E04129 Japan GAAP
前期
1,776.4億 円
前期比
105.0%
当社グループは、当社及び子会社15社で構成され、全ての子会社を連結の対象としております。
当社グループの事業に関わる位置づけは次のとおりです。
事業の系統図は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で緩やかに持ち直しの傾向が見られましたが、およそ40年ぶりとなる上昇率を記録した物価高騰により消費が伸び悩み、景気の回復は力強さを欠くものとなりました。企業活動においても、不安定な国際情勢によるエネルギー価格・原材料価格の高騰、半導体など材料不足の影響により、当社グループを取り巻く環境は厳しい状況で推移しました。
このような状況の中、当社グループでは、運輸事業をはじめ地域になくてはならないサービスの維持に注力するとともに、限りある経営資源の最適化を行い、商品・サービスの付加価値向上に努めることで、経営環境の変化に対応してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、営業収益1,865億2千7百万円(前連結会計年度比5.0%増加)、経常利益43億7千5百万円(前連結会計年度比38.1%増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は17億9千6百万円(前連結会計年度比140.0%増加)となりました。
セグメント別の概況は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より運行請負業の事業セグメントを「その他の事業」から「運輸事業」に変更しております。
運輸事業の営業収益は113億8千6百万円(前連結会計年度比16.2%増加)となり、前連結会計年度に比べ15億8千9百万円の増収となりました。営業損失は5億3千9百万円(前年同期は営業損失9億1千4百万円)となり、前連結会計年度に比べ3億7千4百万円の改善となりました。
リテールサービス事業の営業収益は、647億5千5百万円(前連結会計年度比0.6%増加)となり、前連結会計年度に比べ3億6千9百万円の増収となりました。営業利益は6億5千3百万円(同35.8%減少)となり、前連結会計年度に比べ3億6千5百万円の減益となりました。
モビリティサービス事業の営業収益は755億2千1百万円(前連結会計年度比6.6%増加)となり、前連結会計年度に比べ46億8千5百万円の増収となりました。営業利益は11億7千万円(同80.9%増加)となり、前連結会計年度に比べ5億2千3百万円の増益となりました。
不動産事業の営業収益は177億8千4百万円(前連結会計年度比1.8%減少)となり、前連結会計年度に比べ3億3千3百万円の減収となりました。営業利益は11億6千3百万円(同6.5%増加)となり、前連結会計年度に比べ7千万円の増益となりました。
ウェルネス事業
ウェルネス事業の営業収益は113億1千4百万円(前連結会計年度比21.2%増加)となり、前連結会計年度に比べ19億7千7百万円の増収となりました。営業利益は4億4千6百万円(前年同期は営業損失2億4千万円)となり、前連結会計年度に比べ6億8千6百万円の増益となりました。
その他の事業の営業収益は130億8千万円(前連結会計年度比5.7%増加)となり、前連結会計年度に比べ7億8百万円の増収となりました。営業利益は6億7千3百万円(同16.4%減少)となり、前連結会計年度に比べ1億3千2百万円の減益となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下資金という。)は、前連結会計年度末に比べ2億4千5百万円増加し、当連結会計年度末には33億4千万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は77億4百万円(前連結会計年度比41.7%減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益30億4千万円と減価償却費74億9千8百万円により生じた資金が、棚卸資産の増減額20億6千3百万円等の資金の使用を上回ったことによるものであります。
投資活動の結果使用した資金は108億7千5百万円(同15.6%増加)となりました。これは主に、有形固定資産の取得に96億7千2百万円支出したこと等によるものであります。
財務活動の結果得られた資金は34億1千5百万円(前連結会計年度は45億9千4百万円の使用)となりました。これは主に、短期及び長期借入れによる収入が、短期及び長期借入金の返済による支出を40億6千万円上回ったこと等によるものであります。
当社グループにおいては、生産及び受注に該当する事項がないため記載を省略しております。
販売の状況については、「① 財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの業績に関連付けて記載しています。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、本項に記載した予想、予見、見込み、見通し、方針、所存等の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますので、ご留意下さい。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。各セグメントの営業収益は、セグメント間取引を含んでおりません。
