売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E27562 IFRS


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)業績の状況

 当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、行動制限撤廃によるサービス消費増や、円安影響もあってインバウンド消費額がコロナ以前の水準を上回る等経済活動の正常化が進んだことに加え、株式市場においてもバブル経済崩壊後の最高値を更新する等緩やかな回復基調で推移いたしました。一方、ウクライナ侵攻の長期化と並行してガザ地区での戦闘開始等、世界的な政情不安が広がり、国内でも歴史的な高インフレに直面する中、「賃金と物価の好循環」までには至らず、年明けには能登半島を中心とした大地震や飛行機事故といった災害が重なり、これらの影響懸念と共に先行きは不透明な状況が続いております。

 当社グループが事業展開する国内電子商取引(EC)市場は、物販のみならずサービス分野においてもコロナ前の水準を上回り堅調に推移しております。また2023年10月の「インボイス制度」開始に伴い、請求書のデジタル化が進んだことで、BtoB ECの領域では卸販売のみならず、他の企業間取引においても法人クレジットカード払いのニーズの高まりが感じられる場面が増えてきました。アナログな銀行振込を代替する効率的な支払・回収手段としてのクレジットカード決済は、サブスク決済等BtoCではおなじみの決済手段がBtoBの決済領域にも適用されはじめ、そういった新たな顧客層にも支えられ市場は拡大していくものと予想しています。一方で、EC市場の伸びに伴い不正利用被害も急拡大しており、年々巧妙化するフィッシング詐欺によるカード情報の盗用や、不正アクセスによる情報漏洩等に対し、本人認証の仕組みであるEMV 3-Dセキュアの義務化等業界をあげてのセキュリティ対応が急務となっています。

 また、バックオフィス支援系のデジタル市場においては、中小企業を中心に、DX(デジタルトランスフォーメーション)の動きが活発となり、生産性向上や業務効率化の需要がさらに拡大しております。非効率なアナログ処理から脱却してデジタル化を推進する政府の各種法改正の動き等外部環境の変化とも相まって、企業はバックオフィスの処理プロセスや組織の在り方の変革を迫られる状況となっています。特に、経理系業務に関係の深い法改正として「インボイス制度」や2024年1月に義務化された「改正電子帳簿保存法」への対応等、社会におけるDXの必要性がこれまで以上に高まっており、当社グループにとって追い風と言える事業環境が継続しております。

 なお韓国での国際送金市場においては、新規会員の獲得及び送金件数・金額の拡大が見込める外部環境が整ったことで、堅調な推移を見せています。送金時における為替レートについては、既存会員は非常に敏感に反応するため、一時的な送金額の波はあるものの、クリスマスや旧正月といった季節要因もあり国際送金市場全体については主要仕向け国であるベトナム・フィリピン共に拡大基調で推移いたしました。

 このような環境のもと、当第3四半期連結累計期間において決済事業やバックオフィス業務改善に資する各種クラウドサービスを中心とした事業法人向けサービスに注力することで成長を加速させ、顧客便益の高いサービス展開による企業価値向上を目標としたグループ経営を行ってまいりました。決済事業における代理店施策強化や、対象業種を明確化したサービス訴求による新規加盟店の獲得、またファクタリングにおいてはバックオフィスSaaSサービスとの連携による新規顧客と買取債権金額等の増加により、当社グループの当第3四半期連結累計期間における経営成績は、収益4,321,013千円(前年同期比106.8%)、売上総利益2,848,976千円(前年同期比107.5%)、営業利益429,212千円(前年同期比123.2%)、税引前四半期利益334,889千円(前年同期比101.7%)、四半期利益246,311千円(前年同期比100.7%)となりました。

 

 セグメント別の業績は次のとおりであります。なお、各セグメントの収益は外部顧客からの収益を記載しております。

 

①決済サービス事業

 決済サービス事業におきましては、ECにおける決済ソリューションの提供を行っております。当社子会社である株式会社ゼウス及び株式会社AXES Paymentが提供するクレジットカード決済、あと払い決済、銀行振込決済、コンビニ決済等、対面・非対面を含む様々な「決済サービス」とファクタリングを中心とした「フィナンシャルソリューションサービス」が属しております。

 「決済サービス」においては、当第3四半期に新たに「あと払い決済サービス」を株式会社ゼウスで一般提供を開始したことに加え、代理店施策の強化や業種別決済サービスの特化による新規加盟店開拓等により、決済の取扱件数・取扱高は堅調に推移しております。また、「フィナンシャルソリューションサービス」においては調剤薬局等の診療報酬債権の買取のみならず、バックオフィスSaaS事業が提供するサービスにファクタリング機能を付帯し、サービス提供の裾野を拡大した結果、収益は2,837,033千円(前年同期比98.3%)、営業利益は310,279千円(前年同期比52.9%)となりました。

 

②バックオフィスSaaS事業

 バックオフィスSaaS事業におきましては、SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が提供する「バックオフィス支援系クラウドサービス」や、持分法適用関連会社の株式会社ブロードバンドセキュリティが提供する「総合ITセキュリティサービス」等、企業の経理や総務・労務システム等のバックオフィス業務を支援する様々なサービスとセキュリティ関連サービスが属しております。

 バックオフィス関連の各種クラウドサービスの中でも特に請求書発行・経費精算における直販強化に加え、地方銀行を始めとした全国の地域金融機関や税理士・会計システムベンダー等をパートナーとした、積極的な販路拡大が奏功し、特に地域金融機関の紹介による地方の中小企業の新規顧客が顕著な増加をみせております。また「インボイス制度」や「改正電子帳簿保存法」といった法改正による駆け込み需要の後押し等もあり、収益は880,332千円(前年同期比111.9%)、営業利益は81,605千円(前年同期は営業損失29,120千円)となりました。

 

③国際送金事業

 国際送金事業におきましては、韓国のSBI Cosmoney Co.,Ltd.による「国際送金サービス」が属しております。

 韓国においても国際送金における新規会員獲得が正常に行える市場環境へと好転したことに加え、送金パートナーとの仕入価格交渉等の営業努力も奏功し、送金件数・金額の増加と共に事業は堅調に推移いたしました。その結果、収益は603,648千円(前年同期比162.5%)、営業利益は231,420千円(前年同期比1,115.6%)となりました。

 

(2)財政状態及びキャッシュ・フローの状況

 当第3四半期連結会計期間末の総資産は前連結会計年度末に比べ4,854,272千円増加し、52,653,963千円となりました。また、負債合計は前連結会計年度末に比べ4,982,339千円増加し、47,982,014千円、資本合計は前連結会計年度末に比べ128,067千円減少し、4,671,949千円となりました。

 なお、当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ為替変動の影響による増加額77,680千円を含め13,095,075千円増加し、33,411,974千円となりました。当第3四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況及び主な要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、営業活動によるキャッシュ・フローは21,841,142千円の収入(前年同期は12,496,145千円の収入)となりました。これは主に仕入債務及びその他の債務の増減11,720,037千円及び買取債権の増減10,088,865千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、投資活動によるキャッシュ・フローは1,290,421千円の支出(前年同期は1,194,674千円の支出)となりました。これは主に無形資産の取得による支出1,370,033千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当第3四半期連結累計期間において、財務活動によるキャッシュ・フローは7,533,326千円の支出(前年同期は1,188,343千円の支出)となりました。これは主に短期借入金の純減額6,700,000千円によるものであります。

 

(3)事業上及び財務上の対処すべき課題

 当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4)研究開発活動

 該当事項はありません。