全宅住宅ローン株式会社

その他金融業金融サービス

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E03738 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営者の検討における重要な指標について

 当社及び連結子会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは、2[事業等のリスク]の影響を受けますが、当社の経営者は、財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を検討する上で、以下の指標が重要であると考えます。

①「フラット35」の実行件数・実行金額

 当社は独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関として、「フラット35」の取扱を行っておりますが、「フラット35」の実行によって、借入申込人から受け取る融資事務手数料の他、独立行政法人住宅金融支援機構から回収事務の委託を受け、元利金の回収事務に対するサービシングフィーを獲得しております。したがいまして、これらの収入の基礎となる「フラット35」の実行件数・実行金額を重要な指標としております。

②管理債権の残高

 独立行政法人住宅金融支援機構から回収事務の委託を受け、元利金の回収事務に対するサービシングフィーは、管理債権の残高に依存しております。令和5年9月末日時点の管理債権残高は482,193百万円であり、この残高を積み上げることが将来のサービシングフィーの増加をもたらし、当社グループの財政状態の安定化に寄与するものと重視しております。

(2)業績等の概要

 当社グループは不動産担保ローン事業の単一セグメントです。

 当中間連結会計期間は、コロナウィルス感染症の抑制も徐々に緩和されつつあり、我が国の経済活動は行動制限下からの反動によるペントアップ需要の顕在化や金融緩和の継続ほか政府の経済対策の効果などにも支えられて緩やかな回復を続けるとみられています。海外の経済・物価情勢については、世界的なインフレ圧力は続いており各国中央銀行は引き締め的な金融政策運営を継続していますが、一方で日銀の金融政策は引き続き長短金利操作付き量的・質的金融緩和等を継続しており、内外の金利差や外国為替市場においても大幅な円安傾向となっております。

 このような環境下、住宅ローンビジネスにおいて上半期の新設住宅着工戸数は、前年同期比6.2%減の415,307戸(「国土交通省 建築着工統計調査報告:令和5年9月分」令和5年10月31日公表)となりました。また、長期固定金利型よりも更に低利の金融機関で取り扱う変動金利型等との競争激化が要因となり、当社グループの「フラット35」の取り扱い件数は551件と前年同期比31.6%減となりました。これらの結果、当中間連結会計期間の売上高は、666,988千円(前年同期比26.4%減)、営業利益は38,816千円(前年同期比47.6%減)、経常利益は39,140千円(前年同期比48.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は10,058千円(前年同期比75.3%減)となりました。連結子会社の業績は好調に推移しましたが、住宅ローンの業績不振の影響が大きく減収減益となりました。

 

(3)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

①財政状態の分析

 当中間連結会計期間の総資産は、前連結会計年度に比較して496,924千円減少し、11,253,181千円(前連結会計年度11,750,105千円)となりました。総資産が減少した主な理由は、営業貸付金が805,243千円増加したものの営業未収入金が1,124,781千円減少したこと等によるものです。

 純資産は、前連結会計年度に比較して32,502千円減少し、2,210,209千円(前連結会計年度2,242,711千円)となりました。以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度に比較して0.43ポイント増加し17.76%(前連結会計年度17.33%)となりました。

②経営成績の分析

 住宅ローンビジネスにおいては、新設住宅着工戸数は前年度よりも減少する中、低金利下にて更に低い変動金利を取り扱う各金融機関との競争激化の影響を受け「フラット35」の取扱件数は551件(前年同期805件)と前年同期比31.6%減となりました。その結果、当中間連結会計期間の売上高は、666,988千円(前年同期比26.4%減)、営業利益は38,816千円(前年同期比47.6%減)、経常利益39,140千円(前年同期比48.3%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は10,058千円(前年同期比75.3%減)となりました。

③キャッシュ・フローの状況の分析

当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フローの状況)

営業活動の結果、資金は351,447千円の増加(前年同期は2,268,567千円の増加)となりました。

これは主に独立行政法人住宅金融支援機構に対する営業未収入金の減少1,124,781千円と営業貸付金の増加805,243千円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フローの状況)

投資活動の結果、資金は141,804千円の減少(前年同期は7,450千円の減少)となりました。

これは主に有形固定資産の取得132,696千円、無形固定資産の取得9,214千円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フローの状況)

