売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E02538 Japan GAAP

売上高

4,025.5億 円

前期

4,281.5億 円

前期比

94.0%


3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社29社及び関連会社11社で構成され、出版流通事業、不動産事業等を展開しております。

 当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。

区分

主要な会社

出版流通事業

 

卸売事業部門

 

出版物(書籍・雑誌)

当社、㈱ブックライナー、台湾東販股份有限公司、㈱きんぶん図書、日本出版貿易㈱、㈱スーパーブックス、㈱東京堂、㈱明屋書店、㈱ブックファースト、㈱八重洲ブックセンター、㈱文真堂書店、㈱三洋堂ホールディングス、㈱三洋堂書店、その他11社

24社

教育・音楽用品等

当社、㈱ティー・アンド・ジー、㈱トーハン・メディア・ホールディングス、㈱トーハン・メディア・ウェイブ、㈱トーハン・インターメディア、日本出版貿易㈱、㈱ETS、㈱デルフォニックス、

㈱マリモクラフト、ファイヤーサイド㈱

10社

卸売関連事業部門

 

物流

当社、東販自動車㈱、㈱トーハンロジテックス、

㈱九州雑誌センター

4社

情報関連サービス

当社、㈱トーハン・コンピュータ・サービス

2社

リース・金融・保険

東販リーシング㈱

1社

その他(人材派遣・コンサルティング・

出版等)

㈱トーハン・コンサルティング、㈱メディア・パル、㈱デジタルパブリッシングサービス、台湾東販股份有限公司、㈱東京堂、DELFONICS FRANCE EURL、その他1社

7社

不動産事業

当社、㈱ティー・アンド・ジー、㈱スーパーブックス、㈱明屋書店、㈱ブックファースト、㈱文真堂書店、㈱らくだ、協和出版販売㈱、㈱岩瀬書店、㈱東京堂

10社

その他事業

当社、㈱スーパーブックス、㈱文真堂書店、㈱らくだ

 

4社

 

 

※画像省略しています。

23/06/30

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当期の出版市場は、紙媒体が書籍・雑誌ともにマイナス成長となり、販売金額は1兆2,000億円を下回りました。電子媒体は依然としてプラス成長が続いているものの、2014年以降初めて伸長率が一桁となり、両媒体の合計は4年振りのマイナス成長となりました。

 感染症の世界的流行に加えて、燃料や食料品等の生活必需品を中心とする諸物価の高騰により、日本経済の先行き不透明感が強まる中で、出版物の買い控え傾向もより鮮明となりました。

 このような状況を背景として、出版業界の抱える諸課題は一層の顕在化が進み、激変する事業環境への対応及び業界構造の改革が急務となっております。中でも、物流経費や人件費等の高騰は出版流通ネットワークを維持し続ける上で重要な課題であり、全体最適の視点による流通システムの再設計が求められております。

 当社グループは、4ヵ年目を迎えた中期経営計画「REBORN」に基づき、各種施策やサービスの提供を通じ、「本業の復活」「事業領域の拡大」に向けた取り組みを加速させました。

 当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,009百万円減少し、347,607百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,672百万円減少し、248,593百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ337百万円減少し、99,014百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、売上高は402,550百万円(前年同期比5.9%減)となりました。営業利益は238百万円(前年同期比81.3%減)、経常利益は351百万円(前年同期比70.1%減)となりました。

 特別損益を加味した税金等調整前当期純利益は916百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失1,469百万円)となり、最終的に法人税等を控除いたしました親会社株主に帰属する当期純利益は312百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,648百万円)となりました。

 各セグメントの経営成績は次のとおりであります。

 出版流通事業の売上高は、398,931百万円(前年同期比6.1%減)となりました。

 不動産事業の売上高は、3,392百万円(前年同期比25.8%増)となりました。

 その他事業の売上高は、226百万円(前年同期比24.2%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益916百万円に、売上債権及び仕入債務の増減、有価証券の取得及び売却、借入金による収支等を加減した結果、当連結会計年度末には49,673百万円となり、前年同期と比べ15,313百万円増加しております。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に仕入債務の減少による資金の減少分や、売上債権の減少による資金の増加分等を加減した結果、6,420百万円の増加となり、前年同期と比べ3,943百万円増加しております。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の取得及び売却による収支に、貸付金の回収と支出を加減した結果、9,739百万円の増加となり、前年同期と比べ8,761百万円増加しております。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の借入れ及び返済による収支に、自己株式の取得による支出等により、846百万円の減少となり、前年同期と比べ1,996百万円減少しております。

