E04137 Japan GAAP
前期
15.6億 円
前期比
116.5%
当社グループは、当社(島原鉄道㈱)及び関係会社2社で構成されており、その内訳は親会社1社(長崎自動車㈱)、子会社1社(島鉄観光㈱)であります。
当社グループ(当社及び連結子会社)の営んでいる主な事業内容をセグメントに関連付けて示すと次のとおりです。
〔事業系統図〕
以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(財政状態)
資産合計は7,101,594千円(前連結会計年度比 2.8%増)となりました。これは、主に現金及び預金が119,338千円、未収金が140,350千円増加したこと等によります。
負債合計は3,809,323千円(前連結会計年度比 2.3%増)となりました。これは、主に設備支払手形が124,901千円増加したこと等によります。
純資産合計は3,292,271千円(前連結会計年度比 3.3%増)となりました。利益剰余金が113,547千円改善したこと等によります。
(経営成績)
当社グループにおいては、国・県・関係自治体から新型コロナウイルス関連助成金などの支援を受けながら、鉄道・路線バスのダイヤ改正や県内の鉄道事業者並びに有明海沿岸の船舶事業者との連携による二次アクセスの充実、観光列車の営業強化など西九州新幹線の開業効果を最大限に引き出す取組みを行いました。
また、鉄道や路線バスのダイヤ見直しや勤務時間の短縮、燃料節約運転の推進など、できる限りの経費削減を行いました。
この結果、営業収入は1,817,853千円(前連結会計年度比 16.5%増)、営業損失は121,304千円(前連結会計年度は営業損失 378,730千円)、経常損失は108,907千円(同経常損失 299,235千円)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は113,342千円(同 親会社株主に帰属する当期純損失 52,099千円)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
1.鉄道事業
鉄道事業は、社会経済活動の正常化や西九州新幹線の開業、全国旅行支援の効果により観光利用が回復傾向となりましたが、人口減少や少子高齢化に加え、原油価格をはじめとする原材料費の高騰などにより厳しい状況となりました。
このような中、国・県・関係自治体から新型コロナウイルス関連助成金などの支援を受けながら、ダイヤ改正や県内の鉄道事業者並びに有明海沿岸の船舶事業者との連携、またイベント列車の運行や観光列車「カフェトレイン」の営業強化など西九州新幹線の開業効果を最大限に引き出す取組みを行いました。
当連結会計年度の輸送人員は定期外474千人(前連結会計年度比 116.0%)、定期617千人(同 99.3%)、合計1,092千人(同 105.9%)となりました。
その結果、営業収入は489,311千円(前連結会計年度比 19.7%増)、営業費用は633,368千円(同 3.6%増)となり、営業損失は144,056千円(前連結会計年度は営業損失 202,583千円)となりました。
2.自動車運送事業
乗合バス事業は、社会経済活動の正常化などにより回復傾向がみられましたが、人口減少や少子高齢化に加え、原油価格をはじめとする原材料費の高騰などにより厳しい状況となりました。
このような中、国・県・関係自治体から新型コロナウイルス関連助成金などの支援を受けながら、ダイヤ改正による西九州新幹線からの二次アクセス充実や高速バス増便などの増収対策を講じるとともに、燃料節約運転の推進などにより経費削減に努めました。
貸切バス事業は、地元小中学校の修学旅行や私立高校のスクールバス中心の運行となりました。
主力事業である乗合バス事業の当連結会計年度の輸送人員は1,274千人(前連結会計年度比 104.8%)となりました。
その結果、営業収入は684,647千円(前連結会計年度比 3.6%増)、営業費用は707,033千円(同 8.4%減)となり、営業損失は22,386千円(前連結会計年度は営業損失 110,620千円)となりました。
3.船舶運航事業
船舶運航事業は、社会経済活動の正常化や全国旅行支援の効果などにより回復傾向がみられましたが、団体旅行など大型バスの利用減少に加え、原油価格をはじめとする原材料費の高騰などにより厳しい状況となりました。
このような中、国・県・関係自治体から新型コロナウイルス関連助成金などの支援を受けながら、減便などによる経費削減に努めました。
当連結会計年度の輸送実績は114千人(前連結会計年度比 159.1%)、航送台数は100千台(同 130.1%)となりました。
その結果、営業収入は294,338千円(前連結会計年度比 34.3%増)、営業費用は319,984千円(同 9.6%増)となり、営業損失は25,645千円(前連結会計年度は営業損失 72,788千円)となりました。
4.ホテル事業
ホテル事業は、新型コロナウイルス感染症の影響も限定的で、ビジネス需要やスポーツイベントなどの増加により堅調に推移しました。また、全国旅行支援、国・県による観光復興支援の活用やOTAの企画にも積極的に参加し、集客に努めました。
