E04152 Japan GAAP
前期
91.5億 円
前期比
120.4%
本路線の建設工事は、鉄道・運輸機構工事(一部を除く)として施行され、2004年1月31日に鉄道施設の譲渡を
受けて2月1日に営業を開始しました。
みなとみらい21線路線図
「みなとみらい21線事業の資金等の流れ」
(注) 完成した鉄道施設は、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「鉄道・運輸機構」という。)から譲渡を受け、当社調達資金を除く譲渡代金を、長期割賦により支払っています。
「みなとみらい21線建設事業費の資金調達方法」
(注) 1 P線資金には、純工事費、機構管理費及び支払利息を含んでおります。
2 補助金及び負担金は、開発者負担金、新高島駅負担金等であります。
3 借入金は、日本政策投資銀行及び民間銀行から調達しております。また、みなとみらい21線は、多極分散型国土形成促進法における業務核都市中核的民間施設整備事業の対象でありますので、日本政策投資銀行から無利子借入を受けております。
4 資本金は、地方公共団体(横浜市、神奈川県)から50%、民間企業等から50%の出資をしております。
5 建設事業費は、横浜駅中心より元町までの4.2km(建設キロ)の用地費、路盤費のほか、車両費、開業設備費、管理費等を含んでおります。
「東急東横線地下化事業負担金の資金等の流れ」
「東急東横線地下化事業負担金の資金調達方法」
(注) 東急東横線地下化事業に伴う当社の負担について、横浜市から出資、無利子借入、利子補給の支援を受けております。
こどもの国線〔長津田~こどもの国間3.4km(営業キロ)〕については、第三種鉄道事業者として鉄道施設を保有
するものです。1997年に第三種鉄道事業免許を社会福祉法人こどもの国協会より譲受し、営業しております。
2000年3月29日には、通勤線として運行を開始しており、東急電鉄株式会社が第二種鉄道事業者として運輸営業
を行っています。
こどもの国線路線図
京浜急行電鉄株式会社の横浜駅の改良工事については、当社が事業主体となり、1999年に創設された
「鉄道駅総合改善事業」の制度の適用を受け、事業を実施し、2007年度に工事が完了しました。
2004年2月に、きた通路に接続する北部改札の賃貸を開始し、以後みなみ通路に接続する通路、下りホーム等
を工事完成後順次、京浜急行電鉄株式会社に賃貸しています。
京浜急行・横浜駅の駅総合改善事業概要図
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態および経営成績の状況
当期は、新型コロナウイルス感染症の影響から着実に回復しつつあるものの、世界的な物価高や不安定な国際情勢に伴う燃料費高騰などの影響を受け、引き続き先行きが不透明な経済状況となりました。当社の事業についても、コロナの第7波や第8波により輸送人員の回復が想定よりも緩慢なものとなったうえ、電気料金の値上がりが大きく影響し、厳しい経営環境におかれました。
1) 経営成績
当事業年度のみなとみらい21線の輸送人員は、コロナ禍の中で沿線企業のテレワークの定着などが要因となり、定期が前期比7.1%増の3,167万2千人(1日当たり8万6千773人)、定期外が前期比34.2%増の3,688万人(同10万1千41人)となりました。合計で前期比20.2%増の6,855万2千人(同18万7千813人)となりました。
これにより、運輸収入は、定期が6.2%増、定期外が34.5%増となり、合計で前期比18億3千9百万円 (23.8%)増加しました。また、運輸雑収は、4千7百万円(4.0%)増加しました。営業収益全体としては、18億6千7百万円(20.4%)増加し、110億2千万円となりました。一方、営業費は、電力料金の値上がり等により前期比1億7千7百万円(1.7%)増加し、104億9千2百万円となりました。この結果、営業損益は5億2千8百万円の営業利益となりました(前年同期は11億6千2百万円の営業損失)。 また、経常損益は、支払利息などの営業外費用が減少したものの、3億7千万円の経常損失となりました(前年同期は21億5千4百万円の経常損失)。特別利益は、7億8千9百万円で当期は、工事負担金等受入額5億2千9百万円、こどもの国線の運営に係る補助金2億5千9百万円を計上しており、特別損失は固定資産圧縮損7億4千7百万円、法人税等として4百万円を計上した結果、当期純損益は、3億3千1百万円の当期純損失となりました(前年同期は20億4千1百万の当期純損失)。
みなとみらい21線事業、こどもの国線事業、駅施設貸付、運輸雑収の収入
当事業年度末における財政状態につきましては、資産2,019億3千3百万円(前事業年度末比26億8千5百万円減)、負債1,671億7千7百万円(同23億5千3百万円減)、純資産347億5千6百万円(同3億3千1百万円減)となりました。
資産減少の主な要因は、固定資産の減価償却の進捗です。なお、ワンマン運転化支援設備(7億9百万円)等の新規投資も行っております。負債減少の主な要因は、鉄道施設購入長期未払金及び長期借入金の約定償還です。純資産は、当期純損失3億3千1百万円を計上したため同額減少し、自己資本比率は17.2%と前事業年度比0.1ポイント増加しました。
当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度に比べて3億5千1百万円(△3.5%)減少し、98億6百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前当期純損失に、減価償却費、車両修繕引当金繰入額といった非資金項目の加算等を行った結果、前事業年度比8億9千9百万円(20.6%)増加し、52億6千万円の余剰となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
