富山地方鉄道株式会社

陸運業鉄道

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E04128 Japan GAAP

売上高

91.1億 円

前期

73.5億 円

前期比

123.9%


3【事業の内容】

 当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)は、当社(富山地方鉄道株式会社)、子会社7社及び持分法適用会社2社により構成され、運輸、不動産、建設、保険代理、航空輸送事業代理、ホテル、自動車整備、その他の8部門にわたって事業活動を展開しております。

 当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。

 なお、次の8事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1)運輸事業(6社)

事業の内容

会社名

鉄道事業

当社

軌道事業

当社

自動車事業

当社、加越能バス㈱①、富山地鉄タクシー㈱①、立山黒部貫光㈱②(E)

 

(2)不動産事業(4社)

事業の内容

会社名

不動産分譲業

当社

不動産賃貸業

当社、富山地鉄建設㈱①(A)、加越能バス㈱①

 

(3)建設事業(1社)

事業の内容

会社名

建設業

富山地鉄建設㈱①(A)

 

(4)保険代理事業(2社)

事業の内容

会社名

保険代理業

加越能バス㈱①、富山地鉄サービス㈱①(D)

 

(5)航空輸送事業代理業(2社)

事業の内容

会社名

航空輸送事業代理業

当社、富山地鉄サービス㈱①(D)

 

(6)ホテル業(3社)

事業の内容

会社名

ホテル業

富山地鉄ホテル㈱①(C)、黒部観光開発㈱①、立山貫光ターミナル㈱②

 

(7)自動車整備業(2社)

事業の内容

会社名

自動車整備業

加越能バス㈱①、富山地鉄自動車整備㈱①(B)

 

 

(8)その他事業(3社)

事業の内容

会社名

娯楽・スポーツ業

当社、加越能バス㈱①

広告代理業・物品販売業・旅行代理店業

富山地鉄サービス㈱①(D)

 (注)1.①は、連結子会社

②は、持分法適用関連会社

2.上記部門の会社数には、当社及び加越能バス㈱、富山地鉄サービス㈱、富山地鉄建設㈱が重複しておりま

す。

3.当社は、(A)の会社に施設の建設・補修を委託しております。

当社は、(B)の会社に車両修繕を委託しております。

当社は、(C)の会社に施設の賃貸を行っております。

当社は、(D)の会社に航空業務、電車・バス車内外広告を委託しております。

当社は、(E)の会社に車両の貸付を行っております。

 

(事業系統図)

関係会社等の範囲を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。

※画像省略しています。

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、前年に続いて感染の波が断続的に押し寄せた新型コロナウイルスに翻弄され、年度の終盤にはウィズコロナに向けた行動規制の緩和や、各種イベントの復活など経済の低迷から若干の回復傾向の兆しが見られましたが、効果は未だ僅少であり、総体的には感染力の強いオミクロン株の流行を背景に経済社会活動が制限され、個人消費の低迷を招き景気停滞が長期化する大変厳しいものとなりました。

 地方の中小私鉄・バス業界におきましても、新型コロナウイルス感染拡大に伴う人流の抑制、在宅勤務の定着化、観光控え、インバウンド需要未回復などにより、前年度同様の厳しい事業環境が続きました。そして、1年を超えるロシアによるウクライナへの軍事侵略の影響で、原油、石炭等の資源価格の高騰や歴史的な円安によって、物価の上昇が著しい状況となりました。

 このような情勢のもと、当社では、高騰する動力費、経費の削減に努め、鉄道線においては、夏季ダイヤと冬季ダイヤを統一し、始発列車の繰り下げ及び最終列車の繰り上げを実施しました。高速バスにおいては、運休や減便を継続しつつ、東京線の1往復、大阪線の1往復、名古屋線の2往復を復便し、貸切バスにおいては、募集ツアーや学校行事はやや持ち直したものの、企業の団体ツアーは依然低調であったことから、最大24両の車両休車を実施しました。

 付帯事業におきましては、不動産事業の地鉄ビルや電鉄富山駅ビル「エスタ」では、コロナ期に退店した空きテナントをほぼ充足させることができ、ボウリング事業では、ゲーム料金の値上げを実施する一方、開場50周年記念イベントなどで集客を図り、個人利用の増加に繋げました。しかしながら、娯楽・スポーツ業の「スポーツドーム・エアーズ」は収支改善が見込めないことから、2022年9月30日をもって営業を終了しました。

