E04118 Japan GAAP
前期
59.4億 円
前期比
109.5%
当社の企業グループは、親会社、当社、及び連結子会社6社で構成され、その営んでいる主要な事業内容は、次の通りであります。
(注) 1 ①は親会社
2 ②は連結子会社
3 上記部門の会社数には、当社及び豊鉄バス㈱並びに名古屋鉄道㈱が重複しております。
以上、当社グループについての系統図は次のとおりであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度における我が国経済は、5月に感染症法における新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」という)の位置づけの変更により経済活動の正常化が進み、企業の業況や収益の改善が見られましたが、輸入価格上昇を起点とする物価上昇により個人消費を抑制する状況が続きました。
このような環境の中、3月17日に当社は創立100周年を迎え、引き続き将来に亘る健全な経営を視野に安全性の確保が経営の根幹との認識のもと、輸送の安全性の向上のため、渥美線、市内線共に老朽化が進む施設・車両について国や沿線自治体の支援を得て改修、更新を実施し、渥美線では新たな企画乗車券の発売やモバイル乗車券の拡大などを進め、市内線ではイベント電車を旅行会社などと連携したツアーの実施や、付加価値を付けた特別便を期間限定で運行するなど、利用の拡大に努めました。
また、人材育成の取り組みとして、社外研修やWEBを活用した専門分野の研修を継続的に実施するなど従業員の資質向上に努めたほか、東三河地域の課題である人口減少・高齢化社会を見据え、誰もが安心して利用できる公共交通事業者を目指し、関係機関と連携して認知症への対応研修を実施しました。
さらに、従業員の健康管理も積極的に推進し、当年度も引き続き経済産業省及び日本健康会議の「健康経営優良法人」の認証を得ました。
このような状況の中、当社グループでは着実な営業活動を展開し、営業収益は6,511,332千円(前連結会計年度比9.5%増)となりました。営業利益は218,807千円(前連結会計年度営業損失40,722千円)となり、経常利益は394,463千円(前連結会計年度比48.4%増)となりました。また親会社株主に帰属する当期純利益は323,210千円(前連結会計年度比52.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
① 交通事業
交通事業におきましては、感染症からの行動制限が解除され、沿線イベントの再開などから輸送人員及び収入の回復が期待されましたが、生活様式の変化、少子高齢化の進展に加え、物価上昇に伴う費用の増大などにより大変厳しい経営環境が続きました。このような状況下、国や沿線自治体の支援を得て、鉄軌道施設の更新や改修を行ったことに加え、自動車運送事業では2025年3月のサービスインに向けICカードシステム「manaca」の導入準備を進めました。また燃油価格高騰に対する支援金や感染症対策の助成金の交付を受け、路線の維持に努めました。しかしながら、中長期的な公共交通の健全な運営の確保に対しては、抜本的な対策が必要となり、安全性の確保と更なるサービス向上を主な目的として、自動車運送事業では2023年12月、鉄軌道事業では2024年3月にそれぞれ運賃改定を実施しました。今後も安全・安定輸送を提供し、安心してご利用いただける環境を整え、地域の公共交通機関としての使命を果たしてまいります。
営業面では、鉄軌道事業は新たな企画乗車券の発売やモバイル乗車券の拡大、他社と協働しウォーキング大会を開催したほか、沿線自治体の協力を得ながらお子様向けのイベントを開催し、利用者層の拡大を図る施策を展開しました。また、夏・冬の風物詩である「納涼ビール電車」「おでんしゃ」では通常募集に加え、旅行会社などと連携したツアーを設定したほか、付加価値をつけた「プレミアム」便を期間限定で運行し販路を拡大しました。自動車運送事業においては、乗合バス事業では沿線の行催事に合わせた臨時バスを運行したほか、運休又は週末運行としていた高速バス路線において毎日運行を再開するなど増収に努めました。観光バス事業では10月に実施された貸切バスの公示運賃の変更を活用し稼働単価のアップを図ったほか、安定収入の確保のため学校関係の契約輸送を受注しました。タクシー事業では2023年3月に行った運賃改定により当初は増収傾向が続きましたが、物価高騰の影響などから後半は稼働率が伸び悩みました。これらの結果、営業収益は4,977,027千円(前連結会計年度比7.6%増)、営業損失は93,118千円(前連結会計年度営業損失261,986千円)となりました。
提出会社の運輸営業成績及び業種別営業成績表を示すと、次のとおりであります。
(提出会社の運輸営業成績表)
(業種別営業成績表)
② 不動産事業
不動産事業におきましては、豊鉄ターミナルビルテナントの賃料収入はレンタルスペース売り上げが堅調に推移しましたが、テナント解約もあり減収となりました。一方で行動制限の緩和により時間貸駐車場の利用が増加、その他賃貸収入の増加も合わせ、全体では増収となりました。
以上の結果、営業収益は469,710千円(前連結会計年度比1.7%増)、営業利益は118,970千円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。
(業種別営業成績表)
レジャー・サービス事業におきましては、会員募集は新幹線や航空機、フェリーなどを活用した長距離で収益率の高い商品の造成をはじめ、宿泊を伴うハイキングコースの設定や海外旅行の復活などにより増収となりました。団体旅行は、逸走顧客の再獲得に努めるとともに、修学旅行の積極的受注により収入確保を図りました。以上により営業収益は1,081,673千円(前年同期比42.0%増)、営業利益は35,961千円(前連結会計年度比176.3%増)となりました。
(業種別営業成績表)
④ 保守・整備・建設事業
