富山地方鉄道株式会社

陸運業鉄道

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04128 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当中間連結会計期間における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間におけるわが国経済は、本年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類に移行されたことや、海外からの入国制限が撤廃されたことで、社会活動や経済活動の正常化が進み、国内の景気は緩やかに回復しております。一方で、記録的な円安の進行による資源価格や物価の上昇、世界的な金融引き締めやウクライナ、中東情勢の不安、中国経済の減速による海外の景気後退懸念もあり、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループは、事業の中核を担う運輸事業における安心・安全を確保した輸送サービスの提供を根幹としつつ、コロナ禍から回復した需要に応えるべく様々なサービスの提供に努め、グループ全体での収益向上を図ってまいりました。しかしながら、輸送需要はコロナ禍以前の状況に回復するまでには至っておらず、加えて資源価格や物価の上昇による、動力費をはじめとした経費の増大もあり、厳しい状況が続きました。

 

 この結果、当中間連結会計期間の経営成績は、営業収益4,722,882千円(前年同期比8.5%増)、営業損失407,084千円(前年同期は営業損失325,491千円)、経常利益233,853千円(前年同期は経常損失59,441千円)、親会社株主に帰属する中間純利益674,170千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失49,188千円)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。

 

 

a. 運輸事業

 当中間連結会計期間の運輸事業においては、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へ移行したこともあり、ビジネスや観光での需要に回復傾向がみられました。このような状況のもと、鉄軌道事業では、鉄道線にてダイヤ改正を実施し、特急列車の運行再開や昼間帯におけるダイヤの等間隔化を図り、利便性の向上に努めました。また、「立山黒部アルペンルート」の各種割引キャンペーンや、割引乗車券の販売などを実施し、国内外の観光需要の取り込みに努め、県内各地で再開された各種イベントの開催時には、臨時列車の増発運行を実施しました。自動車事業においては、県内路線バスや高速バス金沢線にてダイヤ改正を実施し、需要の掘り起こしや運行の効率化を図り、利便性の向上に努めました。また、「立山黒部アルペンルート」の夏山期間にあわせて高速バス東京-室堂線の新設や、例年好評を得ている2階建てオープントップバスによるスカイバス富山(富山市内コース、アルペンルートコース、富山-室堂直通バス)等の企画商品を販売し、増収に努めました。

 その結果、当中間連結会計期間の営業収益は3,106,106千円と前中間連結会計期間に比べ391,187千円(前年同期比14.4%増)の増収となりました。

 

(提出会社の運輸成績表)

(イ)鉄道事業

項目

単位

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

営業日数

183

営業粁

93.2

客車走行粁

千粁

2,049

2.4

乗車人員

千人

2,610

5.4

定期

1,771

0.1

定期外

838

18.5

旅客収入

千円

680,820

16.5

定期

282,398

0.2

定期外

398,305

31.6

手小荷物収入

115

48.8

運輸雑収

61,592

14.0

収入合計

742,412

16.3

乗車効率

11.76

7.0

1日平均収入

千円

4,056

16.3

1日1粁平均収入

43.52

16.3

(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。

(ロ)軌道事業

項目

単位

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

営業日数

183

営業粁

15.2

客車走行粁

千粁

599

0.0

乗車人員

千人

3,680

4.7

定期

1,978

1.6

定期外

1,702

8.5

旅客収入

千円

447,886

7.1

定期

164,185

2.4

定期外

283,700

10.1

運輸雑収

65,411

3.6

収入合計

513,298

6.7

乗車効率

21.09

4.3

1日平均収入

千円

2,804

6.7

1日1粁平均収入

184.53

6.7

(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。

(ハ)自動車事業

乗合自動車

項目

単位

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

営業日数

183

営業粁

2,224.34

0.0

車両走行粁

千粁

4,338

8.3

乗車人員

千人

2,794

5.0

定期

1,311

△2.6

定期外

1,482

12.9

旅客収入

千円

958,790

23.2

定期

226,904

△0.5

定期外

731,885

33.1

運輸雑収

169,005

3.4

収入合計

1,127,795

19.8

乗車効率

15.50

15.0

1日平均収入

千円

6,162

19.8

走行1粁当たり収入

259.92

10.6

(注) 乗車効率の算出は延人粁/(客車走行粁×1車平均定員)によります。

貸切自動車

項目

単位

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

営業日数

183

車両走行粁

千粁

455

△1.8

乗車人員

千人

88

△4.5

旅客収入

千円

219,966

△4.3

運送雑収

37,636

28.9

収入合計

257,603

△0.5

1日平均収入

1,407

△0.5

走行1粁当たり収入

564.91

1.3

 

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

鉄道事業(千円)

742,412

16.3

軌道事業(千円)