 更に、保有する有価証券や遊休地の売却を進めるとともに、部門ごとの収支管理の徹底や、残業の抑制などによる経費削減、そして燃料価格高騰対策支援事業費補助金など国や富山県並びに沿線自治体の補助金を最大限に活用しながら、公共交通機関として、地域住民の生活路線の確保に全力をあげて取り組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は営業収益9,105,288千円(前年同期比23.9%増)、営業損失515,171千円(前年同期は営業損失1,958,935千円)、経常損失457,520千円(前年同期は経常損失1,544,206千円)、親会社株主に帰属する当期純利益475,333千円(前年同期比65.1%減)となりました。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

 a. 運輸事業

 鉄道事業では、他社における電車内での傷害事件を受け、お客様の安全確保のために、富山県警察と合同で不審者対応訓練を実施しました。

 また、アルペンルートの観光シーズンには、富山県の支援を活用して電鉄富山駅から立山駅間の臨時増発列車を毎日1往復運行し、国の補助制度を活用して宇奈月温泉駅から立山駅間の臨時直通列車の土日祝日運行を実施しました。また、「立山黒部ジオパーク写真ギャラリー号」や宇奈月温泉開湯100周年を記念した「記念ギャラリー号」と「記念ラッピング電車」も運行し、沿線観光地への誘客PRに努めました。

 富山駅付近連続立体交差事業における本線の高架化工事においては、敷設した仮上り線と仮下り線の使用を開始しました。

 乗合バス事業では、地域住民の生活を支える公共交通機関として、運行確保とダイヤの維持に努めるとともに、流杉病院線の一部及び萩の島循環線を赤十字病院まで延伸したほか、牛岳温泉健康センター線の系統を廃止するなど、お客様のニーズと利用状況に即した運行経路と生活路線の活性化に努めました。また、2階建てオープントップバス「スカイバス」を使用した運行では、富山市内周遊コースなどに加えて「夏のアルペンルートコース」を設定し、宇奈月温泉~立山室堂線(アルペンライナー)では、富山県の支援により平日運行を追加し、期間中の毎日運行で県内観光の需要回復に努めたほか、富山空港直行バスにはクレジット非接触決済システムを導入し、インバウンドを含む空港利用者の利便性向上に努めました。

 高速バス事業では、新潟線で上市スマートICにバス停留所を新設し、新たな利用の掘り起こしに努めました。

 MaaS(マース)アプリ「my route(マイルート)」につきましては、利用範囲が県内全域に拡大され、県内の交通事業者と連携したデジタル乗車券「とやま1日乗り放題きっぷ」を販売したほか、「宇奈月満喫きっぷ」など沿線の店舗と連携したデジタル乗車券を販売し、県内でのMaaSアプリの普及に努めました。

 その他、夏休み期間中に沿線市町村と共同で小学生を対象に電車・バス運賃を無料とする「親子でおでかけ事業」を実施し、公共交通利用の啓発と沿線の魅力発見に繋げました。

 以上の結果、当連結会計年度の営業収益は5,519,547千円(前年同期比20.4%増)となりました。

 

  (提出会社の運輸成績表)

(イ)鉄道事業

項目

単位

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

営業日数

365

0.0

営業粁

93.2

0.0

客車走行粁

千粁

3,959

△5.8

乗車人員

千人

4,941

2.6

定期

3,501

△2.4

定期外

1,440

17.5

旅客収入

千円

1,138,772

11.7

定期

554,436

△1.8

定期外

584,193

28.4

手小荷物収入

141

13.2

運輸雑収

138,193

3.7

収入合計

1,276,965

10.7

乗車効率

11.07

9.5

1日平均収入

千円

3,498

10.7

1日1粁平均収入

37.53

10.7

 (注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。

 

 

(ロ)軌道事業

項目

単位

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

営業日数

365

0.0

営業粁

15.2

0.0

客車走行粁

千粁

1,193

0.0

乗車人員

千人

7,043

13.0

定期

3,861

6.4

定期外

3,182

22.3

旅客収入

千円

842,029

15.3

定期

318,808

5.1

定期外

523,221

22.5

運輸雑収

134,484

△16.1

収入合計

976,514

9.6

乗車効率

20.48

12.1

1日平均収入

千円

2,675

9.6

1日1粁平均収入

176.01

9.6

 (注)乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によるものです。

(ハ)自動車事業

乗合自動車

項目

単位

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

営業日数

365

0.0

営業粁

2,228.0

0.0

車両走行粁

千粁

8,203

5.6

乗車人員

千人

5,268

4.9

定期

2,536

△1.7

定期外

2,732

11.9

旅客収入

千円

1,583,882

21.2

定期

434,144

△0.3

定期外

1,149,738

32.0

運輸雑収

349,008

0.6

収入合計

1,932,891

16.8

乗車効率

13.55

16.1

1日平均収入

千円

5,295

16.8

走行1粁当たり収入

235.61

10.6

 (注) 乗車効率の算出は延人粁/(車両走行粁×1車平均定員)によるものです。

貸切自動車

項目

単位

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

営業日数

365

0.0

車両走行粁

千粁

916

89.9

乗車人員

千人

161

54.6

旅客収入

千円

437,812

61.3

運輸雑収

67,355

141.9

収入合計

505,167

68.7

1日平均収入

1,384

68.7

走行1粁当たり収入

551.23

△11.1

 