保守・整備・建設事業におきましては、建設事業は鉄軌道事業における投資・修繕の増加、自動車整備事業は自動車運送事業の設備投資の増加などにより増収となりました。営業収益は1,146,312千円(前年同期比13.5%増)、営業利益は153,319千円(前年同期比73.9%増)となりました。
(業種別営業成績表)
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ112,505千円減少し、1,749,269千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、998,504千円(前年同期比213,398千円増)となりました。これは主に、補助金収入が減少したものの、助成金収入の受取額が増加したことに加え、税金等調整前当期純利益が増加したことなどによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△728,520千円(前年同期比291,428千円減)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△382,489千円(前年同期比379,542千円減)となりました。これは主に、短期借入金の返済による支出が増加したことなどによるものです。
当社グループの事業は、交通事業のほか不動産事業、レジャー・サービス事業等の広範囲かつ多種多様なサービス事業が主体であり、また受注生産形態をとらない事業がほとんどであるので、セグメントごとに網羅的に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「(経営成績等の状況の概要)」における各セグメント業績に関連付けて記載しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。これらの見積りについては過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性により異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。
①固定資産の減損
当社グループは、交通事業及び不動産事業を中心に多くの固定資産を保有しております。これらの固定資産の回収可能額については、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等の前提条件に基づき算出しており、事業計画や市場環境の変化により前提条件が変更された場合には、損失が発生する可能性があります。
②繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の判断に際し、将来の課税所得やタックスプランニングを合理的に見積もっております。将来課税所得の見積り額やタックスプランニングが変更された場合には、繰延税金資産が増額または減額される可能性があります。
当社グループの当連結会計年度の営業収益は、感染症からの行動制限の解除により収益は回復したものの、引き続き生活様式の変化、少子高齢化の進展などにより、継続して利用は低迷しております。その結果、営業収益は6,511,332千円(前連結会計年度比9.5%増)となり、営業利益は218,807千円(前連結会計年度営業損失40,722千円)となりました。なお、各セグメントの営業収益及び営業損益の分析については、「(経営成績等の状況の概要)」に記載しております。
営業外収益は、前連結会計年度に比して130,806千円減少し、188,487千円となりました。また、営業外費用は、前連結会計年度に比して61千円増加し、12,831千円となりました。これらの結果、経常利益は394,463千円(前連結会計年度比48.4%増)となりました。
特別利益は、前連結会計年度に比し235,588千円増加し、451,160千円となりました。また、特別損失は、前連結会計年度に比し243,021千円増加し、444,844千円となりました。これらの結果、税金等調整前当期純利益は400,779千円(前連結会計年度比43.4%増)となり、税効果の影響を考慮した後の当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は323,210千円(前連結会計年度比52.2%増)となりました。
当連結会計年度末の資産の合計額は16,081,066千円で、前連結会計年度末に比し102,260千円増加しました。これは、主に預け金が132,430千円減少したものの、その他における未収金等が213,605千円増加したことなどによるものであります。
負債の合計額は、10,104,831千円で、前連結会計年度末より234,313千円減少しました。これは主に短期借入金が300,000千円減少したことなどによるものであります。
当連結会計年度末の純資産の合計額は5,976,235千円で前連結会計年度末に比し、336,573千円増加しました。これは主に利益剰余金が326,888千円増加したことなどによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、「(経営成績等の状況の概要)」に記載のとおりであり、営業により獲得した資金は、主として設備投資の支払いに充当しました。この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,749,269千円で、前連結会計年度末に比し112,505千円減少しました。
当社グループでは、交通事業を中心に日々の収入金があることから、流動性資金は十分な水準を確保しているものと考えております。
当社グループの今後の資金需要において、主なものは交通事業に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
当社グループでは、設備投資については、投資効率により選別し、効率的かつ戦略的な投資を行ってまいりますが、営業活動によって得られる資金を基礎に、全事業における収益力強化と事業選別の徹底等により、有利子負債を削減する所存であります。