E02538 Japan GAAP
前期
4,025.5億 円
前期比
99.1%
当社グループは、当社、子会社27社及び関連会社12社で構成され、出版流通事業、不動産事業等を展開しております。
当社グループの事業に係わる位置づけは次のとおりであります。
区分 |
主要な会社 |
出版流通事業 |
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卸売事業部門 |
|
出版物(書籍・雑誌) |
当社、㈱ブックライナー、台湾東販股份有限公司、㈱きんぶん図書、日本出版貿易㈱、㈱スーパーブックス、㈱東京堂、㈱明屋書店、㈱ブックファースト、㈱八重洲ブックセンター、㈱文真堂書店、㈱三洋堂ホールディングス、㈱三洋堂書店、その他12社 25社 |
教育・音楽用品等 |
当社、㈱ティー・アンド・ジー、㈱トーハン・メディア・ホールディングス、㈱トーハン・メディア・ウェイブ、日本出版貿易㈱、㈱ETS、㈱デルフォニックス、㈱マリモクラフト、ファイヤーサイド㈱ 9社 |
卸売関連事業部門 |
|
物流 |
当社、㈱トーハンロジテックス、㈱九州雑誌センター 3社 |
情報関連サービス |
当社、㈱トーハン・コンピュータ・サービス 2社 |
リース・金融・保険 |
東販リーシング㈱ 1社 |
その他(人材派遣・コンサルティング・ 出版等) |
㈱トーハン・コンサルティング、㈱メディア・パル、㈱デジタルパブリッシングサービス、台湾東販股份有限公司、㈱東京堂、DELFONICS FRANCE EURL、その他1社 7社 |
不動産事業 |
当社、㈱ティー・アンド・ジー、㈱スーパーブックス、㈱明屋書店、㈱ブックファースト、㈱文真堂書店、㈱らくだ、協和出版販売㈱、㈱岩瀬書店、㈱東京堂 10社 |
その他事業 |
当社、㈱スーパーブックス、㈱文真堂書店、㈱らくだ 4社 |
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
2023年度の出版市場は、紙媒体は書籍・雑誌・コミックいずれもマイナス成長となり、販売金額は1兆612億円となりました。電子媒体との合計でも、2年連続の前年割れとなっております。
加えて、書店の廃業店舗数は依然として高止まりしており、今や全国市区町村のおよそ1/4は書店が一店舗もない無書店自治体となっております。
また、資源価格高騰、賃金上昇等、諸コストの上昇圧力も強まっており、出版流通事業においては、収益構造の抜本的改革が求められます。
このような環境変化への対応力と機動力の向上を図るため、当社グループは取締役の員数を減らし、経営体制のスリム化を行い、さらに従来の機能別体制から事業部別体制へと組織を再編しております。
2023年度は5ヶ年計画「REBORN」の最終年度にあたります。過去5ヶ年を通じて、売上高は計画を上回って推移しております。経常損益ベースでは2020年度以降、単体・連結ともに黒字決算となり、5ヶ年の累計総額においても当初計画を上回る結果となりました。
当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ17,082百万円増加し、364,720百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ14,970百万円増加し、263,595百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,111百万円増加し、101,125百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高は398,826百万円(前年同期比0.9%減)となりました。営業利益は1,161百万円(前年同期比387.1%増)、経常利益は1,881百万円(前年同期比434.6%増)となりました。
特別損益を加味した税金等調整前当期純利益は2,360百万円(前年同期比157.4%増)となり、最終的に法人税等を控除いたしました親会社株主に帰属する当期純利益は1,450百万円(前年同期比364.7%増)となりました。
各セグメントの経営成績は次のとおりであります。
出版流通事業の売上高は、395,082百万円(前年同期比1.0%減)となりました。
不動産事業の売上高は、3,488百万円(前年同期比2.8%増)となりました。
その他事業の売上高は、255百万円(前年同期比12.9%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益2,360百万円に、売上債権及び仕入債務の増減、有価証券の取得及び売却、借入金による収支等を加減した結果、当連結会計年度末には56,851百万円となり、前年同期と比べ7,177百万円増加しております。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益に仕入債務の増加による資金の増加分や、売上債権の増加による資金の減少分等を加減した結果、4,683百万円の増加となりましたが、前年同期と比べ1,737百万円減少しております。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券等の取得及び売却による収支に、貸付金の回収と支出を加減した結果、4,097百万円の増加となりましたが、前年同期と比べ5,642百万円減少しております。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の借入れ及び返済による収支に、自己株式の取得による支出等により、1,602百万円の減少となり、前年同期と比べ756百万円減少しております。
③販売及び仕入実績
a.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
出版流通事業(百万円) |
395,082 |
99.0 |
不動産事業(百万円) |
3,488 |
102.8 |
報告セグメント計(百万円) |
398,570 |
99.1 |
その他事業(百万円) |
255 |
112.9 |
合計(百万円) |
398,826 |
99.1 |
前連結会計年度および当連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
㈱セブン-イレブン・ジャパン |
37,548 |
9.3 |
34,682 |
8.6 |
b.仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年4月1日 至 2024年3月31日) |
前年同期比(%) |
出版流通事業(百万円) |
339,882 |
98.9 |
合計(百万円) |
339,882 |
