株式会社日教販

卸売業出版

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E02537 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当中間連結会計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下の通りとなりました。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当中間連結会計期間におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症による行動制限の緩和により社会経済活動の回復が見られましたが、長期化するウクライナ情勢による資源・エネルギー価格への悪影響や円安による物価上昇が消費行動に影響し、景気の先行きは不透明な状況が続いております。

 出版業界におきましては紙媒体の売上減少、輸送費用の上昇など経営環境は引き続き厳しい状況にあります。

 このような状況下において、当社グループの業績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当中間連結会計期間の資産合計は、前連結会計年度末と比較し14,252,924千円増加し24,259,378千円となりました。主な要因は棚卸資産及び受取手形、売掛金及び契約資産の増加によるものです。

 当中間連結会計期間の負債合計は、前連結会計年度末と比較し13,975,930千円増加し21,510,515千円となりました。主な要因は支払手形及び買掛金の増加及び運転資金の借入によるものです。

 当中間連結会計期間の純資産合計は前連結会計年度末と比較し276,994千円増加し2,748,862千円となりました。

 

b.経営成績

 出版物等取次販売事業の売上高は20,597,185千円(前年同期比6.7%増)となりました。学習参考書、辞書・辞典等の分野においては書店店頭の売上不振は継続しておりますが、当期にズレ込んだ学校採用品の刊行による売上増加等により、売上高は13,184,367千円(前年同期比5.8%増)となりました。教科書部門の売上高は、当社帳合の採択の増加や価格改訂による売上増加が影響し7,412,818千円(前年同期比8.4%増)となりました。不動産賃貸事業部門では、空室状況が続いたことから売上高は271,889千円(前年同期比8.4%減)となりました。

 以上の結果、売上高が20,869,075千円(前年同期比6.5%増)となりましたが、運賃・光熱費の高騰などにより営業利益が422,194千円(前年同期比2.7%減)、経常利益が412,383千円(前年同期比2.9%減)、法人税等の影響により親会社株主に帰属する中間純利益が270,735千円(前年同期比0.9%減)となりました。

 なお、当社グループの売上高は通常の傾向として、上半期に教科書、指導書等の売上が集中するため、連結会計年度の上半期の売上高と下半期の売上高の間に著しい相違があり、季節変動があります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、1,079,894千円と前年同期比14.7%減となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は、2,513,745千円(前年同期比18.5%増)となりました。これは主に季節的要因により売上債権が増加したことによります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果得られた資金は、147,597千円(前年同期△108,969千円)となりました。これは主に設備投資の増加や支払負担に対応するための定期預金を解約したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は2,678,214千円(前年同期比2.1%減)となりました。これは主に短期借入金の増加によるものです。

③会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

④生産、受注及び販売の状況

(1)販売実績

 当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2022年10月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版物等取次販売事業(千円)

20,597,185

106.7

不動産賃貸事業(千円)

271,889

91.6

合計(千円)

20,869,075

106.5

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.出版物等取次販売事業は上半期に教科書に関連する売上が集中するため、季節的変動があります。

 

(2)仕入実績

 当中間連結会計期間の仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2022年10月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版物等取次販売事業(千円)

19,039,946

107.0

合計(千円)

19,039,946

107.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されており、財政状態、営業成績について以下の分析を行っております。

 当社グループの経営陣は過去の実績や現在の状況を踏まえ以下の会計方針について合理的な見積もり及び判断を行っておりますが、実際の結果は当初の見積りと異なる場合があります。なお、文中において将来に関する事項は当中間連結会計期間における当グループの判断に基づくものであります。

 棚卸資産については、多くは返品条件に基づく取引条件にて管理しておりますが、買切り商品及び当社責任における返品不能商品については、市場状況により陳腐化したと判断されるもの又はその商品寿命に応じて評価減を計上しております。また市場悪化などの影響により追加計上を行う可能性があります。

 返品調整引当金については、委託販売制度に基づき将来発生が予測される返品に伴う負担見込額を計上しておりますが、送品・返品状況の変化により引当額が変動する可能性があります。

 退職給付に係る負債及び退職給付費用については、当社及び連結子会社は退職一時金制度及び確定拠出年金制度を設けており、退職給付に係る期末自己都合要支給額を計上しております。

 賞与引当金及び役員退職慰労引当金は、支給に備えるためそれぞれ内規に基づき負担すべき支給見込額、中間期末の要支給額を計上しております。

 固定資産については遊休資産の発生、価値の下落がある場合に減損損失を計上しております。

 投資有価証券株式は取引先との円滑な関係維持のために保有していますが、市場価格があるものについてはその評価価値が帳簿価額を50%以上下回る場合に、市場価格のないものは当該会社の1株当たり純資産額が取得価額を50%以上下回る場合に、評価損を計上しております。

 

②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当中間連結会計期間の総売上高は20,869,075千円と前年同期比6.5%の増加となりました。セグメント別に分析しますと、書籍部門及び配送収入等は、書店店頭の売上は低迷しましたが、一部採用品の刊行時期が当期にズレ込んだこと及び新規帳合店の獲得等により増加しました。教科書部門も採択数の増加及び新課程教科書の定価アップ等より増加しました。この結果、売上高は20,597,185千円と前年同期比6.7%増、利益は333,188千円と前年同期比8.6%増となりました。ビル事業は空室状況が継続したことにより収入が減少しており売上高は271,889千円と前年同期比8.4%減、電気代等の負担増により利益は139,988千円と前年同期比21.8%減となりました。

 共通経費面では、光熱費の値上げや人件費負担の増加が大きく影響し、合算営業利益は422,194千円と前年同期比2.7%減となり、中間連結会計期間の税金等調整前中間純利益は412,383千円と前年同期比2.9%減の減少となりました。

 

③資本の財源及び資金の流動性について

 当中間連結会計期間におけるキャッシュ・フローの分析については「第2事業の状況、3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1)経営成績等の状況の概要、②キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

 当社グループの資金需要は、運転資金としては主に商品仕入及び人件費、業務の外部委託費・運賃等の営業費用であり、設備資金としては、ソフトウェア投資、賃貸資産の修繕費等であります。これら資金の調達は自己資金又は借入等によることとしております。

 2023年3月31日現在、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、短期借入金の内、2,750,000千円(未使用枠1,250,000千円)、長期借入金(一年内含む)850,000千円を利用しております。

④経営環境と今後の方針

 当社グループを取り巻く環境としては、コロナ対策は緩和されるものの、少子化等による教育関連図書の需要低迷、出版不況に加え、ウクライナ紛争の長期化や欧米諸国の金融不安、円安の影響もあり、引き続き厳しい状況が予想されます。

 当社グループとしては、本業である出版物取次事業の収益力改善策として、取次営業活動の高度化、デジタル事業分野である教育クラウドサービスOPEの更なる共同推進、日本出版販売株式会社との業務提携等を通じ顧客サービス向上及び業務の合理化・効率化の徹底を通じたコスト削減を推進することにより、当社グループの収益力向上と企業体質の強化を図ることに引き続き注力していきます。