E04129 Japan GAAP
前期
1,865.3億 円
前期比
115.0%
当社グループは、当社及び子会社16社で構成され、全ての子会社を連結の対象としております。
当社グループの事業に関わる位置づけは次のとおりです。
事業の系統図は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、2020年から続いたコロナ禍を乗り越え、30年ぶりとなる高水準の賃上げなど、前向きな動きがみられ、静岡県西部地域においては、NHK大河ドラマ「どうする家康」の放送により、浜松大河ドラマ館を中心に多くの観光客が訪れ、ホテル・旅館業にとって業績回復の追い風となりました。また企業の人手不足は、人口減少が進行する中で更に深刻化しています。
このような状況の中、当社グループは、新型コロナウイルス5類移行後の経営環境の変化にスピード感を持って対応し、地域やお客様になくてはならない商品・サービスの提供に注力してまいりました。あわせて、新たな事業領域に挑戦し、培ってきた経営資源との融合を図ることで事業の可能性を一層広げてまいりました。また、遠州鉄道創立80周年・遠鉄ストア創立50周年・遠鉄百貨店開店35周年を機にお客様への感謝の意を表す記念事業を実施し、販売の強化に努めました。
当連結会計年度の業績につきましては、営業収益2,145億5百万円(前連結会計年度比15.0%増加)、経常利益72億1千4百万円(前連結会計年度比64.9%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は43億6千1百万円(前連結会計年度比142.8%増加)となりました。
運輸事業の営業収益は131億8千3百万円(前連結会計年度比15.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ17億9千7百万円の増収となりました。営業利益は6百万円(前年同期は営業損失5億3千9百万円)となり、前連結会計年度に比べ5億4千5百万円の改善となりました。
リテールサービス事業の営業収益は、699億3千9百万円(前連結会計年度比8.0%増加)となり、前連結会計年度に比べ51億8千4百万円の増収となりました。営業利益は7億8千3百万円(同19.9%増加)となり、前連結会計年度に比べ1億3千万円の増益となりました。
モビリティサービス事業の営業収益は919億2千4百万円(前連結会計年度比21.7%増加)となり、前連結会計年度に比べ164億2百万円の増収となりました。営業利益は25億3千3百万円(同116.4%増加)となり、前連結会計年度に比べ13億6千2百万円の増益となりました。
不動産事業の営業収益は191億7千6百万円(前連結会計年度比7.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ13億9千2百万円の増収となりました。営業利益は9億9千7百万円(同14.3%減少)となり、前連結会計年度に比べ1億6千6百万円の減益となりました。
ウェルネス事業
ウェルネス事業の営業収益は127億6千1百万円(前連結会計年度比12.8%増加)となり、前連結会計年度に比べ14億4千6百万円の増収となりました。営業利益は6億9千4百万円(同55.5%増加)となり、前連結会計年度に比べ2億4千8百万円の増益となりました。
その他の事業の営業収益は143億7千万円(前連結会計年度比9.9%増加)となり、前連結会計年度に比べ12億9千万円の増収となりました。営業利益は10億2千6百万円(同52.4%増加)となり、前連結会計年度に比べ3億5千3百万円の増益となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)は、前連結会計年度末に比べ2億6千6百万円減少し、当連結会計年度末には30億7千4百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は176億2千5百万円(前連結会計年度比128.8%増加)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益65億4千5百万円と減価償却費80億5千6百万円により生じた資金が、法人税等の支払額17億4千万円等の資金の使用を上回ったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は80億1千5百万円(同26.3%減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に89億7千5百万円支出したこと等によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は98億5千7百万円(前連結会計年度は34億1千5百万円の獲得)となりました。これは主に、短期及び長期借入金の返済による支出が、借入れによる収入を90億9千3百万円上回ったこと等によるものであります。
当社グループにおいては、生産及び受注に該当する事項がないため記載を省略しております。
販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所存等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。各セグメントの営業収益は、セグメント間取引を含んでおりません。
鉄道事業におきましては、人流の回復に伴い乗車人員は前年比9.8%増加し、営業収益も前年比11.4%増加いたしました。
バス事業におきましては、人流の回復に伴い乗合バス(空港、高速バスを除く)の乗車人員が前年比4.6%増加しました。また、空港直行バスe-wingにつきましては、人流の回復を想定してダイヤを大幅に増便し、掛川発着便の運行を再開するなど、営業収益の拡大を図りました。加えて7月に実施した運賃値上げの増収により、全体の営業収益は前年比20.4%増加いたしました。また乗合バスの舘山寺線および「浜名湖花博 2024」会場へのJR舞阪駅発着シャトルバス全便ならびに空港直行バスe-wing、遠鉄高速バスe-LineRの全車両にて、クレジットカード等のタッチ決済対応を開始し、お客様の利便性の向上に努めました。
タクシー事業におきましては、9月に実施した運賃値上げや人流の回復により、営業収益は前年比6.0%増加しました。
以上の結果、運輸事業の営業収益は、128億1千7百万円(前連結会計年度比16.1%増加)となりました。
百貨店業におきましては、催事が好調に推移し、特に「アムール・デュ・ショコラ2024」は過去最高の営業収益を記録しました。また、2月には顧客ニーズの高い新規ブランドの導入や、本館5・6・7階の改装を行い、営業収益は前年比3.8%増加しました。
食品スーパー業におきましては、5月に「遠鉄ストア掛川高御所店」および「マツモトキヨシ掛川高御所店」をオープンし、創立50周年企画など販促活動を強化した結果、営業収益が好調に推移しました。また、買い物支援で地域を巡回する「遠鉄ストアの移動スーパー」において、3月に10台目の稼働を開始しました。
