東京臨海高速鉄道株式会社

陸運業鉄道

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最終更新:

E04145 Japan GAAP

売上高

153.5億 円

前期

130.9億 円

前期比

117.2%


3【事業の内容】

当社は、平成14年12月1日に全線開業したりんかい線を第一種鉄道事業者として運営する旅客運送業者です。

りんかい線は、新木場を起点に臨海副都心を経て大井町・大崎に至る12.2㎞を19分で結んでおり、大崎駅においてJR埼京線と相互直通運転を行っている旅客鉄道です。

本線は、東京圏鉄道ネットワークの充実を図るとともに、臨海副都心の開発を促進し、内陸部の既成市街地と臨海副都心とを結ぶ大量の輸送需要に応えることが期待されています。

[営業区間]

第一期

新木場~東京テレポート

4.90km

平成8年3月30日開業

 

第二期

東京テレポート~天王洲アイル

2.87km

平成13年3月31日開業

 

 

天王洲アイル~大崎(全線)

4.43km

平成14年12月1日開業

 

(りんかい線路線図)

※画像省略しています。

 

当社線の建設に当たっては、東京都を始めとする地方公共団体や民間企業から出資・負担金の受入れ並びに金融機関等から長期借入を行うとともに、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設した鉄道施設の譲渡を受けました。その結果、現在、長期借入金を返済するとともに、鉄道施設の譲渡代金については有利子の長期未払金として分割返済しています。

 

23/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。

 

①経営成績の状況

当事業年度の営業収益は前事業年度比2,255百万円増(17.2%増)の15,347百万円となりました。これは、特に定期外のお客様の回復が寄与したことにより、旅客運輸収入が前事業年度比2,343百万円増(20.3%増)の13,860百万円となったこと等によるものです。

営業費は、世界的な燃料費の高騰により電動力料が増加した一方、引き続き支出の抑制に取り組んでいることに加え、東京2020大会関連経費、車両使用料や減価償却費が減少したことなどにより、前事業年度比289百万円減(2.0%減)の14,151百万円となりました。

以上の結果、営業利益は1,196百万円(前事業年度は営業損失1,347百万円、2,544百万円の改善)となりました。

営業外収益は前事業年度比4百万円減(33.4%減)の9百万円となりました。

営業外費用は、借入金等の残高の減少による支払利息の減少等により前事業年度比191百万円減(27.8%減)の498百万円となりました。

以上の結果、経常利益は707百万円(前事業年度は経常損失2,024百万円、2,731百万円の改善)となりました。

特別利益は、東京テレポート駅ホームドア設置等に係る補助金収入等の569百万円を計上し、特別損失は、補助金収入等により取得した固定資産の圧縮損の558百万円を計上しております。

以上により、法人税等118百万円を差し引き、法人税等調整額193百万円を加えた最終的な当期純利益は793百万円(前事業年度は当期純損失2,011百万円、2,805百万円の改善)となりました。

当事業年度における運輸成績は以下のとおりであります。

 

 

 

前事業年度

当事業年度

 

 

 

単位

(自 令和3年4月1日

(自 令和4年4月1日

前年同期比(%)

 

 

 

至 令和4年3月31日)

至 令和5年3月31日)

 

営業日数

 

365

365

100.0

営業キロ

 

km

12.2

12.2

100.0

客車走行キロ

 

千km

12,424

12,421

100.0

乗車人員

定期

千人

30,125

31,005

102.9

 

定期外

千人

26,861

34,921

130.0

 

合計

千人

56,987

65,926

115.7

旅客運輸収入

定期

百万円

4,393

4,487

102.1

 

定期外

百万円

7,122

9,372

131.6

 

合計

百万円

11,516

13,860

120.3

運輸雑収

 

百万円

1,575

1,487

94.4

収入合計

 

百万円

13,092

15,347

117.2

乗車効率

 

16.8

19.8

117.9

(注)乗車効率の算出方法

乗車効率=

乗車人員×平均乗車キロ

×100

客車走行キロ×平均定員

 

②財政状態の状況

当事業年度末における財政状態につきましては、資産194,296百万円(前事業年度末比8,025百万円減)、負債108,301百万円(同8,818百万円減)、純資産85,995百万円(同793百万円増)となりました。

資産減少の主な要因は、固定資産等の減価償却の進捗によるものです。負債減少の主な要因は鉄道・運輸機構長期未払金等の金融債務の返済の進捗によるものです。純資産は、当期純利益を793百万円計上したことにより増加し、自己資本比率は44.3%と前事業年度比2.1ポイント増加しました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,702百万円となり、前事業年度末より777百万円減少しました。

 

