売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E27562 IFRS

売上高

54.0億 円

前期

55.4億 円

前期比

97.4%


3【事業の内容】

 当社は創業以来、決済サービスを主たる事業として運営してまいりましたが、2017年4月に、「SBIレミット株式会社」、「SBIソーシャルレンディング株式会社」及び「SBIビジネス・ソリューションズ株式会社」の3社を完全子会社化し、決済サービスに加え、国際送金サービス、ソーシャルレンディングサービス、バックオフィス支援クラウドサービス等も展開する総合FinTechソリューション企業へと変貌しました。

 なお、当社グループでは、選択と集中による経営資源の最適配分と継続的な事業ポートフォリオの見直しによって、一層の企業価値向上を図ることを目的とし、2018年12月にSBIソーシャルレンディング株式会社の全株式を譲渡、また2020年11月にビジネスサーチテクノロジ株式会社の全株式を譲渡、さらに2022年3月にSBIレミット株式会社の全株式を譲渡したため、現在はそれぞれ「国際送金事業」の内容は、韓国における国際送金サービスを対象、「バックオフィスSaaS事業」の内容はバックオフィス支援サービスを中心としたものとなっております。

 この再編に伴い、報告セグメントとしては、始業である「決済サービス事業」、「バックオフィスSaaS事業」、「国際送金事業」の3区分としております。

 当社グループは、連結子会社9社及び持分法適用関連会社1社で構成されており、FinTechをキーワードに「顧客中心主義に基づく金融サービスのイノベーターとして新しい価値を創造していく」の企業理念のもと、決済サービス事業、バックオフィスSaaS事業、及び国際送金事業の3区分を事業セグメントとして、従来金融機関では満たせない多様なニーズに応えるサービスを開発・提供しております。

 決済サービス事業においては、EC事業者・リアル店舗事業者向けに、クレジットカード決済、コンビニ決済、銀行振込決済等、対面・非対面を問わず様々な決済ソリューションを提供しており、加盟店の事業内容や特性に応じて、株式会社ゼウス及び株式会社AXES Paymentとの間で事業の棲み分けを行っております。なお、両社は共に当社の所有するシステムや人的リソースを利用するために、当社との間で業務委託契約を締結しております。この他、ファクタリングサービスを中心に、資金需要の旺盛な事業者向けに将来債権及び確定債権の買取等によるサービス提供をしております。グループシナジーを活かす戦略として、2022年6月からはクラウド型請求書管理システム「請求QUICK」を利用する顧客向けにオンラインファクタリングサービスの提供も開始し、サービス提供の裾野を拡大しております。バックオフィスSaaS事業においては、クラウド型請求書管理システムやクラウド型経費精算システムの提供をはじめとした企業のバックオフィス支援、及び総合ITセキュリティサービス等、企業向けの様々な支援サービスを提供しております。国際送金事業においては、韓国に在留する外国人向けに安価かつ便利な国際送金サービスを提供しております。当社グループは総合FinTechソリューション企業として、各種FinTech関連サービスの成長による新たな顧客価値の創造・展開を通して、社会に貢献することを目指しております。

 当社グループの事業区分とサービス内容は次のとおりであります。
 なお、当連結会計年度より、各セグメントの事業実態を踏まえ、セグメント名について「個人向けマネーサービス事業」を「国際送金事業」、「企業支援サービス事業」を「バックオフィスSaaS事業」にそれぞれ変更いたしました。セグメント名の変更は、より実態に即してわかりやすい名称にする目的であり、前連結会計年度から事業内容の変更を伴うものではありません。また全体に占める売上の割合等を考慮し、①決済サービス事業、②個人向けマネーサービス事業、③企業支援サービス事業から、①決済サービス事業、②バックオフィスSaaS事業、③国際送金事業とし、セグメント名及び表示順を変更しております。

 

(1)決済サービス事業

① オンライン決済サービス

 EC事業者が運営するウェブサイト等において、決済手段(クレジットカード決済、コンビニ決済、Pay-easy決済、口座振替決済、銀行振込決済、キャリア決済、電子マネー決済等)をワンストップで導入できるサービスです。EC事業者の運営内容や規模に応じた最適なシステム、取引状況の管理ツール、EC事業者の顧客を対象としたカスタマーサポートサービスの提供により、売上向上や業務軽減に貢献しています。

 