以上の結果、リテールサービス事業の営業収益は、696億8千7百万円(前連結会計年度比8.0%増加)となりました。
(モビリティサービス事業)
自動車販売業におきましては、過年度より続いていた世界的な半導体不足による納車待ち状況の大幅な改善を受け、新車販売台数が増加しました。また、4月に遠州鉄道がスズキ車の正規販売店「スズキアリーナ寺脇」を新規出店し、さらに同月、二輪販売業とスズキ車の四輪販売事業を行う「㈱青山商会」の全株式を取得しました。これらにより、営業収益が伸長しました。
石油製品販売業におきましては、8月にカーコーティング専門店として2店舗目となる「キーパープロショップ住吉バイパス店」をオープンしました。
以上の結果、モビリティサービス事業の営業収益は、903億4千8百万円(前連結会計年度比21.9%増加)となりました。
不動産事業におきましては、一般賃貸業において10月に戸建賃貸住宅「ブリアシエル新居」、2月に「ブリアシエル新居Ⅱ」を竣工、同月賃貸マンション「ブリアージュ浜北駅前」、「ブリアージュ中泉」を竣工し、営業収益の拡大を図りました。また、2月に竣工した「ブライトタウン松城」は56戸の引渡しをしました。
住宅事業では、分譲住宅事業において政府の「こどもエコ住まい支援事業補助金」の活用を促す営業戦略により、販売棟数が伸長いたしました。注文住宅業においては材料費高騰に伴って住宅価格が高止まりしたことで、引渡し件数は87件と前年を下回る結果となりました。
建設工事業では、大手ゼネコンとのジョイントベンチャーでの大型工事など、遠鉄グループ以外を顧客とする受注を拡大しました。
以上の結果、不動産事業の営業収益は176億8千3百万円(前連結会計年度比14.4%増加)となりました。
介護事業におきましては、職員の採用が好調に推移したことにより定員が増加し、また新型コロナウイルス感染症5類移行に伴う需要回復等により営業収益が増加しました。3月には豊橋市内4拠点目となる「ラクラス豊橋三ノ輪デイサービス」を開設し、豊橋市内での認知度向上に努めました。
旅行業におきましては、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、外出機会が増加したことから、バンビツアーの日帰りコースおよび宿泊コースの参加者が大幅に増加しました。
ホテル業におきましては、大河ドラマ「どうする家康」の影響および外出需要の増加で客数が増加し、営業収益は好調に推移しました。ホテルコンコルド浜松では、2月に東海地方のホテル初となる無人決済店舗「CONCORDE GO」をオープンし、浜名湖パルパルでは、7月に「ポップコーンパニック」、3月には「カード迷路ぐるり森大冒険」をオープンするなど、快適かつ楽しく過ごせる施設づくりに努めました。
以上の結果、ウェルネス事業の営業収益は、126億4千万円(前連結会計年度比12.7%増加)となりました。
自動車運転教習業におきましては、指導員増員等の事業拡大や、プロ免許(大型、中型、大特、けん引)教習の受入れを拡大し、営業収益が増加しました。
情報サービス業におきましては、自治体における「書かない窓口」実現を目指す窓口業務支援システム「らくまど」の導入支援を県内1か所および県外9か所の自治体で実施し、営業収益が増加しました。
以上の結果、その他の事業の営業収益は、113億2千8百万円(前連結会計年度比11.0%増加)となりました。
財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の部の残高は1,859億8千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ12億9千万円増加しております。これは主に、棚卸資産が15億8千4百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債の部の残高は1,255億9千万円となり、前連結会計年度末に比べ45億2千5百万円減少しております。これは主に、短期借入金が140億6千8百万円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の部の残高は603億9千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ58億1千6百万円増加しております。これは主に、利益剰余金が38億5千8百万円増加したことによるものであります。
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品購入資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用支払いに充当するための資金であります。設備投資資金の主なものは、車両購入や新店舗の出店、業務効率化のためのシステム投資資金等であります。また、このほか企業買収等、企業価値向上に資する投資に関する資金需要が発生します。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
また、キャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期経営計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。
なお、繰延税金資産の回収可能価額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(減損会計における将来キャッシュ・フロー)
当社グループは、事業用資産については当社及び子会社の管理会計制度上で継続的に損益の把握をしている単位を基礎としてグルーピングを実施し、不動産賃貸業及び遊休資産については物件単位ごとにグルーピングを実施しております。
継続的な地価の下落及び資産グループ単位の収益性等を踏まえ検討した結果、継続的に収益性が低い資産については、将来キャッシュ・フローによって当該資産の帳簿価額を回収できる可能性が低いと判断し、帳簿価額を回収可能価額まで減額した額を減損損失として計上しております。
なお、資産グループの回収可能価額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係) ※7 減損損失」に記載しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
当社グループといたしましては、新たな中期経営計画の重要テーマである「社員の幸福度を高める施策」、「顧客視点の商品・サービス開発」、「地域・社会への貢献、環境課題への取組み」、「業務プロセスの見直し」、「新たなチャレンジ」を推進し、経営基盤の強化と連結業績の向上に努めてまいります。
現時点において、次期の業績は次のとおり見込んでおります。