一畑電気鉄道株式会社

陸運業鉄道

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利益

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最終更新:

E04124 Japan GAAP

売上高

136.5億 円

前期

117.6億 円

前期比

116.1%


3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、子会社15社及び関連会社1社により構成されており、主要な事業内容は、次のとおりであります。

 なお、次の5つの事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

(1)運輸業

事業の内容

会社名

鉄道事業

一畑電車㈱※1

旅客自動車運送事業

一畑バス㈱※1、松江一畑交通㈱※1、出雲一畑交通㈱※1、隠岐一畑交通㈱※1

 

(2)サービス業

事業の内容

会社名

航空代理業

㈱一畑トラベルサービス※1

旅行業

㈱一畑トラベルサービス※1

ホテル業

㈱ホテル一畑※1

自動車教習業

㈱平田自動車教習所※1

観光施設管理運営業

㈱一畑パーク※1

 

(3)卸・小売業

事業の内容

会社名

百貨店業

㈱一畑百貨店※1、㈱一畑友の会※1

土産品販売・飲食業

㈱いずも※1

自動車販売・整備業

㈱カーテックス一畑※1

 

(4)建設業

事業の内容

会社名

建設業

一畑工業㈱※1、一畑住設㈱※1

 

(5)その他事業

事業の内容

会社名

不動産業

当社

その他

当社、出雲空港ターミナルビル㈱※2

 (注)1.※1は連結子会社であります。

2.※2は持分法適用関連会社であります。

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大への警戒が続く中、ワクチン接種の進展に伴う行動制限の緩和や各種政策の効果等により、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢等の影響によるエネルギーコストや原材料価格の高騰による物価上昇の家計への影響、急激な金利上昇や円安進行により、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような環境の下、当社グループにおいては、2020年度に策定した5ヵ年の経営再建計画である「構造改革計画」の3年目となり、当社グループが保有する公共交通、ホテル、百貨店等この地域の社会インフラを最大限に活かし、トップラインの回復に努め、経営再建に注力して参りました。2022年10月から開始された政府の旅行支援政策は、「観光」に事業の軸足を置く当社グループの主力事業である「運輸業」、「サービス業」への大きな追い風となりました。また一方では、不採算部門の処理、事業体制の見直しを行い、2022年7月「一畑百貨店ゆめタウン出雲店」の閉店、2023年2月には㈱一畑百貨店の観光事業を会社分割により、㈱いずもへ承継しました。

 当連結会計年度末の財政状態は、総資産について前連結会計年度末に比べ5.3%減の30,965,100千円となりました。流動資産は、その他に含まれる未収消費税等が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ7.2%減の6,530,164千円となりました固定資産は、事業用固定資産の売却及び減損損失を計上したことにより、前連結会計年度末に比べ4.8%減の24,434,936千円となりました。

 当連結会計年度末の負債の合計は、前連結会計年度末に比べ3.4%減の32,932,416千円となりました。流動負債は、短期借入金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ6.8%減の9,836,697千円となりました。固定負債は、リース債務が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ1.9%減の23,095,719千円となりました。

 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が減少したことにより、前連結会計年度末に比べ42.9%減の△1,967,315千円となりました。

 今後も、当社グループ内での効率的な資金運用や遊休不動産の売却、事業収益による財務体質の改善に取り組んで参ります。

 当連結会計年度の経営成績は、営業収益は前期に比べ16.1%増の13,652,357千円となり、営業損失は934,258千円(前年同期は1,950,232千円の営業損失)、経常損失は1,121,900千円(前年同期は1,849,057千円の経常損失)となりました。運輸業補助金等の特別利益と固定資産の減損処理等の特別損失を計上した結果、法人税等を控除した親会社株主に帰属する当期純損失は639,919千円(前年同期は940,463千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

イ.運輸業

 運輸業の各事業の利用者数は、行動制限の緩和により観光客を含めた人流は回復しましたが、7月に入り新型コロナウイルス感染症のBA5の感染拡大によりブレーキが掛かる状況となりました。下期に入り、政府の旅行支援政策により観光客を中心に利用者数は再び増加に転じました。また営業費面では、エネルギー単価の高騰により電力費並びに軽油単価が上昇し、利益を圧迫する一因となりました。

 鉄道事業では、年間の旅客数は、下期からの観光客の回復により前期比114.8%の126万2,226人となり、コロナ前の9割弱の水準まで回復しました。

 乗合旅客自動車運送事業は、一般路線バスにおいて観光客の入り込み増加から利用者が大幅に増加し増収となりました。高速路線バスは、コロナ禍前のダイヤに復便は出来ていませんが、行動制限緩和を受け、観光客を中心に県を跨いだ往来が活発となり、各路線ともに利用者が増加し増収となりました。空港連絡バスにおいても、下期以降、飛行機の搭乗客増加により増収となりました。