513,298

6.7

自動車事業(千円)

1,850,649

15.9

調整額(千円)

△253

報告セグメント計(千円)

3,106,106

14.4

 

b. 不動産事業

 不動産事業においては、不動産賃貸業では新規テナントの入居による賃貸収入の増加があった一方で、不動産分譲業では分譲土地の売却が無かったことから、当中間連結会計期間の営業収益は257,434千円と前中間連結会計期間に比べ99,597千円(前年同期比27.8%減)の減収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

不動産分譲業(千円)

2,149

△98.1

不動産賃貸業(千円)

255,284

6.8

報告セグメント計(千円)

257,434

△27.8

 

c. 建設事業

 建設事業においては、受注工事の増加により、当中間連結会計期間の営業収益は536,559千円と前中間連結会計期間に比べ19,930千円(前年同期比3.8%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

建設業(千円)

536,559

3.8

報告セグメント計(千円)

536,559

3.8

 

d. 保険代理事業

 保険代理事業においては、インターネット保険の普及や人口減少、少子高齢化の影響で保険の契約者数が減少していることから、収益確保は依然として厳しい状況が続いており、当中間連結会計期間の営業収益は177,698千円と前中間連結会計期間に比べ12,842千円(前年同期比6.7%減)の減収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

保険代理業(千円)

177,698

△6.7

報告セグメント計(千円)

177,698

△6.7

 

e. 航空輸送事業代理業

 航空輸送事業代理業においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行による航空便利用者の増加や、海外からの航空便の受け入れ再開によって、当中間連結会計期間の営業収益は147,106千円と前中間連結会計期間に比べ37,964千円(前年同期比34.7%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

航空輸送事業代理業(千円)

147,106

34.7

報告セグメント計(千円)

147,106

34.7

 

f. ホテル業

 ホテル業においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行による国内外の旅行需要の回復によって、客室稼働率が増加し、当中間連結会計期間の営業収益は275,086千円と前中間連結会計期間に比べ48,304千円(前年同期比21.2%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

ホテル業(千円)

275,086

21.2

報告セグメント計(千円)

275,086

21.2

 

g. 自動車整備業

自動車整備業においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行による高速、貸切バスの需要回復によって、当社グループ内での取引が増加したことから、当中間連結会計期間の営業収益は234,162千円と前中間連結会計期間に比べ32,409千円(前年同期比16.0%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

自動車整備業(千円)

234,162

16.0

報告セグメント計(千円)

234,162

16.0

 

 

h. その他

 その他においては、娯楽・スポーツ業では、富山地鉄ゴールデンボウルにおいて個人利用客の増加や料金改定によって堅調に推移したものの、前中間連結会計期間にスポーツドーム・エアーズが閉館した影響が大きく、減収となりました。広告代理業では、ラッピング広告の受注が堅調だったことや、新型コロナウイルス感染症の5類移行による各種イベントの再開によって、増収となりました。その他事業に含まれる物品販売業においては、コロナ禍での買い控えからの回復に加えて、夏の記録的猛暑による季節商品の大幅な売上増加もあって、増収となり、旅行代理店業においては、新型コロナウイルス感染症の5類移行による旅行需要の回復により、増収となったことから、当中間連結会計期間の営業収益は449,547千円と前中間連結会計期間に比べ80,249千円(前年同期比21.7%増)の増収となりました。

(業種別営業収益)

セグメントの名称

当中間連結会計期間

(自 2023年4月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

娯楽・スポーツ業(千円)

107,210

△32.8

広告代理業(千円)

92,753

10.1

その他事業(千円)

249,583

99.1

その他計(千円)

449,547

21.7

 

②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前中間連結会計期間末に比べ173,953千円増加し、当中間連結会計期間末には4,380,584千円となりました。

 当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は969,624千円(前中間連結会計期間は12,594千円の使用)となりました。これは税金等調整前中間純利益が777,774千円(前中間連結会計期間は56,829千円の税金等調整前中間純損失)、工事負担金等受入額が421千円(前中間連結会計期間は1,988,916千円)、売上債権及び契約資産の増減額が326,039千円の減少(前中間連結会計期間は31,422千円の増加)であった一方で、固定資産圧縮損が624,150千円(前中間連結会計期間は1,980,435千円)、固定資産売却益が1,176,300千円(前中間連結会計期間は106千円の固定資産売却損)であったことが主な要因であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は408,983千円(前中間連結会計期間は334,740千円の使用)となりました。これは固定資産の取得による支出が4,017,821千円(前中間連結会計期間は2,104,930千円の支出)であった一方で、工事負担金等受入による収入が2,400,165千円(前中間連結会計期間は1,768,439千円の収入)、固定資産の売却による収入が1,207,327千円(前中間連結会計期間は1,170千円)であったことが主な要因であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は512,924千円(前中間連結会計期間は670,036千円の使用)となりました。これは借入金の純減額が457,010千円(前中間連結会計期間は573,228千円の純減額)であったことが主な要因であります。