当連結会計年度宿泊者数は26千人(前連結会計年度比 133.1%)、客室稼働率は75.1%(前連結会計年度は客室稼働率 58.2%)となりました。
その結果、営業収入141,011千円(前連結会計年度比 29.0%増)、営業費用は107,355千円(同 17.3%増)となり、営業利益は33,656千円(同 89.2%増)となりました。
5.不動産賃貸事業
不動産賃貸事業は、旧イオン島原店用地と旧島鉄バスターミナル用地を一体開発し、イオン九州株式会社に賃貸しております。
その結果、営業収入は55,009千円(前連結会計年度比 365.5%増)、営業費用は12,691千円(同 5.5%減)となり、営業利益は42,317千円(前連結会計年度は営業損失 1,618千円)となりました。
6.航空貨物運送事業
航空貨物運送事業は、地上便(トラック便)が中心となり、営業収入はほぼ横ばいで推移しました。
その結果、営業収入は118,467千円(前連結会計年度比 0.3%減)、営業費用は130,244千円(同 2.1%減)となり、営業損失は11,777千円(前連結会計年度は営業損失 14,310千円)となりました。
7.その他事業
その他事業は、当社(提出会社)の物販事業と当社連結子会社が営む広告事業が含まれております。物販事業は、西九州新幹線開業記念グッズや沿線地域とのコラボ商品の販売などを中心に行いました。
その結果、営業収入は35,068千円(前連結会計年度比 9.2%増)、営業費用は28,480千円(同 6.6%増)となり、営業利益は6,588千円(同 21.9%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ119,338千円増加し、当連結会計年度末残高は386,441千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は170,419千円(前連結会計年度は472,421千円の使用)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益に減価償却費等を加減算した結果によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は32,125千円(前連結会計年度は74,204千円の獲得)となりました。これは主に有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は18,955千円(前連結会計年度は86,190千円の獲得)となりました。これは主に長期借入金の返済によるものです。
当社グループでは、生産を行っておりませんので省略します。
当社グループでは、受注生産を行っておりませんので省略します。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は10%以上の相手先はなく省略します。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、営業収入1,817,853千円(前連結会計年度比 16.5%増)となりました。一方、営業費用は、1,939,157千円(前連結会計年度比 0.0%減)となりました。
その結果、営業損失は121,304千円(前連結会計年度は営業損失 378,730千円)となり、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は113,342千円(同 親会社株主に帰属する当期純損失 52,099千円)となりました。
なお、セグメントごとの営業収入及び営業損益については、前掲の「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
a.経営成績等に重要な影響を与える要因について
当社グループの主体である交通運輸事業の経費の主なものは燃料費であり、原油価格の高騰は、経営成績等に重要な影響を与えます。よって、燃料仕入単価をいかに抑えるかが経営戦略上重要となります。
b.戦略的現状と見直し
当社グループは、燃料の共同仕入による燃料費コストの圧縮、抑制に加え、整備などの徹底と運行(運航)の効率化により経費削減に努め、効率的な経営を目指します。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
1.鉄道事業
鉄道事業の当連結会計年度の営業損失は144,056千円となり、前連結会計年度に比べ58,527千円改善いたしました。
鉄道事業の課題は、コロナ禍からの経済回復が緩やかに進む中で、人口減少や少子高齢化、原油価格をはじめとする原材料費の高騰に加え、鉄道の運転士不足に直面しており、運行ダイヤ維持への対応など今後も厳しい状況が続くものであると認識しております。
引き続き、今後回復が見込まれる観光需要を最大限に取り込むべく、西九州新幹線や熊本県並びに天草地方との連携、観光列車をはじめとする企画商品の強化、サイクルツーリズムの推進、さらにはCMなどで全国的にクローズアップされた「大三東駅」の活用や地元企業とコラボした商品開発により収益の確保を図るとともに島原半島への誘客にも積極的に取組み、持続可能な成長を目指します。