② 店舗向け端末決済サービス

 飲食店やアパレル等の実店舗、屋外での催事やイベント、宅配、無人精算機等で利用可能なクレジットカード決済サービスです。従来の店舗据置型の端末だけでなく、移動型端末やスマートフォン・タブレットを利用したPOS連動端末等の提供により、事業者の利用環境に合わせた端末機と最適なソリューションを提供しています。

 

③ フィナンシャルソリューションサービス

 ファクタリングを中心とした各種金融サービスを提供しています。従来金融機関では広告費の名目では資金調達が難しい中、EC事業者のクレジットカード将来債権を買い取ることで、思い切った広告施策が実現でき、売上を大きく伸ばせるソリューションとしてサービスを提供しています。また調剤薬局等市場の再編が著しいメディカル分野において調剤報酬債権の買取等により、各事業者にとって最適なファイナンスサービスを提供しています。

 

(2)バックオフィスSaaS事業

① バックオフィス支援サービス

 クラウド型の請求書管理システム「請求QUICK」、経費精算システム「経費BANK」、稟議承認システム「承認TIME」等の提供、経理コンサルティング・アウトソーシング受託、ビジネス文書テンプレート提供等、様々なツールやサービスの提供により、企業のバックオフィス業務を支援しています。このうち、2022年3月より提供を開始したクラウド型請求書管理システムの「請求QUICK」は、クレジットカード請求機能の「クレカQUICK」、自動入金消込機能の「消込QUICK」を標準搭載しており、また資金繰り改善効果を持つオンラインファクタリングの「入金QUICK」も、すべて1つのシステムで提供しております。業務効率化ツールとしてのSaaS機能とFinTechサービスの利便性を併せ持つシステムは他になく、初期・月額無料からという料金体系も特長であることから、中小企業の経営課題を低価格で解決できる「SaaS&FinTechサービス」として展開しています。「MoneyLook」の様々な口座情報の連携機能は、会計ソフトを提供する企業が自社製品に組み込んで利用したり、「経費BANK」を利用する企業の効率的な精算業務のソリューションとして利用されています。2018年10月からは、マイナンバー管理サービスを開始し、法律により厳密な安全管理措置等が義務づけられているマイナンバーの収集・保管・廃棄までの管理体制整備や管理業務の事務代行、またセキュリティ環境の確保のため、マイナンバー管理システムの構築にかかる開発や、運用・保守等のサービスを、パートナー企業と共に提供しています。2022年11月に「マイナワン」としてサービス名をリニューアルし、証券会社等本人確認が必須な業界等を中心に展開しております。

 

② セキュリティサービス

 クレジットカードの不正利用額が毎年過去最高を記録し、業界を挙げてのセキュリティ対策が叫ばれる中、フィッシング詐欺等で不正に得たクレジットカード番号の盗用や、EC事業者が運営するウェブサイトやPOSシステムからのクレジットカード情報の窃取、内部犯行による顧客情報の漏洩事件等サイバー攻撃による被害が増加傾向にあります。当社グループでは、事業者の情報セキュリティ強化に向けた体制づくりや認証取得支援、脆弱性診断からインシデント発生時をサポートするサービス等、総合的なセキュリティサービスを提供しています。

 

 

(3)国際送金事業

国際送金サービス

 外国人労働者が従来の銀行で外国へ送金するにあたっては、高い手数料、銀行窓口での複雑な書類作成、着金までに数日かかるといった課題があるとされてきました。こうした課題の解消を目指しSBI CosmoneyではFinTechサービスを活用した国際送金サービスを提供しております。銀行による海外送金と比べて、24時間送金が可能な点や早く・安く・簡単なサービスを強みとして、国際送金のパラダイムシフトを牽引しながら継続的に成長していくと予測されており、継続顧客の多くは、韓国国内に居住する就労外国人とその家族等であるため、スマートフォンのアプリ経由で国際送金技術の向上や即時性、手数料引き下げ等を通じて利便性を高め、送金対象国の拡大や送金手段の拡充を目指しています。

 

 

以上、述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

[事業系統図]

※画像省略しています。

(注1)株式会社ブロードバンドセキュリティは、2015年5月に株式の追加取得を行い、当社の持分法適用関連会社となりました。(現当社持分比率 21.10%)

(注2)SBI Cosmoney Co.,Ltd.は、2017年8月に韓国のCoinplug Inc.と共同出資で設立いたしました。その後、SBI Cosmoney Co.,Ltd.が2018年3月に実施した第三者割当増資、並びに2019年2月に実施した株主割当増資にかかる全株式を引き受ける形で当社が追加出資を行っております。(現当社持分比率 97.14%)