 

③生産・受注及び販売の状況

 当社グループの販売品目は広範囲かつ多種多様であり、また受注販売形態をとらない品目も多く、セグメントに関連付けて記載することが困難であるので記載しておりません。そのため生産、受注及び販売状況については、「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントごとに経営成績に関連付けて示しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社グループの中間連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この中間連結財務諸表の作成に当たりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの中間連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 中間連結財務諸表等(1)中間連結財務諸表」の「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当中間連結会計期間の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ 経営成績の分析

 当社グループの当中間連結会計期間の経営成績等は、各事業部門で、本年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類へと移行し、経済活動が活発になったことで、営業収益は4,722,882千円(前年同期は4,349,463千円)となり、営業費は徹底的なコスト削減に努めた一方で、エネルギー価格の高騰により電車・バスの動力費が増大したことで、5,129,967千円(前年同期は4,674,954千円)となった結果、営業損失は407,084千円(前年同期は営業損失325,491千円)、営業外損益を加減した経常利益は233,853千円(前年同期は経常損失59,441千円)となりました。これに特別利益と特別損失を加減した税金等調整前中間純利益は777,774千円(前年同期は税金等調整前中間純損失56,829千円)となり、法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額並びに非支配株主に帰属する中間純損失を加減した親会社株主に帰属する中間純利益は674,170千円(前年同期は親会社株主に帰属する中間純損失49,188千円)となりました。

 

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、新型コロナウイルス感染症に係る行動制限が解除され、経済活動が活発になる一方で、新型コロナウイルス感染症や季節性インフルエンザ、その他様々な感染症の流行懸念や、円安の長期化やウクライナ、中東情勢の不安による物価上昇、及び慢性的な人手不足の深刻化の中、事業環境の厳しさが増していくと予測しております。

 

ロ 財政状態の分析

(流動資産)

 当中間連結会計期間末における流動資産の残高は5,685,842千円となり、前連結会計年度末に比べ2,838,590千円減少しました。この主な要因は売上債権の入金により受取手形、売掛金及び契約資産の減少や、運輸事業の工事負担金や補助金等の入金によりその他に含まれる未収金の減少によるものであります。

(固定資産)

 当中間連結会計期間末における固定資産の残高は15,704,272千円となり、前連結会計年度末に比べ1,503,043千円増加しました。この主な要因は富山駅付近連続立体交差事業に係る建設仮勘定の増加、自動車営業所統合に係る土地の増加、投資有価証券の時価評価額の増加によるものであります。

(負債)

 当中間連結会計期間末における負債の残高は12,098,095千円となり、前連結会計年度末に比べ2,092,618千円減少しました。この主な要因は富山駅付近連続立体交差事業に係る長期前受工事負担金が増加した一方で、新規借入金を抑制し、借入金の圧縮に努めたことによるものであります。

(純資産)

 当中間連結会計期間末における純資産の残高は9,292,019千円となり、前連結会計年度末に比べ757,071千円増加しました。この主な要因は利益剰余金の増加や、投資有価証券の時価評価額の増加によるその他有価証券評価差額金の増加によるものであります。

 

ハ 資本の財源及び資金の流動性の分析

(キャッシュ・フロー)

 当中間連結会計期間のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(契約債務)

 2023年9月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。

 

 

年度別要支払額(千円)

契約債務

合計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

長期借入金

4,026,175

803,179

1,209,526

989,773

1,023,696

リース債務

101,770

61,275

33,033

6,790

670

割賦未払金

27,369

23,876

3,492

 

上記の表において、中間連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年以内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。

 

(財務政策)

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備修繕費や販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要のうち主なものは、運輸事業の設備の新設と改修等であります。

 当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金、当社グループ間短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金は自己資金、リース及び補助金を活用し調達しております。

 

 なお、当中間連結会計期間末における借入金、リース債務、割賦未払金を含む有利子負債の残高は4,155,314千円となっております。また、当中間連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は4,380,584千円となっております。

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、当社は年度計画に基づき、代表取締役社長を議長に毎週経営幹部会議を開催し、月次業績や経営計画、個別施策の進捗状況等について報告し、情報の共有化を図るとともに、多面的な対策検討を実施し、経営目標の適切な達成管理を行っております。また、連結子会社の経営管理については、年度計画に基づく業務執行状況等の報告を受け、その都度指導を行うとともに重要案件は合議稟議制により決裁を行い、当社グループ全体として経営基盤を固め、中長期的に発展・存続できる体制づくりを行っております。

