E03738 Japan GAAP
前期
16.4億 円
前期比
97.4%
当社は、独立行政法人住宅金融支援機構が提供する長期・固定・低利の住宅ローン「フラット35」を専門に取扱う金融機関として、平成17年7月1日より営業を開始しております。
なお、当社の設立及び事業展開の経緯は以下のとおりであります。
(1) 公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(以下、全宅連)では、会員支援事業として、会員が取扱う新築・中古住宅の売買に関し、会員自らが窓口となる長期固定金利型住宅ローン(住宅金融支援機構買取型)取扱会社の設立を理事会で決定しました。
(2) これまで、会員にとっては、不動産の売買・仲介業務と住宅ローンの申し込みを切り離すと時間的なロスを生じ、金融機関との折衝等により、成約までの日数がかかることがままありました。これを会員が直接、住宅ローンの取扱窓口となれば、業務上の効率化・迅速化が図られると共に、社会的信用の増幅につながる等のメリットがあると考えました。
(3) 現在の金融機関、ことに市中銀行の住宅ローンは、その人の属性による融資基準があり、有利な条件の借入には高いハードルがあるとも言われています。
そこで全宅連では、会員業者に向けて株主を公募し、会員業者のみがその取扱い窓口となる「住宅ローン取扱会社」を設立しました。
(4) また、会員業者の多様かつ旺盛な事業資金ニーズに対応すべく、不動産担保事業資金の融資及び融資の媒介を専門に取扱うことを目的とした「全宅ファイナンス株式会社」を平成19年2月5日に設立し、平成19年7月2日に営業開始しました。
(5) 平成20年11月より会員支援業務の一環として、会員からの要望が強かった「フラット35」の「つなぎ融資」を取扱い開始し取扱件数は安定的に増加しております。なお、この「つなぎ融資」の事務取扱いは子会社である「全宅ファイナンス株式会社」を代理店として委託しております。
(6) 子会社「全宅ファイナンス株式会社」は、国策である既存(中古)住宅の流通促進の一環として、住宅金融支援機構の保険付買取再販資金、担保付融資「希望」及び無担保融資「未来」を推進しております。
(7) 当社商品メニューの拡充策として、令和4年4月から「フラット50」の販売を開始することとしました。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
※下図の「フラット35」には「フラット50」も含まれます。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの終息時期が予測できない中で、社会経済活動全般が制限され、ロシアのウクライナ侵攻等世界的規模の動乱により、燃料費・光熱費・食料品等の値上げ、品不足等が重なり、個人消費と共に企業収益も大幅な打撃を受けるなど、きわめて不安定な経済状況が続いています。
一方、国内住宅市場では分譲住宅259,549戸(前年比4.5%増、2年連続の増加)うちマンション113,900戸(同 10.8%増、4年ぶりの増加)一戸建住宅は144,321戸(同 0.1%増、2年連続の増加)となっており、特にマンションは首都圏(同 15.4%増)及び近畿圏(同 13.2%増)(「国土交通省」が作成する令和5年4月28日公表の「建築着工統計調査報告:令和4年度計」P1より)と大きく増加しております。また、不動産価格指数においても189.4ポイント(2010年平均=100ポイント)(「国土交通省」が作成する令和5年4月28日公表の「不動産価格指数」)とかなりの高止まりとなっております。
このような事業環境のもと、当社では常にスピードと親切な顧客対応を心掛け、競合各社の手数料等のダンピング競争や新型コロナウイルスの影響にも左右されないように顧客第一の姿勢を心掛け、顧客との相対での商品説明が制限されるところWEB等の非対面対応の推進や様々な工夫をこらしながら営業展開を行って参りました。
当連結会計年度は、年間を通じて安定的な収益基盤を確保するため、融資実行前財源の増強・管理を徹底し、併せて、安定的な収益基盤である管理債権委託手数料(サービシングフィー)の増加に寄与する新規融資案件獲得及びクロスセル取引による収益増強運動を展開して参りました。
内部管理体制については、新システムを活用して、データ一元管理・効率化・スピード化・セキュリティ強化を図りながら、これらを安定稼働させ、顧客サービスと事務の合理化、セキュリティ強化を推進してまいりました。
連結対象子会社である全宅ファイナンス株式会社につきましては、中核業務であるファイナンス業務に注力しました。保険付き融資である中古(既存)住宅仕入れ・リフォーム一括ローン、通称「希望」・「未来」の実績は順調に推移して当期純利益を確保し13期連続の期末配当の実施に至っております。
以上の結果、当年度の「フラット35」の申し込み受付件数は4,501件、実行件数は1,494件となり、つなぎ融資については申込受付件数765件(先数324先)、実行件数901件(先数385先)となりました。
また、当連結会計年度の売上高は1,601,292千円、営業利益は151,239千円、経常利益は153,085千円、親会社株主に帰属する当期純利益は81,648千円となりました。
(当連結会計年度の財政状態)
当連結会計年度の総資産は、前連結会計年度に比較して1,814,109千円減少し、11,750,105千円(前連結会計年度13,564,214千円)となりました。
純資産は、前年度に比較して44,647千円増加し、2,242,711千円となりました。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度に比較して上昇し17.33%となりました。
(当連結会計年度の経営成績)
当連結会計年度は、新規住宅着工件数は前年度に比較して0.6%程減少(「国土交通省」が作成する令和5年4月28日公表の「建築着工統計調査報告:令和4年度計」P1より)しました。消費者の住宅ローン需要は、金利の低い変動金利型の住宅ローンに流れる傾向は変わらず、全期間固定金利型の「フラット35」は全体的にも減少したため、当社の「フラット35」も伸び悩みました。厳しい環境の下、非対面型営業やWEB利用等の推進を図り、融資案件の拡充を図りましたが、「フラット35」の実行件数は1,494件と前年を325件下回りました。また、独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関として委託をうけている管理債権残高は、484,104百万円と前年度比3,441百万円の増加となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は1,554,424千円となりました(前連結会計年度は402,973千円の獲得)。これは主に営業未収入金794,867千円の減少、営業貸付金527,787千円の減少、販売用不動産176,562千円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は169,764千円となりました(前連結会計年度は93,987千円の使用)。これは主に有形固定資産の取得による支出168,044千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は1,843,201千円となりました(前連結会計年度は161,313千円の使用)。これは主に短期借入金1,781,520千円の減少によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.売上実績