 

③販売及び仕入実績

a.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

     (自 2022年4月1日

       至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版流通事業(百万円)

398,931

93.8

不動産事業(百万円)

3,392

125.8

  報告セグメント計(百万円)

402,323

94.0

その他事業(百万円)

226

124.2

合計(百万円)

402,550

94.0

 

 前連結会計年度および当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱セブン-イレブン・ジャパン

43,489

10.1

37,548

9.3

 

b.仕入実績

 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

     (自 2022年4月1日

       至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

出版流通事業(百万円)

343,662

94.4

合計(百万円)

343,662

94.4

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループは連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の数値及び連結会計期間における損益の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を必要とします。当社グループ経営陣は売掛債権、固定資産及び偶発債務等に関し、過去の実績や現在の状況をふまえ引当金の計上等の見積りに対して合理的かつ継続的判断を行っておりますが、実際の結果は当初の見積りと異なる場合があります。

 当社グループは、以下の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表作成において特に重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a.棚卸資産

「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、 4.会計方針に関する事項 (1)重要な資産の評価基準及び評価方法」に記載しております。

b.固定資産の減損

当社グループは、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。

c.株式の評価損

市場価格があるものは取得価額を時価が著しく下回った場合に、市場価格のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合に、評価損を計上しております。

 

d.引当金等

貸倒引当金等の引当金については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 

a.経営成績等

1)経営成績

 売上高は402,550百万円(前年同期比5.9%減)となり、前連結会計年度より25,601百万円減少しました。

 売上総利益は、59,216百万円(前年同期比4.9%減)となりました。

 販売費及び一般管理費は、58,978百万円(前年同期比3.3%減)となり、営業利益は238百万円(前年同期比81.3%減)、経常利益は351百万円(前年同期比70.1%減)となりました。

 特別損益は、特別利益に固定資産売却益などを計上し、また特別損失は固定資産除却損などを計上した結果、税金等調整前当期純利益は916百万円(前年同期は税金等調整前当期純損失1,469百万円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は312百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失1,648百万円)となりました。

 

2)財政状態

 ア.キャッシュ・フロー

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 イ.資金需要

当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金において出版物等の仕入にかかるもののほか、運賃、荷造費及び人件費等の営業費用であります。

設備投資資金においては、有形固定資産の取得等にかかるもののほかソフトウエアの取得等であります。

 ウ.財務政策

当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入等により資金調達をすることとしております。

 

b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、経営の指針として定める5ヵ年の中期経営計画「REBORN」に基づき、出版流通ネットワークの安定維持、多様性に富んだ日本の豊かな読書環境の保全及び発展に邁進すると共に、グループとしての企業成長のみならず業界全体の発展に貢献するべく、リーダーシップを持って出版業界改革に取り組んでおります。

 

1.「本業の復活」のために

 本業である出版流通事業では、物流に関わる諸課題の解決や書店業の再生を通じ、持続可能な出版流通ネットワークの再構築を目指しております。

①出版流通の構造改革に向けた取り組み

 当社は出版流通の効率化を推進すべく、返品率を重要な経営指標と設定しております。前期に引き続き商品供給の量的質的改善を推し進めましたが、急激な市況悪化を受け、種別総合返品率は37.6%と、前期比プラス1.1ポイント悪化いたしました。

 店頭売上不振への対処に努める一方で、当期においては、当社が構想する「マーケットイン型出版流通」を具現化するための諸施策が、本格的な運用フェーズへと移行いたしました。出版流通情報プラットフォーム「en CONTACT」は、2022年10月のリリース以降、サービス提供範囲を順次拡大しています。

 報奨施策「マーケットイン型販売契約」については、対象を当社グループ書店全店へと拡大し、併せて契約出版社数も増加し、当期末時点においても顕著な改善効果を得ることができました。

 書籍出版流通の抜本的改革と機能強化を目指した、大日本印刷株式会社との協業プロジェクトにおいては、大日本印刷株式会社が所有する書籍流通センターの機能を当社の桶川センターへと移管し、10月より商品発送を開始いたしました。

