E04122 Japan GAAP
前期
297.8億 円
前期比
106.9%
当社の企業集団は、当社、子会社15社及び持分法適用関連会社3社で構成されている。主要な事業内容、各関係会社の当該事業における位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりである。なお、セグメントと同一の区分である。
(注) ※1 連結子会社
※2 非連結子会社
※3 持分法適用関連会社
※4 当社が60%、愛媛日野自動車㈱が40%出資している。
5 当社は(A)の会社に対し施設を賃貸している。
6 当社は(B)の会社から施設を賃借している。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
また、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
当連結会計年度のわが国経済は、コロナ禍を乗り越え社会経済活動が正常化し、原材料費等のコスト上昇分の価格転嫁や賃金上昇の動きなどデフレ脱却の兆しがみられた。一方、地政学リスクの高まりを背景として不安定な世界情勢が続いており、依然として先行きは不透明な状況が続いている。
このような情勢のなか、伊予鉄グループでは、交通・観光・まちづくりを柱とした総合企業グループとして持続可能な経営を目指し、深刻な人手不足に対する「人的投資」のほか、カードやアプリ事業を通じた「キャッシュレス化」、鉄道・バスの新型車両導入による「環境施策の推進」、松山市駅前をはじめとした中心市街地活性化などの「まちづくり」といった社会や地域におけるニーズや課題解決に向けた諸施策に積極的に取り組んだ。
この結果、当連結会計年度の経営成績については、営業収益について前連結会計年度に比べ6.9%増の318億4,638万円となり、運輸業等営業費及び売上原価と販売費及び一般管理費を控除した営業利益は、17億9,360万7千円(前年同期比19.3%増)となった。
営業外損益については、営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、1億457万9千円の利益計上となった。
以上の結果、経常利益は18億9,818万7千円(前年同期比20.1%増)となった。
特別損益については、偶発損失引当金繰入額の計上などにより、特別利益から特別損失を差し引いた純額は3億8,555万円の損失計上となった。
以上の結果、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ43.1%増の15億1,263万7千円となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額、非支配株主に帰属する当期純利益を加減した親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ52.6%増の9億4,778万4千円となった。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
鉄軌道事業において、伊予鉄道㈱では、5月、6月に「みきゃんアプリ」ユーザー限定イベントとして、市内電車運転体験を実施した。また土曜夜市や花火大会などの沿線諸行事の開催に合わせて、電車増便や最終時間延長運行を行い増収に努めた。さらに特色あるご当地電車の第4弾・第5弾として「砥部焼電車」「今治タオル電車」を関係企業と連携を行い運行し、愛媛県の魅力発信に寄与した。3月には、市内電車にICOCA等全国交通系ICカードシステムを導入し、利便性の向上とキャッシュレス化の促進に努めた。
自動車事業において、伊予鉄バス㈱では、カーボンニュートラル社会への取り組みにおいて充電設備を新設し、大型EVバスなどを追加導入した。9月には日本のバス120年を記念したイベントを開催し、高速バスの「ガチャ旅きっぷ」の販売を実施した。さらに12月には高松線で好評であった「特急」を高知線にも導入し、本年2月には、「四国ハイウェイバスフリーパス」のWEBチケットの販売を開始し、回復の遅れている高速バス顧客の利便性向上を図った。また3月には、西日本旅客鉄道株式会社が発行するICカード「ICOCA」をリムジンバスに導入した。さらに、子供達に公共交通への関心を高めてもらう目的で、年末年始期間に対象路線バスに無料で乗車できる企画を実施するなど、精力的に営業活動を行った。
伊予鉄南予バス㈱では、営業エリアにおいて県内でも特に著しく人口減少、少子高齢化が進行しており、大変厳しい経営環境にある。今後も人口減少や少子高齢化の課題へ対応するため地元自治体等と協議し、需要実態にあった路線再編や補助金の増額による一般路線バスの収支改善を目指すとともに、貸切バスの営業強化にも努めていく。
以上の結果、鉄軌道事業営業収益は前年度に比べ10.2%増の35億7,457万9千円となり、自動車事業営業収益は前年度に比べ14.0%増の39億3,738万2千円となった。
乗用自動車事業において、伊予鉄タクシー㈱では、道後温泉旅館協同組合と観光庁の補助「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」に採択され、7月より運行を開始した。またデジタル化推進のためタクシーアプリ「GO」をタクシー車両全車対応とし集客力アップに努めた。
以上の結果、乗用自動車事業営業収益は前年度に比べ14.8%増の2億9,770万4千円となった。
この結果、交通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ13.6%増の72億8,919万4千円(消去後)となった。
(営業成績)
(鉄軌道事業の運輸成績)
(自動車事業の運輸成績)
(乗用自動車事業の運輸成績)
百貨店業において、㈱伊予鉄髙島屋では、「百貨店営業力強化」と「構造改革」を両軸とした重点課題を掲げ、強固な経営基盤の確立と企業価値の向上を目指し事業推進を行った。「百貨店営業力強化」においては、アフターコロナの消費需要を着実に捉え、顧客ニーズに即応した品揃えの充実や物産催事の強化を行った。「構造改革」においては、諸経費の上昇が続き、より効率的な店舗運営が求められる中で、新居浜支店を移転・縮小し店舗維持費用の削減を図った。またスムーズな組織運営と効率化を目指しDXを通した業務改革を推進し、RPAの本格導入など業務のデジタル化を進めた。
以上の結果、百貨店業営業収益は前年度に比べ0.2%減の109億7,933万7千円となった。