当連結会計年度の売上実績を科目別に示すと、次のとおりであります。
区別 |
科目別 |
当連結会計年度 |
前年度比増減 |
||
金額(千円) |
構成比% |
金額(千円) |
増減比% |
||
住宅ローン |
受取融資手数料 |
465,573 |
29.07 |
△99,550 |
△17.61 |
受取手数料 |
35,520 |
2.22 |
△6,790 |
△16.05 |
|
受取サービシングフィー |
461,914 |
28.85 |
△2,005 |
△0.43 |
|
受取営業利息 |
8,639 |
0.54 |
△2,031 |
△19.04 |
|
つなぎ融資 |
受取融資手数料 |
38,438 |
2.40 |
△9,437 |
△19.71 |
住宅融資保険手数料 |
30,862 |
1.93 |
△11,958 |
△27.92 |
|
受取営業利息 |
69,532 |
4.34 |
△33,354 |
△32.42 |
|
不動産担保ローン |
受取融資手数料 |
104,404 |
6.52 |
10,429 |
11.10 |
受取手数料 |
4,700 |
0.29 |
4,343 |
1,216.53 |
|
受取営業利息 |
155,115 |
9.69 |
28,038 |
22.06 |
|
その他 |
不動産賃貸収入他 |
226,590 |
14.15 |
79,113 |
53.64 |
計 |
|
1,601,292 |
100.00 |
△43,203 |
△2.62 |
(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
独立行政法人 住宅金融支援機構 |
484,803 |
29.5 |
479,024 |
29.9 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.融資実行実績
当連結会計年度の「フラット35(フラット50を含む)」融資実行の件数と金額の状況を月別に示すと、次のとおりであります。
|
融資実行 |
|
|
件数(件) |
金額(千円) |
令和4年4月 |
137 |
3,491,250 |
5月 |
124 |
3,112,010 |
6月 |
166 |
4,156,500 |
7月 |
135 |
3,579,010 |
8月 |
107 |
2,509,810 |
9月 |
136 |
3,377,640 |
10月 |
110 |
2,773,710 |
11月 |
108 |
2,762,380 |
12月 |
140 |
3,597,440 |
令和5年1月 |
100 |
2,483,900 |
2月 |
93 |
2,370,930 |
3月 |
138 |
3,322,540 |
合計 |
1,494 |
37,537,120 |
(注)1.当連結会計年度の独立行政法人住宅金融支援機構提携金融機関326社中、当社の「フラット35」の、融資実行件数は11位であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
住宅ローンについては、「フラット35(フラット50を含む)」の受付件数4,501件(前年度5,747件)・実行件数1,494件(前年度1,819件)と前年度比で受付件数が1,246件・実行件数325件減少しました。融資手数料の高い新規案件(既存顧客の借換案件を除く)が1,321件(前年度1,515件)前年度比で194件減少しました。よって受取融資手数料が前年度比99,550千円減少となりました。また、クロスセル取引の推進を図るも、実行件数の減少により受取手数料は6,790千円減少となりました。
管理債権残高は、3,441百万円増加しましたが、約定の融資金利が低金利で推移しており、高金利時の管理債権の減少分を吸収しきれず、管理債権委託手数料(サービシングフィー)は前年度比2,005千円減少となりました。長期にわたる安定的な収益源であるサービシングフィーについては、令和2年10月実行分より引上げが図られました。引上げされたサービシングフィーと管理債権残高増加により長期安定的収益源の確保に努めてまいります。
つなぎ融資については、新規案件の取扱い減少により、先数・件数とも前年度を下回り受取融資手数料は9,437千円減少となりました。また、通期の貸付平均残高が3,278百万円(前期4,903百万円)と減少したため、それに伴い受取営業利息も33,354千円の減少となりました。
不動産担保ローンについては、都心近郊の中古住宅の流通価格は上昇基調が続き、買取再販関連の事業金融部門は比較的堅調に推移し、受取営業利息28,038千円増加となりました。独立行政法人住宅金融支援機構の保険付き商品である「中古(既存)住宅仕入れ・リフォーム一括ローン、通称「希望」・「未来」の取扱件数・残高は順調に推移しております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比して現金及び現金同等物は458,542千円減少し1,610,698千円となりました。主に当社グループの取扱う「フラット35」は、貸出日に同日付けで独立行政法人住宅金融支援機構に債権譲渡され、その譲渡代金はおおよそ1~2週間後に同機構から回収されますので資金回収についても懸念はございません。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社は、業種は貸金業者に分類されますが、独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関として、住宅ローンを専業に資金需要者へ円滑な融資活動を行っております。その融資金は自己資金と金融機関からの借入に依存しております。独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関には一定の適格要件があり、その一つに資本金5億円以上の定めがありますが、当社は1,060百万円の資本金を有しており、また取引金融機関からも潤沢な融資枠を確保しておりますので、資本の財源及び資金の流動性においても特段の問題はありません。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。