23/06/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度のわが国経済は、長期化するウクライナ戦争によるエネルギー価格の高騰や、世界的な金融引き締めによる円安進行に伴う国内の物価高等、前半は非常に不安定な中で推移したものの、年度後半にかけては新型コロナウイルス感染症のピークアウトに伴い、旅行等のサービス消費やインバウンド需要の大幅な回復傾向も顕著となり、主要先進国が軒並みマイナス成長となる中、日本経済は相対的には緩やかなプラス成長で推移しました。コロナ禍で生じたリモート化・デジタル化等はコロナ後もDXを加速する動きとして活発になり企業活動に変化をもたらしています。特にバックオフィス系の業務改善・リモートワーク実施の妨げとなっていた紙への押印作業や書類保管を電子データでも可能にする法改正や規制の緩和が次々と施行されたことで、企業のペーパーレス化・デジタル化の流れはさらに加速するとみられています。また持続可能な社会づくりに向け、世界各国から環境問題や気候変動への対応方針が示され、再生可能エネルギーの活用等の取組みが進んでおり、日本政府も2050年に脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、各国政府によるグリーン化の公共投資及び企業による設備投資の拡大が期待されております。

 当社グループの主要事業領域の一つである消費者向け電子商取引市場においては、物販のみならずサービス分野においてもコロナ前の水準を上回り、堅調に推移している一方で、昨年1年間のクレジットカード不正利用被害額が430億円超と過去最悪となり、業界をあげての対策が急務となっています。9割以上が「番号の盗用」による被害であることから、経済産業省はカード利用時の本人確認を強化する施策として最も有効な手段であるEMV 3-Dセキュア(3Dセキュア2.0)の導入を、2025年3月を目途に国内すべてのEC加盟店に対して義務付ける方針を示しました。当社は安心・安全なクレジットカード取引の推進のため、業界の先頭を切って検討を開始し、加盟店に「EMV 3-Dセキュア無料提供施策」を打ち出し、今後も積極的にセキュリティ強化に向けた対応を推進していく予定です。不正利用対策はEMV 3-Dセキュアの導入による「なりすましによる不正利用」を防ぐだけでなく、加盟店やカード会社側における注文情報のスコアリングや属性情報確認によるリスク判定等、多面的重層的な対応を行うことで業界全体として被害の抑制を図っていく必要があります。決済サービスそのものは、その産業の特性とキャッシュレス化が進む現代の社会環境や生活様式に合致した利便性の高い支払手段であるため、今後も継続的な市場規模の拡大が見込まれております。またSBI Cosmoney Co.,Ltd.の事業領域である国際送金市場については、コロナ禍で新規の外国人労働者が入国しない状況が継続したものの、新型コロナウイルス感染症のピークアウトと共に外国人の入国制限も解除され、これまで滞留していた外国人労働者が多く入国し、それに伴い新規会員の獲得数も戻りつつあります。今後はウォン安等、為替変動の状況に送金額が影響を受ける可能性が引き続きあるものの、外部環境全般としては好転したといえる状況の中で推移しました。

 こうした状況下において、当社グループは「総合FinTechソリューション企業」として、従来金融機関では提供できない領域に対する様々なニーズに、FinTech技術を活用した顧客便益の高いソリューションで応え、かつSBIグループで推進する「地方創生を地銀との連携を通して実現する」というビジョンの下、中小企業を中心とした事業法人獲得戦略でグループシナジーを活かした顧客基盤の拡大を目指し、中長期的視点に立った事業全般にわたる競争力の強化のための施策を推し進めてまいりました。

 

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,467,364千円増加し、47,799,691千円となりました。主な要因は、現金及び預金が2,506,433千円、買取債権が1,368,939千円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ4,478,943千円増加し、42,999,675千円となりました。主な要因は、借入金が2,245,559千円、仕入債務及びその他の債務が2,604,423千円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ11,579千円減少し、4,800,016千円となりました。主な要因は、利益剰余金が32,266千円減少したことによるものであります。

 

b.経営成績

 当連結会計年度における当社グループの取組みは、冒頭に記載のとおりであります。

 販売費及び管理費につきましては、費用削減努力を継続する一方で市場拡大に伴う積極的な顧客獲得のためのマーケティング施策や管理体制の強化及び事業展開を推進するために優秀な人材の積極採用を行った結果、増加しました。