鉄道事業におきましては、2022年2月に実施した燃料費高騰に伴う運賃値上げによる増収に加え、人流の回復に伴い乗車人員は前年比9.8%増加、営業収益は前年比15.2%増加いたしました。また、2月に八幡駅の耐震補強ならびに改札階からホーム階までのバリアフリー化工事が完成し、お客様の安全確保と利便性向上を図って参りました。
バス事業におきましては、外出の機会が増えたことから路線バス(空港、高速バスを除く)の乗車人員が前年比5.9%増加いたしました。加えて人流の回復を想定し、8月に空港直行バスe-wingの運行再開ならびに遠鉄高速バスe-LineRの新規路線「浜松京都線」の運行を開始し営業収益の拡大を図りました。その結果、全体の営業収益は前年比15.7%増加いたしました。また遠鉄アシスト(株)より遠州鉄道(株)へ自家用車請負事業を移管し、管理体制を強化するとともに、効率性と安全性向上を両立する体制の構築に努めました。
タクシー事業におきましては、行動制限が緩和されてきたことでタクシー需要が順調に回復し、日中の需要増加など時間帯に応じた人員調整を進めたことで、営業収益は前年比14.9%増加いたしました。
その他、10月には遠州鉄道(株)が日之出自動車工業(株)の株式を取得し、自動車整備事業の強化と、ロードサービス事業への参入を実現いたしました。
以上の結果、運輸事業の営業収益は、110億3千7百万円(前連結会計年度比17.1%増加)となりました。
百貨店業では、行動制限が緩和され来店客数が回復してきたことに加え、需要の高まりに応じて海外ブランド商品や婦人服、化粧品の販売が好調に推移し、営業収益が前年比5.4%増加いたしました。また2月に、遠鉄百貨店本館地下1階食料品売場に「えんてつグルメセレクト」をオープンいたしました。地元企業・生産者と連携し地場の商品を提供するとともに、人気店の日替わりパンや地域最大級の品揃えの浜松餃子など魅力ある商品を取り揃え、幅広い層の需要獲得に努めました。
食品スーパー業では、消費者の節約志向の高まりにより販売点数が減少する中、メーカー値上げに伴う商品単価の上昇により営業収益は前年度並となりました。4月に「マツモトキヨシさぎの宮駅前店」、9月にリブロス笠井店内に「マツモトキヨシ笠井店」をオープン、2月には遠鉄ストア湖西店の隣接地に「シャトレーゼ遠鉄ストア湖西店」をオープンいたしました。また11月に導入したプリペイドカード「CoGCaカード」の会員数が16万人となり、お客様の利便性向上や新たな顧客層の獲得に努めました。
以上の結果、リテールサービス事業の営業収益は、645億2千1百万円(前連結会計年度比0.6%増加)となりました。
(モビリティサービス事業)
自動車販売業においては、世界的な半導体不足をはじめとする部品不足などにより納車遅れが続く中、年度末にかけて納車状況が改善してきたことで、新車の販売台数が回復傾向にあり営業収益が拡大いたしました。4月に「静岡トヨタ袋井インター店」をオープン、1月には静岡トヨタ、ネッツトヨタ浜松の2店舗目の統合店「ネッツトヨタ浜松小笠店」をオープンいたしました。また、静岡トヨタ、ネッツトヨタ浜松の全店舗内の整備工場において、全館空調化を実現いたしました。サービスエンジニアの職場環境を整えることで、人材確保、採用力強化に努めて参りました。
以上の結果、モビリティサービス事業の営業収益は、740億9千7百万円(前連結会計年度比6.6%増加)となりました。
不動産事業では、企業の投資熱の高まりの影響により単価の大きな事業用物件の取引が増加したことで、売買仲介業が好調に推移いたしました。2月に引渡しを開始した「ブライトタウン浜松ザ・フロント」は全戸の引渡しが完了し、2024年2月に引渡し予定の新築分譲マンション「ブライトタウン松城」は69戸中35戸の契約をいただきました。今後も継続的に新築分譲マンションを供給していく体制を維持して参ります。
住宅事業では、材料費高騰に伴って住宅価格が高止まりしたことで、分譲住宅の引渡し件数は79件、注文住宅の引渡し件数は115件と前年を下回る結果となりました。また、お客様への提案価値向上に努め、2月には吹き抜け式のモデルハウス、3月には好みの間取りを作ることができる規格型平屋のモデルハウスをオープンいたしました。
建設工事業では、大手ゼネコンとのジョイントベンチャーでの大型工事など、遠鉄グループ以外を顧客とする受注を拡大しました。
以上の結果、様々な取り組みをしてまいりましたが、154億5千2百万円(前連結会計年度比0.1%減少)となりました。
介護事業におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響で本来の営業日数を確保できない中、前年3月に開設した「ラクラス笠井デイサービス」や、8月にオープンした豊橋市内3拠点目となる「ラクラス豊橋牟呂デイサービス」といった新規施設の稼働が好調に推移し営業収益が増加いたしました。また、新たなIT技術を使った生産性の向上を推進しており、スタッフの作業量を軽減し対面サービスを拡大させることにより、利用者の満足度向上を図りました。
旅行業におきましては、2021年4月より運行を停止していたバンビツアーの日帰りコースを5月より再開、宿泊コースにおいても8月より再開するなど、営業収益拡大の取り組みを進めました。