2.自動車運送事業
自動車運送事業の当連結会計年度の営業損失は22,386千円となり、前連結会計年度と比べ88,234千円改善いたしました。
自動車運送事業の課題は、コロナ禍からの経済回復が緩やかに進む中で、人口減少や少子高齢化、原油価格をはじめとする原材料費の高騰に加え、バスの運転士不足に直面しており、運行ダイヤ維持への対応など今後も厳しい状況が続くものであると認識しております。
引き続き、安全安心を最優先に、需要に応じたダイヤ改正を実施し、運行ダイヤの適正化に努めてまいります。
3.船舶運航事業
船舶運航事業の当連結会計年度の営業損失は25,645千円となり、前連結会計年度と比べ47,143千円改善いたしました。
船舶運航事業の今後の課題は、現在使用している設備について、安全性の観点からも更新を検討する時期と認識しております。今後の動向を踏まえ、検討を進めてまいります。
4.ホテル事業
ホテル事業の当連結会計年度の営業利益は33,656千円で前連結会計年度と比べ15,867千円の増益となりました。
引き続き、回復が見込まれる観光需要を最大限に取り込むべく、営業活動の強化を図ってまいります。
5.不動産賃貸管理事業
不動産賃貸管理事業の当連結会計年度の営業利益は42,317千円となり、前連結会計年度と比べ43,935千円の増収となりました。
今後は、イオン九州株式会社や鉄道事業、自動車運送事業等との連携強化を図ってまいります。
6.航空貨物運送事業
航空貨物運送事業の当連結会計年度の営業損失は11,777千円で前連結会計年度と比べ2,533千円改善いたしました。
アフターコロナを見据え、営業活動の強化を図ってまいります。
7.その他事業
その他事業の当連結会計年度の営業利益は、6,588千円で、前連結会計年度に比べ1,184千円増益となりました。
アフターコロナを見据え、営業活動の強化を図ってまいります。
d.経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループは、コロナ禍からの経済回復が緩やかに進む中で、人口減少や少子高齢化、原油価格をはじめとする原材料費の高騰や円安による物価の高騰に加え、鉄道・バスの運転士不足に直面しており、運行ダイヤ維持への対応など今後も厳しい経営環境が予測されます。
このような経営環境において、当社グループは、経営に関する諸問題に対する意識を経営陣だけにとどめず広く社内全般で共有し、問題解決に全社員で取組み、速やかに解決する所存であります。
また、国・県・沿線自治体とも連携しながら、公共交通機関としての使命を果たし、「人と人、街と街を結ぶ企業として、島原のくらしを支え、社会の繁栄に貢献する。」ことをグループの使命として掲げ、持続可能なグループ経営を構築してまいります。
② 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金の状況については、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金、補助金及び借入金により資金調達することとしております。また、短期運転資金は、自己資金や親会社によるキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)及び金融機関からの短期借入金を基本としております。
なお、人口減少や少子高齢化の進行による売上減少は続くと予想され、設備投資の抑制、更なる経費削減が必要と認識しております。また、必要な設備投資の財源は、自己資金、補助金及び借入金などを基本としております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債及び報告期間における収益、費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りは、過去の実績等に基づき合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定につきましては、「第5.経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積りに関する注記)」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローの見積りに当たり、過去のトレンド及び予算数値などを考慮して見積もっております。当該見積りには、地域人口統計の変動率の見込みなどの仮定を用いております。
b.退職給付債務の算定
当社グループの退職給付費用及び債務は、割引率・昇給率等数理計算上で設定される条件に基づき算出されております。したがって、制度又は条件に変更が生じた場合に、退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
c.鉄道車両に係る耐用年数
当社グループは税法に規定する耐用年数を基調としつつも、鉄道車両の使用状況を勘案し、当該車両の耐用年数を経済的耐用年数30年としております。