 貸切旅客自動車運送事業においては、企業の従業員送迎バスが減便となりましたが、修学旅行の需要やFDAのツアー客の回復により増収となりました。

 乗用旅客自動車運送事業においては、朝の送迎利用は堅調に推移するも、夜間の飲食店利用者が想定したほど回復せず、若干の増収に留まりました。運輸業の各事業の利用者数は、前期比では増加したものの、コロナ前の水準との比較では大きな乖離があり、営業収益も前期に引き続き厳しい状況となりましたまた営業費面では、軽油単価が上昇し、利益を圧迫する一因となりました

 

 以上の結果、運輸業の営業収益は前期に比べて+28.3%、579,379千円増の2,626,740千円となりました。

 

(運輸業営業成績)

業種

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

鉄道事業

410,169

28.3

乗合旅客自動車運送事業

1,090,727

43.3

貸切旅客自動車運送事業

558,148

27.9

乗用旅客自動車運送事業

610,900

7.5

消去

△43,206

14.0

2,626,740

28.3

 

ロ.サービス業

 サービス業は、行動制限の緩和や旅行支援による観光客増加を要因に営業収益は大幅に回復しました。

 旅行業は、上期は県外への旅行の抑制やツアー中止が続きましたが、地元山陰を巡るマイカープランが好調に推移するなど消費者の旅行に対する期待の手応えを感じ、下期の全国旅行支援の開始により、企画ツアーが早期に完売するなど全国の旅行熱は一気に高まりを見せ大幅な増収となりました。また、WeLove山陰等の事務局の委託業務も増収に寄与しました。

 航空代理業は、当初はコロナ禍による需要減により減便や機材小型化が実施されましたが、6月以降はJAL便、FDA便ともに計画通りの運航に戻りました。下期は旅行需要が急速に回復したことで神在月期間を中心に東京便の機材大型化や臨時増便の運行が実施されたことから増収となりました。

 ホテル業である「ホテル一畑」は、新型コロナウイルス感染症拡大の真っ只中である2021年5月に新館をオープンし2年目を迎えました。観光客の回復に伴い客室稼働率は高く推移し増収となりましたが、宴会需要の回復は鈍く、コロナ禍の影響を残すこととなりました。

 自動車教習業では、普通車科の入所者数は前期並みでしたが、特殊車科の二輪への入所者数が増加したことにより、若干の増収となりました。

 観光施設管理運営事業である「松江フォーゲルパーク」の受託事業は、コロナ禍により県内の小中学校の修学旅行が、県外への旅行が取り止めとなり県内で実施されたことから入園者数が増加しました。また、年度後半の旅行需要の回復もあり、入園者数は前期比131.6%と増加し大幅な増収となりました。

 

 以上の結果、サービス業の営業収益は前期に比べて+52.5%、1,014,499千円増の2,946,410千円となりました。

 

(サービス業営業成績)

業種

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

航空代理業

437,923

14.8

旅行業

335,060

123.4

ホテル業

1,477,175

78.3

自動車教習業

226,205

5.9

観光施設運営管理業

502,439

27.9

消去

△32,393

△5.9

2,946,410

52.5

 

ハ.卸・小売業

 百貨店業は、集客力の高い「食の催事」の開催期間を延ばすなど賑わいのある売り場演出に努めるとともに、新たなテナント誘致先の探求に注力して参りました。しかしながら、全国の地方百貨店の抱える厳しい経営環境、一昨年の衣料品メーカーの主力ブランドの撤退による売上減少をカバー出来ず、また不採算店の「ゆめタウン出雲店」を2022年7月に閉店したこともあり減収となりました。

 土産品販売・飲食業は、旅行者を主な対象としているため上半期は厳しい状況でしたが、観光客の増加とともに客足は戻り、コロナ前の水準にはまだ届かないものの増収となりました。

 自動車販売・整備業では、整備士不足が深刻化し、2022年4月末に松江店を閉店し、重要な経営資源である整備士を本社に集約することで、強みである大型車両・特殊建機の整備部門の強化を図りました。この結果、整備拠点は減少しましたが増収となり、最終利益面も黒字に転じることが出来ました。

 

 以上の結果、卸・小売業の営業収益は前期に比べて+5.7%、221,668千円増の4,093,808千円となりました。

 

(卸・小売業営業成績)

業種

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

百貨店業

4,396,727

△7.4

土産品販売・飲食業

987,716

88.7

自動車販売・整備業

657,941

4.6

消去

△1,948,577

△4.0

4,093,808

5.7

 

ニ.建設業

 当社グループの収益を牽引する建設業ですが、新規受注に苦戦を強いられる1年となりました。

 建築工事は、大型の繰越工事が無く、また計画していた工事の失注もあり大幅な減収となりました。土木工事では、大型の公共工事が受注出来たこと、現場管理者を効率的に配置出来たことから増収となりました。鉄道工事部門は、見込んでいた受注を人員不足により確保出来なかったことから減収となりました。