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、7,269百万円の収入超過となり、前事業年度の実績6,506百万円の収入超過に比べ763百万円の収入増となりました。これは、税引前当期純利益が718百万円となり、前事業年度の税引前当期純損失2,007百万円に比べ2,726百万円改善した一方、前事業年度に受けた法人税等及び消費税等の還付合計1,346百万円がなくなったことや減価償却費が341百万円減少したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,444百万円の収入超過となり、前事業年度の実績8,992百万円の支出超過に比べ10,436百万円の収入増となりました。これは、定期預金の預入や有価証券等の取得及び償還に伴う純収入が2,400百万円と前事業年度の純支出7,000百万円に比べ9,400百万円増加した一方、有形及び無形固定資産の取得による支出が1,544百万円と前事業年度の2,152百万円の支出に比べ607百万円減少したことや補助金等の受取額が588百万円と前事業年度の受取額160百万円に比べ428百万円増加したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、9,490百万円の支出超過となり、前事業年度の実績1,468百万円の支出超過に比べ8,022百万円の支出増となりました。これは、前事業年度は社債の発行による収入が7,959百万円あった一方、当事業年度は社債の発行による収入がなかったこと等によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社の事業内容は、生産、受注及び販売の形態をとっていないため、「生産、受注及び販売の実績」については、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「①経営成績の状況」において、運輸成績として記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、報告書提出日現在において判断したものであり、今後様々な要因によって異なる結果となる可能性があるため、その達成を保証するものではありません。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う経済活動の制約が徐々に緩和されたことにより、緩やかな持ち直しの動きが続きました。

これに呼応し、当社線の沿線では、とりわけ下期において、通勤者等の回復、イベントの再開等に伴う来訪者の増加が見られました。

このような状況の中で、当社においては、ご利用になるお客様や社員等の感染防止対策を徹底しつつ、生活行動や経済活動を支える輸送需要を担う公共交通機関として事業を継続する使命を果たしてまいりました。その一方で、経営状況の回復を目指すため、より意識的に経費の削減や設備投資の精査、営業収益の確保、組織運営の強化に取り組んでまいりました。

また、令和4年度からの3年間を計画期間とする「中期経営計画2022」をスタートさせ、「安全・安定・安心輸送の確保」「お客様サービスの向上」「沿線地域の発展と持続可能なまちづくりへの貢献」「着実な事業運営に向けた経営基盤の強化」の4つの目標のもと、必要な施策を進めてまいりました。

安全・安定・安心輸送の確保に関しては、安全管理体制の強化として、異常時におけるお客様の避難誘導や駅係員の初動対応等の確認を目的とした品川警察署及び大井警察署との合同訓練を実施したほか、車内・駅構内のセキュリティ向上を図るため、昨年度に引き続き巡回警備員の増強を行いました。また、当事業年度は、新たに東京テレポート駅においてホームドアの設置を行い、ホーム上の安全性の更なる向上を図るとともに、新木場駅への設置に向けた設計など準備に着手しました。さらに、災害対策の取組強化として、引き続き高架橋等の橋脚への耐震補強工事を着実に進めております。

お客様サービスの向上に関しては、新型車両の仕様の確定や導入スケジュールの精査など準備を進めるとともに、バリアフリーの推進として、障がい者割引が適用されるお客様向けの新たなICカードサービスを導入しました。また、新入駅員向けCS研修など実践的な接遇研修やOJTの実施を通じ、駅係員の更なる接遇力の向上に努めました。

沿線地域の発展と持続可能なまちづくりへの貢献に関しては、当社全線開業20周年(令和4年12月)を、沿線地域・企業との連携の契機と位置づけ、劇団四季「ライオンキング」ご観劇のお子様への一日乗車券プレゼントや、夏休みスタンプラリーの開催、模型運転会の開催などの取組を実施いたしました。また、アニメ「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」とコラボレーションし、一日乗車券セットの販売や、国際展示場駅の駅名看板の期間限定での変更(「虹ヶ咲学園前」)を実施したほか、お台場・有明を中心に沿線の魅力を紹介したPR誌「るるぶ特別編集りんかい線」を発行するなど、沿線への積極的な集客を図ってまいりました。

さらに、環境負荷低減に向けた取組強化として、夏季の電力需給ひっ迫期間を中心に、エスカレーターや自動券売機の一時停止や照明の一部消灯など節電の取組を強化するとともに、より省エネルギー性に優れた自動販売機への更新や、鉄道会社としては全国で初めて異物混入抑止リサイクルボックスの駅施設への一斉導入を行いました。

着実な事業運営に向けた経営基盤の強化に関しては、経費の節減や効率的・効果的な設備投資の実施に取り組むとともに、収益分析や金融市場等の動向把握に努め、有利子負債の着実な返済を進めました。また、「コミックマーケット100」及び「コミックマーケット101」の記念一日乗車券の販売や、国際展示場駅へのデジタルサイネージ設置など、営業収益の確保に向けた取組を実施しました。さらに、社員が主役となりいきいきと働ける職場づくりとして、新たに「りんかい車座ミーティング」を開催し、社員と経営層との間で意見交換を行うなど、社内コミュニケーションの活性化と風通しの良い職場づくりに向けた取組を推進しました。

