E04118 Japan GAAP
前期
50.9億 円
前期比
116.8%
当社の企業グループは、親会社、当社、及び連結子会社7社で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次の通りであります。
(注) 1 ①は親会社
2 ②は連結子会社
3 上記部門の会社数には、当社及び豊鉄観光バス㈱並びに名古屋鉄道㈱が重複しております。
以上、当社グループについての系統図は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、2022年3月に新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)まん延防止等重点措置が解除され、社会経済活動の正常化が進み観光庁の旅行支援施策が拡大されるなど、移動を伴う消費活動の期待が高まりましたが、新規感染者が急増した「第7波」、「第8波」など感染症の収束が見通せない状況が続き、さらにはロシア・ウクライナ情勢の緊迫化など地政学的な変化によるエネルギー、原材料価格の高騰や円安により消費者の生活防衛意識が高まるなど、厳しい状況のまま推移しました。
当社が事業基盤とする東三河地域においても、感染症対策と社会経済活動の両立を図りながら沿線イベントが再開されましたが、電力料金や燃料費などエネルギー価格高騰が影響し厳しい経営環境が続きました。
このような状況の中、公共交通事業をとりまく社会情勢の変化として、全国の地方自治体を中心に感染症の影響を受けた地域公共交通の活性化、再生への気運が高まり、公共交通に関する新しい取り組みが各地で始まりました。
当社においても、地域社会の発展や課題解決を通じたまちづくりに公共交通を活かすことを目的として、10月に豊橋技術科学大学と連携協定を締結し、学生の実務訓練を受け入れました。
また、将来に亘る健全な経営を視野に安全性の確保が経営の根幹との認識のもと、輸送の安全性の向上のため、渥美線では木製電柱のコンクリート柱化、橋梁縦桁補修工事や信号・踏切関係設備の更新工事、市内線では軌道敷改修工事を実施しました。
人材育成の取り組みとして、感染症拡大防止に配慮しながら受講人数の制限及びWEBを活用し、専門分野の研修を継続的に実施するなど従業員の資質向上に努めたほか、東三河地域の課題である人口減少、高齢化社会を見据え、誰もが安心して利用できる公共交通事業者を目指し、関係機関と連携して認知症への対応研修を実施しました。また、従業員の健康管理を積極的に推進し、当年度も引き続き経済産業省及び日本健康会議の「健康経営優良法人」の認証を得ました。
このような状況の中、当社グループでは着実な営業活動を展開し、営業収益は5,944,087千円(前連結会計年度比16.7%増)となりました。営業損失は40,722千円(前連結会計年度営業損失471,241千円)となり、経常利益は265,801千円(前連結会計年度経常損失82,440千円)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は212,311千円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失175,886千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 交通事業
交通事業におきましては、前期に続いて感染症の影響が長期化し、新しい生活様式の定着に伴う行動変容などによる輸送人員及び収入の回復が想定を下回ったことに加え、燃料費の高騰などにより大変厳しい経営環境となりました。このような状況下、国や沿線自治体の支援を得て、鉄軌道施設の更新や改修を行ったことに加え、燃油価格高騰に対する支援金や感染症対策の助成金の交付を受け、輸送の安全性の維持・向上に努めました。営業面では「名鉄CentX」をはじめとしたエリア版MaaSアプリ等4つのプラットフォームにより利用促進を行いました。また、感染症対策を万全に施した上で、他社との連携によるウォーキング大会を積極的に実施したほか、豊橋の夜の風物詩である「納涼ビール電車」「おでんしゃ」は3年ぶりに本格的に復活させ好評をいただきました。自動車運送事業においては、乗合事業では豊橋市内における沿線のワクチン接種会場への増便対応を継続、3月には東三河地域最大級の大型商業施設の開業に伴い乗入を開始しました。観光バス事業ではスクールバスや契約輸送の入札案件に積極的に応札し収入確保に努めました。タクシー事業では各市で行った観光庁の再生・高付加価値化推進事業が収入の確保に大きく寄与しました。これらの結果、営業収益は4,623,546千円(前連結会計年度比14.5%増)、営業損失は261,986千円(前連結会計年度営業損失535,325千円)となりました。
提出会社の運輸営業成績及び業種別営業成績表を示すと、次のとおりであります。
(提出会社の運輸営業成績表)
(業種別営業成績表)
② 不動産事業
不動産事業におきましては、駐車場事業においてオンライン決済システムを構築するなど利便性の向上と利用者の増加に努めましたが利用減、テナント事業においても一部解約などがあり減収となりました。以上の結果、営業収益は461,957千円(前連結会計年度比0.1%減)、営業利益は115,323千円(前連結会計年度比12.7%減)となりました。
(業種別営業成績表)
レジャー・サービス事業におきましては、営業担当人員の減少等もあり、団体での受注は大幅に減少しましたが、募集型企画旅行が一定程度回復したことなどにより増収となりました。営業収益は761,975千円(前年同期比165.3%増)、営業利益は13,017千円(前連結会計年度営業損失120,211千円)となりました。
(業種別営業成績表)
④ 保守・整備・建設事業
保守・整備・建設事業におきましては、主に建設事業での鉄軌道事業における投資・修繕が増加したことなどにより増収となりました。営業収益は1,010,361千円(前年同期比20.8%増)、営業利益は88,148千円(前年同期比87.4%増)となりました。