自動車販売修理業において、愛媛日野自動車㈱では、半導体不足による供給問題も改善の方向に進み、トラック市場は昨年を上回り回復方向に推移したが、現在も主力車型の生産停止による影響の解消には至っておらず、今後の販売活動にも影響を受けるものと想定される。伊予鉄オート㈱では、半導体をはじめ各種部品の供給不足は改善が進んでいるものの、世界的なEVをはじめとする電動車シフトの対応もあり厳しい状況は続いている。
以上の結果、自動車販売修理業営業収益は前年度に比べ35.3%増の61億9,214万4千円となった。
この結果、流通部門の営業収益は前連結会計年度に比べ10.8%増の165億9,677万9千円(消去後)となった。
(営業成績)
不動産賃貸業において、当社では、社有地の有効活用や賃貸マンション・月極駐車場等の営業を強化し、安定した賃貸収入確保に努めた。
この結果、不動産部門の営業収益は前連結会計年度に比べ25.1%減の12億2,185万8千円(消去後)となった。
(営業成績)
物品販売業において、㈱伊予鉄会館では、コロナ禍の反動需要や行政の旅行支援による観光客の増加があり、松山空港やサービスエリアの土産物販売等が好調に推移した。
以上の結果、物品販売業営業収益は前年度に比べ20.6%増の30億2,488万7千円となった。
旅行業において、㈱伊予鉄トラベルでは、コロナ禍で中止となっていた大口団体や行政視察が再開したことに加え、順拝旅行の弘法大師誕生1250年記念法要やうるう年逆打ち遍路なども重なり好調に推移した。
以上の結果、旅行業営業収益は前年度に比べ61.5%増の5億1,290万9千円となった。
デジタル事業・広告事業において、伊予鉄総合企画㈱では、人材ビジネス事業が回復基調にあり、広告事業も企業収益の改善により広告活動が再開したことから積極的な営業に努めた。
以上の結果、デジタル事業・広告事業営業収益は前年度に比べ21.8%減の28億5,971万3千円となった。
前払式特定取引業において、㈱いよてつ友の会では、収入拡大のため「お買物キャンペーン」及び「新規入会キャンペーン」を積極的に展開した。
以上の結果、前払式特定取引業営業収益は前年度に比べ0.9%増の2億4,435万7千円となった。
スポーツ業において、伊予鉄不動産㈱では、市街地を中心とした空きテナントへ積極的に誘致を行った。またスポーツセンター、ボウリングセンターともに新型コロナウイルスによる行動制限の緩和の影響もあり、利用客数が増加した。
以上の結果、スポーツ業営業収益は前年度に比べ6.5%増の6億2,637万4千円となった。
クレジットカード事業において、㈱いよてつカードサービスでは、大手カード会社との競争激化に加え、セキュリティ対策強化への対応もあり厳しい環境下にある。そのような中でも、クレジットカード利用促進や損害保険代理店の営業強化を実施し、収益力の向上と経営の健全化に努めた。
以上の結果、クレジットカード事業営業収益は前年度に比べ3.8%減の3億8,220万9千円となった。
デジタルコンサルティング事業において、㈱デジタルテクノロジー四国では、医療機関や自治体を中心にRPA事務代行サービスの販路拡大に努めたほか、みきゃんアプリ事業においては、クレジットカードでのチャージなど新機能の拡充や県下の飲食・物販などの加盟店拡大により利便性を高め、新規ユーザー獲得や利用額増加に取り組んだ。
以上の結果、デジタルコンサルティング事業の営業収益は1億4,078万8千円となった。
この結果、その他部門の営業収益は前連結会計年度に比べ0.2%減の67億3,854万8千円(消去後)となった。
(営業成績)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりである。
当社グループの流通部門を除く運輸部門他は、サービス業が多い。そのため生産、受注については、金額あるいは数量で示すことにしていないが、販売の状況については、各セグメントごとの業績に関連付けて示している。
当連結会計年度末の財政状態は、総資産について前連結会計年度末に比べ9.7%増の691億7,732万3千円となった。
流動資産は、商品及び製品の増加により、前連結会計年度末に比べ1.9%増の208億5,781万5千円となった。
固定資産は、投資有価証券の増加により、前連結会計年度末に比べ13.5%増の483億1,950万8千円となった。
当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ12.2%増の247億4,563万9千円となった。
流動負債は、短期借入金の増加により、前連結会計年度末に比べ15.6%増の180億2,877万6千円となった。
固定負債は、繰延税金負債の増加により、前連結会計年度末に比べ4.1%増の67億1,686万3千円となった。
当連結会計年度末の純資産は、その他有価証券評価差額金の増加により、前連結会計年度末に比べ8.4%増の444億3,168万3千円となった。
今後も、当社グループは、経営環境の変化に対応した効果的な事業運営を進め、利用客の利便性の向上や収益性の増加を目的とした効率的な設備投資を継続的に行い、財務基盤の強化に努めて行く考えである。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、111億2,016万9千円(対前連結会計年度末9億4,560万7千円減少)となった。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりである。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は33億9,902万9千円(対前連結会計年度3億7,176万9千円減少)となった。これは主に売上債権と棚卸資産の減少によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は54億6,928万3千円(対前連結会計年度32億8,448万2千円増加)となった。これは主に投資有価証券の取得によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は8億2,994万円(前連結会計年度は、14億789万8千円の支出)となった。これは主に短期借入金の借入によるものである。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、安全輸送の完遂を最優先課題とし、バス車両等の設備投資を自己資金及び借入金にて継続的に実施していく予定である。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いているが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性がある。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。