 以上の結果、当社グループの当連結会計年度における経営成績は、収益5,401,695千円(前期比97.4%)、売上総利益3,538,864千円(前期比99.0%)、継続事業からの税引前当期利益445,518千円(前期比190.2%)、当期利益361,835千円(前期は当期損失534,488千円)、当期利益(親会社の所有者に帰属)359,446千円(前期は当期損失(親会社の所有者に帰属)537,710千円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2,506,433千円増加し、当連結会計年度末には、20,316,899千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは1,374,891千円の収入(前連結会計年度は 9,594,331千円の支出)となりました。これは主に買取債権の増減1,285,714千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは271,684千円の支出(前連結会計年度は5,779,450千円の支出)となりました。これは主に無形資産の取得による支出1,630,090千円、及び貸付金の回収による収入1,300,000千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは1,361,412千円の収入(前連結会計年度は12,147,481千円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純増減額2,585,500円によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、決済サービス事業、バックオフィスSaaS事業並びに国際送金事業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため記載しておりません。

 

b.受注実績

 生産実績と同様の理由により記載しておりません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自2022年4月1日

至2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

決済サービス事業

3,785,520

99.3%

バックオフィスSaaS事業

1,030,422

102.6%

国際送金事業

585,753

80.6%

合計

5,401,695

97.4%

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。

 なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3. 重要な会計方針 4. 重要な会計上の判断及び不確実性の見積りの主要な源泉」に記載しております。

 また、ピークアウト傾向にあるとはいえ新型コロナウイルス感染症の長期化に伴う影響及び新たに顕在化したロシアへの経済制裁による実体経済へ影響は見通しが難しい状況にあるものの、当社グループの事業活動及び業績への影響は限定的であることから、本連結財務諸表における重要な会計上の判断、見積り及び仮定の変更は見込んでおりません。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

a.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 決済サービス事業における市場動向としては、新型コロナウイルス感染症の「5類」への引き下げ方針が示されたことで対面決済も活気を取り戻し、非対面決済と共に新型コロナウイルスで消失したインバウンド需要も拡大基調を維持すると思われている状況の一方、競争激化による利益率の低下が続く等、成熟市場ゆえの課題も存在します。また新型コロナウイルス長期化で消失していたインバウンド需要は、想定よりも早く回復の兆しを見せており、経済全体への好影響も期待されています。またテレワーク拡大等で定着したEC化・DXのニーズに対し、グループ子会社が提供するクラウドサービスと決済、さらにファクタリングを中心としたフィナンシャルソリューションの連携等を強化し、当社の得意分野における市場等で差別化を図り、収益性の高いサービスを構築することで底上げを図っています。2023年10月開始の「インボイス制度」や「改正電子帳簿保存法」等の電子化を推奨する各種法改正は、市場の拡大と共に大きなビジネスチャンスである一方、デジタル化が進んでいない地方を含む全国の中小企業を中心とした新規顧客獲得に伴うコスト増も利益を圧迫する要因の一つと認識しており、そこに対しては、地銀とのパートナー戦略に加え業務効率化と改善ツール等も用いて継続的にコスト削減努力を行っていく方針です。

 国際送金サービス分野における世界的な市場動向は、グローバル化で出稼ぎ労働者を含む移民が増加し、1990年以降、年平均成長率は9%に達し、世界銀行のデータによれば2019年には約75兆円と過去最高を更新しました。しかし、ここ数年は新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、各国で厳しい入国制限を行う等、市場動向は不透明な状況で推移しましたが、ここにきてようやくピークアウトを迎えたという認識の下、厳しい制限が解除されこれまで滞留していた外国人の出稼ぎ労働者による国際送金市場も活気を取り戻しつつあります。こうした外部環境変動が激しい状況の中、アプリでの送金技術の向上や周辺領域を含めた付加価値の高い金融サービスの提供、また仕向国の拡大による外国人送金だけでなく、内国人送金も取り込む等新たな顧客獲得の方法を模索しつつ、顧客目線で最善・最良のサービスを常に提供し続けることが非常に重要と認識しております。