 なお、関連する取り組みとして、店舗運営効率化の新しい可能性を検証すべく、夜間無人営業システム「MUJIN書店」の試験的展開を山下書店世田谷店で開始いたしました。この他、新業態モデル構築を追求する「Book Boost Lab.」では選書・空間プロデュースに取り組み、株式会社リトプラと連携し、書店向けにアレンジしたポップアップ型デジタルキッズパークの開発、実証試験を行う等、「本業の復活」に向けて、バリエーションに富んだアプローチを試みています。

 また、出版流通事業の足腰とも言える物流機能の一層の品質改善、効率化にも取り組んでおり、当事業年度は、埼玉県川口市への新たな雑誌発送拠点の開設等を中心とした、既存拠点の統廃合を含めた物流高度化計画を発表しています。

②デジタル領域での取り組み

 当社は2021年3月より、株式会社メディアドゥと資本業務提携を行い、デジタル領域へのビジネス展開を加速させています。

 前事業年度より重点的に推し進めているNFT特典付き商品開発事業については、事業開始以降、当事業年度末までの総売上高が2.9億円を超えております。価格帯を引き上げながら、高い実売率も同時に実現し、今後の市場活性化効果が充分に期待できる成果を収めております。

 また、電子書籍店頭販売事業については、リアル店舗での第1次実証試験を通じ、課題の洗い出しと今後の方向性についての検討を深めました。さらに、電子図書館サービス「OverDrive」についても、蔵書コンテンツ数の拡大を推し進めながら、地域書店との連携を強め、学校・公共図書館への導入事例を着実に増やしております。

 

2.「事業領域の拡大」のために

①不動産事業

 本業を支える収益事業として堅調に推移しており、最大の資産価値を持つ旧本社跡地開発につきましては当初の計画通りに進捗しております。なお、当事業年度におきましては、旧雑誌返品作業所である東京ロジスティックスセンター跡地(埼玉県・加須市)の売却を決定しております。

②その他新規事業の進捗

 フィットネス事業及びコワーキング事業につきましては、利用者確保による採算改善と新規出店に向けた準備に注力しております。当期末における両事業の出店状況は、フィットネス事業が全7店舗、コワーキング事業「HAKADORU」は東京都大田区へ新規出店し、全3店舗となりました。

 また、グループ企業である雑貨開発・販売の株式会社マリモクラフトは、人気キャラクターコンテンツとのコラボレーション力を活かし、書店収益改善に寄与するオリジナルパッケージの開発に注力すると共に、東京駅に直営売場を展開する等、催事販売にも積極的に取り組み、収益力を着実に強化しております。

 さらに、従業員発の新規事業開発にも注力をしており、当事業年度においては書店空間に特化したスペースマッチングサービス「ブクマスペース」を正式にリリースいたしました。

 なお、当事業年度は長野県駒ケ根市を拠点に、焚火のあるライフスタイルの魅力を発信するアウトドアブランドのファイヤーサイド株式会社を新たにグループ傘下へ加えております。

 

3.経営基盤の強化

 継続的に取り組んでいる「働き方改革」や「環境配慮経営」に加え、当事業年度におきましては本業である出版流通事業の収益改善を推し進めるべく、「全社業務改革プロジェクト」を発足し、非効率的な作業の撲滅、過剰サービスの是正に徹底的に取り組み、変動費を中心に大幅なコスト削減効果を得ることができました。

 当社グループは今後も、SDGsに賛同し、事業を通じて社会や環境に良い影響をもたらすことで、持続可能な社会づくりに貢献して参ります。

 併せて、当社グループは適切な経営指標の設定と情報開示によって経営の透明性を確保し、グループ全体の企業価値の適正評価に資するよう努めて参ります。

 

c.資本の財源及び資金の流動性

資金需要

 当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの出版流通事業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払、貸金業を営む上での転貸資金の確保、各事業における一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、物流拠点及び店舗開発のための有形固定資産投資や、情報処理のための無形固定資産等があります。

 

財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、基本的に当社において子会社各社の経営状況とともに把握しております。

 当社グループの主要業務である出版流通事業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払資金に関しては、企業間信用に基づく掛仕入とこれまでに蓄積してきた内部留保や、金融機関からの借入を資金の源泉としており、安定した支払いを実現しております。

 また、貸金業を営む上での転貸資金は主に金融機関からの借入で賄っておりますが、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。