補助金収入が2億4千7百万円、工事負担金等受入による収入が1億9千6百万円ありましたが、更新投資やソフトウェアの改良等固定資産取得のための支出が36億7千万円、長期預り金の返還による支出が1億1千6百万円ありましたので、33億1千5百万円の支出超過となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金や鉄道施設購入長期未払金の返済として166億5千9百万円の支出を行う一方、長期借入金による調達65億3千4百万円、社債の発行による調達79億5千1百万円の収入がありましたので、財務活動では22億9千6百万円の支出超過となりました。
③ 生産、受注及び販売の状況
当社の事業内容は、そのほとんどが生産、受注及び販売の形態をとっていないため、「生産、受注および販売の状況」については、「(1)経営成績等の状況の概要」の「①財政状態および経営成績の状況」「1)経営成績」において、みなとみらい線21事業、こどもの国線事業、駅施設貸付、運輸雑収の収入として記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容等
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しています。その作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積もりについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性の存在により、これらの見積りと異なる場合があります。
「繰延税金資産の回収可能性」を評価するに際しては、将来の課税所得を十分に検討し、合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で判断しております。
また、「車両修繕引当金」は、「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」(平成13年12月25日 国土交通省令 第151号)第90条の定めによる車両の重要部検査及び全般検査の費用に備えるためのもので、当社では車両の走行距離を基準に、当事業年度末までに発生していると見込まれる額を引当計上しています。
なお、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症や電力料金の高騰の影響の考え方については、「第5 経理の状況」「2 財務諸表等」「注記事項」「重要な会計上の見積り」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討の内容
1) 経営成績等
2021年から4年間の中期経営計画(第4期)をスタートしました。ポストコロナ時代を見据えて持続的な経営を行うため、2024年度までの4か年を将来の進化・成長に備えた基盤構築を推進する期間と位置付けし、経営目標となる「経営の健全化」と「お客様視点のサービスの提供」に向け、運営構造の改革に取り組んでいます。
しかし、沿線企業のテレワークの普及や沿線のイベント開催制限などライフスタイルの変容により、定期及び定期外の輸送人員が、新型コロナウイルス感染症拡大前に比べ減少した状況が続いており、2022年度の輸送人員は、6,855万人で中期経営計画の計数は未達となりました。
(年間輸送人員の実績及び指標) (万人)
2) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
新型コロナウイルス感染症の影響から脱却して経営を健全化し、それを持続していくため、あらゆる面において収益確保策やコスト抑制策を講じて、安定した経営基盤を創り、企業価値の向上を図って参ります。
また、ポテンシャルをもった横浜都心臨海部の活力を最大限に引き出すとともに、お客様視点に立ったサービスを提供して、持続的に沿線地域に集う人々の豊かな生活に貢献して参ります。
これら目標を具体化したものとして、営業収益、経常損益の指標を掲げておりますが、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響により、2022年度の営業収益は、110億2千万円となりました。経費削減を進めましたが、電力料金の値上がりを受け、経常損益は3億7千万円の経常損失となり、いずれも中期経営計画の計数は未達となりました。
(営業収益・経常損益及び指標) (億円)
3) 資本の財源及び資金の流動性
当社は、収入の大部分を鉄道事業が占めており、コロナ禍前より旅客運輸収入が減少したものの、営業活動によるキャッシュ・フローはプラスを維持しています。一方、みなとみらい21線の建設にあたっては多額の資金を要し、有利子負債金額も多いことから、借入金返済の一部を借換えています。その必要な資金は、銀行等からの借入および社債の発行等により資金調達を行っています。有利子負債の残高は、前事業年度より22億1千3百万円減少し、1,196億5千2百万円となっております。
資金調達については、資金の安定性を確保するために、長期の調達を主としております。また、金利変動リスクを考慮し、固定金利と変動金利の割合にも配慮しています。
年間における資金調達額が多額になることから、社債の発行等により資金調達手段を多様化するとともに、借入先については、銀行のほか生命保険会社等も加え、資金の流動性、安定性にも留意しています。