 当社グループの経営に影響を与える要因としては、各事業分野における市場動向、法規制及び法改正動向、サイバー攻撃等の高度化・巧妙化を含むセキュリティリスク動向、新規サービスの企画・開発を含むシステム対応状況等があります。当社グループは、決済サービス事業をメインとした「ECトータルソリューション企業」から「総合FinTechソリューション企業」へと進化しておりますが、コロナ禍に伴い一層需要が顕在化したペーパーレス化・デジタル化、また相次ぐ法改正によるDXの高まりを好機と捉え、これまで資金力のある一部の大企業しか実現できなかったDXにも、クラウド利用を含むITの力を駆使して全国の中小企業や個人事業主向け等スモールビジネス領域に対して、リスクを抑えつつ顧客中心主義の目線で優良なサービスを開発し提供していくことをミッションとし、事業ドメインとして注力しております。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの主な運転資金需要としては、クレジットカード会社に対する売上原価及び販売費、管理費等の営業費用や国際送金事業における送金資金、ファクタリング等のファイナンス資金であります。投資資金需要としては、システム投資を中心とした設備投資によるものであります。

 当社グループは事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金の活用及び金融機関からの借入及び当座借越、極度借入の未使用枠を有しております。また、複数の金融機関を比較することで、資金調達コストの逓減に努めております。

 

c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 なお、当連結会計年度より、各セグメントの事業実態を踏まえ、セグメント名について「個人向けマネーサービス事業」を「国際送金事業」、「企業支援サービス事業」を「バックオフィスSaaS事業」にそれぞれ変更いたしました。セグメント名の変更は、より実態に即してわかりやすい名称にする目的であり、前連結会計年度から事業内容の変更を伴うものではありません。また全体に占める売上の割合等を考慮し、①決済サービス事業、②個人向けマネーサービス事業、③企業支援サービス事業から、①決済サービス事業、②バックオフィスSaaS事業、③国際送金事業とし、セグメント名及び表示順を変更しております。

 

(a)決済サービス事業

 決済サービス事業におきましては、EC事業者向けの決済サービス(クレジットカード決済、コンビニ決済、Pay-easy決済、口座振替決済、銀行振込決済、キャリア決済、電子マネー決済等)、店舗向け端末決済サービス等の開発と販売に関する事業が属しております。スモールビジネスをメインターゲットに据え、すべてネットで完結する利便性の高いサービス提供のための環境構築や新サービス・機能開発等への投資も継続的に行い、またECカート連携等代理店施策のさらなる強化や業種別に特化した決済サービスの展開等、新たな顧客層の開拓も積極的に行いました。また昨今の資金需要の高まりを受け、ファクタリングを中心としたフィナンシャルソリューションの提供により、調剤薬局等の診療報酬債権の買取のみならず、バックオフィスSaaSサービスにファクタリング機能を付帯し、サービス提供の裾野をさらに拡大しております。一方、フィナンシャルソリューションの貸倒引当金の積み増しや決済系の新たなサービス開発におけるシステム外注費やマーケティング費用及び人材への先行投資等を継続しております。

 以上の結果、当連結会計年度における収益は3,785,520千円(前期比99.3%)、営業利益は662,121千円(前期比84.1%)となりました。

 

(b)バックオフィスSaaS事業

 バックオフィスSaaS事業におきましては、SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する、企業の「バックオフィス支援系クラウドサービス」や、持分法適用関連会社の株式会社ブロードバンドセキュリティが提供する「総合ITセキュリティサービス」等、企業の経理や会計・稟議システム等のバックオフィス業務を支援する様々なサービスとセキュリティ関連サービスが属しております。

 当事業におきましては、各種クラウドサービスの中でも特に請求書発行・経費精算における直販強化に加え、地銀や税理士・会計系ベンダーのパートナー経由等、積極的な販路拡大が奏功し、特に地域金融機関の紹介による地方の中小企業の新規顧客が顕著な増加をみせております。一方、経理業界における大きな転換点となることが予想される「インボイス制度」の開始や「改正電子帳簿保存法」の本格施行等を見据え、新規顧客獲得のための積極的なマーケティング施策や開発投資等を継続しております。

 以上の結果、当連結会計年度における収益は1,030,422千円(前期比102.6%)、営業利益は2,224千円(前期は営業損失216,147千円)となりました。

 

(c)国際送金事業

 国際送金事業におきましては、韓国のSBI Cosmoney Co.,Ltd.による「国際送金サービス」が属しております。

 当事業におきましては、年度後半より新型コロナウイルス感染症のピークアウトに伴い、外国人労働者の入国制限の解除等外部環境の好転が見られたことから、国際送金における新規会員獲得は徐々に回復基調で推移しているものの、依然厳しい状態が継続しております。また前連結会計年度においては韓国における一部の国向けで特需が発生した等の売上増加の特殊要因が発生しておりました。

 以上の結果、当連結会計年度における収益は585,753千円(前期比80.6%)、営業利益96,256千円(前期比74.4%)となりました。