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

運輸事業

 鉄道事業は、中小私鉄において93.2kmの営業粁を有し、またトンネル、鉄橋も多数所有する中、老朽化する設備の維持管理費用は莫大であり、国、自治体からの補助金がなくては事業の存続が厳しい状態が続いております。今後の展望も、鉄道沿線人口の減少に加えて、コロナ禍を経て変化した生活様式による鉄道利用者の減少が大きな影響を与えております。こうした状況の中、2023年4月11日、鉄道車両が保線作業中の当社従業員と接触し、死亡するという重大事故が発生しました。原因等については現在も調査中ではありますが、安全確立と信頼回復が急務となっております。これらを踏まえ、今後の収支改善や再発防止策の徹底を早急に進める必要があると認識しております。

 軌道事業は、富山駅周辺が賑わう中、市内軌道線と富山港線の南北接続の利便性向上が着実に効果を上げ、富山駅周辺の発展に貢献しております。

 自動車事業は、乗合自動車の路線バス部門や高速バス部門では新型コロナウイルス感染症の影響から徐々に回復しているものの、コロナ禍以前の状況とは未だ隔たりがあります。生活交通の維持は厳しく、加えてバス運転手の改善基準告示が改正される「2024年問題」へ対応する必要もあり、今後のあり方について官民一体となって議論しているところであります。貸切バス部門においては、観光需要が順調に回復する中、深刻な人手不足によって需要を取り込めていない状況であり、人材採用・育成に試行錯誤を重ねているところであります。

 当社グループとしては、お客様第一、安全第一、サービス第一をモットーに、お客様の信頼を得る所存であります。

 

不動産事業

 不動産事業は、不動産賃貸業においては、富山駅前を中心とした好立地条件により順調に収益を確保しております。不動産分譲業においては、積極的な営業活動により、ニーズに合った物件を提案し、資金確保・収益確保に努めてまいります。

 

建設事業

 建設事業は、資材の高騰や改正労働基準法による人件費の上昇、少子高齢化による人手不足が深刻化する中、引き続き公共工事の受注を中心とした積極的な活動を展開し、収益確保に努めてまいります。

 

保険代理事業

 保険代理事業は、インターネット保険の普及、少子高齢化や人口減少による顧客の減少等、厳しい環境の中で顧客のニーズに合わせた商品を積極的に営業展開し、新規開拓に努めてまいります。

 

航空輸送事業代理業

 航空輸送事業代理業は、航空業界全体が新型コロナウイルス感染症の5類移行によって、国内外への旅行が以前のように自由となった一方、テレワーク等の普及によるビジネス利用者の減少が懸念されている状況です。富山空港においては国際線の一部が再開し、明るい兆しがある一方で、富山空港の民営化が発表される等、今後も予断を許さない状況であることから、官民一体となって存続に向け尽力してまいります。

 

ホテル業

 ホテル業は、観光需要の回復に伴い、好調な営業活動となりました。しかしながら、富山駅周辺ではホテルの新規開業が続いていることから、今後もサービスの質は落とさず、お客様本位のおもてなしを心掛ける所存であります。

 

自動車整備業

 自動車整備業は、高速バスや貸切バスの稼働増加によって好調に推移した一方で、人件費や資材価格の高騰が業績に影響を与えております。今後は積極的に新規開拓に努め、販路の拡大を目指してまいります。

 

その他

 娯楽・スポーツ業は、富山地鉄ゴールデンボウルが個人客、団体客共に好調に推移し、コロナ禍以前の状況に回復しております。

 広告代理業は、各種イベントの開催やラッピング広告の受注増加等で好調を維持しております。今後は、更なる需要拡大が見込まれるインターネット広告にも積極的に取り組んでまいります。

 物品販売業は、物販部門においてはコロナ禍の買い控えの反動で需要が増加したことや、各種イベントの開催により、好調な業績となりました。飲食部門においては来客数が大きく伸びているものの、仕入価格や光熱費の高騰が大きな影響を与えております。今後は適正な販売価格を検討し、収益増加を図ってまいります。

 旅行代理業では、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、旅行需要の回復が見られ、修学旅行や一般団体旅行の受注が顕著であった一方、人件費や売上原価が増加している状況であります。今後は旅行需要の回復基調の流れに乗り、販路の拡大に努めてまいります。

 総括として当社グループは運輸事業を核とする企業体であり、富山県はマイカー所有率が全国でも高く、地方から首都圏への人口流出に加えて少子高齢化による人口減少が続く中、老朽化施設の更新、バス運転手、鉄軌道運転士の確保、技術職の育成への対応等に対し、資金の確保と人員の確保が今後の最優先事項と考え、生活交通維持の使命と今後のあるべき姿を、官民一体となって知恵を絞り経営難を乗り越える所存であります。