 設備工事では、新規受注の苦戦、商材・資材の高騰による工事の延期や変更が影響し減収となりました。

 

 以上の結果、建設業の営業収益は、前期に比べて+0.9%、28,807千円増の3,119,458千円となりました。

 

(建設業営業成績)

業種

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

建設業

3,739,196

△16.2

消去

△619,738

△54.8

3,119,458

0.9

 

ホ.その他事業

 不動産業は、自社所有物件の入居率のアップに努めたこと、仲介手数料が増加したことから増収となりました。

 広告代理業は、新型コロナウイルス感染症の影響により中止・縮小していたイベントが徐々に回復してきましたが、前期並みの売上に留まりました。

 保険代理業は、生保・損保ともに満期更新の確実な更新と大口の火災保険の成約により増収となりました。

 自動車リース業は、新規法人契約とリースバック契約の獲得に苦戦したことから若干の増収となりました。

 指定管理業務である古代出雲歴史博物館については、出雲大社への観光客の増加に伴い入館者数は回復してきました。

 有料老人ホーム「ホームいちばた」並びに同ホーム併設の訪問介護事業所「ヘルパーステーションいちばた」を運営する介護事業部門は、入居者数は確実に増加していますが、当初計画した介護保険料収入が確保出来ず、引続き厳しい状況となりました。

 企業主導型保育園「キッズいちばた」は、入園者数は順調に推移し、子育てするグループ社員の働きやすい環境を整え、雇用の安定を図るともに、地域枠としてグループ社員以外のお子様も受入れており、地域との繋がりも図っています。

 

 以上の結果、その他事業の営業収益は、前期に比べて+6.2%、50,873千円増の865,939千円となりました。

 

(その他事業営業成績)

業種

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業収益(千円)

前年同期比(%)

不動産業

1,238,215

10.7

その他

911,162

15.4

消去

△1,283,439

17.4

865,939

6.2

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ472,976千円増加し、当連結会計年度末には3,704,774千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は2,114,563千円(前年同期は1,329,997千円の使用)となりました。主な要因は、仕入債務の増減額が746,224千円増加したこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は195,158千円(前年同期比91.4%減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出が2,547,094千円減少したこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,446,429千円(前年同期は3,974,918千円の獲得)となりました。主な要因は、短期借入れによる収入が4,867,000千円減少したこと等によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

 当社グループ(当社及び連結子会社、以下同じ。)の販売品目は受注生産形態をとらないものが多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 このため生産、受注及び販売の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.当社グループの当連結会計年度の経営成績等について

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、需要に一定の回復がみられたこと等により、営業収益は前連結会計年度と比較して1,895,229千円増加し、13,652,357千円となりました。営業費は前連結会計年度と比較して879,254千円増加し、14,586,615千円となりました。営業損失は前連結会計年度と比較して1,015,974千円改善し、934,258千円となりました。経常損失は、前連結会計年度と比較して727,157千円改善し、1,121,900千円となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、前連結会計年度と比較して300,543千円改善し、639,919千円となりました。

 

ロ.当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループは、地域に根ざした企業であり、当地域の観光動向や経済状況の変化等に大きく左右される特性をもっていることから、その動向等を的確に捉えることが重要であると考えております。また、運輸、観光、卸・小売業に資源を集中し、安定的な収益の確保を図るとともに、グループ経営資源を有効活用できる新規事業を模索し、積極的に新しい分野へ進出しグループの活性化を図ることとしております。

 

ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための指標等について

 当社グループは、創立120周年を迎える2032年までを長期経営戦略期間とし、長期ビジョンの達成に向け当社グループが総合力を発揮して取り組んでおります。また、この地域のインフラを維持していくため、「構造改革計画」に基づき、経営再建に取り組んでおります。具体的には、グループ事業施設の整備として、ホテル一畑の新館を建設し、2021年5月にリニューアルオープンいたしました。今後も、同計画の着実な進捗により、経営再建に注力して参ります。

 

ニ.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について

 運輸業及びサービス業は、行動制限の緩和や政府の旅行支援政策により、観光客を中心に利用者数が増加したこと等により、増収増益となりました。卸・小売業及びその他事業は、需要に一定の回復がみられましたが、商業施設の一部で収益性の低下から減損損失を計上したこと等により、増収減益となりました。建設業は、新規受注の苦戦や建設資材高騰の影響等により増収減益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

ロ.資本の財源及び資金の流動性について

 当社グループは、運輸業、ホテル業、百貨店業等の大規模な設備を運用し収益を得ており、これらの設備の修繕や更新等、計画的・継続的な設備投資を行う必要があります。これらの資金の大部分は金融機関による借入によって調達していますが、このほか、当社グループ内での資金流用により効率的な運用を行うことで賄っております。今後もグループ内での効率的な資金運用や遊休不動産の売却、事業収益による財務体質の改善に取り組んで参ります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。