財務活動によるキャッシュ・フローは501,968千円の減少(前年同期は2,930,947千円の減少)となりました。

これは主に短期借入金の減少543,320千円によるものであります。

 

(4)生産、受注及び販売の実績

当社グループは不動産担保ローン事業の単一セグメントです。

①売上実績

当中間連結会計期間の売上実績の収益を分解した情報を示すと、次のとおりであります。

 

当中間連結会計期間

(自 令和5年4月1日

至 令和5年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

 受取サービシングフィー

227,795

98.3

 受取融資手数料

263,318

79.6

 受取手数料

13,581

72.6

 受取営業利息

142,996

127.7

その他

19,296

9.0

合計

666,988

73.6

(注)前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における主な相手先別の売上実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。

 

相手先

前中間連結会計期間

(自 令和4年4月1日

至 令和4年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 令和5年4月1日

至 令和5年9月30日)

 

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

独立行政法人住宅金融支援機構

241,122

26.6

234,216

35.1

 

②住宅ローン融資実行実績

当中間連結会計期間の「フラット35」の融資実行件数と金額を月別に示すと、次のとおりであります。

 

融資実行実績

前年同期比(%)

件数(件)

金額(千円)

件数

金額

令和5年4月

81

2,137,960

59.1

61.2

5月

75

1,914,080

60.5

61.5

6月

107

2,479,090

64.5

59.6

7月

90

2,231,750

66.7

62.4

8月

103

2,419,710

96.3

96.4

9月

95

2,150,530

69.9

63.7

合計

551

13,333,120

68.4

65.9

(注)事業開始以降当中間連結会計期間末までの融資実行累計は、41,448件/974,258,240千円であります。

 

 

(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に準拠して作成されております。この中間連結財務諸表は、当社グループの令和5年9月30日現在の財政状態並びに同日をもって終了する中間連結会計期間(令和5年4月1日から令和5年9月30日まで)の経営成績及びキャッシュ・フローの状況を表示しております。また、当中間連結会計期間に重要な会計方針の変更による影響額及び見積りの変更はございません。

②当中間連結会計期間の経営成績の分析

 前年同期比減収減益となっています。連結子会社の収益は前年比39.2%減と好調でしたが、「フラット35」及び「つなぎ融資」の実行件数・実行金額ともに減少したため減収減益となりました。

③経営成績に重要な影響を与える要因について

 低金利下にも拘わらず、各金融機関で取り扱う低利の変動金利型の商品等との競争は益々激化しております。また、物価は原材料価格の上昇の影響から企業・消費者物価も上昇傾向が続くと思われます。そうしたことから先行きは不透明な状況でありますが、一方では住宅ローン減税等、住宅取得を促す国の政策の強化などによる堅調な需要が期待されます。

④経営戦略の現状と見通し

 当社グループでは、これらの現状を踏まえ、クロスセル取引の推進、中堅不動産業者との提携を拡充するとともに、連結子会社の不動産業者向けの中古物件買取再販ローン「希望」(有担保ローン)並びに「未来」(無担保ローン)を積極的に推進し、顧客ファーストの営業活動を行い案件獲得を図ってゆく方針です。

⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、業種は貸金業者に分類されますが、独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関として、住宅ローンを専業に資金需要者へ円滑な融資活動を行っております。その融資金は自己資金と金融機関からの借入に依存しております。独立行政法人住宅金融支援機構の提携金融機関には一定の適格要件があり、その一つに資本金5億円以上の定めがありますが、当社は1,060百万円の資本金を有しており、また取引金融機関からも潤沢な融資枠を確保しておりますので、資本の財源及び資金の流動性において特段の問題はありません。

また、当社の取扱う「フラット35」は、貸出日に同日付けで独立行政法人住宅金融支援機構に債権譲渡され、その譲渡代金はおおよそ1~2週間後に同機構から回収されますので資金回収についても懸念はございません。

なお、上記のような財源状況の中、当中間連結会計期間における現金及び現金同等物は292,325千円減少(前年同期は669,830千円減少)し、1,318,372千円となりました。

⑥経営者の問題認識と今後の方針について

 当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。

 当業界を取り巻く環境は引き続き厳しいものと予測されますが、営業強化を積極的に推進することにより、「フラット35」の案件増加に努めるとともに、適切な業務の執行のため貸金業者としてのコンプライアンス態勢及びリスク管理を一層充実させてゆく方針です。