 

当事業年度の乗車人員は、定期のお客様が前事業年度比2.9%増加、定期外のお客様が前事業年度比30.0%増加しました。合計では、前事業年度比15.7%増の6,592万人、一日平均では24,491人増の180,620人となりました。

新型コロナウイルス感染症からの回復による、通勤・通学の再開、沿線施設やお台場地域でのイベントの再開などにより、定期・定期外ともに増加しましたが、テレワークの浸透などの社会的な構造変化の影響は引き続いており、定期の乗車人員の回復は足踏みしました。

当事業年度の運輸収入は、特に定期外のお客様の回復が寄与したことにより、前事業年度比2,343百万円増(20.3%増)の13,860百万円となりました。運輸雑収は、車両使用料が減少したことなどにより、全体で前事業年度比88百万円減(5.6%減)の1,487百万円となりました。

その結果、営業収益は2,255百万円増(17.2%増)の15,347百万円となりました。

営業費は、世界的な燃料費の高騰により電動力料が増加した一方、引き続き支出の抑制に取り組んでいることに加え、東京2020大会関連経費、車両使用料や減価償却費が減少したことなどにより、前事業年度比289百万円減(2.0%減)の14,151百万円となりました。

その結果、営業利益は1,196百万円(前事業年度は営業損失1,347百万円、2,544百万円の改善)となりました。

営業外収益は前事業年度比4百万円減(33.4%減)の9百万円となりました。営業外費用は、借入金等の残高の減少による支払利息の減少等により前事業年度比191百万円減(27.8%減)の498百万円となりました。

その結果、経常利益は707百万円(前事業年度は経常損失2,024百万円、2,731百万円の改善)となりました。

特別利益は、東京テレポート駅ホームドア設置等に係る補助金収入等の569百万円を計上し、特別損失は、補助金収入等により取得した固定資産の圧縮損の558百万円を計上しております。

その結果、法人税等118百万円を差し引き、法人税等調整額193百万円を加えた最終的な当期純利益は793百万円(前事業年度は当期純損失2,011百万円、2,805百万円の改善)となりました。

当事業年度末における財政状態につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要」の「②財政状態の状況」に記載しております。

なお、令和4年3月に策定した当社の「中期経営計画2022」(令和4年度~令和6年度)の中で、令和6年度の経営数値目標を設定しており、その具体的な内容及び当事業年度の実績は以下のとおりです。

指標

指標数値目標(令和6年度)

(参考)当事業年度の実績

営業収益

179億円

153億円

経常利益

22億円

7億円

自己資本比率

43%

44.3%

有利子負債

1,045億円

1,031億円

(注)自己資本比率、有利子負債は事業年度末時点の数値です。

 

「中期経営計画2022」の初年度に当たる当事業年度は、旅客運輸収入が定期外のお客様の回復により増収となった一方、営業費が減少したこと等により、営業収益は令和6年度の数値目標対比85%となり、経常利益は3期ぶりに黒字に転換しました。自己資本比率は、総資産が固定資産の減価償却の進捗等により減少する一方、純資産が当期純利益分増加した結果、当事業年度末時点の実績は令和6年度の数値目標を上回りました。有利子負債残高は、鉄道・運輸機構未払金等の返済を着実に進めた結果、当事業年度末時点の実績は令和6年度の数値目標を上回りました。当社を取り巻く経営環境は依然として不透明な状況にありますが、引き続き「中期経営計画2022」に掲げた、「安全・安定・安心輸送の確保」を始めとする経営目標の実現に取り組んでまいります。

 

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社は収入の大部分を鉄道事業が占め、その事業の性格上、営業活動によるキャッシュ・フローは比較的安定して推移しており、当事業年度においても新型コロナウイルス感染症の影響を受けたものの、収入超過を維持しております。一方で、当社線の建設に当たっては莫大な資金を要し、東京都を始めとする地方公共団体や民間企業から出資・負担金の受入れ並びに金融機関等から長期借入を行うとともに、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構が建設した鉄道施設の譲渡を受けました。その結果、当社は、長期借入金と鉄道施設の譲渡代金である長期未払金という多額の有利子負債を抱えており、その返済を計画的・安定的に行う必要があります。加えて、運送費、一般管理費等の営業費用の支払や安全対策の強化、バリアフリー対応などの設備投資を着実に実施していくための資金需要もあります。

これら必要な資金の調達の方法としては、償却前営業利益を基本に、必要な範囲で銀行借入や社債発行などの方法により外部から長期の資金を調達して確保する予定です。また、運転資金は基本的に営業収入により賄えていますが、金融機関と極度額30億円の当座貸越契約を令和2年6月に締結し、緊急時の流動性を確保しています。

以上により事業遂行に必要な資金調達は問題なく対応可能と認識しています。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。