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

鉄道事業(千円)

1,276,965

10.7

軌道事業(千円)

976,514

9.6

自動車事業(千円)

3,266,378

28.5

調整額(千円)

△310

報告セグメント計(千円)

5,519,547

20.4

 

 b. 不動産事業

 不動産事業においては、分譲土地を4件売却できたことから、当連結会計年度の営業収益は700,589千円と前連結会計年度に比べ170,348千円(前年同期比32.1%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

不動産分譲業(千円)

209,950

427.3

不動産賃貸業(千円)

490,639

0.0

報告セグメント計(千円)

700,589

32.1

 

 c. 建設事業

 建設事業においては、大型工事2件の完成により、当連結会計年度の営業収益は1,494,660千円と前連結会計年度の営業収益に比べ423,191千円(前年同期比39.4%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

建設業(千円)

1,494,660

39.4

報告セグメント計(千円)

1,494,660

39.4

 

 d. 保険代理事業

 保険代理事業においては、免許返納による自動車保険の解約やインターネット販売の格安保険商品による他保険会社への乗り換え等により個人契約が減少し、当連結会計年度の営業収益は366,392千円と前連結会計年度の営業収益に比べ11,878千円(前年同期比3.1%減)の減収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

保険代理業(千円)

366,392

△3.1

報告セグメント計(千円)

366,392

△3.1

 

 

 e. 航空輸送事業代理業

 航空輸送事業代理業においては、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響で国際線の就航がない中で、国内線が復便されたことから、当連結会計年度の営業収益は221,868千円と前連結会計年度の営業収益に比べ32,438千円(前年同期比17.1%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

航空輸送事業代理業(千円)

221,868

17.1

報告セグメント計(千円)

221,868

17.1

 

 f. ホテル業

 ホテル業においては、行動制限の緩和や全国旅行支援等の観光需要喚起策により、客室稼働率が増加し、当連結会計年度の営業収益は443,935千円と前連結会計年度の営業収益に比べ93,327千円(前年同期比26.6%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

ホテル業(千円)

443,935

26.6

報告セグメント計(千円)

443,935

26.6

 

 g. 自動車整備業

 自動車整備業においては、当社グループ内での会社合併により取引が減少したことから、当連結会計年度の営業収益は454,936千円と前連結会計年度の営業収益に比べ82,561千円(前年同期比15.3%減)の減収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

自動車整備業(千円)

454,936

△15.3

報告セグメント計(千円)

454,936

△15.3

 

 

 h. その他

 その他においては、娯楽・スポーツ業ではスポーツドーム・エアーズが2022年9月30日に営業を終了した結果、減収となりました。広告代理業ではラッピング広告の受注が堅調に推移するも、昨年度に比べ大型事業の受注が減少したことから減収となりました。その他事業に含まれる物品販売業においては、昨年度は休業や営業時間の短縮を行っておりましたが、本年は通常営業を行ったことから利用客が増加し、旅行代理店業においては行動制限の緩和や全国旅行支援により個人旅行の受注が増加し、当連結会計年度の営業収益は721,440千円と前連結会計年度の営業収益に比べ112,138千円(前年同期比18.4%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

業種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

娯楽・スポーツ業(千円)

265,283

△13.9

広告代理業(千円)

175,802

△6.5

その他事業(千円)

280,355

148.8

その他計(千円)

721,440

18.4

 