(業種別営業成績表)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ345,067千円増加し、1,861,774千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、785,106千円(前年同期比17,560千円増)となりました。これは主に、補助金収入が減少、法人税等の支払額が増加したものの、税金等調整前当期純利益を計上したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△437,092千円(前年同期比79,047千円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△2,947千円(前年同期比250,001千円減)となりました。これは主に、短期借入による収入が減少したことなどによるものです。
当社グループの事業は、交通事業のほか不動産事業、レジャー・サービス事業等の広範囲かつ多種多様なサービス事業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどであるので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(経営成績等の状況の概要)」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響等による不確実性が大きく、将来事業計画等の見込数値に反映されることが困難な要素もありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに検証等を行っております。
①固定資産の減損
当社グループは、交通事業及び不動産事業を中心に多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、事業計画や市場環境の変化により前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
②繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際し、将来の課税所得やタックスプランニングを合理的に見積もっております。将来課税所得の見積り額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額または減額される可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の営業収益は、前年の外出自粛等の反動増を受け、収益は若干回復したものの、引き続き感染症の影響等により、継続して利用は低迷しております。その結果、営業収益は5,944,087千円(前連結会計年度比16.7%増)となり、営業損失は40,722千円(前連結会計年度営業損失471,241千円)となりました。なお、各セグメントの営業収益及び営業損益の分析については、「(経営成績等の状況の概要)」に記載しております。
営業外収益は、前連結会計年度に比して81,296千円減少し、319,293千円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比して982千円増加し、12,770千円となりました。これらの結果、経常利益は265,801千円(前連結会計年度経常損失82,440千円)となりました。
特別利益は、前連結会計年度に比し148,680千円増加し、215,572千円となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比し33,895千円増加し、201,823千円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は279,550千円(前連結会計年度税金等調整前当期純損失183,476千円)となり、税効果の影響を考慮した後の当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は212,311千円(前連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失175,886千円)となりました。
当連結会計年度末の資産の合計額は15,978,806千円で、前連結会計年度末に比し462,764千円増加しました。これは、主に有形固定資産が164,805千円減少したものの、預け金が344,130千円増加したことなどによるものであります。
負債の合計額は、10,339,144千円で、前連結会計年度末より238,938千円増加しました。これは主に支払手形及び買掛金が121,280千円増加したことなどによります。
当連結会計年度末の純資産の合計額は5,639,662千円で前連結会計年度末に比し、223,826千円増加しました。これは主に利益剰余金が212,487千円増加したことなどによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「(経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであり、営業により獲得した資金は、主として設備投資の支払いに充当しました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,861,774千円で、前連結会計年度末に比し345,067千円増加しました。
当社グループでは、交通事業を中心に日々の収入金があることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。
当社グループの今後の資金需要において、主なものは交通事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当社グループでは、設備投資については、投資効率により選別し、効率的かつ戦略的な投資を行ってまいりますが、営業活動によって得られる資金を基礎に、全事業における収益力強化と事業選別の徹底等により、有利子負債を削減する所存であります。