仕入及び人件費・外注委託費・運賃等の営業費用であり、設備資金の利用としては、有形固定資産取得やソフトウェア投資、賃貸資産の修繕等であります。これらの財源としては自己資金または借入等により資金調達をすることとしております。
2023年9月30日現在、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、短期借入金(未使用枠500,000千円)、長期借入金(一年内含む)825,000千円を利用しております。
④経営環境と今後の方針
当社グループを取り巻く環境としては、主要取扱商品が教育関連図書(教科書、指導書、学習参考書、辞書、事典等)であることから、少子化による需要低迷や、教育予算の動向及びデジタル教科書導入論議の結果に左右される部分があります。コロナ禍において教育のデジタル化の加速の必要性は高まり、2025年までに紙の教科書の取引量は大幅に減少する可能性もあり、厳しい状況が続くことが予想されます。
当社グループとしては、本業である出版物取次事業の収益性改善策として、MOSTデータやVISUAL書店WEB等の活用を通じた営業活動の高度化、デジタル教材分野への対応として教育クラウドサービスOPEの日本電気株式会社との共同推進、日本出版販売株式会社との業務提携による顧客サービス向上と業務コストの削減を推進することにより、当社グループの収益力向上と企業体質の強化を図ることに引き続き注力してまいります。