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ891,134千円減少し、当連結会計年度末に4,332,867千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は879,466千円(前連結会計年度は811,159千円)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が664,066千円(前連結会計年度は1,667,206千円)、新型コロナウイルス感染症に係る助成金の受取額が244,237千円(前連結会計年度は505,874千円)、雇用調整助成金の受取額が230,015千円(前連結会計年度は1,336,037千円)、契約資産の減少額が287,520千円(前連結会計年度は313,145千円の増加額)、減価償却費が679,454千円(前連結会計年度は855,337千円)であった一方で、売上債権の増加額が616,260千円(前連結会計年度は95,742千円の減少額)、法人税等の支払額354,440千円(前連結会計年度は7,393千円)等によるものであります。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は602,027千円(前連結会計年度は2,265,751千円の獲得)となりました。これは主に工事負担金等受入による収入が1,531,749千円と前連結会計年度に比べ313,249千円減少したことや投資有価証券の売却による収入が62,745千円と前連結会計年度に比べ295,457千円減少したこと、有形固定資産の取得による支出が2,174,409千円と前連結会計年度に比べ620,794千円増加したこと等によるものであります。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,168,573千円(前連結会計年度は1,927,481千円の使用)となりました。これは主に借入金の純減額が989,857千円(前連結会計年度は1,602,417千円の純減額)であったことやリース債務の返済による支出が155,282千円(前連結会計年度は301,632千円の支出)等が主な要因であります。

 

③生産・受注及び販売の状況

 当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売の状況については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績の分析

 当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、各事業部門において新型コロナウイルス感染症にかかる行動制限が緩和された一方で、感染の波が断続的に押し寄せたことにより経済活動の活発化は抑えられ極めて厳しい状況となった結果、営業収益は9,105,288千円(前年同期は7,348,085千円)となりました。一方、営業費は軽油、電力等のエネルギー価格の急上昇により動力費が増加する中、設備投資の縮小や徹底的なコスト削減に努めましたが、9,620,460千円(前年同期は9,307,021千円)と前連結会計年度より増加した結果、515,171千円の営業損失(前年同期は1,958,935千円の営業損失)となり、雇用調整助成金230,015千円を含む営業外収益332,914千円と持分法による投資損失125,748千円を含む営業外費用275,263千円を加減した経常損失は457,520千円(前年同期は1,544,206千円の経常損失)となりました。これに工事負担金等受入額3,934,562千円、補助金882,799千円と、新型コロナウイルス感染症に係る助成金216,039千円を含む特別利益5,055,195千円と固定資産圧縮損3,845,514千円を含む特別損失3,933,607千円を加減した結果、664,066千円の税金等調整前当期純利益となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する当期純利益を減じた475,333千円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期は1,365,755千円の親会社株主に帰属する当期純利益)となりました。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症の「基本的対処方針」が廃止となり、あらゆる行動制限が緩和され、インバウンド需要の回復に期待が持てる一方、長期化するウクライナ情勢や記録的な円安などの影響による全般的な物価高騰により、仕入価格、物流コストの上昇等が企業収益や個人消費を圧迫することとなり、景気動向の先行きは不透明な状況が続き、依然として事業環境は厳しいと予測しております。

 

 

財政状態の分析

(流動資産)

 当連結会計年度における流動資産の残高は8,524,433千円となり、前連結会計年度末に比べ1,045,376千円増加しました。この主な要因は工事負担金等受入額や補助金等による未収金が増加したことであります。

(固定資産)

 当連結会計年度における固定資産の残高は14,201,228千円となり、前連結会計年度末に比べ1,161,737千円減少しました。この主な要因は富山駅付近連続立体交差事業における本線の高架化工事において、仮線の竣工による建設仮勘定からの振替えと、それに伴う圧縮記帳の実施によるものであります。

(負債)

 当連結会計年度における負債の残高は14,190,714千円となり、前連結会計年度末に比べ736,361千円減少しました。この主な要因は新規借入金を抑制し借入金の圧縮に努めたことや、富山駅付近連続立体交差事業に係る長期前受工事負担金が減少したことによるものであります。

(純資産)

 当連結会計年度における純資産の残高は8,534,947千円となり、前連結会計年度末に比べ620,001千円増加しました。この主な要因は利益剰余金が増加したことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」の記載のとおりであります。

(契約債務)

 2023年3月31日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

4,483,185

866,255

1,303,660

1,178,002

1,135,268

リース債務

132,371

78,327

50,492

2,725

825

割賦未払金

39,196

23,727

15,468

 

 上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

(財務政策)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、リース及び補助金を活用し調達しております。

 なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は4,654,753千円となっております。 また、当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は4,332,867千円となっております。

 

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社は年度計画に基づき、代表取締役社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、地鉄グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し、合理的に判断していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