98.9 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループは連結財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日における資産・負債の数値及び連結会計期間における損益の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を必要とします。当社グループ経営陣は売掛債権、固定資産及び偶発債務等に関し、過去の実績や現在の状況をふまえ引当金の計上等の見積りに対して合理的かつ継続的判断を行っておりますが、実際の結果は当初の見積りと異なる場合があります。
当社グループは、以下の重要な会計方針が当社グループの連結財務諸表作成において特に重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.棚卸資産
「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、 4.会計方針に関する事項 (1)重要な資産の評価基準及び評価方法」に記載しております。
b.固定資産の減損
当社グループは、収益性の低下や時価の下落といった兆候の見られる固定資産につきましては、減損損失の認識の判定を行い、必要に応じて減損処理を実施しております。
c.株式の評価損
市場価格があるものは取得価額を時価が著しく下回った場合に、市場価格のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した場合に、評価損を計上しております。
d.引当金等
貸倒引当金等の引当金については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項 4.会計方針に関する事項 (3)重要な引当金の計上基準」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)経営成績
売上高は398,826百万円(前年同期比0.9%減)となり、前連結会計年度より3,723百万円減少しました。
売上総利益は、58,992百万円(前年同期比0.4%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、57,831百万円(前年同期比1.9%減)となり、営業利益は1,161百万円(前年同期比387.1%増)、経常利益は1,881百万円(前年同期比434.6%増)となりました。
特別損益は、特別利益に固定資産売却益などを計上し、また特別損失は固定資産除却損などを計上した結果、税金等調整前当期純利益は2,360百万円(前年同期比157.4%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,450百万円(前年同期比364.7%増)となりました。
2)財政状態
ア.キャッシュ・フロー
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
イ.資金需要
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金において出版物等の仕入にかかるもののほか、運賃、荷造費及び人件費等の営業費用であります。
設備投資資金においては、有形固定資産の取得等にかかるもののほかソフトウエアの取得等であります。
ウ.財務政策
当社グループの運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金または借入等により資金調達をすることとしております。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、出版流通ネットワークの安定維持、多様性に富んだ日本の豊かな読書環境の保全及び発展に邁進すると共に、グループとしての企業成長のみならず業界全体の発展に貢献するべく、リーダーシップを持って出版業界改革に取り組んでおります。
1.「本業の復活」のために
本業と位置付ける出版取次事業では、持続可能な出版流通ネットワークの再構築を推進しております。
読者・書店ニーズを流通の起点と据えた「マーケットイン型出版流通」の本格運用を推し進めるべく、2022年10月にリリースした出版流通情報プラットフォーム「en CONTACT」の普及拡大に努めております。併せて、協業パートナーである株式会社メディアドゥ、大日本印刷株式会社とは引き続き、デジタルビジネスの開拓、書籍注文流通の高機能化に取り組んで参ります。
また、物流拠点の統廃合や各拠点における作業の見直し、輸配送に関する取引先との様々な交渉や協議を通じ、出版サプライチェーン全体の効率化に取り組んでおります。
「第二の創業期」と位置付けたこの5年間を通じ、当社グループは出版取次事業の再生と取引拡大に真摯に取り組んで参りました。その結果、四半世紀ぶりに出版取次事業におけるマーケットシェア首位の座を奪還するに至りました。
2.「事業領域の拡大」のために
①不動産事業
本業を支える収益事業として、不動産事業は堅調に推移しております。最大資産である旧本社跡地の開発も滞りなく進捗しており、2024年9月にはオフィス棟竣工を予定しております。
②その他新規事業
主な新規事業のうち、フィットネス事業及びコワーキング事業については、コロナ禍の厳しい事業環境を乗り越えたことにより既存店の採算改善が進んでおり、利用者獲得と新規出店による事業規模拡大に向けて注力しております。
③グループ企業
グループ企業においては、キャラクターグッズの企画開発・卸売を手掛ける株式会社マリモクラフトが、人気コンテンツとのコラボレーション力を活かし、順調に業績を拡大しております。文具雑貨の企画製造及びセレクトショップの運営等を行う株式会社デルフォニックスは、商品展示会等イベントへの出展をはじめ国内外への販路拡大に注力しております。
c.資本の財源及び資金の流動性
資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、当社グループの出版流通事業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払、貸金業を営む上での転貸資金の確保、各事業における一般管理費等があります。また、設備資金需要としては、物流拠点及び店舗開発のための有形固定資産投資や、情報処理のための無形固定資産等があります。
財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入により資金調達を行っており、運転資金及び設備資金につきましては、基本的に当社において子会社各社の経営状況とともに把握しております。
当社グループの主要業務である出版流通事業に係る商品仕入代金や配送運賃等の支払資金に関しては、企業間信用に基づく掛仕入とこれまでに蓄積してきた内部留保や、金融機関からの借入を資金の源泉としており、安定した支払いを実現しております。
また、貸金業を営む上での転貸資金は主に金融機関からの借入で賄っておりますが、金融機関には十分な借入枠を有しており、当社グループの維持拡大、運営に必要な運転、設備資金の調達は今後も十分可能であると考えております。