ホテル業におきましては、旅行マインドの高まりに加え、「全国旅行支援」等の行政による割引支援が年間を通じて続いた効果もあり、ホテルウェルシーズン浜名湖、ホテルコンコルド浜松ともに高稼働で推移いたしました。ホテルウェルシーズン浜名湖では、宿泊者専用施設「ベビー&キッズスペース ことっこひろば」を3月にオープンいたしました。また、ホテルコンコルド浜松では、18階に大河ドラマ館・浜松城を眼下に望む浜名湖うなぎ専門店「元城亭」を1月にオープンし、大河ドラマをきっかけに浜松を訪れる、観光客の皆さまに浜松の良さや魅力を発信してまいりました。
以上の結果、ウェルネス事業の営業収益は、112億1千5百万円(前連結会計年度比21.4%増加)となりました。
自動車運転教習業におきましては、指導員増員等の事業拡大を図り、大型免許等の入校生徒数や合宿入校生徒数が増えたことにより営業収益が増加しました。また、オンライン学科教習を6月より順次導入、フォークリフト運転技能講習を6月より開校する等、新しい試みを実施しており、お客様の利便性向上や新たな顧客層の獲得に努めました。
以上の結果、その他の事業の営業収益は、102億3百万円(前連結会計年度比3.7%増加)となりました。
財政状態の分析
当連結会計年度末における資産の部の残高は1,846億9千5百万円となり、前連結会計年度末に比べ35億1千9百万円増加しております。これは主に、棚卸資産が22億1千2百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における負債の部の残高は1,301億1千6百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億4千8百万円増加しております。これは主に、短期借入金が46億3千6百万円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における純資産の部の残高は545億7千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億7千万円増加しております。これは主に、利益剰余金が13億6千5百万円増加したことによるものであります。
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品購入資金のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用支払いに充当するための資金であります。設備投資資金の主なものは、車両購入や新店舗の出店、業務効率化のためのシステム投資資金等であります。また、このほか企業買収等、企業価値向上に資する投資に関する資金需要が発生します。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は、自己資金と金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
また、キャッシュマネージメントサービス(CMS)を導入しており、CMS参加各社の余裕資金の運用と資金調達の管理を一括して行うことで、資金効率の向上に努めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。
収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び繰戻・繰越期間における課税所得を見積っております。課税所得は、中期経営計画の前提となった数値を、経営環境等の外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(過去における中期経営計画の達成状況、予算等)と整合的に修正し見積っております。
なお、繰延税金資産の回収可能価額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(減損会計における将来キャッシュ・フロー)
当社グループは、事業用資産については当社及び子会社の管理会計制度上で継続的に損益の把握をしている単位を基礎としてグルーピングを実施し、不動産賃貸業及び遊休資産については物件単位ごとにグルーピングを実施しております。
継続的な地価の下落及び資産グループ単位の収益性等を踏まえ検討した結果、継続的に収益性が低い資産については、将来キャッシュ・フローによって当該資産の帳簿価額を回収できる可能性が低いと判断し、帳簿価額を回収可能価額まで減額した額を減損損失として計上しております。
なお、資産グループの回収可能価額については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (連結損益計算書関係) ※7 減損損失」に記載しております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において追加の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
当社グループといたしましては、長期ビジョンである2023年のありたい姿「あってよかった遠鉄グループ」の最終年度として、これまで取り組んできた重点政策である「なくてはならない商品・サービスへの集中」、「業務プロセス最適化による付加価値向上」、「強みを独自性に進化させる人材の輩出」、「新たなIT技術によるお客様体験価値の提供」をさらに推進し、経営基盤の強化と連結業績の向上に努めてまいります。
現時点において、次期の業績は次のとおり見込んでおります。