 セグメントごとの財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

運輸事業

 鉄道事業は、中小私鉄において93.2kmの営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、老朽化する設備の維持管理費用は莫大であり、国、自治体からの補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。また、大都市圏への人口流出や少子高齢化による鉄道沿線の人口減少に加え、コロナ禍でテレワークやウェブ会議等の普及率が大きく上昇し、生活スタイルの変化がコロナ禍前に完全に戻るとは考えにくく、加えて電力料金の高騰による電気動力費の増加も予想され、今後も厳しい状況が続くものと認識しております。こうした状況の中、2023年4月11日、鉄道車両が保線作業中の当社従業員と接触し、お亡くなりになられるという重大事故が発生しました。事故原因等については現在、関係機関による調査が実施されておりますが、安全確立と信頼回復が急務となっております。これらを踏まえ、富山県が中心となって2022年度より設置された富山県地域交通戦略会議にて、今後の収支改善や安全確立を早急に沿線自治体と協議し、これからの鉄道線のあり方を模索する所存であります。

 軌道事業は、新型コロナウイルス感染症への行動制限の緩和や市内軌道線と富山港線との南北接続の利便性の浸透により、着実に効果を上げております。また、軌道車両のラッピング広告の販売も拡げ、収益を確保するとともに、富山駅を中心とした軌道線沿線の賑わい作りに貢献してまいります。

 自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門では新型コロナウイルス感染症の影響から回復した状況でありますので、これからは路線別収支状況をより調査分析し、課題の抽出を行い、路線の再編も含め検討を進めてまいります。高速バス部門においては新型コロナウイルス感染症による行動制限が撤廃されたものの、オンライン化が定着しており、コロナ禍以前の状況に戻るには至っておらず、厳しい状況が続いております。今後は、高速バスの需要に応じたきめ細かな運行体制を構築し、より広い範囲から顧客を獲得するよう、建て直しを図ってまいります。貸切バス部門においては旅行支援の延長、インバウンド需要の回復、学校や企業の旅行利用の増加等、需要が伸び始め、業界全体が活性化しており、これをビジネスチャンスと捉え、積極的に営業活動に取り組んでまいります。当社グループとしては、安心・安全・快適をモットーに、お客様の信頼を得る所存であります。

不動産事業

 不動産事業は、不動産分譲業においては積極的な営業活動により、営業利益となりました。今後も積極的に販促活動を行い、資金確保と収入確保に努めてまいります。不動産賃貸業においては、好立地条件をPRしテナントの誘致・充足に努め収益向上を図ってまいります。

建設事業

 建設事業は、材料費や人件費が高騰する中、公共工事の受注を中心とした積極的な営業活動の展開により、営業利益となりました。今後も損益管理を徹底し、収益の確保をしてまいります。

保険代理事業

 保険代理事業は、インターネット商品の普及による厳しい環境の中、顧客のニーズにあった商品販売を積極的に行い、新規開拓に努めてまいります。

航空輸送事業代理業

 航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルス感染症から回復傾向にあり、国際線の復便が進んでおりますが、富山空港では未だ国際線が運航しておらず、収益確保が見込めない状況であります。今後も予断を許さない状況であり、官民一体となって存続に向け尽力してまいります。

ホテル業

 ホテル業は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され、回復基調の営業活動となりました。しかしながら、富山駅周辺ではホテルの新規開業が続いており、競争が激しくなることが予想されるため、サービスを充実させ、好立地条件をPRし、お客様に選ばれる為のおもてなしを行っていく所存であります。

自動車整備業

 自動車整備業は、新型コロナウイルス感染症により需要が停滞していた高速バスや貸切バスがいよいよ活性化され、車両点検受託も増加してまいりました。その一方で、中古バスが不足し、販売や改造などの業績に影響を与えております。今後は中古バス業界の情報を収集し、積極的に営業してまいります。

その他

 娯楽・スポーツ業は、富山地鉄ゴールデンボウルについては個人客の利用は回復し、法人や団体客の利用についても徐々に回復しております。積極的にPR展開し、集客に努めてまいります。

 広告代理業は、広告媒体の多様化が続くことから、顧客のニーズに合った事業展開を図ってまいります。

 物品販売業は、人件費や仕入れ価格が高騰しており、厳しい経営環境となっております。付加価値の高い商品・サービスを提供し、リピーターを獲得してまいります。

 旅行代理業は、個人旅行の増加が顕著である一方、企業・学校の旅行が回復しております。又、旅行支援も延長されていることから、積極的に営業展開し、増収・増益を図ってまいります。

 

 総括として当社グループは運輸事業を核とし、地域社会の発展に貢献する企業体であります。今後は、老朽化した施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成への対応等に対し、資金の確保と人員の確保が最優先事項と考え、生活交通維持の使命とお客様第一、安全第一、サービス第一をモットーに、官民一体となって知恵を絞り、経営難を乗り越える所存であります。